この種の負荷制御システムとしては、特許文献1に記載されているように時分割多重伝送信号を用いたものが従来より提供されている。
図12に示すように、このシステムでは伝送制御装置100に、2線式の信号線Lsを介して、操作スイッチS1…を有する複数台の操作端末器102、照明負荷(以下、負荷と略す)104を制御する複数台の制御端末器103などが接続される。
操作端末器102及び制御端末器103にはそれぞれ個別のアドレス(個別アドレス)が設定され、この個別アドレスを用いて伝送制御装置100が操作端末器102並びに制御端末器103をアクセスする。
伝送制御装置100は信号線Lsに対して、図13(a)に示すフォーマットの伝送信号Vsを送出する。すなわち、この伝送信号Vsは信号送出開始を示す同期信号SY、伝送信号Vsのモードを示すモードデータMD、操作端末器102や制御端末器103を各別に呼び出すためのアドレスデータAD、負荷104を制御する制御データCD、伝送誤りを検出するためのチェックサムデータCS、操作端末器102や制御端末器103からの返信信号(監視データ)を受信するタイムスロットである信号返信期間WTよりなる双極性(±24V)の時分割多重信号であり、パルス幅変調によってデータが伝送されるようになっている(図13(b))。各操作端末器102及び各制御端末器103では、信号線Lsを介して受信した伝送信号Vsにより伝送されたアドレスデータADが予め設定されているアドレスに一致すると、伝送信号Vsから制御データCDを取り込むとともに、伝送信号Vsの信号返信期間WTに監視データを電流モード信号(信号線Lsを適当な低インピーダンスを介して短絡することにより送出される信号)として返信する。
伝送制御装置100から所望の操作端末器102や制御端末器103にデータを伝送する場合には、モードデータMDを制御モードとし、操作端末器102または制御端末器103のアドレスをアドレスデータADとする伝送信号Vsを送出し、この伝送信号Vsを信号線Lsに送出すれば、アドレスデータADに一致する操作端末器102または制御端末器103が制御データCDを受け取り、信号返信期間WTに監視(状態)データを返信する。伝送制御装置100では送出した制御データCDと信号返信期間WTに受信した監視データとの関係によって制御データCDが所望の操作端末器102または制御端末器103に伝送されたことを確認する。制御端末器103は受け取った制御データCDに従って負荷104を制御するための負荷制御信号を出力し、操作端末器102では受け取った制御データCDに従って負荷104の動作確認表示を行なうための表示信号を出力する。
一方、伝送制御装置100は通常時にはモードデータMDをダミーモードとした伝送信号Vsを一定時間間隔で送出している(常時ポーリングという)。この場合、ある制御端末器103に対してアクセスして、負荷状態を示す監視データの返信を要求し、これに対してアクセスされた制御端末器103からは接続している負荷状態を監視データとして伝送制御装置100に返信する。この返信を受け取った伝送制御装置100はこの制御端末器103に対応関係がある操作端末器102のアドレスをアクセスして対応する制御端末器103に接続されている負荷104の状態を表示させるための制御データCDを伝送制御装置から伝送する。
このようにして常時ポーリングでは制御端末器103とこの制御端末器103に対応関係を持つ操作端末器102のアドレスをアクセスする動作をサイクリックに繰り返している。
そして常時ポーリング下で、伝送制御装置100に対して何らかの情報を伝送しようとするときには、ダミーモードの伝送信号Vsの同期信号SYに同期させて図13(c)のような割込信号を発生させる。このとき、操作端末器102は割込フラグを設定して伝送制御装置100との以後の情報授受に備える。伝送制御装置100では割込信号を受信すると、モードデータMDを割込ポーリングモードとしかつアドレスデータADの上位の半数のビット(アドレスデータADを8ビットとすれば上位4ビット)を順次増加させながら伝送信号を送出し、割込信号を発生した操作端末器102では、割込ポーリングモードの伝送信号のアドレスデータADの上位4ビットが操作端末器102に設定されているアドレスの上位4ビットに一致するときに、信号返信期間WTにアドレスの下位4ビットを伝送制御装置100に返信する。このように、伝送制御装置100は割込信号を発生した操作端末器102を16個ずつまとめて探すので、比較的短い時間で操作端末器102を発見することができる。
伝送制御装置100が割込信号を発生した操作端末器102のアドレスを獲得すると、モードデータMDを監視モードとし、獲得したアドレスデータADを持つ伝送信号Vsを信号線Lsに送出するのであって、この伝送信号Vsに対して操作端末器102は伝送しようとする情報を信号返信期間WTに返信するのである。最後に、伝送制御装置100は割込信号を発生した操作端末器102に対して割込リセットを指示する信号を送出し、操作端末器102の割込フラグを解除する。以上のようにして、操作端末器102から伝送制御装置100への情報伝送は、伝送制御装置100から操作端末器102への4回の信号伝送(ダミーモード、割込ポーリングモード、監視モード、割込リセット)によって完了する。伝送制御装置100が所望の制御端末器103の動作状態を知ろうとするときには、モードデータMDを監視データとした伝送信号を送出するだけでよい。
しかして、スイッチS1…の操作により操作データが発生すると、操作端末器102から操作データを監視データとして伝送制御装置100に返信し、この操作データに基づいて生成した制御データCDを含む伝送信号Vsを伝送制御装置100が制御端末器103に伝送されると、制御端末器103が負荷104を制御(点滅)する。ここで、制御端末器103は監視データを伝送制御装置100に返信し、返信された監視データを基に動作状態表示のための制御データCDを含む伝送信号Vsを操作端末器102に伝送する。この伝送信号Vsによって操作端末器102では負荷104の動作状態(点灯又は消灯)を表示する表示灯(発光ダイオードなど)を点灯・消灯する。
ところで、この種の負荷制御システムでは、スイッチと負荷104とのアドレスの対応関係を伝送制御装置100で管理しているから、伝送制御装置100において1つのスイッチのアドレスに対して複数の負荷104のアドレスを対応付けておけば、1つのスイッチで複数の負荷104を一括して制御することが可能である。このような一括制御にはグループ制御とパターン制御とがある。グループ制御では複数の負荷104を同じ制御状態に制御し、パターン制御では複数の負荷104をあらかじめ設定した制御状態に制御する。グループ制御やパターン制御を行なう一括制御用の操作端末器(図示せず)のスイッチには一括制御用として定められているアドレス(グループアドレスやパターンアドレス)が対応付けられるが、他の構成は他の操作端末器と同様のものである。
上述のように、一括制御(パターン制御又はグループ制御)を行なうためには伝送制御装置100において一括制御用の操作端末器のスイッチのアドレスに複数の負荷104のアドレスを対応付けて登録しておく必要がある。
上述のようなパターン制御及びグループ制御に対する登録作業は、例えば、専用の端末器(設定器)によって設定される。この設定器は、各負荷104に対応するアドレスを選択するキーと、選択されたアドレスに応じて画面を切り換えて表示する表示器と、選択された負荷を記憶する記憶手段とが可搬な器体に設けられてなり、信号線Lsに対して着脱可能に接続され、キーを操作して設定されるパターン制御やグループ制御のための対応関係のデータを信号線Lsを介して伝送制御装置100に伝送して登録させるものである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態では伝送信号の伝送方式としてパケット伝送を採用しているが、これに限定する趣旨ではなく、パケット伝送以外の伝送方式を採用することも可能である。
(実施形態1)
図1に本実施形態のシステム構成図を示す。本実施形態の負荷制御システムは、それぞれが負荷Lに接続された複数(図示例では4つ)の操作制御端末器1と、2線式の信号線Lsを介して各操作制御端末器1と接続された複数(図示例では2つ)の操作端末器2とで構成される。負荷Lは、例えば、照明負荷であって電源線Lpを介して商用交流電源ACに接続されている。但し、本発明に係る負荷制御システムが制御対象とする負荷Lは照明負荷に限定されるものではなく、例えば、エアコンディショナや換気扇、電動カーテンなどの電気機器全般を制御対象とすることができる。
本実施形態における操作制御端末器1には、一つの操作スイッチS11を有し当該操作スイッチS11が操作されたときに一つの負荷Lを点灯又は消灯する機能(以下、個別点滅機能と呼ぶ。)を有する操作制御端末器1A、複数(図示例では2つ)の操作スイッチS21,S22を有するとともに各操作スイッチS21,S22に対応する複数(図示例では2つ)の負荷Lが接続され、それぞれ操作スイッチS21,S22の操作に応じて2つの負荷Lを個別に点灯又は消灯する個別点滅機能を有する操作制御端末器1B、複数(図示例では3つ)の操作スイッチS31〜S33,S41〜S43を有し操作スイッチS31,S41が操作されたときに負荷Lを点灯又は消灯するとともに一方の操作スイッチS32,S42が操作されると負荷Lの光出力を増大させ、他方の操作スイッチS33,S43が操作されると負荷Lの光出力を減少させる機能(以下、調光点滅機能と呼ぶ。)を有する操作制御端末器1C,1Dの3種類がある。但し、3種類の操作制御端末器1を区別して説明する場合には「1A」,「1B」,「1C」,「1D」の符号を記し、全ての種類の操作制御端末器1を共通に説明する場合には「1」の符号を記すこととする。
一方、操作端末器2には負荷が接続されておらず、複数(図示例では3つ又は2つ)の操作スイッチS51〜S53,S61〜S62を有し、何れかの操作スイッチS51,…が操作されたときに信号線Lsを介して制御コマンドを含むパケット(後述する)を送信することで何れかの操作制御端末器1に自らの制御対象である負荷Lを制御させる機能(以下、遠隔制御機能と呼ぶ。)を有している。
操作制御端末器1並びに操作端末器2は、埋込型の配線器具に用いられる取付枠並びにフラッシプレートを用いて住宅等の建物の壁に埋込配設される。
操作制御端末器1の回路ブロック図を図2に示す。信号伝送部12は、図4(a)に示すフォーマットのパケットを符号化し且つディジタル変調して信号線Lsを介して送信するとともに信号線Lsを介して受信したパケットをディジタル復調して復号するものであって、各操作制御端末器1毎に割り当てられている固有の識別符号によって送信先及び送信元を識別している。尚、識別符号は、MACアドレスのようにハードウェアの製造者によって割り当てられた当該ハードウェアに固有の物理アドレスであってもよいし、あるいは、使用者が任意に割り当てるアドレスであってもよく、要するに同一システム(同一ネットワーク)の複数の操作制御端末器1並びに操作端末器2に対して同じ識別符号が重複して割り当てられなければよい。伝送されるパケットは、同期確立用のプリアンブル、データの種類を設定する制御ビット、宛先アドレス、送信元アドレス、制御コマンドなどのデータ、誤り検出用のチェックサムからなる。尚、本実施形態においては、従来周知のCSMA/CD方式による多重伝送を行っている。
操作入力受付部11は、操作スイッチS11,…の操作状態を監視し、操作スイッチS11,…が操作されたときに操作入力を受け付けて各操作スイッチS11,…に対応した操作信号を出力する。ここで、操作スイッチS11,…はタクトスイッチなどの押釦スイッチ(図示せず)と、当該押釦スイッチが具備する押釦を押操作するための操作ハンドル(図示せず)とで構成されている。押釦スイッチは、例えば、常開型の接点を有し、操作ハンドルを介して押釦が押操作されていないとき(非操作時)には接点が開成(オフ)しており、操作ハンドルを介して押釦が押操作されているとき(操作時)には接点が閉成(オン)するものである。すなわち、操作入力受付部11では押釦スイッチ(の接点)のオン・オフによって操作スイッチS11,…による操作入力を受け付けている。
制御部10はCPUを主構成要素とし、操作入力受付部11から出力される操作信号を取り込み、取り込んだ操作信号に対応する制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14は、個別点滅機能を有する操作制御端末器1A,1Bにおいては商用交流電源ACから負荷Lへの給電(通電)を制御信号に応じて入切する機能を有し、調光点滅機能を有する操作制御端末器1C,1Dにおいては上記入切機能に加えて商用交流電源ACから負荷Lへの単位時間当たりの給電量を制御信号に応じて調整することで負荷Lの光出力を増減する機能を有している。尚、給電(通電)の入切はリレーを用いた従来周知の方法で実現可能であり、また、給電量の調整も従来周知であるトライアックを用いた位相制御方式などで実現可能であるから、詳細な構成の図示並びに説明は省略する。
記憶部13は電気的に書換可能な不揮発性半導体メモリ(例えば、EEPROMやフラッシュメモリなど)からなり、後述するマルチキャストアドレス、複数の負荷Lを識別するための負荷識別符号、などの情報を記憶する。但し、操作制御端末器1に固有の識別符号が使用者によって任意に割り当てられる場合には、当該識別符号も記憶部13に記憶される。動作表示部15は、自らの制御対象である負荷Lの動作状態(点灯又は消灯)を表示するものであって、LEDなどの発光素子LD11,…と発光素子LD11,…を駆動する駆動回路(図示せず)を有し、制御部10から出力される制御信号に応じて駆動回路が発光素子LD11,…を点灯及び消灯させる。尚、動作表示部15の発光素子LD11,…は、図1に示すように対応する操作スイッチS11,…の近傍に配設されている。電源部16は、電源線Lpを介して商用交流電源ACから給電される交流電力を直流電力に変換することで各部の動作電源を作成するものである。
ここで、操作制御端末器1が自らの制御対象である負荷Lを制御する動作について説明する。操作制御端末器1Aにおいて操作スイッチS11が操作されると、操作入力受付部11から制御部10へ操作信号が出力され、当該操作信号を受け取った制御部10は負荷Lの動作状態を反転(負荷Lが点灯している場合は消灯、負荷Lが消灯している場合は点灯)させるための制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14では制御部10から受け取った制御信号に応じてリレーをオン又はオフすることで負荷Lの動作を反転させる。また、制御部10では負荷駆動部14に制御信号を出力した後、動作表示部15に対しても発光素子LD11の状態を反転(点灯していれば消灯、消灯していれば点灯)させるための制御信号を出力し、当該制御信号に応じて動作表示部15の駆動回路が発光素子LD11を消灯又は点灯させる。尚、操作制御端末器1Bにおいては、一方の操作スイッチS21が操作されたときに一方の負荷Lの動作状態並びに動作表示部15の操作スイッチS21に対応する発光素子LD21の状態が反転し、他方の操作スイッチS22が操作されたときに他方の負荷Lの動作状態並びに動作表示部15の操作スイッチS22に対応する発光素子LD22の状態が反転する。
操作制御端末器1C,1Dにおいて操作スイッチS31,S41が操作されたときは負荷Lの動作状態並びに動作表示部15の操作スイッチS21に対応する発光素子LD21の状態が反転する。また、負荷Lが点灯している状態で操作スイッチS32,S42が操作されると、操作入力受付部11から制御部10へ操作信号が出力され、当該操作信号を受け取った制御部10は負荷Lの光出力(調光レベル)を増大させるための制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14では制御部10から受け取った制御信号に応じて駆動回路を介して負荷Lに給電する単位時間当たりの給電量を増加させる。さらに、負荷Lが点灯している状態で操作スイッチS33,S43が操作されると、操作入力受付部11から制御部10へ操作信号が出力され、当該操作信号を受け取った制御部10は負荷Lの光出力(調光レベル)を減少させるための制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14では制御部10から受け取った制御信号に応じて駆動回路を介して負荷Lに給電する単位時間当たりの給電量を減少させる。但し、負荷Lが消灯している状態で操作スイッチS32,S42又はS33,S43が操作されたときに負荷Lを点灯させた後にその光出力(調光レベル)を増減させてもよい。また、制御部10では操作スイッチS31,S41が操作されて負荷Lを消灯する際、消灯時点における調光レベルを記憶部13に記憶させておき、次に操作スイッチS31,S41が操作されたときは記憶部13に記憶させた前回の調光レベルを読み出し、当該調光レベルに対応した給電量とするための制御信号を負荷駆動部14に出力することで前回の光出力(調光レベル)を直ちに再現することができる。
操作端末器2の回路ブロック図を図3に示す。信号伝送部22は、図4(a)に示すフォーマットのパケットを符号化し且つディジタル変調して信号線Lsを介して送信するとともに信号線Lsを介して受信したパケットをディジタル復調して復号するものであって、固有の識別符号によって送信先及び送信元を識別している。
操作入力受付部21は、操作スイッチS51,S52,S531、S61,S62の操作状態を監視し、操作スイッチS51,…が操作されたときに操作入力を受け付けて各操作スイッチS51,…に対応した操作信号を出力する。ここで、操作スイッチS51,…はタクトスイッチなどの押釦スイッチ(図示せず)と、当該押釦スイッチが具備する押釦を押操作するための操作ハンドル(図示せず)とで構成されている。押釦スイッチは、例えば、常開型の接点を有し、操作ハンドルを介して押釦が押操作されていないとき(非操作時)には接点が開成(オフ)しており、操作ハンドルを介して押釦が押操作されているとき(操作時)には接点が閉成(オン)するものである。すなわち、操作入力受付部21では押釦スイッチ(の接点)のオン・オフによって操作スイッチS51,…による操作入力を受け付けている。
制御部20はCPUを主構成要素とし、操作入力受付部21から出力される操作信号を取り込み、取り込んだ操作信号に対応する制御コマンドを生成する。記憶部23は書換可能な不揮発性半導体メモリ(例えば、EEPROMやフラッシュメモリなど)からなり、操作スイッチS51,…に対応するグループやパターングループ(後述する)に属する操作制御端末器1の識別符号、マルチキャストアドレス、他の操作端末器2の識別符号、一括制御対象の負荷Lの状態などの情報を記憶している。
動作表示部24は、操作スイッチS51,…に対応した負荷Lの動作状態を表示するものであって、LEDなどの発光素子LD51,LD52,LD53、LD61,LD62と発光素子LD51,…を駆動する駆動回路(図示せず)を有し、制御部20から出力される制御信号に応じてグループ制御やパターン制御などの一括制御(後述する)の対象である負荷Lが全て動作中(点灯中)であるときに駆動回路が発光素子LD51,…を消灯させ、グループ制御やパターン制御の対象である負荷Lの少なくとも一部が非動作中(消灯中)であるときに駆動回路が発光素子LD51,…を点灯させる。尚、動作表示部24の発光素子LD51,…は、図1に示すように対応する操作スイッチS51,…の近傍に配設されている。電源部25は、電源線Lpを介して商用交流電源ACから給電される交流電力を直流電力に変換することで各部の動作電源を作成するものである。
ここで、一括制御について簡単に説明する。一括制御にはグループ制御とパターン制御(負荷Lが照明負荷の場合は「シーン制御」とも呼ばれる。)とがあり、グループ制御とは、同一のグループに属する負荷Lを一括して同じ動作状態に制御する制御方式であり、パターン制御とは、同一のパターングループに属する負荷Lをそれぞれの負荷L毎に設定された動作状態に一括して制御する制御方式である。本実施形態においては、一方の操作端末器2Aの操作スイッチS51〜S53がグループ制御に対応し、他方の操作端末器2Bの操作スイッチS61,S62がパターン制御に対応している。例えば、操作スイッチS51に対応するグループ制御は、信号線Lsに接続されている全ての操作制御端末器1A〜1Dが属するグループにおいて、当該グループに属する全ての操作制御端末器1A〜1Dに接続されている負荷Lを一斉に点灯又は消灯させる制御であって、操作端末器2Aの記憶部23には当該グループに属する操作制御端末器1A〜1Dの識別符号が操作スイッチS51と対応付けて記憶されている。また、操作スイッチS61に対応するパターン制御は、全ての操作制御端末器1A〜1Dが属する第1のパターングループにおいて、例えば、操作制御端末器1Aの負荷L及び操作制御端末器1Bの2つの負荷Lを点灯、操作制御端末器1Cの負荷Lを調光レベル50%で調光点灯、操作制御端末器1Dの負荷Lを70%で調光点灯させる制御(第1のパターン制御)であって、操作端末器2Bの記憶部23には当該第1のパターングループに属する操作制御端末器1A〜1Dの識別符号及び各負荷L毎の制御内容(調光レベル)が操作スイッチS61と対応付けて記憶されている。さらに、操作スイッチS62に対応するパターン制御は、2つの操作制御端末器1C,1Dが属する第2のパターングループにおいて、操作制御端末器1Cの負荷Lを調光レベル70%で調光点灯、操作制御端末器1Dの負荷Lを30%で調光点灯させる制御(第2のパターン制御)であって、操作端末器2Bの記憶部23には当該第2のパターングループに属する操作制御端末器1C,1Dの識別符号及び各負荷L毎の制御内容(調光レベル)が操作スイッチS62と対応付けて記憶されている。但し、各操作制御端末器1A〜1Dが一括制御の何れのグループ又はパターングループに属するかは任意に選択可能である。また操作端末器2では、後述するように操作制御端末器1A〜1Dから通知される負荷Lの状態を記憶部23に記憶している。
次に、操作端末器2を用いて複数の負荷Lを一括制御(グループ制御並びにパターン制御)する動作について説明する。
まず、図5のシーケンス図を参照しながら操作端末器2Aによるグループ制御の動作について説明する。操作端末器2Aの操作スイッチS51が操作されると、操作入力受付部21から制御部20へ操作信号が出力され、当該操作信号を受け取った制御部20は記憶部23に記憶されている対応関係を参照して当該操作信号(操作スイッチS51による操作入力)に対応付けられている操作制御端末器1A〜1Dの識別符号と、操作制御端末器1A〜1Dに接続されている制御対象の負荷Lの状態(最新の状態)とを取得する。制御部20は、記憶部23から取得した各負荷Lの状態が全て同じ、すなわち、全ての負荷Lが点灯状態又は消灯状態であれば、それぞれ反対の状態(点灯状態であれば消灯、消灯状態であれば点灯)とする制御コマンドを生成し、各負荷Lの状態が全て同じでない、例えば、何れか一つの負荷Lのみが点灯状態であり且つ残りの負荷Lが消灯状態であれば、全ての負荷Lを同じ状態(点灯状態又は消灯状態)とする制御コマンドを生成する。さらに制御部20は、生成した制御コマンドをデータに設定するとともに宛先アドレスにマルチキャストアドレスを設定し且つ送信元アドレスに自己の識別符号を設定したパケットを作成し、当該パケットを信号伝送部22より信号線Lsを介して送信させる。尚、制御コマンドは、図4(b)に示すようにコマンド内容(今の場合は負荷制御)、制御対象の操作制御端末器1A〜1Dの識別符号及び負荷Lの制御内容(今の場合は点灯又は消灯)からなる。また、宛先アドレスにマルチキャストアドレスが設定されたパケットは、本実施形態の負荷制御システムを構成する全ての端末器(操作制御端末器1並びに操作端末器2)で受信される。
操作制御端末器1A〜1Dにおいては、信号伝送部12で当該パケットを受信して制御部10に渡し、制御部10では、受け取ったパケットに含まれる制御コマンドに自己の識別符号が含まれていれば当該識別符号と対応した制御内容に応じて負荷Lを点灯又は消灯させるための制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14では制御部10から受け取った制御信号に応じてリレーをオン又はオフすることで負荷Lを点灯又は消灯させる。また制御部10では、制御コマンドを受け取ってから所定の待機時間(各操作制御端末器1A〜1D毎に異なった時間)が経過した後、制御コマンドを含むパケットの送信元アドレスに設定されている操作端末器2Aの識別符号を宛先アドレスに設定するとともに自己の識別符号を送信元アドレスに設定し、且つ制御後の負荷Lの状態(点灯又は消灯)をデータに設定したパケット(負荷状態通知のパケット)を生成して信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。さらに制御部10は、制御後の負荷Lの状態に応じて自己の動作表示部15の表示を変更する。
一方、操作端末器2Aでは、信号伝送部22で当該パケットを受信して制御部20に渡し、制御部20では、受け取ったパケットに含まれる負荷Lの状態を記憶部23に記憶させる。そして、操作スイッチS51に対応したグループに属する全ての操作制御端末器1A〜1Dから負荷状態通知のパケットを受け取れば、制御部20は動作表示部24の表示を変更する、例えば、全ての負荷Lを点灯した場合は発光素子LD51を消灯し、全ての負荷Lを消灯した場合は発光素子LD51を点灯する。このように発光素子LD51を消灯させることで制御対象である全ての負荷Lが動作状態(点灯状態)であることを表示し、発光素子LD51を点灯させることで制御対象である全ての負荷Lが非動作状態(消灯状態)であることを表示すれば、それぞれの負荷Lの動作状態を個別に表示する表示手段(発光素子)を設けなくても、制御対象である全ての負荷Lが動作状態(点灯状態)であるか否かを発光素子LD51の表示によって確認できるため、一括制御の要否を簡単に判断できるという利点がある。
ここで、何れかの操作制御端末器1A〜1Dから負荷状態通知のパケットを受信できない場合、操作端末器2Aの制御部20は、負荷状態通知のパケットを受信できなかった操作制御端末器(例えば、1D)の識別符号を宛先アドレスに設定し、負荷状態の通知を要求する制御コマンドをデータに設定したパケットを信号伝送部22より信号線Lsを介して送信させる。そして、負荷状態通知を要求する当該パケットを受け取った操作制御端末器1Dから負荷状態通知のパケットが返信されてくれば、操作端末器2Aの制御部20は通知された負荷Lの状態を記憶部23に記憶させ、負荷状態通知のパケットが返信されて来なければ、操作端末器2Aの制御部20は動作表示部24の発光素子LD51を点滅させるなどの方法で異常が生じていることを表示する。さらに制御部20では、操作制御端末器1A〜1Dから負荷状態通知のパケットを受信した後、当該パケットによって取得した最新の負荷Lの状態を他の操作端末器2Bに転送するための制御コマンドを生成し、当該転送用の制御コマンドをデータに設定し、宛先アドレスに第2のマルチキャストアドレス(操作端末器2のみを対象とし操作制御端末器1A〜1Dを対象としないマルチキャストアドレス)を設定するとともに送信元アドレスに自己の識別符号を設定した転送用のパケットを信号伝送部22から信号線Lsを介して送信する。当該転送用のパケットを受信した他の操作端末器2Bでは、制御前の負荷Lの状態とともに、当該パケットによって転送された制御後の負荷Lの状態を記憶部23に記憶する。ここで、転送用のパケットを受信した他の操作端末器2Bから当該パケットの送信元の操作端末器2Aには受信確認のためのACKパケットがユニキャストで返信されるのであるが、ACKパケットを受け取ることができなかった他の操作端末器2Bに対しては、転送元の操作端末器2Aから再度転送用のパケットをユニキャスト伝送する。
続いて、図6のシーケンス図を参照しながら操作端末器2Bによるパターン制御(第2のパターン制御)の動作について説明する。操作端末器2Bの操作スイッチS62が操作されると、操作入力受付部21から制御部20へ操作信号が出力され、当該操作信号を受け取った制御部20は記憶部23に記憶されている対応関係を参照して当該操作信号(操作スイッチS62による操作入力)に対応付けられている操作制御端末器1C,1Dの識別符号と、操作制御端末器1C,1Dに接続されている制御対象の負荷Lに対する制御内容(調光レベル)とを取得する。制御部20は、記憶部23から取得した制御内容(第2のパターン制御)に応じて、操作制御端末器1Cの負荷Lを調光レベル70%で調光点灯し、操作制御端末器1Dの負荷Lを30%で調光点灯させる制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドをデータに設定するとともに宛先アドレスにマルチキャストアドレスを設定し且つ送信元アドレスに自己の識別符号を設定したパケットを作成して信号伝送部22より信号線Lsを介して送信させる。尚、この制御コマンドには第2のパターングループに属さない操作制御端末器1A,1Bの識別符号及び制御内容は含まれていない。
操作制御端末器1A〜1Dにおいては、信号伝送部12で当該パケットを受信して制御部10に渡す。操作制御端末器1A,1Bの制御部10では、受け取ったパケットに含まれる制御コマンドに自己の識別符号が含まれていないので、負荷Lの制御は行わずに現在の負荷Lの状態(点灯又は消灯)をデータに設定したパケット(負荷状態通知のパケット)を生成して信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。一方、操作制御端末器1C,1Dの制御部10では、受け取ったパケットに含まれる制御コマンドに自己の識別符号が含まれているので、自己の識別符号と対応する制御内容(調光レベル)で負荷Lを調光点灯させるための制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14では制御部10から受け取った制御信号に応じて駆動回路を介して負荷Lに給電する単位時間当たりの給電量を調整させる。また操作制御端末器1C,1Dの制御部10では、制御コマンドを受け取ってから所定の待機時間が経過した後、制御コマンドを含むパケットの送信元アドレスに設定されている操作端末器2Bの識別符号を宛先アドレスに設定するとともに自己の識別符号を送信元アドレスに設定し、且つ制御後の負荷Lの状態(調光レベル)をデータに設定した負荷状態通知のパケットを生成して信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。さらに制御部10は、制御後の負荷Lの状態に応じて自己の動作表示部15の表示を変更する。
操作端末器2Bでは、信号伝送部22で当該パケットを受信して制御部20に渡し、制御部20では、受け取ったパケットに含まれる負荷Lの状態を記憶部23に記憶させる。そして、操作スイッチS62に対応した第2のパターングループに属する全ての操作制御端末器1C,1Dから負荷状態通知のパケットを受け取れば、制御部20は動作表示部24の発光素子LD62を点灯させて第2のパターン制御が実行中であることを表示する。さらに制御部20では、操作制御端末器1A〜1Dから負荷状態通知のパケットを受信した後、当該パケットによって取得した最新の負荷Lの状態を他の操作端末器2Aに転送するための制御コマンドを生成し、当該転送用の制御コマンドをデータに設定し、宛先アドレスに第2のマルチキャストアドレスを設定するとともに送信元アドレスに自己の識別符号を設定した転送用のパケットを信号伝送部22から信号線Lsを介して送信する。当該転送用のパケットを受信した他の操作端末器2Aでは、制御前の負荷Lの状態とともに、当該パケットによって転送された制御後の負荷Lの状態を記憶部23に記憶する。尚、第1のパターン制御の動作については基本的に第2のパターン制御の動作と共通であるから説明は省略する。
上述のように本実施形態の負荷制御システムでは、操作制御端末器1の操作スイッチS11,…を操作することで操作制御端末器1に接続されている制御対象の負荷Lを直接制御することができ、また、操作端末器2の操作スイッチS51,…を操作することで操作端末器2と信号線Lsを介して接続された操作制御端末器1の負荷Lを遠隔から制御することもできる。しかも、操作端末器2と操作制御端末器1が信号線Lsを介して直接制御コマンドを含むパケットを伝送するから、信号線Lsが断線したり、あるいは操作制御端末器1又は操作端末器2の何れかが故障してもシステム全体が動作不能になることがない。さらに、複数の操作制御端末器1の負荷Lを遠隔から一括制御する際、各操作制御端末器1に対して個別に制御コマンドを含むパケットを伝送(ユニキャスト伝送)するのではなく、当該制御コマンドを含むパケットを複数の操作制御端末器1に対してマルチキャスト伝送するので、制御対象の全ての負荷Lを一斉に制御することができ、その結果、集中制御型の従来システムと比べて安定性並びに負荷制御の応答性が向上できるという利点がある。
次に、操作端末器2に対して一括制御の対応関係(グループ制御におけるグループ及びパターン制御におけるパターングループ)を登録する手順について、図7及び図8のシーケンス図を参照しながら、操作端末器2Bに対して第2のパターングループを登録する場合を例示して説明する。尚、以下で説明する「運用モード」とは、上述した個別制御や一括制御が行われる通常の動作モードである。
まず、操作端末器2Bの操作入力受付部21に設けられたモード切換スイッチ(図示せず)が操作されると操作入力受付部21から制御部20へモード切換の操作信号(操作入力)が出力され、当該操作信号を受け取った制御部20が自己の動作モードを運用モードから登録モードへ切り換える。但し、動作モードを切り換えるに当たっては、必ずしもモード切換専用のスイッチ(モード切換スイッチ)を設ける必要はなく、例えば、登録対象とする何れかの操作スイッチ(今の場合であればS62)を長押し操作することで操作入力受付部21がモード切換の操作信号を制御部20へ出力するようにしても構わない。
登録モードにおいて操作端末器2の操作スイッチS62が操作されると、操作スイッチS62の操作入力を受け付けた操作入力受付部21から制御部20に操作信号が出力され、制御部20は動作表示部24に制御信号を出力して操作スイッチS62に対応する発光素子LD62を点滅させることで操作スイッチS62に対応した第2のパターン制御に対応する第2パターングループの登録中であることを使用者に報知する。さらに制御部20は、操作制御端末器1の制御部10においても登録モードへの切換を指示する制御コマンドを生成し、当該制御コマンドを含み且つ宛先アドレスにマルチキャストアドレスを設定するとともに送信元アドレスに自己の識別符号を設定したパケットを信号伝送部22より信号線Lsを介して伝送する。
当該パケットを受信した操作制御端末器1では、制御部10が制御コマンドの指示に従って動作モードを運用モードから登録モードへ切り換える。当該登録モードにおいては、操作スイッチS11,…を長押し操作することで第2のパターン制御の対象である第2のパターングループへの参加/不参加を選択することができる。登録モードへの移行時点では制御対象グループ(今の場合は第2のパターングループ)への不参加が選択されているから、まず、第2のパターングループに参加する操作制御端末器1Cの操作スイッチS31が操作(長押し操作)される。そして、操作スイッチS31の操作入力を受け付けた操作入力受付部11から制御部10へ操作信号が出力されると、制御部10が第2のパターングループへの参加/不参加の選択を参加に切り換え、切り換えられた選択結果(第2のパターングループへの参加)をデータとするパケットを操作端末器2Bの識別符号を宛先アドレスに設定して信号伝送部12より信号線Lsを介してユニキャスト伝送する。尚、操作端末器2Bの制御部20では、操作制御端末器1Cから受け取った制御対象グループ(第2のパターングループ)への選択結果を記憶部23に一時的に記憶しておく。また、操作制御端末器1Cの制御部10では、第2のパターングループへの参加が選択されているときは制御信号を出力して動作表示部15の発光素子LD31を相対的に長い周期で点滅させ、第2のパターングループへの不参加が選択されているときは制御信号を出力して動作表示部15の発光素子LD31を相対的に短い周期で点滅させることによって使用者に参加/不参加の選択状況を知らせている。但し、参加/不参加の選択状況を表示する方法は一例であって、これに限定されるものではない。
続いて、第2のパターングループに参加する操作制御端末器1Dの操作スイッチS41が操作(長押し操作)される。そして、操作スイッチS41の操作入力を受け付けた操作入力受付部11から制御部10へ操作信号が出力されると、制御部10が第2のパターングループへの参加/不参加の選択を参加に切り換え、切り換えられた選択結果(第2のパターングループへの参加)をデータとするパケットを操作端末器2の識別符号を宛先アドレスに設定して信号伝送部12より信号線Lsを介してユニキャスト伝送する。操作端末器2Bの制御部20では、操作制御端末器1Dから受け取った制御対象グループ(第2のパターングループ)への選択結果を記憶部23に一時的に記憶しておく。また、操作制御端末器1Dの制御部10では、第2のパターングループへの参加が選択されているときは制御信号を出力して動作表示部15の発光素子LD41を相対的に長い周期で点滅させ、第2のパターングループへの不参加が選択されているときは制御信号を出力して動作表示部15の発光素子LD41を相対的に短い周期で点滅させることによって使用者に参加/不参加の選択状況を知らせる。但し、参加/不参加の選択状況を表示する方法は一例であって、これに限定されるものではない。
操作制御端末器1C,1Dにおいて第2のパターングループへの参加の選択作業が終了した後、使用者が操作端末器2Bのモード切換スイッチを操作すれば、操作入力受付部11から制御部20へモード切換の操作信号(操作入力)が出力される。当該操作信号を受け取った制御部20は、記憶部23に一時的に記憶している選択結果に基づき、参加が選択された2つの操作制御端末器1C,1Dの識別符号を制御対象グループ(第2のパターングループ)に属する識別符号として記憶部23に記憶(登録)し、その後、動作モードを登録モードから運用モードに切り換える。さらに操作端末器2Bの制御部20は、操作制御端末器1の制御部10においても登録モードから運用モードへ移行するように指示する制御コマンドを生成し、当該制御コマンドを含み且つ宛先アドレスにマルチキャストアドレスを設定するとともに送信元アドレスに自己の識別符号を設定したパケットを信号伝送部22より信号線Lsを介して伝送する。そして、当該パケットを受信した操作制御端末器1の制御部10は制御コマンドの指示に従って動作モードを登録モードから運用モードへ切り換える。但し、登録モードから運用モードへ切り換わるに当たり、操作制御端末器1の制御部10では、第2のパターングループへの参加/不参加に関わらず、記憶部13には何も(操作端末器2Bの識別符号など)記憶しない。尚、登録モードから運用モードへ切り換わったら、操作端末器2Bの制御部20並びに操作制御端末器1の制御部10は制御信号を出力して動作表示部15,24の発光素子LD11,…を点灯又は消灯させる。また、第2のパターングループ以外の制御対象グループに対して操作制御端末器1の識別符号を登録する場合も同じ手順で行うことができるから説明は省略する。
続いて、運用モードにおいて操作制御端末器1C,1Dの操作スイッチS32,S33,S42,S43を操作して負荷Lの明るさ(調光レベル)を調整したのち、操作端末器2Bの操作スイッチS62が長押し操作されると、操作端末器2Bの制御部20は、操作スイッチS62に対応する第2のパターングループに属している操作制御端末器1C,1Dの識別符号を記憶部23から取得し、現在の負荷Lの状態(調光レベル)の通知を要求する制御コマンドをデータに設定し且つそれぞれの識別符号を宛先アドレスに設定したパケットを信号伝送部22より信号線Lsを介してユニキャスト伝送する。
当該パケットを受け取った操作制御端末器1C,1Dの制御部10は、記憶部13に記憶している現在の負荷Lの状態(調光レベル)をデータに設定し且つ宛先アドレスに要求元の操作端末器2Bの識別符号を設定するとともに自己の識別符号を送信元アドレスに設定したパケットを信号伝送部12より信号線Lsを介してユニキャスト伝送する。
そして、各操作制御端末器1C,1Dから前記パケットを受け取った操作端末器2Bの制御部20は、それぞれパケットのデータに設定されている調光レベルを第2のパターン制御における各負荷L毎の制御内容として記憶部23に記憶する。尚、操作端末器2Bの記憶部23には、操作制御端末器1で負荷Lが制御される際に当該制御後の負荷Lの状態がそれぞれの操作制御端末器1から予め通知されて記憶されているので、上述のように現在の負荷Lの状態を操作制御端末器1から通知させる代わりに、操作端末器2Bの制御部20が記憶部23から各操作制御端末器1における負荷Lの状態を取得し、取得した負荷Lの状態(調光レベル)をパターン制御における各負荷L毎の制御内容として記憶部23に記憶するようにしても構わない。但し、グループ制御を行う操作端末器2Aにおいては、負荷L毎の制御内容(調光レベル)を決める必要が無いので、上述した作業は不要である。
ところで、何れかの操作端末器2(例えば、2B)の制御部20並びに操作制御端末器1の制御部10が登録モードに切り換わっている状況においては、他の操作端末器2(例えば、2A)で操作スイッチS51〜S53が操作されても、当該他の操作端末器2Aの制御部20は遠隔制御(グループ制御)のための制御コマンドを含むパケットを生成しない。つまり、上述した登録モードにおいては、他の操作端末器2Aによる遠隔制御のための制御コマンドを含むパケットによってトラフィックが増えてしまうと、操作端末器2Bと操作制御端末器1との間の登録のためのパケット伝送に支障を来す虞があるので、このような支障が生じないように他の操作端末器2Aによる遠隔制御のための制御コマンドを含むパケットの伝送を禁止しているものである。尚、トラフィックの増大による不具合を考慮しなければ、操作制御端末器1の制御部10において、登録モード時に他の操作端末器2Aから受け取った遠隔制御の制御コマンドを破棄するようにしても構わない。
一方、登録モードに切り換わっている状況においても、操作制御端末器1の操作スイッチS11,…を操作して自らの制御対象である負荷Lを直接制御することは可能である。何故なら、自らの制御対象である負荷Lを直接制御する場合、遠隔制御する場合のようにトラフィックの増加によって登録作業に支障を来す虞がないからである。
そこで本実施形態では、登録モードにおける操作制御端末器1の制御部10が、操作スイッチS11,…の操作される操作時間(押釦スイッチのオン時間。以下同じ。)が相対的に短いときの第1操作入力と、操作スイッチS11,…の操作される操作時間が相対的に長いときの第2操作入力(長押し操作による操作入力)とを判別する。そして、操作入力受付部11で第1操作入力が受け付けられた場合、制御部10は自らの制御対象である負荷Lを制御する処理を実行し、操作入力受付部11で第2操作入力が受け付けられた場合、制御部10は制御対象グループへの参加/不参加の選択を切り換える処理を実行する。
一方、運用モードにおける操作制御端末器1の制御部10は、操作スイッチS11,…の操作時間に関わらず、操作スイッチS11,…が操作された時点(押釦スイッチがオンした時点)で操作入力受付部11から受け取る操作入力に応じて自らの制御対象である負荷Lを制御する処理を実行する。つまり、操作制御端末器1の制御部10は運用モードと登録モードとにおいて操作入力受付部11の操作入力の受付方法を変更しており、登録モードでは操作スイッチS11,…の押操作が開始されてから押操作が終了するまでの操作時間に応じた2種類の操作入力(第1操作入力と第2操作入力)を受け付けるのに対し、運用モードでは操作スイッチS11,…の押操作が開始された時点で操作入力(登録モードにおける第1操作入力に相当する操作入力)を受け付けるようにしている。
上述のように本実施形態では、操作端末器2で登録モードに切り換えた後、操作制御端末器1の操作スイッチS11,…を長押し操作して制御対象グループへの参加/不参加を択一的に切り換えることで操作端末器2の記憶部23に操作入力と識別符号との対応関係を登録することができるから、専門知識を有しない者でも容易に一括制御の対応関係を登録するための登録作業を行うことができる。尚、登録モードにおける操作制御端末器1の制御部10は、操作入力受付部11で第2操作入力が受け付けられた場合に負荷Lの制御を行わないので、登録作業において登録と同時に負荷制御が行われることの不具合(例えば、負荷Lが照明負荷である場合に登録作業中に照明負荷が不用意に消灯してしまうことなど)の発生が防止できる。
また、本実施形態では操作制御端末器1の識別符号を操作端末器2の記憶部13に記憶させる登録作業において負荷制御時と登録時とで一つの操作スイッチS11,…を兼用しつつ、操作スイッチS11,…を短く操作することで負荷Lを制御することもできる。その結果、操作スイッチS11,…の数を増やさずに登録作業における不具合の発生防止と利便性の向上が図れるとともに、一括制御対象の負荷Lの状態を確認しながら登録作業を行うことができることによっても利便性の向上が図れるものである。しかも、登録作業時を除く運用時においては、操作制御端末器1の操作スイッチS11,…が操作されると直ちに負荷Lを制御することができて利便性がよいものである。
(実施形態2)
図9に本実施形態のシステム構成図を示す。本実施形態の負荷制御システムは、実施形態1で説明した操作端末器2に負荷Lを接続して当該負荷Lを直接制御可能としたものである。言い換えると、本実施形態の負荷制御システムは、遠隔制御機能を有しない操作制御端末器(第2操作制御端末器)1B〜1Dと、遠隔制御機能を有する操作制御端末器(第1操作制御端末器)1Aとで構成されている。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明は省略する。
第2操作制御端末器1B〜1Dは何れも実施形態1における操作制御端末器1B〜1Dと共通の構成を有している。また、実施形態1の操作端末器2に相当する第1操作制御端末器1Aは、基本的に第2操作制御端末器1B〜1Dと共通の構成を有しているので、詳細な構成に付いての図示並びに説明は省略する。
第1操作制御端末器1Aにおいては、操作スイッチS51が実施形態1で説明したグループ制御に対応し、操作スイッチS52,S53がそれぞれ実施形態1で説明した第1及び第2のパターン制御に対応しており、グループ制御の対象であるグループや第1及び第2のパターン制御の対象である第1及び第2のパターングループに属する第2操作制御端末器1B〜1Dの識別符号及び各負荷L毎の制御内容(調光レベル)が操作スイッチS51〜S53と対応付けて記憶部13に記憶されている。
次に、図10のシーケンス図を参照しながら第1操作制御端末器1Aによるグループ制御の動作について説明する。第1操作制御端末器1Aの操作スイッチS51が操作されると、操作入力受付部11から制御部10へ操作信号が出力され、当該操作信号を受け取った制御部10は記憶部13に記憶されている対応関係を参照して当該操作信号(操作スイッチS51による操作入力)に対応付けられている第2操作制御端末器1B〜1Dの識別符号と、第2操作制御端末器1B〜1Dに接続されている制御対象の負荷Lの状態(最新の状態)とを取得する。制御部10は、記憶部13から取得した各負荷Lの状態が全て同じ、すなわち、全ての負荷Lが点灯状態又は消灯状態であれば、それぞれ反対の状態(点灯状態であれば消灯、消灯状態であれば点灯)とする制御コマンドを生成し、各負荷Lの状態が全て同じでない、例えば、何れか一つの負荷Lのみが点灯状態であり且つ残りの負荷Lが消灯状態であれば、全ての負荷Lを同じ状態(点灯状態又は消灯状態)とする制御コマンドを生成する。さらに制御部10は、生成した制御コマンドをデータに設定するとともに宛先アドレスにマルチキャストアドレスを設定し且つ送信元アドレスに自己の識別符号を設定したパケットを作成し、当該パケットを信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。
第2操作制御端末器1B〜1Dにおいては、信号伝送部12で当該パケットを受信して制御部10に渡し、制御部10では、受け取ったパケットに含まれる制御コマンドに自己の識別符号が含まれていれば当該識別符号と対応した制御内容に応じて負荷Lを点灯又は消灯させるための制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14では制御部10から受け取った制御信号に応じてリレーをオン又はオフすることで負荷Lを点灯又は消灯させる。また制御部10では、制御コマンドを受け取ってから所定の待機時間(各第2操作制御端末器1B〜1D毎に異なった時間)が経過した後、制御コマンドを含むパケットの送信元アドレスに設定されている第1操作制御端末器1Aの識別符号を宛先アドレスに設定するとともに自己の識別符号を送信元アドレスに設定し、且つ制御後の負荷Lの状態(点灯又は消灯)をデータに設定したパケット(負荷状態通知のパケット)を生成して信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。さらに制御部10は、制御後の負荷Lの状態に応じて自己の動作表示部15の表示を変更する。
一方、第1操作制御端末器1Aでは、信号伝送部12で当該パケットを受信して制御部10に渡し、制御部10では、受け取ったパケットに含まれる負荷Lの状態を記憶部13に記憶させる。そして、操作スイッチS51に対応したグループに属する全ての第2操作制御端末器1B〜1Dから負荷状態通知のパケットを受け取れば、制御部10は動作表示部15の表示を変更する、例えば、全ての負荷Lを点灯した場合は発光素子LD51を消灯し、全ての負荷Lを消灯した場合は発光素子LD51を点灯する。尚、何れかの第2操作制御端末器1B〜1Dから負荷状態通知のパケットを受信できない場合、第1操作制御端末器1Aの制御部10は、負荷状態通知のパケットを受信できなかった第2操作制御端末器(例えば、1D)の識別符号を宛先アドレスに設定し、負荷状態の通知を要求する制御コマンドをデータに設定したパケットを信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。そして、負荷状態通知を要求する当該パケットを受け取った第2操作制御端末器1Dから負荷状態通知のパケットが返信されてくれば、第1操作制御端末器1Aの制御部10は通知された負荷Lの状態を記憶部13に記憶させ、負荷状態通知のパケットが返信されて来なければ、第1操作制御端末器1Aの制御部10は動作表示部15の発光素子LD51を点滅させるなどの方法で異常が生じていることを表示する。
続いて、図11のシーケンス図を参照しながらパターン制御(第2のパターン制御)の動作について説明する。第1操作制御端末器1Aの操作スイッチS53が操作されると、操作入力受付部11から制御部10へ操作信号が出力され、当該操作信号を受け取った制御部10は記憶部13に記憶されている対応関係を参照して当該操作信号(操作スイッチS53による操作入力)に対応付けられている第2操作制御端末器1C,1Dの識別符号と、第2操作制御端末器1C,1Dに接続されている制御対象の負荷Lに対する制御内容(調光レベル)とを取得する。制御部10は、記憶部13から取得した制御内容(第2のパターン制御)に応じて、第2操作制御端末器1Cの負荷Lを調光レベル70%で調光点灯し、第2操作制御端末器1Dの負荷Lを30%で調光点灯させる制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドをデータに設定するとともに宛先アドレスにマルチキャストアドレスを設定し且つ送信元アドレスに自己の識別符号を設定したパケットを作成して信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。尚、この制御コマンドには第2のパターングループに属さない第2操作制御端末器1Bの識別符号及び制御内容は含まれていない。
第2操作制御端末器1B〜1Dにおいては、信号伝送部12で当該パケットを受信して制御部10に渡す。第2操作制御端末器1Bの制御部10では、受け取ったパケットに含まれる制御コマンドに自己の識別符号が含まれていないので、負荷Lの制御は行わずに現在の負荷Lの状態(点灯又は消灯)をデータに設定したパケット(負荷状態通知のパケット)を生成して信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。一方、第2操作制御端末器1C,1Dの制御部10では、受け取ったパケットに含まれる制御コマンドに自己の識別符号が含まれているので、自己の識別符号と対応する制御内容(調光レベル)で負荷Lを調光点灯させるための制御信号を負荷駆動部14に出力する。負荷駆動部14では制御部10から受け取った制御信号に応じて駆動回路を介して負荷Lに給電する単位時間当たりの給電量を調整させる。また第2操作制御端末器1C,1Dの制御部10では、制御コマンドを受け取ってから所定の待機時間が経過した後、制御コマンドを含むパケットの送信元アドレスに設定されている第1操作制御端末器1Aの識別符号を宛先アドレスに設定するとともに自己の識別符号を送信元アドレスに設定し、且つ制御後の負荷Lの状態(調光レベル)をデータに設定した負荷状態通知のパケットを生成して信号伝送部12より信号線Lsを介して送信させる。さらに制御部10は、制御後の負荷Lの状態に応じて自己の動作表示部15の表示を変更する。
第1操作制御端末器1Aでは、信号伝送部12で当該パケットを受信して制御部10に渡し、制御部10では、受け取ったパケットに含まれる負荷Lの状態を記憶部13に記憶させる。そして、操作スイッチS53に対応した第2のパターングループに属する全ての第2操作制御端末器1C,1Dから負荷状態通知のパケットを受け取れば、制御部10は動作表示部15の発光素子LD53を点灯させて第2のパターン制御が実行中であることを表示する。尚、第1のパターン制御の動作については基本的に第2のパターン制御の動作と共通であるから説明は省略する。
本実施形態においても実施形態1と同様に、遠隔制御機能(一括制御機能)を有する第1操作制御端末器1Aでモード切換スイッチ(図示せず)が操作されると、第1操作制御端末器1Aの制御部10が動作モードを運用モードから登録モードに切り換えるとともに、登録モードへの切換を指示する制御コマンドを含むパケットを信号伝送部12より信号線Lsを介してマルチキャスト伝送する。そして、当該パケットを受け取った第2操作制御端末器1B〜1Dの制御部10は、動作モードを運用モードから登録モードに切り換える。尚、登録モードにおいて第1操作制御端末器1Aの制御対象グループに第2操作制御端末器1B〜1Dの識別符号を登録する手順については、実施形態1と共通であるから詳細な説明を省略する。