JP4801357B2 - 信号増幅回路およびそれを用いた電子機器 - Google Patents
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このとき、スピーカの駆動中、スピーカには出力しているオーディオ信号に応じた電圧が印加されている。したがって、このときローパスフィルタを構成するシャントキャパシタにもある電圧が印加されている。この状態でD級アンプを構成するN型MOSトランジスタがオフ状態となると、シャントキャパシタに蓄えられた電荷が放電経路を失うために、シャントキャパシタの電圧が固定される。
D級アンプのN型MOSトランジスタを放電用トランジスタとして用いることにより、回路を簡易化することができる。
放電用トランジスタの制御端子の電圧を段階的に上昇させることにより、検出電圧が急激に低下するのを防止するとともに、徐々に放電速度を上げることにより、検出電圧を低下するのに要する時間を短縮することができる。
アナログ値の検出電圧をデジタル値に変換して信号処理を行うことにより、しきい値電圧の設定などを柔軟に行うことができる。
放電用トランジスタの制御端子の電圧の決定をデジタル信号処理によって行い、その後D/A変換して放電用トランジスタの制御端子に印加することにより、検出電圧の低下速度を柔軟に制御することができる。
検出電圧に応じて複数の放電用トランジスタのいずれをオンするかを制御することにより、検出電圧が急激に低下するのを防止するとともに、徐々に放電速度を上げることにより、検出電圧を低下するのに要する時間を短縮することができる。
初期化回路は、初期化期間の終了後オフしてもよい。
この態様によると、スピーカから出力されるノイズを低減することができる。
本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号増幅回路を使用したオーディオ出力回路の構成の一部を示す図である。本実施の形態に係るオーディオ出力回路100は、携帯型CDプレイヤなどのスピーカやイヤホンが接続されるオーディオ機器に搭載され、スピーカやイヤホンを駆動し、音声信号を出力する。
本実施の形態においては、D級アンプ20、フィルタ30、初期化回路40が信号増幅回路として機能する。
信号処理回路10は、D級アンプ20、ΔΣ変調器22、初期化回路40、および図示しないデジタル信号処理部が集積化された半導体集積回路である。デジタル信号処理部は、デジタルオーディオ信号を1ビットのオーディオ信号SIG10に変換してΔΣ変調器22へと出力する。
ΔΣ変調器22は、高次、例えば5次のΔΣ変調器であって、オーバーサンプリングされた1ビットのオーディオ信号SIG10をノイズシェーピングし、パルス幅変調された1ビットのオーディオ信号SIG12として出力する。
D級アンプ20は、ΔΣ変調器22から出力されるパルス幅変調された1ビットのオーディオ信号SIG12を増幅する。このD級アンプ20は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成され、電源電圧Vddと接地電位間に直列に接続されたN型の第1トランジスタM1およびP型の第2トランジスタM2を含むスイッチングアンプである。第1トランジスタM1、第2トランジスタM2のゲート電圧は、ゲートドライバ回路24によって制御される。
D級アンプ20により増幅された1ビットのオーディオ信号SIG14は、信号出力端子12を介して出力される。
後述するように、第1トランジスタM1は、初期化期間において放電用トランジスタとしても機能する。
このフィルタ30によって、パルス幅変調された1ビットのオーディオ信号の高周波成分が除去され、パルス幅変調のデューティ比に応じたアナログ振幅成分を有するオーディオ信号SIG16が生成される。
初期化回路40の初期化処理とは、電源投入時にオーディオ信号の再生に先立って、フィルタ30の所定の端子の電圧をモニタし、その電圧が所定のしきい値電圧よりも高いとき、放電用トランジスタとして機能する第1トランジスタM1をオンし、所定の端子の電圧を下げることを目的として実行される。
A/Dコンバータ42は、検出電圧Vdetをデジタル値Ddetに変換し、放電制御部44に出力する。
放電制御部44は、A/Dコンバータ42から出力されるデジタル値Ddetと所定のしきい値電圧Vthに対応するデジタルしきい値Dthを比較する。この比較の結果、Ddet>Dthのとき、すなわち、Vdet>Vthのときに第1トランジスタM1のゲート電圧Vg1をハイレベルとし、第1トランジスタM1をオンさせる。
通常の電源停止時においては、デジタル信号処理部からの指示にもとづきΔΣ変調器22が制御され、オーディオ信号SIG12のデューティ比を徐々に変化させて検出電圧Vdetを0Vまで緩やかに低下させる正常終了動作を経て停止される。
ところが、ユーザによってオーディオ信号の再生中に突然電源が切られると、正常終了動作が実行されないため、検出電圧Vdetが0Vに低下されずに終了する場合がある。以下、正常終了動作を経ない異常終了時の動作について説明する。
時刻T0から時刻T1の期間、ΔΣ変調器22は1ビットのパルス幅変調されたオーディオ信号SIG12を出力し、D級アンプ20はオーディオ信号SIG12を増幅してスピーカ60を駆動している。この間、検出電圧Vdetは、オーディオ信号SIG16に応じた電圧値となる。
電源がオフされると、信号処理回路10内部の各ブロックの動作が停止する。このとき、D級アンプ20に供給される電源電圧Vddも0Vとなるため、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2はオフする。
この状態において、検出電圧Vdetが現れる所定の端子に着目する。第1キャパシタC1は、時刻T1における検出電圧Vx1で充電された状態となっている。所定の端子から見て、スピーカ60側にはDCブロックキャパシタC2が接続され、第1トランジスタM1はオフしているため、第1キャパシタC1に蓄えられた電荷は放電経路を失うため、時刻T1以降の電源停止状態において、検出電圧Vdetはほぼ一定値をとり続ける。
放電制御部44は、デジタル値Ddetとデジタルしきい値Dthを比較する。時刻T2において、Vdet>Vth、すなわちDdet>Dthである。このとき、放電制御部44は、第1トランジスタM1のゲート電圧Vg1をハイレベルとし、第1トランジスタM1をオンする。
放電制御部44は、初期化処理が完了すると、図示しないデジタル信号処理部に初期化完了信号SIG20を出力する。時刻T3以降、デジタル信号処理部は、初期化完了後に、A/Dコンバータ42、放電制御部44をオフする。
もし、前回の電源停止が正常に行われていた場合、Vdet<Vthとなっているため、ただちに初期化完了信号SIG20が出力され、初期化処理が終了する。
また、信号処理回路10をフルデジタル化した場合、半導体製造プロセスとしてCMOSプロセスを選択することができ、チップサイズを小型化することができる。
図1の信号処理回路10においては、第1トランジスタM1を放電用トランジスタとして利用したが、本変形例に係る信号処理回路10では、信号処理回路10の内部に第1トランジスタM1とは別に放電用トランジスタTr1を備えている。
第1トランジスタM1と放電用トランジスタTr1を別に設けた場合、放電用トランジスタTr1のトランジスタサイズを自由に設計することができる。初期化期間における検出電圧Vdetの降下速度は、放電用トランジスタTr1に流れる電流によって決まるため、トランジスタサイズを大きくすれば短時間で初期化処理を完了することができる。ただし、検出電圧Vdetを急速に低下させた場合、急激な電圧変化がスピーカ60からノイズとして出力されてしまう。そこで放電用トランジスタTr1のトランジスタサイズは、ノイズの発生と初期化期間の長さとの兼ね合いによって決定すればよい。
第1の実施の形態では、放電用トランジスタによる放電速度が一定の場合について説明した。第2の実施の形態は、放電速度を検出電圧Vdetに応じて変化させ、より短時間で初期化期間を完了し、オーディオ信号の再生へ復帰するための回路について説明する。
初期化回路40は、第1〜第3放電用トランジスタTr1〜Tr3それぞれに対応付けられた複数のしきい値電圧Vth1〜Vth3と、検出電圧Vdetとを比較し、検出電圧Vdetが各しきい値電圧より低くなるごとに、各しきい値電圧に対応付けられた放電用トランジスタを順次オンしていく。
放電制御部44は、Vth3<Vdetのとき第1放電用トランジスタTr1をオンする。また、Vth3<Vdet<Vth1のとき、第2放電用トランジスタTr2をオンする。さらに、Vth3<Vdet<Vth2のとき、第3放電用トランジスタTr3をオンする。
時刻T2に、ユーザにより電源が再投入される。このとき、Vdet>Vth1であるため、第1放電用トランジスタTr1のゲート電圧Vg1がハイレベルとなり、第1キャパシタC1に蓄えられた電荷が第1放電用トランジスタTr1により放電される。
時刻T3に検出電圧Vdetが第1しきい値電圧Vth1より低くなると、第2放電用トランジスタTr2がオンし、検出電圧Vdetの降下速度が加速される。さらに時刻T4に検出電圧Vdetが第2しきい値電圧Vth2より低くなると、第3放電用トランジスタTr3がオンし、検出電圧Vdetの降下速度がさらに加速される。
時刻T2に電源が投入されると、放電制御部44は、Vdet>Vthのとき、所定の規則でデジタル値Dg4を増加させていく。図7は、ゲート電圧Vg4が時間とともに単調増加するようにデジタル値Dg4を制御した場合について示している。デジタル値Dg4の生成パターンはあらかじめレジスタなどに規定しておけばよい。
図8は、このときの図6のオーディオ出力回路100の動作状態を示す信号波形図である。このように、放電用トランジスタTr4のゲート電圧Vg4を検査電圧Vdetに応じて段階的に変化させることにより、ノイズの発生を抑制しつつ初期化期間を短縮することができる。
時刻T2に電源が投入されると、放電制御部44は、Vdet>Vthのとき、所定の規則でデジタル値Dg4を増加させていく。図7は、ゲート電圧Vg4が時間とともに単調増加するようにデジタル値Dg4を制御した場合について示している。デジタル値Dg4の生成パターンはあらかじめレジスタなどに規定しておけばよい。
この場合、デジタル値Ddetと、各デジタル値Ddetに対応付けられたデジタル値Dg4をテーブルとして用意しておいてもよい。たとえば、デジタル値Ddetすなわち検出電圧Vdetが高いときには、デジタル値Dg4を小さく設定し、デジタル値Ddetが低下するにつれてデジタル値Dg4が増加するようにテーブルを作成することにより、ノイズの発生を好適に抑制したオーディオ出力回路100を実現することができる。
Claims (13)
- パルス幅変調された信号を増幅するD級アンプと、
前記D級アンプから出力される信号の高周波成分を除去するフィルタと、
前記フィルタ内の所定の端子から接地電位への電流経路上に設けられた放電用トランジスタと、
前記所定の端子に現れる検出電圧と所定のしきい値電圧を比較し、所定の初期化期間において、前記検出電圧が前記しきい値電圧より高いとき、前記放電用トランジスタをオンする初期化回路と、
を備え、
前記初期化回路は、前記検出電圧を複数のしきい値電圧と比較し、前記検出電圧が各しきい値電圧より低くなるに従い、前記放電用トランジスタのオン抵抗が低下するように、その制御端子の電圧を段階的に変化させることを特徴とする信号増幅回路。 - パルス幅変調された信号を増幅するD級アンプと、
前記D級アンプから出力される信号の高周波成分を除去するフィルタと、
前記フィルタ内の所定の端子から接地電位への電流経路上に設けられた放電用トランジスタと、
前記所定の端子に現れる検出電圧と所定のしきい値電圧を比較し、所定の初期化期間において、前記検出電圧が前記しきい値電圧より高いとき、前記放電用トランジスタをオンする初期化回路と、
を備え、
前記初期化回路は、
前記検出電圧をデジタル値に変換するアナログデジタル変換器と、
前記アナログデジタル変換器から出力されるデジタル値が前記しきい値電圧に対応するデジタル値より低くなると、前記放電用トランジスタのオン抵抗が時間とともに低下するように、前記放電用トランジスタを制御する放電制御部と、
を含むことを特徴とする信号増幅回路。 - 前記放電制御部は、前記放電用トランジスタのオン抵抗を指示するデジタル値を出力し、
前記初期化回路は、
前記放電制御部から出力されるデジタル値を、アナログ値に変換し、前記放電用トランジスタの制御端子に印加するデジタルアナログ変換器をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の信号増幅回路。 - 前記放電制御部は、前記放電用トランジスタの制御端子に印加される電圧が時間とともに単調増加するように、前記放電用トランジスタのオン抵抗を指示するデジタル値を変化させることを特徴とする請求項3に記載の信号増幅回路。
- 前記放電制御部は、前記アナログデジタル変換器から出力されるデジタル値に応じて、前記放電用トランジスタのオン抵抗を指示するデジタル値を生成することを特徴とする請求項3に記載の信号増幅回路。
- 前記放電制御部は、前記アナログデジタル変換器から出力されるデジタル値が低下するに従い、前記放電用トランジスタのオン抵抗が低下するように、前記放電用トランジスタのオン抵抗を指示するデジタル値を生成することを特徴とする請求項5に記載の信号増幅回路。
- パルス幅変調された信号を増幅するD級アンプと、
前記D級アンプから出力される信号の高周波成分を除去するフィルタと、
前記フィルタ内の所定の端子から接地電位への電流経路上に、並列に設けられた複数の放電用トランジスタと、
前記所定の端子に現れる検出電圧と所定のしきい値電圧を比較し、所定の初期化期間において、前記検出電圧が前記しきい値電圧より高いとき、前記放電用トランジスタをオンする初期化回路と、
を備え、
前記初期化回路は、前記検出電圧を前記放電用トランジスタそれぞれに対応付けられた複数のしきい値電圧と比較し、前記検出電圧が各しきい値電圧より低くなるごとに、各しきい値電圧に対応付けられた放電用トランジスタを順次オンすることを特徴とする信号増幅回路。 - 前記初期化回路は、
前記検出電圧をデジタル値に変換するアナログデジタル変換器と、
前記アナログデジタル変換器から出力されるデジタル値と複数のしきい値電圧に対応するデジタル値を比較し、その比較結果にもとづき前記放電用トランジスタのオンオフを制御する放電制御部と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の信号増幅回路。 - 前記所定の初期化期間は、本信号増幅回路が搭載される電子機器の電源投入を契機として開始されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の信号増幅回路。
- 前記初期化回路は、前記初期化期間の終了後オフすることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の信号増幅回路。
- 前記パルス幅変調された信号は、オーディオ信号であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の信号増幅回路。
- 前記D級アンプは、電源電位と接地電位間に直列に接続されたP型およびN型のMOSトランジスタを含み、前記放電用トランジスタは、前記N型MOSトランジスタであることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の信号増幅回路。
- 請求項1から12のいずれかに記載の信号増幅回路と、
前記信号増幅回路により駆動されるスピーカと、
を備えることを特徴とする電子機器。
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