JP4815652B2 - 化粧材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の壁面や床面に用いられる化粧材に関し、さらに詳しくは、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性等に優れた床材用化粧材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等の壁面や床面等には、合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質系基材に装飾材として化粧シートを貼着した化粧材が用いられている。ところで、これらの化粧材を床材用化粧材として用いる場合、意匠性に優れることから化粧材の表面にV字形状等の溝加工を施したものが多用されている。
【0003】
しかし、表面に溝加工を施した化粧材は、通常、木質系基材の表面に化粧シートを貼着して後に、ルーター等にて溝加工を施したものであり、木質系基材が露出しているために、溝加工を施した部位は耐水性がない上に化粧シートを貼着した部位とは全く表面の色合いが異なる。そのために、通常、溝加工を施した部位に透明、あるいは、着色した塗料を塗布することにより、耐水性を持たせたり、あるいは、化粧シートを貼着した部位との色合いの差を解消している。
【0004】
しかし、このような溝加工を施した部位に耐水性を持たせたり、あるいは、溝加工を施した部位と化粧シートを貼着した部位との色調節を行うための透明、あるいは、着色した塗料を施す作業は、溝加工部位の選択的塗布作業であり、結構手間の掛かる煩雑な作業であると共に、塗布した塗料が時間経過と共に剥げ落ちることにより、色落ち問題が生じたり、この溝加工を施した部位の耐水性が低下して膨潤するといった問題が生じる。また、木質系基材として合板を用いた場合には、「色ブレ」や「タグ」等の問題も発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とするところは、溝加工部位の選択的塗布作業が不要な化粧材であって、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性に優れ、特に溝加工を施した部位が耐水性に優れると共に色落ち等の問題が生じることがなく、さらに、「色ブレ」や「タグ」等の問題が生じることのない化粧材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決するために、まず、請求項1記載の本発明の化粧材は、木質系基材と少なくとも木粉及び顔料を含有する非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板とを積層した積層体の前記合成樹脂板面に装飾材を貼合し、前記装飾材が着色された、および/ないし、印刷層が形成された合成樹脂製シートからなり、該合成樹脂製シートの表面に硬化型樹脂からなる表面保護層が形成されている構成からなり、前記装飾材側から前記合成樹脂板に至る溝加工を施していることを特徴とするものである。このように構成することにより、耐水性のある溝加工部位とすることができると共に合成樹脂板を着色したものとすることにより溝加工部位の色調節作業を不要とすることができる。また、化粧シートが合成樹脂板に貼着されているために、木質系基材に合板を用いても「色ブレ」や「タグ」等の問題を生じることがない。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、請求項記載の化粧材において、前記表面保護層を形成する硬化型樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることを特徴とするものである。
【0009】
上記請求項1、2のように構成することにより、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性に優れた化粧材とすることができる。
【0010】
また、請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の化粧材において、前記化粧材の木質系基材面にオレフィン系熱可塑性樹脂からなる防湿シートが貼着されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、裏面からの木質系基材の吸放水を防止することができ、反りや割れの生じ難い化粧材とすることができる。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の化粧材において、前記化粧材が床材であることを特徴とするものである
【0012】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、以下に詳しく説明する。
まず、本発明の化粧材を構成する木質系基材としては、単板、合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)、ハードボード、ソフトボード等の周知のものを挙げることができる。
【0013】
次に、本発明の化粧材を構成する少なくとも木粉を含有する非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板を形成する非ハロゲン系樹脂としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等のエステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリメタアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系樹脂、あるいは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂は単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0014】
また、前記合成樹脂板を形成する前記非ハロゲン系熱可塑性樹脂に混合する木粉としては、針葉樹や広葉樹等のいかなる木粉であってもよく、木材の種類で限定されるものではない。そして、木粉は本来の木材粉に限ることなく、たとえば、籾殻や木の実の粉、あるいは、木質繊維であってもよい。木粉を非ハロゲン系熱可塑性樹脂に混合する理由としては、合成樹脂板と木質系基材とを従来から用いられている酢酸ビニル系接着剤を用いて積層することができるために施工性が向上する。また、非ハロゲン系熱可塑性樹脂の使用量を低減することができ、それだけ合成樹脂板のコストを安価にすることができる。さらに、焼却処理時の熱量をおとすことができ、焼却炉の損傷を防止することができる。また、木工所等で木材を切断する時に発生する鋸屑や端材等の有効利用を図ることができる。また、木粉は、通常鋸屑などの切削粉等を乾式ないし湿式粉砕、あるいは、篩等により平均粒径が30〜150 μmの粉末としたものを用いる。平均粒径が150 μmより粗いとTダイ押出機で押し出した場合に表面に筋が入り平滑な表面が得られない可能性があり、また、平均粒径が30μmより細かいと非ハロゲン系熱可塑性樹脂と均一に混合することが困難になり、非ハロゲン系熱可塑性樹脂に対する木粉の密度が高いところと低いところが混在するような不均一な混合となり、Tダイ押出機で押し出した合成樹脂板の機械的強度にバラツキが生じる。
【0015】
また、木粉の非ハロゲン系熱可塑性樹脂に対する添加量は、非ハロゲン系熱可塑性樹脂100 重量部に対して10〜100 重量部が適当である。この理由としては、10重量部より少ないと施工時に従来から用いられている酢酸ビニル系接着剤では木質系基材と接着し難いという問題が発生し、また、100 重量部より多いとTダイ押出機で押し出した合成樹脂板の機械的強度が低下する問題や表面平滑性が悪くなる問題性があり、また、生産性の面でも落ちるという問題が生じる。
【0016】
また、前記非ハロゲン系樹脂に木粉を均一に分散させる目的で、あるいは、Tダイ押出機での押し出し適性の向上を図る目的で、あるいは、合成樹脂板としたときの機械的強度向上を図る目的で、あるいは、合成樹脂板に難燃性を付与する目的で、あるいは、合成樹脂板の意匠性を向上させる目的で、たとえば、無機充填剤、滑剤、熱可塑性エラストマー、酸化防止剤、光安定剤、紫外線防止剤、顔料等を添加してもよい。また、必要に応じて合成樹脂板の一方の面ないし両面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよい。なお、合成樹脂板の厚さとしては溝加工を施す溝の深さにより適宜決める必要があるが、いずれにしても溝の深さより厚く構成されていればよい。
【0017】
次に、本発明の化粧材を構成する装飾材について説明する。
装飾材の基材としては、紙、難燃紙、不燃紙、有機繊維又は無機繊維の織布、不織布、あるいは、非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製シート、あるいは、これらの積層体を挙げることができ、前記装飾材としては、これらの基材に印刷層、発泡層、表面保護層等を適宜形成した周知の化粧シート、あるいは、必要に応じて、これらの化粧シートに意匠性を向上させるためにエンボス加工やワイピング加工を施したもの等を用いることができるが、床材用途を考慮すると耐擦傷性、耐磨耗性、耐汚染性、耐水性等において優れた性能を有する必要があり、前記装飾材の基材としては、非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製シートが環境に優しい点も考慮して好ましい。
【0018】
この合成樹脂製シートとしては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレンαオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、あるいは、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、あるいは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂を挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂は単独であっても2種以上の混合物であってもよい。しかし、本発明の化粧材に用いる装飾材としての基材には、後述するように印刷層や表面保護層、あるいは、エンボス加工等により凹凸模様が形成されるために、印刷適性やエンボス加工適性等が要求されると共に安価である必要があり、これらのことを考慮するとオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
【0019】
また、前記オレフィン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製シートは、無延伸の状態、あるいは、1軸ないし2軸方向に延伸した状態のいずれの状態のシートであってもよいし、また、顔料等を添加した着色シートであっても構わないが、この合成樹脂製シートの厚さとしては、概ね60〜300 μm程度が好ましい。また、必要に応じて、この合成樹脂製シートの一方の面ないし両方の面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよい。また、この合成樹脂製シートを構成するオレフィン系熱可塑性樹脂には適宜、周知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線防止剤、あるいは、難燃性を付与するための無機充填剤、あるいは、意匠性を付与するための発泡剤等の各種の添加剤を添加することができる。ところで、上記着色シートに用いる顔料としては、耐熱性や耐候性を考慮すると周知の無機系顔料が適当である。
【0020】
次に、装飾材の表面、すなわち、装飾材の基材としての合成樹脂製シートの表面に設ける表面保護層としては、特に床材用途の場合、耐擦傷性、耐磨耗性、耐汚染性、耐水性等が要求されるために硬化型樹脂を用いて形成するのが適当である。硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂に大別される。
【0021】
まず、熱硬化型樹脂について説明する。熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。上記樹脂には、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、または、重合促進剤を添加して用いる。たとえば、硬化剤としては、イソシアネートまたは有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加され、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加され、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂には添加される。
【0022】
上記のイソシアネートとしては、2価以上の脂肪族または芳香族イソシアネートを使用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的なイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0023】
上記2液硬化型ポリウレタンとしては、その分子構造中に水酸基を平均して2個以上有するポリオール化合物からなる第1液と、ポリイソシアネート化合物からなる第2液とを水酸基とイソシアネート基の当量比が0.7〜1.5になるように配合したものを挙げることができる。
【0024】
上記エポキシ樹脂としては、その分子構造中にエポキシ基を平均2個以上有するエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を1分子中に3個以上有するモノ−アミン、または、ポリ−アミンとをエポキシ樹脂のエポキシ当量とモノ−アミン、または、ポリ−アミンの活性水素当量の比が0.7〜1.5になるように配合したものを挙げることができる。
【0025】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されているものを使用することができ、具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル等の酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類およびこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
【0026】
ところで、この熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、たとえば、この熱硬化型樹脂を溶液化し、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗工法で塗工することにより形成することができる。この場合の塗工量としては、固形分として概ね5〜30g/m2 が適当であり、好ましくは15〜25g/m2 である。
【0027】
次に、電離放射線硬化型樹脂について説明する。電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Åの波長域が主として用いられ、また、電子線源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器を用い、100 〜1000KeV、好ましくは100 〜300 KeVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。
【0028】
電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。尚、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0029】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000 程度以下のものが用いられる。分子量が10000 を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速い為、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
【0030】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0031】
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等が挙げられる。
【0032】
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェ−ト等が挙げられる。
【0033】
カチオン重合性官能基を有する単量体は、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
【0034】
上記の電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独又は混合して用いることができる。又、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独又は混合物として用いることができる。尚、これら光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100 重量部に対して、0.1 〜10重量部程度である。
【0035】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されているものを使用することができ、具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル等の酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類およびこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
【0036】
ところで、この電離放射線硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、たとえば、この電離放射線硬化型樹脂を溶液化し、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗工法で塗工することにより形成することができる。この場合の塗工量としては、固形分として概ね5〜30g/m2 が適当であり、好ましくは15〜25g/m2 である。
【0037】
また、電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、より一層耐擦傷性、耐磨耗性を付与する場合には、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等の研磨材を加えることにより達成することができる。この研磨材の電離放射線硬化型樹脂100 重量部に対する割合は1〜80重量部が適当である。
【0038】
上記で説明した熱硬化型樹脂あるいは電離放射線硬化型樹脂には、必要に応じて、染料、顔料等の着色剤、艶調製剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の添加剤を加えることができる。
【0039】
また、前記合成樹脂製シートと前記表面保護層との接着強度を向上させる目的で、前記合成樹脂製シートと前記表面保護層との間にプライマー層を設けることもできる。このプライマー層としては、▲1▼アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と、▲2▼イソシアネートとからなる樹脂で形成されたものである。すなわち、プライマー層は、▲1▼のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーにさらにジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。
そして、このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を▲2▼のイソシアネートと反応させて硬化させることにより形成されたものである。
【0040】
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させて相溶化するのが容易である点から好ましい。前記成分Aは共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよい。共役二重結合が残っているアクリル重合体を混合することにより、プライマー層と接する層、たとえば、表面保護層の樹脂に電離放射線硬化型樹脂を用いた場合に、該電離放射線硬化型樹脂とアクリル重合体の共役二重結合が反応するために特に電離放射線硬化型樹脂との間の接着性を向上させることができ、プライマー層を設ける場合には、電離放射線硬化型樹脂を用いて表面保護層を形成する方が望ましい。
【0041】
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する。成分Bは両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族またはスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物またはその誘導体、またはエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、および環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール等の短鎖ジオール、1,4シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、上記二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸またはアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンタンジオールおよび1,4シクロヘキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
【0042】
プライマー層において、成分Bと成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、該プライマー層に柔軟性を与え、合成樹脂製シートとの接着性に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、成分Bの分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸またはアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオールおよび1,4シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500 〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
【0043】
成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族または脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)-1,6ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4'シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることできる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性およびコストが優れる点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオール、および、後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合も含める)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
【0044】
上記の三成分A、B、Cを60〜120 ℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基および水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、たとえば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を該鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する▲1▼のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
【0045】
この▲1▼のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、▲2▼のイソシアネートを加えると共に、塗工法、塗工量(乾燥後の)を考慮して必要な粘度に調節した塗工液となし、たとえば、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗工法で塗工することにより、プライマー層を形成することができる。前記プライマー層の乾燥後の塗工量としては、1〜20g/m2が適当であり、好ましくは1〜5g/m2である。また、前記プライマー層は、上記樹脂以外に必要に応じてシリカ微粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよい。また、▲2▼のイソシアネートとしては▲1▼のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族または芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4'- ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、または、これらの2量体、3量体などの多量体、あるいは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
【0046】
次に、本発明の化粧材の木質系基材面に貼着する防湿シートについて説明する。この防湿シートとしては、防湿性能とコスト、あるいは、昨今問題となっている燃焼時に有害なガスを発生しない等を考慮すると、オレフィン系熱可塑性樹脂からなるシートが好ましい。具体的には、前記合成樹脂製シートで説明したオレフィン系熱可塑性樹脂を用いることができ、その厚さとしては、用いるオレフィン系熱可塑性樹脂の種類により異なるが、透湿度として30g/m2・24hr(JISZ0208:カップ法による測定)以下、より好ましくは20g/m2・24hr(JISZ0208:カップ法による測定)以下となるように設定すればよく、概ね25〜50μmである。この防湿シートについても一方の面ないし両方の面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよい。
【0047】
上記の本発明について、図面等を用いてさらに詳しく説明する。
図1は本発明にかかる化粧材の基本的な構成を概略的に示す断面図、図2は本発明にかかる化粧材の第2の基本的な構成を概略的に示す断面図、図3は本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な一実施例を示す断面図、図4は本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な他の実施例を示す断面図であり、図中の1は化粧材、2は積層体、3は装飾材、4は防湿シート、10は木質系基材、20,21,22,90は接着剤層、30は合成樹脂板、40は表面保護層、50,51,52は合成樹脂製シート、60はV溝加工、70は凹凸模様、71はワイピングインキ、72,72’,72''はプライマー層、80は絵柄印刷層、81はベタ印刷層をそれぞれ示す。
【0048】
まず、図1は本発明にかかる化粧材の基本的な構成を概略的に示す断面図であって、化粧材1は、木質系基材10の一方の面に接着剤層20を介して木粉を含有した非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板(以下、木粉含有合成樹脂板と呼称する)30を積層した積層体2の前記木粉含有合成樹脂板30面に接着剤層21を介して表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層40を有する合成樹脂製シート50からなる装飾材3を貼合し、前記表面保護層40側から前記木粉含有合成樹脂板30に至るV溝加工60を施したものである。このように構成した化粧材1は、表面が電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層40により被覆されているために、耐擦傷性、耐磨耗性、耐汚染性、耐水性に優れると共に、V溝加工60を施した部位も木粉含有合成樹脂板30の層内であり、この部位についても耐水性に優れ、また、顔料で着色した木粉含有合成樹脂板30を用いてもよく、従来のように溝加工を施した部位に、耐水性を持たせたり、あるいは、溝加工を施した部位と装飾材を貼着した部位との色調節を行うための透明、あるいは、着色した塗料を施す必要がなく、溝加工を施した部位の色落ち問題が生じることがない。さらに、木質系基材10に木粉含有合成樹脂板30を接着剤層20を介して積層した積層体2の木粉含有合成樹脂板30面に装飾材3が貼着されているために、たとえば、木質系基材10に合板を用いても「色ブレ」や「タグ」等の問題を生じることがない。なお、溝加工はV溝加工60に限るものではない。
【0049】
また、図2は本発明にかかる化粧材の第2の基本的な構成を概略的に示す断面図であって、化粧材1’は、図1に示した化粧材1の前記木質系基材10の裏面(表出面)に防湿シート4を接着剤層22を介して貼合したものであり、これ以外は図1に示した化粧材1と同じである。このように構成することにより、化粧材1’は図1に示した化粧材1に比べて前記木質系基材10の裏面からの吸放水を防止することができ、反りや割れの生じ難い化粧材とすることができる。
【0050】
次に、本発明の化粧材1、1’に用いる装飾材の具体的な実施例について説明する。
図3は本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な一実施例を示す断面図であって、装飾材3’は前記装飾材3(図1、2参照)に印刷絵柄や凹凸模様などの化粧材として具備すべき意匠性を付与する手段の一つの態様を示したものであって、具体的には合成樹脂製シート(この実施例においては透明なシート)51の一方の面にエンボス加工を施して凹凸模様70を設け、その上からワイピング処理を施して前記凹凸模様70の凹部内にワイピングインキ71を充填した後に、表出面全面にプライマー層72(このプライマー層は上記で説明したプライマー層である)を設け、該プライマー層72上に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層40を形成すると共に前記合成樹脂製シート51の他方の面にプライマー層72’を介して絵柄印刷層80、ベタ印刷層81を形成したものである。この装飾材3’を図1ないし図2に示す前記装飾材3に替えて用い、この装飾材3’の前記ベタ印刷層81面と図1ないし図2に示す前記積層体2の前記合成樹脂板30の面とを接着剤層21を介して貼合することにより本発明の化粧材とすることができる。
【0051】
図4は本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な他の実施例を示す断面図であって、装飾材3''は前記装飾材3(図1、2参照)に印刷絵柄や凹凸模様などの化粧材として具備すべき意匠性を付与する別の手段の態様を示したものであって、具体的には合成樹脂製シート52の少なくとも一方の面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理などの易接着処理を施して後に、該易接着処理面(図示せず)にプライマー層72''を設け、該プライマー層72''上にベタ印刷層81、絵柄印刷層80を順に印刷形成し、さらに前記絵柄印刷層80上に2液硬化型ウレタン樹脂等の周知のドライラミネーション用接着剤で形成した接着剤層90を介して合成樹脂製シート(この実施例においては透明なシート)51が周知のドライラミネーション法で貼合され、該合成樹脂製シート51の表面にエンボス加工を施して凹凸模様70を設け、その後、図3に示した装飾材3’と同様に、凹凸模様70の上からワイピング処理を施して前記凹凸模様70の凹部内にワイピングインキ71を充填した後に、表面にプライマー層72(このプライマー層は上記で説明したプライマー層である)を設け、該プライマー層72上に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層40を形成したものである。この装飾材3''を図1ないし図2に示す前記装飾材3に替えて用い、この装飾材3''の前記合成樹脂製シート52面と図1ないし図2に示す前記積層体2の前記合成樹脂板30の面とを接着剤層21を介して貼合することにより本発明の化粧材とすることができる。ところで、前記合成樹脂製シート52は、一般的には着色シートが用いられるが、無着色シートであってもよい。また、この合成樹脂製シート52は、上記で説明した合成樹脂製シート50と同じものを用いることができ、また、合成樹脂製シート50で説明したと同じ理由でオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
【0052】
次に、図3に示した前記合成樹脂製シート51の他方の面に設けるプライマー層72’は、オレフィン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製シート51と絵柄印刷層80あるいはベタ印刷層81等の印刷層との接着性を向上させるために設けるものであり、プライマー層72と同様の樹脂を用いるのが好ましく、形成方法も前記プライマー層72の形成方法と同じである。また、図4に示した合成樹脂製シート52に設けるプライマー層72''は、前記合成樹脂製シート52とベタ印刷層81などの印刷層との接着性を向上させるために設けるものであり、前記合成樹脂製シート52がオレフィン系熱可塑性樹脂からなる場合には、上記で説明したプライマー層72と同様の樹脂を用いるのが好ましく、形成方法も前記プライマー層72の形成方法と同じである。
【0053】
そして、前記凹凸模様70は加熱プレスやヘアライン加工などにより形成することができる。凹凸模様70としては、たとえば、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。
【0054】
また、前記絵柄印刷層80および前記ベタ印刷層81は、一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の周知の印刷法でインキを用いて形成することができる。前記絵柄層80としては、たとえば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄であり、前記ベタ印刷層81としては、隠蔽性を有する着色インキでベタ印刷したものである。図3、4においては、前記絵柄印刷層80および前記ベタ印刷層81の両方を設けた構成を示したが、いずれか一方の構成であっても構わない。
【0055】
また、前記絵柄印刷層80および前記ベタ印刷層81に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができが、環境問題を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合した非塩素系のビヒクルが適当であり、より好適にはポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合したものである。
【0056】
なお、図3、4に示した装飾材3’、および、3''は、本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な実施例を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、これに限るものではない。
【0057】
【実施例】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
まず、装飾材について説明する。
両面にコロナ放電処理を施した120 μmのポリプロピレンフィルム〔三菱化学エムケーブイ(株)製〕の一方の面にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕溶液をグラビアコート法で固形分が2g/m2 となるように塗工して印刷用プライマー層を形成し、該プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕からなる印刷インキを用いてグラビア印刷法で木目模様の印刷絵柄層と印刷ベタ柄層を形成した。その後、前記120 μmのポリプロピレンフィルム〔三菱化学エムケーブイ(株)製〕の他方の面に前記木目模様の印刷絵柄層の導管部に対応するようにエンボス版で凹部を設け、その後、前記凹部にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕からなるワイピング印刷インキを充填して乾燥させると共に、その上にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕溶液をグラビアコート法で固形分が2g/m2 となるように塗工して表面保護層用プライマー層を形成し、その後に該プライマー層上に電離放射線硬化型樹脂〔大日精化工業製:EBF−04〕をロールコート法で塗工、乾燥して後に電子線を照射することにより、固形分が20g/m2 の表面保護層を形成して装飾材を得た。
【0058】
次に、積層体について説明する。
ポリプロピレン系樹脂〔三菱化学エムケーブイ(株)製〕とエチレン−プロピレン共重合体ゴムと木粉とからなる表1に示す配合の組成物を加熱溶融してTダイ押出機で押し出すと共に、両面にコロナ放電処理を施して4mm厚さの木粉含有合成樹脂板を作製した。次に、4mm厚さの合板に中央理化(株)製リカボンドBA-10A(100 重量部)に対してBA-10B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で60g/m2 塗工し、該塗工面に前記木粉含有合成樹脂板を貼合して積層体を得た。
【0059】
〔表1〕
Figure 0004815652
【0060】
実施例1
上記で作製した積層体の木粉含有合成樹脂板面に中央理化(株)製リカボンドBA-10A(100 重量部)に対してBA-10B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で60g/m2 塗工し、上記で作製した装飾材を該装飾材の前記印刷ベタ柄層が前記塗布面側に位置するように貼着して本発明の化粧材を得た。
【0061】
比較例1
8mm厚さの中密度繊維板(MDF)に中央理化(株)製リカボンドBA-10A(100 重量部)に対してBA-10B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で60g/m2 塗工し、上記で作製した装飾材を該装飾材の前記印刷ベタ柄層が前記塗布面側に位置するように貼着して比較例とする化粧材を得た。
【0062】
比較例2
8mm厚さの合板に中央理化(株)製リカボンドBA-10A(100 重量部)に対してBA-10B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で60g/m2 塗工し、上記で作製した装飾材を該装飾材の前記印刷ベタ柄層が前記塗布面側に位置するように貼着して比較例とする化粧材を得た。
【0063】
上記で作製した実施例1、比較例1、2について、「色ぶれ」、「ダク」を目視評価すると共に、装飾材側から幅が2mmで深さが2mmのV溝加工を施し、V溝加工部位を着色する必要があるか否かを目視評価すると共に、JASに準じて耐水試験を行い、その結果を表2に纏めて示した。
【0064】
〔表2〕
Figure 0004815652
※1「色ブレ」評価−○印:「色ブレ」なし
×印:「色ブレ」あり
※2「ダク」 評価−○印:「ダク」なし
×印:「ダク」あり
【0065】
なお、本実施例において、木粉含有合成樹脂板はシート成形したものを用いたが、これに限ることはなく、たとえば、装飾材の印刷ベタ柄層面にプライマー層を設け、該プライマー層面に直に表1に示す配合の組成物を加熱溶融してTダイ押出機で押し出すと共に、予め用意した一方の面にプライマー層を塗工済の木質系基材を該プライマー層を加熱溶融組成物側にして同時に貼合して本発明の化粧材を得ることもできる。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、今まで縷々説明したように、耐水性のある溝加工部位を有すと共に、溝加工部位に着色塗料を塗布して色調節する必要もなく、その結果色落ち等の問題も生じることのない化粧材を提供することができる。また、「色ブレ」や「タグ」等の問題も生じることのない化粧材を提供することができる。さらに、装飾材の表面保護層を電離放射線硬化型樹脂で形成することにより、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性に優れた化粧材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる化粧材の第1の基本的な構成を概略的に示す断面図である。
【図2】 本発明にかかる化粧材の第2の基本的な構成を概略的に示す断面図である。
【図3】 本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な一実施例を示す断面図である。
【図4】 本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 化粧材
2 積層体
3 装飾材
4 防湿シート
10 木質系基材
20,21,22,90 接着剤層
30 合成樹脂板
40 表面保護層
50,51,52 合成樹脂製シート
60 V溝加工
70 凹凸模様
71 ワイピングインキ
72,72’,72'' プライマー層
80 絵柄印刷層
81 ベタ印刷層

Claims (4)

  1. 木質系基材と少なくとも木粉及び顔料を含有する非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板とを積層した積層体の前記合成樹脂板面に装飾材を貼合し、前記装飾材が着色された、および/ないし、印刷層が形成された合成樹脂製シートからなり、該合成樹脂製シートの表面に硬化型樹脂からなる表面保護層が形成されている構成からなり、前記装飾材側から前記合成樹脂板に至る溝加工を施していることを特徴とする化粧材。
  2. 前記表面保護層を形成する硬化型樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1記載の化粧材。
  3. 前記化粧材の木質系基材面にオレフィン系熱可塑性樹脂からなる防湿シートが貼着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧材。
  4. 前記化粧材が床材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧材。
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