特許文献1から特許文献4の炊飯器においては、上述したように炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。
しかしながら、特許文献1の炊飯器においては、炊飯シーケンスを設定するのに、使用者が銘柄をボタン操作により選択しなければならないので、誤操作により炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができないこともあった。
また、特許文献2の炊飯器においては、カレンダー部の日付が何月であるかということで、新米か古米かを判断しているため、新米と古米の両方が市場に出回ることが考えられる9月から10月にかけての端境期には、新米と古米とを誤って判断してしまうことがあった。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができないこともあった。
また、特許文献3の炊飯器においては、炊く米の種類を変える度に、不揮発性メモリーに炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスのデータをボタン操作により記憶させなければならず、操作が煩雑であった。また、使用者が米の米質情報に適した炊飯シーケンスデータを選択しなければならないので、特許文献1の炊飯器と同様に、誤操作により炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができないこともあった。
また、特許文献4の炊飯器においては、使用者が複数のバーコードの中から、希望する変更項目に対応するバーコードを選択してバーコード読取手段に読み取らせるものであるので、そのバーコードの選択を誤ると、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができないこともあった。
また、特許文献4の炊飯器においては、使用者が炊飯メニューに応じた炊飯シーケンスデータをボタン操作により選択する必要があるため、特許文献1及び3の炊飯器と同様に、誤操作により炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができないこともあった。
上述してきたように、炊飯する米の米質情報に応じて炊飯シーケンスの設定を変えることで、米本来のおいしさが引き出されたご飯を炊き上げることができるものは、数多く提案されている。しかしながら、市場に出回る米は非常に多種多様である。全ての米に対して最適な炊飯シーケンスで炊飯を実行するためには、まず、炊飯器にその米の米質情報、例えば米種、産地及び品種、硬軟質に関わる成分、収穫時期、製造日、読取日などの情報を正確に提供する必要がある。
しかしながら、炊飯器に炊飯する米の米質情報を誤って提供すると、米に対して最適な炊飯シーケンスで炊飯することができず、米本来のおいしさを引き出すことができずに、逆に不味いご飯になってしまうこともある。それらの米質情報を使用者が自身の知識やマニュアル等にしたがって、分類の判断を誤ることなく炊飯器に正確に提供(入力)することは、非常に困難なことである。仮にそれが可能であったとしても、その操作が非常に煩雑なものであろうことは容易に推測されるであろう。
一方で、上述したように食品トレーサビリティシステムが確立されることによって、消費者(使用者)は、炊飯するお米の米質情報について、様々な情報を手に入れることができるようになってきている。
本発明は、上記食品トレーサビリティシステムを応用することにより、炊飯シーケンスに関する使用者による誤操作の可能性を低くすることができる炊飯シーケンス自動選択装置及び方法、並びにその装置を備えた炊飯器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一つの観点による発明の炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、前記米質情報に対して炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブルを記憶している記憶装置、前記米質情報に基づいて、炊飯シーケンス情報テーブルを検索して対応する炊飯シーケンスデータを抽出する検索手段、及び抽出された炊飯シーケンスデータを出力する出力装置を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は、予め米質情報を記憶した情報記憶媒体の米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
前記一つの観点による発明の炊飯シーケンス自動選択装置は、前記読取装置が前記米質情報を読み取った日を記憶する読取情報記憶手段、及び前記読取情報記憶手段に記憶された前記米質情報の読取日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第3の経過期間を演算する演算装置をさらに有し、前記記憶装置は、米質情報の読取日からの経過期間の情報に対して炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブルを予め記憶し、前記検索手段は、前記第3の経過期間の情報を前記米質情報とし、前記第3の経過期間の情報に基づいて、前記炊飯シーケンス情報テーブルを検索し、対応する炊飯シーケンスデータを抽出するものであってもよい。
この発明の炊飯シーケンス自動選択装置において、使用者は、米袋を開封した日に読取装置にその米質情報を読取らせれば、米袋の開封日から炊飯シーケンスの自動選択日までの経過期間を考慮した炊飯シーケンスでご飯を炊き上げることができる。したがって、米本来のおいしさがより引き出されたご飯を炊き上げることができる。また、読取情報記憶手段が読取った情報を記憶しているので、何度も米質情報を読取らせなくてもよくなる。
本発明の他の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、複数の米質情報を記憶した情報記憶媒体から、複数の米質情報を読み取る読取装置、複数の米質情報の組み合わせに対して、炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブルを予め記憶している記憶装置、前記読取装置で読み取った前記複数の米質情報に基づいて、炊飯シーケンス情報テーブルを検索して対応する炊飯シーケンスデータを抽出する検索手段及び抽出された炊飯シーケンスデータを出力する出力装置、を有することを特徴とする。
この発明の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、予め各米質情報を記憶した情報記憶媒体の各米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
本発明の別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、少なくとも米種の情報及び数値で表される複数の米の米質データを含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、複数の米質データ毎に、少なくとも1つの閾値により分類分けする複数の米質分類情報がそれぞれ対応させられている米質分類情報テーブル、及び米の米種の情報と前記複数の米質分類情報の組み合わせとに対して、炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブル、を予め記憶している第1の記憶装置、前記複数の米質データに基づいて、前記米質分類情報テーブルを検索して対応する前記複数の米質分類情報を抽出し、抽出した前記複数の米質分類情報の組み合わせと、前記米種の情報とに基づいて、前記炊飯シーケンス情報テーブルを検索して対応する炊飯シーケンスデータを抽出する検索手段、及び抽出した炊飯シーケンスデータを出力する出力装置、を有することを特徴とする。
この発明の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、予め各米質情報を記憶した情報記憶媒体の各米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
本発明の別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、収穫時期及び/又は製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間及び/又は第2の経過期間を演算する演算装置、をさらに有し、前記米質情報には、米の収穫時期及び米の製造日の少なくとも一つの情報が含まれ、前記第1の記憶装置の米質分類情報テーブルには、収穫時期からの経過期間及び/又は製造日からの経過期間の情報のそれぞれに対して、少なくとも一つの閾値で分類分けする収穫時期からの経過期間分類情報及び/又は製造日からの経過期間分類情報も対応させられていることを特徴とする。
この発明によれば、収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間を演算することにより、新米、普通米、古米等の米の鮮度を自動的に判定できる。したがって、例えば新米の場合には、柔らかくなり過ぎたり水っぽくなったりすることを防ぎ、古米の場合には、硬くなり過ぎたり香りが悪くなったりすることを防ぐことができる。また、製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第2の経過期間を演算することにより、精米の酸化及び乾燥度合いに応じた適切な炊飯シーケンスで炊くことが可能となる。したがって、米の鮮度に関わらず、年間を通じて、その米を最もおいしく炊き上げることができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、米の米種、米の硬軟質に関わる成分、及び米の収穫時期の情報を含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、前記収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間を演算する演算装置、米の硬軟質に関わる成分の情報に対して少なくとも一つの閾値で分類分けする成分分類情報が対応させられている成分分類情報テーブル、米の収穫時期からの経過期間の情報に対して少なくとも一つの閾値で分類分けする収穫時期からの経過期間分類情報が対応させられている収穫時期からの経過期間分類情報テーブル、及び米の米種の情報、前記成分分類情報、及び前記収穫時期からの経過期間分類情報の組み合わせに応じて、炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブル、を予め記憶している第1の記憶装置、前記米質情報の前記硬軟質に関わる成分の情報に基づいて、前記成分分類情報テーブルを検索して対応する前記成分分類情報を抽出し、前記第1の経過期間の情報に基づいて、前記収穫時期からの経過期間分類情報テーブルを検索して対応する前記収穫時期からの経過期間分類情報を抽出し、抽出した前記成分分類情報、前記収穫時期からの経過期間分類情報と、前記米質情報の前記米種の情報との組み合わせに基づいて、前記炊飯シーケンス情報テーブルを検索して対応する炊飯シーケンスデータを抽出する検索手段、及び抽出された炊飯シーケンスデータを出力する出力装置、を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は、予め各米質情報を記憶した情報記憶媒体の各米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、前記米質情報には、数値で表される複数の米の米質データが含まれ、複数の米の米質データに対して炊飯シーケンスの調整データが対応させられている調整情報テーブルを記憶している第2の記憶装置、及び前記米質情報の前記複数の米質データに基づいて、前記調整情報テーブルを検索して対応する調整データを抽出し、抽出した前記調整データにより、前記検索手段が抽出する炊飯シーケンスデータの中の前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整し、前記出力装置に調整した炊飯シーケンスデータを出力する調整手段、をさらに有することを特徴とする。
この発明によれば、米質データ(例えば、含水率、白度、砕米率、水浸裂傷粒率など)に応じて、炊飯シーケンスデータの炊飯工程(主として、前炊き工程、昇温工程、沸騰維持工程、むらし工程)における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力を調整する。これにより、さらに炊飯する米の米質情報にきめ細かに対応した炊飯シーケンスで炊くことが可能となり、炊飯による加熱が米に与えるダメージを最小限に抑えることができるため、米本来のおいしさが引き出されたご飯を炊き上げることができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、前記米質情報には、米の製造日の情報が含まれ、前記演算装置は、前記製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第2の経過期間も演算し、前記第2の記憶装置の調整情報テーブルには、米の製造日からの経過期間の情報に対する調整データも対応させられていることを特徴とする。
この発明によれば、米の製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第2の経過期間を演算することにより、さらに炊飯する精米の酸化及び乾燥度合いに応じた適切な炊飯シーケンスで炊くことが可能となり、精米の鮮度に関わらず、その米を最もおいしく炊き上げることができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、米の産地及び品種の情報、及び米の収穫時期の情報を含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、前記収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間を演算する演算装置、米の産地及び品種の情報を分類分けする産地及び品種分類情報が対応させられている産地及び品種分類情報テーブル、米の収穫時期からの経過期間に対して少なくとも一つの閾値で分類分けする収穫時期からの経過時間分類情報が対応させられている収穫時期からの経過期間分類情報テーブル、及び前記産地及び品種分類情報と前記収穫時期からの経過期間分類情報との組み合わせに応じて、炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブル、を予め記憶している第1の記憶装置、前記米質情報の前記産地及び品種分類情報に基づいて、前記産地及び品種分類情報テーブルを検索して対応する前記産地及び品種分類情報を抽出し、前記第1の経過期間の情報に基づいて、前記収穫時期からの経過期間分類情報テーブルを検索して対応する前記収穫時期からの経過期間分類情報を抽出し、抽出した前記産地及び品種分類情報と前記収穫時期からの経過期間分類情報との組み合わせに基づいて、前記炊飯シーケンス情報テーブルを検索して対応する炊飯シーケンスデータを抽出する検索手段、及び抽出された炊飯シーケンスデータを出力する出力装置、を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は、予め各米質情報を記憶した情報記憶媒体の各米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の産地及び品種を分類し、その産地及び品種に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、前記米質情報には、米の製造日の情報が含まれ、前記演算装置は、前記製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第2の経過期間も演算し、米の製造日からの経過期間の情報に対して炊飯シーシケンスの調整データが対応させられている調整情報テーブルを予め記憶している第2の記憶装置、及び前記第2の経過期間に基づいて、前記調整情報テーブルを検索して対応する調整データを抽出し、抽出した前記調整データにより、前記検索手段が抽出する炊飯シーケンスデータの中の前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整し、前記出力装置に調整した炊飯シーケンスデータを出力する調整手段、をさらに有することを特徴とする。
この発明によれば、米の製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第2の経過期間を演算し、その第2の経過期間に応じて検索手段が抽出する炊飯シーケンスを調整する。これにより、例えば精白米において、さらに炊飯する精米の酸化及び乾燥度合いに応じた適切な炊飯シーケンスで炊くことが可能となり、精米の鮮度に関わらず、その米を最もおいしく炊き上げることができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、米の米種、米の産地及び品種、及び米の硬軟質に関わる成分のうちのいずれか一つの情報と、数値で表される米質のデータとを含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、米の米種、米の産地及び品種、及び米の硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報に対して、炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブル、及び数値で表される米の米質データに対して炊飯シーケンスの調整データが対応させられている調整情報テーブルを予め記憶している記憶装置、前記米質情報の前記米種、前記産地及び品種、及び前記硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報に基づいて、前記炊飯シーケンス情報テーブルを検索して、対応する炊飯シーケンスデータを抽出する検索手段、前記米質情報の前記米質データに基づいて、前記調整情報テーブルを検索して対応する調整データを抽出し、抽出した前記調整データにより、前記検索手段が出力する炊飯シーケンスデータの中の前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力を調整する調整手段、前記調整手段で調整された炊飯シーケンスデータを出力する出力装置、を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は、予め各米質情報を記憶した情報記憶媒体の各米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。また、基準となる炊飯シーケンスを設定して、その炊飯シーケンスを調整データをもとに調整するので、記憶装置には記憶容量の小さいものを使用できる。したがって、装置の小型化及び低コストを図ることができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、炊飯シーケンスデータと、米質情報に対して前記炊飯シーケンスデータの調整データが対応させられている調整情報テーブルとを記憶している記憶装置、前記読取装置で読み取った前記米質情報に基づいて、前記調整情報テーブルを検索して対応する調整データを抽出し、抽出した前記調整データにより、前記炊飯シーケンスデータの中の前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整する調整手段、前記調整手段で調整された炊飯シーケンスデータを出力する出力装置、を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は、予め米質情報を記憶した情報記憶媒体の米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。また、炊飯シーケンスを、米質情報に基づいて検索した調整データにより調整するので、記憶装置には記憶容量の小さいものを使用できる。したがって、装置の小型化及び低コストを図ることができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、複数の米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、米質情報の一つの情報に対して、炊飯シーケンスデータが対応させられている炊飯シーケンス情報テーブル、及び前記米質情報の他の情報に対して、炊飯シーケンスデータの調整データが対応させられている調整情報テーブルを予め記憶している記憶装置、前記読取装置で読み取った前記米質情報の一つの情報に基づいて、前記炊飯シーケンス情報テーブルを検索して、対応する炊飯シーケンスデータを抽出する検索手段、前記読取装置で読み取った前記米質情報の他の情報に基づいて、前記調整情報テーブルを検索して対応する調整データを抽出し、抽出した前記調整データにより、前記検索手段が抽出する炊飯シーケンスデータの中の前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整する調整手段、前記調整手段で調整された炊飯シーケンスデータを出力する出力装置、を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は、予め米質情報を記憶した情報記憶媒体の米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。また、基準となる炊飯シーケンスを設定して、その炊飯シーケンスを調整データをもとに調整するので、記憶装置には記憶容量の小さいものを使用できる。したがって、装置の小型化及び低コストを図ることができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯シーケンスデータに対して、炊飯シーケンスデータに基づく炊飯情報を示すメッセージ情報が対応させられているメッセージ情報テーブル、を予め記憶している第3の記憶装置、前記出力装置が出力する炊飯シーケンスデータに基づいて、前記メッセージ情報テーブルを検索して対応するメッセージ情報を抽出するメッセージ検索手段、及び抽出されたメッセージ情報を表示する表示手段、をさらに有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は予め各米質情報を記憶した情報記憶媒体の各米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業を行うことで、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを表示手段で確認することができる。また、使用者による誤操作の可能性を低くすること、あるいは無くすことができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する装置であって、米の収穫時期の情報及び/又は米の製造日の情報が含まれている米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取る読取装置、前記収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間、及び/又は前記製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第2の経過期間を演算し出力する演算装置、及び米の収穫時期からの経過期間及び/又は米の製造日からの経過期間の情報に対して、それらの情報に基づく炊飯情報を示すメッセージ情報が対応させられているメッセージ情報テーブルを予め記憶している第1の記憶装置、前記第1の経過期間及び/又は前記第2の経過期間の情報に基づいて、前記メッセージ情報テーブルを検索して対応するメッセージ情報を抽出するメッセージ検索手段、及び抽出されたメッセージ情報を表示する表示手段を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者は予め各米質情報を記憶した情報記憶媒体の各米質情報を、読取装置に読み取らすだけの簡単な作業で、表示手段に炊飯する米の米質情報に応じたメッセージ情報が表示される。これにより使用者は、炊飯する米の米質情報を確認でき、誤操作の可能性を低くすること、あるいは無くすことができる。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、前記情報記憶媒体が、ICタグ又は二次元コードであることを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンス自動選択装置は、前記情報記憶媒体が、米袋に付されたICタグ又は二次元コードであることを特徴とする。
本発明の一つの観点による炊飯器は、上記いずれかの炊飯シーケンス自動選択装置を有することを特徴とする。
この発明によれば、使用者による誤操作の可能性を低くすること、あるいは無くすことができる炊飯器を提供することができる。また、簡単な作業で炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる炊飯器を提供することができる。さらに、簡単な作業で炊飯する米の米質情報を確認できる炊飯器を提供することができる。
本発明の一つの観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、米質情報を記憶した情報記憶媒体から前記米質情報を読み取るステップ、前記米質情報に基づいて、炊飯シーケンス情報テーブルを検索して対応する炊飯シーケンスデータを取得するステップ、及び取得した炊飯シーケンスデータを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明の他の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、米の米種の情報及び数値で表される複数の米の米質データを含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取るステップ、前記複数の米質データに基づいて、米質分類情報テーブルを検索して対応する複数の米質分類情報を取得するステップ、取得した前記複数の米質分類情報の組み合わせと前記米質情報の前記米種の情報とに基づいて、炊飯シーケンス情報テーブルを検索して対応する炊飯シーケンスデータを取得するステップ、取得した炊飯シーケンスデータを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明の別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、米の米種、米の硬軟質に関わる成分、及び米の収穫時期の情報を含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取るステップ、前記硬軟質に関わる成分の情報を少なくとも一つの閾値により分類分けするステップ、前記収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間を演算するステップ、前記米種の情報、前記硬軟質に関わる成分の分類情報、及び前記第1の経過期間の情報に基づいて、炊飯シーケンスを設定するステップ、及び前記設定された炊飯シーケンスを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、米の米種の情報、米の硬軟質に関わる成分の情報、その他数値で表される複数の米の米質データ、及び米の収穫時期の情報を含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取るステップ、前記硬軟質に関わる成分の情報を少なくとも一つの閾値により分類分けするステップ、前記収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間を演算するステップ、前記米質情報の前記米種の情報と、前記硬軟質に関わる成分の分類情報とに基づいて、基準となる炊飯シーケンスデータを設定するステップ、前記複数の米質データに基づいて、前記基準となる炊飯シーケンスデータの中の前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整するステップ、及び前記調整された炊飯シーケンスを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、米の産地及び品種情報、米の収穫時期の情報、及び数値で表される複数の米の米質データを含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取るステップ、前記米の産地及び品種情報を分類分けするステップ、前記収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間を演算するステップ、前記産地及び品種分類情報と、前記第1の経過期間の情報とに基づいて、基準となる炊飯シーケンスデータを設定するステップ、前記複数の米質データに基づいて、前記基準となる炊飯シーケンスデータの前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整するステップ、及び前記調整された炊飯シーケンスを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、米の産地及び品種の情報、米の収穫時期の情報、及び数値で表される複数の米の米質データを含む米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取るステップ、前記米の産地及び品種の情報を分類分けするステップ、前記収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間を演算するステップ、前記産地及び品種の分類情報と、前記第1の経過期間の情報とに基づいて、基準となる炊飯シーケンスデータを設定するステップ、前記複数の米質データに基づいて、前記基準となる炊飯シーケンスデータの前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整するステップ、及び前記調整された炊飯シーケンスを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取るステップ、前記米質情報に基づいて、予め設定されている基準となる炊飯シーケンスデータの前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整するステップ、前記調整された炊飯シーケンスを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、炊飯器で炊飯するお米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動的に選択する方法であって、複数の米質情報を記憶した情報記憶媒体から、前記米質情報を読み取るステップ、前記米質情報の一つの情報に基づいて、基準となる炊飯シーケンスデータを設定するステップ、前記米質情報の他の情報に基づいて、前記炊飯シーケンスデータの前炊き、昇温、沸騰維持、又はむらしの工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整するステップ、前記調整された炊飯シーケンスを出力するステップ、を有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、前記炊飯シーケンスの自動選択方法よりさらに、出力された前記炊飯シーケンスデータと前記米質情報とに基づいて、それらに対応する炊飯情報を示すメッセージ情報を取得するステップ、取得した前記メッセージ情報を表示するステップを有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、前記情報記憶媒体が、ICタグ又は二次元コードであることを特徴とする。
本発明のさらに別の観点による炊飯シーケンスの自動選択方法は、前記情報記憶媒体が、米袋に付されたICタグ又は二次元コードであることを特徴とする。
本発明の炊飯シーケンス自動選択装置及び方法、並びにその装置を備えた炊飯器によれば、使用者による誤操作の可能性を低くすること、あるいは無くすことができる。また、簡単な作業で炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。さらに、簡単な作業で炊飯する米の米質情報を確認することができる。
本発明の記述を続ける前に、まず、本発明にて用いられている用語の定義及び米との関係等について述べる。
「炊飯シーケンス」とは、前炊き、昇温、沸騰維持、むらしの主として4つの工程からなり、各工程を順に行うにあたって、各工程において通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等が予め決められている炊飯の手順をいう。
「米質情報」とは、米の性質に関する情報をいう。前記米質情報としては、例えば米の米種、米の産地及び品種、米の硬軟質に関わる成分、米の収穫時期、米の製造日、米の読取日などの情報が挙げられる。
「米種」とは、米の種類をいう。例えば精白米(うるち)、無洗米、精白米(もち)、玄米、分づき米、胚芽米、腎臓病対応米等の機能米などが挙げられる。また、例えば、無洗米においては、何種類かの異なる製造方法があることが知られており、その製造方法により、あるものは焦げやすかったり、あるものは吸水しにくかったりと性質が異なる。
「産地及び品種」とは、米の産地と品種とを組み合わせたもの、つまり銘柄をいう。例えば、宮城産ひとめぼれ、新潟産コシヒカリ、岩手産あきたこまちなどが挙げられる。米の産地は都道府県名が多いが、さらに細かく区分された産地県内区分や地域名が使われる場合もある。例えば、魚沼産コシヒカリ、長野Aコシヒカリなどが挙げられる。品種は、例えば精白米(うるち)だけでも、200品種以上存在し、吸水のしやすさや糊化のしやすさ、組織の崩れやすさなどの性質はそれぞれ異なる。例えば、魚沼産コシヒカリなどは、非常に組織の柔らかい性質で、米の組織が崩れてベチャつきやすい。また、北海道産米などは、組織の硬い性質で、粒の芯が硬く残ったり、粘りのないご飯になりやすい。
「硬軟質に関わる成分」とは、「硬質米」や「軟質米」などの米の性質の違いに関する成分をいう。例えばアミロース含量やタンパク質含量が挙げられる。でんぷんのアミロース含量やタンパク質含量はご飯の食味に影響を及ぼすことが知られている。精白米(うるち)でんぷんは、アミロースとアミロペクチンとからできており、アミロース含量が低いほど、ご飯の粘りが強くなる傾向がある。また、タンパク質は、細胞壁の内側や細胞内のでんぷん粒の間に顆粒状として存在し、細胞壁の崩壊やでんぷんの糊化、膨潤を妨げるといわれている。例えば、タンパク質含量が低い米の場合には、粒の組織が崩れてベチャつきやすく、タンパク質含量が高い米の場合には、粒の芯が硬く残ったり、粘りのないご飯になりやすい。
「収穫時期」とは、米の収穫の時期をいう。前記収穫時期の情報からは、新米、普通米、古米等の米の鮮度を知ることができる。例えば玄米では、収穫後、時間の経過とともに米質が変化するため、炊飯したご飯の硬さや香り等も変化していくことが知られている。もし、誤って新米を古米の炊飯シーケンスで炊飯すると、柔らかくなり過ぎたり、水っぽくなったりする。また、古米を新米の炊飯シーケンスで炊飯すると、硬くなり過ぎたり香りが悪くなったりして、ご飯のおいしさを損なってしまう場合がある。
「製造日」とは、簡単にいえば米を販売形態化した日であって、例えば精白米、分づき米、胚芽米などの場合は玄米を精米した日、無洗米の場合は、無洗米化処理をした日、玄米の場合は販売形態化した日(例えば、米を袋などに梱包した日)をいう。前記製造日の情報からは、製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの経過期間を知ることができる。例えば精白米では、精米によって糠層を除去するため、精米された時点から急速に酸化、乾燥などによる劣化が進むことが知られている。劣化が進んだ米を炊飯すると、酸化及び乾燥の為に吸水が阻害され、ご飯の粒の中が硬くなることがある。
「読取日」とは、袋梱包された米袋を開封したあとに、読取手段が情報記憶媒体から米質情報を読み取った日をいう。米袋が開封され、空気にさらされたお米は、急速に劣化が進むことが知られている。また、空調設備の整った店頭で保管されている場合に比べて、家庭で保管されている場合においては、温度及び湿度の変化が大きく、さらに急速に劣化が促進することが考えられる。前述のように、劣化が進んだ米を炊飯すると、酸化及び乾燥の為に吸水が阻害され、ご飯の粒の中が硬くなることがある。
「炊飯シーケンス情報テーブル」とは、一つの米質情報、又は複数の米質情報の組み合わせに対して、炊飯シーケンスデータが対応させられている情報テーブル(例えば、図2B、図11C、図13B、図23〜28)をいう。この米質情報には、米の米種、米の産地及び品種、及び米の硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報が含まれていればよい。
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面を参照して説明する。
《実施の形態1》
図1から図9を用いて、本発明の実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置及び炊飯シーケンスの自動選択方法について説明する。図1は、実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置のブロック図を示している。
図1において、実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置100は、情報記憶媒体2に記憶された米の米質情報を読み取り、その米に適した炊飯シーケンスを検索し出力する装置である。情報記憶媒体2の一例としては、米袋に付されたICタグである。情報記憶媒体2には、例えば、米の含水率、米の白度、米の砕米率、米の水浸裂傷粒率、米のタンパク質含量、米のアミロース含量などの数値で表される米質データ、米の収穫時期及び米の製造日の情報、及び米の米種、米の産地及び品種などの非数値情報、の米質情報が予め記憶されている。なお、収穫時期の情報には、収穫年月日を示す情報が含まれているのが好ましいが、少なくとも収穫年度を示す情報が含まれていればよい。ここでは、収穫時期の情報は、収穫年度及び収穫月の情報を示すものとする。
炊飯シーケンス自動選択装置100は、読取装置の一例である読取手段4、演算装置の一例である演算手段6、検索手段8、出力手段10、メッセージ検索手段12、表示手段14、第1の記憶装置の一例である第1の記憶手段16、及び第3の記憶装置の一例である第3の記憶手段18を有している。読取手段4は、情報記憶媒体2に記憶された米質情報を読み取る。演算手段6は、カレンダー機能を有している。演算手段6は、読取手段4で読み取られた収穫時期及び製造日の情報に基づいて、収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの第1の経過期間、及び製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第2の経過期間をそれぞれ演算する。なお、炊飯シーケンスの自動選択日とは、使用者が炊飯シーケンス自動選択装置に、米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動選択するように指示した日をいう。
検索手段8は、前記第1の経過期間の情報、前記第2の経過期間の情報、読取手段4で読み取られた前記米種の情報、及び前記数値で表される米質データに基づいて、第1の記憶手段16が有する複数の情報テーブルを検索する。
第1の記憶手段16には、米質分類テーブル16A及び炊飯シーケンス情報テーブル16Bが予め記憶されている。米質分類情報テーブル16Aには、前記数値で表される複数の米質データと、米の収穫時期からの経過期間の情報と、米の製造日からの経過期間の情報とを、少なくとも一つの閾値により分類分けする、複数の米質分類情報がそれぞれ対応させられている。米質分類情報テーブル16Aは、例えば、図2Aに示したような情報テーブルである。炊飯シーケンス情報テーブル16Bには、読取手段4で読み取られた前記米種の情報と前記複数の米質分類情報の組み合わせとに基づいて、それらに適した炊飯シーケンスデータが対応させられている。米種の情報とは、例えば、精白米(うるち)、精白米(もち)、玄米、分づき米、低アレルゲン米などの機能米、無洗米などの米の種類の情報をいう。炊飯シーケンス情報テーブル16Bは、例えば、図2Bに示したような情報テーブルである。炊飯シーケンス情報テーブル16Bは、例えば、前記米種の情報が精白米(うるち)で、前記複数の米質分類情報が全て「中」であった場合、Bの炊飯シーケンスデータというように、所定の炊飯シーケンスデータが対応させられている情報テーブルである。前記炊飯シーケンスデータとは、例えば図3に示すように、炊飯シーケンスの炊飯工程(主として、前炊き工程、昇温工程、沸騰維持工程、むらし工程)において、通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力などのデータが予め設定されているものである。
検索手段8は、前記米質情報に基づいて、米質分類情報テーブル16Aを検索して複数の米質分類情報を抽出する。検索手段8は、読取手段4で読み取られた米種の情報と、抽出した複数の米質分類情報の組み合わせとに基づいて、炊飯シーケンス情報テーブル16Bを検索して対応する炊飯シーケンスデータを抽出する。出力手段10は、検索手段8で抽出された炊飯シーケンスデータを、メッセージ検索手段12及び炊飯器1の制御手段部に出力する。炊飯器1は、例えば後述する炊飯500Aや炊飯器500Bである。メッセージ検索手段12は、出力手段10が出力する炊飯シーケンスデータに基づいて、第3の記憶手段18が有するメッセージ情報テーブル18Aを検索する。メッセージ情報テーブル18Aには、出力手段10が出力する炊飯シーケンスデータに対して炊飯シーケンスデータに基づく炊飯情報を示すメッセージ情報が対応させられている。なお、炊飯情報とは、炊飯するお米の米質情報や炊飯工程に関する情報である。メッセージ情報の例については後述する。表示手段14は、メッセージ検索手段12が抽出したメッセージ情報及び読取手段4が読み取った米質情報を表示する。
実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置100は、以上のように構成される。
次に、図4を用いて、情報記憶媒体2と読取手段4について詳細に説明する。図4において情報記憶媒体2は米袋31に付されたICタグ32である。ICタグ32は、情報を記憶するICチップ33、及び電力を得て無線通信を行うためのアンテナ34を有している。図4において読取手段4はリーダライターユニット35である。リーダライターユニット35は、コイル状のアンテナにより磁界を発生しICタグ32に電力を供給するリーダライターアンテナ36、及びリーダライターアンテナ36に電流を流しICタグ32との通信を制御するリーダライター37を有している。
以上のように構成される情報記憶媒体2と読取手段4について、読取手段4が情報記憶媒体2の米質情報を読み取る動作について説明する。
まず、米袋31に付されたICタグ32をリーダライター37に近付ける。ICタグ32をリーダライター37に近付ける距離は、使用する周波数やタグの大きさなどに左右されるが、例えば使用周波数が13.56MHzであれば、30cm以内である。ICタグ32がリーダライター37から30cm以内の距離に近付けられると、リーダライター37がリーダライターアンテナ36に電流を流すことにより発生している磁界をアンテナ34が受け、ICチップ33に電力が供給される。これにより、ICタグ32とリーダライター37との通信が開始される。通信が開始されると、リーダライター37は、ICタグ32が有する固有のIDの中の認識用IDを確認し、米のIDであるかを確認する。リーダライター37は、ICタグ32が米のIDであることを確認すると、ICチップ内に記憶されている複数の米質情報を順次読み取っていく。なお、ICタグ32が、例えば食パンに付されたものであり、認識用IDが食パンのIDであった場合は、通信が行われないようになっている。つまり、通信エラーを防止できるようになっている。
以上のようにして、読取手段4は情報記憶媒体2の米質情報を読み取る。
なお、上記では情報記憶媒体2がICタグであることを説明したが、二次元コード(QRコード)であってもよい。この場合について、図5及び図6を用いて説明する。なお、上記と区別するため、この場合の情報記憶手段2を情報記憶手段2’とし、読取手段4を読取手段4’とする。
図5において、情報記憶手段2’は、米袋41に付されたQRコード42である。QRコード42には、図6に示すように、上下左右を判断するために3すみに配置された位置特定セル46(切り出しシンボルとも呼ばれる)、及び黒と白のマス目パターンにより表現され、縦方向と横方向の二方向に情報を持つデータセル47により構成されている。図5において、読取手段4’はバーコードリーダユニット43である。バーコードリーダユニット43は、QRコード42のパターンを画像として読み取るためのCCDカメラ44、及びQRコード42の黒と白のマス目を1、0のデジタル信号に変換するバーコードリーダ45を有している。
以上のように構成される情報記憶媒体2’と読取手段4’について、読取手段4’が情報記憶媒体2’の米質情報を読み取る動作について説明する。
まず、米袋31に付されたQRコード42をCCDカメラ44に近付ける。バーコードリーダ45は、CCDカメラ44を通じてQRコード42のデータを取り込む。バーコードリーダ45は、3すみに配置された位置特定セルにより、QRコード42の位置と上下左右を認識し、データセルの黒と白のマス目パターンをデジタルデータに変換する。例えば、マス目パターンが「黒白黒黒白黒白黒」であれば、「10110101」というデジタル信号に変換する。なお、データセルの色の組み合わせは、バーコードリーダ45が読み取れるものであればよく、白黒に限られるものではない。以上のようにして、読取手段4’は情報記憶媒体2’の米質情報を読み取る。
次に、図1及び図7を参照しつつ、実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法について説明する。図7は、実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法を示すフローチャートである。
まず、読取手段4が情報記憶媒体2から米質情報を読み取る(ステップS1)。演算手段6が、読取手段4より読み取った米質情報の中の収穫時期及び製造日の情報に基づいて前記第1の経過期間及び前記第2の経過期間を演算し、検索手段8に米質情報として出力する(ステップS2)。検索手段8が、読取手段4より読み取った米質情報の中の複数の米質の情報と、演算手段6より出力される前記第1の経過期間及び第2の経過期間の情報とに基づいて、米質分類情報テーブル16Aを検索して対応する複数の米質分類情報を取得する(ステップS3)。検索手段8が、読取手段4より読み取った米質情報の中の米種の情報と、取得した複数の米質分類情報の組み合わせとに基づいて、炊飯シーケンス情報テーブル16Bを検索して対応する炊飯シーケンスデータを取得する(ステップS4)。出力手段10が、取得した炊飯シーケンスデータを出力する(ステップS5)。メッセージ検索手段12が、出力された炊飯シーケンスデータに基づいて、メッセージ情報テーブル18Aを検索して対応するメッセージ情報を取得する(ステップS6)。表示手段14が、取得したメッセージ情報を表示する(ステップS7)。
実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置は、以上のようにして、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動選択する。
次に、表示手段14が表示するメッセージ情報について説明する。図8及び図9は、表示手段14が表示するメッセージ情報の例を示している。
一般に精白米は精米してから1ヶ月以内に使用するのが良いとされている。従って、製造日から30日以上が経過すると早めに使用を促すような表示をするのが良いと考えられる。例えば、製造日が2005月1月16日で現在(炊飯シーケンスの自動選択日)が2005年3月16日であった場合、図8に示すように、「製造日から60日経過しています。早めの使用をおすすめします。」というメッセージ情報を対応させておく。このようにすると使用者は、例えば複数の種類のお米があった場合に、どのお米から使用すれば鮮度の良い状態でおいしいご飯を炊くことができるかを確認することができる。メッセージ情報テーブルに記憶させておくメッセージ情報は、適宜設定すればよいが、図8に示すように、読み取った米質情報から産地及び品種、収穫時期、製造日なども合わせて表示するようにすると、炊飯シーケンス自動選択装置が正確に読み取っているのかを確認することができ、また、米袋をしっかり見なくとも表示手段の画面上で確認することができるので好ましい。
また、米の性質は収穫からの経過期間(第1の経過期間)に応じて変化していく。前記第1の経過期間が3ヶ月未満である米(新米)は組織が柔らかく、含水率も高いため、炊飯前に水に浸す時間は短い方がよいとされている。そこで、例えば収穫時期が2004年10月で、現在(炊飯シーケンスの自動選択日)が2004年11月30日であるなら、図9に示すように、「新米ですのでひたし時間を短めに炊きます。」というメッセージ情報を対応させておく。このようにすると使用者は、どのようしてお米が炊かれるのかを確認することができる。なお、上記のように収穫時期の情報として年月までの情報しか含まれていない場合には、例えばその月の15日に収穫されたものと仮定して演算すればよい。つまり、上記では2004年10月15日に収穫されたものとして、前記第1の経過期間を演算すればよい。
本発明の実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、予め複数の米質情報を記憶した情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
また、実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、収穫時期から炊飯シーケンスの自動選択日までの経過期間(第1の経過期間)を演算する。これにより、例えば、新米(短)、普通米(中)、古米(長)等の米の鮮度も自動的に判定できる。また、製造日から炊飯シーケンスの自動選択日までの経過期間(第2の経過期間)を演算することにより、さらに炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことが可能となる。したがって、米本来のおいしさが引き出されたご飯を炊き上げることができる。
また、実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業を行うことで、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンス及び/又は米質情報等を表示手段14で確認することができる。
《実施の形態2》
図10及び図11を用いて、本発明の実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置及び炊飯シーケンスの自動選択方法について説明する。図10は、実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置のブロック図を示している。実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置200は、検索手段8、第1の記憶手段16に代えて検索手段8a、第1の記憶手段20を有し、さらに調整手段9及び第2の記憶装置の一例である第2の記憶手段22を有する点で実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置100と異なる。それ以外の点については同様であるので、重複する説明は省略する。
図10において、検索手段8aは、演算手段6で演算された前記第1の経過期間の情報、読取手段4で読み取られた前記米種の情報及び前記数値で表される米質データに基づいて、第1の記憶手段20が記憶している各複数の情報テーブルを検索する。
第1の記憶手段20には、成分分類情報テーブル20A、収穫時期からの経過期間分類情報テーブル20B及び炊飯シーケンス情報テーブル20Cが予め記憶されている。成分分類情報テーブル20Aには、図11Aに示したように、硬軟質に関わる成分、例えばアミロース含量のデータとタンパク質含量のデータとをそれぞれ少なくとも一つの閾値で分類分けした情報の組み合わせに対して、例えば、「硬質」、「標準」、「超軟質」などの成分分類情報が対応させられている。例えば、タンパク質含量が6%、アミロース含量が18%である場合、タンパク質含量は「4.5〜7」、アミロース含量は「17〜20」であるので、成分分類情報は「標準」となる。
収穫時期からの経過期間分類情報テーブル20Bには、図11Bに示したように、収穫時期からの経過期間を少なくとも一つの閾値で分類分けした情報に対して、例えば「新米」、「普通米」、「古米」などの収穫時期からの経過期間分類情報が対応させられている。例えば、前記演算手段6で演算された前記第1の経過期間が2ヶ月の場合、前記第1の経過期間は「3ヶ月未満」に分類分けされるので、収穫時期からの経過期間分類情報テーブル20Bは、「短」となる。
炊飯シーケンス情報テーブル20Cには、図11Cに示したように、米の米種の情報と、成分分類情報と、前収穫時期からの経過期間分類情報との組み合わせに基づいて、それらに適した炊飯シーケンスデータが対応させられている。
検索手段8aは、前記米質情報に基づいて、成分分類情報テーブル20Aを検索して成分分類情報を抽出し、収穫時期からの経過期間分類情報テーブル20Bを検索して収穫時期からの経過期間分類情報を抽出する。検索手段8aは、読取手段4で読み取られた前記米種の情報と、抽出した成分分類情報と、収穫時期からの経過期間分類情報との組み合わせに基づいて、炊飯シーケンス情報テーブル20Cを検索して対応する炊飯シーケンスデータを抽出する。
調整手段9は、演算手段6で演算された前記第2の経過期間の情報、前記検索手段8aで抽出した炊飯シーケンスデータ、及び読取手段4より検索手段8aを介して前記複数の米質データを入力する。調整手段9は、前記第2の経過期間及び前記複数の米質データに基づいて、第2の記憶手段22が記憶している調整情報テーブル22Aを検索する。調整情報テーブル22Aには、図11Dに示したように、前記複数の米質データ及び前記第2の経過期間の情報に対して、それぞれ炊飯シーケンスデータの調整データが対応させられている。
調整手段9は、調整情報テーブル22Aから前記調整データを抽出し、その調整データにより、抽出した前記炊飯シーケンスデータを調整する。より詳しくは、調整手段9は、抽出した前記炊飯シーケンスデータの炊飯工程(主として、前炊き、昇温、沸騰維持、むらし)での通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整する。さらに具体的には、例えば、前記第2の経過期間が60日(2ヶ月)であった場合、第2の経過期間60日に対応する調整情報テーブル22Aの調整データが「前炊き工程、時間+1分」であるなら、それに応じて、抽出した前記炊飯シーケンスデータの前炊き工程の時間を1分長くするなどの調整を行う。
実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置200は、以上のように構成される。
次に、図10及び図11Eを参照しつつ、実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法について説明する。図11Eは、実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法を示すフローチャートである。
まず、読取手段4が情報記憶媒体2から米質情報を読み取る(ステップS21)。演算手段6が、読取手段4より読み取った米質情報の中の収穫時期及び製造日の情報に基づいて、前記第1の経過期間及び前記第2の経過期間を演算する(ステップS22)。検索手段8aが、読取手段4より読み取った米質情報の中のアミロース含量及びタンパク質含量のデータに基づいて、成分分類情報テーブル20Aを検索して対応する成分分類情報を取得する(ステップS23)。検索手段8aが、演算手段6より出力された前記第1の経過期間の情報に基づいて、収穫時期からの経過期間分類情報テーブル20Bを検索して対応する収穫時期からの経過期間分類情報を取得する(ステップS24)。検索手段8aが、読取手段4で読み取られた前記米種の情報と、取得した成分前記分類情報及び前記収穫時期からの経過期間分類情報との組み合わせに基づいて、炊飯シーケンス情報テーブル20Cを検索して対応する炊飯シーケンスデータを取得する(ステップS25)。調整手段9が、演算手段6で演算された第2の経過期間の情報及び読取手段4より検索手段8aを介して入力される前記米質データに基づいて、調整情報テーブル22Aを検索して調整データを取得し、それに基づいて、前記取得した炊飯シーケンスデータを調整する(ステップS26)。出力手段10が、調整された炊飯シーケンスデータを出力する(ステップS27)。メッセージ検索手段12が、出力された炊飯シーケンスデータに基づいて、メッセージ情報テーブル18Aを検索して対応するメッセージ情報を取得する(ステップS28)。表示手段14が、取得したメッセージ情報を表示する(ステップS29)。
実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置は、以上のようにして、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動選択する。
本発明の実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、予め複数の米質情報を記憶した情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
また、実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、米質データ(例えば、含水率、白度、砕米率、水浸裂傷粒率など)に応じて、炊飯シーケンスデータの炊飯工程(主として、前炊き工程、昇温工程、沸騰維持工程、むらし工程)における通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力のデータを調整する。これにより、さらに炊飯する米の米質情報にきめ細かに対応した炊飯シーケンスで炊くことが可能となり、炊飯による加熱が米に与えるダメージを最小限に抑えることができるため、米本来のおいしさが引き出されたご飯を炊き上げることができる。
また、実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、検索手段8aが検索した炊飯シーケンスデータに基づいて、調整手段9で炊飯シーケンスデータを調整するので、実施の形態1の炊飯シーケンス自動選択装置に比べて、記憶させておく炊飯シーケンスデータの量が少なくすむ。したがって、記憶容量の小さいものを使用できるので、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
また、実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業を行うことで、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンス及び/又は複数の米質情報等を表示手段14で確認することができる。
《実施の形態3》
図12及び図13を用いて、本発明の実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置について説明する。図12は、実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置のブロック図を示している。実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置300は、検索手段8a、第1の記憶手段20に代えて検索手段8b、第1の記憶手段24を有する点で実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置200と異なる。それ以外の点については同様であるので、重複する説明は省略する。
図12において、検索手段8bは、演算手段6で演算された前記第1の経過期間の情報及び読取手段4で読み取られた米の産地及び品種情報に基づいて、第1の記憶手段24が記憶している複数の情報テーブルを検索する。
第1の記憶手段24には、産地及び品種分類情報テーブル24A、収穫時期からの経過期間分類情報テーブル24B、及び炊飯シーケンス情報テーブル24Cが予め記憶されている。産地及び品種分類情報テーブル24Aには、図13Aに示したよう、米の産地及び品種情報に対して、例えば、「硬質」、「標準」、「超軟質」というような分類で産地及び品種分類情報が対応させられている。例えば米の産地及び品種情報が「新潟産コシヒカリ」であるなら、産地及び品種分類情報は「標準」となる。
収穫時期からの経過期間分類情報テーブル24Bには、演算手段6で演算された前記第1の経過期間の情報に対して収穫時期からの経過期間分類情報が対応させられている。炊飯シーケンス情報テーブル24Cには、図13Bに示したように、前記産地及び品種分類情報及び前記収穫時期からの経過期間分類情報の組み合わせに基づいて、それらに適した炊飯シーケンスデータが対応させられている。
実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置は、以上のように構成される。
次に、図12及び図13Cを参照しつつ、実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法について説明する。図13Cは、実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法を示すフローチャートである。
まず、読取手段4が情報記憶媒体2から米質情報を読み取る(ステップS31)。演算手段6が、読取手段4より読み取った米質情報の中の収穫時期及び製造日の情報に基づいて、前記第1の経過期間及び前記第2の経過期間を演算する(ステップS32)。検索手段8bが、読取手段4より読み取った米質情報の中の米の産地及び品種情報に基づいて、産地及び品種分類情報テーブル24Aを検索して対応する産地及び品種分類情報を取得する(ステップS33)。検索手段8bが、演算手段6より出力される前記第1の経過期間の情報に基づいて、収穫時期からの経過期間分類情報テーブル24Bを検索して対応する収穫時期からの経過期間分類情報を取得する(ステップS34)。検索手段8bが、取得した産地及び品種情報と、収穫時期からの経過期間分類情報との組み合わせに基づいて、炊飯シーケンス情報テーブル24Dを検索して対応する炊飯シーケンスデータを取得する(ステップS35)。調整手段9が、演算手段6で演算された前記第2の経過期間の情報及び読取手段4より検索手段8aを介して入力される前記米質データに基づいて、調整情報テーブル22Aを検索して調整データを取得し、それに基づいて、前記取得した炊飯シーケンスデータを調整する(ステップS36)。出力手段10が、調整された炊飯シーケンスデータを出力する(ステップS37)。メッセージ検索手段12が、出力された炊飯シーケンスデータに基づいて、メッセージ情報テーブル18Aを検索して対応するメッセージ情報を取得する(ステップS38)。表示手段14が、取得したメッセージ情報を表示する(ステップS39)。
実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置は、以上のようにして、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動選択する。
本発明の実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、予め複数の米質情報を記憶した情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の産地及び品種を分類し、その産地及び品種に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
また、実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、前記第1の経過期間を演算することにより、例えば新米(短)、普通米(中)、古米(長)等の米の鮮度も自動的に判定できる。したがって、例えば新米の場合には、柔らかくなり過ぎたり水っぽくなったりすることを防ぎ、古米の場合には、硬くなり過ぎたり香りが悪くなったりするのを防ぐことができる。また、前記第2の経過期間を演算することにより、精米の酸化及び乾燥度合いに応じた適切な炊飯シーケンスで炊くことが可能となる。したがって、米の鮮度に関わらず、年間を通じて、その米を最もおいしく炊き上げることができる。
また、実施の形態3の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業を行うことで、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンス及び/又は米質情報等を表示手段14で確認することができる。
《実施の形態4》
図14及び図15を用いて、本発明の実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置について説明する。図14は、実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置のブロック図を示している。実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置400は、演算手段6、検索手段8a、第1の記憶手段20に代えて、演算手段6a、検索手段8c、第1の記憶手段26を有し、読取情報記憶手段5をさらに有する点で実施の形態2の炊飯シーケンス自動選択装置200と異なる。それ以外の点については同様であるので、重複する説明は省略する。
図14において、自動選択指示部3は、炊飯シーケンス自動選択装置400に、情報記憶媒体2から読取った米質情報に基づいて適した炊飯シーケンスの自動選択を開始するように指示する。自動選択指示部3は、例えば炊飯シーケンス自動選択装置400が炊飯器に搭載される場合には、炊飯器の炊飯ボタンに相当するものである。また、自動選択指示部3は、炊飯シーケンス自動選択装置400に含まれるものであってもよい。
読取情報記憶手段5は、例えば書き換え可能なRAMやEEPROMで構成されている。読取情報記憶手段5は、読取手段4で読取った米質情報と、その米質情報の読取日とを記憶する。読取情報記憶手段5は、自動選択指示部3から炊飯シーケンスの自動選択開始の指示を受けると、記憶した前記米質情報の読取日の情報を演算手段6aに出力し、前記米質情報のデータを検索手段8cに出力する。なお、読取情報記憶手段5は、読取手段4が新たな米質情報を読み取るまで、前記米質情報と読取日とをメモリに記憶し続け、新たな米質情報が読み取られると、そのメモリが書き換えられるようになっている。
演算手段6aはカレンダー機能を有している。演算手段6aは、前記米質情報の読取日から炊飯シーケンスの自動選択日までの第3の経過期間を演算する。検索手段8cは、読取情報記憶手段5より前記米質情報のデータと、演算手段6aより前記第3の経過期間の情報とを入力する。検索手段8cは、前記米質情報の中の米種、産地及び品種、及び硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報と、前記第3の経過期間の情報とに基づいて、記憶手段26に予め記憶されている炊飯シーケンス情報テーブル26Aを検索する。
炊飯シーケンス情報テーブル26Aには、米質情報の中の米種、産地及び品種、及び硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報と、米質情報の読取日からの経過期間の情報とに基づいて、それらに適した炊飯シーケンスデータが対応させられている。検索手段8cは、炊飯シーケンス情報テーブル26Aより、前記情報に対応する炊飯シーケンスデータを抽出し、調整手段9に出力する。
実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置は、以上のように構成される。
次に、図14及び図15を参照しつつ、実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法について説明する。図15は、実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置の炊飯シーケンスの自動選択方法を示すフローチャートである。
まず、読取手段4が、情報記憶媒体2から米質情報を読み取る(ステップS41)。読取情報記憶手段5が、読取手段4より読み取った米質情報の情報と、その米質情報の読取日の情報とを記憶する(ステップS42)。自動選択指示部3が、読取情報記憶手段5に炊飯シーケンスの自動選択開始を指示する(ステップS43)。読取情報記憶手段5が、自動選択指示部3の前記指示により、記憶した前記米質情報の読取日の情報を演算手段6aに出力し、前記米質情報を検索手段8cに出力する。演算手段6aが、前記第3の経過期間を演算する(ステップS44)。検索手段8cが、前記米質情報の中の米種、産地及び品種、及び硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報と、前記第3の経過期間の情報とに基づいて、炊飯シーケンス情報テーブル26Aを検索して対応する炊飯シーケンスデータを取得する(ステップS45)。調整手段9が、読取情報記憶手段5より検索手段8cを介して入力される前記米質情報の中の米質データに基づいて、調整情報テーブル22Aを検索して調整データを取得し、その調整データに基づいて、前記取得した炊飯シーケンスデータを調整する(ステップS46)。出力手段10が、調整された炊飯シーケンスデータを出力する(ステップS47)。メッセージ検索手段12が、出力された炊飯シーケンスデータに基づいて、メッセージ情報テーブル18Aを検索して対応するメッセージ情報を取得する(ステップS48)。表示手段14が、取得したメッセージ情報を表示する(ステップS49)。
実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置は、以上のようにして、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを自動選択する。
本発明の実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、予め複数の米質情報を記憶した情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の産地及び品種を分類し、その産地及び品種に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
また、実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置においては、読取手段4が米質情報を読取った日付を読取情報記憶手段5に記憶させている。そして、前記第3の経過期間を演算し、その演算した情報に基づいて、炊飯シーケンスを検索するように構成されている。これにより、使用者は、米袋を開封した日に読取手段4にその米質情報を読取らせれば、開封日から炊飯シーケンスの自動選択日までの経過期間を考慮した炊飯シーケンスでご飯を炊き上げることができる。したがって、米本来のおいしさがより引き出されたご飯を炊き上げることができる。また、読取情報記憶手段5に前記米質情報を一度記憶させれば、開封した米袋の米を使い切るまで、何度も読取手段4に読み取らせなくてすむ。
また、実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置においては、第1の記憶手段26が炊飯シーケンス情報テーブル26のみを有し、また検索手段8aが検索した炊飯シーケンスデータを調整手段9で調整するように構成されている。これにより、実施の形態2、3の炊飯シーケンス自動選択装置と比べても、記憶させておく炊飯シーケンスデータの量が少なくすむ。つまり、第1の記憶手段26の記憶容量を小さいものにできるので、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、炊飯シーケンスの自動選択にかかる時間も削減することができる。
また、実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置によれば、使用者は、情報記憶媒体2の米質情報を、読取手段4に読み取らすだけの簡単な作業を行うことで、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンス及び/又は米質情報等を表示手段14で確認することができる。
《実施の形態5》
図16から図20を用いて、本発明の実施の形態5の炊飯器について説明する。実施の形に態5の炊飯器は、実施の形態1から実施の形態4のいずれかの炊飯シーケンス自動選択装置を備えたものである。図16及び図17を用いて、まず、情報記憶媒体2がICタグであるとして構成された炊飯器500Aについて説明する。図16は炊飯器500Aの断面図を示し、図17は炊飯器500Aの斜視図を示している。
図16において、ボディ102は、上面が開口している略円筒形をしており、炊飯器本体を形成している。ボディ102の開口部には上枠101が嵌着している。ボディ102内部には、上枠101と保護枠下103とで鍋104収納部が形成されている。保護枠下103は有底円筒状に形成され、保護枠下103上端部は上枠101に固定されている。保護枠下103には内鍋104を誘導加熱するための底内コイル105aが設置されており、内鍋104を誘導加熱している。内鍋104側底面には、内鍋104側底面を誘導加熱するための底外コイル105bが設置されている。内鍋104側面には、内鍋104側面を誘導加熱するための側面加熱ヒータ105cが設置されている。底内コイル105a、底外コイル105b及び側面加熱ヒータ105cに高周波電流を通電し、内鍋104を誘導加熱するための加熱基板106aは、保護枠下103とボディ102内面とで構成される空間に設置されている。この加熱基板106aには、加熱基板106a上に設置される発熱部品(図示していない)を冷却するためのヒートシンク106bが加熱基板106a下方に設置されている。また、このヒートシンク106bを冷却するための冷却用ファンモータ107が、ヒートシンク106bの下方に設けられている。保護枠下103とボディ102内面とで構成される空間の加熱基板106aと対向する側には、電源コード106cが設けられている。電源コード106cは、商用電源に接続され、加熱基板106a及び操作基板119に電力を供給するものである。
内鍋104底面には、内鍋104温度を検知する底センサ108がセンサバネ(図示していない)により付勢されている。この底センサ108は、炊飯及び保温時の鍋温度を検知することで、後述するマイコン120が内鍋104内の被調理物を最適な温度状態に制御できるように設置されている。外蓋109は合成樹脂から形成され、内蓋111及び放熱板112を嵌着している。外蓋109は、そのヒンジ軸110を上枠101の後部に一体形成されたヒンジ部材101aに回動自在に支持されている。
内蓋111の外周下部には、鍋パッキン114が取り付けられている。内蓋111には、炊飯中の蒸気などを本体外部に放出する蒸気通路穴113が設けられており、内鍋104内の空間と外部とを連通するように構成されている。内蓋111の上面には、内蓋111の温度を検知するための蓋センサ118が圧接されている。内蓋111の上方の放熱板112の上面には、放熱板112を誘導加熱するための蓋加熱ヒータ115が設置されている。外蓋109の中央部には、内鍋104からの蒸気を炊飯器本体外部に排出するために蒸気排出穴117が設けられた蒸気筒116が設置されている。
上枠101前部の傾斜面の上部には、操作基板119、マイコン120、ブザー121及び表示板122が設置され、それらを操作パネル128が覆っているマイコン120は、前述した炊飯シーケンス自動選択装置の読取手段4及び表示手段14以外の手段(読取情報記憶手段、演算手段、検索手段、調整手段、出力手段、メッセージ検索手段、及び、第1、第2及び第3の記憶手段)を有している。マイコン120は、検索した炊飯シーケンスデータを、計時手段(図示せず)の計時時間を入力し、且つ底センサ108及び蓋センサ118の温度信号を検知しながら、底内コイル105a、底外コイル105b、側面加熱ヒータ105c及び蓋加熱ヒータ115の通電時間、加熱温度、加熱時間、又は加熱出力を制御するコントローラ(図示せず)に出力する。表示板122は、前述した炊飯シーケンス自動選択装置の表示手段14に相当するものである。操作パネル128の正面右側部には、炊飯ボタン129と切ボタン130とが設けられている。炊飯ボタン129は、押圧されるとマイコン120に炊飯等の動作の開始を指示し、長押し(例えば3秒)されると、マイコン120に主電源のオンを指示する。切ボタン130は、押圧されると各操作の取消等を指示し、長押し(例えば3秒)されるとマイコン120に主電源のオフを指示する。
ボディ102と加熱基板106aとの間の空間部には、リーダライター124及びリーダライターアンテナ125を有するリーダライターユニット126が設置されている。リーダライターユニット126は、前述した炊飯シーケンス自動選択装置の読取手段4に相当するものである。このリーダライターユニット126に近接するボディ102の一部分には、ICタグガイド127が設けられている。ICタグガイド127には、例えば、図17に示すようなメッセージが書かれており、使用者がICタグを何処に近付ければよいのかを知らせるようになっている。ハンドル123は、炊飯器本体を持ち運びできるようにするために、ボディ102に取り付けられたものである。炊飯器500Aは以上のように構成される。
次に、図16及び図18を参照しつつ、実施の形態5の炊飯器500Aの一般的な炊飯工程について説明する。図18は、実施の形態5の炊飯器500Aの炊飯工程を示す図である。実施の形態5の炊飯器500Aの炊飯工程は、主として、前炊き工程、昇温工程、沸騰維持工程、むらし工程からなる。図18において、実線で示したものは、各工程における底センサ108の検知温度の推移を表している。
前炊き工程は、以降の工程において、米の中心部まで十分に糊化できるように、糊化温度よりも低温の水に米をひたして、予め米に吸水させる工程である。また、前炊き工程は、米に含まれるアミラーゼによりでんぷんを分解し、グルコースを生成させ、ご飯の甘味を生み出す工程でもある。このため、前炊き工程では、計時手段(図示せず)の計時時間が第一の所定時間t1(通常20分前後)になるまで、底センサ108の検知温度が第一の所定温度T1(通常55℃前後)になるように、マイコン120が、底内コイル105a及び底外コイル105bに一定周期において所定の時間の通電を繰り返す制御を行う。
計時手段の計時時間が第一の所定時間t1になると、前炊き工程を終了し、昇温工程に移行する。昇温工程では、内蓋111の温度が所定の温度に達したことを蓋センサ118が検知するまで、内鍋104を加熱する。なお、このとき、マイコン120が底内コイル105a及び底外コイル105aの消費電力の制御を行う。
蓋センサ118が内蓋111の温度が所定の温度に達したのを検知すると、昇温工程を終了し、沸騰維持工程に移行する。沸騰維持工程は、米でんぷんを糊化させて、糊化度を50%〜60%程度まで引き上げる工程である。沸騰維持工程では、内鍋104に水がある間は、内鍋104内の米及び水が沸騰状態を維持するように、マイコン120が、底内コイル105a及び底外コイル105bに一定周期において、そのときの炊飯量に応じた時間の通電を繰り返す制御を行う。この通電により、内鍋104内の水が吸水されたり蒸発したりしてなくなると、内鍋104の温度が上昇する。底センサ108の検知温度が、第二の所定温度T2(水の沸点以上)に到達すると、沸騰維持工程を終了し、むらし工程に移行する。
むらし工程は、米でんぷんを糊化させて、糊化度を100%近くまで引き上げる工程である。むらし工程では、図18に示すように、計時手段の計時時間に応じて、内鍋104を加熱しない休止工程と加熱する追炊き工程とを交互に複数回繰り返す。例えば、追炊き工程では、計時手段の計時時間が第三の所定時間t3になるまで、マイコン120が底内コイル105a及び底外コイル105bに一定周期において、そのときの炊飯量に応じた時間の通電を繰り返す制御を行う。
以上のようにして、実施の形態5の炊飯器500Aの炊飯工程が行われる。
次に、図19及び図20を用いて、情報記憶媒体2がQRコードであるとして構成された炊飯器500Bについて説明する。図19は炊飯器500Bの断面図を示し、図20は炊飯器500Bの斜視図を示している。炊飯器500Bは、リーダライターユニット126及びICタグガイド127に代えて、バーコードリーダユニット131を有する点で、前述した炊飯器500Aと異なる。それ以外の点においては、同様であるので重複する説明は省略する。
図19において、バーコードリーダユニット131は、バーコードリーダ132及びカメラ133から構成されている。バーコードリーダ132は、ボディ102と加熱基板106aとの間の空間部に設置されている。カメラ133は、図19及び図20に示すようにバーコードリーダ132に近接するボディ102の一部分に嵌着され、バーコードリーダ132に接続されている。炊飯器500Bは以上のように構成される。
次に、図16、図17、図21及び図22を参照しつつ、本実施の形態5の炊飯器500Aの使用方法について説明する。図21は、袋梱包されたお米を開封し初めて炊飯するときのフローチャート、図22は、2回目以降のフローチャートを示している。以下の説明において、炊飯器500Aは、実施の形態4の炊飯シーケンス検索装置400(図14)の機能を備えているものとする。具体的には、炊飯シーケンス検索装置400の読取手段4はリーダライターユニット126に相当し、自動選択指示部3は炊飯器500Aの炊飯ボタンに相当し、表示手段14は表示板122に相当し、それ以外の手段(読取情報記憶手段5、演算手段6a、検索手段8c、調整手段9、出力手段10、メッセージ検索手段12、及び、第1、第2及び第3の記憶手段18、22、26)はマイコン120が備えるものとする(初回炊飯時のフロー)。
まず、使用者は、これから初めて炊飯する予定のお米を梱包している米袋31に付されたICタグを、炊飯器500AのICタグガイド127(図16及び図17)に近付ける。これにより、ICタグガイド127に近接するリーダライターユニット126が前記ICタグに記憶された米質情報を読み取る(ステップS101)。
次いで、マイコン120がリーダライターユニット126により読み取った米質情報と、その米質情報の読取日の情報とを記憶(書き換え)する(ステップS102)。
次いで、マイコン120は、前記米質情報の中の収穫時期の情報に基づいて、前記第1の経過期間を演算する(ステップS103)。
次いで、マイコン120は、前記米質情報の中の米種、銘柄、及び硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報に基づいて、炊飯シーケンス情報テーブルを検索して、対応する炊飯シーケンスデータを抽出する(ステップS104)。
次いで、マイコン120は、演算した前記第1の経過期間と、前記米質情報の中の複数の米質データとに基づいて、抽出した前記炊飯シーケンスデータを調整する(ステップS105)。
次いで、マイコン120は、調整した前記炊飯シーケンスデータに基づいて、メッセージ情報テーブルを検索して、対応するメッセージ情報を抽出する(ステップS106)。次いで、マイコン120は、抽出したメッセージ情報を出力し、表示板122に表示させる(ステップS107)。
次いで、使用者は、表示板122に表示されたメッセージを確認、あるいは参考にして、前記米質情報を読み取らせたお米を研ぎ、その研いだお米と、そのお米を炊飯するのに要する分量の水とを内鍋104内に収容する。次いで、使用者は、この内鍋104をボディ102内部の上枠101と保護枠下103とで形成される鍋104収納部に収納し、炊飯ボタン129を押圧する(ステップS108)。
ここでもし、表示板122に表示されたメッセージ情報の内容にエラーが有るために、又はメッセージ情報の確認のみでその時に炊飯を実行しないために、使用者が切ボタン130を押圧した場合には、マイコン120は初回炊飯時のフローを終了させる(ステップS109)。なお、表示板122に表示されたメッセージ情報の内容にエラーが有った場合、使用者は米袋31に付されたICタグを再度、炊飯器500AのICタグガイド127に近付けて、リーダライターユニット126に米質情報を読み取らせるなどの操作を行えばよい。
ステップ107の終了後、炊飯ボタン129が押圧(ステップS108)されたとき、マイコン120は、調整した前記炊飯シーケンスデータを前記コントローラ(図示せず)に出力し、炊飯工程を開始させる(ステップS110)。
以上により、初回炊飯時のフローが終了する。
(2回目以降の炊飯時のフロー)
まず、使用者は、炊飯器500Aの操作パネル128にある炊飯ボタン129を押圧する(ステップS201)。炊飯ボタン129が押圧されたとき、マイコン120が、前回記憶した、リーダライターユニット126により読み取った米質情報と、その米質情報の読取日の情報とを読み出す(ステップS202)。
次いで、前記米質情報と前記米質情報の読取日の情報とに基づいて、前記第1の経過期間及び前記第3の経過期間を演算する(ステップS203)。
次いで、マイコン120は、前記米質情報の中の米種、銘柄、及び硬軟質に関わる成分のいずれか一つの情報と、演算した前記第3の経過期間の情報に基づいて、炊飯シーケンス情報テーブルを検索して、対応する炊飯シーケンスデータを抽出する(ステップS204)。
次いで、マイコン120は、演算した前記第1の経過期間と、前記米質情報の中の複数の米質データとに基づいて、抽出した前記炊飯シーケンスデータを調整する(ステップS205)。
次いで、マイコン120は、調整した前記炊飯シーケンスデータに基づいて、メッセージ情報テーブルを検索して、対応するメッセージ情報を抽出する(ステップS206)。次いで、マイコン120は、抽出したメッセージ情報を出力し、表示板122に表示させる(ステップS207)。
次いで、使用者は、表示板122に表示されたメッセージ情報を確認、あるいは参考にして、前記米質情報を読み取らせたお米を研ぎ、その研いだお米と、その米を炊飯するのに要する分量の水とを内鍋104内に収容する。次いで、使用者は、この内鍋104をボディ102内部の上枠101と保護枠下103とで形成される鍋104収納部に収納し、炊飯ボタン129を押圧する(ステップS208)。
ここでもし、表示板122に表示されたメッセージ情報の内容にエラーが有るために、又はメッセージ情報の確認のみでその時に炊飯を実行しないために、使用者が切ボタンを押圧した場合には、マイコン120は2回目以降の炊飯時のフローを終了させる(ステップS209)。なお、表示板122に表示されたメッセージ情報の内容にエラーが有った場合、使用者は、米袋31に付されたICタグを再度、炊飯器500AのICタグガイド127に近付けて、リーダライターユニット126に米質情報を読み取らせるなどの操作(ステップS101に戻る)を行えばよい。
ステップ209の終了後、炊飯ボタン129が押圧(ステップS208)されたとき、マイコン120は、調整した前記炊飯シーケンスデータを前記コントローラ(図示せず)に出力し、炊飯工程を開始させる(ステップS210)。以上により、2回目以降の炊飯時のフローが終了する。
本発明の実施の形態5の炊飯器によれば、使用者は、ICタグをリーダライターユニット126に、QRコードをバーコードリーダユニット131に読み取らすだけの簡単な作業で、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを抽出することができる。したがって、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスで炊くことができる。また、使用者が自ら、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンスを選択することがないので、使用者による誤操作の可能性を無くすことができる。
また、実施の形態5の炊飯器によれば、使用者は、ICタグをリーダライターユニット126に、QRコードをバーコードリーダユニット131に読み取らすだけの簡単な作業を行うことで、炊飯する米の米質情報に適した炊飯シーケンス及び/又は米質情報等を表示板122で確認することができる。
なお、上述した実施の形態1から実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置では、炊飯する米の米質情報により適した炊飯シーケンスを選択できるように、複数の米質情報に対応した複数の情報テーブルを用意したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、情報記憶媒体2には、米種、産地及び品種、又は硬軟質に関わる成分のいずれか一つの米質情報が記憶されておればよく、炊飯シーケンス自動選択装置には、その情報に対応した情報テーブルを用意すればよい。例えば、米質情報の中に米種の情報のみが含まれているとした場合、炊飯シーケンス情報テーブルは、図23に示したようになる。また、その米質情報にさらに収穫時期からの経過期間の情報が含まれている場合、炊飯シーケンス情報テーブルは、図24に示したようになる。同様にして、米質情報の中に産地及び品種、又は硬軟質に関わる成分の情報が含まれているとした場合、図25〜図28に示したようになる。その様に構成すれば、記憶容量の小さいものを使用でき、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
また、上述した実施の形態1から実施の形態4の炊飯シーケンス自動選択装置は、炊飯器に搭載されるものに限定されるものではない。例えば、単一の装置であってもよいし、他の装置に組み込まれてもよい。
また、上記収穫時期からの経過期間は、上記製造日からの経過期間よりも長くなるはずである。したがって、上記収穫時期からの経過期間が上記製造日からの経過期間より、短かった場合には、読み取りエラーが表示部に表示させるように構成してもよい。
また、上述の情報記憶媒体2は、ICタグ、QRコードに限定されるものではなく、記憶容量の大きい外部情報記憶媒体であるSDカードやフラッシュカード、メモリースティックなどでもよい。
上記において、発明をある程度の詳細さをもって好適な形態について説明したが、この好適形態の現開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各要素の組み合わせや順序の変化は請求された発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。