JP4813647B2 - 低臭気樹脂組成物およびそれを含む被覆材およびそれを用いた被覆工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆材に適する樹脂組成物、該樹脂組成物を含有する被覆材および該被覆材を用いることを特徴とする被覆工法に関する。より詳しくは、低臭気性で硬化特性に優れ、その硬化物は靭性、強度、耐久性、耐薬品性に優れ、各種防食材、防水材、床等の被覆材および繊維強化プラスチック等に使用可能な樹脂組成物、ならびに、該樹脂組成物を含有する被覆材およびこの被覆材を用いることを特徴とする被覆工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、常温でラジカル重合による硬化が可能な硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等が用いられている。これらの樹脂には重合性希釈剤として、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂はスチレンモノマーが、アクリル樹脂にはメタクリル酸メチル等のモノマーが用いられている。これらのモノマーは揮発性が高く、臭気が強い為、施工時あるいは成形時に問題となっており、使用上の制限となっている。
【0003】
また、この臭気を減少させるために、単に、スチレンまたはメタクリル酸メチル等のモノマーに換えて低揮発性アクリル系モノマーを使用した場合には、粘度が高くなり作業性が劣る為、その使用量が多くなり、臭気、靭性、強度、耐久性等の硬化物性能を満足することは困難であった。
【0004】
また、防食材、防水材、床材等の被覆材としては衝撃、使用温度の変動、基材へのヘアークラック発生等の要因に対して破損を起こさないように、特に適度な引張破断伸び率を持つことが重要であり、好ましい被覆材の引張破断伸び率は0.5〜100%であり、より好ましくは0.5〜70%である。
重合性希釈剤として、単に、低揮発性のモノマーを用いた樹脂組成物を使用するのみでは、低臭気と適度な引張破断伸び率を実現することは困難であった。
【0005】
さらに被覆材を傾斜面、縦壁面へ塗布する場合のたれ防止のためにチキソトロピー付与材を添加することがしばしば行われるが、スチレンモノマー、メタクリル酸メチル等の揮発性モノマーを含有する被覆材は、施工中におけるモノマー蒸発のため流動性が悪化し、良好な仕上がりを得ることが困難であった。またこの場合も揮発性モノマーの換わりに低揮発性モノマーを含有する樹脂組成物としたとしても適度な引張伸び率を発現することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、低臭気性、硬化性、靭性、耐久性および施工時の作業性に優れた樹脂組成物、これを含有する被覆材および該被覆材を用いた被覆工法を提供するものである。
【0007】
本発明者らは上記課題達成のために鋭意検討した結果、特定のエポキシ(メタ)アクリレートおよび低臭気の2重結合を有する重合性有機物として低臭気の(メタ)アクリレート系モノマーを用い、さらにこれらをある範囲内の比率で配合し、好ましくは、更に特定の充填材と組み合わせることにより、この問題点が解決できるものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、ビスフェノール1.0モルと、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計が1.5〜3.5モルとを反応して得られるエポキシ化合物(α)と(メタ)アクリル酸(β)との反応生成物からなるエポキシ(メタ)アクリレート(a)100質量部に対し、低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)70〜150質量部、硬化剤(c)0.6〜10質量部および硬化促進剤(d)0.2〜5質量部を含有する樹脂組成物(A)であって、
前記低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)が、炭素数が8以上のアルキルメタクリレート、炭素数が10以上のエチレン残基を含むメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートから選ばれる何れか1種以上である樹脂組成物(A)に関する。
【0008】
本発明は、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計量に対する脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の比率(モル%)が0〜100である請求項1項記載の樹脂組成物(A)であることが好ましい。
【0009】
本発明は、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計量に対する脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の比率(モル%)が40〜100である請求項2記載の樹脂組成物(A)であることが好ましい。
【0010】
本発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂組成物(A)を含有する被覆材に関する。
【0011】
本発明は、前記樹脂組成物(A)100容量部に対して、充填材(B)1〜400容量部を含有する請求項4記載の被覆材であることが好ましい。
【0012】
本発明は、さらにチキソトロピー付与材を添加する請求項4又は5の何れか1項に記載の被覆材であることが好ましい。
【0013】
本発明は、前記チキソトロピー付与材がポリオレフィンのパルプ状物質である請求項6記載の被覆材であることが好ましい。
【0014】
本発明は、請求項4乃至7の何れか1項に記載の被覆材を用いることを特徴とする被覆工法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるエポキシ(メタ)アクリレート(a)は、ビスフェノール1.0モルと、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計が1.5〜3.5モルとを反応して得られるエポキシ化合物(α)と(メタ)アクリル酸(β)との反応物からなるものである。
【0016】
エポキシ(メタ)アクリレート(a)の調製に用いることのできる上記ビスフェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAFを挙げることができる。
【0017】
エポキシ(メタ)アクリレート(a)の調製に用いることのできる、上記脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、脂肪族2官能アルコールのジグリシジルエーテル型のエポキシ化合物であり、そのエポキシ当量は300以下であることが好ましい。
【0018】
この具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ−テル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ジ)グリセロ−ル(ポリ)グリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0019】
エポキシ(メタ)アクリレート(a)の調製に用いることのできる、上記芳香族系多官能エポキシ樹脂は、分子中に芳香環を有する多官能エポキシ樹脂であり、エポキシ当量が600以下のものが好ましく、300以下のものがさらに好ましい。
【0020】
上記芳香族系多官能エポキシ樹脂の具体例としては、フェノールノボラツク型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、N−グリシジルアミン型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。このうちでもビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0021】
エポキシ(メタ)アクリレート(a)の調製に用いるエポキシ化合物(α)は、ビスフェノールと脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂とを反応させて得ることができる。
【0022】
ビスフェノールと脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂との反応は、ビスフェノールのフェノール型ヒドロキシル基と脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂のエポキシ基との反応であり、通常、100〜200℃の温度で行われる。
【0023】
この反応には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基を触媒として用いることができる。特に無機塩基が好ましい。
【0024】
上記反応は、ビスフェノール1.0モルに対して、通常、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計で1.5〜3.5モルを反応させる。より好ましくは2.0〜3.0モルである。これが、1.5モル未満の場合は、得られる樹脂組成物の粘度が高くなり作業性が低下する傾向がみられ、また3.5モルを超える場合は、得られる樹脂組成物の硬化物の靭性が低下する傾向がみられる。
【0025】
上記の試剤の使用量範囲においては、エポキシ基がフェノール型ヒドロキシル基よりも過剰量であるため、反応により得られるエポキシ化合物(α)は通常、未反応の脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物または芳香族系多官能エポキシ樹脂を含有したものとなる。
【0026】
上記反応は、ビスフェノール1モルに対し0〜3.5モルの脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物、0〜3.5モルの芳香族系多官能エポキシ樹脂を用いて行うことができる。好ましくは脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計量に対し、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、通常、40〜100モル%の範囲の量を使用することができ、好ましくは、60〜100モル%の範囲の量を使用することができる。
【0027】
脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の使用割合を増加すると、本発明の樹脂組成物の硬化物の引張破断伸び率が増加し、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の使用量を100モル%とすると、硬化物の引張破断伸び率が50%以上とすることができる。また、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の脂肪族基の長さが長くなるほど、硬化物の引張破断伸び率が向上する。一方、芳香族系多官能エポキシ樹脂の使用割合を増加すると、硬化物の引張破断仲び率が低下する傾向がみられ、ビスフェノール型より、ノボラック型やレゾール型のように、分子内に芳香族環が増える構造になる程、硬化物の引張破断伸び率が低くなる傾向にある。
【0028】
前述したことから明らかなように、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と芳香族系多官能エポキシ樹脂の使用割合およびその種類を脂肪族基の長さ、芳香族環の数や芳香族系多官能エポキシ樹脂の型によって適切に選択することにより、本発明の樹脂組成物の硬化物、被覆材の硬化物の引張破断伸び率を使用目的に応じて調整し、基材の熱収縮、熱膨張に追従できるよう設計することができる。通常、被覆材の調製に用いられる樹脂組成物(A)の硬化物の引張り破断伸び率は5〜100%、好ましくは5〜70%である。また本発明の被覆材の引張破断伸び率は、好ましくは0.5〜100%であり、より好ましくは0.5〜70%である。
【0029】
本発明に用いられるエポキシ(メタ)アクリレート(a)は、エポキシ化合物(α)と(メタ)アクリル酸(β)とを反応させて得ることができる。上記反応は、通常80℃〜130℃で行われる。
【0030】
反応触媒として、トリエチルアミン、ジメチルアニリン等の3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、ピリジニウムクロリド等の4級アンモニウム塩類、水酸化リチウム、塩化リチウム等の無機塩類を用いることができる。
【0031】
上記反応は、エポキシ化合物(α)を製造する際にビスフェノールのOH基と脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂のエポキシ基が1:1で反応したとして計算したエポキシ化合物(α)中に残存しているエポキシ基1モルに対し、通常、(メタ)アクリル酸(β)を0.9〜1.1モルを用いて行うことができる。
上記反応では、必要に応じて重合禁止剤が用いられ、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン等のハイドロキノン類、ベンゾキノン、メチル−P−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、t−ブチルカテコール等のカテコール類、2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール、4−メトキシフェノール等のフェノール類、フェノチアジン等が挙げられる。
【0032】
本発明に用いられる低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)は、分子量がある程度大きく、蒸気圧が20℃で1mmHg以下の有機物である。
【0033】
低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)としては、炭素数が8以上のアルキルメタクリレート、炭素数が10以上のエチレン残基を含むメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートであり、これらは単独でも、あるいは併用してもよい。
【0034】
本発明の樹脂組成物(A)において、これを構成する必須成分であるエポキシ(メタ)アクリレート(a)および低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)の比率は、エポキシ(メタ)アクリレート(a)100質量部に対して低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)70〜150質量部であり、好ましくは、80〜140質量部、より好ましくは90〜130質量部である。低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)が150質量部を超えると得られる樹脂組成物(A)の硬化物の耐薬品性および靭性が劣る傾向がみられ、また70質量部未満では硬化物の表面性の悪いものとなる傾向が見られ、さらに粘度が大きいために作業性も悪いものとなる傾向がみられる。
【0035】
本発明に用いられる硬化剤(c)としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシー2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等の重合開姶剤が用いられる。
【0036】
硬化剤(c)の使用量は、エポキシ(メタ)アクリレート(a)100質量部に対して硬化剤(c)0.6〜10質量部であり、好ましくは、1.3〜8質量部、より好ましくは2〜6質量部である。
【0037】
本発明に用いられる硬化促進剤(d)としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸カルシウム、オクチル酸コバルト等の金属石鹸類、ジメチルアニリン、N,N一ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシ)−4−メチルアニリン等のアミン類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド等のβ−ジケトン、β−ケトエステル、β−ケトアミド類等が挙げられる。
【0038】
硬化促進剤(d)の使用量は、エポキシ(メタ)アクリレート(a)100質量部に対して硬化促進剤(d)0.2〜5質量部であり、好ましくは、0.4〜4質量部、より好ましくは0.8〜3質量部である。
【0039】
本発明の樹脂組成物(A)には基材との密着性を向上させる目的で無溶剤型ウレタン樹脂を添加して使用する事ができる。無溶剤型ウレタン樹脂としては、いわゆる溶剤を含有してなければ、公知のウレタン樹脂を使用することができる。
【0040】
無溶剤型ウレタン樹脂として、例えば、トルイジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメチレンジイソシアネート、等のジイソシアネート類と1,4−ブタンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を反応せしめて得られるウレタン樹脂、あるいはジイソシアネート類と水をビューレツト反応させて得られるウレタン樹脂等を挙げることができる。
【0041】
さらに本発明の樹脂組成物(A)には空気接触面の硬化不良を避ける為に、ワックスを添加することもできる。ワックスとしては、パラフインワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフイン系ワックス、あるいはまた、これらに極性基を導入した極性ワックスなどが拳げられる。ワックスの添加量としては、優れた遮断性および硬化性を発揮させ、なお溶解性を低下させることなくワックスを析出させないようにすることが必要であることから、通常は、エポキシ(メタ)アクリレート(a)100質量部に対してワックス0.04〜4質量部であり、好ましくは、0.2〜3質量部、より好ましくは0.4〜2質量部である。
【0042】
本発明の樹脂組成物(A)には、重合禁止剤、消泡剤等を添加することもできる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン等のハイドロキノン類、ベンゾキノン、メチルーP−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、t−ブチルカテコール等のカテコール類、2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール、4−メトキシフェノール等のフェノール類、フェノチアジン等が拳げられる。
【0043】
消泡剤としては、シリコン系等の他、市販の高分子系消泡剤その他添加剤が拳げられる。
【0044】
本発明の被覆材は、前記樹脂組成物(A)を含有する。
本発明の被覆材には、充填材を添加することができる。通常、樹脂組成物(A)100容量部に対して、充填材(B)は1〜400容量部添加することができる。充填材(B)の添加量が比較的少なく流動性が良く、水平面に塗布した場合、塗布後も自ら流動して平坦な仕上がりを得る被覆材は、一般に、樹脂ペ一ストと呼ばれ、充填材(B)の添加量が比較的多く流動性に劣り平面に塗布した場合自ら平坦とはならない被覆材は、一般に、樹脂モルタルと呼ばれる場合があるが、本発明の被覆材は、樹脂組成物(A)と充填材(B)の比率、充填材(B)の粒径、粒度分布を適宜調整することでいずれの性状の被覆材とすることもできる。本発明の被覆材では樹脂組成物(A)100容量部に対し、樹脂ペーストでは充填材(B)がおよそ1〜150容量部、樹脂モルタルではおよそ50〜400容量部添加される。
【0045】
例えば床の被覆工法である塗り床では、樹脂ペーストを主として用いる工法を流しのべ工法、樹脂モルタルを主として用いる工法をモルタル工法と呼んでいるが、本発明の被覆材は、いずれの工法にも適用できる。
【0046】
本発明の被覆材に添加することのできる充填材としては無機粉体、または不活性粉体を挙げることができる。
無機粉体としては、例えば、珪砂、川砂、陸砂、珪砂粉、エメリー、コランダム、シリカ、クレー、ベントナイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、セラミクスの粉砕物などが例示でき、不活性粉体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂硬化物、ゴム、木材などの粉体および/または粉砕物が例示できる。
【0047】
また、本発明の被覆材には、必要に応じて、顔料、トナー等の着色剤、チキソトロピー付与材等を配合することができる。
顔料としては有機顔料、無機顔料いずれでも使用することができる。
【0048】
有機顔料としては、例えば、ベンジジンエロー、ハンザエロー、リソールレッド、アリザリンレーキ、ピグメントスカーレット3B、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF−5R、パーマネントレッド4R、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、レーキレッドC、パラレッド、ビーコックブルーレーキ、フタロシニアンブルー、フタロシアニングリーン、アニリンブラック、パーマネントエローHR、PVバイオレットBL、キナクリドン、ペリノン、アンスラキノン、クロモフタールエロー6G、クロモフタールエロー3G、クロモフタールエローGR等を例示することができる。
【0049】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、鉛白、カドミエロー、黄鉛、チタンエロー、ジンククロメート、黄土、クロムバーミリオン、赤口顔料、アンバー、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カドミウムレッド、鉛丹、紺青、群青、コバルトブルー、酸化クロームグリーン、ミネラルバイオレット、カーボンブラック、鉄黒等を例示することができる。
またこれらの顔料は、フタル酸エステル等の可塑剤、エポキシ(メタ)アクリレート等をビヒクルとして加え混練し、ペースト状のトナーとして使用することもできる。
【0050】
チキソトロピー付与材としては公知のものが用いられ、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、へクトライト、サボナイト、ステペンサイト等のスメクタイト型粘土およびその有機カチオン化合物と反応して得られる親有機性粘土、微粉シリカ、ポリオレフィンのパルプ状物質等が拳げられるが、この中ではポリオレフインのパルプ状物質が好ましい。
【0051】
ポリオレフィンのパルプ状物質は、チキソトロピー付与効果が大きく、また微粉が飛散することなく取り扱い易い。
【0052】
ポリオレフィンのパルプ状物質の例としては、ポリエチレンをパルプ状の多分岐繊維の形状に成形した、SWP(商品名:三井化学(株)社製)、ケミベスト(商品名:三井化学(株)社製)を挙げることができる。
【0053】
チキソトロピー付与材の添加量は、通常、樹脂組成物(A)100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1〜7質量部である。
【0054】
本発明の被覆材は、下記の方法によって製造することができる。
【0055】
即ち、本発明の、樹脂組成物(A)および被覆材は、一般に、樹脂組成物(A)または被覆材の構成成分を、金属缶、樹脂缶等の容器に入れ、ミキサーにて攪拌し均一化することにより製造することができる。樹脂組成物(A)は、また、硬化剤(c)を加えていない状態で施工現揚へ供給し、現場にて硬化剤(c)を加え攪拌し溶解、混合させて製造することができる。被覆材の場合も、施工現場にて樹脂組成物(A)に硬化剤(c)を加え攪拌し溶解させ、順次着色剤や充填材(B)などを加え攪拌し均一化することによって製造することができる。硬化剤(c)の溶解を確実にするため、樹脂組成物(A)へは硬化剤(c)を最初に投入攪拌するのが−般的であるが、顔料やトナー等の着色剤については、硬化剤(c)投入前にあらかじめ投入攪拌し、均−にしておいても良い。
【0056】
ハンドミキサーを用いると、一般に3リットル〜30リットル程度の樹脂組成物(A)をまたは被覆材を調製することができる。樹脂組成物(A)または被覆材を大量に調製したい場合はパン型強制錬りミキサー、可傾式ミキサーを使用してもよく、一般に20リットル〜300リットル程度の樹脂組成物(A)または被覆材を調製することができる。
【0057】
少量の樹脂組成物(A)または被覆材を調製するには、手混ぜ、または手練りでも良い。この場合樹脂組成物(A)に充填材(B)を添加しないで、顔料等をのみを配合する被覆材(充填材(B)無添加タイプの被覆材)であれば、ヘラ等で攪拌し、硬化剤(c)の溶解、または顔料の分敢を確認すれば十分であるが、充填材(B)を含む被覆材(充填材(B)添加タイプの被覆材)の場合は、スコツプなとで十分に練混ぜ均一とする方法を採用するのが好ましい。攪拌時間は、一般に、硬化剤(c)の溶解で30〜90秒、顔料、充填材の混合で1〜3分程である。
【0058】
また本発明の樹脂組成物(A)および被覆材には必要に応じて、物性向上の目的でカップリング剤を加えることができる。
カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ一メタクリロキシトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、イソフロピルトリイソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジドデシルホスフアイト)チタネート等のチタンカップリング剤等か例示できるが、この中ではγ−メタクリロキシトリメトキシシランが好ましい。カップリング剤は樹脂組成物(A)または被覆材の調合時に添加できる他、充填材(B)に水またはアルコールで希釈したカップリング剤を均−に混ぜ加熱するといった方法で充填材(B)をあらかじめ処理しても良い。
【0059】
本発明の被覆工法は、本発明の被覆材を用いることを特微とする。
本発明の被覆工法を適用できる基材としては特に限定されないが、通常、セメントコンクリート、セメントモルタル等のポルトランドセメントの硬化体である。この他、鉄板、ステンレス板、アルミ板等の金属板、アスファルトコンクリート等のアスファルト組成物、花崗岩、石灰岩、鉄平石等の天然石、クリンカータイル、テラコッタ、煉瓦等の無機焼結物、テラゾー類、アクリルゴム系、エポキシ系、エチレン酢酸ビニル系等のポリマーセメントモルタル、エポキシ系、ウレタン系、メタクリル系、ポリエステル系、ビニルエステル系等の樹脂系塗料または塗り床材、ポリ塩化ビニルタイルおよびその長尺シート、木質フローリング、コルク等の木質系床材を挙げることができる。
【0060】
本発明の被覆工法の例としては次のものを挙げることができる。すなわち、
本発明の被覆材を用い、一般的には、基材上にプライマー層を通常1〜3回塗布し、その上に中間層を通常1〜2回塗布し、さらにトップコート層を通常1〜2回塗布し硬化させることにより基材を被覆する。
もっともこれらの3種類の層は必須でなく、例えば基材が液体の浸透性がほとんどない、金属、樹脂タイル等の場合は、プライマー層は省略する場合があるし、トップコート層も特に必要としない場合には省略できる。さらに経済上等で被覆層を薄くする場合は、中間層を省略してプライマー層とトップコート層とする場合もある。
【0061】
またより強固な被覆層とするために中間層を3層以上塗り重ねる場合もある。プライマー層は、一般的には、本発明の充填材(B)無添加タイプの被覆材または樹脂ペーストタイプの被覆材が使用される。
プライマー層に本発明の樹脂ペーストタイプまたは樹脂モルタルタイプの被覆材を使用する場合は樹脂組成物(A)100容量部に対して充填材(B)1〜100容量部を含有する比較的樹脂組成物(A)の多い被覆材が使用される。なお、プライマー層には基材との接着性を向上させる目的で無溶剤型ウレタン樹脂を配合することが好ましい。塗布厚は通常0.05〜0.8mmである。
【0062】
中間層は、通常は、本発明の樹脂ペ−ストタイプまたは樹脂モルタルタイプの被覆材が使用される。塗布厚は樹脂ペーストタイプの被覆材を使用する場合で1〜10mm、樹脂モルタルタイプの被覆材を使用する場合で3〜20mm程度である。
【0063】
トップコート層は本発明の充填材(B)無添加タイプの被覆材または充填材(B)添加タイプの被覆材が使用される。
通常は充填材(B)無添加タイプの被覆材か、着色剤を配合した充填材(B)添タイプの被覆材が使用される。塗布厚は0.1〜0.6mm程度である。
【0064】
また本発明の被覆工法においては、補強等の目的で各層間にガラスクロス、アラミド繊維等の樹脂クロス、ガラスマット、サーフェイスマット、ポリオレフィンまたはポリエステル不繊布等を設置することができる。
あるいは、ガラスフレーク、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の樹脂フレーク、金属フレーク等のフレーク状固形物を本発明の充填材(B)無添加タイプの被覆材、樹脂ペーストタイプまたは樹脂モルタルタイプの被覆材に混合、または、塗布後に散布して本発明の被覆工法を実施することもできる。
特に基材上に前述のプライマー層を設けた後、本発明の充填材(B)無添加タイプの被覆材または樹脂ペーストタイプの被覆材の層を塗布し、硬化前にフレーク状固形物を散布し、硬化させた後その上に前述のトップコート層を塗布することで、勒性、強度、耐久性、耐薬品性に優れ、かつ美粧性のある被覆材が低臭気の環境下で施工できる。
【0065】
本工法においては、中間層としての被覆層は0.2〜3mm程度、好ましくは0.4〜2mmである。フレークとしては樹脂性の着色フレークが好ましくフレークの厚みは0.05〜0.3mm程度、大きさは1〜10mm×1〜10mm程度であり不定形であって良い。
【0066】
また、本発明の被覆材を傾斜面、縦壁面へ塗布する場合には上記の樹脂ペーストまたは樹脂モルタルにチキソトロピー付与材を加えたものを使用することにより、蒸発による作業性の低下がなく、低臭気で耐衝撃性、耐温度変動性、耐へアークラツク追従性に優れる被覆材とすることができる。この場合、チキソトロピー付与材の添加量は通常樹脂組成物(A)100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1〜7質量部程度である。前述したチキソトロピー付与材のいずれも使用することができるが、ポリオレフインのパルプ状物質が好ましい。建築物の塗り床材またはその周辺部の塗布材料として、床面の水勾配が大きい部位、壁との入り隅部のR付け材、腰壁部位を施工するのに適している。
【0067】
本発明の被覆材層を基材上に設けるには、充填材(B)無添加タイプの被覆材、および樹脂ペーストタイプの被覆材を1mm以下の厚さで塗布する場合は、通常、刷毛またはローラーが使用される。1mm以上の厚さの樹脂ペーストタイプ、樹脂モルタルタイプの被覆材を塗布するには通常、金コテ、木コテ、レイキ等が使用される。施工器具については本発明の施工法を限定するものではなく、例えば充填材(B)無添加タイプの被覆材、1mm以下厚さの樹脂ペーストタイプの被覆材を塗布する場合にコテ類を用いても良いし、樹脂ペーストタイプの被覆材の施工の際に特開平11−207245号公報で示されているようなローラーの表面に該表面の外側空間を多数の部分に区画する隔壁が配置されていて、該隔壁及び該表面によって多数の凹みが形成されている、塗り床材の塗布厚を一定にするための施工器具を用いてもかまわない。
【0068】
本発明の被覆材の、防食材、防水材、床材、壁材等の被覆材としての用途の具体例としては、例えば、下水処理施設等のコンクリート防食材、屋上、ベランダ等の防水材、ダムたたき、道路等のコンクリート構造物の補修材、各種建築物の塗り床材等を挙げることができる。本発明の被覆材および被覆工法は、特に建築物の塗り床材として、施工時の臭気が問題となる用途に適している。例としては病院、ホテルの厨房等の補修工事、操業中の食品工場の補修工事、住宅密集地に立地する各種工場の新設または補修工事、店舗等の新設または補修工事等である。さらに本発明の被覆材は適度な引張破断伸び率を持つため、熱水、冷水が多用され温度変動が負荷となることが多い厨房、食品工場の床材として最適である。
【0069】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下において特に断りが無い限り、「%」および「部」は質量基準である。
【0070】
合成例1
ビスフェノールA:1.0モル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学(株)製、エポミックR140)2.5モルに20%水酸化カリウム0.02質量%を添加し、140℃〜180℃で5時間反応し、エポキシ当量400のエポキシ化合物(αl)を得た。このエポキシ化合物(αl)とメタクリル酸(β1):2.95モルとを、トリエチルアミン0.2質量%、フェノチアジン0.01質量%の存在下、空気気流下で、100〜120℃の温度で3時間反応させ、酸価2のエポキシメタクリレート(A1−1)を得た。このエポキシメタアクリレート(Al−1)100質量部にジシクロペンテニルオキシメタアクリレート74質量部、フェノキシエチルメタクリレー卜41質量部、重合禁止剤であるハイキノノンモノメチルエーテル0.02質量部とを混合し、樹脂1を得た。
【0071】
合成例2
ビスフェノールA:1.0モル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル2.5モルに20%水酸化カリウム0.02質量%を添加し、140℃〜180℃で5時間反応し、エポキシ当量345のエポキシ化合物(α2)を得た。このエポキシ化合物(α2)とメタクリル酸(β1):2.95モルとを、トリエチルアミン0.2質量%、フェノチアジン0.01質量%の存在下、空気気流下で、100〜120℃の温度で3時間反応させ、酸価2のエポキシメタクリレート(A2−1)を得た。このエポキシメタアクリレート(A2−1)100質量部にジシクロぺンテニルオキシメタアクリレート66質量部、フェノキシエチルメタクリレート34質量部、ハイキノノンモノメチルエーテル0.02質量部とを混合し、樹脂2を得た。
【0072】
合成例3
無水マレイン酸0.2モル、無水フタル酸0.8モル、1,6ヘキサンジオール1.04モルを窒素気流下、185℃で12時間反応させ、酸価35の不飽和ポリエステル(A3−1)を得た。この不飽和ポリエステルを100℃に冷却した後、不飽和ポリエステル(A3−1)100質量部に対して、ハイドロキノン0.01質量部、スチレン70質量部を加えて溶解し樹脂3を得た。
【0073】
実施例1,2および比較例1
表1に示す成分を混合し、樹脂組成物(A)を調製した。この樹脂組成物を300mm×300mm×3mm(縦×横×厚)の大きさの型に注入し、室温で4時間硬化させた後、さらに80℃の硬化炉中で2時間後硬化させ、注形板を作成した。これらをJISK7113の方法により、この注形板の引張試験を行つた。また、樹脂組成物の調製、硬化の過程での臭気の官能試験を行った。
その結果を表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
実施例3
実施例1の樹脂組成物のうち、55%メチルエチルケトンパーオキサイドを除いた混合物100部に、無溶剤型ウレタン樹脂である市販のイソシアネートプレポリマー(住友バイエルウレタン(株)製:スミジュールE21−1)30部を加え良く攪拌したのち、粉状の50%ベンゾイルパーオキサイド1.2部を加えさらに攪拌し被覆材を得た。これをコンクリート舗道板にローラーにて塗布し、0.2mm厚の、第1層目の被覆層とした。また同時にこの被覆材を用いJISK6911の方法で試験片を作成し7日間23℃で保持した後引張破断伸び率を測定した。
【0077】
続いて実施例2の樹脂組成物のうち、55%メチルエチルケトンパーオキサイドを除いた樹脂組成物100容量部に6号珪砂(70%)珪砂粉未(30%)の混合物を100容量部加え、ヘラにて攪拌し均一にした。さらに55%メチルエチルケトンパーオキサイドを2部加え攪拌し樹脂ペーストタイプの被覆材を得た。これを金コテにて上記の舗道板に3mm厚になるように塗布し硬化させ、第2層目の被覆層とした。また同時にこの樹脂ペーストタイプの被覆材を用いJISK6911の方法で試験片を作成し23℃で7日間保持した後引張破断伸び率を測定した。
【0078】
引き続き実施例1の樹脂組成物のうち、55%メチルエチルケトンパーオキサイドを除いた樹脂組成物100部に対しフタロシアニングリーン系緑色顔料を10部加えヘラにて攪拌し均一にした。さらに55%メチルエチルケトンパーオキサイドを2部加え攪拌し被覆材を得た。これをローラーにて上記の舗道板上に塗布し0.3mm厚の第3層目の被覆層を得た。
【0079】
以上の計3層の被覆材で被覆された舗道板試験体を得た。またこの被覆材を用いJIS K6911の方法で試験片を作成し23℃で7日間保持した後引張破断伸び率を測定した。
【0080】
次に、得られた舗道板試験体を23℃で7日間保持した後、100℃蒸気と約20℃の水が交互に試験体の表面に接触する装置に設置し、1サイクル=蒸気30分/水30分にて500サイクルの運転を行った後(以降冷熱繰り返し試験と呼ぶ)、表面状態を目視で観察し評価した。引張破断伸び率の測定結果、冷熱繰り返し試験後の表面状態評価結果をそれぞれ表3および表4に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
実施例4
実施例3において、第2層目の樹脂ペーストタイプの被覆材の代わりに、実施例2の樹脂組成物のうち、55%メチルエチルケトンパーオキサイドを除いた樹脂組成物100容量部に4号珪砂(30%)5号珪砂(30%)、6号珪砂(40%)の混合物を180容量部加えヘラにて攪拌し均−にし、さらに55%メチルエチルケトンバーオキサイドを2部加え攪拌し得られた樹脂モルタルタイプの被覆材を使用する他は、実施例3と同様にして3層で被覆された舗道板試験体を得た。
【0084】
第2層目の樹脂モルタルタイプの被覆材の引張破断伸び率を測定し、また3層を被覆した試験体の冷熱繰り返し試験後の表面状態を評価した。結果を表3、4に示す。なお、第1層目、第3層目の被覆材の引張破断伸び率測定は省略した。
【0085】
実施例5
実施例2の樹脂組成物のうち、55%メチルエチルケトンパーオキサイドを除いた樹脂組成物100容量部に4号珪砂(30%)5号珪砂(30%)、6号珪砂(40%)の混合物を180容量部加え、さらにポリオレフィンのパルプ状物質(三井化学((株)製:ケミベストFDSS−5)を1.5部加えヘラにて攪拌し均−にした。さらに55%メチルエチルケトンバーオキサイドを2部加え攪拌し樹脂ペーストタイプの被覆材を得た。あらかじめ実施例3の方法で第1層のみ被覆された試験体を作成し、被覆面が垂直になるように立てておき、これに上記樹脂ペーストタイプの被覆材を直ちに金コテにて厚さ2mm厚になるように塗布した結果、表面がなめらかな被覆層が得られた。さらに実施例3と同じ第3の被覆層をローラーで塗布し、硬化させ、よりなめらかで光沢のある被覆層が得られた。
【0086】
実施例6
ポリ塩化ビニルタイルが敷設された床20m2上に実施例2における樹脂組成物からなる被覆材を金コテにて、0.6mm厚となるように塗布した。直ちにポリ酢酸ビニル製のフレーク(厚み0.3mm、大きさ1〜10mm)を500g/m2の分量にて上方から均一に塗布した。被覆材を硬化した後、被覆材に固着しなかったフレークを除去し、さらに実施例1における樹脂組成物からなる被覆材をローラーにて0.3mm厚となるように塗布し硬化させた。適度に防滑性があり、特有の風合いを持った被覆層が得られた。なお本実施例の実施中に強制排気等の臭気対策は行わなかったが、ほとんど臭気を感ずることはなかった。
【0087】
【発明の効果】
本発明の低臭気樹脂組成物ならびにこれを含有する被覆材およびこの被覆材を用いた工法は、臭気がなく、塗工作業性に優れ、基材との密着性、耐久性に優れた性能を示す。
Claims (8)
- ビスフェノール1.0モルと、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および/または芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計が1.5〜3.5モルとを反応して得られるエポキシ化合物(α)と(メタ)アクリル酸(β)との反応生成物からなるエポキシ(メタ)アクリレート(a)100質量部に対し、低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)70〜150質量部、硬化剤(c)0.6〜10質量部および硬化促進剤(d)0.2〜5質量部を含有する樹脂組成物(A)であって、
前記低臭気の2重結合を有する重合性有機物(b)が、炭素数が8以上のアルキルメタクリレート、炭素数が10以上のエチレン残基を含むメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートから選ばれる何れか1種以上である樹脂組成物(A)。 - 脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計量に対する脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の比率(モル%)が0〜100である請求項1記載の樹脂組成物(A)。
- 脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物および芳香族系多官能エポキシ樹脂の合計量に対する脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の比率(モル%)が40〜100である請求項2記載の樹脂組成物(A)。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂組成物(A)を含有する被覆材。
- 前記樹脂組成物(A)100容量部に対して、充填材(B)1〜400容量部を含有する請求項4記載の被覆材。
- さらにチキソトロピー付与材を添加する請求項4又は5の何れか1項に記載の被覆材。
- 前記チキソトロピー付与材がポリオレフィンのパルプ状物質である請求項6記載の被覆材。
- 請求項4乃至7の何れか1項に記載の被覆材を用いることを特徴とする被覆工法。
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