JP4798413B2 - 水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートとその製造とその用途 - Google Patents

水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートとその製造とその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
発明は、電子線や紫外線等の活性エネルギー線の照射によって硬化し、即ち、光硬化性であり、又は常温で、若しくは加熱によって硬化する水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートとその製造方法、そのような水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートを含む水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物に関する。
【0002】
本発明による水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートとこれを含む水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物は、紙用コーティング剤組成物、金属や木工用塗料組成物、印刷インキ、筆記具用インキ、インクジェットインク等、種々のインキ組成物、接着剤、レジスト等の種々の産業分野において有用である。
【0003】
【従来の技術】
近年、種々の産業分野において、有機溶剤や洗浄剤が大気中に放出されることによって、地球規模の大気汚染が進み、生物への有害な影響が懸念されている。そのため、従来、塗料、インキ、接着剤等の溶剤型の製品において、それらに用いられている樹脂を水性化する試みがなされている。
【0004】
一般に、樹脂を水性化するための方法として、従来、乳化剤を用いて乳化する方法が広く知られている。しかし、この方法によれば、場合によっては、得られる乳化液の安定性が十分でなく、例えば、保管中に樹脂分の沈殿が生じたり、また、塗膜にした際に乳化剤がブリードすることがある等の問題がある。
【0005】
そこで、このように、乳化による樹脂の水性化の問題を解決するために、樹脂自体に親水性基を導入して、水性化する試みがなされている。このような親水基を導入して、水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートを製造する方法としては、例えば、特開平5−140251号公報に記載されているように、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて、酸ペンダント型エポキシ(メタ)アクリレートとし、そのカルボキシル基の一部を有機アミン又はアンモニア水で中和して、第4級アンモニウム塩を生成させる方法や、特開平8−3275号公報に記載されているように、多価カルボン酸と特定の構造を有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を特定の割合で反応させる方法等が知られている。
【0006】
しかしながら、前者の方法では、樹脂のカルボキシル基に第4級アンモニウム塩がイオン性で結合しているので、そのような樹脂の水溶液は、環境のpHの影響を受けやすく、更に、アミン成分の揮発や、それに伴って、臭気が生じるおそれがあり、従って、使用できる環境や条件が限定されるという問題がある。他方、後者の方法では、アミン類の揮発の問題は回避されているものの、使用できるエポキシ化合物の構造が限定されているために汎用性がなく、また、イオン性を付与せずに水溶性を発現させるために、分子鎖中にオキシエチレン鎖の導入が不可欠となり、このようなオキシエチレン基を過剰に導入すれば、製品のある種の性能、例えば、耐水性を劣化させるおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、従来の水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートの製造における上述したような問題を解決するために鋭意研究した結果、ポリグリシジルエーテル化合物に(メタ)アクリル酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレートを得るに際して、上記ポリグリシジルエーテル化合物として、その全塩素含有量が2.0重量%以下のものを用いることによって、分子中にイオン性を導入することなく、また、過剰にオキシエチレン鎖を導入することなく、しかも、用いるポリグリシジルエーテル化合物に特別な構造が必要とされることなく、水に完全に溶解するエポキシ(メタ)アクリレートを得ることができ、このような水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートが種々の用途におけるコーティング剤その他として有用であることを見出して本発明を完成したものである。
【0008】
従って、本発明は、種々の用途において有用である水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートとその製造方法とその用途、特に、種々の用途において水性コーティング剤粘着性その他として有用である水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリヒドロキシ化合物(A)にエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)に(メタ)アクリル酸を反応させて、硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を製造するに際して、その全塩素含量が2.0重量%以下であるポリグリシジルエーテル化合物(B)を用いることを特徴とする水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)の製造方法が提供される。
【0010】
特に、本発明によれば、好ましくは、上記ポリヒドロキシ化合物(A)は、一般式(I)
【0011】
【化7】
Figure 0004798413
【0012】
(式中、Rは炭素数2〜10のn価の脂肪族炭化水素基を示し、nは2〜6の整数である。)
で表される多価アルコール(A1)、一般式(II)
【0013】
【化8】
Figure 0004798413
【0014】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは2〜4の整数である。)
で表されるポリアルキレングリコール(A2)、又は一般式(III)
【0015】
【化9】
Figure 0004798413
【0016】
(式中、nは0〜5の整数である。)
で表されるポリグリセリン(A3)である。
【0017】
また、本発明によれば、上記ポリヒドロキシ化合物(A)の水酸基にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる少なくとも1種をポリヒドロキシ化合物(A)1モルに対して6モル以下の割合で付加してなるアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)に(メタ)アクリル酸を反応させて、硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を製造するに際して、その全塩素含量が2.0重量%以下である上記ポリグリシジルエーテル化合物(B)を用いることを特徴とする水溶性硬化性ポキシ(メタ)アクリレート(C)の製造方法が提供される。
【0018】
更に、本発明によれば、上述した方法によって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を含む水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)、好ましくは、水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)と共に光重合開始剤(G)を含む水性光硬化性塗料組成物やインキ組成物が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明においては、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸といい、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートということとする。
【0020】
本発明によれば、ポリヒドロキシ化合物(A)とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)に(メタ)アクリル酸を反応させて、多官能性である硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を製造するに際して、上記ポリグリシジルエーテル化合物(B)として、その全塩素含量が2.0重量%以下であるものを用いる。
【0021】
本発明において、上記ポリヒドロキシ化合物(A)は、好ましくは、一般式(I)
【0022】
【化10】
Figure 0004798413
【0023】
(式中、Rは炭素数2〜10のn価の脂肪族炭化水素基を示し、nは2〜6の整数である。)
で表される多価アルコール(A1)であるか、一般式(II)
【0024】
【化11】
Figure 0004798413
【0025】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは2〜4の整数である。)
で表されるポリアルキレングリコール(A2)であるか、又は一般式(III)
【0026】
【化12】
Figure 0004798413
【0027】
(式中、nは0〜5の整数である。)
で表されるポリグリセリン(A3)である。
【0028】
上記一般式(I)で表される多価アルコール(A1)の好ましい具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン及びペンタエリスリトールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0029】
上記一般式(II)で表されるポリアルキレングリコール(A2)の好ましい具体例としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0030】
また、上記一般式(III)で表されるポリグリセリン(A3)の好ましい具体例として、例えば、ジグリセリン(n=0)や、nが0〜5のポリグリセリンを挙げることができる。
【0031】
本発明において用いるポリグリシジルエーテル化合物(B)は、このようなポリヒドロキシ化合物(A)にエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。
【0032】
また、本発明によれば、ポリグリシジルエーテル化合物(B)として、上述したポリヒドロキシ化合物(A)の水酸基にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる少なくとも1種をポリヒドロキシ化合物(A)1モルに対して100モル以下の割合で付加してなるアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)も好ましく用いられる。
【0033】
特に、本発明によれば、ポリヒドロキシ化合物(A)の水酸基にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる少なくとも1種、好ましくは、エチレンオキシドをポリヒドロキシ化合物(A)1モルに対して10〜100モル、好ましくは、20〜100モルの割合で付加してなるアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)とエピクロルヒドリンを反応させて、ポリグリシジルエーテル化合物(B)を得、これを(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートは、そのポリオキシアルキレン基によって高い水溶性を有することは勿論、硬化後、水に接触して膨潤する性質を有する塗膜を形成する。このように高い水溶性に加えて、別の特性を有する塗膜も、その特性を利用して、種々の分野において用いることができる。
【0034】
他方、本発明によれば、ポリヒドロキシ化合物(A)の水酸基にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる少なくとも1種、好ましくは、エチレンオキシドをポリヒドロキシ化合物(A)1モルに対して1〜50モル、好ましくは、2〜10モルの割合で付加してなるアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)とエピクロルヒドリンを反応させて、ポリグリシジルエーテル化合物(B)を得、これを(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる硬化性エポキシ(メタ)アクリレートは、そのポリオキシアルキレン基によって、このようなポリオキシアルキレン基をもたない硬化性エポキシ(メタ)アクリレートに比べて、著しく高い水溶性を有する。
【0035】
上記アルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)のうち、例えば、ポリヒドロキシ化合物(A)の水酸基にエチレンオキシドをポリヒドロキシ化合物(A)1モルに対して1〜10モルの割合で付加してなるアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)の好ましい具体例としては、例えば、グリセリンへのエチレンオキシド2〜4モル付加物や、トリメチロールプロパンへのエチレンオキシド3〜5モル付加物、ペンタエリスリトールへのエチレンオキシド4〜6モル付加物等を挙げることができる。
【0036】
本発明によれば、上述した種々のポリヒドロキシ化合物(A)やアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)は、それぞれ単独で、又はそれらの任意の2種以上の混合物として用いられる。
【0037】
しかし、本発明によれば、上述した種々のポリヒドロキシ化合物(A)やアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)のなかでも、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンへのエチレンオキシド3モル付加物等が好ましく用いられる。
【0038】
本発明によれば、このようなポリグリシジルエーテル化合物(B)に(メタ)アクリル酸を反応させて、多官能性の硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を得るに際して、前述したように、上記ポリグリシジルエーテル化合物(B)として、その全塩素含量が2.0重量%以下、好ましくは、全塩素含量が1.0重量%以下であるものを用いることが必要である。
【0039】
一般に、ポリグリシジルエーテル化合物は、例えば、ポリヒドロキシ化合物にエピクロロヒドリンと水酸化ナトリウムのようなアルカリを反応させることによって得ることができるが、この際に、塩素を含む副生物が生成することが知られている。ポリヒドロキシ化合物として、エチレングリコールを用いる場合を例にとって説明すれば、エチレングリコールにエピクロロヒドリンと水酸化ナトリウムを反応させることによって、下に示すように、目的とするエチレングリコールジグリシジルエーテル(1)と共に、これに過剰にエピクロロヒドリンが付加した副生物(2)や(3)が生成する。かくして、目的物、従って、多くの市販品には、通常、このような副生物が多少とも含まれており、これらの副生物の存在量がエチレングリコールジグリシジルエーテルの全塩素含量と相関していることが知られている。
【0040】
【化13】
Figure 0004798413
【0041】
このように、本発明によれば、全塩素含量が2.0重量%以下、好ましくは、1.0重量%以下であるポリグリシジルエーテル化合物(B)を用いることによって、分子中にイオン性を導入することなく、また、過剰にオキシエチレン鎖を導入することなく、しかも、用いるポリグリシジルエーテル化合物に特別な構造が必要とされることなく、水に完全に溶解するエポキシ(メタ)アクリレート(C)を得ることができる。ここに、「水に完全に溶解する」とは、エポキシ(メタ)アクリレートと蒸留水とをエポキシ(メタ)アクリレート/蒸留水の重量比が10/90、50/50又は90/10となる割合で室温(25℃)で攪拌混合した後、静置したとき、いずれの場合においても、エポキシ(メタ)アクリレートが水に溶解して、透明で均一な水溶液を与えることをいう。
【0042】
本発明によれば、このように、全塩素含量が2.0重量%以下、好ましくは、1.0重量%以下であるポリグリシジルエーテル化合物(B)として、市販品を入手することができる。また、必要に応じて、上述したポリヒドロキシ化合物(A)とエピクロロヒドリンとを反応させて、付加物を反応生成物として得た後、この反応生成物に水酸化ナトリウムを作用させるによって得ることができる。
【0043】
即ち、先ず、前段の工程として、必要に応じて、反応溶剤(例えば、芳香族炭化水素溶剤)の存在下に、エピクロロヒドリン/水酸基モル比が0.5〜2.0、好ましくは、0.7〜1.2の範囲にて前記ポリヒドロキシ化合物(A)とエピクロロヒドリンとを反応させる。上記エピクロロヒドリン/水酸基モル比が0.5よりも小さいときは、得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)の一分子当りのエポキシ官能基数が小さくなり、最終的に得られるエポキシ(メタ)アクリレートの性能低下につながる。他方、上記エピクロロヒドリン/水酸基モル比が2.0よりも大きいときは、得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)の全塩素量が高くなり、本発明において用いることができない。
【0044】
ポリヒドロキシ化合物(A)とエピクロロヒドリンとの反応の終点は、例えば、反応混合物の滴定によって、エポキシ基の消失を確認すればよい。このようにして、ポリヒドロキシ化合物(A)とエピクロロヒドリンとの反応生成物を得た後、後段の工程として、この反応生成物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、脱塩化水素反応を行なわせた後、得られた反応混合物を水洗して、生成した塩化ナトリウムを除去し、反応溶剤を用いた場合には、これを減圧下での留去等の手段にて除去することにより、目的とするポリグリシジルエーテル化合物(B)を得ることができる。反応の終点は、例えば、反応混合物の滴定によって、エポキシ基の生成を確認すればよい。
【0045】
水酸化ナトリウムは、水酸化ナトリウム/ポリヒドロキシ化合物(A)の水酸基モル比が0.5〜2.0、好ましくは、0.7〜1.2の範囲となるように用いる。上記水酸化ナトリウム/水酸基モル比が0.5よも小さいときは、得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)の一分子当りのエポキシ官能基数が小さくなり、最終的に得られるエポキシ(メタ)アクリレートの性能低下につながる。他方、上記水酸化ナトリウム/水酸基モル比が2.0よりも大きいときは、反応中にエポキシ基の重合に基づくゲル化が起こりやすく、好ましくない。
【0046】
前段及び後段の工程において、いずれの反応も、反応温度は、通常、50〜100℃の範囲であり、好ましくは、60〜80℃の範囲である。反応温度が50℃よりも低いときは、反応が進行し難く、他方、反応温度が100℃よりも高いときは、反応混合物がゲル化するおそれがある。
【0047】
本発明によれば、上述したようなポリグリシジルエーテル化合物(B)に対して、カルボキシル基/エポキシ基(モル比)が90/100から110/100の範囲にて、(メタ)アクリル酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート(C)を得るのが好ましい。カルボキシル基/エポキシ基(モル比)が90/100よりも小さいときは、得られる最終製品であるエポキシ(メタ)アクリレートに未反応エポキシ基が多く残存し、安定性に劣る。反対に、カルボキシル基/エポキシ基(モル比)が110/100よりも大きいときは、最終製品中に未反応(メタ)アクリル酸が多く残存するので、エポキシ(メタ)アクリレート又はこれを含む感光性組成物をコーティングし、硬化させて塗膜とするとき、その塗膜が種々の物性において劣ることとなる。
【0048】
次に、本発明によるエポキシ(メタ)アクリレートの製造について、より詳細に説明する。
【0049】
ポリグリシジルエーテル化合物(B)と(メタ)アクリル酸との反応は、好ましくは、触媒の存在下、必要に応じて、反応溶媒や(メタ)アクリル酸のラジカル重合を抑制するための重合防止剤の存在下、ポリグリシジルエーテル化合物(B)と(メタ)アクリル酸とを所定時間加熱することによって行なわれる。
【0050】
上記触媒としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の第3級アミン、ジメチルアミン塩酸塩等の第1級アミンや第2級アミン、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン等の含リン化合物等が用いられる。
【0051】
上記反応溶媒としては、例えば、水のほか、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類やトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が用いられる。また、上記重合防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等が用いられる。
【0052】
ポリグリシジルエーテル化合物(B)と(メタ)アクリル酸との反応温度は、60〜140℃の範囲の温度が好ましい。反応温度が60℃に満たない場合は、反応が遅く、140℃を越える場合は、反応系が不安定になったり、不純物が生成したり、ゲル化したりすることがあるので好ましくない。
【0053】
上記ポリグリシジルエーテル化合物(B)と(メタ)アクリル酸との反応の終点は、例えば、反応混合物の酸価を測定することによって行なわれる。通常、反応混合物の酸価が2mgKOH/g以下になった時点で、反応混合物を冷却すれば、本発明による水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートを粘稠な液体として得ることができる。反応に際して、反応溶剤を用いた場合には、得られたエポキシ(メタ)アクリレートの用途によっては、その反応溶剤を含むまま、製品とすることができ、また、必要ならば、適宜の手段によって、その反応溶剤を除去すれば、同様に、本発明による水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートを粘稠な液体として得ることができる。
【0054】
本発明による硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)は、このようにして得られるエポキシ(メタ)アクリレート(C)を必須成分として含むものであり、通常、エポキシ(メタ)アクリレート(C)と光重合開始剤(G)とからなる水性組成物である。しかし、実用上、本発明による硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)は、このようにして得られるエポキシ(メタ)アクリレート(C)と水性溶剤(E)と光重合性モノマー(F)と光重合開始剤(G)とからなる水性組成物とすることが好ましい。
【0055】
本発明において、水性溶剤(E)は、水か、又は水と水溶性有機溶剤との混合物溶剤(即ち、水溶性有機溶剤の水溶液)であり、上記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の低級脂肪族アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールの炭素数1〜4のモノアルキルエーテルを挙げることができる。
【0056】
光重合性モノマー(F)としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく用いられる。多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、グリセロールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0057】
重合開始剤(G)としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、クロロアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類、2−クロロチオキサントン、2,2−ジエチルチオキサントン等のキサントン類、クロロアントラキノン、エチルアントラキノン等のアントラキノン類、ジメチルベンジルケタール等のケタール類を挙げることができる。
【0058】
本発明による水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)は、好ましくは、上述した水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)100重量部に対して、上記水性溶剤(E)10〜1000重量部、好ましくは、50〜500重量部、光重合性モノマー(F)0〜100重量部、好ましくは、10〜60重量部、光重合開始剤(G)1〜20重量部、好ましくは、1〜10重量部とからなる。
【0059】
更に、本発明によれば、上記水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)に適宜の着色剤(J)を配合することによって、水性硬化性塗料組成物や水性硬化性インキ組成物とすることができる。上記着色剤(J)は、限定されるものではないが、上記用途においては、エポキシ(メタ)アクリレート(C)100重量部に対して、通常、5〜200重量部、好ましくは、10〜100重量部の範囲で用いられる。
【0060】
上記着色剤は、水性硬化性組成物の用途や要求特性に応じて、既に知られているものから適宜に選んで用いればよく、顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化鉄、金属顔料等を含む無機顔料や、種々のアゾ顔料やフタロシアニン類等を含む有機顔料挙げることができる。また、染料としては、例えば、種々の直接染料、酸性染料、カチオン染料等を挙げることができる。
【0061】
また、本発明による水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)は、接着剤としても有用である。しかし、本発明による水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)及びその組成物(H)は、その用途において、特に、限定されるものではない。
【0062】
【実施例】
以下に実施例と共に比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。また、得られた水溶性エポキシ(メタ)アクリレートとそれを含む水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物の特性は、以下の方法により評価した。
【0063】
(エポキシ(メタ)アクリレートの特性の評価)
(1)水溶性
粘稠な液体である水溶性エポキシ(メタ)アクリレートと蒸留水をエポキシ(メタ)アクリレート/蒸留水の重量比が10/90、50/50又は90/10となる割合でそれぞれ室温で攪拌混合した後、静置し、目視にて水への溶解性を調べた。結果を表1に示す。表1において、○は溶解する、△は濁る、×は2層に分離する、を示す。
【0064】
(2)光硬化性(密着性)
粘稠な液体である水溶性エポキシ(メタ)アクリレート100重量部に光開始剤「イルガキュア」(チバガイギー製)2重量部の割合で加えて、混合した。得られた混合物を鋼板上に膜厚10μmで塗布し、80W/cm集光型高圧水銀灯を使用して、コンベア速度10m/分の条件で、水銀灯を繰返し通過させることにより硬化させた。このようにして形成された硬化塗膜に1mm間隔で碁盤目状の切込みを入れ、JIS K−5400に従って、クロスカットセロテープ剥離試験を行なった。
【0065】
表1において、○は100/100、△は20〜99/100、×は0〜19/100を示す。
【0066】
(水性組成物の特性の評価)
(1)光硬化性(密着性)
粘稠な液体であるエポキシ(メタ)アクリレート50重量部、水30重量部、エチレングリコールジアクリレート20重量部及び光開始剤「イルガキュア」2重量部からなる水性組成物を調製した。この組成物をバーコーターを用いて鋼板上に膜厚10μmにてコーティングした後、80W/cm集光型高圧水銀灯を使用して、コンベア速度10m/分の条件で、水銀灯を繰返し通過させることにより硬化させた。このようにして形成された硬化塗膜に1mm間隔で碁盤目状の切込みを入れ、JIS K−5400に従って、クロスカットセロテープ剥離試験を行なった。
【0067】
表1において、○は100/100、△は20〜99/100、×は0〜19/100を示す。
【0068】
実施例1
攪拌機と温度計を備えた反応器にエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量113WPE、全塩素含量0.6重量%、デナコールEX−810、ナガセ化成工業(株)製)250.0g、アクリル酸159.3g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0069】
実施例2
攪拌機と温度計を備えた反応器にエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量114WPE、全塩素含量1.3重量%)250.0g、アクリル酸157.9g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0070】
実施例3
攪拌機と温度計を備えた反応器にプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量127WPE、全塩素含量0.6重量%、デナコールEX−910、ナガセ化成工業(株)製)250.0g、アクリル酸141.7g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0071】
実施例4
攪拌機と温度計を備えた反応器にプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量130WPE、全塩素含量1.5重量%)250.0g、アクリル酸138.5g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0072】
実施例5
攪拌機と温度計を備えた反応器に1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(エポキシ当量118WPE、全塩素含量0.2重量%)250.0g、アクリル酸152.5g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0073】
実施例6
攪拌機と温度計を備えた反応器にグリセリンジグリシジルエーテル(エポキシ当量141WPE、全塩素含量0.8重量%)250.0g、アクリル酸127.7g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0074】
実施例7
攪拌機と温度計を備えた反応器にトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(エポキシ当量154WPE、全塩素含量0.3重量%)250.0g、アクリル酸116.9g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0075】
実施例8
攪拌機と温度計を備えた反応器にジエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量145WPE、全塩素含量0.2重量%)250.0g、アクリル酸124.1g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0076】
実施例9
攪拌機と温度計を備えた反応器にジプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量122WPE、全塩素含量0.7重量%)250.0g、アクリル酸147.5g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0077】
実施例10
攪拌機と温度計を備えた反応器にジグリセリンポリグリシジルエーテル(エポキシ当量150WPE、全塩素含量0.9重量%)250.0g、アクリル酸120.0g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0078】
実施例11
攪拌機と温度計を備えた反応器にグリセリンへのエチレンオキシド3モル付加物にエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル(エポキシ当量149WPE、全塩素含量0.7重量%)250.0g、アクリル酸120.8g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0079】
実施例12
攪拌機と温度計を備えた反応器にグリセリンへのエチレンオキシド3モル付加物にエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル(エポキシ当量150WPE、全塩素含量1.8重量%)250.0g、アクリル酸120.0g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0080】
実施例13
攪拌機と温度計を備えた反応器にトリメチロールプロパンへのエチレンオキシド3モル付加物にエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル(エポキシ当量180WPE、全塩素含量0.5重量%)250.0g、アクリル酸100.0g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0081】
実施例14
攪拌機と温度計を備えた反応器にペンタエリスリトールへのエチレンオキシド4モル付加物にエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル(エポキシ当量160WPE、全塩素含量0.5重量%)250.0g、アクリル酸112.5g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0082】
実施例15
攪拌機と温度計を備えた反応器にペンタエリスリトールへのエチレンオキシド6モル付加物にエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル(エポキシ当量178WPE、全塩素含量0.4重量%)250.0g、アクリル酸100.0g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、目的とするエポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0083】
比較例1
攪拌機と温度計を備えた反応器にエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量132WPE、全塩素含量9.7重量%、デナコールEX−811、ナガセ化成工業(株)製)250.0g、アクリル酸136.4g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、エポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0084】
比較例2
攪拌機と温度計を備えた反応器に多価エポキシ化合物としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量120WPE、全塩素含量2.5重量%)250.0g、アクリル酸150.0g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、エポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0085】
比較例3
攪拌機と温度計を備えた反応器にプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量165WPE、全塩素含量10.0重量%、デナコールEX−911、ナガセ化成工業(株)製)250.0g、アクリル酸109.1g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、エポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0086】
比較例4
攪拌機と温度計を備えた反応器にプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量142WPE、全塩素含量2.2重量%)250.0g、アクリル酸126.8g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、エポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0087】
比較例5
攪拌機と温度計を備えた反応器にジプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量173WPE、全塩素含量7.1重量%、デナコールEX−941、ナガセ化成工業(株)製)250.0g、アクリル酸104.0g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、エポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0088】
比較例6
攪拌機と温度計を備えた反応器にグリセリンジグリシジルエーテル(エポキシ当量145WPE、全塩素含量11.5重量%)250.0g、アクリル酸124.1g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、エポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0089】
比較例7
攪拌機と温度計を備えた反応器にグリセリンへのエチレンオキシド3モル付加物にエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル(エポキシ当量192WPE、全塩素含量6.0重量%)250.0g、アクリル酸93.7g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)0.6g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌した。得られた反応生成物の酸価は2mgKOH/gであった。この時点で反応を終了して、エポキシアクリレートを粘稠な液体として得た。
【0090】
【表1】
Figure 0004798413
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、以上のように、その全塩素含有量が2.0重量%以下であるポリグリシジルエーテル化合物に(メタ)アクリル酸を反応させて、多官能性の硬化性エポキシ(メタ)アクリレートを得る。このような方法によれば、分子中にイオン性を導入することなく、また、過剰にオキシエチレン鎖を導入することなく、しかも、用いるポリグリシジルエーテル化合物に特別な構造が必要とされることなく、水に完全に溶解する硬化性エポキシ(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0092】
また、このような水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレートを含む水性硬化性組成物は、例えば、紙用コーティング剤組成物や塗料組成物等の種々の用途におけるコーティング剤組成物や、また、インク組成物等としても有用であり、また、レジストや接着剤としても有用である。

Claims (13)

  1. ポリヒドロキシ化合物(A)とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)に(メタ)アクリル酸を反応させて、硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を製造するに際して、その全塩素含量が2.0重量%以下であるポリグリシジルエーテル化合物(B)を用いる水溶性硬化性ポキシ(メタ)アクリレート(C)の製造方法において、上記ポリヒドロキシ化合物(A)が一般式(III)
    Figure 0004798413
    (式中、nは0〜5の整数である。)
    で表されるポリグリセリン(A3)であることを特徴とする方法。
  2. ポリヒドロキシ化合物(A)の水酸基にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる少なくとも1種をポリヒドロキシ化合物(A)1モルに対して100モル以下の割合で付加してなるアルキレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物(D)とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物(B)に(メタ)アクリル酸を反応させて、硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を製造するに際して、その全塩素含量が2.0重量%以下であるポリグリシジルエーテル化合物(B)を用いることを特徴とする水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)の製造方法。
  3. ポリヒドロキシ化合物(A)が一般式(I)
    Figure 0004798413
    (式中、Rは炭素数2〜10のn価の脂肪族炭化水素基を示し、nは2〜6の整数である。)で表される多価アルコール(A1)である請求項に記載の方法。
  4. 多価アルコール(A1)がエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン及びペンタエリスリトールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項に記載の方法。
  5. ポリヒドロキシ化合物(A)が一般式(II)
    Figure 0004798413
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは2〜4の整数である。)
    で表されるポリアルキレングリコール(A2)である請求項に記載の方法。
  6. ポリアルキレングリコール(A2)がジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項に記載の方法。
  7. ポリヒドロキシ化合物(A)が一般式(III)
    Figure 0004798413
    (式中、nは0〜5の整数である。)
    で表されるポリグリセリン(A3)である請求項に記載の方法。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の方法によって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)。
  9. 請求項1からのいずれかに記載の方法によって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)を含むことを特徴とする硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)。
  10. 請求項1からのいずれかに記載の方法によって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)と光重合開始剤(G)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)。
  11. 請求項1からのいずれかに記載の方法によって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)と水性溶剤から選ばれる少なくとも1種からなる溶剤(E)と光重合性モノマー(F)と光重合開始剤(G)とからなることを特徴とする水性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート組成物(H)。
  12. 請求項1からのいずれかに記載の方法によって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)と水性溶剤から選ばれる少なくとも1種からなる溶剤(E)と光重合性モノマー(F)と光重合開始剤(G)及び着色剤(J)とからなることを特徴とする水性硬化性インキ組成物。
  13. 請求項1からのいずれかに記載の方法によって得られる水溶性硬化性エポキシ(メタ)アクリレート(C)と水性溶剤から選ばれる少なくとも1種からなる溶剤(E)と光重合性モノマー(F)と光重合開始剤(G)及び着色剤(J)とからなることを特徴とする水性硬化性塗料組成物。
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