JP4795298B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は液体洗浄剤組成物、特に台所まわりの硬質表面、中でも食器や調理器具等の洗浄に適した液体洗浄剤組成物に関する。
食器用洗浄剤は、食材本来からの汚れの他に、調理に用いる油及び調味料、調理によって生じる変性蛋白、焦げ付き、糊化した炭水化物などが、食器、フライパン、鍋、魚焼きグリル、その他調理器具に付着し、水だけでは除去することが困難な汚れを形成する。特に油による汚れは、指先やふき取り具合から、その残留の程度が容易に感じられるため、使用者は汚れ落ちに対して神経質になり易い。油汚れによる洗浄性を高めるために、近年の手洗い向け食器用洗浄剤は、界面活性剤の含有量を増やすことで対応している。しかしながら、高められた油汚れ除去能は、手肌の油分にも影響を与える可能性がある。肌質は個人によって様々であるが、メーカーは手肌への影響を最小限にするため、鋭意努力してきた。例えば、手肌に対して温和なアルキルグリコシド型界面活性剤を主界面活性剤として用いた洗浄剤が挙げられる。
アルキルグリコシドを液体洗浄剤に用いる技術としては、例えば特許文献1〜11などが挙げられる。また、アルキルグリセリルエーテルを液体洗浄剤に用いる技術として、例えば特許文献12〜14などが挙げられる。また、アルキルグリコシドとアルキルグリセリルエーテルを併用した洗浄剤組成物が特許文献15〜16に開示されており、特に特許文献16には食器洗い用液体洗浄剤に関する技術が開示されている。
一方、食器用洗浄剤の泡は、その性状によって使用者に洗浄力を連想させる一方で、手肌に対して温和な印象を与える。液体洗浄剤を使用時に、泡形成装置を介して泡にした上で使用するという考え方は、既に一般化している。例えば特許文献17〜18にはポンプフォーマー容器に充填した液体洗浄剤の技術が開示されており、特に特許文献18には食器洗い用液体洗浄剤を充填した物品の技術が開示されている。
特公平6−33401号公報 特開平10−25498号公報 特開平6−17085号公報 特開平7−228900号公報 特開平7−305091号公報 特開平7−310092号公報 特表平8−502540号公報 特表平8−502310号公報 特表平8−501817号公報 特開平5−148494号公報 特開2000−26889号公報 特開2001−19993号公報 特開2001−49291号公報 特開平11−310792号公報 特開平4−292697号公報 特開2005−325167号公報 特表2006−513312号公報 特開2005−193972号公報
アルキルグリコシドを主基材とする洗浄剤は、手肌に対して温和な洗浄剤である。しかしながら、油汚れと手肌への影響において、単純に油の乳化力を考慮すると、その相関性が憂慮されることは当然であり、手肌に優しい食器洗浄剤の油汚れ洗浄性に不満が残ることは仕方がない。特にアルキルグリコシドを主基材とする洗浄剤は、食器用洗浄剤として一般的なポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を主基材とする洗浄剤と比べて、洗浄力に課題を残している。
一方、前記したように、泡形成装置を用いて液体洗浄剤を起泡させ洗浄に用いるという考え方は既に知られているが、界面活性剤濃度が高い洗浄剤の場合、液体洗浄剤が高粘度化しやすく、必然的に手動の装置で泡形成させる際に強い力が要求される。この課題を解決するために、水溶性溶剤を多量に配合することで粘度を低減させる方法が考えられる。しかしながら、それでもなお、溶剤の高配合による洗浄剤の原液における起泡性は十分とは言えず、ボリューム感があり泡持続性の優れる審美的に好ましい泡を形成することができない。特許文献17に開示されているように、起泡のためのメッシュを3つ設けることで、ポンプ圧を下げ、泡質を保とうとする技術が提案されているが、開示されている洗浄剤から生成される泡の性状は、一つ一つの泡の粒が大きく、粗雑な印象を与えるため、泡としての嗜好性において不十分である。またこれらの洗浄剤として、手肌への影響を考慮してアルキルグリコシドを主界面活性剤とするものは提案されていない。
従って、本発明が解決しようとする課題は、アルキルグリコシドを主界面活性剤とする洗浄剤であって、手肌に対して温和性を損なうことなく、優れた洗浄力を示し、更には洗浄時のスポンジ上の泡立ちのみならず、ポンプフォーマー等の泡形成装置による起泡によっても、ボリューム感があり持続性に優れる泡を生成できる液体洗浄剤組成物及びこれを用いた液体洗浄剤物品を提供することである。
本発明は、(a)下記一般式(1)の化合物〔以下、(a)成分という〕を0.1〜10質量%、(b)一般式(2)の非イオン界面活性剤〔以下、(b)成分という〕を15〜35質量%、(c)炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩〔以下、(c)成分という〕を酸形態として0.1〜10質量%、(d)塩又はイオンとして存在するマグネシウム〔以下、(d)成分という〕、及び水を含有し、〔(a)+(b)〕/(c)=97/3〜70/30(質量比)であり、且つマグネシウム/(c)=0.7〜2.0(モル比)である、液体洗浄剤組成物。
1a−O−(CH2CH(OH)CH2O)r−H (1)
〔式中、R1aは2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる基であり、rは平均付加モル数であり、1〜4の数を示す。〕
2a−(OR2bnm (2)
〔式中、R2aは炭素数8〜16の直鎖アルキル基であり、R2bは、炭素数2〜4のアルキレン基である。Gはグリコシド基を示す。nは平均付加モル数であり0〜5の数を示し、mは平均縮合度であり1〜3の数を示す。〕
また、本発明は、上記本発明の洗浄剤組成物を、泡吐出機構を備えた容器に充填してなる容器入り液体洗浄剤に関する。
本発明によれば、アルキルポリグリコシドを主洗浄基剤とする、洗浄力及び原液起泡性に優れた液体洗浄剤組成物が得られる。
<(a)成分>
本発明の(a)成分は一般式(1)の化合物であり、特定の分岐型アルキル基有するアルキルグリセリルエーテル化合物である。
1a−O−(CH2CH(OH)CH2O)r−H (1)
〔式中、R1aは2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる基であり、rは平均付加モル数であり、1〜4の数を示す。〕
一般式(1)においてR1aは2−エチルヘキシル基またはイソデシル基が好ましく、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。rは1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、r=1の化合物が最も好ましい。特に好ましい化合物はR1aが2−エチルヘキシル基で、かつ、r=1の化合物である。
一般式(1)の化合物を得るには、例えば2−エチルヘキサノール、イソノナノール又はイソデカノールから選ばれる分岐型アルキルアルコールとエピハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物とを、BF3等の酸触媒、あるいはアルミニウム触媒を用いて反応させて製造する方法を用いることができる。かくして得られる2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルは、特開2001−49291号公報に記載されているように複数の生成物を含み得る混合物であり、具体的には、2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルとして、エポキシ化合物の1位に2−エチルヘキサノールが付加した化合物(3−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,2−プロパンジオール、以下(a1)という)やエポキシ化合物の2位に付加した化合物(2−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,3−プロパンジオール、以下(a2)という)、副生成物として、(a1)又は(a2)にさらにエポキシ化合物が付加した多付加化合物(以下(a3)という)をも含み得る混合物である。本発明の(a)成分である2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルを含む該混合物は、そのまま用いてもよく、さらに精製して用いてもよい。
本発明では、(a)成分である(a1)以外の化合物を多く含有すると本発明の効果を損なう場合があるため注意が必要であり、特に多付加化合物(a3)の含有量を(a3)/(a1)の質量比で1/99以下、好ましくは0.5/99.5以下、特に好ましくは0.1/99.9以下が好適である。
(a3)成分を低減化させる方法としては、特開2001−49291号公報に記載の方法を例示することができる他、蒸留精製により(a3)成分を除去する方法を採用することができる。
<(b)成分>
本発明の(b)成分は一般式(2)のアルキルグリコシド型界面活性剤である。
2a−(OR2b)nm (2)
〔式中、R2aは炭素数8〜16の直鎖アルキル基であり、R2bは、炭素数2〜4のアルキレン基である。Gは還元糖に由来する基を示す。nは平均付加モル数であり0〜5の数を示し、mは平均縮合度であり1〜3の数を示す。〕
一般式(2)においてR2aは炭素数10〜14の直鎖アルキル基が好適である。また、nは好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、特に好ましくは0である。R2bはエチレン基が好ましい。
一般式(2)において、Gは還元糖に由来する基であり、より具体的にはグリコシド基が挙げられる。原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく、中でもグルコースが最も好ましい。
一般式(2)中、mは糖の平均縮合度を示し、好ましくは1〜2の数、特に1〜1.5の数が良好である。
一般式(2)の化合物は、上記糖とR2a−(OR2b)n−OHとを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
<(c)成分>
本発明では、(c)成分として、炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩を用いる。アルキル基の炭素数は12〜14が好ましい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられ、特に粘度の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
<(d)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、塩又はイオンとして存在するマグネシウムを含有する。なお特開2005−325167号公報には陰イオン界面活性剤を併用することが示唆されており、その塩としてマグネシウムが開示されているが、本発明は前記(c)成分と特定比率で組み合わせることに特徴がある。具体的にはマグネシウムはイオン価が2価であり、(c)成分のアルキルベンゼンスルホン酸はイオン価が1価であることから、(c)成分の全てをマグネシウムで塩にするには、マグネシウム/(c)としてモル比が0.5の割合で十分である。しかしながら本発明ではその比率よりも過剰にマグネシウムを系中に存在させる。詳しくは後述する。
<その他の成分>
本発明では、(e)成分として、ポリプロピレングリコールを該組成物に配合することが洗浄効果更に高めることから好ましい。ポリプロピレングリコールは、重量平均分子量が600〜5000、更には2000〜4000のものが好ましく、重量平均分子量は光散乱法を用いて決定することができ、ダイナミック光散乱光度計(DLS−8000シリーズ、大塚電子株式会社製など)により測定することができる。
本発明では、(f)成分として、炭素数8〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型界面活性剤、炭素数8〜18の炭化水素基を有する両性界面活性剤、及び炭素数8〜18の炭化水素基を有するアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる界面活性剤を用いることができる。なお、アルカノールアミド型界面活性剤の前記炭化水素基の炭素数には、カルボニル基の炭素原子も含むものとする。また炭化水素基は置換基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基が好ましい。(f)成分としては、具体的には下記一般式(3)〜一般式(5)の化合物を挙げることができる。
Figure 0004795298
〔式中、R3aは炭素数8〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R3bは炭素数1〜6のアルキレン基であり、Dは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−から選ばれる基である。kは0又は1の数であり、R3c、R3dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕
Figure 0004795298
〔式中、R4aは炭素数9〜17のアルキル基又はアルケニル基であり、R4bは炭素数1〜6のアルキレン基である。Eは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、jは0又は1の数である。R4c、R4dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R4eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基である。Tは−SO3 -、−OSO3 -、−COO-から選ばれる基である。〕
Figure 0004795298
〔式中、R5aは炭素数7〜17の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R5bはメチル基、エチル基又は−(C24O)h−Hである。また、R5cは−(C24O)i−Hである。h、iはそれぞれ0〜5の数であり、h+iは1〜6である。〕
一般式(3)において、R3aは、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくはラウリル基(又はラウリン酸残基)及び/又はミリスチル基(又はミリスチン酸残基)である。Dは、好ましくは−COO−又は−CONH−であり、最も好ましくは−CONH−である。R3bの炭素数は、好ましくは2又は3であり、R3c、R3dは、好ましくはメチル基である。
本発明ではR3aは単独のアルキル(又はアルケニル)鎖長でもよく、異なるアルキル(又はアルケニル)鎖長を有する混合アルキル基(又はアルケニル基)であってもよい。後者の場合には、ヤシ油、パーム核油から選ばれる植物油から誘導される混合アルキル(又はアルケニル)鎖長を有するものが好適である。具体的にはラウリル基(又はラウリン酸残基)/ミリスチル基(又はミリスチン酸残基)のモル比が95/5〜20/80、好ましくは90/10〜30/70であることが洗浄効果、及び泡立ち性の点から好ましい。
一般式(4)において、R4aは、好ましくは炭素数9〜15、特に9〜13のアルキル基であり、R4bは、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基である。Eは−CONH−が好ましく、gは0又は1が好適である。R4c、R4dはメチル基、又はヒドロキシエチル基が好ましい。Tは−SO3 -、又は−COO-が好ましく、Tが−SO3 -の場合にはR4eは−CH2CH(OH)CH2−が好ましく、Tが−COO-の場合にはR4eはメチレン基が好ましい。
一般式(5)の化合物において、R5aは炭素数7〜17の飽和又は不飽和の炭化水素基である。R5aCO−の好ましい具体例としてはオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基が挙げられ、特に好ましくは、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基である。
一般式(5)の化合物においてR5bはメチル基、エチル基又は−(C24O)h−Hであり、洗浄効果の持続性の点から好ましくはメチル基又は水素原子(h=0)である。また、R5cは−(C24O)i−Hであり、iは洗浄効果の持続性の点から好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数である。
一般式(5)の化合物の好ましい具体例としては一般式(5−1)及び一般式(5−2)の化合物を挙げることができる。
Figure 0004795298
本発明では洗浄力および起泡を向上させる目的から(g)成分として、(c)成分以外の陰イオン界面活性剤を含有することができるが、手肌への影響を考慮してその配合量は制限される。
本発明において、(c)成分以外の陰イオン界面活性剤としては炭素数10〜18の炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤であり、具体例としては炭素数10〜16のモノアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜16のアルキル基を有し炭素数2又は3のオキシアルキレン基が平均1.0〜4.0モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数8〜16のα−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸(炭素数8〜16)低級アルキル(炭素数1〜3)エステル塩を挙げることができる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられ、特に粘度の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩を挙げることができる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、貯蔵安定性を向上させる目的でハイドロトロープ剤〔以下、(h)成分という〕を含有することが好ましい。ハイドロトロープ剤としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びこれらのナトリウム、カリウムあるいはマグネシウム塩が良好であり、特にp−トルエンスルホン酸が良好である。
本発明では貯蔵安定性の改善剤、又は粘度調節剤として溶剤〔以下、(i)成分という〕を含有することができる。溶剤の具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる水溶性有機溶媒が好ましい。
本発明では洗浄後の手指へのヌル付き感又は残留感を低減させるために炭素数8〜18の脂肪酸〔以下、(j)成分という〕を含有することが出来る。脂肪酸の具体例としては、飽和、不飽和の何れでも良いが、直鎖の飽和脂肪酸が好ましく、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸の1種以上が好ましい。より好ましくは、全(g)成分中、カプリン酸を10質量%以下、特には5質量%以下、ラウリン酸を80質量%以上、特には90質量%以上、およびミリスチン酸を10質量%以下、特には5質量%以下の組成を有するものであり、最も好ましくは、(j)成分がラウリン酸単体から実質的になるものであり、ラウリン酸の比率が90質量%以上のものである。(j)成分は、組成物中では中和され脂肪酸塩の形態をとることも好ましく、対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム又はモノ、ジもしくはトリエタノールアミンが好ましく、特にナトリウム又はカリウムが好ましい。また、ヌル付き又は残留感をより少なくするために(b)成分と(j)成分の質量比は、(j)成分を酸型として(b)/(j)=10〜80が好ましい。
<液体洗浄剤組成物>
本発明の液体洗浄剤組成物は(a)成分を0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%含有することが洗浄効果の点から好ましい。(b)成分を15〜35質量%、好ましくは20〜30質量%含有することが好ましい。(c)成分を酸形態で、すなわち塩であるものは、対の陽イオンを水素原子と見なした上で、0.1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%含有することが洗浄性能を高める上で好ましい。なお(c)成分が関与する量比(質量比、モル比)では、(c)成分の量は、全て酸形態での量に基づくものとする。
(a)〜(c)成分の配合割合は良好な原液起泡性の観点から〔(a)+(b)〕/(c)=97/3〜70/30(質量比)、好ましくは95/5〜75/25、より好ましくは90/10〜80/20となるように配合される。洗浄性能、特に油汚れに対する乳化力の点から下限値以上であり、低温保存液安定性、特に凍結状態からの回復性の点から上限値以下である。
(d)成分のマグネシウムは、イオン又は塩として存在し、界面活性剤やハイドトロロープ剤の対イオン、すなわち塩として配合してもよく、また塩化マグネシウム(例えば6水和物)や硫酸マグネシウム(例えば7水和物)などの塩として別途添加して配合してもよい。但し(d)成分はマグネシウムとして、(c)成分のアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩に対して、マグネシウム/(c)のモル比が、0.7〜2.0、好ましくは0.8〜1.7、より好ましくは1.0〜1.5の割合で配合される。マグネシウムは、組成物中で塩やイオンとして存在している全マグネシウムの濃度であり、(c)成分と塩を成しているものも、その濃度に加えられる。本発明では、系中のマグネシウムイオン又はマグネシウムイオンと平衡状態にあるマグネシウム塩を(c)成分の対イオンに相当する量よりも過剰に存在させること、すなわち下限値以上のモル比率にすることで、優れた洗浄力を得ることができる。なお低温における液安定性、特に凍結状態からの回復性の理由から上限値以下である。
(e)成分は任意成分であるが、好ましい含有量は、組成物中、0.1〜10質量%、更に0.5〜5質量%、特に1〜5質量%が好適である。
また、(f)成分の含有量は、任意成分であるが、配合する場合は、組成物中、0.1〜10質量%、更に0.5〜3質量%、特に1〜2.5質量%が好ましい。
本発明では(g)成分は任意成分であり、洗浄効果の増強、及び起泡性向上の点から含有することが好ましいが、多量配合は(b)成分の本来有する手肌に対する温和性や感触改善などの効果を減じるおそれがあるため、組成物中に10質量%以下、更に5質量%以下であり、配合する場合は、0.1質量%以上である。なお本液体洗浄剤組成物において、手肌への影響がなく、洗浄力及び起泡性の上で(c)成分が最も有効な陰イオン界面活性剤である。従って(g)成分を配合する場合は、組成物の温度変化によって生じる相分離や濁りなどを抑制する目的や、貯蔵安定性を高める目的で配合される。
さらに本発明では(h)成分、(i)成分を貯蔵安定性、及び好ましい粘度に調整する目的から用いることが好ましい。また組成物中に(j)成分を任意成分ではあるが、配合する場合は0.1〜10質量%、更に0.5〜5質量%、特に1.0〜5質量%含有することが好適である。
本発明の組成物は、上記成分を水に溶解又は分散させた液状の形態であり、水の含有量は貯蔵安定性の点から好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは30〜60質量%、より好ましくは40〜60質量%、特に好ましくは45〜55質量%である。また、該組成物の20℃におけるpHを6〜8、好ましくは6.5〜7.5にすることが貯蔵安定性や皮膚への安全性の点から好ましい。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。いずれの化合物も、粘度特性に対し大きな影響のない範囲で配合される。
本発明の組成物の20℃における粘度は、使い勝手の点から、好ましくは10〜1000mPa・s、より好ましくは30〜700mPa・s、特に好ましくは40〜300mPa・sである。このような粘度には、例えば上記(h)成分、(i)成分などを用いて調整する。
本発明でいう粘度は以下のようにして測定する。まずTOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBMに、ローター番号No.2のローターを備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに充填し20℃の恒温槽内にて20℃に調整する。恒温に調整された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を60r/mに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
その他の成分としては、粘度特性に影響のない限り、通常液体洗浄剤に配合されている成分を配合することができる。例えば、香料成分、除菌成分、防腐剤、濁り剤、着色剤が挙げられる。
<容器>
本発明は、本発明の洗浄剤組成物を、泡吐出機構を備えた容器に充填してなる容器入り液体洗浄剤を提供する。かかる容器としては、泡吐出機構として、多孔質膜体、好ましくはメッシュサイズ100〜300/インチの多孔質膜体を、1又は2枚有するポンプフォーマーを具備する容器が好ましい。
図面により、本発明で用いる特定の泡吐出機構を具備する容器(ポンプフォーマー容器)の一実施形態を説明する。図1は、ポンプフォーマー容器の縦断面図である。
ポンプフォーマー容器10では、容器本体11の口首部12に、収容液(液体洗浄剤組成物)を空気と混合することにより、泡状にして吐出口26から吐出できる泡吐出器13が装着されている。吐出口26は、上向きに傾斜していることが好ましく、水平面との間でなす角度αが1〜10°であることが好ましい。さらに、容器本体11の外表面と吐出口26との間隔βが3〜20mmであることが好ましい。
泡吐出器13は、容器本体11の口首部12に装着されるベースキャップ部14に、収容液の吸引、加圧、排出をする筒状ピストン部材15と、空気の吸引、加圧、排出をするエアピストン部材16が、それぞれ同心に直列配置されて組み入れられた単一のシリンダ部17からなるポンプ18を有している。
ベースキャップ部14の上方に突出しているポンプヘッド部19内の高さ方向流路21内には、発泡部材20が配置されている。発泡部材20は独立した筒状リングに、メッシュサイズ100〜300/インチの多孔質膜体を、筒状リングの少なくとも一端を覆うようにして固定された構造からなる。筒状リングの両端面が液の通過方向に対して垂直になるようにして、高さ方向流路21内に配置されている。円柱状の発泡部材20は、前記多孔質膜体の1枚を用いて成形されたものでもよいし、メッシュサイズが同一又は異なる2枚を用いて成形されたもの(二重構造のもの)でもよい。
シリンダ部17は、大径空気室24と、この大径空気室24から直列下方に連続して下端部が吸引管27と連結された小径液導入室28からなっている。小径液導入室28の内部には、軸方向に圧縮変形可能なスプリング部材29が配置されている。スプリング部材29は、筒状ピストン部材15を介して、ポンプヘッド部19を付勢している。
筒状ピストン部材15は、内部に液室30、弁体31a、31bを備えている。エアピストン部材16は、筒状ピストン部材15から径方向外側に張り出して設けられており、周縁部が大径空気室24の内周面と摺動可能に密着して大径空気室24を上下に仕切っている。
本発明の容器入り液体洗浄剤は、上記した液体洗浄剤組成物が、泡形成機構を備えた容器、例えば図1に示すような特定の泡吐出機構を有するポンプフォーマー容器に充填されているものである。本発明の容器入り液体洗浄剤の使用方法は、次のとおりである。
人の手によって、ポンプヘッド部19をスプリング部材29の付勢力に抗して押し込むことにより、ポンプ18の筒状ピストン部材15とエアピストン部材16が同時に押し下げられ、弁体31aが開放される。そして、弁体31aの開放により、液室30内に流入した収容液(液体洗浄剤組成物)は、加圧されて、高さ方向流路21に向かって排出される。それと並行して、中空パイプ22と筒状ピストン部材15の嵌合部分に沿って形成された空気流路(図示せず)が開放されると、大径空気室24から高さ方向流路21に向かって空気が加圧排出される。このようにして、収容液と空気が高さ方向流路21に向かって排出される途中の合流空間23で合流し、加圧混合された後、中高さ方向流路21内に配置された発泡部材20を通過して泡状に変化される。泡状になった収容液は、高さ方向流路21を通って、吐出口26から洗浄対象物(食器、調理器具等の硬質表面)や洗浄具であるスポンジ等に対して吐出される。なお発泡部材20以外にも吐出口26付近に前記メッシュを設けることで、泡質が更に改善される。
本発明の容器入り液体洗浄剤は、泡吐出機構を有する容器、好ましくは上記のような特定の液体洗浄剤組成物と特定の泡吐出機構を有するポンプフォーマー容器を組み合わせることにより、ボリュームがあり、泡持続性の優れた審美的に好ましい泡(例えば、きめ細かな泡)を形成することができる。
本発明の容器入り液体洗浄剤は、公知の硬質表面用の洗浄剤として適用することができ、特に台所用洗浄剤として適している。
表1、表2に示す成分を用いて液体洗浄剤組成物を調製した。表1では界面活性剤の濃度を一定とし、マグネシウム濃度を変動させた。これら組成物の洗浄性能、起泡性(原液の起泡性)、モデル汚垢乳化性能および低温安定性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。また、表2では界面活性剤濃度が異なる場合の洗浄性能及び原液起泡性について検討した。結果を表2に示す。また、表3に本発明の効果を有する台所用液体洗浄剤組成物を例示する。
<洗浄性能>
牛脂(Lot.U5649、シグマ・アルドリッチジャパン社製)と菜種油(山桂産業株式会社製)とを質量比1対1で混合し、0.1質量%のスダンIII(Lot.W8NTF、東京化成工業株式会社製))を均一に混ぜ込んだものをモデル油とし、モデル油1gを直径23cmの白色陶器皿(商品名:玉渕9吋リムミート皿、φ23.3cm、業務用食器カタログ「器蔵 2006〜2008 No.4」627頁記載)に均一に塗り広げたものをモデル汚染食器とした。
市販の新品スポンジ(115mm×75mm×35mm、商品名:キクロン、販売元:キクロン株式会社)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った後、表1の組成物1gと水道水20mlを染み込ませた。モデル汚染食器上で上記スポンジを2〜3回手でもみ泡立たせた後、モデル汚染食器を連続して擦り洗いし、洗浄(食器に付着した色が消えることにより確認)できた皿の枚数を求めた。
<原液起泡性評価>
ポリプロピレン製50ml遠心管(Centrifuge Tubes with Triple Seal Cap、Cat.No.2345-50、Lot.1700605、IWAKI社製)に洗浄剤組成物の原液を10g封入し、20秒間に50回の速さで手で震盪させた。震盪1分後の泡量を測定した。
<モデル汚垢乳化性能>
牛脂(Lot.U5649、シグマ・アルドリッチジャパン社製)と菜種油(山桂産業株式会社製)とを質量比1対1で混合し、0.1質量%のスダンIII(Lot.W8NTF、東京化成工業株式会社製))を均一に混ぜ込んだものをモデル油とし、モデル油1gを直径23cmの白色陶器皿(商品名:玉渕9吋リムミート皿、φ23.3cm、業務用食器カタログ「器蔵 2006〜2008 No.4」627頁記載)に均一に塗り広げたものをモデル汚染食器とした。
市販の新品スポンジ(115mm×75mm×35mm、商品名:キクロン、販売元:キクロン株式会社)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った後、表1の組成物1gと水道水20mlを染み込ませた。モデル汚染食器上で上記スポンジを2〜3回手でもみ泡立たせた後、モデル汚染食器を擦り洗いした時のスポンジと皿(モデル油)間の抵抗感を官能評価した。モデル油は皿上に乾固しており、乳化性能の十分な組成物にて洗浄する場合には、スポンジで擦り始めるとモデル油は速やかに乳化、分散するため、スポンジへの抵抗感(引っかかり感)は感じられないが、乳化性能が十分ではない組成物にて洗浄すると乳化、分散が速やかではなく、スポンジへの抵抗感が感じられる。この抵抗感を用いて官能評価を行うことで組成物の乳化性能を評価することが出来る。なお、評価基準としては、
A:油が完全に除去されるまで、殆ど抵抗を感じない
B:油が完全に除去されるまで、やや引っかかり(抵抗)を感じる
C:油が完全に除去されるまで、非常に引っかかり(抵抗)を感じる
とした。
<低温安定性(凍結回復性)>
低温恒温器(モデルPU−3KP、ESPEC社製)にて−15℃で完全に凍結させた組成物を5℃まで10時間で等速昇温させ、その後同温度にて20時間放置した場合の外観が均一透明を呈していた場合を○、そうでないものを×とした。
Figure 0004795298
Figure 0004795298
Figure 0004795298
(注)表中の記号は以下のものを表す。また、(d)/(c)モル比は、マグネシウム/(c)モル比である。
・GE−2EH:2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル(モノグリセリルエーテル99質量%以上)
・AG:アルキル基がカプリル基/ラウリル基/ミリスチル基=6/3/1(質量比)からなるアルキルグリコシド、グルコースの平均縮合度は1.3
・LAS−Na:アルキル基が炭素数10〜15の混合体であるアルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩(表中の数値は酸形態での配合量を示す)
・Mg−I:塩化マグネシウム・6水和物
・PPG−I:ポリプロピレングリコール(重量平均分子量が1000の化合物、ポリグリコールP−1000TB、ダウ・ケミカル日本(株)製)
・AO−I:N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・SB−I:N,N,N−ドデシルジメチル−N−2−ヒドロキシ−3−スルホプロピルアンモニウムベタイン
・ES−I:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔原料アルコールは、1−ドデセン及び1−トリデセン40/60(質量比)を原料にヒドロホルミル化して得られたアルコールである。このアルコールにEOを平均2モル付加させた後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した。全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム中の全ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸ナトリウムの割合は25質量%であった。〕
・p−TS:パラトルエンスルホン酸
本発明に用いられる泡吐出機構を備えた容器(ポンプフォーマー容器)の一例を示す縦断面図
符号の説明
10 ポンプフォーマー容器
11 容器本体
13 泡吐出器
14 ベースキャップ部
15 筒状ピストン部材
16 エアピストン部材
17 シリンダ部
18 ポンプ
20 発泡部材
21 高さ方向流路
22 中空パイプ
23 合流空間
26 吐出口

Claims (3)

  1. (a)下記一般式(1)の化合物を0.1〜10質量%、(b)一般式(2)の非イオン界面活性剤を15〜35質量%、(c)炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩を酸形態として0.1〜10質量%、(d)塩又はイオンとして存在するマグネシウム、及び水を含有し、〔(a)+(b)〕/(c)=97/3〜70/30(質量比)であり、且つマグネシウム/(c)=0.7〜2.0(モル比)である、液体洗浄剤組成物。
    1a−O−(CH2CH(OH)CH2O)r−H (1)
    〔式中、R1aは2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる基であり、rは平均付加モル数であり、1〜4の数を示す。〕
    2a−(OR2bnm (2)
    〔式中、R2aは炭素数8〜16の直鎖アルキル基であり、R2bは、炭素数2〜4のアルキレン基である。Gはグリコシド基を示す。nは平均付加モル数であり0〜5の数を示し、mは平均縮合度であり1〜3の数を示す。〕
  2. 更に(e)ポリプロピレングリコールを0.1〜10質量%含有する請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
  3. 請求項1または2記載の洗浄剤組成物を、泡吐出機構を備えた容器に充填してなる容器入り液体洗浄剤。
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