JP4119705B2 - 土木建築用被覆材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性、乾燥性、強度等に優れた土木建築用被覆材に関する。より詳しくは、ライニング、塗り床材等の分野において、プライマー層や中間層、トップコート層を形成するために用いられる土木建築用被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木建築用被覆材は、各種の建造物の屋上や床面等の防食、防水、保護、強度や美観の保持を目的として、ライニング材、塗り床材等として用いられる材料で、一般にアスファルトやゴムシート、ウレタン樹脂、熱硬化性樹脂が用いられてきた。特に、ラジカル重合することが可能なオリゴマー等の重合体とラジカル重合性単量体とを必須とするラジカル硬化性樹脂であると、液状で取り扱うことが可能となり作業性がよく、しかも硬化性に優れるものとなる。このような土木建築用被覆材を施工する場合には、コンクリート等の基材上にプライマー層や中間層、トップコート層を順次形成し、多層構造を設けるのが一般的な施工方法である。
【0003】
特開2001−64543号公報には、硬化が速く、基材との密着性に優れた硬化型被覆材用樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は比較的粘度が高く、作業性の面で問題があった。
【0004】
特開平9−296033号公報では、可とう性、耐薬品性に優れたレジンコンクリート用樹脂組成物が開示されている。塗り床材等の用途では樹脂組成物表面が空気に接触した状態で硬化させる必要があるが、上記組成物では空気接触面での硬化性が悪く、長時間タックフリーが得られない、いわゆる表面乾燥性の面で問題があった。
【0005】
特開2001−151832号公報では、低臭気で、各種の基本性能に優れ、しかも低粘度であることから、特に土木建築用被覆材のトップコート材として好適な樹脂組成物が開示されている。建物の床面や屋上に床材や防水材等を施工する場合には、床面や屋上の周辺部の垂直面にも施工を行うことになるが、施工後硬化するまでに樹脂だれが起こると、外観や強度上問題となるため、樹脂組成物の粘度、揺変度を高める必要がある。上記樹脂組成物では、粘度が低いため垂直面で樹脂だれが起こるという問題があった。
【0006】
一方、土木建築用被覆材において、スチレンモノマーを含む不飽和ポリエステルが汎用的に使用されており、現場での施工時等において、スチレンモノマーの臭気により作業環境が悪化することから、この点においても工夫の余地があった。各種塗料、ライニング材、塗り床材等の土木建築用用被覆材の分野において乾燥、硬化時に大気中に揮散される有機物が問題視されている。
更に、特開2002−194181号公報には、エポキシアクリレート樹脂用組成物と可とう性付与化合物を含むことを特徴とする炭素繊維強化用樹脂組成物が開示されている。防水ライニング等の施工時には樹脂表面が空気に接触した状態で硬化させるため、空気接触面での硬化性、いわゆる表面乾燥性がよいことが求められる。上記組成物では空気接触面の硬化性が悪く、樹脂表面に長時間べたつきが残るという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、機械的強度、密着性、乾燥性、耐水性、耐熱性等の各種物性に優れた被覆層を形成することができると共に、臭気を抑制することが可能である土木建築用被覆材を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の土木建築用被覆材を検討するうち、ラジカル重合することが可能なオリゴマー等の重合体とラジカル重合性単量体とを必須とする樹脂組成物を含むものが作業性に優れ、しかも硬化性に優れることに着目し、分子内に(メタ)アクリロイル基と、1個以上のオキシアルキレン基と、フェノールの残基とを有する化合物類であって、(メタ)アクリロイル基を平均して1.5個以上有する化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)を用いることにより、(A)及び(B)が重合して形成される硬化物が各種物性に優れた被覆層を形成することができると共に、作業性を向上することができるうえに、樹脂組成物における揺変度を高めて樹脂ダレが起こりにくいものとすることが可能であり、また、乾燥性を向上することもできることを見いだした。(A)及び(B)のこのような特性により、土木建築用被覆材として好適に使用できることを見いだし、特にライニング材、塗り床材に好適に用いることができることを見いだした。更に、化合物類(A)としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレートを用いることにより、このような作用効果をより充分に発揮できることや、単官能(メタ)アクリレート単量体(B)が、常圧での沸点が150℃以上であり、中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートであると、(B)に起因する臭気を抑制することが可能となり、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、分子内に(メタ)アクリロイル基と、1個以上のオキシアルキレン基と、フェノールの残基とを有する化合物類であって、(メタ)アクリロイル基を平均して1.5個以上有する化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)を含有する土木建築用被覆材である。
以下に、本発明を詳述する。
【0010】
本発明の土木建築用被覆材は、分子内に(メタ)アクリロイル基と、1個以上のオキシアルキレン基と、フェノールの残基とを有する化合物類であって、(メタ)アクリロイル基を平均して1.5個以上有する化合物類(A)(以下、化合物類(A)ともいう)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)を含有するものである。化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)は、それぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0011】
本発明の土木建築用被覆材におけるこれらの成分の割合としては、土木建築用被覆材の用途等により適宜設定すればよいが、土木建築用被覆材100質量%中、化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)の合計質量が、10質量%以上であることが好ましく、また、100質量%以下であることが好ましい。10質量%未満であると、硬化物の強度が弱くなるおそれがある。より好ましくは、20質量%以上である。
【0012】
本発明の土木建築用被覆材の構成要素について、以下に説明する。
上記化合物類(A)は、分子内に(メタ)アクリロイル基と、1個以上のオキシアルキレン基と、フェノールの残基とを有する化合物類であって、(メタ)アクリロイル基を平均して1.5個以上有する化合物類である。化合物類(A)が(メタ)アクリロイル基を平均して1.5個有するとは、例えば、化合物類(A)は(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物(A1)と2個有する化合物(A2)の混合物であり、(A1)と(A2)のモル比が1/1である場合をいう。このような化合物類(A)における(メタ)アクリロイル基の数としては、1分子内に1個以上であることが好ましく、また、10個以下であることが好ましい。より好ましくは、1個以上であり、また、4個以下である。また、(メタ)アクリロイル基は、全て同じであってもよく、アクリロイル基とメタクリロイル基とが組み合わされたものであってもよい。
【0013】
上記化合物類(A)における1個以上のオキシアルキレン基は、全て同じであってもよく、異なっていてもよいが、炭素数2〜4個のオキシアルキレン基(オキシアルキレン単位)により構成されるものであることが好ましい。すなわち化合物類(A)におけるオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群より選択される少なくとも一種のオキシアルキレン基により構成されるものが好ましい。オキシアルキレン基の炭素数が4を超えると、土木建築用被覆材の粘度が高くなり、作業時に問題となるおそれがある。より好ましくは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基により構成されるものであり、更に好ましくは、炭素数2のオキシアルキレン基,すなわちオキシエチレン基により構成されるものである。また、オキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン単位の繰り返し数としては、化合物類(A)1分子中につき1以上であることが好ましく、また、10以下であることが好ましい。1未満であると、土木建築用被覆材から形成される皮膜の柔軟性や基材追従性が不足するおそれがあり、10を超えると、硬化物の耐水性が悪くなるおそれがある。より好ましくは、2以上であり、また、8以下である。
【0014】
上記化合物類(A)1分子内に含有するオキシアルキレン基の個数としては、1個以上であることが好ましく、また、10個以下であることが好ましい。より好ましくは、2個以上であり、また、4個以下である。
【0015】
上記フェノールの残基とは、フェノールが有する水酸基から活性水素を除いた構造をもつ残基を意味する。化合物類(A)はこのような残基を1分子内に1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。また、好ましい形態としては、ビスフェノールAから誘導される構造を有するものである。
このような化合物類(A)の最も好ましい形態としては、下記一般式(1);
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、R1は、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。R2、R3、R4及びR5は、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。n、mはそれぞれ0〜10の整数を表し、かつn+mは1以上、10以下である。)で表される構造を有するビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレートである。
【0018】
上記化合物類(A)を製造する方法としては、水酸基を2個以上有するアルコールと該アルコールに対して過剰当量の(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させて(メタ)アクリル酸エステルと未反応の(メタ)アクリル酸とを含む反応混合物を得る第一工程と、続いて、上記第一工程の反応混合物及びエポキシ化合物を反応させる第二工程とを含む方法が簡便で好適であり、化合物類(A)を含む組成物を得ることができることになる。また、このような方法においては、生成する化合物が分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基と、1個以上のオキシアルキレン鎖と、フェノールの残基とを有するものとなるように、反応原料である水酸基を2個以上有するアルコールやエポキシ化合物の種類や量を適宜選択することになる。
【0019】
上記水酸基を2個以上有するアルコールとしては、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ビスフェノールF、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールC、ビスフェノールF−D、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA等の2価アルコール及びこれらのアルキレンオキサイド付加物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ノボラックフェノール、クレゾールノボラック等の3価以上のアルコール及びこれらのアルキレンオキサイド付加物が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールC、ビスフェノールF−D、及び、これらのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。より好ましくは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物である。
【0020】
上記第一工程は、水酸基を2個以上有するアルコールと過剰当量の(メタ)アクリル酸とをエステル化する工程である。(メタ)アクリル酸の使用量としては、エステル化反応の進行を速やかにすることと低粘度の土木建築用被覆材を得るため、アルコールの水酸基1molに対して、(メタ)アクリル酸を1.1mol以上とすることが好ましく、また、5.0mol以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.2mol以上であり、また、3.5mol以下である。
【0021】
上記第一工程におけるエステル化反応は、エステル化触媒の存在下、常圧又は減圧下で行うことができる。反応の温度としては、70〜140℃とすることが好ましい。また、エステル化反応を円滑に進めるため、縮合水と共沸するキシレン、トルエン、シクロヘキサン等の溶媒を用いてもよい。また、反応中のゲル化を防ぐため、空気又は酸素と不活性ガスとの混合ガス気流下で、ラジカル重合禁止剤を添加して行うことが好ましい。
【0022】
上記エステル化触媒として公知のものが使用でき、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホフタル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸等の有機スルホン酸等が挙げられる。ラジカル重合禁止剤としては公知のラジカル重合禁止剤を用いることができ、メトキノン、ブチル化ヒドロキシトルエン等のフェノール類;ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン等の硫黄化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記第一工程の終了は、留出する縮合水の量で判断することができ、理論縮合水量の80%以上の縮合水が留出するまでエステル化を進めることが好ましい。
【0023】
上記第二工程は、第一工程で得られた(メタ)アクリル酸エステルと未反応の(メタ)アクリル酸を含む反応混合物及びエポキシ化合物を反応させる工程である。上記第二工程を経て得られた反応物を、オリゴマーと呼ぶことがある。
上記エポキシ化合物としては、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等;多価アルコールのグリシジルエーテルであるネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等;多価カルボン酸のグリシジルエーテルであるフタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル等;1分子内に1個のエポキシ基を有する化合物であるプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、カルボン酸モノグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等や、これらのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、土木建築用被覆材の粘度を低くするためには、1分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物のエポキシ当量が500g/eq以下であることが好ましく、より好ましくは、250g/eq以下であることである。
【0024】
上記エポキシ化合物及び(メタ)アクリル酸を反応させる方法としては、反応触媒の存在下で80〜140℃に加熱することにより行うことができる。またこの際、酸価が20mg・KOH/g以下になるまで、反応を続けることが好ましい。反応は窒素等の不活性ガス気流下でも行うことができるが、反応中のゲル化を防止するためには、空気又は酸素と不活性ガスの混合ガス気流下で、上述したラジカル重合禁止剤を添加して行うことが好ましい。
【0025】
上記反応触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、第一工程で共沸溶媒を用いた場合、第一工程終了後又は第二工程終了後に減圧下でこの共沸溶媒を留去すればよい。
【0026】
上記単官能(メタ)アクリレート単量体(B)としては、公知公用の単官能の(メタ)アクリル酸類が使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、単官能(メタ)アクリレート単量体(B)は、化合物類(A)とは異なるものである。更にこれらの中でも、単官能(メタ)アクリレート単量体(B)に起因する臭気を抑制するために、常圧での沸点が150℃以上である2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。またこれらの中でも、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好適である。すなわち本発明における単官能(メタ)アクリレート単量体(B)は、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記化合物類(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレートであり、上記単官能(メタ)アクリレート単量体(B)が、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートである土木建築用被覆材は、本発明の最も好ましい形態の1つである。
【0027】
本発明の土木建築用被覆材における化合物類(A)と単官能(メタ)アクリレート単量体(B)との割合としては、単官能(メタ)アクリレート単量体(B)の使用量を、化合物類(A)と単官能(メタ)アクリレート単量体(B)の合計質量に対して1質量部以上とすることが好ましく、また、80質量部以下とすることが好ましい。1質量部未満であると、土木建築用被覆材から形成される皮膜の強度が不充分となるおそれがあり、80質量部を超えると、硬化物の耐水性が悪くなるおそれがある。より好ましくは、5質量部以上であり、また、50質量部以下である。
【0028】
本発明の土木建築用被覆材は、放射線や紫外線の照射及び/又は硬化剤の添加により硬化させることができるものである。
上記硬化剤としては、不飽和ポリエステル樹脂に用いられる公知の硬化剤が使用でき、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル、ビス(4−tーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記硬化剤の使用量としては、硬化剤の種類や土木建築用被覆材の用途等により適宜設定すればよいが、土木建築用被覆材中の化合物(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)の合計100質量部に対し、0.1質量部以上とすることが好ましく、また、10.0質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.2質量部以上であり、また、5質量部以下である。また、硬化剤と併用して、公知の硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤としては、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン等の金属石鹸;コバルトアセチルアセトナート、バナジウムアセチルアセトナート等の金属キレート化合物;ジメチルアニリン、ジメチルトルイジン等のアミン化合物;アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
本発明の土木建築用被覆材は、必要に応じて、揺変性付与剤、充填剤、乾燥性向上剤、増粘剤、着色剤、繊維強化材、骨材等を1種又は2種以上含んでいてもよい。また、他種の熱硬化性樹脂1種又は2種以上を混合してもよい。更に、粘度調整のため、溶剤、希釈剤を混合してもよい。これらの使用量としては、土木建築用被覆材の用途等に応じて適宜設定することが好ましい。
【0031】
上記揺変性付与剤としては、無水微粉末シリカ、アスベスト、クレー等が挙げられる。充填剤としては、水酸化アルミ、タルク、珪砂、炭酸カルシウム、酸化アンチモン等が挙げられる。
【0032】
上記乾燥性向上剤としては、パラフィン、パラフィンワックスの分散剤、乾性油、アリルグリシジルエーテル、ジエチレングリコール及び無水マレイン酸の付加重合体等等のアリルオキシ基を有する不飽和又は飽和ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
【0033】
上記増粘剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。他種の熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
上記繊維強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維;アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の有機繊維等が挙げられる。繊維強化材の形状としては、マット状であっても、チョップ状であってもよい。
【0035】
上記溶剤、希釈剤としては、公知のものが使用できる。例えば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル等がある。また、スチレン等ビニル化合物;(メタ)アクリル酸エステル類等の重合性不飽和基を有する単量体を希釈剤として用いてもよい。臭気の面から、常圧での沸点が150℃以上のものが好ましい。
【0036】
本発明の土木建築用被覆材を製造する方法としては、上記の方法により得られた化合物(A)を含む組成物に、単官能(メタ)アクリレート単量体(B)及び必要に応じて添加されるその他の成分を混合することにより行うことができる。
【0037】
本発明の土木建築用被覆材は、強度や伸び等の基本性能に優れ、しかも柔軟性、基材追従性が優れることから硬化物の亀裂や基材からの剥離が起こりにくいうえに、臭気を抑制することが可能であり、立て面の樹脂ダレが起こりにくいものである。このような土木建築用被覆材は、土木建築用途において、基材に塗布することにより、熱可塑性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂硬化物、木材、金属、コンクリート、モルタル、アスファルト、ガラス等の基材上にこれらの被覆層を形成する材料として好適なものであるが、特に各種の建造物の屋上や床面、壁面等に防水、防食、強度や美観の保持を目的として施されるライニング材、塗り床材等を形成する材料として好適なものである。このようなライニング材、塗り床材では一般的にプライマー層、中間層、トップコート層という多層構造を施工する。プライマー層とは、基材と被覆材とを充分付着させることを目的として設け、イソシアネートとグリコールを反応させて得られるウレタンプレポリマーを配合することが好ましい。中間層とは、被覆材の主材となる層であり、耐久性、機械的強度を発現させるための層である。中間層には、骨材、モルタル、繊維強化材、揺変性付与剤、乾燥性向上剤等を含むことが好ましい。また、トップコートとは中間層の保護、耐侯性、意匠性、防滑性等を目的として設ける。トップコートには顔料、乾燥性向上剤等を含むことが好ましい。
本発明の土木建築用被覆材は、特に中間層、トップコート層を形成する材料として好適なものであり、トップコート層を形成する材料として最も好適なものである。本発明の土木建築用被覆材を中間層及び/又はトップコート層として用いる場合、パラフィン(D)を添加することが好ましい。
【0038】
上記パラフィン(D)とは、パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックスから選択される少なくとも1種のワックスであり、これらは、原油中に存在する、常温において固体又は半固体の炭化水素の混合物である。
上記パラフィンワックスとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、パラフィンワックス150(商品名、日本精蝋社製、融点66℃)、パラフィンワックス140(商品名、日本精蝋社製、融点61℃)、パラフィンワックス130(商品名、日本精蝋社製、融点55℃)、パラフィンワックス115(日本精蝋社製、融点47℃)等が挙げられる。また、マイクロクリスタリンワックスとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、Hi−Mic−2065(商品名、日本精蝋社製、融点75℃)、Hi−Mic−2045(商品名、日本精蝋社製、融点64℃)等が挙げられる。これらパラフィン(D)は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0039】
上記パラフィン(D)を本発明の土木建築用被覆材に使用する場合には、パラフィンワックスの分散剤(E)を併用することが好ましい。パラフィンワックスの分散剤(E)とは、特に限定されるものではないが、水酸基、カルボキシル基及びエステル結合部位から選択される少なくとも1種の構造を有するワックスであることが好ましい。具体的には、例えば、ドデカン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸オクタデシル等の、炭素数12以上の脂肪酸及びその誘導体;ノニポール160(商品名、三洋化成工業社製)、エマルミン200(商品名、三洋化成工業社製)等の、アルキルフェノールや、高級アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したアルコール類;NPS−9125、NPS−9210、NPS−6010、HAD−5080、NSP−8070、OX−020T、OX−1949(商品名、何れも日本精蝋社製)等のパラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックスから酸化反応等で誘導される変性ワックス;ダイヤモンドワックス(商品名、新日本理化社製)等の動植物油脂の誘導体;セラマー67(商品名、東洋ペトロライロ社製)、セラマー1608(商品名、東洋ペトロライロ社製)等の、カルボキシル基含有単量体とオレフィンとの重合体等が挙げられる。これらパラフィンワックスの分散剤(E)は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0040】
本発明において、上記パラフィンワックスの分散剤(E)に対するパラフィン(D)の使用比率は、用いるラジカル重合性樹脂の種類や分子量、組成に応じて適宜設定すればよいが、質量比(パラフィン(D)の質量/パラフィンワックスの分散剤(E)の質量)で500〜1の範囲内であることが好ましい。この範囲よりパラフィンワックスの分散剤(E)の比率が多くなると乾燥性が著しく低下する傾向にあり、この範囲よりパラフィンワックスの分散剤(E)の比率が少なくなると硬化物における積層樹脂層の被接着性が著しく低下する傾向にあるため、上記の範囲を逸脱すると、乾燥性及び上記積層樹脂層の被接着性を共に満足し得るラジカル重合性樹脂組成物を得ることができなくなる。
【0041】
上記パラフィンワックスの分散剤(E)に対するパラフィン(D)の使用比率は、乾燥性及び硬化物における積層樹脂層の被接着性を更に向上させることができることから、質量比(パラフィン(D)の質量/パラフィンワックスの分散剤(E)の質量)で300〜2の範囲内であることが好ましく、200〜2の範囲内であることがより好ましい。
【0042】
上記ワックス類の使用量、即ち、上記パラフィン(D)とパラフィンワックスの分散剤(E)との合計量は、化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)の種類や組成、並びに、化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)とパラフィン類との組み合わせ等に応じて適宜設定すればよく、硬化時に上記土木建築用被覆材の硬化表面上にワックス薄膜(被膜)を形成することができれば、特に限定されるものではないが、化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)の合計100質量部に対して、0.005〜2質量部の範囲内となるように用いることが好ましく、乾操性及び得られる土木建築用被覆材を硬化してなる硬化物の強度物性の観点から、0.02〜0.6質量部の範囲内となるように用いることがより好ましい。上記パラフィン類の使用量が0.005質量部より少なくなると得られる土木建築用被覆材の乾燥性が低下する傾向にある。一方、上記パラフィン類の使用量が2質量部より多くなると、得られる土木建築用被覆材を硬化してなる硬化物の強度物性が低下する傾向にある。
【0043】
本発明の土木建築用被覆材の粘度としては、繊維強化材や骨材を含まない場合の25℃における粘度が20Pa・s以下であることが好ましい。20Pa・sを超えると、粘度が高いため作業性が悪くなるおそれがある。より好ましくは、0.1Pa・s以上であり、また、10Pa・s以下である。また、特に中間層、トップコート層に用いる場合において、繊維強化材や骨材を含まない場合に、土木建築用被覆材のブルックフィールド型粘度計で毎分6回転と60回転で測定した粘度の比を示す揺変度が、1.2以上であることが好ましい。1.2未満であると、樹脂ダレが起こりやすくなるおそれがある。より好ましくは、2以上である。
なお、上記粘度及び揺変度は、下記の方法により測定される値である。
JIJ K−6901に準じて、ブルックフィールド型粘度計を使用し25℃で測定する。
【0044】
本発明の土木建築用被覆材により皮膜を形成する方法としては、本発明の土木建築用被覆材を基材に塗布した後硬化させることにより皮膜を形成する方法、マット状の繊維強化材を用いる場合には、本発明の土木建築用被覆材を含浸させて被覆材とし、硬化させることにより皮膜を形成する方法等が挙げられる。
【0045】
本発明の土木建築用被覆材を基材に塗布する方法としては、土木建築分野において通常用いられる塗布方法により行えばよく、刷毛、ロール、スプレー、金ごて等を用いる方法が挙げられる。また、本発明の土木建築用被覆材を硬化させる方法としては、常温で硬化させる方法、加熱により硬化させる方法、紫外線等を照射して硬化させる方法等が挙げられる。また、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0046】
本発明の土木建築用被覆材により皮膜を形成する際の塗布量としては、以下のようになるようにすることが好ましい。
プライマー層:0.05〜0.5kg/m2(より好ましくは、0.1〜0.3kg/m2)
中間層:1〜20kg/m2(より好ましくは、2〜20kg/m2)
トップコート層:0.05〜0.6kg/m2(より好ましくは、0.1〜0.5kg/m2)。また、中間層は乾燥時の膜厚が0.2〜10mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜5mmの範囲であり、1〜3mmの範囲が特に好ましい。
このような、本発明の土木建築用被覆材により形成されてなるプライマー層、中間層、トップコート層は、本発明の好ましい実施形態である。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「質量部」を、「%」は、「質量%を」意味するものとする。
【0048】
製造例1
攪拌機、Dean−Sterk型水分離機、ガス導入管及び温度計を備えたフラスコに、BA−6Uグリコール(商品名、ビスフェノールA6EO付加物、日本乳化剤社製)1920g、メタクリル酸826g、トルエン137g、パラトルエンスルホン酸1水和物13.7g、フェノチアジン0.27g、2−メチルハイドロキノン0.54gを仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。120℃に達してから8時間後に流出した縮合水が129g(理論出水量の90%)となった。反応混合物の酸価は36mg・KOH/gであった。反応混合物の温度を90℃に下げ、減圧下で2時間トルエンを留去した。反応混合物にフェノチアジン0.27g、トリエチルアミン9.1g、エポトートYD−127(商品名、東都化成社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量183.4)313gを加え、再度115℃に昇温し、空気を吹き込みながら反応を行った。115℃に昇温してから6時間後に反応混合物の酸価が5.5mg・KOH/gとなり、粘度が1.2×10-1Pa・sの樹脂(1)を得た。
【0049】
製造例2
冷却管、攪拌機、温度計、ガス導入管、滴下ロートを備えたフラスコに、ジフェニルメタンジイソシアネート800gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱し、60℃でトリメチロールプロパン54g、ポリプロピレングリコール(分子量400)480gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、ジブチル錫ジラウレート0.33gを添加し、更に60℃で4時間加熱し、樹脂(a)を得た。
【0050】
製造例3
製造例1のBA−6UグリコールをBA−8グリコール(商品名、ビスフェノールA8EO付加物、日本乳化剤社製)2312g、エポトートYD−127をエポライト100E(商品名、共栄社化学社製、エポキシ当量152)259gに代えた以外は同様の操作を行い、酸価4.5mg・KOH/g、粘度が8.0×10-2Pa・sの樹脂(2)を得た。
【0051】
製造例4
攪拌機、Dean−Stark型水分離機、ガス導入管及び温度計を備えたフラスコに、ジエチレングリコールエチルエーテル663g、メタクリル酸600g、トルエン259g、パラトルエンスルホン酸1水和物52g、フェノチアジン1gを仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。120℃に達してから8時間後に留出した縮合水が85g(理論流出量の95%)となり、Dean−Stark型水分離機を冷却管に取り替えて、反応混合物の温度を100℃に下げ、エンポール1045(商品名、ヘンケルジャパン社製、カルボキシル基当量281)570g、YD−128(商品名、東都化成社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量187)757g、トリエチルアミン8gを投入し、100℃で9時間加熱して酸価が5.0mg・KOH/gとなった。その後、減圧下、90℃でトルエンを除去して、粘度が4.0×10-4m2/s(25℃)の樹脂(b)を得た。樹脂(b)には、単官能(メタ)アクリレート単量体(B)として、エトキシジエチレングリコールメタクリレートが40質量部含まれる。
【0052】
製造例5
無水テトラヒドロフタル酸456g、ジエチレングリコール636g、パラトルエンスルホン酸20g、トルエン744g、メタクリル酸864g、フェノチアジン2.0g、メチルヒドロキノン1.0gを、窒素/空気=2/1の気流下で120℃にて10時間加熱脱水縮合させて、エステルメタクリレートと、メタクリル酸を含む反応混合物を得た。続いて、フェノチアジン1.0g、メチルヒドロキノン0.5gを追加した後、115℃にて、ビスフェノール型エポキシ樹脂(東都化成社製、商品名:エポトートYD−128、エポキシ当量186)760g、トリエチルアミン30gを1時間で滴下した。4時間加熱反応し、樹脂(c)を得た。
【0053】
樹脂(1)〜(2)、(a)〜(c)を表1〜3に示す組成にて配合し、樹脂組成物(1)〜(14)を得た。下記に示す試験方法に従い、粘度、揺変度、塗工性、塗膜乾燥性、接着強度、注型板物性、乾燥性等の評価を行った。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
表1、表2及び表3について、説明する。POとは、フェノキシエチルメタクリレートであり、DEGDMAとは、ジエチレングリコールジメタクリレートであり、LMAとは、ラウリルメタクリレートであり、TMTPMAとは、トリメチロールプロパントリメタクリレートである。
【0058】
実施例1、2及び比較例1、2
(樹脂粘度、揺変度)
JIJ K−6901に準じて、ブルックフィールド型粘度計を使用し25℃で測定した。
【0059】
(塗膜乾燥性▲1▼、接着強度▲1▼、塗工性の評価方法)
樹脂組成物(1)〜(4)100部に対して、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを1部、硬化促進剤としてオクチル酸コバルト(金属分8%)0.5部、ジメチルアニリン0.32部を混合し、直ちに、30cm四方のコンクリート板に200g/m2の量をローラーにて塗布し、塗工性の評価を行った。
評価基準
○:ロールがけ作業性は良好で、コンクリート板に樹脂が容易に含浸する
△:ロールがけ作業性は良好だが、コンクリート板への樹脂含浸性がやや劣る。
×:ロールがけ作業性が悪い
その後、20℃雰囲気下で放置し、塗布後から、表面が硬化して指触によるべたつきがなくなるまでの時間を塗膜乾燥性として評価した。更に、20℃雰囲気下で1日放置した後、その表面に、100質量部のエポラックN−423PW(商品名、日本触媒社製)、1質量部の55%メチルエチルケトンパーオキシドを混合した不飽和ポリエステル樹脂6.4gを380番ガラス繊維マットの5cm×5cmに含浸させて、ライニングした。更に20℃で1日放置した後、ライニング表面に4cm角の鉄製ジグをエポキシ接着剤で接着し、建研式接着力試験器で被覆層とコンクリート層間の接着力を測定した。結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
実施例3〜6、比較例3、4
(注型板物性)
樹脂組成物(5)〜(7)300gにオクチル酸コバルト(金属分8質量%)3gと硬化剤328E(商品名、化薬アクゾ社製)3gを添加し、ガラス製の注形型に注ぎ、一晩放置した。翌日、110℃で2時間加熱した後、型から取り出して3mm×300mm×270mmの大きさの硬化物を得た。この硬化物からテストピースを切り出し、引張り強度、引張り伸び率、引張り弾性率を、JIS K7113に従って測定した。
【0062】
(乾燥性▲2▼)
樹脂組成物(5)〜(9)にパラフィンワックス130を700ppm、パラフィンワックス140を300ppm、NPS9125を100ppm(いずれも商品名、全て日本精鑞社製)添加した。更に、樹脂組成物100質量部に対して、0.5質量部のジメチルアニリン、0.5質量部のオクチル酸コバルト(金属分8質量%)、1質量部のパークミルH80(商品名、日本油脂社製)を混合し、骨材を混合した。直ちに四方にスペーサーを取り付けた30cm×30cmのコンクリート板上に流しこみ、20℃雰囲気下に放置した。表面が硬化して指触によるべたつきがなくなるまでの時間を乾燥性として評価した。結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
表5中、骨材において、Aとは、7号珪砂/珪砂粉末=90/10(質量割合)であり、Bとは、5号珪砂/8号珪砂=85/15(質量割合)である。
【0065】
実施例7〜11、比較例5
(塗膜乾燥性▲2▼、樹脂だれの程度)
樹脂組成物(9)〜(14)にパラフィンワックス130を1000ppm、パラフィンワックス115を1000ppm、NPS9125を600ppm(いずれも商品名、全て日本精鑞社製)添加し、BYK R−605(商品名、ビックケミー社製)を2000ppm、配合した後にアエロジル200(商品名、日本アエロジル社製)を20000ppm加え、ホモミキサーで分散混合した。一晩放置した後に各樹脂組成物の粘度、揺変度の測定を実施例1と同様に行った。更に、樹脂組成物100質量部に対して、0.5質量部のジメチルアニリン、0.5質量部のオクチル酸コバルト(金属分8質量%)、1質量部のパークミルH80(商品名、日本油脂社製)を混合し、直ちに予めウレタンプライマーNS−YP(商品名、日本触媒社製)を塗布して3時間放置した30cm×30cmのコンクリート板に200g/m2の量を刷毛にて塗布した。塗布した後、コンクリート板を垂直に立てて25℃雰囲気下に放置し、コンクリート板中央の表面が硬化して指触によるべたつきがなくなるまでの時間を乾燥性として評価した。また、垂直に立てたコンクリート板の上部で、樹脂がたれて薄くなりべたつきが長時間残った部分の幅を観察することにより樹脂だれの評価を行った。結果を表6に示す。
評価基準
×:べたつきが10cm以上の幅になっている
△:べたつきが3〜10cm以上の幅になっている
○:べたつきが3cm以下の幅になっている
【0066】
【表6】
【0067】
【発明の効果】
本発明の土木建築用被覆材は、上述の構成からなり、機械的強度、密着性、乾燥性、耐水性、耐熱性等の各種物性に優れた被覆層を形成することができると共に、臭気を抑制することが可能である。このため塗り床材、ライニング材等の分野において、プライマー層や中間層、トップコート層、それぞれに必要とされる物性を満たすことができ、好適に使用することができる。
Claims (4)
- 分子内に(メタ)アクリロイル基と、1個以上のオキシアルキレン基と、フェノールの残基とを有する化合物類であって、(メタ)アクリロイル基を平均して1.5個以上有する化合物類(A)及び単官能(メタ)アクリレート単量体(B)を含有する土木建築用被覆材であり、
該化合物類(A)は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られ、かつ、分子内に平均して1.5個以上、2個以下の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物との反応により得られる化合物を含むものであって、
該単官能(メタ)アクリレート単量体(B)の使用量は、該(メタ)アクリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物との反応により得られる化合物と、該単官能(メタ)アクリレート単量体(B)との合計質量100質量部に対して、5質量部以上、50質量部以下である
ことを特徴とする土木建築用被覆材。 - 前記(メタ)アクリル酸エステル及び前記(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物との反応により得られる化合物は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物と、該付加物に対して過剰当量の(メタ)アクリル酸とを含む反応混合物を得た後、続いて、該反応混合物とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の土木建築用被覆材。 - 前記単官能(メタ)アクリレート単量体(B)は、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の土木建築用被覆材。
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