JP5680239B2 - 炊飯器 - Google Patents
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そこで、従来、「銘柄選択手段(米の銘柄を硬質、軟質などの米の性質により「標準」群、「標準よりも硬質」群、「標準よりも軟質」群の少なくとも3段階の銘柄群に分類した中から1種類を選択する)によって米の銘柄を選択し、この銘柄選択手段の選択に基づいて各銘柄群に適した炊飯シーケンスを設定し、炊飯工程の制御を行なう」炊飯器が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
また、吸水判断手段が米の吸水のしやすさを判断するので、米の吸収のしやすさに影響を及ぼす特性(例えば、品種、生産地、新米・古米の別など)に関する情報を炊飯前に予め使用者が設定する必要がない。このため、使用者が必要な設定を行う手間を省くことができるとともに、上記した特性が不明な場合でも安定した炊き上がりを実現できる。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る炊飯器の構成を示す断面模式図、図2は実施の形態1の炊飯器における含水率検知手段のブロック構成図、図3は実施の形態1の炊飯器における吸水判断手段のブロック構成図である。
鍋底温度センサー4は、例えばサーミスタからなる。
本実施の形態1に係る含水率検知手段15は、米高さセンサー21と、基準米高さ記憶手段22と、米高さ比較手段23と、含水率判断手段24とを備える。この含水率検知手段15は、含水率が高くなるほど米が膨らんで鍋状容器5に収容された米の上面が高くなる、ということを利用して米の含水率を検知するものである。米高さ比較手段23及び含水率判断手段24は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
基準米高さ記憶手段22には、炊飯器で炊飯可能な所定単位の各合数の米が適正量の水に浸かって鍋状容器5の中に入れられている画像であって、その米の含水率がそれぞれ15、19、23、27、31、35、39%であるときの基準画像データが格納されている。
制御手段8により含水率検知手段15に通電されると、照明手段212が鍋状容器5内を照らし、CCDイメージセンサー211が鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影する。
次に、米高さ比較手段23は、米高さセンサー21が撮影した画像と基準米高さ記憶手段22が記憶している基準画像データとを比較する。このようにすることで、現在の米の上面高さH1と基準画像データに記録されている米の上面高さH2とを比較することができる。
そして、この比較結果に基づいて、含水率判断手段24は、現在の米の上面高さH1とほぼ同一となる基準画像データを選び出し、その基準画像データの含水率を、現在の米の含水率Wであると判断する。
基準含水率記憶手段31には、米の炊飯中の含水率データが、基準データとして格納されている。本実施の形態1では、炊飯工程として、予熱工程、昇温工程、本炊き工程、及び蒸らし工程を順に行うが(後述する)、基準含水率記憶手段31には、各工程を開始してから所定時間ごとの含水率のデータが、基準含水率データとして格納されている。
含水率比較手段32は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
まず、所定のタイミングで制御手段8が吸水判断手段16に通電する。そして、含水率検知手段15が、検知した含水率Wの情報を吸水判断手段16に送る。また、制御手段8が、現時点が炊飯工程におけるどの工程なのか(すなわち、予熱工程、昇温工程、本炊き工程、蒸らし工程のいずれなのか)という情報を吸水判断手段16に送る。さらに、時間計測手段7が、現在実行中の工程が開始してからどのくらい時間が経過しているのか、という経過時間情報を吸水判断手段16に送る。
次に、含水率比較手段32が、送られた情報に基づいて、基準含水率記憶手段31の中から、現在実行中の炊飯工程が同じで、かつ、その工程が開始してからの経過時間が同じ(近似を含む)である基準含水率を選び出す。そして、検知された含水率Wと、選び出した基準含水率とを比較する。検知された含水率Wが基準含水率よりも大きい場合は、鍋状容器5に収容されている米は吸水しやすい米であると判断する。検知された含水率Wが基準含水率以下である場合は、鍋状容器5に収容されている米は吸水しにくい米であると判断する。
図4は、実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程を示すフローチャートである。また、図5は炊飯中の鍋状容器5の内部温度及び鍋底温度の推移例を示すグラフである。図5では、炊飯工程の各工程が進むにつれて内部温度と鍋底温度がどのように変化するかを示している。以下、実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程の動作を、適宜図5を参照しつつ、図4に沿って説明する。
予熱工程は、鍋状容器5内の被加熱物を米の糊化温度(60〜70℃)以下の温度に保持し(図5参照)、米の吸水を促す工程である。予熱工程の時間が長く、被加熱物の温度が高く保持されるほど、吸水が進んで米の含水率は高くなる。予熱工程終了までに含水率が約30%前後となることが望ましい。また、被加熱物を米の糊化温度(60〜70℃)以下の温度に保持することで米に内在する酵素の活性が高まり、デンプン分解酵素により甘み成分となる糖の生成と、タンパク質分解酵素により旨味成分となるアミノ酸の生成が促進される。そのため、予熱工程時間が長いほど酵素反応が起こる時間が長くなり、美味しさ向上につながる糖やアミノ酸などの呈味成分が増える。
時間計測手段7により、経過時間tが予熱工程時間Tの初期値である所定時間T0に達したと検知されると(S103)、制御手段8は含水率検知手段15を駆動し、前述したようにして米の含水率Wを検知する(S104)。検知された含水率Wに基づき、吸水判断手段16は米の吸水のしやすさを判断し(S105)、吸水しやすい米であると判断した場合には、予熱工程時間TをT1と設定する(S106)。時間計測手段7により、経過時間tが予熱工程時間T1に達したと検知されると(S107)、昇温工程1(S200)に進む。また、ステップS105において、吸水しにくい米であると判断した場合には予熱工程時間TをT1よりも長い時間であるT2と設定する(S108)。時間計測手段7により、経過時間tが所定時間T2に達したと検知されると(S109)、昇温工程2(S201)に進む。
昇温工程は、予熱工程終了後から内部温度センサー14が鍋状容器5内が沸騰したことを検知するまでの間の工程である(図5参照)。昇温工程における加熱量が小さいほど、沸騰に至るまでの時間が長くなってその間に米の吸水が進む。
すなわち、ステップS105において判断した鍋状容器5内の米の吸水のしやすさに応じて昇温工程での電力Pを変化させており、吸水しにくい米を炊飯する場合の方が電力Pが小さくなるように設定して沸騰までの時間を長くしている。このように電力Pを設定することで、昇温工程で米の吸水状態を調整することができる。なお、所定の電力P1、P2は、昇温工程終了時において米の含水率Wが望ましい値となるような値に予め設定されている。
本炊き工程が終了すると、蒸らし工程(S400)に進む。
また、吸水しやすい米であると判断した場合には、吸水しにくい米よりも予熱工程時間Tを短くし、必要以上に予熱工程を行わないようにした。このため、炊飯時間の短縮になるとともに、予熱工程での加熱の消費電力を低減できる。
吸水が進みにくい米であると判断した場合には、吸水しやすい米よりも予熱工程時間を長くした。このため、米の吸水を促進することができるとともに、酵素反応が起こる時間を長くすることができ、糖やアミノ酸などの呈味成分を増加させて良好な食味の飯を得ることができる。
そして、図4のステップS105で判断した米の吸水のしやすさに応じて、予熱工程時間TをT1またはT2に設定するので、炊飯終了までに要する時間を大まかに予測することができる。
米の吸水のしやすさに影響を及ぼす特性は、前述のとおり品種、生産地、新米・古米の別など様々なものがあり、例えば古米であれば吸水しにくいということが知られている。しかし、古米であってもその米が割れ米であれば、割れた部分というのは吸水が進みやすいため、結果として通常の米に比べて吸水しやすいものとなりうる。このため、吸水のしやすさを判断するときに、例えば新米、古米や米の銘柄などの使用者が設定した情報だけで吸水のしやすさを判断すると、誤った判断となる可能性がある。しかし、本実施の形態1によれば、鍋状容器5内の米の含水率Wに基づいて、米の吸水のしやすさを判断するので、より正確に米の吸水のしやすさを判断できる。
前述の実施の形態1では、含水率検知手段15により検知された含水率Wの情報から、吸水判断手段16が米の吸水のしやすさを判断した。本実施の形態2では、タンパク質含有量が多い米は吸水しにくいという特性を有することを利用し、米のタンパク質含有量を検知し、検知した米のタンパク質含有量に基づいて米の吸水のしやすさを判断する例を説明する。
なお、本実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述の図1〜図4と同一または相当するものには同一の符号を付す。
図6において、吸水判断手段16Aは米のタンパク質量を測定することができるタンパク質量測定手段33と、タンパク質量比較手段34を備えている。
タンパク質量測定手段33は、近赤外分光方式でタンパク質量の測定を行う装置であり、例えば、近赤外域の光を発する光源を備えていて、光源からの光を米に照射し、米からの反射光あるいは透過光に基づいて米のタンパク質量を測定する。なお、タンパク質量測定手段33の構成はこれに限定されるものではなく、任意の構成及び方法を用いることができる。タンパク質量測定手段33によって検知されたタンパク質量の情報は、タンパク質量比較手段34に送られる。
タンパク質量比較手段34は、タンパク質量測定手段33によって検知されたタンパク質量が所定の値以下であると、鍋状容器5内の米は吸水しやすい米であると判断し、所定の値を超えていれば吸水が進みにくい米であると判断する。
まず、所定量の米とその米量に応じた水の入った鍋状容器5を本体1内の容器カバー2に収納して、外蓋10aを閉じ、操作/表示部13の炊飯開始スイッチ(図示せず)を押すと炊飯動作が開始される。
制御手段8は、タンパク質量測定手段33を駆動して鍋状容器5内の米のタンパク質量を測定させ、さらに、吸水判断手段16Aを駆動して米のタンパク質量に基づいて米の吸水のしやすさを判断させる(S112b)。
ステップS112bにおいて吸水しやすい米であると判断した場合には、予熱工程における加熱温度(以下、予熱工程温度Cと称する)として所定温度C1を設定し、加熱を開始する(S113)。
時間計測手段7により、経過時間tが予熱工程時間Tの初期値である所定時間T0に達したと検知されると(S114)、制御手段8は含水率検知手段15を駆動し、実施の形態1で述べたようにして米の含水率Wを検知する(S115)。そして、米の含水率Wが所定の含水率Waよりも小さいか判定し(S115a)、含水率Wが所定の含水率Waよりも小さいと判断した場合には、経過時間計測手段(図示せず)が所定の経過時間t2の計測を開始する(S115b)。この間、予熱工程での加熱が続けられることとなる。そして、経過時間t2が所定の単位時間T3に達しているか判断し(S115c)、所定の単位時間T3が経過したら含水率Wを検知する(S115)。すなわち、所定の単位時間T3ごとに米の含水率Wを検知する。そして、米の含水率Wが所定の含水率Waに達するまで予熱工程での加熱を続け、含水率Wが所定の含水率Waに達したと判定されると(S115a)、昇温工程1(S200)に進む。
時間計測手段7により、経過時間tが予熱工程時間Tの初期値である所定時間T0に達したと検知されると(S117)、制御手段8は含水率検知手段15を駆動し、前述したようにして米の含水率Wを検知する(S118)。そして、米の含水率Wが所定の含水率Waよりも小さいか判定し(S118a)、含水率Wが所定の含水率Waよりも小さいと判断した場合には、経過時間計測手段(図示せず)が所定の経過時間t2の計測を開始する(S118b)。この間、予熱工程での加熱が続けられることとなる。そして、経過時間t2が所定の単位時間T3に達しているか判断し(S118c)、所定の単位時間T3が経過したら含水率Wを検知する(S118)。そして、米の含水率Wが所定の含水率Waに達するまで予熱工程での加熱を続け、含水率Wが所定の含水率Waに達したと判定されると(S118a)、昇温工程2(S201)に進む。
ステップS200の昇温工程1から炊飯終了まで、ステップS201の昇温工程2から炊飯終了までは実施の形態1と同様である。
なお、所定の時間T0、T3、及び温度C1、C2は、予熱工程終了時において米の含水率Wが望ましい値(例えば約30%前後)となるような値に予め設定されている。
また、吸水が進みにくい米であると判断した場合には、吸水しやすい米よりも予熱工程の加熱温度を高くするようにした。このため、米の吸水を促進することができ、予熱工程終了時において米の含水率Wが望ましい値(例えば約30%前後)となるまでに要する時間を短くすることができ、炊飯時間の短縮になる。
また、米の吸水のしやすさだけでなく、検知した含水率Wに基づいて予熱工程時間を制御しているので、さらに炊き上がりの米飯の状態を安定させることができ、美味しい米飯を使用者に提供することができる。
Claims (3)
- 本体と、
前記本体に収容される鍋状容器と、
前記鍋状容器の開口部を覆う蓋と、
前記鍋状容器を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段を駆動制御して予熱工程と昇温工程とを含む炊飯工程を実行する制御手段と、
米のタンパク質含有量を検出するタンパク質量測定手段と、
前記タンパク質量測定手段が検出した前記鍋状容器内の米のタンパク質量に基づいて当該米の吸水のしやすさを判断する吸水判断手段と、を備え、
前記制御手段は、前記吸水判断手段により判断された米の吸水のしやすさに応じて、前記予熱工程の時間を制御することを特徴とする炊飯器。 - 本体と、
前記本体に収容される鍋状容器と、
前記鍋状容器の開口部を覆う蓋と、
前記鍋状容器を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段を駆動制御して予熱工程と昇温工程とを含む炊飯工程を実行する制御手段と、
米のタンパク質含有量を検出するタンパク質量測定手段と、
前記タンパク質量測定手段が検出した前記鍋状容器内の米のタンパク質量に基づいて当該米の吸水のしやすさを判断する吸水判断手段と、を備え、
前記制御手段は、前記吸水判断手段により判断された米の吸水のしやすさに応じて、前記予熱工程での加熱温度及び前記昇温工程において前記加熱手段に供給する電力のいずれかまたは両方を制御することを特徴とする炊飯器。 - 米の含水率を検知する含水率検知手段を備え、
前記予熱工程中に米の含水率が閾値に達したことを前記含水率検知手段が検知すると、前記制御手段は、前記昇温工程に移行することを特徴とする請求項2に記載の炊飯器。
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