JP2005053971A - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄力等の良い液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(a)2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル、一般式(1−1)の化合物及び一般式(1−2)の化合物から選ばれる化合物0.1〜10質量%、(b)陰イオン界面活性剤15〜50質量%、(c)アミンオキシド型界面活性剤1〜15質量%、(d)(a)成分以外の水溶性有機溶媒0.1〜20質量%、(e)ハイドロトロープ剤0.01〜10質量%及び水を含有し、20℃の粘度が200〜800mPa・sの液体洗浄剤組成物。
1−1a−(OR1−1b (1−1)〔R1−1aは2−エチルヘキシル基等、R1−1bはC2〜4のアルキレン基、Gは還元糖に由来する残基、aは平均値0〜6の数、bは平均値1〜5の数〕
1−2a−(OR1−2ba’−OH (1−2)〔R1−2aは2−エチルヘキシル基、R1−2bはC2〜4のアルキレン基、a’は平均値2〜5の数〕
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。特にスポンジやタオルなどの可撓性吸収体に直接含浸させ、水と伴に被洗浄物表面を擦ることにより洗浄する方法に適した液体洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
食器洗い用洗浄剤等の液体洗浄剤は、高い洗浄力と洗浄力の持続性が求められ、その達成手段として液体洗浄剤の粘度を増加させて、可撓性吸収体への保持力を高め、洗浄力の持続性を向上させる技術が知られている。
【0003】
特許文献1、特許文献2、特許文献3には、特定の粘度に調整された液体洗浄剤が開示されている。また、本発明者らは高い洗浄力と持続性を満足する液体洗浄剤として、水に希釈した場合に特定の粘度挙動を有する液体洗浄剤を見出し、特許文献4、特許文献5等に開示している。これらは、水で希釈されることにより液体洗浄剤が増粘し、可撓性吸収体に保持されることで液体洗浄剤の放出を制御する技術に関する発明であり、優れた洗浄効果と洗浄力の持続性を実現することができる。
【0004】
しかしながら、これら粘度を増加させた洗浄剤をスポンジなどの可撓性吸収体に含浸させて洗浄する場合、洗浄初期において液体洗浄剤の放出が抑制されるため、通常の液体洗浄剤と比較すると、洗浄初期の泡立ちも抑制される傾向にある。食器洗い洗浄剤等の液体洗浄剤においては、好ましい泡立ち性が重要視されることから、上記技術にさらに初期の泡立ち性を改善することが望まれる。
【0005】
また、これら洗浄剤のもうひとつの課題は、洗浄時や濯ぎ時における洗浄対象物のぬるつきがあり、このような現象は通常の液体洗浄剤にも多々にして引き起こされる課題である。上記のような粘度を向上させた液体洗浄剤は、界面活性剤濃度を向上させた濃縮型の液体洗浄剤であるため、高濃度の界面活性剤と硬質表面の接触は、硬質表面に付着した油汚れを除去しやすくする一方で、過剰な界面活性剤がぬるつきの問題を発生させる原因となる。ぬるつきとは、洗浄時ないし濯ぎ時に、指や掌等と被洗浄物表面との間で感じられるものであり、洗浄剤がまるで油膜として平滑な被洗浄物表面に存在するような感触であって、その感触は洗浄時のみならず、濯ぎ時になかなか除去できないものである。基本的にぬるつきは、濯ぎを充分に行なうこと(通常の濯ぎ時間よりも濯ぎ時間を長くすること)で解消できるが、濯ぎ時のなかなか拭えないぬるつき感は、使用者に不快感や洗剤に対する不信感を与えるほか、濯ぎ時間の増加による濯ぎ水の浪費にも繋がる。
【0006】
ぬるつきは、アミンオキサイド型界面活性剤を使用することでより顕著になる。アミンオキシド型界面活性剤は、液体洗浄剤に通常用いられる陰イオン界面活性剤とコンプレックスを形成し、これにより油に対する乳化力が向上し、結果として洗浄力が向上する作用を有する一方、洗浄時や濯ぎ時のぬるつきの原因にもなると考えられる。アミンオキシド型界面活性剤の量を低減化すると洗浄時や濯ぎ時のぬるつきは改善されるものの、泡立ち性が損なわれ、特に可撓性吸収体に含浸させて洗浄する場合の洗浄初期の泡立ち性が損なわれる。したがって、洗浄初期の泡立ち性を改善し、洗浄時や濯ぎ時のぬるつきを改善する液体洗浄剤が求められている。
【0007】
アルキルグリセリルエーテルは、上記した陰イオン界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤と組み合わせた液体洗浄剤が知られている。
【0008】
特許文献6には、陰イオン界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤、及びアルキルグリセリルエーテルを含有する食器洗い用洗浄剤の技術が開示されている。特許文献7には、アミンオキシド型界面活性剤との併用が記載されているが、この文献の技術も洗浄効果を向上させることにある。特許文献8には、分岐アルキルグリセリルエーテルを用いた洗浄剤の技術が開示されており、洗浄剤が台所用途に用いることができることが示唆されている。
【0009】
また、アルキルグリコシドと陰イオン界面活性剤等を組み合わせた液体洗浄剤も公知である。
【0010】
特許文献9には、炭素数6〜22のアルキルグリコシドが陰イオン界面活性剤水溶液の安定性に効果を有し、食器洗い洗浄剤に応用できることが記載されている。特許文献10には、炭素数4〜22のアルキルグリコシドが起泡力及び清浄性を有することが記載されている。特許文献11には、炭素数8〜12のアルキルグリコシドが食器洗浄における濯ぎ剤として用いることが記載されている。特許文献12には、炭素数8〜18のアルキルグリコシド、陰イオン界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤を含有する手荒れ等を引き起こさない食器洗いに好適な洗浄剤が開示されている。特許文献13には、炭素数8〜18のアルキルグリコシドとアミンオキシド型界面活性剤を併用した食器洗い等に好適な洗浄剤組成物が開示されている。特許文献14には、炭素数2〜6のアルキル基を有するアルキルグリコシドが洗浄剤組成物の低粘度化や安定性改善に効果を有することが記載されている。
【0011】
これらアルキルグリセリルエーテルやアルキルグリコシドは、起泡性を改良することも知られているが、上記のような増粘した液体洗浄剤の技術に応用すると、泡立ち性は改良できるものの満足できるレベルではなく、しかも洗浄時又は濯ぎ時のぬるつき改善に関しては効果を有するものではない。すなわち、特定の化合物が、初期の泡立ち性を改善すると共に、洗浄時又は濯ぎ時のぬるつきを改善するという優れた効果を有することについては、上記先行文献からは想起できない。
【0012】
【特許文献1】特開2002−256299号公報
【特許文献2】特開2002−256300号公報
【特許文献3】2002−235100号公報
【特許文献4】特開2002−212600号公報
【特許文献5】特開2002−194388号公報
【特許文献6】特開2001−19993号公報
【特許文献7】特開2001−49291号公報
【特許文献8】特開平11−310792号公報
【特許文献9】特表平8 −502540号公報
【特許文献10】特表平8 −502310号公報
【特許文献11】特表平8 −501817号公報
【特許文献12】特開平5 −148494号公報
【特許文献13】特開2000 −26889号公報
【特許文献14】米国特許4,488,981号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高い洗浄力と洗浄力の持続性を有し、しかも洗浄初期に好ましい泡立ち性を付与でき、更には洗浄時及び/又は濯ぎ時に被洗浄物のぬるつきを軽減する、可撓性吸収体に直接含浸させ、水と伴に被洗浄物表面を擦ることにより洗浄する方法に適した液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、課題の解決手段として、(a)2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル、下記一般式(1−1)の化合物及び下記一般式(1−2)の化合物から選ばれる化合物を0.1〜10質量%、(b)陰イオン界面活性剤を15〜50質量%、(c)アミンオキシド型界面活性剤を1〜15質量%、(d)(a)成分以外の水溶性有機溶媒を0.1〜20質量%、(e)ハイドロトロープ剤を0.1〜15質量%、及び水を含有し、20℃における粘度が200〜800mPa・sの液体洗浄剤組成物を提供する。
【0015】
1−1a−(OR1−1b (1−1)
〔式中、R1−1aは2−エチルヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基から選ばれる基であり、R1−1bは炭素数2〜4のアルキレン基、Gは還元糖に由来する残基、aは平均値0〜6の数、bは平均値1〜5の数を示す。〕
1−2a−(OR1−2ba’−OH (1−2)
〔式中、R1−2aは2−エチルヘキシル基であり、R1−2bは炭素数2〜4のアルキレン基、a’は平均値2〜5の数を示す。〕
【0016】
【発明の実施の形態】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、(a−1)2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル、(a−2)一般式(1−1)の化合物及び(a−3)一般式(1−2)の化合物から選ばれる化合物である。
【0017】
(a)成分は、粘度を向上させた液体洗浄剤の洗浄力及び洗浄力の持続性を維持し、スポンジなどの可撓性吸収体に含浸させて洗浄した場合の初期の泡立ちを著しく改良し、しかも洗浄時及び濯ぎ時の被洗浄対象物のぬるつきを軽減するという、他の類似構造を有する化合物では得ることができない優れた作用を有するものである。
【0018】
(a−1)の2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルは、2−エチルヘキサノールとエピハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物をBF等の酸触媒、又はアルミニウム触媒を用いて反応させて製造する方法が一般的であり、特開2001−49291号公報に記載されているように複数の生成物を含む混合物である。
【0019】
具体的には、2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルとして、エポキシ化合物の1位に2−エチルヘキサノールが付加した化合物(3−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,2−プロパンジオールやエポキシ化合物の2位に付加した化合物(2−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,3−プロパンジオール、以下が挙げられる。また、副生成物として、これら化合物にさらにエポキシ化合物が付加した多付加化合物が挙げられる。
【0020】
本発明では多付加化合物の含有量が2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルに対して30質量%以下、好ましくは10質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルを用いることが好適である。
【0021】
(a−2)の一般式(1−1)の化合物において、式中、R1−1aは2−エチルヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基から選ばれる基であり、特に2−エチルヘキシル基が好ましい。R1−1bは炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、aは平均値0〜6、好ましくは0〜3、特に好ましくは0であり、bは平均値1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2を示す。
【0022】
Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースでも良い。アルドースとしては、アピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。
【0023】
これらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントース又はアルドヘキソースが好ましく、中でもグルコースが最も好ましい。Gの還元糖としては上記単糖類が好ましいが、これら単糖が2〜5個、好ましくは2又は3個縮合したオリゴ糖を用いても差し支えない。更には単糖とオリゴ糖が混合したものでもよく、この場合には平均縮合度は1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2が好適であり、1〜1.5が最も好ましい。
【0024】
一般式(1−1)の化合物において、aが0の化合物は、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノールと上記還元糖とを酸触媒を用い、アセタール化反応又はケタール化反応により容易に合成することができる。また、aが0ではない化合物は、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノールにアルキレンオキシドを付加させることで得られるR1−1a−(OR1−1b−OHと還元糖とを酸触媒を用いて、アセタール化反応又はケタール化反応により容易に合成することができる。アセタール化反応を適用する場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
【0025】
なお、2−エチルヘキサノールはn−ブチルアルデヒドをアルドール縮合させた後、水素化して得ることができる。イソノナノールはジイソブチレンをオキソ法でヒドロホルミル化した後、水素化して得られ、代表的な構造としては3、5、5−トリメチルヘキサノールである。また、イソデカノールはノネンをオキソ法でヒドロホルミル化した後、水素化して得られるもので、アルキル鎖の各位置にメチル分岐を有する多くの異性体の混合物であり、代表的な構造としては8−メチル−1−ノナノールである。
【0026】
(a−3)の一般式(1−2)の化合物において、式中、R1−2aは2−エチルヘキシル基であり、R1−2bは炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特に好ましくはエチレン基であり、a’は平均値2〜5の数を示す。
【0027】
一般式(1−2)の化合物は、2−エチルヘキサノールとアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド、特にエチレンオキシドをアルコール/アルキレンオキシドのモル比が1/2〜1/5になるように反応させて得られるもので、未反応の2−エチルヘキサノールを含んでもよい、a’が0〜10程度(平均値で2〜5)の化合物の混合物である。
【0028】
(a−3)成分は、一般式(1−2)の化合物と共に、合成時に生じる未反応アルコール(2−エチルヘキサノール)を含有していても良いが、含有量は少ない方が本発明の効果を得る上で好ましい。
【0029】
(a)成分が一般式(1−2)の化合物と未反応アルコールとの混合物であるとき、(a)成分中の未反応アルコール(2−エチルヘキサノール)の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、未反応アルコールを含むaの平均値が2〜5であるものが好適である。
【0030】
また、(a)成分は、一般式(1−2)の化合物を上記方法で合成後、更に蒸留等の操作を行って、未反応アルコール(a=0の化合物)及び/又はa>5の化合物を除去したものを用いても良い。
【0031】
a’の平均値はH−NMRを用い、2−エチルヘキシル基のα位のプロトンとオキシエチレン基のプロトンとの積分値で容易に求めることができる。
【0032】
本発明では(a)成分として、2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル、一般式(1−1)においてR1−1aが2−エチルヘキシル基である化合物、及び一般式(1−2)においてR1−2aが2−エチルヘキシル基で、かつR1−2bがエチレン基である化合物が好ましく、2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテルが最も好ましい。
【0033】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は陰イオン界面活性剤であり、炭素数10〜18の炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤が好適である。
【0034】
好ましい例としては、炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、炭素数10〜16のモノアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜16のアルキル基を有し、炭素数2又は3のオキシアルキレン基が平均1.0〜4.0モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数8〜16のα−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸(炭素数8〜16)低級アルキル(炭素数1〜3)エステル塩を挙げることができる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられ、特に粘度の点からナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
【0035】
本発明では、特に炭素数10〜14のアルキル基を有し、炭素数2又は3のオキシアルキレン基、好ましくはオキシエチレン基が平均1.0〜3.0モル、特に好ましくは1.5〜3.0モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、又はマグネシウム塩を用いることが、洗浄効果を向上させ、高濃度の陰イオン界面活性剤を含有する組成物の低温又は高温における貯蔵安定性を改善できるため好ましい。
【0036】
(b)成分としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を用いる場合、直鎖1−アルケンをヒドロホルミル化して得られたアルコールを原料にして製造された分岐鎖1級アルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好適である。ここで、ヒドロホルミル化とは、鉄、コバルト又はニッケル等のカルボニル錯体を触媒として用い、直鎖1−アルケンに一酸化炭素を付加させてアルコールを得る方法であり、直鎖アルキル基とメチル分岐アルキル基を含有するアルコールを得ることができる。
【0037】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、このようなヒドロホルミル化して得られたアルコールに、更にアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド(以下、POと表記する)又はエチレンオキシド(以下、EOと表記する)、より好ましくはEOを付加させ、更に三酸化イオウ又はクロルスルホン酸でスルホン化し、アルカリ剤で中和して得ることができる。
【0038】
EO及び/又はPOの平均付加モル数は、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.5〜3.0、特に好ましくは1.5〜2.5であることが、洗浄効果の点から好ましい。中和に用いるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムが好ましく、更に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムである。
【0039】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩として、上記したような分岐アルキル基を含むものを用いるとき、全ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩中のポリオキシアルキレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩の含有量は、5〜80質量%、更に10〜70質量%であることが、優れた洗浄効果を達成するために好ましい。
【0040】
特にポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を、組成物中に10質量%を超えて配合する場合(例えば、15〜40質量%の濃度で配合する場合)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩中のポリオキシアルキレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩の含有量は、上記含有量の範囲を満たすことが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩自体は、他の界面活性剤よりもぬるつき感の少ない性質を示すが、アミンオキサイド型界面活性剤との併用によるぬるつき感の上昇とともに、高濃度化による増粘やゲル化によって被洗浄表面に残留しやすくなることから、ぬるつき感の増大が懸念されるが、上記した分岐鎖物の含有量範囲を満たすことにより、ぬるつき感が低減されるので好ましい。
【0041】
<(c)成分>
本発明の(c)成分は、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型界面活性剤であり、下記一般式(2)の化合物が好ましい。
【0042】
【化1】
Figure 2005053971
【0043】
〔式中、R2aは炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2bは炭素数1〜6のアルキレン基であり、Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−から選ばれる基である。cは0又は1の数であり、R2c、R2dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕
一般式(2)の化合物において、R2aは、好ましくは炭素数10〜16、より好ましくは10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくはラウリル基(又はラウリン酸残基)及び/又はミリスチル基(又はミリスチン酸残基)である。Aは、好ましくは−COO−又は−CONH−であり、最も好ましくは−CONH−である。R2bの炭素数は、好ましくは2又は3であり、R2c、R2dは、好ましくはメチル基である。
【0044】
一般式(2)の化合物は、式中のR2aが単独のアルキル(又はアルケニル)鎖長のものでも、異なるアルキル(又はアルケニル)鎖長を有するものの混合物でもよい。後者の場合には、ヤシ油、パーム核油から選ばれる植物油から誘導される混合アルキル(又はアルケニル)鎖長を有するものが好適である。具体的には式中のR2aがラウリル基(又はラウリン酸残基)とミリスチル基(又はミリスチン酸残基)のものの混合物であり、ラウリル基(又はラウリン酸残基)/ミリスチル基(又はミリスチン酸残基)のモル比が95/5〜20/80、好ましくは90/10〜30/70の混合物であることが、洗浄効果及び泡立ち性の点から好ましい。
【0045】
<(d)成分>
本発明の(d)成分は、(a)成分以外の水溶性有機溶媒であり、好ましくは炭素数1〜5の1価アルコール、及び炭素数4〜12の多価アルコールから選ばれる化合物である。具体的には、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる水溶性有機溶媒が好ましい。
【0046】
<(e)成分>
本発明の(e)成分は、ハイドロトロープ剤であり、好ましい化合物としては、炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換していてもよいベンゼンスルホン酸もしくはその塩を挙げることができる。(e)成分としては、クメンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸から選ばれる1種以上が好ましく、特にp−トルエンスルホン酸が、粘度調整の目的から好ましい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩又はマグネシウム塩が好適である。
【0047】
<その他成分>
本発明では、(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤(以下(f)成分という)を含有させることができる。具体的には(c)成分以外の両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0048】
両性界面活性剤(以下(f−1)成分という)は、液体洗浄剤の起泡力を高め、(c)成分を補助する目的から含有させることが好ましく、具体的には炭素数9〜18の炭化水素基を1つと、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を2つ有する、スルホベタイン型界面活性剤とカルボベタイン型界面活性剤を挙げることができる。より具体的には、下記一般式(3)の化合物が好ましい。
【0049】
【化2】
Figure 2005053971
【0050】
〔式中、R3aは炭素数9〜23のアルキル基又はアルケニル基であり、R3bは炭素数1〜6のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、bは0又は1の数である。R3c、R3dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R3eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基である。Dは−SO 、−COOから選ばれる基である。〕
一般式(3)において、R3aは、好ましくは炭素数9〜15、特に9〜13のアルキル基であり、R3bは、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基である。Bは−CONH−が好ましく、bは0又は1が好適である。R3c、R3dはメチル基、又はヒドロキシエチル基が好ましい。Dが−SO の場合にはR3eは−CHCH(OH)CH−が好ましく、Dが−COOの場合にはR3eはメチレン基が好ましい。
【0051】
非イオン界面活性剤〔以下、(f−2)成分という〕は、液体洗浄剤の洗浄力を向上させる目的、及び液体洗浄剤の貯蔵安定性を改善する目的から重要な界面活性剤の1つであり、好ましい具体的例としては、下記一般式(4)の化合物を挙げることができる。
【0052】
4a−E−[(R4bO)−H] (4)
〔式中、R4aは、炭素数7〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R4bは炭素数2又は3のアルキレン基である。eは2〜100、好ましくは4〜80、より好ましくは5〜50の数を示す。Eは−O−、−CON−又は−N−であり、Eが−O−の場合はfは1であり、Eが−CON−又は−N−の場合はfは2である。〕
一般式(4)の化合物の具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
【0053】
4a−O−(CO)−H (4−a)
〔式中、R4aは前記の意味を示す。gは2〜100、好ましくは4〜80、より好ましくは5〜50の数である。〕
4a−O−(CO)(CO)−H (4−b)
〔式中、R4aは前記の意味を示す。h及びiはそれぞれ独立に2〜70、好ましくは2〜50、より好ましくは3〜30の数であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム又はブロック付加体であってもよい。〕
【0054】
【化3】
Figure 2005053971
【0055】
〔式中、R4aは前記の意味を示す。j及びkの合計は3〜150、好ましくは4〜100、より好ましくは6〜50の数である。〕
陽イオン界面活性剤(以下(f−3)成分という)は、被洗浄対象物に好ましい感触を付与したり、液体洗浄剤に抗菌効果を付与する目的から使用することができるが、(b)成分とイオンコンプレックスを形成し、洗浄効果を減じる点、及び被洗浄対象物のぬるつきを助長する点などの問題があるため、使用する場合には注意を要する。
【0056】
具体的に使用することができる陽イオン界面活性剤としては、エステル基、アミド基、エーテル基で分断されていてもよい炭素数8〜18の炭化水素基が1つ又は2つと、残りが炭素数1〜3のアルキル基,炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又はベンジル基である4級アンモニウム塩、又は3級アミン、もしくは3級アミンの酸塩を挙げることができる。塩としては、ハロゲン塩、硫酸塩、脂肪酸塩が好適である。
【0057】
本発明では、(b)成分の陰イオン界面活性剤の乳化力を向上させ、洗浄効果を強化する目的から、マグネシウム〔以下、(g)成分という〕を配合することが好ましく、マグネシウムは塩又は遊離したイオンとして系中に存在するものであり、(b)成分の対イオンとして配合してもよく、また水溶性のマグネシウム化合物として配合することができる。水溶性マグネシウム化合物としては、化学便覧基礎編II(改定3版)166頁、表8.42、及び190頁、表8.47に記載のマグネシウム化合物において20℃における水への溶解度が1g/100g以上、好ましくは10g/100g以上の化合物が好適である。これらの中でも本発明では、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムが最も好適である。
【0058】
本発明の組成物には、ゲル化防止のための重合体、例えば特表平11−513067号公報に記載されているゲル化防止重合体〔以下、(h)成分という〕、とりわけポリアルキレングリコールを配合することが粘度調節及び貯蔵安定性の点から好ましい。
【0059】
ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が200〜3000のポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0060】
本発明では、好ましい香りを液体洗浄剤組成物に付与する目的から香料〔以下、(i)成分という〕を含有させることが好ましい。また、本発明において(b)成分として分岐鎖を有する陰イオン界面活性剤を用いる場合には香料成分の安定配合を考慮して、LogPowが1.8〜7、好ましくは1.8〜5、特に2.0〜4.5の範囲にある香料成分を用いることが好ましい。これらLogPowの規定を満たす香料成分を全香料中、30質量%以上、より好ましくは50質量%以上を占めることが望ましい。ここでLogPowとは、有機物質(この場合は香料成分)の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数であり、香料成分の分野では香料成分の性質を示す上で、よく利用されているものである。LogPowは1−オクタノール/水分配係数で、f値法(疎水性フラグメント定数法)により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数(f値)を積算して求められる(CLOGP3 Reference Manual Daylight Software 4.34, Albert Leo, David Weininger,Version 1, March 1994)。
【0061】
このようなLogPowを満足する香料成分としては、以下の化合物を挙げることができる(かっこ内の数値はLogPowの値を示す)。
【0062】
アセチルイソイオゲノール(3.0)、アリルヘプタノエート(3.4)、カンフェン(4.2)、シトラール(3.1)、シトロネラール(3.3)、シトロネロール(3.3)、シトロネリルアセテート(4.2)、シクラメンアルデヒド(3.5)、リモネン(4.4)、ゲラニオール(2.8)、ゲラリルアセテート(3.7)、ゲラニルニトリル(3.9)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.9)、α−ヨノン(3.7)、β―ヨノン(3.8)、1−メントール(3.2)、α−ピネン(4.2)、β−ピネン(4.2)、ターピネオール(2.6)、ターピノレン(4.4)、リナロール(2.5)、フェノキシエタノール(1.8)。
【0063】
これらの中でも特に組成物の外観を改善する目的で、リモネン、リナロール、ゲラニルニトリル、ターピノレン、シトラール、ゲラニオール、フェノキシエタノールが好ましい。また、リモネンは液体洗浄剤中に安定に香料成分を配合するために重要な香料成分であり、特に全香料中に30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含まれることが好ましい。
【0064】
また、上記以外にもイソアミルアセテート、シトロネリルニトリル、メチルベンゾエート、オイゲノール、ベンジルアルコール、cis−3−ヘキセノール、ジエチルマロネート、フェニルエチルアルコール、メチルヘプテノン、リナロールオキサイド、ジハイドロインデニル−2,4−ジオキシラン、クマリン、ヘキシルホルメート、ベンジルアセテート、アニスアルコール、l−カルボン、メントン、ターピノレン、チモール、カンファー、ボルネオール、ターピニルアセテート等の香料成分を用いることができる。
【0065】
本発明では(i)成分として天然植物精油を用いることもできる。具体的にはハッカ油、アーモンド油、カラムス油、ペパーミント油、スペアミント油、シンナモン油、バジル油、セージ油、オールスパイス油、クローブ油、タイム油、ローズマリー油、レモングラス油、レモン油、ユズ油、ライム油、グレープフルーツ油、マンダリン油、アジョワン油、ベルガモット油、ローレル油、スターアニス油、マジョラム油、メース油、ボアドローズ油、キャラウエイ油、パルマローサ油、レモンベルベナ油、レモンバーム油、ラベンダー油、ローズ油、オレンジ油、カシア油、カッシー油、ガーリック油、キャロットシード油、カヤブテ油、シソ油、シナモン油、樟脳油、セダーウッド油、バチュリ油、ヒノキ油、ヒバ油、米油、ベニーロイヤル油、リセアキュベバ油、ユーカリ油、ティーツリー油、イランイラン油、ベチバー油、カナンガ油、シトロネラ油、ナツメグ油、ペッパー油、サンダルウッド油、ジンジャー油、アニス油、メース油、フェンネル油等を挙げることができる。
【0066】
本発明ではこれら植物精油の中でもハッカ油、スペアミント油、バジル油、セージ油、ローズマリー油、レモングラス油、キャラウエイ油、キャロットシード油、ジンジャー油、ライム油から選ばれるものが液体洗浄剤に安定に配合することができるため好適である。
【0067】
本発明では本発明の効果を損なわない限り、通常液体洗浄剤に配合されている成分を配合することができ、例えば、香料成分、除菌成分、防腐剤、濁り剤、着色剤を挙げることができる。
【0068】
<液体洗浄剤組成物>
本発明は上記(a)成分〜(e)成分、及び所望により(f)成分、(g)成分、(h)成分、(i)成分を含有する、20℃における粘度が200〜800mPa・sの液体洗浄剤組成物である。
【0069】
また、高い洗浄力と洗浄力の持続性を付与する目的から、組成物を水で希釈した場合の粘度が希釈濃度100質量%未満、40質量%以上の範囲で1000mPa・sを越えず、希釈濃度40質量%の粘度が希釈濃度100質量%(未希釈を意味する)の粘度以上であり、且つ希釈濃度100質量%の粘度の3倍を越えない粘度特性を有する組成物が好ましい。
【0070】
本発明者らは、先願発明(特開2002−212600号公報)に希釈濃度10〜60質量%の範囲内に粘度の最大値が存在する液体洗浄剤が優れた洗浄力と洗浄力の持続性を実現できることを開示しているが、本発明の組成物は(a)成分を含有することにより、希釈濃度40質量%まで未希釈のものの粘度以下に維持でき(希釈濃度40質量%以上で未希釈のものの粘度以上になる。)、しかも高い洗浄効果を付与できる点で、先願発明にはない成分を含むことによる優れた効果を有するものである。
【0071】
本発明でいう粘度は、以下のようにして測定する。まずTOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBMに、ローター番号No.2のローターを備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに充填し20℃の恒温槽内にて20℃に調製する。恒温に調製された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を30r/mに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
【0072】
また、本発明において希釈濃度とは、液体洗浄剤組成物を水で希釈する場合の液体洗浄剤組成物の濃度を指す。例えば希釈濃度40質量%とは、液体洗浄剤40重量部と水60重量部を混合した場合の状態を指す。
【0073】
(a)成分は、組成物中に0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜8質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%含有され、このような範囲で優れた洗浄力と洗浄力の持続性を維持しながら、洗浄初期の泡立ちを改善し、しかも洗浄時又は濯ぎ時のぬるつきを軽減できる効果を得ることができる。
【0074】
(b)成分は、組成物中に15〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%含有され、(c)成分は、組成物中に1〜15質量%、好ましくは1.5〜12質量%、特に好ましくは2.0〜10質量%含有される。
【0075】
また、上記粘度挙動を呈し、洗浄力及び洗浄力の持続性を付与する目的から、(b)成分/(c)成分の含有量の質量比は、好ましくは2/1〜10/1、より好ましくは2/1〜9/1、特に好ましくは2.5/1〜8/1である。
【0076】
(d)成分及び(e)成分は、上記粘度挙動を呈し、洗浄力及び洗浄力の持続性を達成する目的から重要な成分である。
【0077】
(d)成分は、組成物中に0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜18質量%、特に好ましくは1.0〜15質量%含有され、(e)成分は、組成物中に0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.5〜8質量%であり、(d)成分及び(e)成分は合計で0.5〜25質量%、好ましくは1.0〜20質量%、特に好ましくは2.0〜18質量%含有される。
【0078】
また、(d)成分/(e)成分の含有量の質量比は、好ましくは1/1〜15/1、より好ましくは1/1〜10/1、特に好ましくは1.5/1〜8/1にすることが、上記粘度挙動を達成し、高い洗浄力と持続性を得るために好ましい。
【0079】
(f)成分は任意であるが、洗浄力、安定性、起泡性などに効果を有するため含有させることが好ましい。(f−1)成分は、起泡性の点から、組成物中に好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.3〜10質量%、特に好ましくは0.5〜8質量%含有され、(f−2)成分は、洗浄力の点及び安定性の点から、組成物中に好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.3〜10質量%、特に好ましくは0.5〜8質量%含有される。なお、(f−3)成分は、洗浄効果を低下させたり、被洗浄対象物のぬるつきを助長する傾向にあるため、組成物中に、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下にとどめる。
【0080】
(g)成分は、(b)成分と併用することで油への乳化力を向上させ、洗浄力を高めることができるため含有させることが好ましく、マグネシウムとして組成物中に、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%が好適である。
【0081】
(h)成分は、ゲル化防止機能を有する反面、上記粘度特性に影響する成分でもあるため、含有させる場合には注意が必要であり、組成物中に、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下にとどめる。
【0082】
(i)成分は、組成物に好ましい香りを付与する目的から含有させることが好ましく、組成物中に好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1.0質量%含有させる。
【0083】
本発明の組成物は、上記成分及び水を配合した水溶液の形態であり、水の含有量は、粘度の点から、好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは30〜60質量%、より好ましくは35〜60質量%、特に好ましくは35〜50質量%である。
【0084】
組成物の20℃におけるpHを6〜8、好ましくは6.5〜7.5にすることが、貯蔵安定性や皮膚への安全性の点から好ましい。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。いずれの化合物も、粘度特性に対し大きな影響のない範囲で配合される。
【0085】
<可撓性吸収体及び洗浄方法>
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物と水とを含浸させた可撓性吸収体を用いて硬質表面を洗浄する洗浄方法に適用できる。
【0086】
上記したような粘度特性を示す液体洗浄剤組成物は、可撓性吸収体に直接含浸させ、少量の水とともに、好ましくは硬質表面を被洗浄物とした場合に、被洗浄面を擦ることによって洗浄する洗浄方法に最適な液体洗浄剤組成物であり、とりわけ食器、調理器具に対する洗浄に関して優れた洗浄力と洗浄持続性を示す。
【0087】
ここで含浸とは、液体洗浄剤組成物が可撓性吸収体に染込むことを意味する。可撓性吸収体としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、セルロース、ポリアクリルアミド、ポリウレタンを原材料としたスポンジやたわしが好ましく、特にポリウレタン、セルロースを原材料としたものがよい。
【0088】
また、1回の洗浄工程に0.1〜2gの液体洗浄剤組成物を可撓性吸収体に含浸させることが好ましい。本発明の粘度特性を有する液体洗浄剤組成物を用いる場合、可撓性吸収体に対して水を含浸させる操作と液体洗浄剤組成物を含浸させる操作の順序は、何れが先であっても優れた洗浄持続性を得ることができ、継ぎ足し洗いにおいても同様である。
【0089】
【発明の効果】
本発明の液体洗浄剤組成物によれば、泡立ち性及び洗浄性が良く、洗浄時には食器や調理器具等の硬質表面のぬるつきが少なく、濯ぎ時にはぬるつきが速やかに除かれる。
【0090】
【実施例】
表1に示す成分を用いて液体洗浄剤組成物を調製した。これら組成物の泡立ち性、感触、洗浄力を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0091】
<泡立ち性の測定>
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体、キクロン)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が15gになるまで絞る。表1の組成物の1質量%水溶液30gをスポンジに染み込ませ陶器皿上に置く。スポンジと同じ大きさのプラスチックプレートを用いて皿上のスポンジを手で2回圧縮する。スポンジから出た泡をメスシリンダーに回収し泡の体積(ml)を測定する。
【0092】
<感触評価>
サラダ油に0.1質量%の色素(スダンレッド)を均一に混ぜ込んだモデル油汚れ1gを陶器皿に均一に塗り広げたものをモデル汚染食器とした。
【0093】
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体、キクロン)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が15gになるまで絞った後、表1の組成物1gと水道水30gを染み込ませる。モデル汚染食器上で上記スポンジを2〜3回手でもみ泡立たせた後、モデル汚染食器5枚を擦り洗いし、洗っている最中のぬるつきを下記基準で官能評価を行った。
【0094】
次に、擦り洗いしたモデル汚染食器を水道水ですすぎ、すすぎ最中のぬるつきのとれやすさ(ぬるつきがなくなるまでに要した時間の相対評価)を下記基準で官能評価を行った。
【0095】
[洗浄時のぬるつきの基準]
あまりぬるつかない:○
ややぬるつく:△
非常にぬるつく:×
[すすぎ時のぬるつきのとれやすさの基準]
すぐにぬるつきがとれる:○
ぬるつきがとれるまでにやや時間がかかる:△
ぬるつきがとれるまでに時間がかかる:×
<洗浄力試験>
サラダ油/牛脂(試薬)=9/1(質量比)混合油に、0.1質量%の色素(スタンレッド)を均一に混ぜ込んだモデル油汚れ0.5gをポリプロピレン製の皿に均一に塗り広げたものをモデル汚染食器とした。
【0096】
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体、キクロン)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が15gになるまで絞った後、表1の組成物1gと水道水30gを染み込ませる。モデル汚染食器上で上記スポンジを2〜3回手でもみ泡立たせた後、モデル汚染食器を擦り洗いし、洗浄(食器に付着した色が消えることにより確認)できた皿の枚数を求めた。
【0097】
<粘度の測定>
(液体洗浄剤組成物の粘度測定方法)
TOKIMEC INC.製B型粘度計モデルBMにローター番号No.3のローターを備えた付けたものを準備する。表1の液体洗浄剤組成物を粘度測定用ビーカーに充填し20℃の恒温槽にて20℃に調製する。恒温に調製された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を30r/mに設定し、回転をはじめてから60秒後の粘度を液体洗浄剤組成物の粘度とする。
【0098】
(希釈された液体洗浄剤組成物の粘度測定方法)
表1の組成物をイオン交換水又は蒸留水を用いて10質量%、20質量%、30質量%、40質量%50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、90質量%となるように希釈し、均一に攪拌する。希釈組成物を粘度測定用ビーカーに移し20℃の恒温槽にて20℃に調整する。恒温に調整された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を30r/mに設定し、回転をはじめてから60秒後の粘度を測定する。
【0099】
測定した粘度が希釈濃度90質量%〜40質量%以上の範囲で1000mPa・sを越えず、希釈濃度40質量%の粘度が未希釈の粘度以上、かつ未希釈の粘度の3倍を越えない粘度特性を有するものを合格、そうでないものを不合格とした。
【0100】
【表1】
Figure 2005053971
【0101】
(注)かっこ内の数字は、マグネシウムとしての組成物中の濃度(質量%)
【0102】
【表2】
Figure 2005053971
【0103】
(注1)かっこ内の数字は、マグネシウムとしての組成物中の濃度(質量%)
(注2)配合例1〜8の組成物は、pH(20℃)が6.6〜7.0の範囲であり、粘度(20℃)は、200〜800mPa・sの範囲である。
(注3)表中の記号は以下のものを表す。
・2EH−GE:2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル(多量体含量0.5質量%以下)
・2EH−AG:2−エチルヘキシルグリコシド(グルコース平均縮合度1.3)
・isoN−AG:イソノニルグリコシド(グルコース平均縮合度1.3)
・isoD−AG:イソデシルグリコシド(グルコース平均縮合度1.3)
・C6−GE:n−ヘキシルモノグリセリルエーテル
・C8−GE:n−オクチルモノグリセリルエーテル
・C10−GE:n−デシルモノグリセリルエーテル
・C8−AG:n−オクチルグリコシド(グルコース平均縮合度1.3)
・C10−AG:n−デシルグリコシド(グルコース平均縮合度1.3)
・ES−I:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔原料アルコールは、1−デセン及び1−ドデセン50/50(質量比)を原料にヒドロホルミル化して得られたアルコールである。このアルコールにEOを平均2モル付加させた後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した。全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム中の全ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸ナトリウムの割合は42質量%%であった。〕
・ES−II:ポリオキシエチレンココナッツアルキルエーテル硫酸アンモニウム(EO平均付加モル数2モル)
・ES−III:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(EO平均付加モル数4モル)
・AO−I:N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・AO−II:ラウリン酸アミドプロピルアミンオキサイド
・p−TS:p−トルエンスルホン酸ナトリウム
・スルホベタイン:ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン
・ノニオン−I:C12、C13混合アルキル2級アルコールに、EOを平均12モル付加させたもの(ソフタノール120、日本触媒株式会社製)
・ノニオン−II:アルキル基の組成が炭素数12/炭素数14=60/40(モル比)混合アルキルで、グルコシド平均縮合度1.5のアルキルグルコシド
・防腐剤:プロキセルBDN(アビシア株式会社社製)
・pH:1N−硫酸水溶液又は1N−水酸化ナトリウムを用いて調整した。

Claims (3)

  1. (a)2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル、下記一般式(1−1)の化合物及び下記一般式(1−2)の化合物から選ばれる化合物を0.1〜10質量%、(b)陰イオン界面活性剤を15〜50質量%、(c)アミンオキシド型界面活性剤を1〜15質量%、(d)(a)成分以外の水溶性有機溶媒を0.1〜20質量%、(e)ハイドロトロープ剤を0.1〜15質量%、及び水を含有し、20℃における粘度が200〜800mPa・sの液体洗浄剤組成物。
    1−1a−(OR1−1b (1−1)
    〔式中、R1−1aは2−エチルヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基から選ばれる基であり、R1−1bは炭素数2〜4のアルキレン基、Gは還元糖に由来する残基、aは平均値0〜6の数、bは平均値1〜5の数を示す。〕
    1−2a−(OR1−2ba’−OH (1−2)
    〔式中、R1−2aは2−エチルヘキシル基であり、R1−2bは炭素数2〜4のアルキレン基、a’は平均値2〜5の数を示す。〕
  2. (b)成分が炭素数10〜16のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
  3. (b)成分/(c)成分が質量比で2/1〜10/1である請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
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