JP5353091B2 - 転写基板、及び基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、転写基板、及び基板の製造方法に関する。
高速記録用の表面記録型フレキシブル光ディスク(薄型光ディスク)の作製においては、一般に、まず凹凸微細パターンを有する転写基板を作製しておき、この転写基板の凹凸微細パターンが形成された面に記録膜を成膜して薄型光ディスクとしている。転写基板は、フォトリソグラフィー等により形成した凹凸微細パターン(プリグルーブ形状)を有するスタンパ(型)から、紫外線硬化型樹脂等の硬化性樹脂により凹凸微細パターン転写して作製する。具体的には、スタンパ(型)又はフィルム基板に紫外線硬化型樹脂等を塗布しておき、スタンパとフィルム基板とを圧接して、スタンパの凹凸微細パターンを紫外線硬化型樹脂等に転写し、そのまま紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂等を硬化させ、硬化した樹脂をフィルム基板と一体としたままスタンパから剥離している。この場合、紫外線硬化型樹脂等には、気泡が巻き込みやすく、形成された転写層に気泡が残っていると、ピックアップの際に誤動作を起こしやすく、光ディスクの性能として好ましくない。そこで、このような光ディスクの硬化型樹脂等の転写層形成においては、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に記載の光ディスクの製造方法においては、スタンパ上に紫外線硬化型樹脂を塗布した後、基板を圧接する前に、スタンパ上の雰囲気を減圧にし、紫外線硬化型樹脂中の気泡を脱気し、その後基板をスタンパに圧接し、紫外線硬化型樹脂を拡散させながら、紫外線硬化型樹脂中の気泡をさらに脱気する。そして、紫外線硬化型樹脂が基板表面に完全に拡散したら、雰囲気を大気圧に戻して、残留している気泡を誤動作の原因にならない程度に小さく圧縮してから、光照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させる。このような光ディスクの製造方法により、紫外線硬化型樹脂の塗布、拡散中に気泡を巻き込むことがなく、紫外線硬化型樹脂中に存在していた気泡も除去できるとしている。
また、薄型光ディスクの保護層(ハードコート層)については、転写基板をスピナー(硬化型樹脂等の遠心塗布装置)にセットし、転写基板のハードコートしたい面の中心部にハードコート層となる紫外線硬化型樹脂等を円環状に塗工後、転写基板を高速回転させ、転写基板上の紫外線硬化型樹脂等を遠心力により展延させ、これに紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂等を硬化させることで、転写基板上にハードコート層を形成している。このようなスピナー工法は、遠心力により紫外線硬化型樹脂等を転写基板上に均一に塗工する上で優れた工法である。
特許文献2には、記録層の上面にウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂をスピンコートし、さらにその上にポリエチレンテレフタレートの保護膜層を減圧下で接着した光ディスクが開示されている。この場合も、紫外線硬化型樹脂を減圧下でポリエチレンテレフタレート膜と接着しているので、気泡の巻き込みを防ぐことが出来るとされている。そして、この為、紫外線硬化型樹脂の選択の幅が広がるとしている。
特許第927844号公報 特開平08−009643号公報
上述のように、光学特性の優れた転写基板が知られている。しかし、これまでの光ディスクにおいては、記録レートが250Mbpsというような高速での記録再生は考慮されていなかった。しかし、ハイビジョンテレビ映像対応の薄型光ディスクにおいては、記録レート250Mbps、回転数15000rpm程度の性能が必要とされている。このような薄型光ディスクでは、ピックアップの誤動作に対する制限はさらに厳しくなる。この為、特許文献1に記載の光ディスクにおける転写層の形成方法や、特許文献2に記載の光ディスクにおける保護層(ハードコート層)の形成方法では、気泡の除去や、転写層や保護層の均一性が十分とは言えない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、気泡の形成が少なく、形状の均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性に優れた転写層及び/又は保護層を備えた、高速記録レート用の薄型光ディスクに適した転写基板、及び基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、回転板上に載置され、表面に機能形状を有する型の回転中心付近に、脱泡した硬化性樹脂を略円環状に塗工する硬化性樹脂塗工工程と、前記硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、前記回転板上の型及びフィルム基板を一体的に回転させて、前記硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、前記展延した硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程とを順に実行する転写基板の製造方法であって、少なくとも前記硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、及び前記硬化性樹脂展延工程を、減圧チャンバー内で実施し、前記硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする転写基板の製造方法である。
本発明は、回転板上に載置され、表面に機能形状を有する型の回転中心付近に、脱泡した第1の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第1の硬化性樹脂塗工工程と、第1の硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、前記回転板上の型及びフィルム基板を一体的に回転させて、第1の硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延する第1の硬化性樹脂展延工程と、前記展延した第1の硬化性樹脂を硬化させる第1の硬化性樹脂硬化工程と、前記フィルム基板の、第1の硬化性樹脂を展延した面と反対側の面の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第2の硬化性樹脂塗工工程と、第2の硬化性樹脂を塗工したフィルム基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、前記回転板上の型、フィルム基板、及び剥離基板を一体的に回転させて、第2の硬化性樹脂を前記フィルム基板と剥離基板との間に展延する第2の硬化性樹脂展延工程と、前記フィルム基板と剥離基板との間に展延した第2の硬化性樹脂を硬化させる第2の硬化性樹脂硬化工程とを順に実行する転写基板の製造方法であって、少なくとも第1の硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、第2の硬化性樹脂塗工工程前記剥離基板載置工程第1の硬化性樹脂展延工程、及び第2の前記硬化性樹脂展延工程を、減圧チャンバー内で実施し、前記硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする転写基板の製造方法である。
本発明は、回転板上に載置され、表面に機能形状を有する型の回転中心付近に、脱泡した第1の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第1の硬化性樹脂塗工工程と、第1の硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、前記型上に載置したフィルム基板上の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第2の硬化性樹脂塗工工程と、第2の硬化性樹脂を塗工したフィルム基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、前記回転板上の型、フィルム基板、及び剥離基板を一体的に回転させて、第1の硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延し、第2の硬化性樹脂を前記フィルム基板と剥離基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、前記型とフィルム基板との間に展延した第1の硬化性樹脂と、前記フィルム基板と剥離基板との間に展延した第2の硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程とを順に実行する転写基板の製造方法であって、少なくとも、第1の硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、第2の硬化性樹脂塗工工程前記剥離基板載置工程、及び前記硬化性樹脂展延工程を、減圧チャンバー内で実施し、前記硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする転写基板の製造方法である。
本発明は、前記脱泡した硬化性樹脂は、真空脱泡した硬化性樹脂であることを特徴とする前記転写基板の製造方法である。
本発明は、回転板上に載置された基板の回転中心付近に、脱泡した硬化性樹脂を略円環状に塗工する硬化性樹脂塗工工程と、前記硬化性樹脂を塗工した基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、前記回転板上の基板と剥離基板を一体的に回転させて、前記硬化性樹脂を前記基板と剥離基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、前記展延した硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程とを順に実行する基板の製造方法であって、少なくとも前記硬化性樹脂塗工工程剥離基板載置工程、及び前記硬化性樹脂展延工程を、減圧チャンバー内で実施し、前記硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする基板の製造方法である。
本発明は、前記脱泡した硬化性樹脂は、真空脱泡した硬化性樹脂であることを特徴とする前記基板の製造方法である。
本発明によれば、気泡の形成が少なく、形状の均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性に優れた転写層及び/又は保護層を備えた薄型光ディスクに適した、高速記録レート用の転写基板、及び基板の製造方法を提供することができる。
本発明の転写基板の製造方法は、回転板上に載置され、表面に機能形状を有する、型(スタンパ)の回転中心付近に、脱泡した硬化性樹脂を略円環状に塗工する硬化性樹脂塗工工程と、前記硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、前記回転板上の型及びフィルム基板を一体的に回転させて、前記硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、前記展延した硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程とを有する。そして、少なくとも前記硬化性樹脂塗工工程、及びフィルム基板載置工程は、減圧チャンバー内で実施することを特徴とする。さらに好ましくは、前記硬化性樹脂展延工程も減圧チャンバー内で実施する。
本発明の転写基板の製造方法においては、所謂スピン工法により転写層を形成している。しかし、通常のスピン工法をそのまま採用しているものではない。本発明の製造方法においては、硬化性樹脂を事前に脱泡している。一般に、硬化性樹脂には気泡を内蔵しているものが多く、粘度も高いので、塗工を減圧環境下で実施する程度では、十分な脱泡が困難な場合が多い。
硬化性樹脂の脱泡が容易でない例を示すと、例えば、図3に、気泡を巻き込みやすい高粘度の硬化性樹脂を脱泡せずに硬化させた外観写真の一例を示した。ちなみに、図3においてはミクロンオーダーから数ミリの大小様々な気泡が無数に存在する。これでは、光学特性を要求される光ディスクには使用できない。この硬化性樹脂を遠心式の脱泡装置で、常圧で脱泡してから硬化させた外観写真を図4に示した。遠心式の脱泡装置は、かなりの脱泡性能を有しており、大きな気泡はほとんど消滅するが、50〜100μmレベルの気泡は残存する。
これに対し、同じ遠心式の脱泡装置を用いて、0.1〜0.2hPa程度の絶対圧で真空脱泡(減圧脱泡)すると、図5の硬化したの硬化性樹脂の外観写真に示すように、ほとんど気泡はなくなっていた。真空脱泡すると、気泡は、0.1〜0.2hPa程度の圧力の真空下にさらされると大気圧下の体積の約500〜1000倍に膨張するので、容易に気液分離される。そして、真空脱泡中に脱泡出来なかった小さな気泡は、大気圧に戻すことで、逆に体積が約500〜1000分の1程度に小さくなり、ほとんど硬化性樹脂中に溶解してしまい消滅してしまう。なお、真空下においては、硬化性樹脂中に溶解していた空気などのガスや、気化し易い有機溶剤なども、硬化性樹脂中から気化して分離されているものと考えられる。
本発明において使用する硬化性樹脂は、このように脱泡された硬化性樹脂である。なお、脱泡においては、真空脱泡又は減圧脱泡(本願においては、真空脱泡及び減圧脱泡を合わせて真空脱泡と総称する。)することが好ましく、特に遠心分離と真空脱泡を組み合わせた脱泡方法が好ましい。上記の真空脱泡例では、0.1〜0.2hPa程度の絶対圧で真空脱泡しているが、必ずしもこのような高真空にして脱泡しなくてもよい。硬化性樹脂の種類や製造方法によっては、例えば絶対圧10hPa程度の真空度でも十分に真空脱泡可能である。
本発明の転写基板の製造方法におけるスピン工法は、減圧チャンバー中に配置したスピナーのターンテーブル(回転板)上にスタンパ(表面に機能形状を備えた型)をセットし、スタンパ中心部付近にパターン転写層となる硬化性樹脂を円環状に塗工する。硬化性樹脂の塗工は、減圧にしたチャンバー内のスタンパの中心付近に硬化性樹脂の塗工用のノズル先端を配置し、このノズルから脱泡された硬化性樹脂を放出しながらターンテーブルを回転させればよい。ターンテーブルの回転に伴って、硬化性樹脂がスタンパ上に円環状に塗工される。通常、ターンテーブルの回転は一回転でよいが、硬化性樹脂の塗工量によっては、複数回転させて硬化性樹脂を塗工してもよい。
次に、硬化性樹脂を塗工したスタンパ上に、フィルム基板を載せて、スタンパとフィルム基板を密着させる。このとき、スタンパ上に円環状に塗工された硬化性樹脂は、スタンパとフィルム基板の間で押しつぶされながら、毛細管現象により拡がる。硬化性樹脂の塗工においては、フィルム基板をスタンパ上に載せたときに、硬化性樹脂がスタンパの機能形状の最内周より内側、さらにはフィルム基板の内周の端部まで拡がるような位置にすることが好ましい。なお、硬化性樹脂のスタンパへの塗工工程と、フィルム基板のスタンパへの載置工程においては、減圧下で操作されるので、気泡は巻き込まれにくいが、さらに硬化性樹脂が気泡を巻き込まないように注意して操作することが好ましい。
次に、フィルム基板をスタンパ上に載せたまま、ターンテーブルを高速回転させ、スタンパとフィルム基板の間の硬化性樹脂を遠心力によりスタンパとフィルム基板の間の外周部まで展延させる。硬化性樹脂がフィルム基板の外周部まで展延したら、ターンテーブルの回転を停止する。本発明においては、スタンパとフィルム基板で硬化性樹脂を挟んだ状態で、ターンテーブルを高速回転させ、硬化性樹脂を展延させているので、硬化性樹脂は非常に均一なフィルム状に展延される。特に、円周方向に加えて半径方向での形状均一性が高いので、光ディスクの転写基板などには好適である。また、スタンパとフィルム基板で硬化性樹脂を挟んだ状態で、硬化性樹脂を展延させているので、気泡を巻き込む恐れは少ない。しかし、高速回転での硬化性樹脂の展延は脱泡作用も発揮できるので、減圧チャンバーは減圧にしておくことが好ましい。
硬化性樹脂の硬化は、硬化性樹脂として例えば紫外線硬化型樹脂を用いた場合、紫外線を照射して硬化させればよい。硬化性樹脂が硬化したら、フィルム基板と硬化した硬化性樹脂を一体化させたままスタンパから剥離すれば、フィルム基板上の硬化樹脂(硬化した後の硬化性樹脂)にスタンパの凹凸形状などの機能形状を転写した転写基板を作製することが出来る。なお、紫外線照射等の硬化性樹脂の硬化操作においては、硬化性樹脂中に残留している可能性のある気泡をつぶしてしまうことが好ましいので、紫外線照射等の硬化操作前に減圧チャンバーを大気圧に戻すことが好ましい。また、一般には、硬化性樹脂の硬化はスタンパに付着したままの状態で行うので、紫外線硬化などのエネルギー線を利用する硬化性樹脂を用いる場合は、フィルム基板はエネルギー線を透過する材料を用いることが好ましい。勿論、エネルギー線を透過するスタンパを用い、スタンパ側からエネルギー線を照射することも出来る。
このようにして製造された転写基板は、フィルム基板上に凹凸形状などの機能形状を転写した硬化樹脂層を備えており、硬化樹脂層には気泡が含まれておらず、硬化樹脂層の厚さの均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性が優れている。この為、高速記録用の光ディスクの転写基板として優れた性能を有している。
本発明の保護層(ハードコート層)を備えた転写基板の製造方法は、回転板上に載置され、表面に機能形状を有する、型の回転中心付近に、脱泡した第1の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第1の硬化性樹脂塗工工程と、第1の硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、前記回転板上の型及びフィルム基板を一体的に回転させて、第1の硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延する第1の硬化性樹脂展延工程と、前記展延した第1の硬化性樹脂を硬化させる第1の硬化性樹脂硬化工程と、前記フィルム基板の、第1の硬化性樹脂を展延した面と反対側の面の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第2の硬化性樹脂塗工工程と、第2の硬化性樹脂を塗工したフィルム基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、前記回転板上の型、フィルム基板、及び剥離基板を一体的に回転させて、第2の硬化性樹脂を前記フィルム基板と剥離基板との間に展延する第2の硬化性樹脂展延工程と、前記フィルム基板と剥離基板との間に展延した第2の硬化性樹脂を硬化させる第2の硬化性樹脂硬化工程と、を有する転写基板の製造方法である。そして、この転写基板の製造方法は、少なくとも第1の硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、第2の硬化性樹脂塗工工程、及び前記剥離基板載置工程を減圧チャンバー内で実施する。
本発明の保護層を備えた転写基板の第1の製造方法は、展延した第1の硬化性樹脂を硬化させる第1の硬化性樹脂硬化工程までは、上述の本発明の保護層を備えていない転写基板の製造方法における、展延した硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程までと同じである。このため、第2の硬化性樹脂塗工工程以降について詳しく説明する。
第1の硬化性樹脂硬化工程は、窒素雰囲気等の常圧下で実施されることが多いので、第1の硬化性樹脂硬化工程において作製した、スタンパ上の硬化した第1の硬化性樹脂を備えたフィルム基板を、再度スタンパごと減圧チャンバー内のターンテーブル上にセットして、フィルム基板の、第1の硬化性樹脂を展延した面と反対側の面の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第2の硬化性樹脂塗工工程を実行する。第2の硬化性樹脂は、第1の硬化性樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよいが、第1の硬化性樹脂と同じように脱泡されている必要がある。第2の硬化性樹脂をフィルム基板の回転中心付近に略円環状に塗工する方法は、すでに説明したスタンパ上への硬化性樹脂塗工工程と同じようにすればよい。
剥離基板載置工程、第2の硬化性樹脂展延工程、及び第2の硬化性樹脂硬化工程も、すでに説明した本発明の保護層を備えていない転写基板の製造方法における、フィルム基板載置工程、硬化性樹脂展延工程、及び硬化性樹脂硬化工程と同じように実施すればよい。なお、この場合、本発明の保護層を備えていない転写基板の製造方法におけるフィルム基板を剥離基板と読み替え、硬化性樹脂を第2の硬化性樹脂と読み替え、スタンパをフィルム基板と読み替えればよい。一般には、硬化性樹脂の硬化はスタンパに付着したままの状態で行うので、紫外線硬化などのエネルギー線を利用する硬化性樹脂を用いる場合は、フィルム基板及び剥離基板はエネルギー線を透過する材料を用いることが好ましい。第2の硬化性樹脂の硬化操作が終了したら、剥離基板を硬化した第2の硬化性樹脂の保護層から剥離し、スタンパからフィルム基板ごと硬化した第1の硬化性樹脂を剥離すれば、保護層を備えた転写基板が出来上がる。
このようにして製造された転写基板は、フィルム基板上に凹凸形状などの機能形状を転写した硬化樹脂層を備えており、硬化樹脂層には気泡が含まれておらず、硬化樹脂層の厚さの均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性が優れている。この為、高速記録用の光ディスクの転写基板として優れた性能を有している。さらに、この転写基板は、フィルム基板上には気泡が含まれておらず、硬化樹脂の厚さの均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性が優れた保護層(ハードコート層)を備えており、耐傷性や耐摩耗性、耐汚染性に優れるだけでなく、保護層に気泡が含まれておらず、厚さの均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性が優れているので、光学透過能を有する保護層を介しての光ピックアップに対しても好適である。
本発明の保護層を備えた転写基板の第2の製造方法は、回転板上に載置され、表面に機能形状を有する、型の回転中心付近に、脱泡した第1の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第1の硬化性樹脂塗工工程と、第1の硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、前記型上に載置したフィルム基板上の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第2の硬化性樹脂塗工工程と、第2の硬化性樹脂を塗工したフィルム基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、前記回転板上の型、フィルム基板、及び剥離基板を一体的に回転させて、第1の硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延し、第2の硬化性樹脂を前記フィルム基板と剥離基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、前記型とフィルム基板との間に展延した第1の硬化性樹脂と、前記フィルム基板と剥離基板との間に展延した第2の硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程と、を有する転写基板の製造方法であって、少なくとも、第1の硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、第2の硬化性樹脂塗工工程、及び前記剥離基板載置工程を、好ましくはさらに硬化性樹脂展延工程を、減圧チャンバー内で実施することを特徴とする。
本発明の保護層を備えた転写基板の第2の製造方法(第2の製造方法と呼ぶ。)は、上述した本発明の保護層を備えた転写基板の第1の製造方法(第1の製造方法と呼ぶ。)と類似しているので、相違している点を中心に説明する。
第1の製造方法では、フィルム基板載置工程の次に第1の硬化性樹脂展延工程及び第1の硬化性樹脂硬化工程により、スタンパ上に塗工した第1の硬化性樹脂を展延し、硬化させていたが、第2の製造方法では、フィルム基板載置工程の次に、フィルム基板をスタンパ上に載置したまま、減圧チャンバーの中にセットしておき、第2の硬化性樹脂塗工工程として、フィルム基板上の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する。この第2の硬化性樹脂塗工工程、及び剥離基板載置工程は、第1の製造方法の第2の硬化性樹脂塗工工程、及び剥離基板載置工程と同じように実施すればよい。
第2の製造方法における硬化性樹脂展延工程は、第1の製造方法と相違して、ターンテーブル上のスタンパ、フィルム基板、及び剥離基板を一体的に回転させて、第1の硬化性樹脂をスタンパとフィルム基板との間に展延し、第2の硬化性樹脂をフィルム基板と剥離基板との間に展延する。すなわち、第1の硬化性樹脂と第2の硬化性樹脂を同時に展延してしまう。この硬化性樹脂展延工程も、第1の製造方法同様、減圧チャンバー内で実施することが好ましい。
そして、第2の製造方法における硬化性樹脂硬化工程は、硬化性樹脂展延工程においてスタンパとフィルム基板との間に展延した第1の硬化性樹脂と、フィルム基板と剥離基板との間に展延した第2の硬化性樹脂を硬化させる工程である。硬化性樹脂の硬化は、熱硬化性樹脂であれば、温度を上げて硬化させ、紫外線硬化性樹脂などであれば紫外線照射などをすればよい。この場合、第1の硬化性樹脂と第2の硬化性樹脂の硬化方法が異なっていてもよいが、同じである方が好ましい。それぞれの硬化性樹脂の硬化方法が同じであれば、容易に同時に硬化させることが出来る。また、一般には、硬化性樹脂の硬化はスタンパに付着したままの状態で行うので、紫外線硬化などのエネルギー線を利用する硬化性樹脂を用いる場合は、フィルム基板と剥離基板はエネルギー線を透過する材料を用いることが好ましい。
第2の製造方法により製造した転写基板は、フィルム基板上に凹凸形状などの機能形状を転写した硬化樹脂層を備えており、硬化樹脂層には気泡が含まれておらず、硬化樹脂層の厚さの均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性が優れている。この為、高速記録用の光ディスクの転写基板として優れた性能を有している。さらに、この転写基板は、フィルム基板上には気泡が含まれておらず、厚さの均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性が優れた保護層(ハードコート層)を備えており、耐傷性や耐摩耗性、耐汚染性に優れるだけでなく、保護層に気泡が含まれておらず、厚さの均一性、特に円周方向に加えて半径方向の厚さの均一性が優れているので、保護層を介しての光ピックアップに対しても好適である。さらに、この第2の製造方法は、硬化性樹脂展延工程と、硬化性樹脂硬化工程をそれぞれ一回とすることが出来、減圧チャンバーを減圧にすることも一回で済み、製造工程の短縮の面からも、製造のためのエネルギー節約の面からも好ましい。
本発明のもう一つの転写基板の製造方法は、保護層を備えた転写基板の製造方法であり、機能形状を付与されただけで、保護層が積層されていない転写基板に対して保護層を形成する、保護層付き転写基板の製造方法である。なお、ここで説明する転写基板の製造方法は、転写基板だけでなく、基板一般に保護層を積層する基板の製造方法の発明にも適用できる。この転写基板の製造方法は、回転板上に載置された基板の回転中心付近に、脱泡した硬化性樹脂を略円環状に塗工する硬化性樹脂塗工工程と、前記硬化性樹脂を塗工した基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、前記回転板上の基板と剥離基板を一体的に回転させて、前記硬化性樹脂を前記基板と剥離基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、前記展延した硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程と、を有する転写基板の製造方法であって、少なくとも前記硬化性樹脂塗工工程、及び剥離基板載置工程を減圧チャンバー内で実施することを特徴とする。
この転写基板の製造方法(第3の製造方法と呼ぶ。)は、保護層を備えた転写基板の製造方法のうち、すでに説明した第1の製造方法の後半である保護層形成工程(第2の硬化性樹脂塗工工程以降)と類似している。第1の製造方法において、第1の硬化性樹脂硬化工程により展延した第1の硬化性樹脂を硬化させて得られた、機能形状を有する第1の硬化樹脂層(第1の硬化性樹脂を硬化させた樹脂層)の積層されたフィルム基板を、第3の製造方法における転写基板用の基板とし、硬化性樹脂塗工工程、剥離基板載置工程、硬化性樹脂展延工程、及び硬化性樹脂硬化工程は、それぞれ第1の製造方法における第2の硬化性樹脂塗工工程、剥離基板載置工程、第2の硬化性樹脂展延工程、及び第2の硬化性樹脂硬化工程に相当する操作を実行すればよい。
第3の製造方法では、硬化性樹脂塗工工程において基板がターンテーブル上に載置されていない場合は、ターンテーブル上に載置してから、硬化性樹脂を塗工基板上に塗工する。基板のターンテーブル上への載置においては、保護膜を形成したい面を上にして載置する。なお、ターンテーブル上に載置した基板は、硬化性樹脂塗工工程から硬化性樹脂展延工程終了までは、ターンテーブルに対し固定されている。そして、硬化性樹脂塗工工程と、剥離基板載置工程とは、好ましくは硬化性樹脂展延工程も含めて、減圧チャンバー内で実行される。しかし、硬化性樹脂硬化工程は、大気圧に戻してから実行されることが好ましい。
次に、本発明の具体的な実施例を、図面を参照にして説明する。
(実施例1)
本発明の転写基板の製造方法の実施例1は、表面記録型もしくは光学基板透過型光ディスクの作製方法である。実施例1の概略製造工程を図1A〜図1Gに示す。図1Aの転写基板の製造工程(1)に示すように、フォトリソグラフィーによりプリグルーブ形状3(凹凸の機能形状)が形成され中心穴を有する型であるスタンパ2(外径サイズφ130mm)を、真空ポンプ11と真空度調節バルブ12により真空度1Torr(1.5hPa)にした真空チャンバー1内のターンテーブル6上に載置する。なお、スタンパ2を真空チャンバー1内に載置してから、真空チャンバー1を真空にしてもよい。
予め、真空遠心式の脱泡装置である真空撹拌脱泡ミキサー(UFO−2;株式会社EME製)を用い、真空度1Torr(1.5hPa)、公転800rpm、自転400rpm、で10分間脱泡しておいた光硬化性樹脂5(アクリレートモノマーを用いた。)を、真空チャンバー1内でプランジャーポンプ(ユニコントロールズ製;ハイバーポンプCV)に充填しておく。図1Bの転写基板の製造工程(2)に示すように、真空チャンバー1内で脱泡された光硬化性樹脂5を、プランジャーポンプの吐出口のノズル10先端から、スタンパ2上の中心部付近に、円環状に0.5cc塗工する。光硬化性樹脂5の塗工は、ノズル10先端をスタンパ2上の回転中心付近に移動させ、スタンパをゆっくりと等速で一回転させながら光硬化性樹脂5をスタンパ2上に吐出すればよい。スタンパ2上に光硬化性樹脂5の円環状の塗工が終わったら、ノズル10は後退させて次工程のフィルム基板4の載置操作の邪魔にならないようにしておく。
図1Cの転写基板の製造工程(3)に示すように、スタンパ2上に中心穴を有する円盤状のPCフィルム(帝人製ピュアーエース)基板4を、回転中心を合わせて載置する。具体的操作は、真空チャンバー1内の上部に、基板保持具8の吸着板9により固定しておいたフィルム基板4を、基板保持具8を降下させて、ターンテーブル6の中心軸7にフィルム基板4を嵌め込めばよい。
フィルム基板4を吸着板9から分離すれば、図1Dの転写基板の製造工程(4)に示すように、フィルム基板4は自重により、光硬化性樹脂5を押しつぶし、さらに、光硬化性樹脂5は毛細管現象によりスタンパ2上に拡がり、プリグルーブ形状3エリア(記録エリアに相当する。)より内側の内周側にも展延する。
光硬化性樹脂5がフィルム基板4のほぼ内周まで達したら、図1Eの転写基板の製造工程(5)に示すように、ターンテーブル6を3000rpmで20秒間回転させて光硬化性樹脂5をスタンパ2とフィルム基板4の間隙全体(少なくともプリグルーブ形状3エリアの間隙全体)に展延する。
光硬化性樹脂5の展延が終了したら、真空チャンバー1を窒素により常圧に戻し、図1Fの転写基板の製造工程(6)に示すように、ターンテーブル6上から、スタンパ2ごと光硬化性樹脂5が積層されたフィルム基板4を取り出し、フィルム基板4の上部から光照射(ウシオ電機製超高圧水銀灯(USH−500BY1)で20sec照射)し光硬化性樹脂を硬化させ硬化樹脂とする。この際、窒素パージをしながら、フィルム基板4の取り出しと光照射をすることが好ましい。
図1Fの転写基板の製造工程(6)に示したフィルム基板4の任意の外周部に粘着テープを貼り付け、スタンパ2を固定して粘着テープを軽く引っ張ることで、転写基板15は容易に剥離可能である。剥離した転写基板15は、図1Gの転写基板の製造工程(7)に示すように、フィルム基板4の下面に、凹凸の機能形状(スタンパ2のプリグルーブ形状3を転写された機能形状)を有する硬化樹脂層5'が積層されている。そして、この硬化樹脂層5'は、気泡の混入がなく、厚さが均一であり、この硬化樹脂層5'を備えた転写基板15は、高速記録用の薄型光ディスクの転写基板として好適である。この転写基板15に、記録膜の成膜された薄型光ディスクはフォーカス、トラッキングも良好で、再生信号特性も平坦な反射率(RF信号)が得られた。図6に、転写基板15に記録膜を成膜した薄型光ディスクのフォーカス性能を示した。この薄型光ディスクは、面ぶれも少なく、フォーカスエラーのほとんどない良好な性状であることがわかる。また、当実施例では、転写基板の製造工程に言及しているが、転写基板に拘ることなく、基板上の単純な塗工膜を均一に製造することにも効果的である。
(実施例2)
本発明の転写基板の製造方法の実施例2は、実施例1と光硬化性樹脂5の塗工用のポンプが相違しているが、他の操作は実施例1と同じである。具体的な相違点は、実施例1においては、脱泡しておいた光硬化性樹脂5であるアクリレートモノマーを、真空チャンバー1内でプランジャーポンプに充填して、このプランジャーポンプからノズル10を介して光硬化性樹脂5をスタンパ2上に塗工したが、実施例2においては、光硬化性樹脂5を真空シリンジ充填装置(VF−S;株式会社EME製)に充填して、この真空シリンジ充填装置からノズル10を介して光硬化性樹脂5をスタンパ2上に塗工した点であり、他の操作は実施例1と同じである。実施例2において作製した転写基板も実施例1で作製した転写基板とほぼ同じ性能を有していた。
(実施例3)
本発明の転写基板の製造方法の実施例3は、実施例2において作製した転写基板15にさらに保護層(ハードコート層)を付加した転写基板の製造方法である。実施例3は、実施例2において説明した転写基板の製造工程(1)〜(6)(図1A〜1F参照)までと同様にしてスタンパ2上に硬化樹脂5'とフィルム基板4を積層する。
次に、図2Aのハードコート層付き転写基板の製造方法(1)に示すように、硬化樹脂5'とフィルム基板4を積層したスタンパ2を、ふたたび真空チャンバー1内のターンテーブル6にセットし真空度を1Torr(1.5hPa)とする。なお、真空チャンバー1の上部には、事前に剥離基板16を基板保持具8で保持して準備しておく。
図2Bのハードコート層付き転写基板の製造方法(2)に示すように、図1Bの転写基板の製造方法(2)で説明した光硬化性樹脂5と同じ脱泡した光硬化性樹脂17を0.5cc程度、フィルム基板4上の中心部付近に移動させた真空シリンジ充填装置のノズル10から放出する。その際、ターンテーブル6をゆっくり一回転させれば、光硬化性樹脂17はフィルム基板4上の中心部付近に円環状に塗工される。
図2Cのハードコート層付き転写基板の製造方法(3)に示すように、真空チャンバー1の上部に準備しておいた剥離基板16を、下降させてフィルム基板4上に配置する。
剥離基板16から基板保持具8を分離すれば、図2Dのハードコート層付き転写基板の製造方法(4)に示すように、剥離基板16は、自重によりフィルム基板4と密着し、光硬化性樹脂5はフィルム基板4と剥離基板16の間隙に押しつぶされながら毛細管現象により拡散する。
光硬化性樹脂17がフィルム基板4の内周まで展延してきたら、図2Eのハードコート層付き転写基板の製造方法(5)に示すように、ターンテーブル6を3000rpmで20秒間回転させ、光硬化性樹脂17をフィルム基板4と剥離基板16の間隙全体に展延する。
光硬化性樹脂17の展延が終了したら、真空チャンバー1を窒素ガスで常圧に戻し、ターンテーブル6ごと光硬化性樹脂17と剥離基板16の積層されたフィルム基板4を取り出す。このとき、光硬化性樹脂17と剥離基板16の積層されたフィルム基板4は窒素雰囲気中に保持しておくことが好ましい。
図2Fのハードコート層付き転写基板の製造方法(6)に示すように、スタンパ2ごと取り出した光硬化性樹脂17と剥離基板16の積層されたフィルム基板4に、超高圧水銀灯の光を20秒間照射することで光硬化性樹脂17を硬化させる。
光硬化性樹脂17の硬化が終了したら、光硬化性樹脂17は保護層17'となる。剥離基板16の任意の外周部に粘着テープを貼り付け軽く引っ張ることで、剥離基板16を剥離する。さらに、硬化樹脂層5'を、スタンパ2から剥離して、図2Gのハードコート層付き転写基板の製造方法(7)に示すような表面が平滑な、ハードコート層付き転写フィルム基板18が得られる。
この硬化樹脂層5'、及び保護層17'は、気泡の混入がなく、厚さが均一であり、硬化樹脂層5' 、及び保護層17'を備えた転写基板18は、高速記録用の薄型光ディスクの転写基板として好適である。この転写基板18に、記録膜の成膜された薄型光ディスクはフォーカス、トラッキングも良好で、再生信号特性も平坦な反射率(RF信号)が得られた。この転写基板18も、図6に示した転写基板15に記録膜を成膜した薄型光ディスクのフォーカス性能とほぼ同等の性能を示した。さらに、転写基板18は保護膜17'を備えているので、傷や汚れにも強く、実用的な転写基板である。
(比較例1)
比較例1は、実施例1と類似の操作で転写基板を作製した。実施例1との相違は、実施例1において、真空脱泡した硬化性樹脂5を用いて、真空チャンバー中で実施した操作を、脱泡しない硬化性樹脂を用いて、全ての操作を大気中で実施した点である。このようにして作製した転写基板に記録膜を真空成膜後、性能を測定したら、機械特性は良いものの、信号特性が不良であった。、硬化樹脂中のマイクロバブル(気泡)が原因の欠陥が多発し光特性を劣化させ、信号特性が不良になったものと考えられる。図7に、転写基板から作製した光ディスクのフォーカス特性を示したが、明らかに図6に較べて残留フォーカスエラーが多いことがわかる。
(比較例2)
比較例2は、実施例3と類似の操作で転写基板を作製した。実施例3との相違は、実施例3において真空脱泡した硬化性樹脂17を用いて、真空チャンバー中で実施した操作を、脱泡しない硬化性樹脂を用いて、すべて大気中で実施した点である。このようにして作製した転写基板に記録膜を真空成膜後、性能を測定したら、機械特性は良いものの、信号特性が不良であった。、硬化樹脂中のマイクロバブルが原因の欠陥が多発し光特性を劣化させ、信号特性が不良になったものと考えられる。この転写基板から作製した光ディスクのフォーカス特性も図7に示すフォーカス特性と類似しており、図6に較べて残留フォーカスエラーが多かった。
転写基板の製造工程(1) 転写基板の製造工程(2) 転写基板の製造工程(3) 転写基板の製造工程(4) 転写基板の製造工程(5) 転写基板の製造工程(6) 転写基板の製造工程(7) ハードコート層付き転写基板の製造工程(1) ハードコート層付き転写基板の製造工程(2) ハードコート層付き転写基板の製造工程(3) ハードコート層付き転写基板の製造工程(4) ハードコート層付き転写基板の製造工程(5) ハードコート層付き転写基板の製造工程(6) ハードコート層付き転写基板の製造工程(7) 脱泡せずに硬化させた樹脂の写真 大気圧脱泡して硬化させた樹脂の写真 真空脱泡して硬化させた樹脂の写真 本発明の転写基板の再生信号特性を示すグラフ 比較例の転写基板の再生信号特性を示すグラフ
符号の説明
1 :真空チャンバー(減圧チャンバー)
2 :スタンパ(型)
3 :プリグルーブ形状(機能形状)
4 :フィルム基板
5 :硬化性樹脂
5' :硬化樹脂層
5a :機能形状(転写されたプリグルーブ形状)
6 :ターンテーブル(回転板)
7 :回転軸
8 :基板保持具
9 :吸着板
10 :ノズル
11 :真空ポンプ
12 :真空度調節バルブ
13 :回転軸
14 :照射光
15 :転写基板
16 :剥離膜
17 :硬化性樹脂
17' :保護層(ハードコート層)
18 :転写基板(ハードコート層付き転写基板)

Claims (6)

  1. 回転板上に載置され表面に機能形状を有する型の回転中心付近に、脱泡した硬化性樹脂を略円環状に塗工する硬化性樹脂塗工工程と、
    前記硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、
    前記回転板上の型及びフィルム基板を一体的に回転させて、前記硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、
    前記展延した硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程と
    順に実行する転写基板の製造方法であって、
    少なくとも前記硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、及び前記硬化性樹脂展延工程を減圧チャンバー内で実施し、前記硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする転写基板の製造方法。
  2. 回転板上に載置され表面に機能形状を有する型の回転中心付近に、脱泡した第1の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第1の硬化性樹脂塗工工程と、
    第1の硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、
    前記回転板上の型及びフィルム基板を一体的に回転させて、第1の硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延する第1の硬化性樹脂展延工程と、
    前記展延した第1の硬化性樹脂を硬化させる第1の硬化性樹脂硬化工程と、
    前記フィルム基板の、第1の硬化性樹脂を展延した面と反対側の面の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第2の硬化性樹脂塗工工程と、
    第2の硬化性樹脂を塗工したフィルム基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、
    前記回転板上の型、フィルム基板、及び剥離基板を一体的に回転させて、第2の硬化性樹脂を前記フィルム基板と剥離基板との間に展延する第2の硬化性樹脂展延工程と、
    前記フィルム基板と剥離基板との間に展延した第2の硬化性樹脂を硬化させる第2の硬化性樹脂硬化工程と
    順に実行する転写基板の製造方法であって、
    少なくとも第1の硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、第1の硬化性樹脂展延工程、第2の硬化性樹脂塗工工程前記剥離基板載置工程、及び第2の硬化性樹脂展延工程を減圧チャンバー内で実施し、第1の硬化性樹脂硬化工程と第2の硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする転写基板の製造方法。
  3. 回転板上に載置され表面に機能形状を有する型の回転中心付近に、脱泡した第1の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第1の硬化性樹脂塗工工程と、
    第1の硬化性樹脂を塗工した型上にフィルム基板を載置するフィルム基板載置工程と、
    前記型上に載置したフィルム基板上の回転中心付近に、脱泡した第2の硬化性樹脂を略円環状に塗工する第2の硬化性樹脂塗工工程と、
    第2の硬化性樹脂を塗工したフィルム基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、
    前記回転板上の型、フィルム基板、及び剥離基板を一体的に回転させて、第1の硬化性樹脂を前記型とフィルム基板との間に展延し、第2の硬化性樹脂を前記フィルム基板と剥離基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、
    前記型とフィルム基板との間に展延した第1の硬化性樹脂と、前記フィルム基板と剥離基板との間に展延した第2の硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程と
    順に実行する転写基板の製造方法であって、
    少なくとも、第1の硬化性樹脂塗工工程、前記フィルム基板載置工程、第2の硬化性樹脂塗工工程前記剥離基板載置工程、及び前記硬化性樹脂展延工程を減圧チャンバー内で実施し、前記硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする転写基板の製造方法。
  4. 前記脱泡した硬化性樹脂および前記脱泡した第1の硬化性樹脂は、真空脱泡した硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の転写基板の製造方法。
  5. 回転板上に載置された基板の回転中心付近に、脱泡した硬化性樹脂を略円環状に塗工する硬化性樹脂塗工工程と、
    前記硬化性樹脂を塗工した基板上に剥離基板を載置する剥離基板載置工程と、
    前記回転板上の基板と剥離基板を一体的に回転させて、前記硬化性樹脂を前記基板と剥離基板との間に展延する硬化性樹脂展延工程と、
    前記展延した硬化性樹脂を硬化させる硬化性樹脂硬化工程と
    順に実行する基板の製造方法であって、
    少なくとも前記硬化性樹脂塗工工程及び剥離基板載置工程、及び硬化性樹脂展延工程を減圧チャンバー内で実施し、前記硬化性樹脂硬化工程を大気圧下で、又は窒素による常圧下で実施することを特徴とする基板の製造方法。
  6. 前記脱泡した硬化性樹脂は、真空脱泡した硬化性樹脂であることを特徴とする請求項に記載の基板の製造方法。
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