JP3984340B2 - シラップ組成物、補強工法用プライマー、構造物用補強材料、及び、樹脂モルタル又は樹脂コンクリート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の成分から構成されるビニルエステル樹脂を含有する、硬化性に優れ、硬化時の収縮率が低く、強靱な硬化物を提供するシラップ組成物に関するものであり、特に、床及び壁用プライマー、強化繊維を用いた補強工法用プライマー、構造物用補強材料、樹脂モルタル又は樹脂コンクリートとして好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート及びモルタル等からなる床面や壁面の塗装用樹脂として、溶剤系樹脂、エマルション系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ラジカル重合型アクリル系樹脂等の合成樹脂を使用する方法が知られている。これら合成樹脂塗り床材をコンクリート及びモルタルに塗布する場合、下地との接着性の向上、下地の影響の抑制を目的にあらかじめプライマーを塗布し、その上に合成樹脂塗り床材を重ね塗りする工法が一般的に適用されている。プライマーとしては、例えば、エポキシ系樹脂やポリウレタン系樹脂を主成分とした溶剤系、エマルション系のものが使用されているが、このようなプライマーは、塗布後に溶剤や水分を蒸発させるのに長時間を要したり、低温雰囲気下での硬化性に劣るなどの問題点を有する。
【0003】
このような問題点を解決することを目的として、無溶剤型のプライマーが提案されている。例えば、特公昭64−10024号公報には、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンからなるエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸と炭素数が8〜20の飽和もしくは不飽和モノカルボン酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートを主成分とするプライマー組成物が開示されており、低温硬化性に優れるという特徴を有している。
【0004】
また、上記のプライマー用途で使用される樹脂は、既存構造物用補強材料としても使用可能であり、種々の検討がなされている。例えば、特開平3−224966号公報には、橋脚、橋梁、建造物の柱等のコンクリートからなる既存構造物の補強方法が開示されており、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維等の高強度繊維からなるシート状物や織物等に、あらかじめ未硬化のエポキシ系樹脂を含浸させたプリプレグを補強すべき構造物の表面にエポキシ系樹脂を用いて貼り付け、常温で硬化させる方法が提案されている。
【0005】
さらに、上記のプライマー用途で使用可能な不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等は、無機充填材や骨材を含有させることによって、樹脂モルタル又は樹脂コンクリートとして使用可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特公昭64−10024号公報に開示されたプライマー組成物は、低温時の粘度上昇が大きいために、作業性が低下し、飽和または不飽和モノカルボン酸を含有するため、上塗り床材との接着性に劣るという問題点を有する。
【0007】
また、特開平3−224966号公報に開示された補強方法で使用されるエポキシ系樹脂は、強度的には良好なものの、10℃以下、特に5℃以下における硬化性に劣る傾向にあり、硬化養生に長時間を要するために、施工期間が長期化するという問題点を有する。また、水分による硬化阻害の恐れがあり、コンクリート下地面や施工面の煩雑な管理が必要である。
【0008】
さらに、不飽和ポリエステル系樹脂を樹脂モルタル又は樹脂コンクリートとして使用したものは、硬化時の収縮が大きいという問題点を有しており、エポキシ系樹脂を用いた場合には、下地との密着性には優れるが、硬化時間が長く、低温硬化性に劣るという問題点を有しており、ポリウレタン系樹脂を用いた場合には、低温硬化性に劣るという問題点を有している。
【0009】
本発明の目的は、床及び壁用プライマー、補強工法用プライマー、構造物用補強材料、樹脂モルタル又は樹脂コンクリートとして好適に使用される、低温硬化性、速硬化性、作業性に優れ、硬化時の収縮率が低く、さらに、硬化物の強度、接着性に優れたシラップ組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、上記課題を解決するシラップ組成物を見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明のシラップ組成物は、ポリカーボネートジオールと酸無水物及び/又はジカルボン酸との反応により得られる両末端にカルボキシル基を有する化合物、2官能エポキシ樹脂、及び不飽和一塩基酸との反応で得られるビニルエステル化合物(A)と、重合性モノマー(B)とを重量基準で30/70≦(A)/(B)≦70/30となる範囲で含有し、40℃以上の融点を有するパラフィンワックス(C)を(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で含有することを特徴とするものである。
【0012】
また、第2の発明である補強工法用プライマーは、本発明のシラップ組成物からなることを特徴とし、第3の発明である構造物用補強材料は、本発明のシラップ組成物と強化繊維とからなることを特徴とし、第4の発明である樹脂モルタル又は樹脂コンクリートは、本発明のシラップ組成物と無機充填材及び骨材とからなることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるビニルエステル化合物(A)は、ジオール成分と酸無水物及び/又はジカルボン酸との反応により得られる両末端にカルボキシル基を有する化合物、2官能エポキシ樹脂、及び不飽和一塩基酸との反応で得られるものである。
【0014】
ビニルエステル化合物(A)を構成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、アルキルポリオール類、ポリカーボネートジオール類、ポリアミドジオール類等が挙げられる。
【0015】
これらジオール成分は、靭性付与等の要求性能に応じて単独もしくは2種類以上を適宜選択して使用することができるが、数平均分子量300以上のものが靭性付与の点で好ましい。また、得られるシラップ組成物の硬化性に優れる点で、ポリエステルポリオール類やポリカーボネートジオール類が好ましいが、中でもポリカーボネートジオール類が特に好ましい。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、具体的には、ダイセル化学工業(株)製のプラクセル200シリーズ、(株)クラレ製のクラポールPシリーズ、東亞合成(株)製のペスポールシリーズ等を挙げることができる。また、ポリカーボネートジオールとしては、例えば、宇部興産(株)製のUH−CARBシリーズ、UM−CARBシリーズ、UC−CARBシリーズ、日精化学工業(株)製CXシリーズ、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルCDシリーズ等を挙げることができる。
【0017】
ビニルエステル化合物(A)を構成する酸無水物、及びジカルボン酸成分としては、例えば、無水マレイン酸、ハロゲン化無水マレイン酸、無水イタコン酸、ハロゲン化無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物及び、マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸、イタコン酸、ハロゲン化イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、ハロゲン化フタル酸、コハク酸、テトラヒドロフタル酸等のジカルボン酸を挙げることができるが、ジオール成分との反応性を考慮すると酸無水物が好ましく、中でも原料入手の容易さ、及び耐加水分解性の点から無水フタル酸が好ましい。これら酸無水物、ジカルボン酸は、必要に応じて単独もしくは2種類以上を適宜選択して使用することができる。
【0018】
ビニルエステル化合物(A)を構成する2官能エポキシ樹脂成分としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合生成物が一般的に使用される。具体的には、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004(以上、シェル化学製)、D.E.R.331、D.E.R.660(以上、ダウケミカル社製)等の市販品を挙げることができる。また、ビスフェノールAの代わりにノボラック型樹脂や他のポリオールを用いたものや、ビスフェノールAの水素原子の一部をハロゲンで置換したもの等も使用できる。具体的には、エピコート152、エピコート154(以上、シェル化学製)、D.E.N.431、D.E.R.438、D.E.R.R541(以上、ダウケミカル社製)、エピクロン705、エピクロン730(以上、大日本インキ化学工業製)等の市販品を挙げることができる。
【0019】
これら2官能エポキシ樹脂は、粘度、物性などを考慮して、単独もしくは2種類以上を適宜選択して使用することができる。
【0020】
本発明で使用されるビニルエステル化合物(A)を構成する2官能エポキシ樹脂成分は、エポキシ当量が100〜2000を有するものが好ましい。これは、エポキシ当量を100以上とすることによって、得られるシラップ組成物の硬化物の強靱性が良好となる傾向にあり、2000以下とすることによって、得られるビニルエステル化合物(A)の粘度が高くなりすぎないために、本発明のシラップ組成物を使用した場合の作業性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは150〜1000の範囲である。
【0021】
ビニルエステル化合物(A)を構成する不飽和一塩基酸成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などを挙げることができる。また、不飽和一塩基酸成分としては、前記の酸無水物と水酸基含有ビニル化合物の部分エステル化物を使用することもできる。水酸基含有ビニル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイドの付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとプロピレンオキサイドの付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンの付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと有機カプロラクトンの付加物、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールエタンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートを意味する。
【0022】
これら不飽和一塩基酸は、単独もしくは2種類以上を適宜選択して使用することができるが、中でも硬化性の点でヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0023】
本発明で使用されるビニルエステル化合物(A)は、ジオール成分と酸無水物及び/又はジカルボン酸成分を反応させてなる両末端にカルボキシル基を有する化合物と、2官能エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸とを反応させることによって製造することができる。
【0024】
具体的には、反応装置内に酸無水物、ジオール、触媒、重合開始剤を当量混合し、反応させ、両末端にカルボキシル基を有する化合物を得る。この際、完全にジオールをハーフエステル化することが好ましい。これに、反応当量を合わせた2官能エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸とともに、触媒、重合禁止剤等を追加仕込みし、反応させることによって、ビニルエステル化合物(A)を得ることができる。
【0025】
この場合、触媒は、重合反応を促進させる目的で、反応生成物100重量部に対して、0.05〜2重量部の比率で使用される。触媒としてはジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等を使用することができる。重合禁止剤は、オリゴマー合成時のラジカル重合防止の目的で、反応生成物100重量部に対して、0.01〜1重量部の比率で使用される。重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用することができる。
【0026】
また、反応温度は70〜120℃、好ましくは80〜100℃の範囲であり、反応時間は4〜15時間の範囲である。
【0027】
なお、製造されたビニルエステル化合物の生成の確認は、酸価、GPC測定によって行う。
【0028】
また、この反応の際には、必要に応じて希釈剤(メチル(メタ)アクリレートやスチレン等のビニル系単量体)を反応を阻害しない範囲で使用することができる。
【0029】
さらに、本発明で使用されるビニルエステル化合物(A)は、GPC法により測定される重量平均分子量が1,000〜50,000の範囲であることが好ましい。これは、重量平均分子量を1,000以上とすることによって、シラップ組成物の硬化物の強靱性、弾性等の物性が良好となる傾向にあるためであり、重量平均分子量を50,000以下とすることによって、得られる液状樹脂の粘度が適度なものとなり、本発明のシラップ組成物の塗工作業性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、2,000〜20,000の範囲である。
【0030】
本発明で使用される重合性モノマー(B)は、上述のビニルエステル化合物(A)と共重合可能な化合物であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン−β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート付加物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレートや、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0031】
これら重合性モノマー(B)は、単独もしくは2種類以上を適宜選択して使用することができるが、中でも得られるシラップ組成物の作業性、硬化性、接着性が優れる点で、メチルメタクリレートが好ましい。中でも、メチルメタクリレートが(B)成分中に80重量%以上存在させるのが特に好ましい。
【0032】
本発明のシラップ組成物は、ビニルエステル化合物(A)と、重合性モノマー(B)とを重量基準で30/70≦(A)/(B)≦70/30となる範囲で含有する。これは、(A)/(B)を30/70以上とすることにより、得られるシラップの粘度が低くなりすぎないので、塗工時にタレが起こりにくく、また、硬化性が良好となる傾向にあり、70/30以下とすることにより、得られるシラップの粘度が高くなりすぎないので、塗工時の作業性が良好となり、コンクリート等への浸透性に優れ、基材への接着性が良好となる傾向にあるためである。
【0033】
好ましくは、40/60≦(A)/(B)≦60/40となる範囲である。
【0034】
本発明で使用するパラフィンワックス(C)は、40℃以上、好ましくは40〜80℃の範囲の融点を有するものであり、本発明のシラップ組成物の硬化時の表面硬化性を向上させる効果を有するものである。
【0035】
本発明のシラップ組成物中には、パラフィンワックス(C)が、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で含有される。これは、(C)成分の含有量を0.1重量部以上とすることによって、本発明のシラップ組成物の硬化性が良好となり、5重量部以下とすることによって、本発明のシラップ組成物の安定性や硬化物の外観、さらに、これを重ね塗りした場合の接着性等に優れる傾向にあるからである。好ましくは、0.3〜1.0重量部の範囲である。
【0036】
また、本発明のシラップ組成物の粘度は、20℃におけるB型粘度計の測定値が、30〜500cpsの範囲にあることが好ましい。これは、粘度を30cps以上とすることにより、得られるシラップの粘度が低くなりすぎないために、塗工時にタレが生じにくく、また、硬化時の収縮率が低くなる傾向にあり、500cps以下とすることにより、得られるシラップの粘度が高くなりすぎないために、塗工作業性が良好となり、また、硬化不良が発生しにくい傾向にあるためである。より好ましくは、100〜400cpsの範囲である。
【0037】
本発明のシラップ組成物には、硬化性、作業性等を改良する目的でシラップ組成物に溶解もしくは膨潤可能なメチル(メタ)アクリレート、n一ブチル(メタ)アクリレート等の単独重合体または共重合体、エポキシ系樹脂、セルロースアセテートブチレート系樹脂等を任意の割合で添加することができる。
【0038】
また、種々の特性を改善するために、シランカップリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、染科、顔科、消泡剤、重合抑制剤、各種充填剤等の添加剤を添加することができる。
【0039】
本発明のシラップ組成物の硬化方法としては、公知のレドックス系触媒を用いて硬化させるのが好ましく、硬化剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、ジアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられるが、特にべンゾイルパーオキサイドが好ましい。これらの硬化剤は使用前にシラップ組成物に添加する。使用する硬化剤の量は、シラップ組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。これは、使用する硬化剤の量を.1重量部以上とすることによって、得られる硬化物の硬化性が良好となり、10重量部以下とすることによって、シラップ組成物のポットライフ長くなり、作業性が良好となる傾向にあるためである。
【0040】
また、硬化反応を促進させる目的で、必要に応じて、硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤としては、N,N−ジメチルp−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)p−トルイジン、トリ−n−ブチルアミン、2−N−エチルアニリノエタノール、N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類等を挙げることができる。これらの硬化促進剤は1種又は2種以上を併用して用いることができる。また、これらの硬化促進剤は作業前に添加しても、あるいはあらかじめシラップ組成物に添加しておいても良い。添加する硬化促進剤の量は、シラップ組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。これは、硬化促進剤の添加量を0.1重量部以上とすることにより、硬化促進剤添加の効果が良好に発現し、10重量部以下とすることによりポットライフが長くなり、作業性が良好になる傾向にあるためである。
【0041】
さらに、酸素による硬化阻害を受けやすい条件下では、表面硬化性を向上させる目的で、促進助剤を使用するのが好ましい。促進助剤としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、アセチルアセトン酸コバルト等の多価金属触媒等を挙げることができる。これらの促進助剤は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。また、これらの促進助剤は作業前に添加しても、あるいはあらかじめシラップ組成物に添加しておいても良い。添加する促進助剤の量は、シラップ組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲であることが好ましい。これは、促進助剤の添加量を0.01重量部以上とすることによって、促進助剤添加の効果が良好に発現し、5重量部以下とすることによってポットライフが長くなり、作業性が良好になる傾向にあるためである。
【0042】
本発明のシラップ組成物においては、硬化剤や硬化促進剤の使用量は、シラップ組成物の可使時間が10〜70分となるように調節することが好ましい。本発明のシラップ組成物は、これら硬化剤や硬化促進剤を添加後速やかに重合反応が開始され、組成物の硬化が進行する。
【0043】
本発明のシラップ組成物は、床及び壁用プライマーとして好適に使用することができ、重合開始剤、促進剤等を添加して混合した後、スプレー、刷毛、ローラー、コテ等を用いてコンクリート下地等に塗装される。
【0044】
本発明のシラップ組成物は、前記の床及び壁用プライマーとしての用途以外にもトップコート用等に用いることができる。
【0045】
また、本発明のシラップ組成物は、強化繊維とともに使用することによって、既存構造物等への補強材料として使用することができる。
【0046】
強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、あるいはアラミド繊維等の有機繊維等の通常強化繊維として使用される高強度あるいは高弾性の繊維を挙げることができ、これらの強化繊維を混合して使用することもできる。中でも特に炭素繊維が好ましく、引張弾性率20ton/mm2以上、引張強度300kg/mm2以上のものがより好ましい。
【0047】
また、強化繊維としては、シート状に加工されたものを使用するのが、施工性や性能面からみて好ましい。強化繊維からなるシート状物としては、前述の強化繊維からなる織布、一方向配列シート状物、不織布、マット、及びこれらを組み合わせたもの等を挙げることができる。
【0048】
このような強化繊維からなるシート状物に本発明のシラップ組成物を含浸させたものが、コンクリートからなる既存構造物用補強材料として好適に使用することができる。この本発明のシラップ組成物からなる樹脂を含浸させたシート状物を構造物の補修・補強箇所に貼り付け、必要に応じて複数枚積層させた後、該樹脂を硬化させることによって、構造物の補修・補強が行われる。
【0049】
また、上述の強化繊維からなるシート状物を用いた構造物補強工法を施工する際において、コンクリートの基材上に、あらかじめ本発明のシラップ組成物からなるプライマーを塗布した後に、シート状物を貼り付けることによって、シート状物のコンクリートへの付着性をより高めることができる。
【0050】
さらに、本発明のシラップ組成物は、無機充填材と骨材を添加することによって、樹脂モルタル又は樹脂コンクリートとして使用することができる。
【0051】
無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク等を挙げることができる。使用される無機充填材の粒子径、形状、粒度分布などは特に限定されるものではないが、平均粒径1μm以上で、吸油量が25ccアマニ油/100g以下のものが好ましい。
【0052】
また、骨材としては、例えば、硅砂、石英砂、着色した磁器、陶器素地を焼成硬化して粉砕したもの、ガラスビーズ、山砂、川砂等の細骨材、川砂利、砕石等の粗骨材等が挙げられる。
【0053】
これら粒径の異なる無機充填材と骨材とを組み合わせることによって、樹脂モルタルやコンクリートの塗工作業性、セルフレベリング性の向上の効果をもたらすものである。
【0054】
これら無機充填材と骨材の含有量は、その種類や粒径、及び要求性能等によって変化するが、本発明のシラップ組成物100重量部に対して合計で100〜1200重量部の範囲で使用するのが好ましい。樹脂モルタル又はコンクリートにおいては、バインダー樹脂に対する無機充填材や骨材の含有比率を高くしていくと必然的に粘性が高くなり、流動性が低下してくる。そのため、適切な配合比率は、作業性を損なわない範囲で決定することが必要である。
【0055】
また、本発明のシラップ組成物から得られる樹脂モルタル又はコンクリートは、プレキャスト製品の製造や塗り床、舗装などの施工に適用することが可能である。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、特に記載のない限り、実施例中の「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0057】
(評価方法)
・可使時間
重合開始剤、促進助剤を加えたシラップ組成物を入れた、内径約10mm、長さ12cmのガラス試験管を20℃の恒温水槽中に入れ、反応熱を測定した。重合開始剤を加えてから、最大発熱までの時間を可使時間とした。
【0058】
・常温作業性(20℃)
レイタンスを除去したコンクリート上に、シラップ組成物をウールローラーB−23(大塚刷毛製造(株)製)を用いて塗装して判定した。
○:シラップ組成物のローラー塗り性良好
×:シラップ組成物のローラー塗り性劣る
・低温作業性(5℃)
レイタンスを除去したコンクリート上に、シラップ組成物をウールローラーB−23(大塚刷毛製造(株)製)を用いて塗装して判定した。
○:シラップ組成物のローラー塗り性良好
×:シラップ組成物のローラー塗り性劣る
・常温硬化性(20℃)
レイタンスを除去したコンクリート上に、シラップ組成物をウールローラーB−23(大塚刷毛製造(株)製)を用いて塗装し、20℃で1時間放置後の指触乾燥度より判定した。
◎:指触乾燥性極めて良好
○:指触乾燥性良好
△:指触乾燥ややヌメリ感(しっとり感)あり、タックはなし
×:タック及び未反応部分あり
・低温硬化性(5℃)
レイタンスを除去したコンクリート上に、シラップ組成物をウールローラーB−23(大塚刷毛製造(株)製)を用いて塗装し、5℃で1時間放置後の指触乾燥度より判定した。
○:指触乾燥性良好
△:指触乾燥ややヌメリ感(しっとり感)あり、タックはなし
×:タック及び未反応部分あり
・接着強度
室温(20℃)雰囲気下で、レイタンスを除去したコンクリート上に、シラップ組成物をウールローラーB−23(大塚刷毛製造(株)製)を用いて塗装し、20℃で1時間放置した後、床用シラップ(三菱レイヨン(株)製、アクリシラップDR−510)100部、骨材(三菱レイヨン(株)製、KM−17)373部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部を混合した床材をコテで5mmの厚みになるように塗工した後、建研式接着強度試験法にて測定した。
【0059】
・B型粘度
シラップ組成物の粘度を20℃でBM型粘度計にて測定した。
【0060】
・炭素繊維シートのコンクリートへの付着性
図1に示すようにレイタンスを除去した2つのコンクリート塊(固定用、試験用)を合わせ、その表面にシラップ組成物を塗布し、1時間後、試験用コンクリート塊面上の付着面積が30cm(長さ)×5cm(幅)になるように炭素繊維シートを後述のシラップ組成物S−1でコンクリート塊の両側に張り付け、固定用コンクリート塊を固定し、試験用コンクリート塊を引張り、付着性を測定した。
【0061】
・引張強度
炭素繊維シートにシラップ組成物を含浸、硬化させ、長さ200mm、幅12.5mmの試験体を作製し、JIS K 7073に準拠し、強度を測定した。
【0062】
・継ぎ手強度
2枚の炭素繊維シートにシラップ組成物を含浸、貼り合わせ、硬化させ、継ぎ手長さが100mm、全長300mm、幅12.5mmの試験体を作成し、JIS K 7073に準拠し、強度を測定した。
【0063】
・線収縮率
シラップ組成物100重量部に対して、無機充填材含有調合骨材(三菱レイヨン(株)製、KM−2)を750部添加混合し、JIS A 1129に準拠し、評価を行った。
【0064】
なお、ここでいう炭素繊維シートとは、炭素繊維(三菱レイヨン(株)製、パイロフィルTR−30W)を経糸、5mm間隔でガラス繊維及ぴナイロンを緯糸とする炭素繊維目付300g/m2のシートである。
【0065】
(1)ビニルエステル化合物(EA−1)の合成
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、無水フタル酸296部、メチルメタクリレート280部、カーボネートジオール(宇部興産(株)製、UH−CARB100)1000部、ジメチルアミノエチルメタクリレート13.0部、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.3部を加え、反応温度85℃で3時間反応させ、両末端にカルボキシル基を有する化合物を含有する樹脂溶液を得た。さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート828)779部、アクリル酸144部、ジメチルアミノエチルメタクリレート9.2部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.92部、メチルメタクリレート280部を加え、反応温度を90℃に昇温して、酸価が10(mgKOH/g)以下になるまで反応させ、メチルメタクリレートを20重量%含有するビニルエステル化合物EA−1を得た。
【0066】
(2)ビニルエステル化合物(EA−2)の合成
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、無水フタル酸296部、メチルメタクリレート259部、ポリエステルポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル208)831部、ジメチルアミノエチルメタクリレート11.3部、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.13部を加え、反応温度85℃で3時間反応させ、両末端にカルボキシル基を有する化合物を含有する樹脂溶液を得た。さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート828)779部、アクリル酸144部、ジメチルアミノエチルメタクリレート9.2部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.92部、メチルメタクリレート259部を加え、反応温度を90℃に昇温して、酸価が10(mgKOH/g)以下になるまで反応させ、メチルメタタリレートを20重量%含有するビニルエステル化合物EA−2を得た。
【0067】
(3)ビニルエステル化合物(EA−3)の合成
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、無水フタル酸296部、メチルメタクリレート286部、カーボネートジオール(宇部興産(株)製、UC−CARB100)1000部、ジメチルアミノエチルメタクリレート13.3部、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.33部を加え、反応温度85℃で3時間反応させ、両末端にカルボキシル基を有する化合物を含有する樹脂溶液を得た。さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート828)779部、アクリル酸144部、ジメチルアミノエチルメタクリレート9.2部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.92部、メチルメタクリレート286部を加え、反応温度を90℃に昇温して、酸価が10(mgKOH/g)以下になるまで反応させ、メチルメタクリレートを20重量%含有するビニルエステル化合物EA−3を得た。
【0068】
(4)ビニルエステル化合物(EA−4)の合成
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、無水フタル酸148部、メチルメタクリレート169部、2−ヒドロキシエチルアクリレート116部、ジメチルアミノエチルメタクリレート2.64部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.26部を加え、反応温度85℃で3時間反応させ、さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート1001)997部、アクリル酸72部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.6部、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.06部、メチルメタクリレート169部を加え、反応温度を90℃に昇温して、酸価が10(mgKOH/g)以下になるまで反応させ、メチルメタクリレートを20重量%含有するビニルエステル化合物EA−4を得た。
【0069】
(5)ビニルエステル化合物(EA−5)の合成
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、無水フタル酸148部、メチルメタクリレート172部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート130部、ジメチルアミノエチルメタクリレート2.70部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.27部を加え、反応温度85℃で3時間反応させ、さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート1001)998部、アクリル酸86部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.8部、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.08部、メチルメタクリレート172部を加え、反応温度を90℃に昇温して、酸価が10(mgKOH/g)以下になるまで反応させ、メチルメタクリレートを20重量%含有するビニルエステル化合物EA−5を得た。
【0070】
(6)シラップ組成物(S−1)の調製
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−5を50部、メチルメタクリレート50部、融点54℃のパラフィンワックス0.15部、融点66℃のパラフィンワックス0.15部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン0.5部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物(S−1)を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、マトリックス樹脂として用いた。
【0071】
[実施例1]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−1を60部、メチルメタクリレート40部、融点54℃のパラフィンワックス0.15部、融点66℃のパラフィンワックス0.15部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン1部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0072】
[参考例1]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−2を60部、メチルメタクリレート40部、融点54℃のパラフィンワックス0.15部、融点66℃のパラフィンワックス0.15部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン1部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0073】
[実施例3]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−3を60部、メチルメタクリレート40部、融点54℃のパラフィンワックス0.15部、融点66℃のパラフィンワックス0.15部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン0.5部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0074】
[比較例1]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−1を20部、メチルメタクリレート80部、融点54℃のパラフィンワックス0.15部、融点66℃のパラフィンワックス0.15部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン1部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0075】
[比較例2]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−1を90部、メチルメタクリレート10部、融点54℃のパラフィンワックス0.15部、融点66℃のパラフィンワックス0.15部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン1部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0076】
[比較例3]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−1を60部、メチルメタクリレート40部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン1部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0077】
[比較例4]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−1を60部、メチルメタクリレート40部、融点54℃のパラフィンワックス3部、融点66℃のパラフィンワックス3部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン1部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0078】
[比較例5]
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、ビニルエステル化合物EA−4を50部、メチルメタクリレート50部、融点54℃のパラフィンワックス0.15部、融点66℃のパラフィンワックス0.15部、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン1部、及ぴ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製、スミライザーBHT−P)0.05部を入れ、60℃で2時間加熱し、溶解後、冷却してシラップ組成物を得た。次いで、そのシラップ組成物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ(株)製、カドックスB−CH50)2部、及び促進助剤としてナフテン酸コバルト(日本化学産業(株)製、ナフテックスCo8%T)1部を加えてシラップを調整し、物性評価を行い、表1に示す結果を得た。なお、低温硬化性の評価は、重合開始剤としてカドックスB−CH50を4部、及び促進助剤としてナフテックスCo8%Tを1部加えて行った。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、特定のビニルエステル化合物を特定比率で含有するシラップ組成物は、床及び壁用プライマー、構造物補強工法用プライマー、構造物用補強材料、樹脂モルタル又は樹脂コンクリート等の用途にに好適に使用できるものであり、工業上非常に有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシラップ組成物を強化繊維を用いた既存構造物の補強工法用のマトリックスとして使用する場合のコンクリートへの付着性試験の試験体の概念図である。
【符号の説明】
1 炭素繊維シート
2 固定用コンクリート
3 試験用コンクリート
Claims (4)
- ポリカーボネートジオールと酸無水物及び/又はジカルボン酸との反応により得られる両末端にカルボキシル基を有する化合物、2官能エポキシ樹脂、及び不飽和一塩基酸との反応で得られるビニルエステル化合物(A)と、重合性モノマー(B)とを重量基準で30/70≦(A)/(B)≦70/30となる範囲で含有し、40℃以上の融点を有するパラフィンワックス(C)を(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で含有することを特徴とするシラップ組成物。
- 請求項1記載のシラップ組成物からなる、補強工法用プライマー。
- 請求項1記載のシラップ組成物と強化繊維とからなる構造物用補強材料。
- 請求項1記載のシラップ組成物と無機充填材及び骨材からなる樹脂モルタル又は樹脂コンクリート。
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