JP4839541B2 - 床用化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸建て住宅、アパート、マンション、保養所、店舗等の建築物において、荒床や捨板、コンクリートスラブ等の床下地面に直接施工して床仕上面を形成し、或いは、木質基材や合成樹脂基材等の床材用基材の表面に積層して床材を製造するために使用される床用化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、戸建て住宅、アパート、マンション、保養所、店舗等の建築物における室内床面仕上用の床材としては、天然木材の無垢材や、積層合板等の木質基材の表面に天然木材の突板を積層したもの、或いはそれらの塗装品等の、木質系フローリング材が最も普及している。
【0003】
しかし、こうした木質系フローリング材は耐水性に乏しい欠点があるため、例えば浴室脱衣所や洗面所、厨房等のように、水に濡れたり床面を水洗いしたりする機会の多い箇所には使用することができない。そこで、これらの箇所には、硬質ポリ塩化ビニル樹脂製のプラスチックタイルや、発泡軟質ポリ塩化ビニル樹脂製のクッションフロア等の、合成樹脂製のシート状の床材が使用されるのが一般的である。
【0004】
上記プラスチックタイルとは具体的には、厚み0.1mm程度の硬質又は半硬質ポリ塩化ビニル樹脂印刷シートを、厚み0.3mm程度の硬質又は半硬質ポリ塩化ビニル樹脂クリアーシートと、厚み4mm程度の硬質ポリ塩化ビニル樹脂製バッカーシートとの間に挟み、加熱加圧により接着積層した後、300mm角又は450mm角等の寸法の正方形状に断裁したものである。
【0005】
一方、上記クッションフロアとは具体的には、発泡剤が添加された軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾルを塗付乾燥したプリゲルシートの表面に、発泡抑制インキ及び通常インキによる転写絵柄層が形成された転写シートを使用して該転写絵柄層を熱転写し、更に透明軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾルを塗付した後、加熱ゲル化発泡させて、ケミカルエンボスによる凹凸模様を表面に有する総厚1.5〜3mm程度の柔軟性シート状体としたものである。これらはいずれも、コンクリートスラブ等の床下地面上に、接着剤等により直接接着施工して用いられている。
【0006】
しかしながら、上記プラスチックタイルは通常、平滑な表面を有する平板状体であり、しかも300mm角や450mm角等の定寸の正方形状のものを敷き詰めて施工するので、幅数cm乃至十数cm、長さ十数cm乃至数十cm程度の寸法の長方形状の天然木材の無垢板又は突板が敷き詰められた木質系フローリング材のような、無垢板又は突板の突き合わせ部の目地形状が形成されないので、平板で単調な印象の外観のために意匠感が劣るものである。
【0007】
一方、上記クッションフロアは、木質系フローリング材に似た目地形状をケミカルエンボスにより形成すること自体は可能であり、現にそうした商品も市場に出回っている。しかし、軟質ポリ塩化ビニル樹脂の発泡により形成したものであるから木質系フローリング材よりも遥かに柔軟であり、しかもケミカルエンボスであることもあって目地部の断面の角も甘く、例えば素足で踏んだ時に足指や足裏が目地部に当たる感触は、木質系フローリング材の場合とは全く似ても似つかぬものである。
【0008】
また、上記クッションフロアは、発泡軟質ポリ塩化ビニル樹脂からなるために、表面に凹み傷がつきやすいという問題もある。近年では、室内調度の洋風化やバリアフリー化に伴い、キャスター付きの家具や車椅子等の室内での使用もますます増加しつつある。ところが、クッションフロアは、小面積に大荷重が掛かりつつ車輪が転動する際に、その軌跡に沿って凹みが残ってしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記した問題点を解決すべくなされたものであり、浴室脱衣所や洗面所、厨房等にも使用可能な耐水性を備えると共に、耐キャスター性等の耐凹み傷性にも優れており、しかも従来の木質系フローリング材に匹敵する意匠感をも付与可能な床用化粧シートを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の床用化粧シートは、硬質シート層の表面に化粧シートが積層された床用化粧シートであって、前記硬質シート層が、少なくとも熱可塑性樹脂及び充填剤を含有し、デュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K 6253)にて60以上の表面硬度と、特殊合板の日本農林規格の耐水B試験に合格する耐水性とを有しており、且つ、前記化粧シートが合成樹脂製の化粧シートであることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の床用化粧シートは、前記化粧シートの表面から、前記化粧シートの厚みを越え、前記硬質シート層を貫通しない深さに溝が施されていることを特徴とするものである。
【0012】
また本発明の床用化粧シートは、前記化粧シートが、熱可塑性樹脂層を主体として構成されており、該熱可塑性樹脂層の表面には、2液硬化型ウレタン系リコート性樹脂層を介して、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられており、該表面保護層には減摩剤が添加されていると共に、該表面保護層の表面には、該減摩剤の突出による微細凸部を有することを特徴とするものである。
【0013】
また本発明の床用化粧シートは、前記硬質シート層の裏面に発泡樹脂層を具備するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の床用化粧シートの実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1〜3は、本発明の床用化粧シートの各種の実施の形態を示す側断面図である。
【0015】
本発明の床用化粧シート1は、例えば図1に示す様に、表面意匠の付与のための化粧シート3の裏面に、該化粧シート3よりも硬度の高いデュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K 6253)にて60以上である材質からなる硬質シート層2が積層された積層体によって構成されるものであり、必要に応じて図2に示す様に、化粧シート3の表面から該化粧シート3の厚みを越え硬質シート層2を貫通しない深さの溝(溝部5)を施すこともできる。
【0016】
硬質シート2層は、後述する化粧シート3よりも高硬度の材質からなる厚み0.5〜3mm程度のシート状体であればよく、その材質は特に問わないが、デュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K 6253)にて60以上、より好ましくは65以上の表面硬度を有する材質であることが望ましい。
【0017】
硬質シート層2の具体的な材質としては、木質系材料の中でも特に硬度の高いもの、例えば圧縮木材、樹脂含浸木材、無機含浸木材、高密度繊維板、中密度繊維板の高密度表層部分などや木質系材料以外では窯業系不燃材(例.ダイライト(登録商標:大建工業(株)製)などの無機質系材料、鉄板、鋼鈑、ステンレス板などの金属系材料、熱硬化性樹脂含浸紙(木材パルプ繊維紙やケナフ繊維紙、合成又は半合成繊維紙等の紙類にジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたもの)、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂シート類等を挙げることができる。中でもシートとしての可撓性や加工性、リサイクル適性などを考慮すると、熱可塑性樹脂シート類を使用することが最も望ましい。
【0018】
但し、熱可塑性樹脂シート類は単体物では一般に硬度が不足するので、適宜の充填剤を添加して表面強度を強化した物を使用することが望ましい。充填剤としては具体的には、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、ガラス粉末、ガラス繊維、金属粉等の無機系充填剤や、木粉、紙粉等の有機充填剤などである。表面硬度の強化には高充填化が必要であり、熱可塑性樹脂100重量部当たり50〜400重量部、より好ましくは150〜400重量部程度の充填剤を配合することが望ましい。
【0019】
上記熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、例えばポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、オレフィン系ゴム等)などを好適に使用することができる。中でも硬度の高いポリプロピレン樹脂、特にホモポリプロピレン樹脂などが好ましく、これに木粉(平均粒径0.005〜0.3mm程度)を添加して押出成形したシートなどが硬質シート層2として好適に使用可能である。尚、硬質シート層2の表面強度に支障のない範囲であれば、公知の化学的及び/又は物理的手法により発泡させても良い。
【0020】
また、硬質シート層2のデュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K 6253)にて60以上、より好ましくは65以上の表面強度を有する材質であれば、キャスターの転動や落下物の衝突等によっても凹み傷を発生しにくい耐傷付き性を備えることができる。
更に、硬質シート層2が特殊合板の日本農林規格の耐水B試験に合格(割れ、ふくれ、剥がれ、変色、艶変化なし)する耐水性を有すれば、表面から化粧シート3を貫通し硬質シート層2の層内に至る溝を設けても、裏面に水分が滲み込むことがなく、床下地面からの剥離や、床下地面の腐朽、黴、反り等を防止することができる。
【0021】
化粧シート3は、化粧板の表面に所望の意匠を付与するために設けられる物であって、その材質や構成には特に制限はなく、合成樹脂シート等に印刷などにより所望の意匠が付与されてなる、従来公知の各種化粧シートから適宜選択して使用することができる。中でも、本発明の目的とする床材などの化粧材に要求される耐摩耗性や耐擦傷性、耐溶剤性、耐候性、耐水性、耐油性等の面からは、熱可塑性樹脂層を主体として構成される熱可塑性樹脂系の化粧シートを使用することが最も望ましい。
【0022】
上記熱可塑性樹脂系の化粧シートとは更に具体的には、熱可塑性樹脂からなる不透明な基材シートの表面に絵柄層を設けたものや、熱可塑性樹脂からならる透明な基材シートの裏面及び/又は絵柄層を設けたもの、それらの表面に表面保護層をもうけたものなどの単層構成の化粧シートであっても良いが、図1に示した様に、透明又は不透明の熱可塑性樹脂からなる基材シート31上に、絵柄層32を介して、透明な熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層34を設けてなる、複数構成の化粧シートが、その意匠性、接着適性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性等の各種の面で最も好適である。なお、絵柄層32は、基材シート31と透明樹脂層34との層間に設けるほか、基材シート31の裏面や、透明樹脂層34の表面に設けることも勿論差し支えない。
【0023】
化粧シート3の主体である、基材シート31や透明樹脂層34を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂系等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、共重合ポリエステル樹脂(例.1,4シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G樹脂)、非晶質ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を使用することができる。
【0024】
また、上記の各種樹脂から選ばれる同種又は異種の樹脂の複合シートを使用することもできる。例えば、基材シート31/透明樹脂層34の組み合わせとして、ポリプロピレン樹脂/ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂/共重合ポリエステル樹脂等、或いは基材シート31/中間樹脂層(図示せず)/透明樹脂層34の組み合わせとして、非晶質ポリエステル樹脂/共重合ポリエステル樹脂/ポリプロピレン樹脂、共重合ポリエステル樹脂/非晶質ポリエステル樹脂/ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂/非晶質ポリエステル樹脂/共重合ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂/共重合ポリエステル樹脂/非晶質ポリエステル樹脂等の組み合わせでも良い(但し、上記中間樹脂層は、絵柄層32の基材シート31側であっても透明樹脂層34側であっても良い)。
【0025】
中でも、床材として表面物性や加工性、経済性、廃棄性(焼却も含む)等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂が望ましい。具体的には、表面強度や耐摩耗性に優れたポリプロピレン、又は、ポリプロピレン系共重合体が最も望ましいが、その他、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系単独重合体又は共重合体等を使用することができる。これらは単体であっても、同種又は異種の複数層の積層体であっても良い。
【0026】
また、基材シート31は、公知の着色剤の添加により着色されても良いし、着色されていなくても良い。基材シート31及び透明樹脂層34の厚みは60〜150μm程度が望ましい。また、透明樹脂層34の表面には、例えば導管柄、抽象柄、微細万線パターン等のエンボスによる凹凸模様が施されても良い。
【0027】
基材シート31と透明樹脂層34との積層方法としては、例えば、適宜の接着剤33を介したドライラミネート法、ウエットラミネート法や、接着剤層33を介した又は介しない熱ラミネート法、高周波ラミネート法、透明熱可塑性樹脂を溶融状態で押し出すと同時に積層する押出ラミネート法等が適宜可能である。押出ラミネート法にあっては、必要に応じて、接着剤層33としての酸変性オレフィン系樹脂又はオレフィン(メタ)アクリレート共重合体樹脂等の接着性樹脂層を、透明樹脂層34との共押出にて同時に積層形成してもよい。また、当該積層に先立ち基材シート31と透明樹脂層34との接着面に、例えば、コロナ放電、オゾン処理、プラズマ処理、フレーム処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、または、アンカー処理等の易接着化の表面処理を施して置くこともできる。
【0028】
絵柄層32は、所望の意匠の絵柄を印刷等によって表現したものであり、その絵柄の種類や構成材料、形成方法等に関しては一切制限はない。一般的には、絵柄としては例えば木目柄や石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字又は記号、或いはそれらの組み合わせ等であり、単色無地(ベタ)であっても勿論かまわない。基材シート31の隠蔽性が不十分である場合には、意匠絵柄と併用して若しくは単独で、不透明顔料を大量に含有する隠蔽ベタ層を設けることもできる。
【0029】
絵柄層32の構成材料は、染料又は顔料等の着色剤を合成樹脂等の展色剤と共に適宜の溶剤中に熔解又は分散した印刷インキ又は塗料等を使用するのが一般的である。着色顔料としては例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(弁柄、黄色酸化鉄、鉄黒)コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料や、アゾ顔料、イミダゾロン顔料等の有機顔料等、展色剤としては例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、繊維素誘導体等を使用することができる。
【0030】
絵柄層32の形成方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、転写印刷法、正殿印刷法、インキジェット印刷法などの各種印刷法や、ベタ状の場合には、グラビアコート、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、キスコート法、ロッドコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、スプレーコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種塗工方法等が適宜使用可能である。また、係る印刷又は塗工方法による代わりに、無着色の熱可塑性樹脂と着色した熱可塑性樹脂を不十分な混合状態でシート状に形成することにより、木目に類似した着色模様を呈するようにしたシート基材シート31として使用することもできる。
【0031】
化粧シート3の表面には、基材シート31や絵柄層32、透明樹脂層34等を外部からの物理的、化学的な攻撃から保護するために、表面保護層36を設けることもできる。表面保護層36は、基材シート31や透明樹脂層34を構成する熱可塑性樹脂よりも硬質且つ強靱な材質である硬化型樹脂を使用することが望ましい。具体的には、例えばウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化型樹脂や、不飽和ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂等の電離放射線硬化型樹脂などである。中でも、架橋密度が高く硬質で耐摩耗性や耐擦傷性に優れた硬化被膜が得られる電離放射線硬化型樹脂を使用することが最も望ましい。
【0032】
上記電離放射線硬化型樹脂とは、紫外線又は電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に少なくとも一つ有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを適宜配合してなるものである。係るプレポリマー、オリゴマーとしては、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート等のアクリレート類、ポリエステルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート等のメタクリレート類があげられる。モノマーとしては、n−アルキルアクリレート、イソ・プロピルアクリレート、イソ・ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジアルキルアミノエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、β−エトキシ・エチルアクリレート、アリールアクリレート、ベンゾイルオキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ・ジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールとε−カプロラクトン付加物アクリレート、イソ・ボロニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオ・ペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトレエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、アセタールグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールとε−カプロラクトン付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン・ポリエトキシレイト・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・ポリプロポキシレイト・トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトン付加物ヘキサアクリレート、アクリロキシエチルフォスフェート、フロロアルキルアクリレート、スルホプロピルアクリレート、等のアクリレートモノマー類や、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソ・ブチルメタクリレート、セカンダリー・ブチルメタクリレート、ターシャリー・ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソ・オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ターシャリー・ブチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニールメタクリレート、ノニールフェニールメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールメタクリレート、メタクリロキシエチルフォスフェート、ビス・メタクリロキシエチルフォスフェート、等のメタクリレートモノマー類があげられる。
【0033】
表面保護層36の厚みや形成方法には特に制限はなく、目的とする機能性を発現すべき機能性材料の特性に合わせて適宜設計すればよい。一般的には、表面保護層36の厚みは1〜100μm程度、更に好ましくは5〜50μm程度の範囲内とするのが良い。表面保護層36の形成方法としては、例えばロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、マイクログラビアコート法等の各種コーティング法から任意に選択すればよい。
【0034】
上記電離放射線硬化型樹脂の塗工被膜を紫外線の照射によって硬化させる場合には、当該電離放射線硬化型樹脂には、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン又はそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類、チオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アゾ化合物等から選ばれる1種以上の光ラジカル重合開始剤が添加される。また必要に応じて、例えばトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミン類、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体等から選ばれる1種以上の光増感剤が併用される。
【0035】
さらに、上記電離放射線硬化型樹脂の副成分として、着色剤、充填剤、艶消剤、消泡剤、離型剤、耐磨剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、防黴剤、希釈溶剤その他の添加物を、必要に応じて適宜含有させても良い。希釈溶剤を含有する電離放射線硬化型樹脂を使用する場合には、塗工後希釈溶剤を揮発除去した後に電離放射線を照射して硬化させることが望ましい。
【0036】
表面保護層36を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化の為に使用する電離放射線の種類は特に限定されず、要するに電離放射線硬化型樹脂又はそれに添加された光ラジカル重合開始剤又は増感剤等に作用してこれらを電離(ラジカル化)させ、ラジカル重合反応を開始せしめるに十分なエネルギーを有する電離放射線であれば良く、具体的には、例えば可視光線、紫外線、X線、γ線等の電磁波や、電子線、α線、β線等の荷電粒子線等が考えられるが、感度や硬化能力、照射装置(光源・線源)の簡便性等から見て、最も実用性の高いのは紫外線又は電子線である。
【0037】
紫外線照射の光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯等の光源が適用できる。照射量は、30〜1000mJ/cm2が好ましい。30mJ/cm2未満では硬化不十分のおそれがある一方、1000mJ/cm2を越えると熱可塑性シートの劣化の原因となるからである。通常この処理は50〜500m/minのライン速度で可能であるから極めて生産効率が高い。
【0038】
電子線照射の線源としては、コックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種の電子線加速器を使用した電子線照射装置が適用できる。電子線照射装置より照射する電子線の加速電圧は50〜250kV、照射量は0.5〜5Mrad程度が良い。0.5Mrad未満では硬化不十分のおそれがある一方、5Mradを越えると基材シート31や透明樹脂層34等の劣化の原因となるからである。通常この処理は5〜500m/minのライン速度で可能であるから極めて生産効率が高い。
【0039】
表面保護層36には、目的とする化粧材の用途に応じて、所望の任意の機能性を有する材料を適宜使用又は添加することができる。具体的には、例えば汚染防止機能、抗菌機能、防黴機能、防虫機能、消臭機能、ホルムアルデヒド除去機能(例えば、ジシアンジアミド、メラミン等の化合物、尿素、バルビツール酸、セミカルバジッド塩酸円等のアマイド類、グルタミン酸、グリシン、アラニン等のアミノ酸類、ヒドラゾベンゼン、プロピオン酸ヒドラジド、カルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン誘導体等の含窒素化合物に代表されるホルムアルデヒド捕捉剤を含有させる)、芳香機能、吸放出機能、超親水性機能、導電機能、マイナスイオン発生機能等を挙げることができ、これらの二つ以上の機能を兼ね備えても良い。これらの機能性を有する材料としては、それぞれ公知の任意の材料を適宜使用することができる。
【0040】
表面保護層36に用いられる電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂は、架橋密度が高く、それ自体のバルクの硬度は十分に高いものが得られるが、本発明のごとき化粧材におけるその被膜の厚みは、通常高々100μm程度かそれ以下であるから、熱可塑性樹脂上に当該被膜が形成された状態でのデュロメーター硬さはさほど高いものでなく、本発明の目的とする60以上といった表面硬度を達成することは、一般に極めて困難である。これが、本発明において上記目的の表面硬度を達成するために、化粧シート3の裏側にデュロメーター硬さが60以上である硬質シート層2を導入した所以である。
【0041】
表面保護層36は一層のみの構成に限定されるものでなく、二層以上を積層して設けることも勿論可能である。図1に示した例では、表面保護層36は透明樹脂層34側から順に、下塗層361、中塗層362及び上塗層363の三層によって構成されている。これらの複数層の表面保護層36(361、362、363)を構成する樹脂の種類は、同一であっても相異なっていてもよい。但し、電離放射線硬化型樹脂を使用する場合には、これらの複数層の全てを電離放射線硬化型樹脂を少なくとも含有する樹脂によって構成すると共に、そのより上側の層の形成前には下側の層は未硬化若しくは不完全硬化の状態に留め、全ての層の形成後に全体を電離放射線の照射により完全硬化させることが、層間密着性の確保のために望ましい。一方、そのより上側の層の形成前に下側の層を完全硬化させてコロナ処理等の表面活性化処理を施した後、上側の層を形成しても良い。
【0042】
表面保護層36には、耐摩耗性向上のために減摩剤364を添加することができる。減摩剤364としては、例えばアルミナ、ダイアモンド、炭化珪素、シリカ、ガラス、ジルコニア、ゼオライト、シラスバルーン、珪藻土等少なくとも表面保護層36の主成分である樹脂よりも高硬度の材質からなる、平均粒径5〜50μm程度の粉粒体が用いられる。減摩剤364と表面保護層36の膜厚との関係を適宜設計することにより、減摩剤364が表面保護層36の平均表面より突出して、表面保護層36の表面に微細凸状部を形成する様に構成すると、得られる化粧材の表面硬度や耐摩耗性、耐擦傷性等を更に向上させると共に、化粧材の表面に耐滑り性(滑り止め性)を付与することもできる。
【0043】
但し、減摩剤364が表面保護層36の表面に突出した状態で露出していると、例えば本発明の化粧材を床材として使用した場合に、その上を歩行する人の靴下の裏面を摩耗させたり、子供が転んだときに膝小僧をすりむいたりするという問題が発生する虞がある。そこで、表面保護層36を複数層から構成すると共に、減摩剤はその最上層(図1示す例では上塗層363)以外の層(同.中塗層362)に添加しておき、その層の平均表面より突出した減摩剤364の表面を覆うように、減摩剤364が添加されていない最上層(同.上塗層363)を設けることが望ましい。この様にすると、表面保護層36の平均表面から減摩剤364の突出による微細凸部がなす鋭い表面凹凸が、最上層の表面保護層36(同.上塗層363)によって鈍化される結果、上記した接触物の摩耗の低減のほか、表面に触れたときのざらつきや、視覚的な角の艶消し感(粉っぽさ)なども軽減することができる。
【0044】
化粧シート3の表面に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層36を設けるにあたり、該表面保護層36の形成面、すなわち図1に示す例では透明樹脂層36の表面、と電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層36との間に、十分な密着性を確保する必要がある。そのためには、透明樹脂層34の表面に例えばコロナ放電処理又はオゾン処理等の表面活性化処理を施すか、若しくは、透明樹脂層34を構成する熱可塑性樹脂と、表面保護層36を構成する電離放射線硬化型樹脂との双方に対して密着性の優れた樹脂組成物からなるリコート性樹脂層35を、透明樹脂層34の表面に設けておくことが望ましい。
【0045】
リコート性樹脂35としては、例えばウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、尿素樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することが望ましく、中でもポリオール化合物とイソシアネート化合物との配合による二液硬化型ウレタン系樹脂を使用することが最も望ましい。ポリオール化合物としては、例えばアクリルポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物等が使用可能であるが、中でも熱可塑性樹脂及び電離放射線硬化型樹脂との密着性と内部凝集力とのバランス面から、ポリエステルポリオール化合物を使用することが最も望ましい。
【0046】
リコート性樹脂層35の塗布量は、乾燥後で0.1〜2.0g/m2程度とすることが望ましい。リコート性樹脂35の形成方法としては、例えばグラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、リップコート法、ダイコート法、従来公知の各種の塗工方式を任意に採用することができる。
【0047】
化粧シート3を硬質シート層2上に積層するにあたり、該積層用の接着剤との接着性を十分に確保する目的で、必要に応じて化粧シート3の裏面、すなわち図1に示す例における基材シート31の裏面に、プライマー層37を設けておくこともできる。その材質としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の易接着性樹脂組成物を使用することができる。また、プライマー層37に例えばシリカ等の無機質微粉末を添加しておくと、プライマー層37の表面が粗面化することにより、投錨効果による接着性の向上を図ることができるほか、化粧シート3の巻き取り保存時のブロッキングの防止にも有効である。
【0048】
化粧シート3を硬質シート層2上に積層する方法としては、例えば、適宜の接着剤33を介したドライラミネート法、ウエットラミネート法や、接着剤層52を介した又は介しない熱ラミネート法、高周波ラミネート法など、或いは、硬質シート層2が熱可塑性樹脂からなる場合には、該硬質シート層2の溶融押出成形と同時に積層する押出成形同時ラミネート法等が適宜可能である。また、当該積層に先立ち基材シート31と硬質シート層2との接着面に、例えば、コロナ放電、オゾン処理、プラズマ処理、フレーム処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、または、アンカー処理等の易接着化の表面処理を施して置くこともできる。
【0049】
また、化粧シート3の表面保護層36は、硬質シート層2との積層前に予め設けられていても良いし、表面保護層36の形成前の化粧シート3を硬質シート層2と積層した後(溝を設ける場合は溝加工前又は溝加工後)に、該化粧シート3の表面に表面保護層を設けることもできる。さらに、本発明の床用化粧シート1を木質基材等の床材用基材の表面に積層して床材を製造する場合には、表面保護層36の形成前の化粧シート3と硬質シート層2との積層後、これを床材用基材上に積層した後に表面保護層36を設けても良い。後者の方法によれば、巻き取り等のシートとしての取り扱いに適さない高塗布量の表面保護層36を設ける必要がある場合にも十分に対応可能であり、より優れた表面硬度や耐摩耗性、耐擦傷性を有する化粧材を容易に得ることができる利点がある。
【0050】
この場合、表面保護層36の形成前の化粧シート3の表面、すなわち図1に示す例における透明樹脂層34の表面に、前述したリコート性樹脂層35を設けておくと、工程の都合上、表面保護層36の形成前の化粧シート3の作製から、硬質シート層2や床材用基材との積層後の表面保護層36の形成までの間に、長期間が経過することがあっても、透明樹脂層34と表面樹脂層36との間に十分な密着性が容易に得られる利点がある。
【0051】
本発明の床用化粧シート1の表面には、化粧シート3の表面から硬質シート層2の層内に達する溝(溝部5)を設けることができる。溝部5の断面形状は、例えばV字状、U字状、断面四角形状、断面多角形状、断面R形状(最外表面から溝部7に落ち込む角が曲面状)など、任意の断面形状を選択することができる。一般的には、溝部5の幅は0.05〜5mm程度であり、深さは0.5〜3mm程度であるが、化粧シート3の厚みを越え、耐水性シート層2を貫通しない様に、化粧シート3と耐水性シート層2との合計の厚みを越えない範囲の深さとする必要がある。溝加工の方法としては、例えば鋸、鑿又はルーター等の、従来公知の任意の切削工具を使用した切削法等により行うことができる。
【0052】
本発明の床用化粧シート1には、断熱性や防音性、防振性、クッション性などの付与や、床下地面の不陸の吸収、音鳴り・ガタツキの防止などの目的で、図3に示す様に、硬質シート層2の裏面に発泡樹脂層7を設けることもできる。発泡樹脂層5としては、例えばポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)等のポリオレフィン系樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を公知の発泡剤で発泡倍率2〜40倍程度に発泡させたものや、軟質又は硬質のポリウレタンフォームなどを使用することができる。発泡樹脂層5の厚みは2〜12mm程度が望ましい。発泡樹脂層7と硬質シート層2との間の接着剤層6に用いる接着剤としては特に限定されるものではないが、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤、二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤などが好適に使用可能である。
【0053】
本発明の床用化粧シート1の使用の態様としては大きく2種類に大別される。その第1は、住宅等の建築物の施工現場において、広幅長尺状シート体又はロール状巻取体の形態での床用化粧シート1を、積層合板等からなる荒床や捨板又はコンクリートスラブ等の床スラブなどの床下地面に、接着剤等により直接貼着施工して床仕上面を形成する用途である。第2は、積層合板等の木質系材料や合成樹脂成形体又は金属製ハニカムパネル等からなる厚さ5〜20mm、幅50〜600mm、長さ300〜2000mm程度の定尺寸法を有する床材用基材の表面に積層して床材を製造し、これを床下地面に敷き詰めて床仕上面を形成する用途である。
【0054】
本発明の床用化粧シート1は、これらのいずれの用途態様に使用しても、その優れた耐水性や表面強度(耐凹み傷性)、溝加工による意匠性等の優れた効果を発揮することができるが、特に、床下地材又は床材用基材として木質系材料やコンクリート系材料等の様な吸水性材料を使用する場合にあっては、これらの吸水による膨れや反り、腐朽、黴等の防止にも有効である。また、床下地材又は床材用基材として木質系材料を使用する場合にあっては、該木質系材料の断熱性や緩衝性が活かされ、足裏等の肌に触れた時の暖かい感触や、床面上を歩いた時の適度の緩衝作用による歩行感などの面でも、従来の木質系フローリング材に匹敵する性能を有する床仕上面が得られる利点がある。
【0055】
【実施例】
以下に、本発明の床用化粧シートの具体的な実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0056】
実施例1
厚み80μmの着色無延伸ポリエチレン樹脂シートを基材シート31として、その表面にコロナ処理を施して濡れ指数380μN/cm(38dyn/cm)以上に調整し、その表面にウレタン樹脂系インキにてグラビア印刷法により隠蔽層及びチェリー柄の絵柄層32を順次印刷形成し、二液ウレタン樹脂系アンカー剤を乾燥後の塗布量1g/m2塗布した。次に、エチレン−エチルアクリレート系接着性樹脂層20μmと、光安定剤0.2重量%及び紫外線吸収剤0.3重量%添加したホモポリプロピレン樹脂80μmとを、共押出しラミネートして、接着剤層33及び透明樹脂層34を形成すると同時に、該透明樹脂層34の表面に金属製エンボスロールにて導管柄のエンボスを施した。冷却固化後、該透明樹脂層34の表面にコロナ処理を施して濡れ指数を380μN/cm(38dyn/cm)以上に調整し、該表面全体に、ポリエステルポリオール化合物とイソシアネート化合物との配合による二液硬化型ウレタン樹脂系リコート性塗料をグラビアコート法にて乾燥後の塗布量2g/m2に施してリコート性樹脂層35を形成した後、基材シート31の裏面に、シリカ粉末を配合したウレタン樹脂プライマー剤をグラビアコート法にて乾燥後の塗布量1g/m2に施してプライマー層37を形成して、表面保護層36の形成前の化粧シート3を作製し、これをロール状に巻き取った。
【0057】
ホモポリプロピレン樹脂90重量部、無水マレイン酸グラフト重合ホモプロピレン樹脂10重量部、平均粒径20μmの木粉(木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にしたもの)200重量部を2軸押出混練機によって混合、ペレット化して得た木質樹脂組成物を、押出成形法により厚さ2mmのシート状に成形し、表面強度がデュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K 6253)にて67であり、特殊合板の日本農林規格の耐水B試験に合格する耐水性を有する硬質シート層2を作製した。
【0058】
次に、上記表面保護層36の形成前の化粧シート3の裏面に、接着剤4として湿気硬化型ウレタン樹脂ホットメルト接着剤を120℃で押し出し塗布量30g/m2塗布し、上記硬質シート層2の表面上に接着して積層した。
【0059】
しかる後、化粧シート3のリコート性樹脂層35面に、減摩剤が添加されていないウレタン系紫外線硬化型樹脂と、減摩剤364として粒径10〜50μmの鱗片状炭化珪素を主剤樹脂100重量部あたり20重量部添加したエポキシ系紫外線硬化型塗料と、減摩剤が添加されていないポリエステル系紫外線硬化型塗料とを、硬化後の塗布量がそれぞれ1g/m2、22g/m2及び13g/m2となるように順次塗工し、紫外線を照射して硬化させ、コロナ処理にて濡れ指数を380μN/cm(38dyn/cm)以上に調整し、下塗層361、中塗層362及び上塗層363の三層からなり、中塗層362に添加した減摩剤364の突出による微細凸部が表面に形成された表面保護層36を設けた。最後に、ルーターにて幅、深さとも1mmのV字溝を化粧板の長さ方向に幅100mm間隔で形成して、本発明の床用化粧シート1を完成した。この床用化粧シート1は、表面硬度がデュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K6253)にて64であり、また、特殊合板の日本農林規格の1類浸漬剥離試験に合格(同一接着層における剥離しない部分の長さがそれぞれの側面において50mm以上)の耐水性を備えていることが確認された。
【0060】
実施例2
上記実施例1において、前記硬質シート層2の裏面に、湿気硬化型ウレタン樹脂ホットメルト接着剤(塗布量30g/m2)を介して、厚み2mmの20倍発泡の軟質ウレタンフォームからなる発泡樹脂層7を積層して、本発明の床用化粧シート1を作製した。
【0061】
【発明の効果】
本発明の床用化粧シートは、デュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K 6253)にて60以上の表面硬度と、特殊合板の日本農林規格の耐水B試験に合格する耐水性とを有する硬質シート層の表面に、合成樹脂製の化粧シートを積層して構成したので、通常の居室や廊下等は勿論のこと、浴室脱衣所や洗面所、厨房等の様に床面が水に濡れる機会の多い箇所に使用したり、床面に濡れ雑巾掛けやモップによる水拭き等の水を使用した清掃を行っても、床材に水が滲み込んで滲みになったり、膨れや剥離、反り等が発生することがない。しかも表面強度が強く、その表面上でキャスター付きの椅子、家具、車椅子、家電製品等を動かしたり、その表面に物品が落下などにより衝突したりすることがあっても、実用上表面に凹み傷が発生しにくく、良好な美観を長期に亘り保持することができる。
【0062】
しかも、合成樹脂製の化粧シートの裏面に配置された硬質シート層は、上記したとおり耐水性に優れているので、本発明の床用化粧シートに化粧シートの表面から硬質シート層の層内に至る溝加工を施しても、該溝部から侵入した水によって硬質シート層の膨れや反り、硬質シート層からの化粧シートの剥離等を発生することがないのみならず、該水が硬質シート層を透過して床材用基材や床下地面に達することがないので、床材用基材又は床下地材である木質系材料やコンクリート系材料等が水分を吸収して膨れ、反り、腐朽、黴などを発生することがない。この様にして、床仕上面に視覚的にも触覚的にも従来の木質系フローリング材に匹敵する優れた意匠感を与えつつ、水に濡れる機会の多い箇所の床面に使用しても床材用基材や床下地材の水分による変形や劣化等をも確実に防止することができ、しかも前述した通り優れた耐凹み傷性を有しており、以て優れた美観と床面強度等の性能とを長期に亘って維持できる耐久性に優れた床仕上面を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床用化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の床用化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図3】本発明の床用化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1‥‥‥床用化粧シート
2‥‥‥硬質シート層
3‥‥‥化粧シート
31‥‥基材シート
32‥‥絵柄層
33‥‥接着剤層
34‥‥透明樹脂層
35‥‥リコート性樹脂層
36‥‥表面保護層
361‥下塗層
362‥中塗層
363‥上塗層
364‥減摩剤
37‥‥プライマー層
4‥‥‥接着剤層
5‥‥‥溝部
6‥‥‥接着剤層
7‥‥‥発泡樹脂層
Claims (4)
- 硬質シート層の表面に化粧シートが積層された床用化粧シートであって、前記硬質シート層が、少なくとも熱可塑性樹脂及び充填剤を含有し、デュロメーター硬さ試験タイプD(JIS K 6253)にて60以上の表面硬度と、特殊合板の日本農林規格の耐水B試験に合格する耐水性とを有しており、且つ、前記化粧シートが合成樹脂製の化粧シートであることを特徴とする床用化粧シート。
- 前記化粧シートの表面から、前記化粧シートの厚みを越え、前記硬質シート層を貫通しない深さに溝が施されていることを特徴とする請求項1記載の床用化粧シート。
- 前記化粧シートが、熱可塑性樹脂層を主体として構成されており、該熱可塑性樹脂層の表面には、2液硬化型ウレタン系リコート性樹脂層を介して、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられており、該表面保護層には減摩剤が添加されていると共に、該表面保護層の表面には、該減摩剤の突出による微細凸部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の床用化粧シート。
- 前記硬質シート層の裏面に発泡樹脂層を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の床用化粧シート。
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