JP2001191454A - 化粧材 - Google Patents

化粧材

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JP2001191454A
JP2001191454A JP2000003840A JP2000003840A JP2001191454A JP 2001191454 A JP2001191454 A JP 2001191454A JP 2000003840 A JP2000003840 A JP 2000003840A JP 2000003840 A JP2000003840 A JP 2000003840A JP 2001191454 A JP2001191454 A JP 2001191454A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溝加工部位の選択的塗布作業が不要な化粧材
であって、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性、耐汚染性等の
表面物性に優れ、特に溝加工を施した部位が耐水性に優
れると共に色落ち等の問題が生じることがなく、さら
に、「色ブレ」や「タグ」等の問題が生じることのない
化粧材を提供することである。 【解決手段】 木質系基材と少なくとも木粉を含有する
非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板とを積層
した積層体の前記合成樹脂板面に装飾材を貼合したこと
を特徴とする化粧材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の壁面や床
面に用いられる化粧材に関し、さらに詳しくは、耐擦傷
性、耐磨耗性、耐水性等に優れた床材用化粧材に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、住宅等の壁面や床面等には、合
板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木
質系基材に装飾材として化粧シートを貼着した化粧材が
用いられている。ところで、これらの化粧材を床材用化
粧材として用いる場合、意匠性に優れることから化粧材
の表面にV字形状等の溝加工を施したものが多用されて
いる。
【0003】しかし、表面に溝加工を施した化粧材は、
通常、木質系基材の表面に化粧シートを貼着して後に、
ルーター等にて溝加工を施したものであり、木質系基材
が露出しているために、溝加工を施した部位は耐水性が
ない上に化粧シートを貼着した部位とは全く表面の色合
いが異なる。そのために、通常、溝加工を施した部位に
透明、あるいは、着色した塗料を塗布することにより、
耐水性を持たせたり、あるいは、化粧シートを貼着した
部位との色合いの差を解消している。
【0004】しかし、このような溝加工を施した部位に
耐水性を持たせたり、あるいは、溝加工を施した部位と
化粧シートを貼着した部位との色調節を行うための透
明、あるいは、着色した塗料を施す作業は、溝加工部位
の選択的塗布作業であり、結構手間の掛かる煩雑な作業
であると共に、塗布した塗料が時間経過と共に剥げ落ち
ることにより、色落ち問題が生じたり、この溝加工を施
した部位の耐水性が低下して膨潤するといった問題が生
じる。また、木質系基材として合板を用いた場合には、
「色ブレ」や「タグ」等の問題も発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記
問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とす
るところは、溝加工部位の選択的塗布作業が不要な化粧
材であって、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性、耐汚染性等
の表面物性に優れ、特に溝加工を施した部位が耐水性に
優れると共に色落ち等の問題が生じることがなく、さら
に、「色ブレ」や「タグ」等の問題が生じることのない
化粧材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決するために、まず、請求項1記載の本発
明の化粧材は、木質系基材と少なくとも木粉を含有する
非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板とを積層
した積層体の前記合成樹脂板面に装飾材を貼合したこと
を特徴とするものである。このように構成することによ
り、耐水性のある溝加工部位とすることができると共に
合成樹脂板を着色したものとすることにより溝加工部位
の色調節作業を不要とすることができる。また、化粧シ
ートが合成樹脂板に貼着されているために、木質系基材
に合板を用いても「色ブレ」や「タグ」等の問題を生じ
ることがない。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
記載の化粧材において、前記装飾材が着色された、およ
び/ないし、印刷層が形成された合成樹脂製シートから
なり、該合成樹脂製シートの表面に硬化型樹脂からなる
表面保護層が形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0008】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
記載の化粧材において、前記表面保護層を形成する硬化
型樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることを特徴とする
ものである。
【0009】上記請求項2、3のように構成することに
より、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性、耐汚染性等の表面
物性に優れた化粧材とすることができる。
【0010】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
〜3のいずれかに記載の化粧材において、前記化粧材の
木質系基材面にオレフィン系熱可塑性樹脂からなる防湿
シートが貼着されていることを特徴とするものである。
このように構成することにより、裏面からの木質系基材
の吸放水を防止することができ、反りや割れの生じ難い
化粧材とすることができる。
【0011】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
〜4のいずれかに記載の化粧材において、前記化粧材が
床材であることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】上記の本発明について、以下に詳
しく説明する。まず、本発明の化粧材を構成する木質系
基材としては、単板、合板、パーチクルボード、中密度
繊維板(MDF)、ハードボード、ソフトボード等の周
知のものを挙げることができる。
【0013】次に、本発明の化粧材を構成する少なくと
も木粉を含有する非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合
成樹脂板を形成する非ハロゲン系樹脂としては、ポリエ
チレン,ポリプロピレン,ポリメチルペンテン等のオレ
フィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のビニル系樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
ト,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレ
ート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポ
リアリレート等のエステル系樹脂、ポリメタアクリル酸
メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エ
チル,ポリメタアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、
ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系樹脂、あ
るいは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の熱可塑
性樹脂を挙げることができる。また、これらの熱可塑性
樹脂は単独であっても2種以上の混合物であってもよ
い。
【0014】また、前記合成樹脂板を形成する前記非ハ
ロゲン系熱可塑性樹脂に混合する木粉としては、針葉樹
や広葉樹等のいかなる木粉であってもよく、木材の種類
で限定されるものではない。そして、木粉は本来の木材
粉に限ることなく、たとえば、籾殻や木の実の粉、ある
いは、木質繊維であってもよい。木粉を非ハロゲン系熱
可塑性樹脂に混合する理由としては、合成樹脂板と木質
系基材とを従来から用いられている酢酸ビニル系接着剤
を用いて積層することができるために施工性が向上す
る。また、非ハロゲン系熱可塑性樹脂の使用量を低減す
ることができ、それだけ合成樹脂板のコストを安価にす
ることができる。さらに、焼却処理時の熱量をおとすこ
とができ、焼却炉の損傷を防止することができる。ま
た、木工所等で木材を切断する時に発生する鋸屑や端材
等の有効利用を図ることができる。また、木粉は、通常
鋸屑などの切削粉等を乾式ないし湿式粉砕、あるいは、
篩等により平均粒径が30〜150 μmの粉末としたものを
用いる。平均粒径が150 μmより粗いとTダイ押出機で
押し出した場合に表面に筋が入り平滑な表面が得られな
い可能性があり、また、平均粒径が30μmより細かいと
非ハロゲン系熱可塑性樹脂と均一に混合することが困難
になり、非ハロゲン系熱可塑性樹脂に対する木粉の密度
が高いところと低いところが混在するような不均一な混
合となり、Tダイ押出機で押し出した合成樹脂板の機械
的強度にバラツキが生じる。
【0015】また、木粉の非ハロゲン系熱可塑性樹脂に
対する添加量は、非ハロゲン系熱可塑性樹脂100 重量部
に対して10〜100 重量部が適当である。この理由として
は、10重量部より少ないと施工時に従来から用いられて
いる酢酸ビニル系接着剤では木質系基材と接着し難いと
いう問題が発生し、また、100 重量部より多いとTダイ
押出機で押し出した合成樹脂板の機械的強度が低下する
問題や表面平滑性が悪くなる問題性があり、また、生産
性の面でも落ちるという問題が生じる。
【0016】また、前記非ハロゲン系樹脂に木粉を均一
に分散させる目的で、あるいは、Tダイ押出機での押し
出し適性の向上を図る目的で、あるいは、合成樹脂板と
したときの機械的強度向上を図る目的で、あるいは、合
成樹脂板に難燃性を付与する目的で、あるいは、合成樹
脂板の意匠性を向上させる目的で、たとえば、無機充填
剤、滑剤、熱可塑性エラストマー、酸化防止剤、光安定
剤、紫外線防止剤、顔料等を添加してもよい。また、必
要に応じて合成樹脂板の一方の面ないし両面にコロナ放
電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施
してもよい。なお、合成樹脂板の厚さとしては溝加工を
施す溝の深さにより適宜決める必要があるが、いずれに
しても溝の深さより厚く構成されていればよい。
【0017】次に、本発明の化粧材を構成する装飾材に
ついて説明する。装飾材の基材としては、紙、難燃紙、
不燃紙、有機繊維又は無機繊維の織布、不織布、あるい
は、非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製シー
ト、あるいは、これらの積層体を挙げることができ、前
記装飾材としては、これらの基材に印刷層、発泡層、表
面保護層等を適宜形成した周知の化粧シート、あるい
は、必要に応じて、これらの化粧シートに意匠性を向上
させるためにエンボス加工やワイピング加工を施したも
の等を用いることができるが、床材用途を考慮すると耐
擦傷性、耐磨耗性、耐汚染性、耐水性等において優れた
性能を有する必要があり、前記装飾材の基材としては、
非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製シートが
環境に優しい点も考慮して好ましい。
【0018】この合成樹脂製シートとしては、低密度ポ
リエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度
ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレンαオレフ
ィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテ
ン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロ
ピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合
体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、あるい
は、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
ト,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレ
ート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポ
リアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタア
クリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアク
リル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱
可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミ
ド系熱可塑性樹脂、あるいは、ポリイミド、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂を挙げること
ができる。また、これらの熱可塑性樹脂は単独であって
も2種以上の混合物であってもよい。しかし、本発明の
化粧材に用いる装飾材としての基材には、後述するよう
に印刷層や表面保護層、あるいは、エンボス加工等によ
り凹凸模様が形成されるために、印刷適性やエンボス加
工適性等が要求されると共に安価である必要があり、こ
れらのことを考慮するとオレフィン系熱可塑性樹脂が好
ましい。
【0019】また、前記オレフィン系熱可塑性樹脂から
なる合成樹脂製シートは、無延伸の状態、あるいは、1
軸ないし2軸方向に延伸した状態のいずれの状態のシー
トであってもよいし、また、顔料等を添加した着色シー
トであっても構わないが、この合成樹脂製シートの厚さ
としては、概ね60〜300 μm程度が好ましい。また、必
要に応じて、この合成樹脂製シートの一方の面ないし両
方の面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等
の易接着処理を施してもよい。また、この合成樹脂製シ
ートを構成するオレフィン系熱可塑性樹脂には適宜、周
知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線防止剤、あるいは、
難燃性を付与するための無機充填剤、あるいは、意匠性
を付与するための発泡剤等の各種の添加剤を添加するこ
とができる。ところで、上記着色シートに用いる顔料と
しては、耐熱性や耐候性を考慮すると周知の無機系顔料
が適当である。
【0020】次に、装飾材の表面、すなわち、装飾材の
基材としての合成樹脂製シートの表面に設ける表面保護
層としては、特に床材用途の場合、耐擦傷性、耐磨耗
性、耐汚染性、耐水性等が要求されるために硬化型樹脂
を用いて形成するのが適当である。硬化型樹脂として
は、熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂に大別され
る。
【0021】まず、熱硬化型樹脂について説明する。熱
硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジア
リルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化
型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキ
ッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリ
シロキサン樹脂等を挙げることができる。上記樹脂に
は、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、また
は、重合促進剤を添加して用いる。たとえば、硬化剤と
しては、イソシアネートまたは有機スルホン酸塩等が不
飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加さ
れ、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加され、メチルエ
チルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチ
ルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹
脂には添加される。
【0022】上記のイソシアネートとしては、2価以上
の脂肪族または芳香族イソシアネートを使用できるが、
熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望
ましい。具体的なイソシアネートとして、トリレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げる
ことができる。
【0023】上記2液硬化型ポリウレタンとしては、そ
の分子構造中に水酸基を平均して2個以上有するポリオ
ール化合物からなる第1液と、ポリイソシアネート化合
物からなる第2液とを水酸基とイソシアネート基の当量
比が0.7〜1.5になるように配合したものを挙げる
ことができる。
【0024】上記エポキシ樹脂としては、その分子構造
中にエポキシ基を平均2個以上有するエポキシ樹脂と、
エポキシ樹脂と反応する活性水素を1分子中に3個以上
有するモノ−アミン、または、ポリ−アミンとをエポキ
シ樹脂のエポキシ当量とモノ−アミン、または、ポリ−
アミンの活性水素当量の比が0.7〜1.5になるよう
に配合したものを挙げることができる。
【0025】上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通
常使用されているものを使用することができ、具体的に
は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプ
ロピル、酢酸アミル等の酢酸エステル類、メチルアルコ
ール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の
アルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイ
ソプロピルエーテル等のエーテル類およびこれらの2種
以上の混合物を挙げることができる。
【0026】ところで、この熱硬化型樹脂で表面保護層
を形成する方法としては、たとえば、この熱硬化型樹脂
を溶液化し、グラビアコート法、ロールコート法等の周
知の塗工法で塗工することにより形成することができ
る。この場合の塗工量としては、固形分として概ね5〜
30g/m2 が適当であり、好ましくは15〜25g/m2
ある。
【0027】次に、電離放射線硬化型樹脂について説明
する。電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線を照射す
ることにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造
に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波または荷
電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子
を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、
真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等がある。通
常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、
超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアー
ク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯
の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900
〜3800Åの波長域が主として用いられ、また、電子線源
としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト
型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器
を用い、100 〜1000KeV、好ましくは100 〜300 Ke
Vのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用でき
る。
【0028】電離放射線硬化型樹脂としては、分子中
に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオ
キシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等
のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー
又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称す
る)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリ
マーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用い
る。尚、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリ
レート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0029】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウ
レタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリ
レート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン
(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げ
られる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000 程
度以下のものが用いられる。分子量が10000 を超えると
硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱
性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタ
アクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化
速度という点ではアクリレートの方が速い為、高速度、
短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレー
トの方が有利である。
【0030】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッ
ク型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系
樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテ
ル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエー
テル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、
スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0031】ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の
例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量
体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メト
キシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メ
タ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−
ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−
ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N
−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウ
リル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリ
レート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フ
ェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリ
エチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アク
リロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレ
ート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイド
ロゲンテレフタレート等が挙げられる。
【0032】また、ラジカル重合性不飽和基を有する多
官能単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロ
ピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジ
オールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオ
キサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレン
オキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)
アクリロイルオキシエチルフォスフェ−ト等が挙げられ
る。
【0033】カチオン重合性官能基を有する単量体は、
上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量
体を用いることができる。
【0034】上記の電離放射線硬化型樹脂は電子線を照
射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させ
る場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。ラ
ジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開
始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキ
サントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、
ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジ
フェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジ
エチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソ
プロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単
独又は混合して用いることができる。又、カチオン重合
性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム
塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾ
インスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニ
ウムジアリルヨードシル塩等を単独又は混合物として用
いることができる。尚、これら光重合開始剤の添加量は
一般に、電離放射線硬化型樹脂100 重量部に対して、0.
1 〜10重量部程度である。
【0035】上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通
常使用されているものを使用することができ、具体的に
は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプ
ロピル、酢酸アミル等の酢酸エステル類、メチルアルコ
ール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の
アルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイ
ソプロピルエーテル等のエーテル類およびこれらの2種
以上の混合物を挙げることができる。
【0036】ところで、この電離放射線硬化型樹脂で表
面保護層を形成する方法としては、たとえば、この電離
放射線硬化型樹脂を溶液化し、グラビアコート法、ロー
ルコート法等の周知の塗工法で塗工することにより形成
することができる。この場合の塗工量としては、固形分
として概ね5〜30g/m2 が適当であり、好ましくは15
〜25g/m2 である。
【0037】また、電離放射線硬化型樹脂から形成され
た表面保護層に、より一層耐擦傷性、耐磨耗性を付与す
る場合には、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二
酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マ
グネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化
ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイア
モンド、金剛砂、ガラス繊維等の研磨材を加えることに
より達成することができる。この研磨材の電離放射線硬
化型樹脂100 重量部に対する割合は1〜80重量部が適当
である。
【0038】上記で説明した熱硬化型樹脂あるいは電離
放射線硬化型樹脂には、必要に応じて、染料、顔料等の
着色剤、艶調製剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリ
ング剤、チクソトロピー性付与剤等の添加剤を加えるこ
とができる。
【0039】また、前記合成樹脂製シートと前記表面保
護層との接着強度を向上させる目的で、前記合成樹脂製
シートと前記表面保護層との間にプライマー層を設ける
こともできる。このプライマー層としては、アクリル
樹脂とウレタン樹脂との共重合体と、イソシアネート
とからなる樹脂で形成されたものである。すなわち、プ
ライマー層は、のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共
重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分
(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリ
オール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分
C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレ
ポリマーにさらにジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を
添加して鎖延長することで得られるものである。この反
応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアク
リル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有
するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成さ
れる。そして、このアクリル−ポリエステルウレタン共
重合体の末端の水酸基をのイソシアネートと反応させ
て硬化させることにより形成されたものである。
【0040】前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖
状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的に
は、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリ
レート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特
性)に優れ、ウレタンと共重合させて相溶化するのが容
易である点から好ましい。前記成分Aは共重合体におい
てアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜70
00(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良
好であるために好ましく用いられる。また、前記成分A
は両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、
片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端
に水酸基を有するものと混合して用いてもよい。共役二
重結合が残っているアクリル重合体を混合することによ
り、プライマー層と接する層、たとえば、表面保護層の
樹脂に電離放射線硬化型樹脂を用いた場合に、該電離放
射線硬化型樹脂とアクリル重合体の共役二重結合が反応
するために特に電離放射線硬化型樹脂との間の接着性を
向上させることができ、プライマー層を設ける場合に
は、電離放射線硬化型樹脂を用いて表面保護層を形成す
る方が望ましい。
【0041】前記成分Bは、ジイソシアネートと反応し
てポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウ
レタン樹脂成分を構成する。成分Bは両末端に水酸基を
有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエ
ステルジオールとしては、芳香族またはスピロ環骨格を
有するジオール化合物とラクトン化合物またはその誘導
体、またはエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基
酸とジオールとの縮合生成物、および環状エステル化合
物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることが
できる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタン
ジオール、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール
等の短鎖ジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール
などの脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。ま
た、上記二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポ
リエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分とし
てアジピン酸またはアジピン酸とテレフタル酸の混合
物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3
−メチルペンタンジオールおよび1,4シクロヘキサン
ジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルであ
る。
【0042】プライマー層において、成分Bと成分Cと
が反応して形成されるウレタン樹脂成分は、該プライマ
ー層に柔軟性を与え、合成樹脂製シートとの接着性に寄
与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成
分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッ
キング性に寄与する。ウレタン樹脂において、成分Bの
分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能な
ウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸
またはアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチ
ルペンタンジオールおよび1,4シクロヘキサンジメタ
ノールからなるポリエステルジオールの場合、500 〜50
00(重量平均分子量)が好ましい。
【0043】成分Cは、1分子中に2個のイソシアネー
ト基を有する脂肪族または脂環族のジイソシアネート化
合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、た
とえば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,
4)-1,6ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、4,4'ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、1,4'シクロヘキシルジイソシアネート等を挙
げることできる。ジイソシアネート成分としては、イソ
ホロンジイソシアネートが物性およびコストが優れる点
で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアク
リル重合体、ポリエステルポリオール、および、後述す
る鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合も含める)
と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過
剰となるようにする。
【0044】上記の三成分A、B、Cを60〜120 ℃で2
〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシ
アネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反
応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共
にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付
加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基および
水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。こ
のプレポリマーに鎖延長剤として、たとえば、イソホロ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加
えてイソシアネート基を該鎖延長剤と反応させ、鎖延長
することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタン
の分子中に導入され、末端に水酸基を有するのアクリ
ル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができ
る。
【0045】こののアクリル−ポリエステルウレタン
共重合体に、のイソシアネートを加えると共に、塗工
法、塗工量(乾燥後の)を考慮して必要な粘度に調節し
た塗工液となし、たとえば、グラビアコート法、ロール
コート法等の周知の塗工法で塗工することにより、プラ
イマー層を形成することができる。前記プライマー層の
乾燥後の塗工量としては、1〜20g/m2が適当であり、好
ましくは1〜5g/m2である。また、前記プライマー層
は、上記樹脂以外に必要に応じてシリカ微粉末などの充
填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層として
もよい。また、のイソシアネートとしてはのアクリ
ル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して
架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえ
ば、2価以上の脂肪族または芳香族イソシアネートが使
用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシ
アネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、4,4'- ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、また
は、これらの2量体、3量体などの多量体、あるいは、
これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体
(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げ
ることができる。
【0046】次に、本発明の化粧材の木質系基材面に貼
着する防湿シートについて説明する。この防湿シートと
しては、防湿性能とコスト、あるいは、昨今問題となっ
ている燃焼時に有害なガスを発生しない等を考慮する
と、オレフィン系熱可塑性樹脂からなるシートが好まし
い。具体的には、前記合成樹脂製シートで説明したオレ
フィン系熱可塑性樹脂を用いることができ、その厚さと
しては、用いるオレフィン系熱可塑性樹脂の種類により
異なるが、透湿度として30g/m2・24hr(JISZ020
8:カップ法による測定)以下、より好ましくは20g/m2
・24hr(JISZ0208:カップ法による測定)以下
となるように設定すればよく、概ね25〜50μmである。
この防湿シートについても一方の面ないし両方の面にコ
ロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処
理を施してもよい。
【0047】上記の本発明について、図面等を用いてさ
らに詳しく説明する。図1は本発明にかかる化粧材の基
本的な構成を概略的に示す断面図、図2は本発明にかか
る化粧材の第2の基本的な構成を概略的に示す断面図、
図3は本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な
一実施例を示す断面図、図4は本発明にかかる化粧材に
用いる装飾材の具体的な他の実施例を示す断面図であ
り、図中の1は化粧材、2は積層体、3は装飾材、4は
防湿シート、10は木質系基材、20,21,22,90は接着剤
層、30は合成樹脂板、40は表面保護層、50,51,52は合
成樹脂製シート、60はV溝加工、70は凹凸模様、71はワ
イピングインキ、72,72’,72''はプライマー層、80は
絵柄印刷層、81はベタ印刷層をそれぞれ示す。
【0048】まず、図1は本発明にかかる化粧材の基本
的な構成を概略的に示す断面図であって、化粧材1は、
木質系基材10の一方の面に接着剤層20を介して木粉を含
有した非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板
(以下、木粉含有合成樹脂板と呼称する)30を積層した
積層体2の前記木粉含有合成樹脂板30面に接着剤層21を
介して表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表
面保護層40を有する合成樹脂製シート50からなる装飾材
3を貼合し、前記表面保護層40側から前記木粉含有合成
樹脂板30に至るV溝加工60を施したものである。このよ
うに構成した化粧材1は、表面が電離放射線硬化型樹脂
により形成された表面保護層40により被覆されているた
めに、耐擦傷性、耐磨耗性、耐汚染性、耐水性に優れる
と共に、V溝加工60を施した部位も木粉含有合成樹脂板
30の層内であり、この部位についても耐水性に優れ、ま
た、顔料で着色した木粉含有合成樹脂板30を用いてもよ
く、従来のように溝加工を施した部位に、耐水性を持た
せたり、あるいは、溝加工を施した部位と装飾材を貼着
した部位との色調節を行うための透明、あるいは、着色
した塗料を施す必要がなく、溝加工を施した部位の色落
ち問題が生じることがない。さらに、木質系基材10に木
粉含有合成樹脂板30を接着剤層20を介して積層した積層
体2の木粉含有合成樹脂板30面に装飾材3が貼着されて
いるために、たとえば、木質系基材10に合板を用いても
「色ブレ」や「タグ」等の問題を生じることがない。な
お、溝加工はV溝加工60に限るものではない。
【0049】また、図2は本発明にかかる化粧材の第2
の基本的な構成を概略的に示す断面図であって、化粧材
1’は、図1に示した化粧材1の前記木質系基材10の裏
面(表出面)に防湿シート4を接着剤層22を介して貼合
したものであり、これ以外は図1に示した化粧材1と同
じである。このように構成することにより、化粧材1’
は図1に示した化粧材1に比べて前記木質系基材10の裏
面からの吸放水を防止することができ、反りや割れの生
じ難い化粧材とすることができる。
【0050】次に、本発明の化粧材1、1’に用いる装
飾材の具体的な実施例について説明する。図3は本発明
にかかる化粧材に用いる装飾材の具体的な一実施例を示
す断面図であって、装飾材3’は前記装飾材3(図1、
2参照)に印刷絵柄や凹凸模様などの化粧材として具備
すべき意匠性を付与する手段の一つの態様を示したもの
であって、具体的には合成樹脂製シート(この実施例に
おいては透明なシート)51の一方の面にエンボス加工を
施して凹凸模様70を設け、その上からワイピング処理を
施して前記凹凸模様70の凹部内にワイピングインキ71を
充填した後に、表出面全面にプライマー層72(このプラ
イマー層は上記で説明したプライマー層である)を設
け、該プライマー層72上に電離放射線硬化型樹脂からな
る表面保護層40を形成すると共に前記合成樹脂製シート
51の他方の面にプライマー層72’を介して絵柄印刷層8
0、ベタ印刷層81を形成したものである。この装飾材
3’を図1ないし図2に示す前記装飾材3に替えて用
い、この装飾材3’の前記ベタ印刷層81面と図1ないし
図2に示す前記積層体2の前記合成樹脂板30の面とを接
着剤層21を介して貼合することにより本発明の化粧材と
することができる。
【0051】図4は本発明にかかる化粧材に用いる装飾
材の具体的な他の実施例を示す断面図であって、装飾材
3''は前記装飾材3(図1、2参照)に印刷絵柄や凹凸
模様などの化粧材として具備すべき意匠性を付与する別
の手段の態様を示したものであって、具体的には合成樹
脂製シート52の少なくとも一方の面にコロナ放電処理、
プラズマ処理、オゾン処理などの易接着処理を施して後
に、該易接着処理面(図示せず)にプライマー層72''を
設け、該プライマー層72''上にベタ印刷層81、絵柄印刷
層80を順に印刷形成し、さらに前記絵柄印刷層80上に2
液硬化型ウレタン樹脂等の周知のドライラミネーション
用接着剤で形成した接着剤層90を介して合成樹脂製シー
ト(この実施例においては透明なシート)51が周知のド
ライラミネーション法で貼合され、該合成樹脂製シート
51の表面にエンボス加工を施して凹凸模様70を設け、そ
の後、図3に示した装飾材3’と同様に、凹凸模様70の
上からワイピング処理を施して前記凹凸模様70の凹部内
にワイピングインキ71を充填した後に、表面にプライマ
ー層72(このプライマー層は上記で説明したプライマー
層である)を設け、該プライマー層72上に電離放射線硬
化型樹脂からなる表面保護層40を形成したものである。
この装飾材3''を図1ないし図2に示す前記装飾材3に
替えて用い、この装飾材3''の前記合成樹脂製シート52
面と図1ないし図2に示す前記積層体2の前記合成樹脂
板30の面とを接着剤層21を介して貼合することにより本
発明の化粧材とすることができる。ところで、前記合成
樹脂製シート52は、一般的には着色シートが用いられる
が、無着色シートであってもよい。また、この合成樹脂
製シート52は、上記で説明した合成樹脂製シート50と同
じものを用いることができ、また、合成樹脂製シート50
で説明したと同じ理由でオレフィン系熱可塑性樹脂が好
ましい。
【0052】次に、図3に示した前記合成樹脂製シート
51の他方の面に設けるプライマー層72’は、オレフィン
系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製シート51と絵柄印刷
層80あるいはベタ印刷層81等の印刷層との接着性を向上
させるために設けるものであり、プライマー層72と同様
の樹脂を用いるのが好ましく、形成方法も前記プライマ
ー層72の形成方法と同じである。また、図4に示した合
成樹脂製シート52に設けるプライマー層72''は、前記合
成樹脂製シート52とベタ印刷層81などの印刷層との接着
性を向上させるために設けるものであり、前記合成樹脂
製シート52がオレフィン系熱可塑性樹脂からなる場合に
は、上記で説明したプライマー層72と同様の樹脂を用い
るのが好ましく、形成方法も前記プライマー層72の形成
方法と同じである。
【0053】そして、前記凹凸模様70は加熱プレスやヘ
アライン加工などにより形成することができる。凹凸模
様70としては、たとえば、導管溝、石板表面凹凸、布表
面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等
である。
【0054】また、前記絵柄印刷層80および前記ベタ印
刷層81は、一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、
シルクスクリーン印刷等の周知の印刷法でインキを用い
て形成することができる。前記絵柄層80としては、たと
えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何
学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄であり、前
記ベタ印刷層81としては、隠蔽性を有する着色インキで
ベタ印刷したものである。図3、4においては、前記絵
柄印刷層80および前記ベタ印刷層81の両方を設けた構成
を示したが、いずれか一方の構成であっても構わない。
【0055】また、前記絵柄印刷層80および前記ベタ印
刷層81に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素
化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリ
オレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオー
ルからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種ない
し2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助
剤等を加えてインキ化したものを用いることができが、
環境問題を考慮すると、ポリエステル、イソシアネート
とポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポ
リ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等
の1種ないし2種以上混合した非塩素系のビヒクルが適
当であり、より好適にはポリエステル、イソシアネート
とポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポ
リアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合したもので
ある。
【0056】なお、図3、4に示した装飾材3’、およ
び、3''は、本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具
体的な実施例を例示したものであって、本発明の主旨を
逸脱しない範囲であれば、これに限るものではない。
【0057】
【実施例】次に、本発明について、以下に実施例を挙げ
てさらに詳しく説明する。まず、装飾材について説明す
る。両面にコロナ放電処理を施した120 μmのポリプロ
ピレンフィルム〔三菱化学エムケーブイ(株)製〕の一
方の面にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール
100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部
を添加した樹脂〕溶液をグラビアコート法で固形分が2
g/m2 となるように塗工して印刷用プライマー層を形
成し、該プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂〔ア
クリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシ
アネート5重量部を添加した樹脂〕からなる印刷インキ
を用いてグラビア印刷法で木目模様の印刷絵柄層と印刷
ベタ柄層を形成した。その後、前記120 μmのポリプロ
ピレンフィルム〔三菱化学エムケーブイ(株)製〕の他
方の面に前記木目模様の印刷絵柄層の導管部に対応する
ようにエンボス版で凹部を設け、その後、前記凹部にア
クリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部
にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した
樹脂〕からなるワイピング印刷インキを充填して乾燥さ
せると共に、その上にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリ
ルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネ
ート5重量部を添加した樹脂〕溶液をグラビアコート法
で固形分が2g/m2 となるように塗工して表面保護層
用プライマー層を形成し、その後に該プライマー層上に
電離放射線硬化型樹脂〔大日精化工業製:EBF−0
4〕をロールコート法で塗工、乾燥して後に電子線を照
射することにより、固形分が20g/m2 の表面保護層を
形成して装飾材を得た。
【0058】次に、積層体について説明する。ポリプロ
ピレン系樹脂〔三菱化学エムケーブイ(株)製〕とエチ
レン−プロピレン共重合体ゴムと木粉とからなる表1に
示す配合の組成物を加熱溶融してTダイ押出機で押し出
すと共に、両面にコロナ放電処理を施して4mm厚さの木
粉含有合成樹脂板を作製した。次に、4mm厚さの合板に
中央理化(株)製リカボンドBA-10A(100 重量部)に対
してBA-10B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状
態で60g/m2 塗工し、該塗工面に前記木粉含有合成樹
脂板を貼合して積層体を得た。
【0059】
【0060】実施例1 上記で作製した積層体の木粉含有合成樹脂板面に中央理
化(株)製リカボンドBA-10A(100 重量部)に対してBA
-10B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で60
g/m2 塗工し、上記で作製した装飾材を該装飾材の前
記印刷ベタ柄層が前記塗布面側に位置するように貼着し
て本発明の化粧材を得た。
【0061】比較例1 8mm厚さの中密度繊維板(MDF)に中央理化(株)製
リカボンドBA-10A(100 重量部)に対してBA-10B(5重
量部)を添加した接着剤をウエット状態で60g/m2
工し、上記で作製した装飾材を該装飾材の前記印刷ベタ
柄層が前記塗布面側に位置するように貼着して比較例と
する化粧材を得た。
【0062】比較例2 8mm厚さの合板に中央理化(株)製リカボンドBA-10A
(100 重量部)に対してBA-10B(5重量部)を添加した
接着剤をウエット状態で60g/m2 塗工し、上記で作製
した装飾材を該装飾材の前記印刷ベタ柄層が前記塗布面
側に位置するように貼着して比較例とする化粧材を得
た。
【0063】上記で作製した実施例1、比較例1、2に
ついて、「色ぶれ」、「ダク」を目視評価すると共に、
装飾材側から幅が2mmで深さが2mmのV溝加工を施し、
V溝加工部位を着色する必要があるか否かを目視評価す
ると共に、JASに準じて耐水試験を行い、その結果を
表2に纏めて示した。
【0064】 ※1「色ブレ」評価−○印:「色ブレ」なし ×印:「色ブレ」あり ※2「ダク」 評価−○印:「ダク」なし ×印:「ダク」あり
【0065】なお、本実施例において、木粉含有合成樹
脂板はシート成形したものを用いたが、これに限ること
はなく、たとえば、装飾材の印刷ベタ柄層面にプライマ
ー層を設け、該プライマー層面に直に表1に示す配合の
組成物を加熱溶融してTダイ押出機で押し出すと共に、
予め用意した一方の面にプライマー層を塗工済の木質系
基材を該プライマー層を加熱溶融組成物側にして同時に
貼合して本発明の化粧材を得ることもできる。
【0066】
【発明の効果】本発明は、今まで縷々説明したように、
耐水性のある溝加工部位を有すと共に、溝加工部位に着
色塗料を塗布して色調節する必要もなく、その結果色落
ち等の問題も生じることのない化粧材を提供することが
できる。また、「色ブレ」や「タグ」等の問題も生じる
ことのない化粧材を提供することができる。さらに、装
飾材の表面保護層を電離放射線硬化型樹脂で形成するこ
とにより、耐擦傷性、耐磨耗性、耐水性、耐汚染性等の
表面物性に優れた化粧材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる化粧材の第1の基本的な構成
を概略的に示す断面図である。
【図2】 本発明にかかる化粧材の第2の基本的な構成
を概略的に示す断面図である。
【図3】 本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体
的な一実施例を示す断面図である。
【図4】 本発明にかかる化粧材に用いる装飾材の具体
的な他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 化粧材 2 積層体 3 装飾材 4 防湿シート 10 木質系基材 20,21,22,90 接着剤層 30 合成樹脂板 40 表面保護層 50,51,52 合成樹脂製シート 60 V溝加工 70 凹凸模様 71 ワイピングインキ 72,72’,72'' プライマー層 80 絵柄印刷層 81 ベタ印刷層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 CA40 DB21 DC02 DC32 DC33 EA19 EA21 EB13 4F100 AK01A AK01C AK01D AK03E AK07 AK64 AN02 AP00A AP00B AR00C BA03 BA04 BA05 BA07 BA10B BA10C BA10D DE01A GB08 GB90 HB00C HB31C JB07 JB13D JB14D JB16A JB16E JD04E JK09 JK20 JL06 JL10C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質系基材と少なくとも木粉を含有する
    非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる合成樹脂板とを積層
    した積層体の前記合成樹脂板面に装飾材を貼合したこと
    を特徴とする化粧材。
  2. 【請求項2】 前記装飾材が着色された、および/ない
    し、印刷層が形成された合成樹脂製シートからなり、該
    合成樹脂製シートの表面に硬化型樹脂からなる表面保護
    層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の化
    粧材。
  3. 【請求項3】 前記表面保護層を形成する硬化型樹脂が
    電離放射線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項2
    記載の化粧材。
  4. 【請求項4】 前記化粧材の木質系基材面にオレフィン
    系熱可塑性樹脂からなる防湿シートが貼着されているこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧
    材。
  5. 【請求項5】 前記化粧材が床材であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の化粧材。
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