JP4820099B2 - フレキシブル転写体及びフレキシブル光ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性樹脂を転写材料として用いるフレキシブル光ディスクの製造方法に関する。
近年、光ディスクはリムーバブルであり、かつ大容量であることから記録再生用の記録媒体として広く普及しているが、通常1.2mmまたは0.6mmのポリカーボネート基板に転写層を成膜して、この転写層に情報を記録し、これを再生するものである。記録,再生を行う転写層の記録面上に光を集光するため、記録,再生時の光ピックアップに対する記録面の位置精度が必要であることから、基板を平坦にして剛性を持たせ、さらに、光ピックアップにサーボ制御を掛けて、前記位置精度を出している。
また、光ディスクの記録容量を高めるために対物レンズの開口数(NA)を上げたりレーザー光を短波長化したりして、光スポットをさらに小径化するBlu-rayディスク等の研究開発が進められている。他方、対物レンズの開口数(NA)を上げるためには基板の面振れ(チルト)を小さくしなければならないので、製造基板の平面精度を高めて、ピックアップにチルト(面振れ)サーボ機構を搭載し、または、転写層上に0.1mm程度の薄いカバー層を設けて、このカバー層側から記録,再生することでチルト(面振れ)マージンを拡大することなどが行われている。
光ディスクの基板チルト(面振れ)を小さくすることは、材料や製法の工夫により達成可能であるが、光ディスクの製造コストが高くなる。また、光ピックアップにチルト(面振れ)サーボ機構を搭載することも同様に、光ピックアップのコストが高くすることになる。
また、光ディスクの基板を通さずに転写層側から再生するものも、転写層の面と対物レンズの距離が0.1mm程度しか確保できないことから、剛体である通常の光ディスクを回転させて対物レンズとの衝突を防ぐためには、面振れを小さくして光ディスクのチャッキング装置のチャッキング精度を向上させる必要がある。しかし、これらも光ディスク、記録再生装置のコストアップにつながるという問題がある。
そこで、剛体である光ディスクの機械的な平面精度を高くするのではなく、図4に示すように光ディスク1を可撓性にして、記録層1aと保護層1bからなる記録再生面と反対側にガイド2を設け、記録再生面側には光ピックアップの対物レンズ3を設けて、可撓性の光ディスク1を対物レンズ3とガイド2で挟んだ状態にする。この光ディスク1の回転によって空気力学的にガイド2で光ディスク1を浮上(ベルヌーイ方式;非接触浮上)させ、これによって、対物レンズ3に対して記録再生面の位置を安定化させ、その面振れを限りなく「0」に近づけるものも研究開発されている。
前記の可撓性の光ディスク(以下、フレキシブル光ディスクという)の基板を作製するための従来工法として、PET(ポリエチレンテレフタラート)のフィルムなどのフレキシブルシート表面に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を塗布してスタンパの微細凹凸パターンを転写しこれを熱硬化させて、その後、転写層を成膜する熱プレス法や、同じくフレキシブルシート表面に紫外線硬化型樹脂を塗布してスタンパの微細凹凸パターンを転写し、紫外線硬化させてから転写層を成膜する2P(Photo Polymerization)法(特許文献1参照)や、可撓性の有機物シートを軟加点以上に加熱し、スタンパを圧着させて転写した後、冷却してシートとスタンパを剥離する方法(特許文献2参照)などがある。
また、例えば特許文献3に記載されている従来技術として、透明のフィルムを熱圧着するダイレクトエンボス法がある。この技術では昇温してから圧着するが、面内の温度ばらつき、応力ばらつきを極限に均一にすることが困難であるので、光学特性や機械的強度、反りなどにばらつきが発生しやすい。また、スタンパ,フィルム,押圧用プレートの平行度精度を厳しく管理する必要がある。
ここで、図5に示すようなスタンパ6と押圧用の上側,下側プレート7a,7bの平行度の精度において、スタンパ6とフィルム5がθ傾いた場合を考えると、φ120mmのCDやDVDのサイズを想定した場合に発生する高さHは(数1)に示す値となる。
Figure 0004820099
フレキシブル光ディスクのプリフォーマットパターンは、深さが数十nm〜0.1μm程度なので、フィルム5とスタンパ6の傾きθが1分あっても、3μmのギャップができることになり、これに押圧力を掛けても完全に吸収できるものではないと思われる。つまり転写ばらつきが大きくなる。
他方、前記2P法は転写性に優れており、この部分に関するポテンシャルは他の転写工法より優れている。2P法の場合、フレキシブル光ディスクの厚みは、転写するフィルム,転写層等の厚みの総和である。フィルム自身は工業的に量産されていることにより、その厚み分布は±1μm程度である。しかし、一般的なフィルムは厚み振幅こそ±1μm程度であるが、円周方向における厚み変化が激しく、スパイク状に変化している。また、2P法により樹脂をスタンパに展延後、スタンパとフィルムを上下のプレートで吸引させ、貼り合わせる場合に、前述のダイレクトエンボス法と同様、スタンパとフィルム間に傾きが生じると、転写ばらつきが大きくなる。特に2P法の場合、ダイレクトエンボス法ほど圧力を掛けないので、この傾きはほとんど修正不可である。
特許第2942430号公報 特開平6−60423号公報 特開平11−273147号公報
前述したガイドとフレキシブル光ディスクの間に形成される空気軸受けによって、フレキシブル光ディスクの面振れを安定化させる場合、フィルムまたはフレキシブル光ディスクの可撓性によって面振れを安定化させることができる。
他方、フォーカスサーボ制御の追従性は面振れの高周波領域において限界があり、フォーカスサーボ制御の追従性がフォーカスエラーを増大させて、記録再生精度を低下させる。これは、フレキシブル光ディスクの記録容量、記録再生速度を高めるときの大きな課題である。
そして、フレキシブル光ディスクの面振れの周波数成分を解析したところ、面振れの高周波領域は基板であるフィルムの厚みのばらつきに大きく依存することが判明した。
フレキシブル光ディスクのうねりは空気軸受けで大方矯正され、またうねりによる面振れ分は振動振幅が低周波領域なのでフォーカスサーボ制御が追従できる帯域であることから、そのフォーカスエラー発生への影響は小さい。しかし、フレキシブル光ディスクでは、その裏面とガイドとの間に一定の隙間を保持しつつ高速回転することから基板の板厚のばらつきが、回転による当該表面の面振れをもたらし、特にガイドに近接する裏面の凹凸による厚みのばらつきの影響がことに著しく、フィルムの厚み不均一による面振れが、フォーカスサーボ制御の追従でき得る高周波領域での振動振幅を大きく越えるため、残留フォーカスエラーが大きくなるものと判断される。
すなわち、前述したBlu-rayディスクで要求されているカバー層(フィルム)は光学透過層としての機能が必要なので、複屈折を限りなく小さくする必要があるが、該光ディスクシステムにおいては表面記録型であるが故に、光学特性はフリーで良い。しかし、表面性状に絡む特性は限りなく押さえ込む必要がある。
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、硬化時に架橋構造をとらない硬化性樹脂を転写材料として用いるフレキシブル光ディスクの基板厚みのばらつきを小さくし、厚さを均一にしたフレキシブル光ディスクの製造方法の提供を目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載されたフレキシブル光ディスクの製造方法は硬化性樹脂を転写材料として用いるフレキシブル光ディスクを製造する製造方法であって、以下の如き特徴を有する。
即ち、表面にプリフォーマットパターンを有した回転体であるスタンパに対して、液状の硬化性樹脂を回転中心もしくは回転中心近傍に塗工する工程と、塗工した硬化性樹脂上にフレキシブルなフィルムを接液して、遠心力により硬化性樹脂を周端にまで展延させる工程と、化学もしくは熱エネルギーを供給して硬化性樹脂を硬化させ、スタンパから剥離する工程とを有し、フィルムに硬化性樹脂を転写したフレキシブル光ディスクを得る。
塗工した硬化性樹脂上にフレキシブルなフィルムを接液する際、フレキシブルなフィルムの硬化性樹脂と接液する面と反対側の面に、保護フィルムを貼り合わせ、該保護フィルムの圧縮応力により、フィルムの形態が真横から見て凹状もしくはU字型の形態となるようにし、前記遠心力により硬化性樹脂を周端にまで展延させるとともに、前記フレキシブルなフィルムを前記遠心力により平坦化する。
請求項1に記載された方法で製造されたフレキシブル光ディスクは、表面記録型の記録再生面となる転写面の反対側にガイドを近接させ、フレキシブル光ディスクを空気力学的に安定化させることができる
前記製造方法によれば、硬化性樹脂を転写材料として用いるフレキシブル光ディスクについて、その基板厚みのばらつき、転写層の厚みのばらつきを小さくすることにより、面振れを抑制可能で高品質なフレキシブル媒体を得ることができる。
本発明によれば、硬化性樹脂を転写材料として用いるフレキシブル光ディスクにおいて、その基板厚みのばらつき、転写層の厚みのばらつきを小さくし、転写材料を均一に転写でき、面振れを抑制可能で高品質なフレキシブル媒体を得ることができるという効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
図1(a),(b),(c)は本発明の実施の形態におけるフレキシブル光ディスクの製造方法を示した模式図である。
本実施の形態に係るフレキシブル光ディスクの製造方法によれば、図1(a)に示すように、表面にプリフォーマットパターンの機能形状を有する型のスタンパ12に対して、硬化性樹脂13を回転中心もしくは回転中心近傍に塗工し、図1(b)に示すように、塗工した硬化性樹脂13上にフレキシブルなフィルム11を接液して、遠心力により硬化性樹脂13を周端にまで展延させる。これにより、硬化性樹脂13中に空気を巻き込みにくく、またフィルム11には回転時の遠心力により放射方向に均等に緊張力が掛かり、スタンパ12に対して平行に配置されることになる。スタンパ12とフィルム11で形成された平行な隙間に対して、硬化性樹脂13が終端にまで展延していくことにより、硬化性樹脂13の層の厚みも均一なものとなり得る。
なお、フレキシブルなフィルム11が塗工した硬化性樹脂13上に選択的に接液させるために、フレキシブルなフィルム11の形態が真横から見て凹状もしくはU字型の形態となるように、フレキシブルなフィルム11の硬化性樹脂13と接液する面と反対側の面に、保護フィルム11a貼り合わせ、保護フィルム11a側に圧縮応力が掛かるようにすることより、フレキシブルなフィルム11の形態が真横から見て凹状もしくはU字型の形態にする
特に、硬化性樹脂13が硬化時に架橋構造をとらないフォトポリマー材料(例えば、単官能アクリレートモノマー材料)であれば、材料自身の分子量分布が少ないので、周囲の高分子材料が硬化して、その内部の低分子材料が未硬化により発生するマイクロゲルが発生することなく、極めて平滑性の良い転写層が得られる。化学もしくは熱エネルギーを供給して硬化性樹脂13を硬化させ、剥離することにより得られる厚みの均一なフレキシブル光ディスクが得られることになる(図1(c)参照)。
前述したようにフレキシブルな転写体の1例として、プリフォーマットパターンを有するスタンパ12に、硬化性樹脂13を回転中心もしくは回転中心近傍に塗工し、フィルム11を接液して遠心力により硬化性樹脂13を周端にまで展延させて、硬化性樹脂13を硬化させスタンパ12から剥離して得られるフレキシブル光ディスクがある。
フレキシブルなフィルム11の任意の半径位置における円周方向の任意の1/100周区間の厚みばらつきが0.1μm 以下と、極めて均一なフィルム11で構成されていて、またスタンパ12とフィルム11で形成された平行な隙間に対して、硬化性樹脂13が終端にまで展延後に硬化されることにより、硬化性樹脂13による転写層の任意の半径位置における円周方向の任意の1/100周区間の厚みばらつきが0.1μm 以下となり、平坦性の良好な、厚みの均一なフレキシブル光ディスクが得られる。
硬化性樹脂13は、硬化時に収縮反応を起こすため、硬化収縮の影響を緩和させるため、硬化性樹脂13の層の厚みは薄いものが要求され、粘度が10〜100mPa・sの単官能アクリレートモノマー材料が望ましい。フィルム11基板の厚みが30〜300μmにより、バランスの良い空気軸受けを形成するために、フレキシブル光ディスクの面振れを安定化でき、残留フォーカスエラーを極めて小さくできるので、高品質な記録再生特性が達成される。
ちなみに、フレキシブルなディスクの例として、光ディスクに限らずフロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスクも考えられる。これに前述した同様のプロセスを一部適用することが可能である。ロール状のフィルムに対して磁性層を形成する場合は異なるが、ディスクサイズに加工されたフィルムに対して磁性層を形成する場合は、フィルムを遠心力で緊張力を付与しながら磁性層を塗工することで、厚みの均一な磁性層の形成が可能となる。また、フロッピー(登録商標)ディスクの場合は、光ディスクには必須であったプリフォーマット形状を転写形成する必要がないので、スタンパの微細形状の転写プロセスは不要となる。
また、マイクロレンズアレーの作製においても同様の問題があり、レンズ形状自身を均一に転写できたとしても、転写樹脂層自身の厚みにばらつきがあると、あるいは基板自身に傾きが生じると、結果的にマイクロレンズアレーの高さがばらつき、マイクロレンズアレーの光軸方向にも傾きが生じて、例えば複写機のような電子写真装置における光学系において、十分な機能品質が得られず、画質の劣化につながるが、前述した同様のプロセスを用いることで、転写形状が均一で、しかも転写層厚みが均一にでき、マイクロレンズアレーの高さばらつきのない高品質なマイクロレンズアレーを得ることができる。
次いで、本実施の形態によるフレキシブル光ディスクの構造とその製造方法の実施例について図1を参照しながら説明する。
図2は本実施の形態の実施例1におけるプリフォーマットパターンを有するスタンパを示す平面図である。
図2に示すスタンパ12上に、硬化時に架橋構造をとらない硬化性樹脂13である単官能アクリレートモノマー材料であるノニルフェノキシエチルアクリレート(粘度80mPa・s)を、任意内周半径位置に対してドーナツ状に塗工する。フィルム11として背面にポリエチレンの保護フィルム11aが貼り合わしてある厚み100μmのPC(ポリカーボネート)フィルムを、塗工された硬化性樹脂13に選択的に接液させ、スタンパ12を回転させることで硬化性樹脂13を周端にまで展延させ、紫外線を照射することで硬化性樹脂13が硬化する。スタンパ12からPCフィルムと硬化性樹脂13が接着したものを剥離し、記録膜の成膜等を施して、フレキシブル光ディスクが完成する。
図4に示した評価装置でフレキシブル光ディスクを回転させ、ガイド2を接近させて空気浮上によりフレキシブル光ディスクの面振れを安定化させ、フォーカス,トラッキングサーボ制御をロックさせて記録再生を行う。本実施例1の構成では、フレキシブル光ディスクの面振れが安定化して高品質な記録再生特性が得られた。
本実施の形態の実施例2は、スタンパ12上に、硬化時に架橋構造をとらない硬化性樹脂である単官能アクリレートモノマー材料であるトリシクロデカニルオキシアクリレート(粘度12mPa・s)を、任意内周半径位置に対してドーナツ状に塗工する。フィルム11として背面にポリエチレンの保護フィルム11aが貼り合わしてある厚み75μmのPETフィルムを、塗工された硬化性樹脂13に選択的に接液させ、スタンパ12を回転させることで硬化性樹脂13を周端にまで展延させ、紫外線を照射することで硬化性樹脂13が硬化する。スタンパ12からPETフィルムと硬化性樹脂13が接着したものを剥離し、記録膜の成膜等を施して、フレキシブル光ディスクが完成する。
本実施例2において、前述の実施例1の場合と同様に、フレキシブル光ディスクの面振れが安定化し、高品質な記録再生特性が得られた。
本実施の形態の実施例3は、スタンパ12上に、硬化時に架橋構造をとらない硬化性樹脂である単官能アクリレートモノマー材料であるテトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート(20〜200mPa・s)を、任意内周半径位置に対してドーナツ状に塗工する。フィルム11として背面にポリエチレンの保護フィルム11aが貼り合わしてある厚み100μmのゼオノアフィルムを、塗工された硬化性樹脂13に選択的に接液させ、スタンパ12を回転させることで、硬化性樹脂13を周端にまで展延させ、紫外線を照射することで硬化性樹脂13が硬化する。スタンパ12からゼオノアフィルムと硬化性樹脂13が接着したものを剥離し、記録膜の成膜等を施して、フレキシブル光ディスクが完成する。
本実施例3においても、前述した実施例1の場合と同様に、ディスクの面振れが安定化し、高品質な記録再生特性が得られた。
図3(a)は複数のマイクロレンズアレー群のパターンを有するスタンパを示す平面図である。図3(a)に示すスタンパ12の上に、硬化時に架橋構造をとらない硬化性樹脂13である単官能アクリレートモノマー材料であるノニルフェノキシエチルアクリレート(粘度80mPa・s)を、任意内周半径位置に対してドーナツ状に塗工する。フィルム11として背面にポリエチレンの保護フィルム11aが貼り合わしてある厚み100μmのPCフィルムを、塗工された硬化性樹脂13に選択的に接液させ、スタンパ12を回転させることで硬化性樹脂13を周端にまで展延させ、紫外線を照射することで硬化性樹脂13が硬化する。スタンパ12からPCフィルムと硬化性樹脂13が接着したものを剥離し、マイクロレンズアレーの転写体が得られる。
複数のマイクロレンズアレー群を専用装置で所望の形状にカッティングすることで、結果的に1回の転写により多数個のマイクロレンズアレーを得ることが可能となる(図3(b)参照)。これにより、転写形状が均一で、しかも転写層厚みが均一なので、マイクロレンズアレーの高さばらつきがほとんどなく、高品質なマイクロレンズアレーとして、複写機等の書き込みまたは読みとり光学系に適用可能である。
なお、比較例として、スタンパ12上に、硬化時に架橋構造をとる多官能アクリレートモノマー材料(粘度10000mPa・s、硬化収縮率3%)を、任意内周半径位置に対してドーナツ状に塗工する。フィルム11として背面にポリエチレンの保護フィルム11aが貼り合わしてある厚み100μmのPETフィルムを、塗工された硬化性樹脂13に選択的に接液させてスタンパ12を回転させることで硬化性樹脂13を周端にまで展延させ、紫外線を照射することで硬化性樹脂13が硬化する。スタンパ12からPETフィルムと硬化性樹脂13が接着したものを剥離し、記録膜の成膜等を施して、フレキシブル光ディスクが完成する。
この参考例においては、硬化性樹脂13による転写層の表面外観は無数のマイクロゲルが見られる。このために、転写層の表面には高さが1μm程度の凹凸を生じて、これが厚みばらつきとなっている。表面が平滑な転写層を得ることができない。したがって、フィルム基板及び転写層の厚みばらつきが重畳することで、フォーカスサーボ制御をロックすることすら不可能となり、もはや光ディスクとして機能しなくなった。
本発明に係るフレキシブル光ディスクの製造方法は、硬化時に架橋構造をとらない硬化性樹脂を転写材料として用いるフレキシブル光ディスクの基板厚みや転写層の厚みのばらつきを小さくして転写材料を均一に転写でき、面振れを抑制可能で高品質なフレキシブル媒体を得ることができ、フレキシブル光ディスクの製造方法として有用である。
本発明の実施の形態におけるフレキシブル光ディスクの製造方法(a),(b),(c)を示した模式図である。 本実施の形態の実施例1におけるプリフォーマットパターンを有するスタンパを示す平面図である。 (a)は複数のマイクロレンズアレー群のパターンを有するスタンパ、(b)多数個のマイクロレンズアレーを示す平面図である。 フレキシブル光ディスクとガイドと対物レンズの状態を模式的に示す断面図である。 透明のフィルムを熱圧着するダイレクトエンボス法を示す模式図である。
符号の説明
1 光ディスク
1a 記録層
1b 保護層
2 ガイド
3 対物レンズ
4 スピンドル
5,11 フィルム
6,12 スタンパ
7a 上側プレート
7b 下側プレート
11a 保護フィルム
13 硬化性樹脂
14 チャッキングテーブル
15 センターポール

Claims (1)

  1. 硬化時に架橋構造をとらない硬化性樹脂を転写材料として用いるフレキシブル光ディスクを製造する製造方法であって、表面にプリフォーマットパターンを有した回転体であるスタンパに対して、液状の前記硬化性樹脂を回転中心もしくは回転中心近傍に塗工する工程と、前記塗工した硬化性樹脂上にフレキシブルなフィルムを接液して、遠心力により硬化性樹脂を周端にまで展延させる工程と、化学もしくは熱エネルギーを供給して前記硬化性樹脂を硬化させ、前記スタンパから剥離する工程とを有し、前記フィルムに前記硬化性樹脂を転写したフレキシブル光ディスクを得るフレキシブル光ディスクの製造方法において、
    前記塗工した硬化性樹脂上にフレキシブルなフィルムを接液する際、前記フレキシブルなフィルムの硬化性樹脂と接液する面と反対側の面に、保護フィルムを貼り合わせ、該保護フィルムの圧縮応力により、前記フィルムの形態が真横から見て凹状もしくはU字型の形態となるようにし、前記遠心力により硬化性樹脂を周端にまで展延させるとともに、前記フレキシブルなフィルムを前記遠心力により平坦化することを特徴とするフレキシブル光ディスクの製造方法
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