JP2006229891A - 信号増幅回路およびそれを用いた電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 D級アンプの後段のフィルタとしてRCフィルタを用いた信号増幅回路を提供する。
【解決手段】 オーディオ出力回路100において、D級アンプ20は、パルス幅変調された1ビットのオーディオ信号SIG12を増幅する。ローパスフィルタ30’は、D級アンプ20から出力されるオーディオ信号SIG14の高周波成分を除去し、アナログ振幅成分を有するオーディオ信号SIG16に変換する。ローパスフィルタ30’は信号の伝搬経路上に設けられた第8抵抗R8、第9抵抗R9と、第8抵抗R8、第9抵抗R9の一端と接地電位間に設けられた第3キャパシタC3、第4キャパシタC4を含む。ハイパスフィルタ40は、オーディオ信号SIG16の高周波成分を除去する。増幅器50は、ハイパスフィルタ40から出力されるオーディオ信号SIG18を増幅し、スピーカ60を駆動する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、信号増幅回路に関し、特にパルス幅変調された信号を増幅するD級アンプに関する。
近年のLSI技術の発展に伴い、CDプレイヤーやMDプレイヤー等に代表されるデジタルオーディオ機器においては、デジタル信号処理およびその増幅に1ビットDAC(Digital Analog Converter)が用いられている。この1ビットDACにおいては、音声信号は、ΔΣ変調器を用いてノイズシェーピングされ、パルス幅変調PWM(Pulse Width Modulation)された1ビットPWM信号として出力される。
この1ビットPWM信号は、負荷であるスピーカを駆動するために所定のレベルまで増幅されるが、これには、高効率が得られるD級アンプが用いられている。増幅された1ビットPWM信号は、後置ローパスフィルタを通してアナログ再生信号となり、スピーカから音声として再生される。たとえば特許文献1には、D級アンプを用いたデジタルオーディオ信号を増幅するドライバ回路が開示されている。
特開2001−223537号公報
特許文献1に示されるように、従来のこうしたドライバ回路において、後置ローパスフィルタは、インダクタとキャパシタを用いたLCフィルタで構成されるのが一般的であった。これは、D級アンプによって駆動される負荷であるスピーカのインピーダンスが2Ωから32Ω程度と非常に小さいため、オーディオ信号の伝搬経路上に抵抗を用いることが困難であったことが原因の1つとして挙げられる。
後置フィルタは20kHz〜30kHz程度のカットオフ周波数を有するように設計されるが、このようなローパスフィルタをインダクタを用いて設計する場合、大きなインダクタが必要とされ、コストが上がってしまうという問題があった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、D級アンプの後段のフィルタとしてRCフィルタを用いた信号増幅回路の提供にある。
本発明のある態様は、信号増幅回路に関する。この信号増幅回路は、パルス幅変調された信号を増幅するD級アンプと、抵抗およびキャパシタを含み、D級アンプから出力される信号の高周波成分を除去するフィルタと、フィルタから出力される信号を増幅する増幅器と、を備える。
この態様によると、D級アンプおよびフィルタにより、パルス幅変調された信号を増幅し、アナログ変換した後に、アナログ増幅器によって増幅することにより、D級アンプを構成するトランジスタのサイズを小さくすることができる。また、スピーカの前段に増幅器を備えるため、この増幅器がインピーダンス変換器として機能する。その結果、信号の伝搬経路上に抵抗を設けることができるため、LCフィルタに代えてRCフィルタを用いることができる。
フィルタは、信号の伝搬経路上に直列に設けられた抵抗と、当該抵抗の前記増幅器側の一端と接地電位間に設けられたキャパシタと、を含んでもよい。このフィルタは2段以上が直列に接続されてもよい
増幅器およびフィルタは、アクティブフィルタとして一体に構成されてもよい。
増幅器は、ディスクリートの演算増幅器であってもよい。ディスクリート部品の演算増幅器を用いることにより、設計変更などによって増幅器により駆動される負荷のインピーダンスが変更となった場合にも、演算増幅器を変更すればすむため、設計コストを低減することができる。
D級アンプの後段に、可変抵抗を含む減衰器をさらに備えてもよい。
フィルタの後段に設けられる増幅器は、インピーダンス変換器としても機能するため、最終段の負荷回路がスピーカのように低インピーダンスの場合においても、信号の伝搬経路上に直列に抵抗を設けることができ、可変抵抗を含む減衰器を設けることができる。これにより、デジタル信号での振幅調節に代えて、あるいはそれとともに、アナログ信号での振幅調節を行うことができる。
増幅器は、可変抵抗を含む可変利得増幅器であってもよい。演算増幅器の帰還抵抗あるいは入力抵抗を可変抵抗とすることにより、可変利得増幅器を構成することができ、減衰器と増幅器を別々に構成する場合に比べて回路素子数を減らすことができる。
フィルタおよび増幅器は、D級アンプが集積化される半導体チップの外部に設けられてもよい。これにより、駆動対象の負荷回路に対しそれほど大きな電力供給を行う必要が無い場合には、増幅器を外すことにより低コスト化、低消費電力化を図ることができる。
D級アンプにより増幅される信号は、オーディオ信号であってもよい。本発明は、オーディオ信号を増幅し、低インピーダンスのスピーカを駆動する回路に好適に用いることができる。
フィルタと増幅器との間に、フィルタから出力される信号の低周波成分を除去する第2フィルタをさらに備えてもよい。特にオーディオ信号を増幅するような場合、数Hzのうねり成分は不快な信号として聴覚を刺激するため、これを除去することによりより良好な音声信号を得ることができる。
第2フィルタは、直列に接続された抵抗およびコンデンサを含んでもよい。インピーダンス変換器としても機能する増幅器を設けることにより、信号の伝搬経路上に直列に抵抗を設けることができ、RCフィルタを構成することができる。
フィルタと増幅器との間に、フィルタより低い遮断周波数を有する第3フィルタをさらに備えてもよい。このフィルタにスイッチ素子を設け、オンオフによりフィルタ機能をオンオフさせることにより、低周波数帯域を強調した信号を得ることができる。
フィルタと増幅器との間に、フィルタより低い遮断周波数を有する第3フィルタをさらに備えてもよい。このフィルタにスイッチ素子を設け、オンオフによりフィルタ機能をオンオフさせることにより、低周波数帯域を強調した信号を得ることができる。
D級アンプはCMOS型インバータ回路であって、当該D級アンプを構成するMOSトランジスタのオン抵抗は、3Ωから1kΩの範囲であってもよい。
本発明の別の態様は、電子機器に関する。この電子機器は、上述の信号増幅回路と、信号増幅回路により駆動されるスピーカと、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明に係る信号増幅回路によれば、D級アンプの後段のフィルタとしてRCフィルタを用いることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号増幅回路を使用したオーディオ出力回路の構成の一部を示す図である。オーディオ出力回路100は、携帯型CDプレイヤなどのスピーカやイヤホンが接続されるオーディオ機器に搭載され、そのスピーカやイヤホンを駆動し、音声信号を出力する。
オーディオ出力回路100は、信号処理回路10、ローパスフィルタ30、ハイパスフィルタ40、増幅器50、スピーカ60を含む。
信号処理回路10は、D級アンプ20、ΔΣ変調器22と、図示しないデジタル信号処理部を含む。デジタル信号処理部は、デジタルオーディオ信号を1ビットのオーディオ信号SIG10に変換してΔΣ変調器22へと出力する。
ΔΣ変調器22は、高次、例えば5次のΔΣ変調器であって、オーバーサンプリングされた1ビットのデジタルオーディオ信号SIG10をノイズシェーピングし、パルス幅変調された1ビットのオーディオ信号SIG12として出力する。
本実施の形態において、D級アンプ20、ローパスフィルタ30、ハイパスフィルタ40、増幅器50が信号増幅回路として機能する。
D級アンプ20は、ΔΣ変調器22から出力されるパルス幅変調された1ビットのオーディオ信号SIG12を増幅する。このD級アンプ20は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタM1、M2を含むCMOSインバータ型のスイッチングアンプである。D級アンプ20により増幅された1ビットのオーディオ信号SIG14は、信号出力端子12を介して出力される。
ローパスフィルタ30は、オーディオ信号SIG14の高周波成分を除去するローパスフィルタである。ローパスフィルタ30は、信号の伝搬経路上に直列に設けられた第1インダクタL1と、第1インダクタL1の一端と接地電位間に設けられた第1キャパシタC1とを含む。第1インダクタL1および第1キャパシタC1の回路定数は、ローパスフィルタ30のカットオフ周波数fcに応じて決定される。このカットオフ周波数fcは、オーディオ帯域である20kHz以上の値、たとえば30kHz程度に設定される。
このローパスフィルタ30によって、パルス幅変調された1ビットのオーディオ信号の高周波成分が除去され、パルス幅変調のデューティ比に応じたアナログ振幅成分を有するオーディオ信号SIG16が生成される。
ローパスフィルタ30から出力されるオーディオ信号SIG16は、ハイパスフィルタ40に入力される。ハイパスフィルタ40は、オーディオ信号SIG16の低周波成分を除去する。このハイパスフィルタ40は、直列に接続された第2キャパシタC2および第1抵抗R1を含む。このハイパスフィルタ40により、アナログ振幅成分を有するオーディオ信号SIG16の数Hzの低周波成分が除去される。
第2キャパシタC2は後段の回路ブロックに対するDCブロック素子として機能し、また抵抗R1は、後段の増幅器50の入力保護素子としても機能している。ハイパスフィルタ40の出力信号は増幅器50へ入力される。
増幅器50は、ハイパスフィルタ40から出力されるオーディオ信号SIG18を増幅し、スピーカ60を駆動する。増幅器50は、演算増幅器52、第2抵抗R2、第3抵抗R3を含み、アナログ非反転増幅器を構成する。演算増幅器52の非反転入力端子にはハイパスフィルタ40から出力されるオーディオ信号SIG18が入力される。また演算増幅器52の反転入力端子には、演算増幅器52の出力電圧が第2抵抗R2、第3抵抗R3により分圧されて帰還入力される。このように構成された増幅器50の利得は、(R2+R3)/R2で与えられる。
増幅器50の利得は、スピーカ60から出力される音量や、ローパスフィルタ30から出力されるオーディオ信号SIG16の振幅に応じて決定される。スピーカ60から大出力を得たい場合には、増幅器50の利得を高く設定する。また、小出力でよい場合には低く設定すればよい。
増幅器50の出力端子は、スピーカ60と接続される。スピーカ60のインピーダンスRLは、2Ωから32Ω程度と低いため、演算増幅器52としては、十分な駆動能力を有する演算増幅器を用いる。演算増幅器52には、安価なディスクリート部品を用いることができる。この増幅器50の動作級としては、A級またはAB級を選択することが望ましく、スピーカ60から出力されるオーディオ信号の音質を優先する場合にはA級を、消費電力の低減を図りたい場合には、AB級を選択してもよい。
以上のように構成されたオーディオ出力回路100の動作および効果について説明する。パルス幅変調されたオーディオ信号SIG12は、D級アンプ20により増幅され、ローパスフィルタ30によりアナログ振幅成分を有するオーディオ信号に変換され、増幅器50により増幅される。
本実施の形態に係るオーディオ出力回路100によれば、D級アンプ20およびローパスフィルタ30の後段に、アナログ信号増幅用の増幅器50を設けることにより、D級アンプ20を構成するトランジスタサイズを小さくすることができる。トランジスタサイズが小さくなれば、信号処理回路10のチップサイズの小型化が可能となり、コストを下げることができる。
D級アンプ20とアナログ信号増幅用の増幅器50を組み合わせることにより、回路規模の大きなD/Aコンバータが不要となるD級アンプの利点を生かしつつ、さらにD級アンプ20のトランジスタサイズを抑えることができる。
さらに、増幅器50として安価なディスクリートの演算増幅器を選ぶことにより、オーディオ出力回路100全体のコストを下げることが可能となる。
また、従来のように、オーディオ信号の増幅をスイッチングアンプであるD級アンプのみで行った場合、スイッチングノイズが大きくなるため、EMIが増加するという問題が発生する。一方、本実施の形態に係るオーディオ出力回路100においては、最終段の増幅をアナログアンプで行うために、D級アンプ20で発生するスイッチングノイズを抑えることができ、他の回路ブロックへの影響を低減することができるとともに、セット設計時におけるレイアウトの自由度を向上することができる。
また、増幅器50を設けず、D級アンプ20、ローパスフィルタ30の出力をスピーカ60に出力する場合においては、増幅器50によってスピーカ60の低インピーダンス負荷RLを駆動する必要があるため、信号経路上に直列に抵抗成分を入れることができないという問題があった。本実施の形態に係るオーディオ出力回路100では、増幅器50によりインピーダンス変換を行っているため、直列に抵抗を接続することが可能となっている。その結果、DCブロック用に設けられた第2キャパシタC2と直列に第1抵抗R1を設けることができ、ハイパスフィルタ40を設けることができるという効果も得られる。
なお、このハイパスフィルタ40は、低周波成分を除去せずとも十分な音質が得られる場合には省略してもよく、あるいは第2キャパシタC2のみの構成としてもよい。この場合、回路素子数を減らすことができるため、低コスト、省面積化を図ることができる。
本実施の形態に係るオーディオ出力回路100の変形例として、増幅器50は、第2抵抗R2を取り外し、第3抵抗R3を配線に置換した全帰還型のボルテージフォロア回路としてもよい。この場合であっても、増幅器50は、インピーダンス変換器として機能するため、D級アンプ20の能力を落とした場合においても、増幅器50を介して低インピーダンス負荷を良好に駆動することができる。
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態に係るオーディオ出力回路100の構成を示す回路図である。以降の図において、図1と同一または同等の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
オーディオ出力回路100において、ボリューム調節は、ΔΣ変調器22から出力されるパルス幅変調された1ビットのオーディオ信号SIG12のデューティ比を変化させることによっても制御可能であるが、本オーディオ出力回路100を搭載するセットの設計者が信号処理回路10の外部において音量調整機能の実装を望む場合があった。本実施の形態に係るオーディオ出力回路100では、第1の実施の形態のオーディオ出力回路100に信号処理回路10の外部での音量調節機能を設けたものである。
本実施の形態に係るオーディオ出力回路100の音量調節機能は、ハイパスフィルタ40と増幅器50の間に設けられた可変アテネータ70により行われる。可変アテネータ70は、信号経路上に設けられた第4抵抗R4および第4抵抗R4の一端と接地電位間に設けられた第5抵抗R5を含む。第4抵抗R4は、可変抵抗であり、音量を指示するボリューム信号VOLにもとづいてその抵抗値が変化するように構成される。ボリューム信号VOLは、オーディオ出力回路100の外部のマイコンなどから与えられる。また、可変アテネータ70には、機械式の手動アテネータを用いてもよい。
たとえば、こうした可変抵抗は、複数段直列に接続された抵抗群と、各抵抗に並列に接続されたMOSトランジスタにより構成することができる。この可変抵抗の抵抗値は、ボリューム信号VOLに応じて各MOSトランジスタをオン、オフを制御することにより制御することができる。
可変アテネータ70は、ハイパスフィルタ40から出力されるオーディオ信号SIG18を減衰させ、オーディオ信号SIG18’を増幅器50へと出力する。可変アテネータ70の減衰率は、SIG18’/SIG18=R5/(R4+R5)で与えられ、第5抵抗R5の抵抗値を変化させることにより、オーディオ信号SIG18’のアナログ振幅成分を変化させることができる。
本実施の形態に係るオーディオ出力回路100によれば、ボリューム信号VOLに応じて可変アテネータ70の減衰率を変化させることにより、増幅器50に入力されるオーディオ信号SIG18’の振幅を制御できるため、スピーカ60から出力される音量を調節することができる。
従来のように、増幅器50を設けずにD級アンプ20によりスピーカ60を直接駆動する場合には、可変アテネータ70のように直列の抵抗を有する回路構成はとれなかったが、本実施の形態のように、増幅器50によりインピーダンス変換を行うことにより直列の抵抗成分の挿入が可能となる。その結果、信号処理回路10の外部において可変アテネータ70を用いたアナログ振幅の制御による音量調節が可能となる。
なお、可変アテネータ70において、第4抵抗R4に代えて、第5抵抗R5の抵抗値を可変としてもよいし、第4抵抗R4、第5抵抗R5の両方を可変抵抗としてもよい。また、可変アテネータ70の位置は、ハイパスフィルタ40などと前後してもよい。
図3は、図2のオーディオ出力回路100の変形例を示す図である。このオーディオ出力回路100は、図2の増幅器50と可変アテネータ70に代えて、可変利得増幅器80を備える。
可変利得増幅器80は、演算増幅器52と、第6抵抗R6、第7抵抗R7を備え、アナログ非反転増幅器を構成する。演算増幅器52の非反転入力端子にはハイパスフィルタ40から出力されるオーディオ信号SIG18が入力される。また演算増幅器52の反転入力端子には、演算増幅器52の出力電圧が第6抵抗R6、第7抵抗R7により分圧されて帰還入力される。このように構成された非反転増幅器の利得は、(R6+R7)/R6で与えられる。第7抵抗R7は、図2の第4抵抗R4と同様に可変抵抗でありボリューム信号VOLに応じてその抵抗値が変化する。
図3のオーディオ出力回路100によれば、増幅器50、可変アテネータ70を一体に構成し、可変利得増幅器80とすることにより、抵抗を共通化することができるため、素子数を減らすことができ、省面積化、低コスト化を図ることができる。
(第3の実施の形態)
第1、第2の実施の形態で説明したように、D級アンプ20の後段にアナログの増幅器50を設けることにより、D級アンプ20から負荷であるスピーカ60側を見たインピーダンスを高くすることができる。その結果、負荷であるスピーカ60とD級アンプ20との間に直列に抵抗成分が入っていても、駆動能力に影響しないという効果が得られる。
そこで、第3の実施の形態においては、第1、第2の実施の形態においてはインダクタを用いて構成していたローパスフィルタを、RCフィルタによりローパスフィルタ30を構成する。
図4は、第3の実施の形態に係るオーディオ出力回路100の構成を示す回路図である。本実施の形態に係るオーディオ出力回路100のローパスフィルタ30’は2次のローパスフィルタである。このローパスフィルタ30’は、信号の伝搬経路上に直列に接続された第8抵抗R8、第9抵抗R9およびこれらの抵抗の一端と接地電位間に設けられた第3キャパシタC3、第4キャパシタC4を含む。
インダクタは抵抗に比べて高価であるため、本実施の形態に係るオーディオ出力回路100は、ローパスフィルタにインダクタを使用した場合に比べて低コスト化を図ることができる。また、インダクタを使用する際には、定格電流などの要求が抵抗に比べて厳しいという問題があるが、本実施の形態に係るオーディオ出力回路100では抵抗を用いることによりより自由度の高い設計を行うことができる。
図5は、図4に示したオーディオ出力回路100の変形例を示す図である。図5のオーディオ出力回路100は、図4のローパスフィルタ30’および増幅器50に代えて、アクティブフィルタ90を備える。
アクティブフィルタ90は、演算増幅器52、第10抵抗R10、第11抵抗R11、第12抵抗R12、第13抵抗R13、第5キャパシタC5、第6キャパシタC6を含む2次のローパスフィルタとして機能する。
この変形例によれば、アクティブフィルタ90の各回路定数を調節することにより、フィルタのカットオフ周波数、Q値、直流増幅率などをパッシブフィルタに比べて高い自由度で設計することができる。また、このアクティブフィルタ90にはインダクタを用いていないため、安価に構成することができる。
さらに、低周波成分を除去するために、帯域阻止フィルタとしてもよい。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、低音を増幅するバスブースト機能を備えたオーディオ出力回路100に関する。CDプレイヤなどのオーディオ機器においては、重低音を持ち上げることにより、重量感のある音声を出力する機能を備えるものがある。本実施の形態は、こうしたオーディオ機器に好適に用いることができる。
図6は、第4の実施の形態に係るオーディオ出力回路100の構成を示す回路図である。図6のオーディオ出力回路100は、ローパスフィルタ30とハイパスフィルタ40の間に低域増幅回路92を備える。
低域増幅回路92は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2によりオンオフが制御可能な低域増幅回路である。低域増幅回路92は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第14抵抗R14〜第16抵抗R16、第7キャパシタC7を含む。第14抵抗R14は、ローパスフィルタ30、ハイパスフィルタ40の間に直列に接続される。第15抵抗R15および第1スイッチSW1は、第14抵抗R14の一端と接地電位間に直列に接続されている。また、第2スイッチSW2、第7キャパシタC7、第16抵抗R16は、第14抵抗R14の一端と接地電位間に直列に接続されている。
この低域増幅回路92のカットオフ周波数は、ローパスフィルタ30のカットオフ周波数より低い値、たとえば、100Hz程度に設定される。
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2は、外部から与えられる信号BASSによってオンオフが制御される。信号BASSにより第1スイッチSW1、第2スイッチSW2がオフされると、低域増幅回路92は信号の伝搬経路と切り離されるため、オーディオ信号SIG16には作用しない。
信号BASSによって第1スイッチSW1、第2スイッチSW2がオンすると、低域成分を増幅させた周波数特性を得ることができる。
本実施の形態によれば、スイッチのオンオフで動作の有無が制御されるアナログフィルタを用いることにより、デジタルオーディオ信号の周波数特性を変化させる場合に必要なデジタルフィルタが不要となる。また回路定数の変更によって低周波数成分の調節の程度を自由に変えることができる。
この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態においては、ローパスフィルタ30、ハイパスフィルタ40、増幅器50等が信号処理回路10の外部にチップ部品、ディスクリート素子を用いて形成される場合について説明したが、一体集積化することを除外するものではない。ローパスフィルタ30やハイパスフィルタ40、増幅器50はその一部あるいは全体が信号処理回路10と一体集積化されてもよい。
実施の形態に係るオーディオ出力回路100が搭載される電子機器としては、実施の形態で説明したCDプレイヤの他、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistance)、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなど、オーディオ信号の出力手段を備える装置に広く用いることができる。
また、実施の形態においては、オーディオ信号を増幅するオーディオ出力回路100の場合について説明したがこれに限定されるものではなく、例えば、映像信号、通信信号などを増幅するD級アンプを用いた回路にも広く適用することができる。
第1の実施の形態に係る信号増幅回路を使用したオーディオ出力回路の構成の一部を示す図である。 第2の実施の形態に係るオーディオ出力回路の構成を示す回路図である。 図2のオーディオ出力回路の変形例を示す図である。 第3の実施の形態に係るオーディオ出力回路の構成を示す回路図である。 図4に示したオーディオ出力回路の変形例を示す図である。 第4の実施の形態に係るオーディオ出力回路の構成を示す図である。
符号の説明
10 信号処理回路、 12 信号出力端子、 20 D級アンプ、 22 ΔΣ変調器、 50 増幅器、 ローパスフィルタ30、 ハイパスフィルタ40、 52 演算増幅器、 60 スピーカ、 80 可変利得増幅器。

Claims (12)

  1. パルス幅変調された信号を増幅するD級アンプと、
    抵抗およびキャパシタを含み、前記D級アンプから出力される信号の高周波成分を除去するフィルタと、
    前記フィルタから出力される信号を増幅する増幅器と、
    を備えることを特徴とする信号増幅回路。
  2. 前記フィルタは、信号の伝搬経路上に直列に設けられた抵抗と、
    前記抵抗の前記増幅器側の一端と接地電位間に設けられたキャパシタと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  3. 前記フィルタを複数段直列に備えることを特徴とする請求項2に記載の信号増幅回路。
  4. 前記増幅器および前記フィルタは、アクティブフィルタとして一体に構成されることを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  5. 前記増幅器は、ディスクリートの演算増幅器であることを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  6. 前記D級アンプの後段に、可変抵抗を含む減衰器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  7. 前記増幅器は、可変抵抗を含む可変利得増幅器であることを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  8. 前記フィルタおよび前記増幅器は、前記D級アンプが集積化される半導体チップの外部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  9. 前記D級アンプにより増幅される信号は、オーディオ信号であることを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  10. 前記フィルタと前記増幅器との間に、前記フィルタから出力される信号の低周波成分を除去する第2フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の信号増幅回路。
  11. 前記第2フィルタは、直列に接続された抵抗およびコンデンサを含むことを特徴とする請求項10に記載の信号増幅回路。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の信号増幅回路と、
    前記信号増幅回路により駆動されるスピーカと、
    を備えることを特徴とする電子機器。
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