以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。各図面において、同様の構成要素には同様の符号が付与されている。なお、以下に記載される内容は、特許請求の範囲に記載される発明の技術的範囲及び用語の意義を限定するものではない。
図1は、第1の実施形態における筆記具1の側面図である。本実施形態では、複数の筆記体を収容し、ノック操作により先端口からいずれか1つの筆記体を繰出す複式筆記具を例に説明するが、本発明は、複式筆記具に限定されるものではなく、シャープペン、ボールペンその他のペンにも適用できることに留意されたい。なお、本明細書において、軸線方向A(又は軸線X)において筆記具1の先端側を「前」と規定し、筆記具1の後端側を「後」と規定するとともに、径方向Bにおいて筆記具1の外部側を「外」と規定し、筆記具の内部側を「内」と規定する。
まず、筆記具1の全体構成について概説する。図1に示すように、筆記具1は、概して、筆記体を繰出して筆記を可能にする筆記部10と、指で把持される把持部20と、把持部20の後方に位置する軸部30と、ノック操作を行う操作部40と、を有する。
図2は、第1の実施形態における筆記具1の縦断面図である。筆記部10は、先端口11を有する口金12と、先端口11から繰出される5つの筆記体13(一部のみ図示)と、を有する。筆記体13は、異なる4色のインクを収容するボールペンユニットと、シャープペンシルユニットと、を有する。
把持部20は、口金12に嵌合する硬質の前軸21と、前軸21の外周面を覆う環状に形成された弾性体22と、弾性体22の外周面において周方向に複数配置される第1及び第2の板状部材23、24(第2の板状部材24は図3を参照)と、第1及び第2の板状部材23、24の前端部を止める第1のリング状部材25と、第1及び第2の板状部材23、24の後端部を止める第2のリング状部材26と、を有する。
軸部30は、第2のリング状部材26に螺合される後軸31と、後軸31の中に配置されていて隣り合う筆記体を所定の間隔に維持するスペーサ32と、後軸31の後端部の凹部に配置された消しゴム33と、消しゴム33を覆うカバー34と、を有する。後軸31は、周方向Cにおいて等間隔に形成された5つのスリット35(一部のみ図示)を有する。スリット35は、軸線方向Aに延在する幅の狭い幅狭側壁36と、軸線方向Aに延在する幅の広い幅広側壁37と、を有する。幅狭側壁36と幅広側壁37との軸線方向Aにおける境界には、後述するノック棒を係止する係止面38が形成される。
操作部40は、スリット35に沿ってそれぞれ摺動可能な5つのノック棒41(一部のみ図示)と、ノック棒41とスペーサ32との間に配置されたスプリング42と、を有する。ノック棒41は、筆記体13の後端部に接続されており、スプリング42は、ノック棒41及び筆記体13の位置を復元する。
ノック棒41は、スリット35の幅狭側壁36と、スリット35の幅広側壁37との間で変位する。ノック棒41は、スリット35の係止面38に係止される係止部43と、他のノック棒41の係止を解除する係止解除カム44と、他のノック棒41の係止解除カム44によって押圧される被押圧突起45と、を有する。
例えば、ノック棒41が軸線方向Aの前方へ押下げられると、ノック棒41はスリット35の幅狭側壁36から幅広側壁37へ摺動し、径方向Bの内方に移動する。このとき、ノック棒41の係止部43がスリット35の係止面38によって係止され、当該ノック棒41に接続した筆記体13が筆記具1の先端口11から繰出される。次いで、他のノック棒41が軸線方向Aの前方へ押下げられると、他のノック棒41の係止解除カム44が当該ノック棒41の被押圧突起45を押圧して径方向Bの外方へ当該ノック棒41を移動させる。このとき、当該ノック棒41の係止部43がスリット35の係止面38から解除され、当該ノック棒41がスプリング42によって軸線方向Aの後方へ付勢されるとともに、当該ノック棒41に接続した筆記体13が筆記具1の中に格納される。
本明細書において、前述した前軸21及び後軸31を含む軸を「軸筒50」と称する。他の実施形態において、前軸21及び後軸31は一体的に形成されてもよく、この場合には軸筒50が単一体として形成される。
続いて、本発明の特徴部分である把持部20の構成について詳細に説明する。図3は分解した把持部20の斜視図であり、図4は組立てた把持部20の斜視図である。軸筒50(前軸21)は、アルミニウム等の軽金属、非ゴム系プラスチック(ゴム、エラストマー等の粘弾性材料を除く)、木材、ガラス、又は宝石類等を含む硬質材料を用いて押出成形、射出成形、又は切削等により円筒形状に形成される。
弾性体22は、ゴム又はエラストマー等の弾力性を有する軟質材料を用いて環状に形成される。弾性体22が軟質材料で形成されることにより、筆記具1の把持部20に弾力性を付与できる。弾性体22は、軸線方向Aにおいて軸筒50より短い長さの円筒形状を有する。なお、弾性体は、環状体ではなく、軸線方向Aに細長く伸びた複数の板状体又は円柱体で構成されてもよい。この場合、弾性体は、第1及び第2の板状部材23、24に対応して配置され、第1の板状部材23が指によって径方向Bの内方へ押圧されたときに、弾性体が変形し易くなるため、指へのフィット感が向上する。
第1及び第2の板状部材23、24は、アルミニウム等の軽金属、非ゴム系プラスチック(ゴム、エラストマー等の粘弾性材料を除く)、木材、ガラス、又は宝石類等を含む硬質材料を用いて押出成形、射出成形、又は切削、鍛造、鋳造等により板状に形成される。より好ましくは、第1の板状部材23には、金属、プラスチック、木材等の落下による衝撃等で破損しにくい材料、第2の板状部材24には、セラミック、ガラス、宝石類等の落下による衝撃等で破損しやすい材料で形成するとよい。また、第1及び第2の板状部材23、24は、噴霧器又は真空蒸着等により形成した被膜を有し、着色や光沢が施される。第1及び第2の板状部材23、24が硬質材料で形成されるとともに着色や光沢が施されることにより、筆記具1の把持部20に高級感が付与される。第1及び第2の板状部材23、24は、軸線方向Aにおいて、細長く伸びていて、弾性体22と同じ長さを有する。第1及び第2の板状部材23、24は、軸線方向Aにおいて、前端部23a、24a及び後端部23b、24bを有する。第1の板状部材23の径方向Bにおける厚さは第2の板状部材24の径方向Bにおける厚さより厚いものの、第1の板状部材23の前端部23a及び後端部23bの径方向Bにおける厚さは第2の板状部材24の径方向Bにおける厚さと同じ厚さである。
他の実施形態において、第1及び第2の板状部材23、24は同じ形状を有してもよい。さらに、別の実施形態において、板状部材は、二種類ではなく、三種類以上の板状部材で構成されてもよい。これにより、使用者の趣向に合った把持部を構成することが可能となる。
第1及び第2のリング状部材25、26は、アルミニウム等の軽金属、非ゴム系プラスチック(ゴム、エラストマー等の粘弾性材料を除く)、木材、ガラス、又は宝石類等を含む硬質材料を用いて押出成形、射出成形、又は切削等により形成される。また、第1及び第2のリング状部材25、26は、噴霧器又は真空蒸着等により形成した被膜を有し、着色や光沢が施される。
第1のリング状部材25は、弾性体22の外径に等しいサイズの内径を有する小径環状部25aと、弾性体22の外径と第1の板状部材23の前端部23aの径方向Bにおける厚さ又は第2の板状部材の後端部24aの径方向Bにおける厚さとを足したサイズの内径を有する大径環状部25bと、を有する。第2のリング状部材26は、軸筒50の外径に等しいサイズの内径を有する小径環状部26aと、弾性体22の外径と第1の板状部材23の後端部23bの径方向Bにおける厚さ又は第2の板状部材24の後端部24bの径方向Bにおける厚さとを足したサイズの内径を有する大径環状部26bと、を有する。さらに、第2のリング状部材26は、後軸31に螺合するためのネジ山を有するネジ山環状部26cと、を有する。
続いて、把持部20の組立方法について説明する。まず、軸筒50の外周面に環状の弾性体22を配置する。弾性体22は、軸筒50の外周面に圧入されてもよいし又は接着剤を用いて固定されてもよい。次いで、環状の弾性体22の外周面において、第1及び第2の板状部材23、24を周方向Cで交互に配置する。第1及び第2の板状部材23、24は、接着剤を用いて弾性体22の外周面に仮止めされてもよいが、弾性体22が変形し易いように、弾性体22の外周面に固定されないことが好ましい。
続いて、弾性体22の外周面に第1及び第2の板状部材23、24を止めるために、第1のリング状部材61を第1及び第2の板状部材23、24の前端部23a、24aに配置するとともに、第2のリング状部材62を第1及び第2の板状部材23、24の後端部23b、24bに配置する。第1の板状部材23が径方向Bに移動できるように、少なくとも第1の板状部材23の前端部23a及び後端部23bには接着剤を塗布しない。すなわち、第1及び第2の板状部材23、24の前端部23a、24a及び後端部23b、24bは、第1及び第2のリング状部材25、26の大径環状部25b、26bによって止められる(押さえられる)に過ぎない。
次いで、接着剤、ネジ締結、又は圧入等により、口金12の内周面12aが軸筒50の外周面50aに固定されるとともに、第2のリング状部材26の小径環状部26a及びネジ山環状部26cが軸筒50の外周面50bに固定される。以上により、図4に示すような把持部20が組立てられる。
図5は、図4の線V−Vに沿った把持部20の横断面図である。第1及び第2の板状部材23、24は、限定されないが、弾性体22の外周面において周方向Cで等間隔に12個ずつ交互に配置される。周方向Cで等間隔に配置された12個の第1の板状部材23のうち、指に接触する第1の板状部材23のみが径方向Bの内方へ付勢されるため、把持部20の変形が必要最小限になり、指へのフィット感が向上する。
また、第1の板状部材23の外向面23dは第1の板状部材23の内向面23eより小さいのに対し、第2の板状部材24の外向面24dは第2の板状部材24の内向面24eより大きい。これにより、第1の板状部材23は、径方向Bだけでなく、径方向Bに対して傾斜した傾斜方向B1及びB2へも移動可能になるため、指へのフィット感が更に向上する。他方、第2の板状部材24は、隣接する2つの第1の板状部材23の斜側面23cによって径方向Bにおける移動を抑制される。
さらに、第1の板状部材23の径方向Bにおける厚さは、第2の板状部材24の径方向Bにおける厚さより厚い。これにより、把持部20の外周面が凹凸形状を有するため、把持部20のグリップ力が向上する。
次に、図6及び図7を参照して、第2の実施形態における筆記具について説明する。第2の実施形態における筆記具の全体構成は、第1の実施形態における筆記具1の全体構成と同じであるため、説明を省略する。第2の実施形態における筆記具の把持部60は他の把持部に交換可能である点で、第1の実施形態における筆記具1の把持部20と異なる。
図6は、第2の実施形態における把持部60の斜視図である。把持部60は、軸筒を有しておらず、さらに、第1の実施形態とは異なる第1及び第2のリング状部材61、62を有する。第1及び第2のリング状部材61、62は、アルミニウム等の軽金属、非ゴム系プラスチック(ゴム、エラストマー等の粘弾性材料を除く)、木材、ガラス、又は宝石類等を含む硬質材料を用いて押出成形、射出成形、又は切削等により形成される。また、第1及び第2のリング状部材61、62は、噴霧器又は真空蒸着等により形成した被膜を有し、着色や光沢が施される。
図7は、図6の線VII−VIIに沿った把持部60の縦断面図である。把持部60は軸筒を有していないため、把持部60の構成部材が意図せず分解しないように、弾性体22が第1及び第2のリング状部材61、62にのみ固定されることが好ましい。第1及び第2のリング状部材61、62は、弾性体22の内径に等しいサイズの内径を有する小径環状部61a、62aと、弾性体22の外径と第1の板状部材23の前端部23aの径方向Bにおける厚さとを足したサイズの内径を有する大径環状部61b、62bと、を有する。
続いて、把持部60の組立方法について説明する。まず、図6に示すように、環状の弾性体22の外周面において、第1及び第2の板状部材23、24を周方向Cで交互に配置する。第1及び第2の板状部材23、24は、接着剤を用いて弾性体22の外周面に仮止めされてもよいが、弾性体22が変形し易いように、弾性体22の外周面に固定されないことが好ましい。続いて、弾性体22の外周面に第1及び第2の板状部材23、24を止めるために、第1のリング状部材61を第1及び第2の板状部材23、24の前端部23a、24aに配置するとともに、第2のリング状部材62を第1及び第2の板状部材23、24の後端部23b、24bに配置する。
図7において、第1及び第2のリング状部材61、62を配置する前に、弾性体22の前端面22a及び後端面22bに接着剤を塗布することが好ましい。これにより、弾性体22の前端面22a及び後端面22bが第1及び第2のリング状部材61、62の小径環状部61a、62aにそれぞれ固定される。他方、第1の板状部材23が径方向Bに移動できるように、第1の板状部材23の前端部23a及び後端部23bには接着剤を塗布しない。すなわち、第1の板状部材23の前端部23a及び後端部23bは、第1及び第2のリング状部材61、62の大径環状部61b、62bによって止められる(押さえられる)に過ぎない。
前述したように、弾性体22が第1及び第2のリング状部材61、62にのみ固定されることにより、把持部60の構成部材が意図せず分解してしまうことはなく、把持部60が単一体として組立てられるため、第2の実施形態における筆記具は、必要に応じて把持部60を軸筒から取外し、他の把持部に容易に交換できる。
次に、図8〜図15を参照して、第3の実施形態における筆記具2について説明する。第3の実施形態における筆記具2の全体構成は、第1の実施形態における筆記具1の全体構成と概ね同じであるため、異なる部分(異なる符号)についてのみ説明する。第3の実施形態における筆記具2の把持部70は、軸線方向Aにおいてテーパ状に形成されている点で、第1の実施形態における筆記具1の把持部20と異なる。
図8は第3の実施形態における筆記具2の側面図であり、図9は第3の実施形態における筆記具2の縦断面図である。筆記具2の把持部70は、口金12に嵌合する硬質の前軸21と、前軸21の外周面を覆う環状の弾性体22と、弾性体22の外周面において周方向に複数配置される第1及び第2の板状部材73、74(第2の板状部材74は図12を参照)と、第1及び第2の板状部材73、74の前端部を止める第1のリング状部材75と、第1及び第2の板状部材73、74の後端部を止める第2のリング状部材76と、を有する。第2のリング状部材76の後方には、後軸31に螺合するためのネジ山を有する軸継手39が配置される。
図10は第3の実施形態における第1の板状部材73の斜視図であり、図11は第3の実施形態における第2の板状部材74の斜視図である。第1及び第2の板状部材73、74は、アルミニウム等の軽金属、非ゴム系プラスチック(ゴム、エラストマー等の粘弾性材料を除く)、木材、ガラス、又は宝石類等を含む硬質材料を用いて押出成形、射出成形、又は切削、鍛造、鋳造等により板状に形成される。より好ましくは、第1の板状部材73には、金属、プラスチック、木材等の落下による衝撃等で破損しにくい材料、第2の板状部材74には、セラミック、ガラス、宝石類等の落下による衝撃等で破損しやすい材料で形成するとよい。また、第1及び第2の板状部材73、74は、噴霧器又は真空蒸着等により形成した被膜を有し、着色や光沢が施される。第1及び第2の板状部材73、74が硬質材料で形成されるとともに着色や光沢が施されることにより、筆記具2の把持部70に高級感が付与される。第1及び第2の板状部材73、74は、軸線方向Aにおいて、細長く伸びていて、弾性体22と同じ長さを有する。第1及び第2の板状部材73、74は、軸線方向Aにおいて、前端部73a、74a及び後端部73b、74bを有する。
第3の実施形態における特徴として、第1及び第2の板状部材73、74の径方向Bにおける厚さが軸線方向Aの前方から後方にわたって増大する。これにより、第1及び第2の板状部材73、74で構成される把持部70が軸線方向Aの前方から後方にわたってテーパ状に拡径する。テーパ状に拡径する把持部70は把持する指の形状に適合し易いため、指へのフィット感が向上する。
また、軸線方向Aの前方から後方にわたる第1及び第2の板状部材73、74の径方向Bにおける厚さの増大に伴い、第1の板状部材73の外向面73dが軸線方向Aの前方から後方にわたって縮小するのに対し、第2の板状部材74の外向面74dは軸線方向Aの前方から後方にわたって拡大する。他方、第1及び第2の板状部材73、74の内向面73e、74eは軸線方向Aにわたって概ね同じ幅を有している。
図12は分解した把持部70の斜視図であり、図13は組立てた把持部70の斜視図である。第1及び第2のリング状部材75、76は、アルミニウム等の軽金属、非ゴム系プラスチック(ゴム、エラストマー等の粘弾性材料を除く)、木材、ガラス、又は宝石類等を含む硬質材料を用いて押出成形、射出成形、又は切削等により形成される。また、第1及び第2のリング状部材75、76は、噴霧器又は真空蒸着等により形成した被膜を有し、着色や光沢が施される。
第1のリング状部材75は、弾性体22の内径に等しいサイズの内径を有する小径環状部75aと、弾性体22の外径と第1の板状部材73の前端部73aの径方向Bにおける厚さ又は第2の板状部材74の前端部74aの径方向Bにおける厚さとを足したサイズの内径を有する大径環状部75bと、を有する。第2のリング状部材76は、軸筒50の外径に等しいサイズの内径を有する小径環状部76aと、弾性体22の外径と第2の板状部材74の後端部74bの径方向Bにおける厚さとを足したサイズの内径を有する大径環状部76bと、を有する。
第3の実施形態における把持部70の組立方法は、第1の実施形態における把持部20の組立方法と同じである。まず、軸筒50の外周面に環状の弾性体22を配置し、次いで、環状の弾性体22の外周面において、第1及び第2の板状部材73、74を周方向Cで交互に配置する。続いて、弾性体22の外周面に第1及び第2の板状部材73、74を止めるために、第1のリング状部材75を第1及び第2の板状部材73、74の前端部73a、74aに配置するとともに、第2のリング状部材76を第1及び第2の板状部材73、74の後端部73b、74bに配置する。第1及び第2の板状部材73、74の前端部73a、74a及び後端部73b、74bは、第1及び第2のリング状部材75、76の大径環状部75b、76bによって止められる(押さえられる)に過ぎない。
次いで、接着剤、ネジ締結、又は圧入等により、口金12の内周面12aが軸筒50の外周面50aに固定されるとともに、軸継手39の小径環状部39a及びネジ山環状部39cが軸筒50の外周面50bに固定される。以上により、図13に示すような把持部70が組立てられる。
図14は図13の線XIV−XIVに沿った把持部70の横断面図であり、図15は図13の線XV−XVに沿った把持部70の横断面図である。第1及び第2の板状部材73、74は、限定されないが、弾性体22の外周面において周方向Cで等間隔に12個ずつ交互に配置される。周方向Cで等間隔に配置された12個の第1の板状部材73のうち、指に接触する第1の板状部材73のみが径方向Bの内方へ付勢されるため、把持部70の変形が必要最小限になり、指へのフィット感が向上する。
また、第1の板状部材73の外向面73dは第1の板状部材73の内向面73eより小さいのに対し、第2の板状部材74の外向面74dは第2の板状部材74の内向面74eより大きい。これにより、第1の板状部材73は、径方向Bだけでなく、径方向Bに対して傾斜した傾斜方向B1及びB2へも移動可能になるため、指へのフィット感が更に向上する。他方、第2の板状部材74は、隣接する2つの第1の板状部材73の斜側面73cによって径方向Bにおける移動を抑制される。
さらに、第1の板状部材73の径方向Bにおける厚さは、第2の板状部材74の径方向Bにおける厚さより厚い。これにより、把持部70の外周面が凹凸形状を有するため、把持部70のグリップ力が向上する。
次に、図16及び図17を参照して、第4の実施形態における筆記具について説明する。第4の実施形態における筆記具の全体構成は、第3の実施形態における筆記具2の全体構成と同じであるため、説明を省略する。第4の実施形態における筆記具の把持部80は他の把持部に交換可能である点で、第3の実施形態における筆記具2の把持部70と異なる。
図16は、第4の実施形態における把持部80の斜視図であり、図17は、図16の線XVII−XVIIに沿った把持部80の縦断面図である。把持部80は、第3の実施形態における把持部70と異なり、軸筒を有していない。このため、把持部80の構成部材が意図せず分解しないように、弾性体22が第1及び第2のリング状部材75、76にのみ固定されることが好ましい。
続いて、把持部80の組立方法について説明する。まず、図16に示すように、環状の弾性体22の外周面に第1及び第2の板状部材73、74を周方向Cで交互に配置し、続いて、弾性体22の外周面に第1及び第2の板状部材73、74を止めるために、第1のリング状部材75を第1及び第2の板状部材73、74の前端部73a、74aに配置するとともに、第2のリング状部材76を第1及び第2の板状部材73、74の後端部73b、74bに配置する。
図17において、第1及び第2のリング状部材75、76を配置する前に、弾性体22の前端面22a及び後端面22bに接着剤を塗布する。これにより、弾性体22の前端面22a及び後端面22bが第1及び第2のリング状部材75、76の小径環状部75a、76aにそれぞれ固定される。他方、第1の板状部材73が径方向Bに移動できるように、第1の板状部材73の前端部73a及び後端部73bには接着剤を塗布しない。すなわち、第1の板状部材73の前端部73aが第1のリング状部材75の大径環状部75bによって止められる(押さえられる)に過ぎない。
前述したように、弾性体22が第1及び第2のリング状部材75、76にのみ固定されることにより、把持部80の構成部材が意図せず分解してしまうことはなく、把持部80が単一体として組立てられるため、第4の実施形態における筆記具は、必要に応じて把持部80を軸筒から取外し、他の把持部に容易に交換できる。
本明細書において種々の実施形態について説明したが、本発明は、前述した種々の実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載された範囲内において種々の変更を行えることを認識されたい。