JP3589504B2 - レジンモルタル及びコンクリート保護工法 - Google Patents

レジンモルタル及びコンクリート保護工法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、化学的または温度的に過酷な使用環境に晒されるコンクリート構造物またはコンクリート製品等の防食ライニングとして使用するのに適した、レジンモルタル及びコンクリート保護工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品工場や医薬品工場、化学工場等の床、廃液溝、タンク等あるいは温泉の浴槽、し尿消化槽等の構造物、電解槽等のコンクリート製品等、過酷な使用環境に晒されるコンクリート構造物または製品の防食ライニング材としては、主としてエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタアクリル樹脂、ビニルエステル樹脂等を主成分とした硬化性樹脂組成物が用いられている。
【0003】
エポキシ樹脂による防食ライニングは、補強材としてガラスクロスを使用するFRPや骨材及び充填材を配合してなるレジンモルタル等を保護材料としてライニングが施工されている。不飽和ポリエステル樹脂による防食ライニングは、補強材としてガラス繊維、例えばガラスマットやガラスロービングクロス、ガラスサーフィス等を使用するFRPや骨材及び充填材を配合してなるレジンモルタル等を保護材料としてライニングが施工されている。またメタアクリル樹脂による防食ライニングは、骨材及び充填材を配合してなるレジンモルタルを保護材料とするライニングが主に施工されている。ビニルエステル樹脂による防食ライニングは、不飽和ポリエステル樹脂とほぼ同様な方法で保護材料として防食ライニングが施工されている。
【0004】
しかし、防食ライニング材としてのエポキシ樹脂は、硬化収縮が小さいことや耐アルカリ性等に優れてはいるものの耐熱水性や耐酸性に劣ることや低温時の硬化性が著しく劣ることが問題となる。
不飽和ポリエステル樹脂は、環境温度に対応して硬化時間を調整できることや、高強度の保護材料としては優れているが、分子中にエステル基を多く含むため、耐熱水性や耐アルカリ性に劣ることが問題となる。
メタアクリル樹脂は、硬化性に優れ、低温時の施工や時間に余裕のないメンテナンスのための夜間施工等で優れた特徴を発揮している。しかし、耐熱水性や耐薬品性に劣ることが問題となる。
【0005】
ビニルエステル樹脂は、熱硬化性樹脂の中では耐熱水性、耐酸性、耐アルカリ性及び耐溶剤性等に極めて優れた樹脂であり、防食分野では耐食FRPを始め広範な分野の用途に利用されている。しかし、食品工場等での熱水と冷水を繰り返し使用する場所では、前述したFRPライニング保護工法はヒートショックによる亀裂が発生し易く、時には剥離に至る。このようなFRPライニング保護工法の欠点を補う方法としてレジンモルタルによる保護工法も行われている。この場合、ビニルエステル樹脂の硬化収縮やヒートショックによる亀裂の発生を防止するために、主として骨材や充填材の比率を比較的多くしたレジンモルタルを金ゴテ等による圧着保護工法が採用されている。かかる工法は作業性や表面のレベリング性に劣ることが問題となる。特にエポキシ樹脂やメタアクリル樹脂が骨材と充填材の比率を少なくして行う、いわゆるレジンモルタルの流し延べ工法を採用しているのに比較して、施工スピードが約1/3のスピードしかないことは経済性の面で大きな欠点である。更に金ゴテ圧着工法の場合には耐食性とレベリング性及び美観の点から補強材等を用いない樹脂のみによるトップコートの塗布が必要とされるが、薄膜のトップコートではふくれやクラックが発生し易く防食ライニングとしては耐久性に劣るものしか得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の項で指摘した各種防食ライニング材の問題となる欠点、すなわち硬化時のクラックの発生防止、耐熱水性、耐薬品性、冷水熱水の繰り返し使用に耐えられる耐ヒートショック性、レジンモルタルの流し延べ工法の可能な特性等を有するコンクリート保護のためのビニルエステル樹脂系レジンモルタルの開発を目的とする。
更に本発明は、該レジンモルタルを用い、コンクリート躯体へ塗布するためのコンクリート保護工法の開発を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 硬化させたとき、引張伸び率が10%以上、曲げ弾性率が2000N/mm 以下となる未硬化のビニルエステル樹脂100重量部と充填材または充填材と骨材の混合物10〜700重量部とからなるコンクリート躯体保護のためのレジンモルタル、
[2] 硬化させたとき、引張伸び率が10%以上、曲げ弾性率が2000N/mm 以下となる未硬化のビニルエステル樹脂100重量部と充填材または充填材と骨材の混合物10〜700重量部とからなるレジンモルタルに、硬化剤、硬化促進剤、その他添加剤を配合した保護材料を、コンクリート躯体に少なくとも2層に重ね塗りし、かつ各層を1mm以上の厚さに塗布することを特徴とするコンクリート保護工法及び
[3] コンクリート躯体が、プライマーを塗布、硬化、乾燥したコンクリート躯体であることことを特徴とする前記に記載のコンクリート保護工法を開発することにより上記の目的を達成した。
【0008】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明が適用するコンクリート躯体とは、例えばセメントコンクリート、アスファルトコンクリート等のコンクリート構造物またはコンクリート製品等である。
本発明においてビニルエステル樹脂とは、エポキシ基を有するエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを付加反応して得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ基を有するエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸の一部を二塩基酸に置き換えて付加反応して得られたエポキシ(メタ)アクリレート、更に空気乾燥性を付与したエポキシ(メタ)アクリレート等を反応性モノマーに溶解せしめた、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂それぞれ単独またはそれらの混合物を指している。
このようなビニルエステル樹脂の中において、耐熱水性、耐薬品性等の性質が優れたエポキシメタクリレートが推奨できる。
【0009】
そしてこれらビニルエステル樹脂の中で本発明に使用できるビニルエステル樹脂としては、硬化させたとき、JIS K−7113で規定する引張試験において引張伸び率10%以上及びJIS K−7203で規定する曲げ試験において曲げ弾性率2000N/mm 以下の物理的性質を有するものから選択される。引張伸び率が10%未満及び曲げ弾性率が2000N/mm を超えるビニルエステル樹脂は、硬化時の硬化収縮や冷水熱水の繰り返しによるヒートショックに耐えられず、クラックやコンクリートから剥離する等の欠点がある。
【0010】
上記のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の原料として反応に用いられるエポキシ樹脂として、例えば分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールAないしはビスフェノールFとの反応によって得られるビスフェノール系エポキシ樹脂、またエピクロルヒドリンとフェノールノボラックないしはクレゾールノボラックとの反応によって得られるノボラック系エポキシ樹脂、更にはアクリルニトリルポリブタジエン変性の末端エポキシ基を有するエポキシ樹脂等を挙げることができる。分子中に1個のエポキシ基を有する不飽和グリシジル化合物としてはグリシジル(メタ)クリレート等があり、これらは単独または併用することができる。
【0011】
エポキシ樹脂と付加反応させる不飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等がある。
これらの不飽和一塩基酸と併用される二塩基酸としては、例えばアジピン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸、フマル酸、末端にカルボキシル基を有するアクリルニトリル変性ポリブタジエン等を挙げることができる。二塩基酸の使用量は、全酸成分の20モル%以下が好ましい。更にエポキシ(メタ)アクリレートに空気乾燥性を付与するには、使用する不飽和一塩基酸の一部を、トリメチロールプロパンジアリルエーテルの如き多価アリルエーテルモノアルコールとフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等の二塩基酸無水物との反応による半エステルカルボン酸に変えた不飽和一塩基酸混合物をエポキシ樹脂に反応させるなどの方法により得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートの製造は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸の混合物を通常100〜140℃の温度で2〜10時間程度反応させることにより行われる。これらの反応には必要に応じて重合禁止剤、反応触媒、反応性モノマーを使用することができる。
【0012】
エポキシ(メタ)アクリレートを製造する際に用いる触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾール誘導体等の三級窒素を含有する化合物;テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン等のアミン塩;またはトリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。
反応触媒の使用量は、反応組成物100重量部に対して0.001〜2重量部の範囲から選択される。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン等の公知の重合禁止剤が用いられ、その使用量は反応組成物100重量部に対して0.001〜2重量部の範囲から選択される。
【0013】
反応性モノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、ジアリルフタレート等のアリルモノマー類、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジオールジ(メタ)アクリレート類、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等が使用でき、これらは単独または併用することができる。
反応性モノマーの使用量は、エポキシ(メタ)アクリレート100重量部に対して、通常40〜180重量部程度である。
【0014】
未硬化のビニルエステル樹脂に配合される充填材としては、例えば炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、シリカパウダー、硫酸バリウム、マイカ、ガラスパウダー、パーライト等の公知のものがある。
またビニルエステル樹脂に配合される骨材としては、例えばシリカを主成分とする砂、砂利、砕石、その他の類似する材料を総称するものである。レジンモルタルとして使用する際に配合される骨材は4号硅砂以下、好ましくは5号、6号等の4号硅砂より粒径の小さいものの使用が望ましい。
当該骨材には、天然骨材と人工骨材とがある。天然骨材としては、例えば川砂、川砂利、山砂、山砂利、海砂、海砂利等がある。人工骨材としては例えば、岩石、粘土または産業副産物などを原料とした加工品、例えば砕石、砕砂、硅砂、スラグ砕石等がある。
【0015】
レジンモルタルとしては、前述した骨材のみでは硬化物が粗の状態になり易く美観等に劣る結果となる。硬化物を平滑度を高くしたいとか緻密なものにするには骨材の粒度を細かくする、充填材の配合比を高くする、あるいは骨材を省き充填材のみを使用するなどの手段をとることが望ましい。
充填材と骨材を併用する場合は、重量比で充填材:骨材=100〜5:0〜95、好ましくは100〜40:0〜60である。(以下充填材またはこれと骨材を充填材等という。)
ビニルエステル樹脂と充填材等の配合比は、未硬化のビニルエステル樹脂100重量部に対し充填材等は10〜700重量部、好ましくは10〜500重量部、更に好ましくは10〜300重量部である。充填材等の配合比が10重量部より少ないと硬化時の硬化収縮や冷水熱水の繰り返しによるヒートショックに耐えられず、クラックやコンクリートから剥離する等の欠点がある。また配合比が700重量部より多いとレジンモルタルが固くなりすぎて作業性に劣ったり、硬化不良になる恐れがある。
【0016】
本発明のレジンモルタルには、硬化剤及び硬化促進剤を配合して硬化させる。これらの他に、乾燥性向上のために使用されるパラフィンやイソシアネート化合物、低収縮剤、揺変性付与剤等を添加することもできるが、特にイソシアネート化合物の添加は塗膜の物理的特性を失うことなく塗膜乾燥性を向上させるのに有効である。
硬化剤としては、有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキシド類、キュメンハイドロパーオキサイド、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキシド類、ターシャリブチルパーオキシオクトエート、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキシド類、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類等が挙げられ、これらは併用してもよい。
硬化剤の添加量は通常使用されている量であり、ビニルエステル樹脂100重量部に対し0.01〜8重量部程度である。
【0017】
硬化促進剤は、硬化剤の有機過酸化物をレドックス反応によって分解し活性ラジカルの発生を容易にする物質である。例えば、コバルト系、バナジュウム系、マンガン系等の各種金属石鹸類、ジメチルアニリン、ジメチルパラトルイジン等のアミン類、ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、アセチルアセトン等のβ−ジケトン類等がありこれらは併用することもできる。
硬化促進剤の添加量は通常使用されている量であり、ビニルエステル樹脂100重量部に対し0.01〜5重量部程度である。
【0018】
硬化剤、硬化促進剤の他に有効な添加剤であるイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート、日本ポリウレタン社製の商品名コロネートL、コロネートHL、コロネート2096等、旭化成工業社製の商品名デュラネート24A−100等のポリイソシアネート等が用いられ、これらは併用してもよい。添加量はビニルエステル樹脂100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部で程度である。
【0019】
本発明のビニルエステル樹脂と充填材等からなるレジンモルタルに、硬化剤、硬化促進剤、その他添加剤を配合した保護材料は、被処理躯体であるコンクリート構造物またはコンクリート製品表面等に次の要領で施工される。新設の場合には、まず躯体の表面をサンダーやポリッシャー、ライナックスで前処理を行い、すでに他の材料で保護されている場合には既設材料の脆弱部を前述した工具等ではぎ取った後に、プライマーと称されるものを塗布する。プライマーは、躯体の状況等によっては塗布しなくてもよい場合があるが、躯体と保護材料との接着をよくするために塗布しておくことが好ましい。プライマーとしては、ウレタン系、エポキシ系、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系等があり、これらは施工性や躯体状況等によって適宜選択される。
【0020】
本発明においては、躯体はまた硬化したプライマーの上に、保護材料を少なくとも2層に重ね塗りし、かつ各層を1mm以上、好ましくは2mm以上の厚さに塗布する。2層以上重ね塗りすると強度的に優れた硬化塗膜が得られる。本保護材料を用いて第1層を施工する際には、通常流し延べ工法が採用されるが、更に強度を要求される場合には、かかる第1層には骨材と充填材の配合比が比較的多い本保護材料を金ゴテ等で圧着して施工する工法を採用してもよい。本保護材料の第2層は、第1層の上に施工すればよい。本保護材料の施工において、各層の厚みが1mm未満では本発明の効果が得られない。
本発明のレジンモルタルは、ビニルエステル系保護材料ではあるが、充填材等の配合量を従来のレジンモルタルに比して少なくすることができ、流れがよく、エポキシ樹脂系や(メタ)アクリル樹脂系レジンモルタルで採用されている、いわゆる流し延べ工法が適用できる。
【0021】
本発明においては、第2層の施工後第3層以後を順次施工できるが、通常は第2層を表面層とするかまたは第3層として滑り止め層を施工する方法が採用される。
滑り止め層は、滑り止め用骨材とビニルエステル樹脂を予め混練してから塗布する方法と骨材を散布しながらビニルエステル樹脂を塗布する、いわゆるニート工法がある。
滑り止め用骨材としては、前述した粒径が4号以上の硅砂、すなわち3号や2号等の粒径の大きい硅砂または高硬度のエメリー等の使用が耐摩耗性に優れていることから有効である。
更に、滑り止め層のビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂に充填材を配合してなる、本発明のレジンモルタルを使用することは耐久性に特に有効である。
【0022】
【作用】
従来のビニルエステル樹脂系レジンモルタルの施工法としては、骨材と充填材の配合比を多くし、レジンモルタルの流動性を低くして金ゴテ等で強く圧着して行う方法が主に採用されていた。この方法が採用されていた理由としては、前述したごとくビニルエステル樹脂は硬化時の硬化収縮によるクラックの発生やヒートショックによるクラックや剥離の恐れがあり、それらを防止するためにはビニルエステル樹脂の比率を少なくすることが有効であったからである。
これをビニルエステル樹脂として、硬化後、引張伸び率が10%以上、曲げ弾性率が2000N/mm 以下のように伸びが大きく、軟らかい樹脂を用い、かつ充填材等の配合比を小さくしてクラックや剥離の発生を防止している。
【0023】
本発明のレジンモルタルは、充填材等の配合比を少なくして行うため、エポキシ樹脂やメタアクリル樹脂等で採用されているいわゆる流し延べ工法の採用も可能である。流し延べ工法は従来のビニルエステル樹脂系レジンモルタルを金ゴテ等で圧着して施工する工法に比較し、強度の点では劣るが作業性に優れると共に仕上がりの美観等もよく特に有効である。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限を受けるものではない。なお、例中の%及び部はそれぞれ重量%、重量部を意味する。
【0025】
(合成例1)
撹拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、エポキシ樹脂(旭化成(株)社製、AER−331)1786g、エポキシ基末端ブタジエン−アクリロニトリル液状コポリマー(ビー・エフ・グッドリッチ社製、ハイカ−ETBN)1150g、メタクリル酸860g、トリエチルアミン11g、ハイドロキノン1.2g、スチレン877gを仕込み、空気を流しながら120℃で2.5時間反応させ、酸価8の時点で更にスチレン1750gを添加し、粘度6PS/25℃の変性エポキシメタクリレート樹脂(a)を得た。
【0026】
(合成例2)
撹拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、トリメチロールプロパンジアリルエーテル214g、フタル酸無水物148gを仕込み、加熱して窒素ガス雰囲気下100〜130℃で2.5時間反応させ酸価155の半エステルカルボン酸を得た。反応の終点は赤外分光分析による1760cm−1及び1820cm−1の酸無水物の吸収が消失することで確認した。この半エステルカルボン酸を109g、メタクリル酸60g、米国シェル社製エポキシ樹脂(商品名エピコート828)を188g、トリエチルアミン1.7g、ハイドロキノン0.2g、スチレン58gを仕込み、空気を流しながら120℃で3時間反応させ、酸価8の時点で更にスチレン174gを添加し、粘度4PS/25℃の空気乾燥性エポキシメタクリレート樹脂(b)を得た。
【0027】
[試験方法]
〈引張強度試験〉
ビニルエステル樹脂100部に対し50%のベンゾイルパーオキサイド2部、ジメチルアニリン0.5部を添加し、ガラス板2枚の間にゴムのスペーサーをはさんだ型に流し込み、注型品を得た。得られた注型品について、JIS K−7113プラスチックの引張試験方法に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0028】
〈曲げ強度試験〉
引張試験と同様にして作製した注型品を、JIS K−7203強化プラスチック用液状不飽和ポリエステル樹脂における曲げ試験方法に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0029】
〈硬化時のクラック試験〉
ビニルエステル樹脂100部に対し50%ベンゾイルパーオキサイド2部、ジメチルアニリン0.5部を添加し混合したものに、6号硅砂100部、8号硅砂100部、タルク20部を混練した、いわゆるレジンモルタル流し延べ材料を、コンクリート製の床にプライマー(昭和高分子(株)社製、ビニルエステル樹脂、CP−819B)を介し、10mm厚になるように50cm角の型枠を置いた中に流し込み硬化後のクラックの有無を観察した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0003589504
【0031】
表1のごとく、本発明の範囲にあるビニルエステル樹脂(a)及び(b)については硬化物にクラックは認められなかったが、本発明の範囲外であるR−806、RT−933の硬化物にはクラックが認められた。
ビニルエステル樹脂(a)、(b)、R−806、RT−933の硬化収縮率は、7〜8%であり、その差は殆どない。しかし、ビニルエステル樹脂(a)及び(b)は低弾性と高伸張性の性質が硬化収縮の応力を吸収し、クラックに至らないということが推測される。
【0032】
〈冷熱水サイクル試験〉
市販セメント板にプライマー(昭和高分子(株)社製、ビニルエステル樹脂、CP−819B)を介し、表2のビニルエステル樹脂100部に対し、50%ベンゾイルパーオキサイド2部、ジメチルアニリン0.5部、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン(株)社製、コロネートHL)を10部添加混合した後、表2に示す骨材、充填材の配合と構成によって作製した試験片に、15℃冷水を20分間、90℃熱水を10分間づつ流す30分間を1サイクルとする試験を繰り返し、保護材料にふくれ、クラック、剥離等の異常が発生するまでの時間を観察した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
Figure 0003589504
【0034】
表2に示すごとく、実施例3、4、5については1000時間(2000サイクル)を超えても異状は認めらない。比較例3は、かなりの耐久性を有するが第2層の充填材等の量が少ないことから本発明には及ばない。
比較例4は薄膜トップコートであることから耐久性に劣る結果となった。
【0035】
【発明の効果】
本発明は引張伸び率が10%以上、曲げ弾性率2000N/mm 以下の性能を有するビニルエステル樹脂100重量部と、充填材または充填材と骨材の混合物10〜700重量部とを混練してなるレジンモルタルからなるコンクリート保護材料は、モルタル流し延べ工法を採用し得る特性を有し、かかる保護材料を躯体上にプライマーを介して少なくとも2層に重ね塗りし、かつ各層を1mm以上の厚さに塗布する工法によって、冷熱水の繰り返し使用に耐えられる耐ヒートショック性に優れ、長期耐久性を有する防食ライニングを施工することができる。

Claims (3)

  1. 硬化させたとき、引張伸び率が10%以上、曲げ弾性率が2000N/mm 以下となる未硬化のビニルエステル樹脂100重量部と充填材または充填材と骨材の混合物10〜700重量部とからなるコンクリート躯体保護のためのレジンモルタル。
  2. 硬化させたとき、引張伸び率が10%以上、曲げ弾性率が2000N/mm 以下となる未硬化のビニルエステル樹脂100重量部と充填材または充填材と骨材の混合物10〜700重量部とからなるレジンモルタルに、硬化剤、硬化促進剤、その他添加剤を配合した保護材料を、コンクリート躯体に少なくとも2層に重ね塗りし、かつ各層を1mm以上の厚さに塗布することを特徴とするコンクリート保護工法。
  3. コンクリート躯体が、プライマーを塗布、硬化、乾燥したコンクリート躯体であることを特徴とする請求項2記載のコンクリート保護工法。
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