JP2004152455A - 光ディスクとその製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂フィルムを用いて多層構造に形成した光ディスクとその製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】樹脂フィルムを光ディスクの内外径に打ち抜いて情報記録形状を転写したフィルム基板3は、その情報記録面がベース基板2に対面するように貼り合わせる。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂フィルムを光ディスクの内外径に打ち抜いて情報記録形状を転写したフィルム基板3は、その情報記録面がベース基板2に対面するように貼り合わせる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、DVD等の光ディスクに関し、特に高密度光ディスクを製造することを可能にする樹脂フィルムを用いた光ディスクとその製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CDのように情報記録面が1面だけの単層光ディスクは、ディスク基板を射出成形する際に、ディスク表面に情報記録面とする凹凸ビットを成形することによって形成することができるが、DVDのように大量の情報を記録する光ディスクにおいては、情報記録面を多層構造に形成する必要がある。CDではディスク全体の厚さが1.2mmの単板であるが、DVDでは多層構造に構成するために厚さが0.6mmのディスクを2枚貼り合わせて全体厚さを1.2mmに形成するのが現状の規格になっている。しかし、動画のように記録密度の高さが要求される場合に0.6mmの厚さが障害となる。即ち、ドライブ側では光ビームを絞り込んで高密度化に対応させるために、ドライブレンズの開口数が0.65〜0.80のものが既に存在するが、開口数が0.85より大きく(光ビームの絞り径が小さくなる)なると、0.6mmのディスク厚さでは情報記録面までの距離が長すぎて読み取り不可能となる。そこで、貼り合わせる一方のディスク厚を薄くして情報記録面までの距離を短くする必要が生じる。つまり、一方のディスク厚を0.1〜0.2mmに、他方のディスク厚を1.0〜1.1mm厚にして、貼り合わせたときに全体厚さが1.2mmとなるようなDVDの製造方法が必要となる。
【0003】
しかし、ディスク厚0.4mm以下で光学的特性を満たすディスクを射出成形によって製造することは、現在の成形技術では不可能であり、これを解決すべく樹脂フィルムを用いた光ディスクの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
上記樹脂フィルムを用いた光ディスクは、図11(a)に示すように、射出成形により第1層の情報記録面101aを形成し、第1層の情報記録面101aの表面に反射膜を成膜し、樹脂105を介在させたベース基板101上に、ロールから繰り出された樹脂フィルム102にテンションを与えた状態に配置する。次に、図11(b)に示すように、第2層の情報記録面102aを形成する凹凸ビット103aが形成されたスタンパ103を加熱して樹脂フィルム102上に押圧することにより、図11(c)に示すように、ベース基板101に第2の情報記録面102aが転写された樹脂フィルム102がベース基板101に接合されるので、図21(d)に示すように、裁断カッター104により樹脂フィルム102をベース基板101と同一サイズにカットすることにより2層に情報記録面を形成した光ディスクを製造することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−263874号公報(第3〜6頁、図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に係る光ディスクの製造方法によって得られる多層構造の光ディスクは、第2の情報記録面102aが外方に曝された状態になるので、図12に示すように、第2の情報記録面102aを保護するために、保護膜106を形成する必要がある。この保護膜106を形成するために、光ディスクの製造工程数が増加し、それに伴う歩留りの低下や、設備コスト、材料コストが高くなる課題があった。
【0007】
本発明が目的とするところは、樹脂フィルムに形成した情報記録面を保護する保護膜の形成を不要にした光ディスクとその製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本願第1発明は、ベース基板と、その上に積層される少なくとも1枚のフィルム基板とに、それぞれ情報記録面が形成されてなる光ディスクであって、前記ベース基板から最も離れた最外層となるフィルム基板に形成される情報記録面は、ベース基板の情報記録面と対面するように形成されてなることを特徴とするもので、最外層のフィルム基板はその情報記録面がベース基板と対面する側に形成されているので、外方に露出する面は平坦面となるため、情報記録面を被覆する保護層を設ける必要がなく、製造工程を削減し設備コストや材料コストを削減して光ディスクを形成することができる。
【0009】
また、本願第2発明に係る光ディスクの製造方法は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いたフィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で、情報記録形状が形成されたスタンパによりフィルム基板上に情報記録形状を転写し、フィルム基板の情報記録形状が転写された表面に半透過膜を成膜して、その面がベース基板の情報記録面に対面するようにベース基板に貼り合わせて光ディスクに形成することを特徴とするもので、所定形状に打ち抜かれたフィルム基板を搬送手段上に保持して各加工工程に搬送するので、搬送手段を各加工工程において位置決めすると、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程が実施できる。
【0010】
また、本願第3発明に係る光ディスクの製造方法は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成すると同時に、情報記録形状が形成されたスタンパにより情報記録形状を転写したフィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で、フィルム基板の情報記録形状が転写された表面に半透過膜を成膜して、その面がベース基板の情報記録面に対面するようにしてベース基板に貼り合わせて光ディスクに形成することを特徴とするもので、樹脂フィルムからフィルム基板を打ち抜くと同時に情報記録形状が転写されるので情報記録面の中心軸の変動がなく、このフィルム基板を搬送手段上に保持して各加工工程に搬送するので、搬送手段を各加工工程において位置決めすると、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程が実施できる。
【0011】
上記各製造方法において、樹脂フィルムは熱可塑性を有し、加熱されたスタンパの押圧によりフィルム基板に情報記録形状を転写することにより、転写時間を短く確実な転写を行うことができる。
【0012】
また、フィルム基板への情報記録形状の転写を真空中で実施することにより、フィルム基板に気泡を発生させることなく転写むらのない転写が可能となる。
【0013】
また、本願第4発明に係る光ディスクの製造装置は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成する打ち抜き手段と、フィルム基板を保持して各加工工程にフィルム基板を搬送する搬送手段と、この搬送手段に保持されたフィルム基板に加熱されたスタンパを押圧して情報記録形状をフィルム基板に転写する転写手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板に形成された情報記録面の表面に半透過膜を成膜する成膜手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板の情報記録面をベース基板に形成された情報記録面と対面させた状態で対面間に注入された紫外線硬化性樹脂に紫外線照射してベース基板にフィルム基板を接合する接合手段と、を備えてなることを特徴とするもので、フィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で各加工工程に搬送でき、各加工工程において搬送手段を位置決めするとフィルム基板も位置決めされるので、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程を実施することができる。
【0014】
また、本願第5発明に係る光ディスクの製造装置は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成すると同時にフィルム基板に加熱されたスタンパを押圧して情報記録形状をフィルム基板に転写する打ち抜き転写手段と、情報記録形状が転写されたフィルム基板を保持して各加工工程にフィルム基板を搬送する搬送手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板に形成された情報記録面の表面に半透過膜を成膜する成膜手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板の情報記録面をベース基板に形成された情報記録面と対面させた状態で対面間に注入された紫外線硬化性樹脂に紫外線照射してベース基板にフィルム基板を接合する接合手段と、を備えてなることを特徴とするもので、樹脂フィルムからフィルム基板を打ち抜くと同時に情報記録形状が転写されるので情報記録面の中心軸の変動がなく、このフィルム基板を搬送手段上に保持して各加工工程に搬送するので、搬送手段を各加工工程において位置決めすると、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程が実施できる。
【0015】
上記各製造装置において、搬送手段は、保持面とフィルム基板面との間の空気を排気することにより大気圧の押圧によって面接触状態でフィルム基板を保持することができ、各加工工程への移動に真空吸着を維持する必要がなく、搬送手段を簡易に構成して確実な保持状態を得ることができる。
【0016】
また、搬送手段は、紫外線を透過する透明体によって形成することにより、フィルム基板をベース基板に紫外線硬化性樹脂により接合する際に、搬送手段を透過して紫外線を照射することができ、フィルム基板の全面にわたり均等な硬化状態を得ることができる。
【0017】
また、転写手段又は打ち抜き転写手段は、真空チャンバ内に配設するのが好適で、気泡を発生させることなく転写を実施することができる。
【0018】
また、転写手段を構成するスタンパには、情報記録形状の凹凸を逆向きに形成することにより、ベース基板に情報記録面を対面させてフィルム基板を接合しても情報記録面からの読み取りは正常に実施することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
本実施形態に係る光ディスク1は、図1に模式図として示すように、第1の情報記録面2aを形成したベース基板2と、第2の情報記録面3aを形成したフィルム基板3とが、第1及び第2の各情報記録面2a,3aを形成した凹凸ビット形成面が対面するようにして、両者間に注入成形された紫外線硬化性樹脂4によって接合されている。フィルム基板3に形成された第2の情報記録面3aの表面には半透過膜6が成膜され、ベース基板2に形成された第1の情報記録面2aの表面には反射膜5が成膜されているので、フィルム基板3側から入射させたレーザービームの焦点を第2の情報記録面3aに合わせると半透過膜6からの反射により記録された情報を読み取ることができる。また、レーザービームの焦点を第1の情報記録面2aに合わせると、レーザービームは半透過膜6を透過して反射膜5からの反射により記録された情報を読み取ることができる。
【0021】
上記構成のように、光ディスク1は、図12に示した従来技術と同様に樹脂フィルムを用いたディスクでありながら、フィルム基板3に形成された第2の情報記録面3aが内側に向いているので、従来技術のように保護膜106を設ける必要がなく、製造工程数を削減することができ、設備コスト及び材料コストの削減を図ることができる。このとき、第2の情報記録面3aの凹凸の向きは逆向きに形成することにより、レーザービームによる読み取り方向からは第1の情報記録面2aと同様の読み取りが可能となる。
【0022】
上記構成になる光ディスク1を製造する第1及び第2の各実施形態について以下に説明する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る光ディスクの製造方法の各工程を示すもので、以下に順を追って説明する。尚、図中に示すS1、S2…は各工程を示すステップ番号で、本文中に記載する番号と一致する。
【0024】
まず、ベース基板2を形成する(S1)。ベース基板2は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂の射出成形により、図3に示すように、片面に第1の情報記録面2aとなる凹凸ビットを形成したディスクを製造し、スパッタリング等の成膜手段により第1の情報記録面2a上に反射膜5を成膜する。
【0025】
次に、厚さ25〜200μmのポリカーボネート樹脂等により形成された熱可塑性フィルムを打ち抜き装置内に供給して、図4に示すように、光ディスク1の中央開口部に相当する中心穴20を形成すると共に、光ディスク1の外形に相当する円盤形状に樹脂フィルムを打ち抜いてフィルム基板3を形成する(S2)。
【0026】
フィルム基板3は真空吸引手段等により保持され、図5に示すように真空排気口48が設けられた真空チャンバ46内に配置された搬送治具(搬送手段)47上に位置決め載置される。搬送治具47は後工程を考慮して紫外線を充分に透過する透明ガラス体によって形成されている。また、フィルム基板3の搬送治具47上への位置決めは、搬送治具47の中心に出入り可能に配設された位置決め軸47aを突出させた状態にして、位置決め軸47aにフィルム基板3の中心穴20を嵌め合わせることにより実施できる。
【0027】
真空チャンバ46の蓋45を閉じ、真空排気口48から真空チャンバ46内の空気を排気し、真空チャンバ46内を1Torr程度の真空状態にすると、フィルム基板3と搬送治具47との間の空気が除去されるので、フィルム基板3は搬送治具47上に吸着され、位置決め軸47aを搬送治具47内に後退させ、真空チャンバ46の蓋45を開いて大気開放してもフィルム基板3は大気圧で搬送治具47に押圧され、搬送治具47上にフィルム基板3が固定された状態が得られる(S3)。
【0028】
フィルム基板3を吸着保持した搬送治具47を真空チャンバ46内から、図6に示す転写装置(転写手段)16内に搬送し(S4)、搬送治具47をヒータ15が内装された下板14上に位置決め配置する。転写装置16は、ヒータ11を内装し、下面にスタンパ保持具12が固定された上板10が前記下板14の上方に配設され、上板10は昇降軸13に沿って鉛直方向に昇降可能で、前記スタンパ保持具12は真空吸着によってスタンパ17を保持しており、前記ヒータ11によってスタンパ17が所定温度に加熱されるように構成されている。
【0029】
下板14上に配置された搬送治具47はヒータ15によって所定温度に加熱されるので、保持したフィルム基板3も加熱される。このフィルム基板3上に上板10を下降させ、加熱されたスタンパ17をフィルム基板3上に押圧することにより、スタンパ17に第2の情報記録面3aを形成するための凹凸ビットがフィルム基板3の片面に転写される(S5)。転写条件は、スタンパ17を160〜200℃に加熱し、押圧力:5〜70Kgf/cm2 、保圧時間:1〜60秒の範囲内に設定すると、熱可塑性樹脂で形成されたフィルム基板3の表面は、加熱加圧により塑性変形してスタンパ17の凹凸ビット形状が忠実に転写され、フィルム基板3の片面に第2の情報記録面3aが形成される。
【0030】
尚、上記転写装置16は図示するように真空チャンバ18内に配置して、転写工程を真空中で行うようにすると、フィルム基板3に気泡を発生させることなく転写が実施でき、高品質の転写が可能となる。
【0031】
第2の情報記録面3aが形成されたフィルム基板3は搬送治具47に保持された状態を維持してスパッタ装置(成膜手段)内に搬送する。スパッタ装置内において、フィルム基板3の第2の情報記録面3a上にはスパッタリングにより半透過膜が成膜される(S6)。
【0032】
次いで、図7(a)に示すように、スピンコータ75上にベース基板2を固定し、第1の情報記録面2a上に透明な紫外線硬化性樹脂4を塗布(1〜10ml)し、第2の情報記録面3aが第1の情報記録面2aに対面するようにフィルム基板3が塗布された紫外線硬化性樹脂4上に載るように搬送治具47を移動させる。図7(b)に示すように、スピンコータ75を1000〜7000rpmで3〜60秒間回転させると、紫外線硬化性樹脂4が凹凸の隅々まで充填され、余分な紫外線硬化性樹脂4は遠心力により除去される。次いで、図7(c)に示すように、透明ガラス体によって形成された搬送治具47を通して紫外線ランプ76からの紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂4を硬化させ、ベース基板2とフィルム基板3とを接合する(S7)。図7(d)に示すように、紫外線硬化性樹脂4の完全硬化を待って搬送治具47をフィルム基板3から離型させると、光ディスク1が完成する。
【0033】
続いて、第2の実施形態に係る光ディスク1の製造方法について説明する。尚、第1の実施形態の製造方法と同一の工程の説明は省略する。
【0034】
図8は、第2の実施形態に係る光ディスクの製造方法の各工程を示すもので、以下に順を追って説明する。尚、図中に示すS11、S12…は各工程を示すステップ番号で、本文中に記載する番号と一致する。
【0035】
まず、ベース基板2を形成する(S1)。この工程は第1の実施形態と同様である。
【0036】
次に、厚さ25〜200μmのポリカーボネート樹脂等の熱可塑性フィルム9を、図9に示すような打ち抜き転写装置(打ち抜き転写手段)50内に送給する。打ち抜き転写装置50は、ヒータ51を内装する上板52の下面にスタンパ53が吸着保持され、フィルム基板3の中心穴20を打ち抜く内径刃57と外径を打ち抜く外径刃58が固定されている。前記内径刃57及び外径刃58に対応する内径受け刃57a及び外径受け刃58aが下板54に形成され、内径受け刃57a及び外径受け刃58aはそれぞれスプリング56により支持されている。
【0037】
下板54上に送給された樹脂フィルム9に対し、上板52を下降させると、内径刃57及び外径刃58がそれぞれ内径受け刃57a及び外径受け刃58aに嵌入するときの剪断力により樹脂フィルム9は中心穴20を形成した光ディスク1の外径に打ち抜かれたフィルム基板3に形成される。上板52の更なる下降により打ち抜かれたフィルム基板3上にヒータ51によって加熱されたスタンパ53が押圧され、スタンパ53に形成された情報記録形状がフィルム基板3に転写される(S12)。
【0038】
所定形状に打ち抜かれ、情報記録形状が転写されたフィルム基板3は、下板54上から真空吸着手段によって吸着保持されて第1の実施形態において示した搬送治具47上に移載される(S13)。このフィルム基板3の移載工程を省略するために、図10に示すように、搬送治具62の配設位置を設けた打ち抜き転写装置60を用いることができる。
【0039】
図10において、下板61には搬送治具62を収容する凹部が形成されており、下板61に搬送治具62を収納して上板52を下降させ、下板61上に供給された樹脂フィルム9をフィルム基板3に打ち抜くと同時に、スタンパ53により情報記録形状を転写すると、情報記録形状が転写されたフィルム基板3は搬送治具62の表面に密着するので、下板61上から搬送治具62を離脱させて次工程に搬送移動させ、下板61上には新たな搬送治具を収納して次のフィルム基板3の受け入れに供する。
【0040】
フィルム基板3を保持した搬送治具47、62は、第1の実施形態と同様にスパッタリング装置内に移動して情報記録形状の表面に半透過膜を成膜し(S14)、接合工程に移動して図7に示した手順によりベース基板2にフィルム基板3が接合される(S15)。
【0041】
尚、打ち抜き転写装置50は真空チャンバ内に配設して、真空中で転写を行うことにより、気泡の発生による転写むらを防止することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明に係る光ディスクは、フィルム基板はそれに形成された情報記録面の形成面がベース基板に対面するようにして貼り合わされているので、情報記録面を保護するための保護膜を形成する必要がなく、製造工数が少なくコストダウンを図って高記録密度の多層光ディスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る光ディスクの断面構造を示す模式図。
【図2】同上光ディスクを製造する第1実施形態の工程を示すフローチャート。
【図3】ベース基板の断面構造を示す模式図。
【図4】フィルム基板の打ち抜き形状を示す平面図。
【図5】搬送治具にフィルム基板を保持させる構成を示す模式図。
【図6】転写装置の構成を示す模式図。
【図7】ベース基板とフィルム基板の接合手順を説明する模式図。
【図8】光ディスクを製造する第2実施形態の工程を示すフローチャート。
【図9】打ち抜き転写装置の構成を示す模式図。
【図10】打ち抜き転写装置の変形例構成を示す模式図。
【図11】従来技術に係る光ディスクの製造手順を示す模式図。
【図12】従来技術に係る光ディスクの断面構成を示す模式図。
【符号の説明】
1 光ディスク
2 ベース基板
2a 第1の情報記録面
3 フィルム基板
3a 第2の情報記録面
5 反射膜
6 半透過膜
16 転写装置
17、53 スタンパ
47、62 搬送治具
50 打ち抜き転写装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、DVD等の光ディスクに関し、特に高密度光ディスクを製造することを可能にする樹脂フィルムを用いた光ディスクとその製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CDのように情報記録面が1面だけの単層光ディスクは、ディスク基板を射出成形する際に、ディスク表面に情報記録面とする凹凸ビットを成形することによって形成することができるが、DVDのように大量の情報を記録する光ディスクにおいては、情報記録面を多層構造に形成する必要がある。CDではディスク全体の厚さが1.2mmの単板であるが、DVDでは多層構造に構成するために厚さが0.6mmのディスクを2枚貼り合わせて全体厚さを1.2mmに形成するのが現状の規格になっている。しかし、動画のように記録密度の高さが要求される場合に0.6mmの厚さが障害となる。即ち、ドライブ側では光ビームを絞り込んで高密度化に対応させるために、ドライブレンズの開口数が0.65〜0.80のものが既に存在するが、開口数が0.85より大きく(光ビームの絞り径が小さくなる)なると、0.6mmのディスク厚さでは情報記録面までの距離が長すぎて読み取り不可能となる。そこで、貼り合わせる一方のディスク厚を薄くして情報記録面までの距離を短くする必要が生じる。つまり、一方のディスク厚を0.1〜0.2mmに、他方のディスク厚を1.0〜1.1mm厚にして、貼り合わせたときに全体厚さが1.2mmとなるようなDVDの製造方法が必要となる。
【0003】
しかし、ディスク厚0.4mm以下で光学的特性を満たすディスクを射出成形によって製造することは、現在の成形技術では不可能であり、これを解決すべく樹脂フィルムを用いた光ディスクの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
上記樹脂フィルムを用いた光ディスクは、図11(a)に示すように、射出成形により第1層の情報記録面101aを形成し、第1層の情報記録面101aの表面に反射膜を成膜し、樹脂105を介在させたベース基板101上に、ロールから繰り出された樹脂フィルム102にテンションを与えた状態に配置する。次に、図11(b)に示すように、第2層の情報記録面102aを形成する凹凸ビット103aが形成されたスタンパ103を加熱して樹脂フィルム102上に押圧することにより、図11(c)に示すように、ベース基板101に第2の情報記録面102aが転写された樹脂フィルム102がベース基板101に接合されるので、図21(d)に示すように、裁断カッター104により樹脂フィルム102をベース基板101と同一サイズにカットすることにより2層に情報記録面を形成した光ディスクを製造することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−263874号公報(第3〜6頁、図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に係る光ディスクの製造方法によって得られる多層構造の光ディスクは、第2の情報記録面102aが外方に曝された状態になるので、図12に示すように、第2の情報記録面102aを保護するために、保護膜106を形成する必要がある。この保護膜106を形成するために、光ディスクの製造工程数が増加し、それに伴う歩留りの低下や、設備コスト、材料コストが高くなる課題があった。
【0007】
本発明が目的とするところは、樹脂フィルムに形成した情報記録面を保護する保護膜の形成を不要にした光ディスクとその製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本願第1発明は、ベース基板と、その上に積層される少なくとも1枚のフィルム基板とに、それぞれ情報記録面が形成されてなる光ディスクであって、前記ベース基板から最も離れた最外層となるフィルム基板に形成される情報記録面は、ベース基板の情報記録面と対面するように形成されてなることを特徴とするもので、最外層のフィルム基板はその情報記録面がベース基板と対面する側に形成されているので、外方に露出する面は平坦面となるため、情報記録面を被覆する保護層を設ける必要がなく、製造工程を削減し設備コストや材料コストを削減して光ディスクを形成することができる。
【0009】
また、本願第2発明に係る光ディスクの製造方法は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いたフィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で、情報記録形状が形成されたスタンパによりフィルム基板上に情報記録形状を転写し、フィルム基板の情報記録形状が転写された表面に半透過膜を成膜して、その面がベース基板の情報記録面に対面するようにベース基板に貼り合わせて光ディスクに形成することを特徴とするもので、所定形状に打ち抜かれたフィルム基板を搬送手段上に保持して各加工工程に搬送するので、搬送手段を各加工工程において位置決めすると、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程が実施できる。
【0010】
また、本願第3発明に係る光ディスクの製造方法は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成すると同時に、情報記録形状が形成されたスタンパにより情報記録形状を転写したフィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で、フィルム基板の情報記録形状が転写された表面に半透過膜を成膜して、その面がベース基板の情報記録面に対面するようにしてベース基板に貼り合わせて光ディスクに形成することを特徴とするもので、樹脂フィルムからフィルム基板を打ち抜くと同時に情報記録形状が転写されるので情報記録面の中心軸の変動がなく、このフィルム基板を搬送手段上に保持して各加工工程に搬送するので、搬送手段を各加工工程において位置決めすると、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程が実施できる。
【0011】
上記各製造方法において、樹脂フィルムは熱可塑性を有し、加熱されたスタンパの押圧によりフィルム基板に情報記録形状を転写することにより、転写時間を短く確実な転写を行うことができる。
【0012】
また、フィルム基板への情報記録形状の転写を真空中で実施することにより、フィルム基板に気泡を発生させることなく転写むらのない転写が可能となる。
【0013】
また、本願第4発明に係る光ディスクの製造装置は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成する打ち抜き手段と、フィルム基板を保持して各加工工程にフィルム基板を搬送する搬送手段と、この搬送手段に保持されたフィルム基板に加熱されたスタンパを押圧して情報記録形状をフィルム基板に転写する転写手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板に形成された情報記録面の表面に半透過膜を成膜する成膜手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板の情報記録面をベース基板に形成された情報記録面と対面させた状態で対面間に注入された紫外線硬化性樹脂に紫外線照射してベース基板にフィルム基板を接合する接合手段と、を備えてなることを特徴とするもので、フィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で各加工工程に搬送でき、各加工工程において搬送手段を位置決めするとフィルム基板も位置決めされるので、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程を実施することができる。
【0014】
また、本願第5発明に係る光ディスクの製造装置は、樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成すると同時にフィルム基板に加熱されたスタンパを押圧して情報記録形状をフィルム基板に転写する打ち抜き転写手段と、情報記録形状が転写されたフィルム基板を保持して各加工工程にフィルム基板を搬送する搬送手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板に形成された情報記録面の表面に半透過膜を成膜する成膜手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板の情報記録面をベース基板に形成された情報記録面と対面させた状態で対面間に注入された紫外線硬化性樹脂に紫外線照射してベース基板にフィルム基板を接合する接合手段と、を備えてなることを特徴とするもので、樹脂フィルムからフィルム基板を打ち抜くと同時に情報記録形状が転写されるので情報記録面の中心軸の変動がなく、このフィルム基板を搬送手段上に保持して各加工工程に搬送するので、搬送手段を各加工工程において位置決めすると、情報記録面の中心軸を変動させることなく各加工工程が実施できる。
【0015】
上記各製造装置において、搬送手段は、保持面とフィルム基板面との間の空気を排気することにより大気圧の押圧によって面接触状態でフィルム基板を保持することができ、各加工工程への移動に真空吸着を維持する必要がなく、搬送手段を簡易に構成して確実な保持状態を得ることができる。
【0016】
また、搬送手段は、紫外線を透過する透明体によって形成することにより、フィルム基板をベース基板に紫外線硬化性樹脂により接合する際に、搬送手段を透過して紫外線を照射することができ、フィルム基板の全面にわたり均等な硬化状態を得ることができる。
【0017】
また、転写手段又は打ち抜き転写手段は、真空チャンバ内に配設するのが好適で、気泡を発生させることなく転写を実施することができる。
【0018】
また、転写手段を構成するスタンパには、情報記録形状の凹凸を逆向きに形成することにより、ベース基板に情報記録面を対面させてフィルム基板を接合しても情報記録面からの読み取りは正常に実施することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
本実施形態に係る光ディスク1は、図1に模式図として示すように、第1の情報記録面2aを形成したベース基板2と、第2の情報記録面3aを形成したフィルム基板3とが、第1及び第2の各情報記録面2a,3aを形成した凹凸ビット形成面が対面するようにして、両者間に注入成形された紫外線硬化性樹脂4によって接合されている。フィルム基板3に形成された第2の情報記録面3aの表面には半透過膜6が成膜され、ベース基板2に形成された第1の情報記録面2aの表面には反射膜5が成膜されているので、フィルム基板3側から入射させたレーザービームの焦点を第2の情報記録面3aに合わせると半透過膜6からの反射により記録された情報を読み取ることができる。また、レーザービームの焦点を第1の情報記録面2aに合わせると、レーザービームは半透過膜6を透過して反射膜5からの反射により記録された情報を読み取ることができる。
【0021】
上記構成のように、光ディスク1は、図12に示した従来技術と同様に樹脂フィルムを用いたディスクでありながら、フィルム基板3に形成された第2の情報記録面3aが内側に向いているので、従来技術のように保護膜106を設ける必要がなく、製造工程数を削減することができ、設備コスト及び材料コストの削減を図ることができる。このとき、第2の情報記録面3aの凹凸の向きは逆向きに形成することにより、レーザービームによる読み取り方向からは第1の情報記録面2aと同様の読み取りが可能となる。
【0022】
上記構成になる光ディスク1を製造する第1及び第2の各実施形態について以下に説明する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る光ディスクの製造方法の各工程を示すもので、以下に順を追って説明する。尚、図中に示すS1、S2…は各工程を示すステップ番号で、本文中に記載する番号と一致する。
【0024】
まず、ベース基板2を形成する(S1)。ベース基板2は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂の射出成形により、図3に示すように、片面に第1の情報記録面2aとなる凹凸ビットを形成したディスクを製造し、スパッタリング等の成膜手段により第1の情報記録面2a上に反射膜5を成膜する。
【0025】
次に、厚さ25〜200μmのポリカーボネート樹脂等により形成された熱可塑性フィルムを打ち抜き装置内に供給して、図4に示すように、光ディスク1の中央開口部に相当する中心穴20を形成すると共に、光ディスク1の外形に相当する円盤形状に樹脂フィルムを打ち抜いてフィルム基板3を形成する(S2)。
【0026】
フィルム基板3は真空吸引手段等により保持され、図5に示すように真空排気口48が設けられた真空チャンバ46内に配置された搬送治具(搬送手段)47上に位置決め載置される。搬送治具47は後工程を考慮して紫外線を充分に透過する透明ガラス体によって形成されている。また、フィルム基板3の搬送治具47上への位置決めは、搬送治具47の中心に出入り可能に配設された位置決め軸47aを突出させた状態にして、位置決め軸47aにフィルム基板3の中心穴20を嵌め合わせることにより実施できる。
【0027】
真空チャンバ46の蓋45を閉じ、真空排気口48から真空チャンバ46内の空気を排気し、真空チャンバ46内を1Torr程度の真空状態にすると、フィルム基板3と搬送治具47との間の空気が除去されるので、フィルム基板3は搬送治具47上に吸着され、位置決め軸47aを搬送治具47内に後退させ、真空チャンバ46の蓋45を開いて大気開放してもフィルム基板3は大気圧で搬送治具47に押圧され、搬送治具47上にフィルム基板3が固定された状態が得られる(S3)。
【0028】
フィルム基板3を吸着保持した搬送治具47を真空チャンバ46内から、図6に示す転写装置(転写手段)16内に搬送し(S4)、搬送治具47をヒータ15が内装された下板14上に位置決め配置する。転写装置16は、ヒータ11を内装し、下面にスタンパ保持具12が固定された上板10が前記下板14の上方に配設され、上板10は昇降軸13に沿って鉛直方向に昇降可能で、前記スタンパ保持具12は真空吸着によってスタンパ17を保持しており、前記ヒータ11によってスタンパ17が所定温度に加熱されるように構成されている。
【0029】
下板14上に配置された搬送治具47はヒータ15によって所定温度に加熱されるので、保持したフィルム基板3も加熱される。このフィルム基板3上に上板10を下降させ、加熱されたスタンパ17をフィルム基板3上に押圧することにより、スタンパ17に第2の情報記録面3aを形成するための凹凸ビットがフィルム基板3の片面に転写される(S5)。転写条件は、スタンパ17を160〜200℃に加熱し、押圧力:5〜70Kgf/cm2 、保圧時間:1〜60秒の範囲内に設定すると、熱可塑性樹脂で形成されたフィルム基板3の表面は、加熱加圧により塑性変形してスタンパ17の凹凸ビット形状が忠実に転写され、フィルム基板3の片面に第2の情報記録面3aが形成される。
【0030】
尚、上記転写装置16は図示するように真空チャンバ18内に配置して、転写工程を真空中で行うようにすると、フィルム基板3に気泡を発生させることなく転写が実施でき、高品質の転写が可能となる。
【0031】
第2の情報記録面3aが形成されたフィルム基板3は搬送治具47に保持された状態を維持してスパッタ装置(成膜手段)内に搬送する。スパッタ装置内において、フィルム基板3の第2の情報記録面3a上にはスパッタリングにより半透過膜が成膜される(S6)。
【0032】
次いで、図7(a)に示すように、スピンコータ75上にベース基板2を固定し、第1の情報記録面2a上に透明な紫外線硬化性樹脂4を塗布(1〜10ml)し、第2の情報記録面3aが第1の情報記録面2aに対面するようにフィルム基板3が塗布された紫外線硬化性樹脂4上に載るように搬送治具47を移動させる。図7(b)に示すように、スピンコータ75を1000〜7000rpmで3〜60秒間回転させると、紫外線硬化性樹脂4が凹凸の隅々まで充填され、余分な紫外線硬化性樹脂4は遠心力により除去される。次いで、図7(c)に示すように、透明ガラス体によって形成された搬送治具47を通して紫外線ランプ76からの紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂4を硬化させ、ベース基板2とフィルム基板3とを接合する(S7)。図7(d)に示すように、紫外線硬化性樹脂4の完全硬化を待って搬送治具47をフィルム基板3から離型させると、光ディスク1が完成する。
【0033】
続いて、第2の実施形態に係る光ディスク1の製造方法について説明する。尚、第1の実施形態の製造方法と同一の工程の説明は省略する。
【0034】
図8は、第2の実施形態に係る光ディスクの製造方法の各工程を示すもので、以下に順を追って説明する。尚、図中に示すS11、S12…は各工程を示すステップ番号で、本文中に記載する番号と一致する。
【0035】
まず、ベース基板2を形成する(S1)。この工程は第1の実施形態と同様である。
【0036】
次に、厚さ25〜200μmのポリカーボネート樹脂等の熱可塑性フィルム9を、図9に示すような打ち抜き転写装置(打ち抜き転写手段)50内に送給する。打ち抜き転写装置50は、ヒータ51を内装する上板52の下面にスタンパ53が吸着保持され、フィルム基板3の中心穴20を打ち抜く内径刃57と外径を打ち抜く外径刃58が固定されている。前記内径刃57及び外径刃58に対応する内径受け刃57a及び外径受け刃58aが下板54に形成され、内径受け刃57a及び外径受け刃58aはそれぞれスプリング56により支持されている。
【0037】
下板54上に送給された樹脂フィルム9に対し、上板52を下降させると、内径刃57及び外径刃58がそれぞれ内径受け刃57a及び外径受け刃58aに嵌入するときの剪断力により樹脂フィルム9は中心穴20を形成した光ディスク1の外径に打ち抜かれたフィルム基板3に形成される。上板52の更なる下降により打ち抜かれたフィルム基板3上にヒータ51によって加熱されたスタンパ53が押圧され、スタンパ53に形成された情報記録形状がフィルム基板3に転写される(S12)。
【0038】
所定形状に打ち抜かれ、情報記録形状が転写されたフィルム基板3は、下板54上から真空吸着手段によって吸着保持されて第1の実施形態において示した搬送治具47上に移載される(S13)。このフィルム基板3の移載工程を省略するために、図10に示すように、搬送治具62の配設位置を設けた打ち抜き転写装置60を用いることができる。
【0039】
図10において、下板61には搬送治具62を収容する凹部が形成されており、下板61に搬送治具62を収納して上板52を下降させ、下板61上に供給された樹脂フィルム9をフィルム基板3に打ち抜くと同時に、スタンパ53により情報記録形状を転写すると、情報記録形状が転写されたフィルム基板3は搬送治具62の表面に密着するので、下板61上から搬送治具62を離脱させて次工程に搬送移動させ、下板61上には新たな搬送治具を収納して次のフィルム基板3の受け入れに供する。
【0040】
フィルム基板3を保持した搬送治具47、62は、第1の実施形態と同様にスパッタリング装置内に移動して情報記録形状の表面に半透過膜を成膜し(S14)、接合工程に移動して図7に示した手順によりベース基板2にフィルム基板3が接合される(S15)。
【0041】
尚、打ち抜き転写装置50は真空チャンバ内に配設して、真空中で転写を行うことにより、気泡の発生による転写むらを防止することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明に係る光ディスクは、フィルム基板はそれに形成された情報記録面の形成面がベース基板に対面するようにして貼り合わされているので、情報記録面を保護するための保護膜を形成する必要がなく、製造工数が少なくコストダウンを図って高記録密度の多層光ディスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る光ディスクの断面構造を示す模式図。
【図2】同上光ディスクを製造する第1実施形態の工程を示すフローチャート。
【図3】ベース基板の断面構造を示す模式図。
【図4】フィルム基板の打ち抜き形状を示す平面図。
【図5】搬送治具にフィルム基板を保持させる構成を示す模式図。
【図6】転写装置の構成を示す模式図。
【図7】ベース基板とフィルム基板の接合手順を説明する模式図。
【図8】光ディスクを製造する第2実施形態の工程を示すフローチャート。
【図9】打ち抜き転写装置の構成を示す模式図。
【図10】打ち抜き転写装置の変形例構成を示す模式図。
【図11】従来技術に係る光ディスクの製造手順を示す模式図。
【図12】従来技術に係る光ディスクの断面構成を示す模式図。
【符号の説明】
1 光ディスク
2 ベース基板
2a 第1の情報記録面
3 フィルム基板
3a 第2の情報記録面
5 反射膜
6 半透過膜
16 転写装置
17、53 スタンパ
47、62 搬送治具
50 打ち抜き転写装置
Claims (11)
- ベース基板と、その上に積層される少なくとも1枚のフィルム基板とに、それぞれ情報記録面が形成されてなる光ディスクであって、
前記ベース基板から最も離れた最外層となるフィルム基板に形成された情報記録面は、ベース基板の情報記録面と対面するように形成されてなることを特徴とする光ディスク。 - 樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いたフィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で、情報記録形状が形成されたスタンパによりフィルム基板上に情報記録形状を転写し、フィルム基板の情報記録形状が転写された表面に半透過膜を成膜して、その面がベース基板の情報記録面に対面するようにベース基板に貼り合わせて光ディスクに形成することを特徴とする光ディスクの製造方法。
- 樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板に形成すると同時に、情報記録形状が形成されたスタンパにより情報記録形状を転写したフィルム基板を搬送手段上に位置決め保持した状態で、フィルム基板の情報記録形状が転写された表面に半透過膜を成膜して、その面がベース基板の情報記録面に対面するようにベース基板に貼り合わせて光ディスクに形成することを特徴とする光ディスクの製造方法。
- 樹脂フィルムは熱可塑性を有し、加熱されたスタンパの押圧によりフィルム基板に情報記録形状を転写する請求項2又は3に記載の光ディスクの製造方法。
- フィルム基板への情報記録形状の転写を真空中で実施する請求項2〜4いずれか一項に記載の光ディスクの製造方法。
- 樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成する打ち抜き手段と、フィルム基板を保持して各加工工程にフィルム基板を搬送する搬送手段と、この搬送手段に保持されたフィルム基板に加熱されたスタンパを押圧して情報記録形状をフィルム基板に転写する転写手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板に形成された情報記録面の表面に半透過膜を成膜する成膜手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板の情報記録面をベース基板に形成された情報記録面と対面させた状態で対面間に注入された紫外線硬化性樹脂に紫外線照射してベース基板にフィルム基板を接合する接合手段と、を備えてなることを特徴とする光ディスクの製造装置。
- 樹脂フィルムを光ディスクの中央開口部及び外径に対応する寸法に打ち抜いてフィルム基板を形成すると同時にフィルム基板に加熱されたスタンパを押圧して情報記録形状をフィルム基板に転写する打ち抜き転写手段と、情報記録形状が転写されたフィルム基板を保持して各加工工程にフィルム基板を搬送する搬送手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板に形成された情報記録面の表面に半透過膜を成膜する成膜手段と、搬送手段に保持されたフィルム基板の情報記録面をベース基板に形成された情報記録面と対面させた状態で対面間に注入された紫外線硬化性樹脂に紫外線照射してベース基板にフィルム基板を接合する接合手段と、を備えてなることを特徴とする光ディスクの製造装置。
- 搬送手段は、保持面とフィルム基板面との間の空気を排気することにより大気圧の押圧によって面接触状態でフィルム基板を保持するように構成されてなる請求項6又は7に記載の光ディスクの製造装置。
- 搬送手段は、紫外線を透過する透明体によって形成されてなる請求項6〜8いずれか一項に記載の光ディスクの製造装置。
- 転写手段又は打ち抜き転写手段は、真空チャンバ内に配設されてなる請求項6又は7に記載の光ディスクの製造装置。
- 転写手段を構成するスタンパには、情報記録形状の凹凸が逆向きに形成されてなる請求項6又は7に記載の光ディスクの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002319564A JP2004152455A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | 光ディスクとその製造方法及び製造装置 |
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JP (1) | JP2004152455A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010015630A (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-21 | Ricoh Co Ltd | 転写基板、及び基板の製造方法 |
JP2019016518A (ja) * | 2017-07-06 | 2019-01-31 | 芝浦メカトロニクス株式会社 | 保護膜形成装置 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002319564A patent/JP2004152455A/ja active Pending
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