JP5367125B2 - 炊飯器 - Google Patents

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Description

本発明は、米等の食品を入れた鍋状容器を本体内に収容して加熱調理する炊飯器に関する。
美味しい米飯を炊くためには、炊飯前に米に十分に吸水させる必要がある。吸水が不十分な米は芯の残った米飯になりやすいためである。そこで炊飯器の炊飯工程には、沸騰させる前に鍋状容器内を米の糊化温度(60〜70℃)以下の温度に保持し、米の吸水を促す予熱工程と呼ばれる工程が設けられている。一般に多く流通している米の場合、精白米の状態では含水率は約15%であるが、予熱工程終了時には吸水が進んで含水率が約30%前後となり、炊き上がり時には含水率が60〜65%となることで美味しいご飯となる。
しかし、米の品種や生産地、保存状態、新米・古米の別、品質によって、米の吸水のしやすさが異なる。ある一定の時間及び温度で予熱工程を行った場合でも、用いた米によっては吸水が不十分であったり、過剰であったりする。米の吸水が不十分な場合、例えば沸騰を開始した段階でも含水率が35%に満たない場合は、炊き上がりのご飯に芯が残る。また、米の吸水が過剰な場合、例えば予熱工程終了時に米の含水率が50%を超える場合は、沸騰を開始する段階で米に吸収されていない水がほとんどない状態になってしまうため、鍋状容器全体に水分が均等に行き渡らなくなり、炊きむらを生じることがある。炊きむらが生じたときは、例えば、鍋状容器内の底付近のご飯は軟らかくなりすぎてしまう一方で、上部のご飯は硬い生の状態で炊き上がってしまうことがある。
このように、米の吸水というのは良い食味の米飯を得るために重要な項目である。
そこで、従来、「制御手段3は、浸漬時間計測手段5から入力される米の浸漬時間と生産地選択手段7により選択される米の生産地により、炊飯開始後に行われる米に吸水させる吸水工程の時間を調整」する炊飯器が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−75322号公報(要約、図1)
しかしながら、特許文献1に記載の炊飯器では、使用者が米の生産地をわざわざ選択する手間がかかる上に、使用者が米の生産地を知らない場合は吸水工程の時間を最適に調整することができなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、使用者に手間をかけさせることなく、安定的に美味しく炊飯することができる炊飯器を提供するものである。
本発明に係る炊飯器は、本体と、前記本体に収容される鍋状容器と、前記鍋状容器の開口部を覆う蓋と、前記鍋状容器を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を駆動制御して予熱工程と昇温工程とを含む炊飯工程を実行する制御手段と、米の含水率を検知する含水率検知手段とを備え、前記含水率検知手段は、前記蓋が閉じられてから昇温工程で沸騰を検知するまでの間に少なくとも1回は米の含水率を検知し、前記制御手段は、前記含水率検知手段により検知された米の含水率に応じて前記予熱工程での加熱温度及び前記昇温工程の電力の少なくとも一方を調整するものである。
本発明によれば、含水率検知手段は、蓋が閉じられてから昇温工程で沸騰を検知するまでの間に少なくとも1回は米の含水率を検知し、制御手段は、含水率検知手段により検知された米の含水率に応じて予熱工程での加熱温度及び昇温工程の電力の少なくとも一方を調整する。このため、炊き上がった米飯に芯が残ったり炊きむらが生じたりするのを抑制することができる。
また、含水率検知手段が米の含水率を検知するので、米の吸収のしやすさに影響を及ぼす特性(例えば、品種、生産地、新米・古米の別など)に関する情報を炊飯前に予め使用者が設定する必要がない。このため、使用者が必要な設定を行う手間を省くことができるとともに、上記した特性が不明な場合でも安定した炊き上がりを実現できる。
実施の形態1に係る炊飯器の構成を示す断面模式図である。 実施の形態1に係る炊飯器の含水率検知手段のブロック構成図である。 実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る炊飯中の鍋状容器の内部温度及び鍋底温度の推移を示すグラフである。 実施の形態2に係る炊飯器の炊飯工程の動作を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る炊飯器の炊飯工程の動作を示すフローチャートである。 実施の形態4に係る炊飯器の炊飯工程の動作を示すフローチャートである。 実施の形態5に係る炊飯器の含水率検知手段のブロック構成図である。 実施の形態5に係る鍋状容器内の炊飯物の状態を示す断面模式図である。
以下、本発明に係る炊飯器の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る炊飯器の構成を示す断面模式図、図2は実施の形態1の炊飯器における含水率検知手段のブロック構成図である。
図1において、炊飯器100は、例えば外観が有底筒状に形成された本体1と、外蓋10aと内蓋10bとで構成される蓋体10とを備える。本体1は、容器カバー2と、加熱手段として加熱コイル3と、鍋底温度センサー4と、蓋体を開閉自在に支持するヒンジ部6と、制御手段8と、を備えている。なお、加熱手段として、加熱コイル3に代えてシーズヒーターを設けてもよい。
容器カバー2は、有底筒状に形成されていて、その内部に鍋状容器5が着脱自在に収容される。容器カバー2の底部中央には、鍋底温度センサー4を挿入させる孔部2aが設けられている。
鍋底温度センサー4は、例えばサーミスタからなる。
外蓋10aは、上面に操作/表示部13が設けられているとともに、内蓋10bまで貫通するカートリッジ12が着脱自在に取り付けられている。このカートリッジ12には、炊飯中に発生する蒸気圧に応じて上下動する弁を備えた蒸気取入口12aと、蒸気取入口12aの弁を通過した蒸気を外部へ排出する蒸気排出口12bとが設けられている。また、外蓋10aの内側(内蓋10b側)には、含水率検知手段15が配置されている。
内蓋10bは、外蓋10aの本体1側の面に係止材11を介して取り付けられている。内蓋10bの周縁部には、鍋状容器5の上端部外周に形成されたフランジ部5aとの密閉性を確保するためのシール材の蓋パッキン9が取り付けられている。また、内蓋10bには、鍋状容器5内の温度を検知する例えばサーミスタからなる内部温度センサー14が取り付けられている。
制御手段8は、鍋底温度センサー4、操作/表示部13、及び含水率検知手段15からの出力に基づいて加熱コイル3へ通電する高周波電流を制御するほか、炊飯器の動作全般を制御する。制御手段8は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
図2は、含水率検知手段15を説明する機能ブロック図である。
本実施の形態1に係る含水率検知手段15は、米高さセンサー21と、基準高さ記憶手段22と、米高さ比較手段23と、含水率判断手段24とを備える。この含水率検知手段15は、含水率が高くなるほど米が膨らんで鍋状容器5に収容された米の上面が高くなる、ということを利用して米の含水率を検知するものである。米高さ比較手段23及び含水率判断手段24は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
米高さセンサー21は、撮影手段であるCCDイメージセンサー211と、例えばLEDからなる照明手段212とを有する。図1に示すように、米高さセンサー21は、CCDイメージセンサー211が鍋状容器5の内壁面を撮影することができるように、内蓋10bを貫通した状態で配置されている。照明手段212は、CCDイメージセンサー211の被写体である鍋状容器5の内壁面を照らすことができるよう配設されており、蓋体10を閉じた状態でもCCDイメージセンサー211が鮮明な画像を撮影できるようにしている。
基準米高さ記憶手段22には、炊飯器で炊飯可能な所定単位の各合数の米が適正量の水に浸かって鍋状容器5の中に入れられている画像であって、その米の含水率がそれぞれ15、19、23、27、31、35、39%であるときの基準画像データが格納されている。
このような構成の含水率検知手段15による、含水率Wの検知処理を説明する。
制御手段8により含水率検知手段15に通電されると、照明手段212が鍋状容器5内を照らし、CCDイメージセンサー211が鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影する。
次に、米高さ比較手段23は、米高さセンサー21が撮影した画像と基準高さ記憶手段22が記憶している基準画像データとを比較する。このようにすることで、現在の米の上面高さH1と基準画像データに記録されている米の上面高さH2とを比較することができる。
そして、この比較結果に基づいて、含水率判断手段24は、現在の米の上面高さH1とほぼ同一となる基準画像データを選び出し、その基準画像データの含水率を、現在の米の含水率Wであると判断する。
次に、本実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程の動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程を示すフローチャートである。また、図4は炊飯中の鍋状容器5の内部温度及び鍋底温度の推移例を示すグラフである。図4では、炊飯工程の各工程が進むにつれて内部温度と鍋底温度がどのように変化するかを示している。以下、実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程の動作を、適宜図4を参照しつつ、図3に沿って説明する。
まず、所定量の米とその米量に応じた水を入れた鍋状容器5を本体1内の容器カバー2に収納して、外蓋10aを閉じ、操作/表示部13の炊飯開始スイッチを押して炊飯開始の動作指示を行うと、炊飯工程が開始される。図3と図4に示すように、本実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程は、予熱工程(S100)、昇温工程(S200)、本炊き工程(S300)、及び蒸らし工程(S400)により構成される。
炊飯工程は、予熱工程から始まる(S100)。
予熱工程は、鍋状容器5内の被加熱物を米の糊化温度(60〜70℃)以下の温度に保持し(図4参照)、米の吸水を促す工程である。予熱工程の時間が長く、被加熱物の温度が高く保持されるほど、吸水が進んで米の含水率は高くなる。予熱工程終了までに含水率が約30%前後となることが望ましい。また、被加熱物を米の糊化温度(60〜70℃)以下の温度に保持することで米に内在する酵素の活性が高まり、デンプン分解酵素により甘み成分となる糖の生成と、タンパク質分解酵素により旨味成分となるアミノ酸の生成が促進される。そのため、予熱工程時間が長いほど酵素反応が起こる時間が長くなり、美味しさ向上につながる糖やアミノ酸などの呈味成分が増える。
予熱工程を開始すると、時間計測手段(図示せず)により予熱の経過時間tが計測され(S101)、加熱が開始される(S102)。
時間計測手段により、経過時間tが予熱工程時間Tの初期値である所定時間T0に達したと検知されると(S103)、制御手段8は含水率検知手段15を駆動し、前述したようにして米の含水率Wを検知する(S104)。
そして、米の含水率Wが所定の含水率W1よりも小さいか判定し(S105)、含水率Wが所定の含水率W1よりも小さい場合には、炊飯する米は吸水が進みにくい米であると判断して、予熱工程時間TをT1と設定する(S106)。時間計測手段により、経過時間tが予熱工程時間T1に達したと検知されると(S107)、昇温工程(S200)に進む。また、ステップS105において、含水率検知手段15により検知された含水率Wが所定の含水率W1以上であると判定した場合には、炊飯する米は吸水が進みやすい米であると判断して、予熱工程時間TをT1よりも短い時間であるT2と設定する(S108)。時間計測手段により、経過時間tが所定時間T2に達したと検知されると(S109)、昇温工程(S200)に進む。
すなわち、ステップS105での米の含水率Wに応じて予熱工程時間Tを変化させており、含水率Wが小さい場合の方が予熱工程時間をより長く設定するようにしている。このように予熱工程時間Tを設定することで、予熱工程での米の含水率Wを調整することができる。なお、所定の含水率W1、及び時間T0、T1、T2は、予熱工程終了時において米の含水率Wが望ましい値(例えば約30%前後)となるような値に予め設定されている。
次に、昇温工程について説明する。
昇温工程は、予熱工程終了後から内部温度センサー14が鍋状容器5内が沸騰したことを検知するまでの間の工程である(図4参照)。昇温工程における加熱量が小さいほど、沸騰に至るまでの時間が長くなってその間に米の吸水が進む。
昇温工程が開始されると(S200)、含水率検知手段15は米の含水率Wを検知し(S201)、含水率Wが所定の含水率W2よりも小さいか判定する(S202)。
米の含水率Wが所定の含水率W2よりも小さい場合、制御手段8は昇温工程において加熱コイル3の電力PがP1となるよう設定して鍋状容器5を加熱する(S203)。そして、内部温度センサー14が沸騰を検知すると(S204)、本炊き工程(S300)に進む。また、ステップS202において、米の含水率Wが所定の含水率W2以上である場合、制御手段8は昇温工程の電力PをP1よりも大きいP2に設定して鍋状容器5を加熱する(S205)。そして、内部温度センサー14が沸騰を検知すると(S206)、本炊き工程(S300)に進む。
すなわち、ステップS202での米の含水率Wに応じて昇温工程での電力Pを変化させており、米の含水率Wが小さいときの方が電力Pが小さくなるように設定して沸騰までの時間を長くしている。このように電力Pを設定することで、昇温工程で米の含水率Wを調整することができる。なお、所定の含水率W2、及び電力P1、P2は、昇温工程終了時において米の含水率Wが望ましい値となるような値に予め設定されている。
次に、本炊き工程について説明する。米を糊化させるには98℃以上を20分間保つことが必要であるため、本炊き工程では98℃以上を保持し(図4参照)、鍋状容器5内の被加熱物が焦げ付かないような入力で加熱する。
本炊き工程が終了すると、蒸らし工程(S400)に進む。
蒸らし工程(S400)では、鍋状容器5内が焦げ付かず、且つ90℃以上を保持するようにする(図4参照)。蒸らし工程が終了すると炊飯工程が終了する。
以上のように本実施の形態1では、炊飯動作中に鍋状容器5内の被加熱物である米と鍋状容器5の内壁面とを撮影し、その撮影した画像と予め記憶された基準画像データと比較し、ほぼ同一の基準画像データから鍋状容器5内の米の含水率Wを判断する。これにより、米の含水率W、すなわち米の吸水状態に応じて、炊飯工程における加熱制御を行うことが可能になる。
そして、検知した米の含水率Wに応じて、炊飯工程における予熱工程の時間を制御するようにした。このように予熱工程の時間を制御することで、沸騰を開始する段階での米の吸水状態を調整できるので、炊き上がった米飯に芯が残る、あるいは、炊きむらができるといった問題を解消し、安定した炊き上がりを実現できる。
また、本実施の形態1では、吸水が進みやすい米であると判断した場合には、必要以上に予熱工程を行わないようにした。このため、炊飯時間の短縮になるとともに、予熱工程での加熱の消費電力を低減できる。
また、吸水が進みにくい米であると判断した場合には、予熱工程時間を延長するようにした。このため、酵素反応が起こる時間を長くすることができ、糖やアミノ酸などの呈味成分を増加させて良好な食味の飯を得ることができる。
そして、図3のステップS140で検知した含水率Wの値に応じて、予熱工程時間TをT1またはT2に設定するので、炊飯終了までに要する時間を大まかに予測することができる。
また、昇温工程において含水率Wを検知し、その含水率Wに応じて電力Pの大きさを制御するようにした。このように昇温工程の電力Pの大きさを制御することで沸騰に至るまでの時間を制御でき、沸騰を開始する段階の米の含水率Wを調整することができる。このため、炊き上がった米飯に芯が残る、あるいは、炊きむらができるといった問題を解消し、安定した炊き上がりを実現できる。さらに、本実施の形態1によれば、予熱工程において米の吸水状態を調整することに加え、さらに昇温工程で米の吸水状態を調整しているので、沸騰を開始する段階での米の吸水状態をより望ましい状態に調整でき、米をより美味しく炊き上げることができる。
また、本実施の形態1に係る含水率検知手段15は、CCDイメージセンサー211で撮影した画像を利用して米の含水率Wを検知する。このため、被加熱物に対して非接触で含水率Wを検知することができ、衛生的である。また、従来の米の含水率計測方法として、米そのものを加熱し水分を蒸発させて加熱前後の重量変化から含水率を算出する方法がある。このような従来の方法をとると含水率計測のために用いた米は食べられなくなってしまい、米を無駄にしてしまうこととなるが、実施の形態1に係る含水率検知手段15によれば米を無駄にすることはない。
実施の形態2.
前述の実施の形態1では、予熱工程中に含水率検知手段15により検知された含水率Wに応じて予熱工程時間TとしてT1またはT2を設定した。本実施の形態2では、含水率Wが、予熱工程における望ましい所定の含水率Wa(例えば30%前後)に達するまで予熱工程を続けるものである。
なお、本実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述の図1〜図3と同一または相当するものには同一の符号を付す。
図5は、実施の形態2に係る炊飯器の炊飯工程を示すフローチャートである。
操作/表示部13の炊飯開始スイッチが押されて炊飯工程を開始すると、まず予熱工程を開始する(S100a)。予熱工程を開始すると、時間計測手段(図示せず)により予熱の経過時間tが計測され(S101)、加熱が開始される(S102)。
時間計測手段により、経過時間tが予熱工程時間Tの初期値である所定時間T0に達したと検知されると(S103)、制御手段8は含水率検知手段15を駆動し、前述したようにして米の含水率Wを検知する(S104)。
そして、米の含水率Wが所定の含水率Waよりも小さいか判定し(S104a)、含水率Wが所定の含水率Waよりも小さいと判断した場合には、経過時間計測手段が所定の経過時間t2の計測を開始する(S104b)。この間、予熱工程での加熱が続けられることとなる。そして、経過時間t2が所定の単位時間T3に達しているか判断し(S104c)、所定の単位時間T3が経過したら含水率Wを検知する(S104)。そして、米の含水率Wが所定の含水率Waに達するまで予熱工程での加熱を続け、含水率Wが所定の含水率Waに達したと判定されると(S104a)、昇温工程(S200a)に進む。
含水率Wが所定の含水率Waに達すると、この段階で米はちょうど良い状態まで吸水が進んでいるため、ステップS200aの昇温工程では、所定の電力P3で加熱する(S203a)。そして、内部温度センサー14が沸騰を検知すると(S204a)、本炊き工程(S300)に進む。ステップS300の本炊き工程から炊飯終了までは実施の形態1と同様である。
以上のように本実施の形態2では、所定時間ごとに米の含水率Wを検知し、含水率Wが所定の含水率Waに達するまで予熱工程を続けるようにした。このため、予熱工程終了時の米の吸水量は過不足なく一定状態を実現することができ、炊き上がりの米飯の状態を安定させることができる。したがって、吸水のしやすさが異なる米を炊飯する場合であっても、炊飯する度に使用者の手を煩わせることなく、その米に適した炊飯制御を実行し、良好な食味の米飯を炊くことができる。
実施の形態3.
前述の実施の形態1では、基準米高さ記憶手段22に所定の含水率の基準画像データを予め格納しておき、基準画像データと米高さセンサー21が撮影した実際の画像とを比較することで米の含水率Wを判断した。本実施の形態3では、米高さセンサー21が炊飯前の鍋状容器5内の炊飯物を撮影し、その撮影した画像データを基準米高さ記憶手段22が基準の初期状態として記憶する。
なお、本実施の形態3では実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述の図1〜図3と同一または相当するものには同一の符号を付す。
図6は、実施の形態3に係る炊飯器の炊飯工程を示すフローチャートである。
まず、所定量の米とその米量に応じた水の入った鍋状容器5を本体1内の容器カバー2に収納して、外蓋10aを閉じ、操作/表示部13の炊飯開始スイッチ(図示せず)を押すと炊飯動作が開始される。図6に示すように、本実施の形態3に係る炊飯器の炊飯工程は、ステップS501、ステップS502、予熱工程(S100b)、昇温工程(S200)、本炊き工程(S300)、及び蒸らし工程(S400)により構成される。
炊飯動作を開始すると、制御手段8は米高さセンサー21を駆動し、鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影する(S501)。そして、撮影した画像データを、基準米高さ記憶手段22が初期状態として記憶し(S502)、予熱工程(S100b)に進む。
予熱工程を開始すると、時間計測手段(図示せず)により経過時間が計測され(S101)、加熱が開始される(S102)。
時間計測手段により、経過時間tが予熱工程時間Tの初期値である所定時間T0に達したと検知されると(S103)、制御手段8は米高さセンサー21を駆動し、鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影する(S104d)。米高さ比較手段23は、米高さセンサー21が出力する経過時間t=所定時間T0のときの画像データと、基準米高さ記憶手段22が基準の初期状態として記憶した画像データとを比較し、含水率判断手段24は、この比較結果に基づく米の上面高さの変化から含水率Wを検知する(S104e)。
ここで、ステップS104eでの含水率の検知処理について説明する。一般的な米の場合、洗米前の含水率は15%前後であるが、洗米して鍋状容器5に適正な量の水を入れ、鍋状容器5を本体1内の容器カバー2に収納する間に米の含水率はおおよそ20%になる。このため、基準米高さ記憶手段22が初期状態として記憶する画像は(S502)、米の含水率が20%の状態のものであると想定する。そして、ステップ140dで撮影した画像の米の上面高さが、初期状態(S501)の上面高さと比べてほとんど変わっていなければ、米の含水率は20%のままであると判断する。ステップ104dで撮影した画像の米の上面高さが、初期状態と比べて高ければ高いほど吸水が進んでいて含水率が高いと推測されるため、米の上面高さの変化割合から含水率Wを検知する。
ステップS104eで含水率Wを検知すると、ステップS105に進む。ステップS105から炊飯終了までは実施の形態1と同様である。
以上のように本実施の形態3では、加熱開始の前に初期状態の炊飯物の画像を撮影してその画像を初期状態として記憶し、この初期状態として記憶した画像と現在の炊飯物の画像とを比較して鍋状容器5内の米の含水率Wを検知するようにした。加熱対象である実際の炊飯物を用いて含水率Wを検知するので、含水率Wの検知精度を上げることができる。また、例えば鍋状容器5内に収容された米が一部に偏っている場合でも、予熱工程開始前の状態を初期状態として記憶し、これに対する米の上面高さの変化割合から含水率Wを検知するので、炊飯物の収容状態によらず安定した精度で含水率Wを検知することができる。
また、米量によらず、含水率Wの検知精度を高めることができる。すなわち、米量がRxで、含水率がWxのときの米の上面高さがHであり、米量がRy(Rx<Ry)で含水率がWy(Wx>Wy)のときも米の上面高さがHである場合、米の上面高さHの情報だけでは含水率がWxなのかWyなのか、を判断するのは困難である。しかし、本実施の形態3では、加熱前の初期状態の炊飯物の画像を撮影し、米の上面高さの変化割合を検出するため、上記のようなケースでも米の上面高さの変化割合が大きいと含水率はWxであり、米の上面高さの変化割合が小さいと含水率はWyであると判断することができる。
なお、本実施の形態3では、炊飯開始スイッチが押されて炊飯開始の動作指示がなされると、炊飯が開始されて米高さセンサー21を駆動して炊飯物を撮影し、その画像データを基準米高さ記憶手段22が基準の初期状態として記憶するようにした。しかし、本体1に蓋開閉検知センサー(図示せず)を設け、蓋開閉検知センサー(例えばタッチセンサー)により外蓋10aが閉じられたことを検知したときに、米高さセンサー21を駆動して炊飯物を撮影し、その画像データを基準米高さ記憶手段22が基準の初期状態として記憶するようにしてもよい。
例えば、所定量の米とその米量に応じた水の入った鍋状容器5を本体1内の容器カバー2に収納した後、すぐに炊飯開始のスイッチを押さず、外蓋10aを閉じたまま放置することがある。このような場合、放置している間にも米の吸水が進むため、放置した後に炊飯スイッチが押されて米高さセンサーが初期状態を撮影する際には、米の含水率が前述の20%を大きく上回ることがある。実施の形態3では、加熱開始前に米高さセンサー21が撮影する初期状態の米を含水率20%であると想定して含水率Wを検知するため、初期状態の米の実際の含水率が20%よりもずれが大きいと、検知する含水率Wの値も誤差が大きくなる。そこで、外蓋10aを閉じると自動的に初期状態の炊飯物を撮影することで、放置中における吸水の影響を極力抑えることができ、含水率Wの検知精度を向上させることができる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、予約炊飯モードを備え、予約の設定を決定したときに米高さセンサー21が炊飯前の鍋状容器5内の炊飯物を撮影し、その撮影した画像データを基準米高さ記憶手段22が基準の初期状態として記憶する例を説明する。また、米の吸水状態に応じて予熱工程における温度の調整も行う。
なお、本実施の形態4では実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述の図1〜図3と同一または相当するものには同一の符号を付す。
本実施の形態4に係る炊飯器の制御手段8は、予約炊飯モードでの動作が可能である。予約炊飯モードとは、使用者が予め設定した炊き上がり時刻に炊飯動作を終了するモードであり、予約炊飯の設定がなされてから炊飯工程の開始までは待機状態となる。
まず、所定量の米とその米量に応じた水の入った鍋状容器5を本体1内の容器カバー2に収納して、外蓋10aを閉じる。そして、予約炊飯の設定を行う。具体的には、操作/表示部13の予約設定ボタンを押して予約炊飯の終了予定時刻などを選択し、予約設定の決定ボタンを押す。これにより、予約炊飯モードで動作を行うことが決定される。
図7は、実施の形態4に係る炊飯器による炊飯工程を示すフローチャートである。図7に示すように、本実施の形態4に係る炊飯器の炊飯工程は、ステップS601〜ステップS605、予熱工程(S110)、昇温工程(S200)、本炊き工程(S300)、及び蒸らし工程(S400)により構成される。
予約炊飯モードの決定がなされると、制御手段8は米高さセンサー21を駆動し、鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影する(S601)。そして、撮影した画像データを基準米高さ記憶手段22が初期状態として記憶する(S602)。制御手段8は、操作/表示部13から入力された予約設定情報から、炊飯を開始するまでの予約待機時間Y1を算出し(S603)、経過時間yの計測を開始する(S604)。経過時間yが予約待機時間Y1に達したと判定すると(S605)、ステップS110の予熱工程に進む。
予熱工程を開始すると、時間計測手段(図示せず)により経過時間tの計測が開始される(S111)。制御手段8は米高さセンサー21を駆動し、鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影する(S112)。
米高さ比較手段23は、ステップS112で米高さセンサー21が撮影した画像データと、ステップS602で基準米高さ記憶手段22が基準の初期状態として記憶した画像データとを比較し、含水率判断手段24は、この比較結果に基づく米の上面高さの変化から含水率Wを検知する(S113)。
そして、含水率Wが所定の含水率W1よりも小さいと判断した場合には、用いた米は吸水が不十分であるとして、予熱工程における加熱温度(以下、予熱工程温度Cと称する)として所定温度C1を設定し、加熱を開始する(S115)。時間計測手段により、経過時間tが所定時間T4に達したと検知されると(S116)、昇温工程(S200)に進む。
また、含水率検知手段15により検知された含水率Wが所定の含水率W1以上である場合には(S114)、用いた米は吸水が十分であると判断して過剰な吸水を防ぐべく、予熱工程温度Cを、所定温度C1よりも低い温度である所定温度C2と設定し、加熱を開始する(S117)。時間計測手段により、予熱工程時間tが所定時間T4に達したと検知されると(S118)、昇温工程(S200)に進む。
なお、所定の含水率W1、時間T4、及び温度C1、C2は、予熱工程終了時において米の含水率Wが望ましい値(例えば約30%前後)となるような値に予め設定されている。
ステップS200から炊飯終了までは実施の形態1と同様である。
以上のように本実施の形態4では、予約炊飯モードを備え、予約炊飯モードでの動作が決定されたときに、鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影し、撮影した画像データを基準米高さ記憶手段22が初期状態として記憶し、加熱前に含水率Wを検知するようにした。予約中にも米の吸水は進むため、予約中にどのくらい吸水が進んだのかを判定することで、吸水状態に応じた予熱工程を実施することができる。
また、予熱工程開始時の米の含水率Wが所定値以上であるか否かにより、予熱工程での加熱温度を調整するようにした。加熱温度が高いほど吸水が進むため、予熱工程での加熱温度を調整することで、予熱工程時間を変えずに米の吸水度合いを調整することができる。また、予約炊飯の場合、炊飯終了予定時刻に炊飯を終了させるためには、炊飯工程に要する時間をできるだけ正確に算出する必要がある。本実施の形態4のように、予熱工程時間を一定とし、予熱工程における加熱温度を制御することで炊飯工程に要する時間をより正確に予測することが可能となる。
実施の形態5.
本実施の形態5では、米の上面高さと水面の高さに基づいて、米の含水率Wを検知する例を説明する。
なお、本実施の形態5では、特徴である米の含水率Wの検知処理について実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図8は、本実施の形態5に係る含水率検知手段15Aを説明する機能ブロック図である。本実施の形態5に係る含水率検知手段15Aは、米・水高さセンサー21Aと、基準高さ記憶手段22Aと、高さ比較手段23Aと、含水率判断手段24Aとを備える。
米・水高さセンサー21Aは、本発明の水高さセンサー及び米高さセンサーに相当し、前述の実施の形態1と同様に撮影手段であるCCDイメージセンサー211と、例えばLEDからなる照明手段212とを有する。
基準高さ記憶手段22Aには、炊飯器で炊飯可能な所定単位の各合数の米が適正量の水に浸かって鍋状容器5の中に入れられている画像であって、その米の含水率がそれぞれ15、19、23、27、31、35、39%であるときの、米の高さ(米の量)を示す画像、及び水の高さ(水の量)を示す基準画像データが格納されている。
このような構成の含水率検知手段15Aによる、含水率Wの検知処理を説明する。
制御手段8により含水率検知手段15Aに通電されると、照明手段212が鍋状容器5内を照らし、CCDイメージセンサー211が鍋状容器5の内壁面を背景とする炊飯物(米及び水)を撮影する。
そうすると、高さ比較手段23Aは、米・水高さセンサー21が撮影した画像と基準高さ記憶手段22Aが記憶している基準画像データとを比較することで、現在の米の上面高さHaと基準画像データに記録されている米の上面高さHbとを比較するとともに、現在の水面高さhaと基準画像データに記録されている水面高さhbとを比較する。そして、これらの比較結果に基づいて、含水率判断手段24Aは、現在の米の上面高さHbがほぼ同一であり、且つ現在の水面高さhbがほぼ同一であるような基準画像データを選び出し、その基準画像データの含水率を、現在の米の含水率Wであると判断する。
次に、本実施の形態5に係る炊飯器の炊飯工程の動作について説明する。炊飯工程の動作は前述の図3と同様であるので、図3を参照して説明する。
まず、所定量の米とその米量に応じた水の入った鍋状容器5を本体1内の容器カバー2に収納して、外蓋10aを閉じ、操作/表示部13の炊飯開始スイッチを押すと炊飯工程が開始される。炊飯がスタートすると予熱工程が開始される(S100)。
予熱工程を開始すると、時間計測手段(図示せず)により予熱の経過時間tが計測され(S101)、加熱が開始される(S102)。
時間計測手段により、経過時間tが予熱工程時間Tの初期値である所定時間T0に達したと検知されると(S103)、制御手段8は含水率検知手段15Aを駆動し、米の含水率Wを検知する(S104)。含水率Wの検知処理については、上述した通りである。
含水率Wを検知した後、ステップS105から炊飯終了までは実施の形態1と同様である。
以上のように本実施の形態5では、米の上面高さと水面高さとに基づいて鍋状容器5内の米の含水率Wを判断するようにした。このため、含水率Wの検知精度を高めることができる。
例えば、図9Aのように、米量がRxであって含水率がWxのときの米の上面高さがHであり、図9Bのように、米量がRy(Rx<Ry)で含水率がWy(Wx>Wy)のときも米の上面高さがHであるという場合がある。このような場合、米の上面高さHに関する情報のみでは、米の含水率がWxなのかWyなのか、を判断するのは困難である。しかし、実施の形態5のように含水率の判断に水面高さhを併せて用いることで、含水率を判断することができる。図9の例の場合、図9Aは米の吸水・膨潤が進んでいるため、水面の高さh1は小さく、図9Bは吸水がほとんど進んでいないため、水面の高さh2は大きい。米の上面高さだけでなく水面高さも見ることでより正確に含水率を検知することができる。
なお、本実施の形態5で説明した含水率Wの検知処理は、実施の形態2〜実施の形態4と組み合わせることもでき、同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施の形態1〜実施の形態5では、含水率検知手段15をCCDイメージセンサー211と照明手段212を用いて構成し、CCDイメージセンサー211で撮影した画像を用いて米の上面高さから含水率Wを検知することを説明した。しかし、含水率検知手段15の構成はこれに限定されるものではない。例えば、含水率検知手段15として、電気抵抗式水分計など、米自体を計測手段に触れさせて検知する計測装置を用いてもよい。この場合、米そのものを直接分析するため、画像から含水率を推測するよりも検知精度を高めることができる。
1 本体、2 容器カバー、2a 孔部、3 加熱コイル、4 鍋底温度センサー、5 鍋状容器、5a フランジ部、6 ヒンジ部、8 制御手段、9 蓋パッキン、10 蓋体、10a 外蓋、10b 内蓋、11 係止材、12 カートリッジ、12a 蒸気取入口、12b 蒸気排出口、13 操作/表示部、14 内部温度センサー、15 含水率検知手段、21 米高さセンサー、211 CCDイメージセンサー、212 照明手段、22 基準米高さ記憶手段、23 米高さ比較手段、24 含水率判断手段、15A 含水率検知手段、21A 米・水高さセンサー、22A 基準高さ記憶手段、23A 高さ比較手段、24A 含水率判断手段、100 炊飯器。

Claims (2)

  1. 本体と、
    前記本体に収容される鍋状容器と、
    前記鍋状容器の開口部を覆う蓋と、
    前記鍋状容器を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段を駆動制御して予熱工程と昇温工程とを含む炊飯工程を実行する制御手段と、
    米の含水率を検知する含水率検知手段とを備え、
    前記含水率検知手段は、前記蓋が閉じられてから昇温工程で沸騰を検知するまでの間に少なくとも1回は米の含水率を検知し、
    前記制御手段は、前記含水率検知手段により検知された米の含水率に応じて前記予熱工程での加熱温度及び前記昇温工程の電力の少なくとも一方を調整することを特徴とする炊飯器。
  2. 前記蓋が閉じられたことを検知する蓋閉センサーを備え、
    前記蓋閉センサーが前記蓋が閉じられたことを検知すると、前記含水率検知手段は、米の含水率を検知する
    ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
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