JP2007031692A - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水性溶剤を含有する液体洗浄剤組成物において、より少ない界面活性剤量で優れた安定性と洗浄力を示す液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる1種のアルキル基を有する特定の化合物、(b)陰イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤、(c)20℃で液体の疎水性有機溶剤、並びに(d)水を、それぞれ特定比率で含有する液体洗浄剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は液体洗浄剤組成物に関する。特に硬質表面上の石鹸カス汚れ又は変性油汚れに対して優れた洗浄力を有し、且つ均質で、安定性に優れた硬質表面用液体洗浄剤組成物に関する。
テルペン系炭化水素やパラフィンなどの疎水性溶剤は皮脂汚れ、石鹸カス汚れ、変性油脂やグリース、油などの洗浄効果が優れるため、液体洗浄剤に広く利用されている。例えば、特許文献1にはテルペン化合物と界面活性剤を含有する油性汚れ除去用水分散性洗浄剤が開示されている。特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8にはテルペン化合物を含有する洗浄剤が開示されており、発明の詳細な説明や特許請求の範囲にはグリコールエーテル系溶剤を併用することが記載されている。特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12にはテルペン化合物とグリコール溶剤を含有する洗浄剤が開示されている。特許文献13、特許文献14、特許文献15にはテルペン系炭化水素と非イオン界面活性剤を含有する洗浄剤が開示されている。特許文献16には油と非イオン界面活性剤混合物を含有する洗浄剤が開示されている。また、特許文献17には、2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基の分岐鎖を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの非イオン性化合物、非イオン界面活性剤及び疎水性有機溶剤とを含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献18には、炭素数が3〜11であり且つ、2級〜4級炭素原子を有するアルキル基を有する非イオン性のポリオール化合物、疎水性有機溶剤及び水を含有する液体洗浄剤組成物が記載されている。特許文献19には、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテルまたはモノ2−エチルヘキサン酸グリセリドおよび水を含む洗浄剤組成物が開示されている。
特開2001−19999号公報 特開2001−98296号公報 特開2000−96086号公報 特開2000−303095号公報 特開平10−1698号公報 特開平6−336598号公報 特開平5−279699号公報 特表平9−509438号公報 特開2001−247449号公報 特開2001−342500号公報 特開平7−310099号公報 特開平5−320694号公報 特開2001−247899号公報 特開平9−59695号公報 特開平9−310100号公報 特表2003−522285号公報 欧州特許出願公開第1466960号明細書 欧州特許出願公開第1365013号明細書 特開2004−182760号公報
疎水性溶剤は、水との親和性が小さく、水性の組成物として用いる場合には一般に界面活性剤が併用される。硬質表面に付着した皮脂汚れや石鹸カスに対して優れた洗浄力を得るには、疎水性溶剤の本来の性質を妨げないように併用界面活性剤(複数の場合は組合せも含めて)を選定する必要がある。界面活性剤量の低減もまたコストの面から望まれる。本出願人は、以前、炭素数が3〜11、特には4〜8のアルキル鎖と複数のヒドロキシ基とを有するコンパクトな化合物及び界面活性剤が、疎水性溶剤の性質を十分に発揮させることを見出した(特許文献17及び18)。しかしながら疎水性溶剤の配合量を増量すると、安定化剤であるヒドロキシ基を有する化合物や界面活性剤濃度もまた高まってしまう。特許文献17は、疎水性溶剤と水との相分離などを避けるための安定性向上のために非イオン界面活性剤を使用している。疎水性溶剤を増量した場合、非イオン界面活性剤などの他の安定化剤もまた増量しないと、貯蔵安定性を確保し難く洗浄力の向上効果も低くなる。特許文献18には、グリコールエーテル等の水溶性溶剤を併用することで貯蔵安定性を高められることが記載されているが、疎水性溶剤が多い場合は、ポリオール化合物を減らすには限度がある。特許文献19は液体の疎水性有機溶剤を記載していない。
本発明の課題は、特定の疎水性溶剤を含有する液体洗浄剤組成物において、より少ない界面活性剤量で静置保存後も相分離しない均一な液相安定性(以下、単に安定性をいうことがある)と優れた洗浄力の両方を示す液体洗浄剤組成物を提供することにある。
本発明は、(a)下記(a1)及び(a2)から選ばれる一種以上の化合物〔以下、(a)成分という〕、(b)陰イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤〔以下、(b)成分という〕、(c)20℃で液体の疎水性有機溶剤〔以下、(c)成分という〕、並びに(d)水〔以下、(d)成分という〕を含有し、〔(a)+(b)〕/(c)(質量比)が2.5以下、(b)/(a)(質量比)が0.1以上、(a)/(c)(質量比)が0.1以上、〔(a)+(b)〕/界面活性剤総量(質量比)が0.7〜1である液体洗浄剤組成物に関する。
(a1):2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる1種のアルキル基を有し、炭素数2又は3のアルキレンオキシドの平均付加モル数が2〜6であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル〔以下、(a1)成分という〕
(a2):下記一般式(I)で示される化合物〔以下、(a2)成分という〕
Figure 2007031692
〔式中、R1は2−エチルヘキシル、イソデシル、イソノニル基から選ばれる1種のアルキル基である。〕
本発明によれば、より少ない界面活性剤量で、特に硬質表面上の石鹸カス汚れ又は変性油汚れに対して優れた洗浄力を有し、且つ均質で、安定性に優れた硬質表面用液体洗浄剤組成物が得られる。
<(a)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物の(a)成分は、本発明の(c)成分である疎水性有機溶剤と水との界面に配向しやすい性質を有する化合物である。(a)成分が一般的な界面活性剤と異なるところは、特定の分岐鎖アルキル基による疎水性部分と、且つ限定されたヒドロキシ基数による親水性部分のため、(a)成分は(c)成分に取り込まれにくい一方で、強固なミセルを形成しにくく、その結果、(c)成分である疎水性溶剤の油汚れに対するポテンシャルが失われないものと考えられる。
(a1)成分について以下詳しく説明する。(a1)成分の炭素数2又は3のアルキレンオキシドは、エチレンオキシド〔以下、EOと記す〕又はプロピレンオキシド〔以下、POと記す〕であるが、POは疎水性が強くなるため、POの平均付加モル数は0〜2が好ましく、EOを必ず含む構造が好ましい。本発明では、EOを主とするものが好ましく、特には全てのアルキレンオキシド基がEOであることがさらに好ましい。アルキレンオキシドの平均付加モル数は1〜6モル、好ましくは2〜4モルである。
2−エチルヘキシル基を有する(a1)成分としては、n−ブチルアルデヒドをアルドール縮合させた後、水素化して得られる2−エチル−1−ヘキサノールにアルキレンオキシドを付加することで得ることができる。
イソノニル基を有する(a1)成分としては、ジイソブチレンをオキソ法でヒドロホルミル化した後、水素化して得られるイソノニルアルコールにアルキレンオキシドを付加することで得ることができる。また、該イソノニルアルコールは、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールが主成分である。
イソデシル基を有する(a1)成分としては、ノネンをオキソ法でヒドロホルミル化した後、水素化して得られるイソデカノールにアルキレンオキシドを付加することで得ることができる。また、該イソデカノールは、各位置にメチル分岐を有する多くの異性体の混合物であり、代表的な構造としては8−メチル−1−ノナノールである。
本発明の(a1)成分としては、ポリエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(EO平均付加モル数=2〜6)が好ましい。
次に(a2)成分について詳細に記載する。(a2)成分の化合物は、R1OHで表されるアルコール化合物とエピハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物をBF3等のルイス酸触媒を用いて反応させて製造することができる。この反応には、WO-A98/50389号公報に記載のアルミニウム触媒を使用することもできる。本発明では特にR1OHとして2−エチル−1−ヘキサノールが好ましい。
(a2)成分の製造には、上記R1OHに上記触媒を用いてエピハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物を付加させる。一般にエポキシ化合物はR1OHに対して1〜5モル倍過剰に用いて反応するが、一般式(I)の化合物以外に一般式(I)の化合物にさらにエポキシ化合物が付加した多量体も生成する。本発明では多量体の共存を否定するものではないが、多量体/(a2)成分(質量比)を0.3以下、更には0.1以下、特には0.05以下になるように調整することが好適である。このような多量体の含有量の調整は、WO-A98/50389に記載の触媒を用いる方法や、蒸留などの精製操作を行うなどの方法で達成できる。また、多量体の質量比はガスクロマトグラフィーを用いて求めることが可能である。
以上説明した本発明の(a)成分は、水溶液中での(c)成分の疎水性溶剤の性質を変えることなく、且つ均一に分散させることを可能とする。
<(b)成分>
(b)成分のうち陰イオン界面活性剤としては、下記(b1)〜(b4)から選ばれる一種以上の化合物が挙げられる。
(b1):下記一般式(1b)で示されるアルキル硫酸エステル塩
2OSO32 (1b)
〔式中、R2は炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を示し、M2は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
上記アルキル硫酸エステル塩としては炭素数8〜22、好ましくは10〜14の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールをSO3又はクロルスルホン酸でスルホン化し、中和して得ることができる。
(b2):下記一般式(2b)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩
3(OCH2CH2nOSO33 (2b)
〔式中、R3は炭素数8〜22のアルキル基又はアルキルアリル基、nは0〜16の整数、M3は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、平均炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールに、EOを1分子当たり平均0.5〜5モル付加させ、これを例えば特開平9−137188号記載の方法を用いて硫酸化して得ることができる。アルキル基の平均炭素数は10〜16が好ましい。nは1〜5が好ましい。
(b3):下記一般式(3b)で表される脂肪酸又はその塩
4COOM4 (3b)
〔式中、R4炭素数7〜17の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を示し、M4は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
上記脂肪酸又はその塩としては、R4の炭素数は9〜15のものが好ましいが、安定性の点から9〜13が更に好ましい。脂肪酸、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩等を用いることができる。
(b4):下記一般式(4b)で表されるエーテルカルボン酸塩
5(OCH2CH2nOCH2COOM5 (4b)
〔式中、R5は炭素数8〜22のアルキル基又はアルキルアリル基、nは0〜16の整数、M5は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
上記エーテルカルボン酸塩は、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルコラートとモノクロル酢酸ナトリウムとを反応させて得ることができる。R5の炭素数は10〜14が好ましく、nは2〜15が好ましく、更に安定性の点から3〜12が好ましい。
また(b)成分の陰イオン界面活性剤としては、上記の(b1)〜(b4)に加え、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキル又はアルケニルコハク酸塩等も挙げることができる。α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数8〜18のα−アルケンをSO3でスルホン化し、水和/中和を経て生成することができ、炭化水素基中にヒドロキシ基が存在する化合物と不飽和結合が存在する化合物の混合物である。また、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩としてはアルキル基の炭素数は10〜16が好ましく、メチルエステル又はエチルエステルが洗浄効果の点から好ましい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩が好適である。ジアルキルスルホコハク酸エステル塩としては、アルキル基が共に2−エチルヘキシルのものが好ましく、ナトリウム塩が好ましい。アルキル又はアルケニルコハク酸塩としては、炭素数が10〜14のアルケニルコハク酸カリウム又はアルケニルコハク酸ナトリウムが好ましい。
また(b)成分のうち、両性界面活性剤としては、下記(b5)〜(b6)から選ばれる一種以上の化合物が挙げられる。
(b5):下記一般式(5b)で表されるカルボベタイン型界面活性剤
Figure 2007031692
〔式中、R6aは炭素数9〜23のアルキル基又はアルケニル基であり、R6bは炭素数1〜6のアルキレン基である。Dは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、fは0又は1の数である。R6c、R6dは、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R6eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基である。M6は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
上記カルボベタイン型界面活性剤としては、R6aの炭素数が10〜18のアルキルジメチルカルボキシメチルベタイン(式(5b)中のfは0、R6c、R6dは共にメチル基、R6eがメチレン基)、R6aの炭素数10〜18のアルキルアミドプロピルカルボベタイン(式(5b)中のDが−CONH−、R6bは炭素数3のアルキレン基、fは1、R6c、R6dは共にメチル基、R6eがメチレン基)を挙げることができる。アルキルジメチルカルボキシメチルベタインは、例えば炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンとモノクロル酢酸ナトリウムとを反応させて得ることができる。アルキルアミドプロピルカルボベタインは例えば炭素数10〜18の脂肪酸とジメチルアミノプロピルアミンとアミド化反応物にモノクロル酢酸ナトリウムを反応させて得ることができる。
(b6):下記一般式(6b)で表されるアミンオキサイド型界面活性剤
Figure 2007031692
〔式中、R7aは炭素数8〜16の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R7c、R7dは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R7bは炭素数1〜5のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、eは0又は1の数である。〕
上記アミンオキサイド型界面活性剤としては、R7aの炭素数が10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド(式(6b)中のeは0、R7c、R7dは共にメチル基)、R7aの炭素数が10〜18のアルキルアミドプロピルアミンオキサイド(式(6b)中のBが−CONH−、R7bは炭素数3のアルキレン基、eは1、R7c、R7dは共にメチル基)を挙げることができる。アルキルジメチルアミンオキサイドは、例えば炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンと過酸化水素等の酸化剤を反応させて得ることができる。アルキルアミドプロピルアミンオキサイドは、例えば炭素数10〜18の脂肪酸とジメチルアミノプロピルアミンとアミド化反応物を過酸化水素などの酸化剤で酸化して得ることができる。
(b)成分としては、安定化に必要な界面活性剤量を低減できるという点から、炭素数10〜14の直鎖又は分岐をもつアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜14の直鎖又は分岐をもつアルキル基を有し、EO平均付加モル数が1〜3のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜14のアルキル基を有する脂肪酸ナトリウム、炭素数10〜14のアルキル基でEO平均付加モル数が4〜10のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、炭素数10〜14のアルキルアミドプロピルカルボベタイン、及び炭素数が10〜14のアルキルジメチルアミンオキサイドが好ましい。これらのうちでも、炭素数10〜12の直鎖又は分岐をもつアルキル基を有するアルキル硫酸エステルナトリウム、炭素数10〜12の直鎖又は分岐をもつアルキル基を有し、EO平均付加モル数が1〜3のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステルナトリウム、炭素数10〜14のアルキル基を有する脂肪酸ナトリウム、及び炭素数10〜14のアルキル基でEO平均付加モル数が4〜10のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムが、更に好ましい。
<(c)成分>
本発明に用いる20℃で液体の疎水性有機溶剤は、一般的によく知られている下記式より求められる溶解度パラメーター(以下sp値)が10.0〜21.0、好ましくは14.0〜21.0、より好ましくは14.0〜19.0の有機溶剤であり、20℃の水に対する溶解度が0.5質量%以下のものである。sp値と水に対する溶解度がこの範囲にある疎水性有機溶剤を用いると優れた洗浄力を得ることができる。なお、sp値を求めるに当たっては、Hoy, K. L., The Hoy Tables of Solubility Parameters, Union Carbide Corporation, Solvents and Coatings Materials Division, South Charlston, WV (1985)
記載の数値を用いるものとする。
δ=(ΔH/V)1/2
δ;溶解度パラメーター(sp値)〔(J/cm31/2
ΔH;モル蒸発熱
V;モル体積
また上記の水に対する溶解度の測定方法としては、内径50mm高さ70mmの100mLビーカーに入れた50mL程度の水に疎水性溶剤を加えて、直径8mm長さ40mm程度の円筒状の回転攪拌子を用い600rpm程度で10分間攪拌後3時間静置したものを目視観察したときに、濁りや分離がないものを「溶解した」とする。
疎水性有機溶剤は、sp値が上記の範囲であれば、エーテル基、アミド基、エステル基等を有してもよい。(c)成分としては、例えば、全炭素数が6〜30の炭化水素、一価の脂肪族アルコール及びそのエステル、その他脂肪酸エステル、並びに脂肪族ケトン等を挙げることができる。本発明では、特に炭素数が8〜20、より好ましくは8〜15の炭化水素が好ましい。
炭化水素の具体例としてはオレフィン炭化水素、パラフィン炭化水素、芳香族炭化水素、及びテルペン系炭化水素を挙げることができる。
オレフィン炭化水素としては、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、テトラデセン、などの直鎖オレフィン化合物、ジイソブチレン、トリイソブチレンなどの分岐鎖オレフィン化合物、及びシクロヘキセン、ジシクロペンテンなどの環状オレフィン化合物を用いることができる。
パラフィン炭化水素としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカンなどの直鎖パラフィン化合物や、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソヘキサン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカンなどの分岐鎖パラフィン化合物、及びシクロヘキサンなどの環状パラフィン化合物を用いることができる。
芳香族炭化水素としてはトルエン、キシレン、クメンを挙げることができる。
テルペン系化合物としてはイソプレンの2量体であるモノテルペン化合物、3量体であるセスキテルペン化合物、及び4量体であるジテルペン化合物を用いることができる。具体的なテルペン化合物としてはα-ピネン、β-ピネン、カンフェン、リモネン、ジペンテン、テルピノーレン、ミルセン、β-カリオフィレン、セドレンが好適であり、特にリモネン、ジペンテン、テルピノーレンが好ましい。
本発明では特に直鎖パラフィン化合物、分岐鎖パラフィン化合物、モノテルペン化合物及びセスキテルペン化合物から選ばれる1種以上が好ましく、特にデカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、リモネン、ジペンテン、テルピノーレンから選ばれる1種以上が洗浄効果の点から好適である。
本発明の(c)成分はJIS K 2254による蒸留試験において50%留出する温度が150〜360℃、好ましくは170〜330℃のパラフィン化合物が好ましく、この留出温度がこの範囲にある化合物は匂いの問題がないだけでなく、安定性の点でも良好であり、且つ洗浄効果にも優れている。また、炭素数10〜20のノルマルパラフィン、炭素数10〜20のイソパラフィンが好ましく、特にイソパラフィンが匂いの点からより好ましい。具体的には、新日本石油化学(株)製のノルマルパラフィンSL(商標)、ノルマルパラフィンL(商標)、ノルマルパラフィンM(商標)、ノルマルパラフィンMA(商標)、ノルマルパラフィンH(商標)、日鉱石油化学(株)製のN−10(商標)、N−11(商標)、N−12(商標)、N−13(商標)、N−14(商標)、などのノルマルパラフィン、新日本石油化学(株)製のアイソゾール300(商標)、アイソゾール400(商標)、出光石油化学(株)製のIPソルベント1620(商標)、IPソルベント2028(商標)、IPソルベント2835(商標)、シェルジャパン社製のシェルゾール70(商標)、シェルゾール71(商標)、シェルゾール72(商標)などのイソパラフィンを挙げることができる。
(c)成分は、油の性質に近いものであり、当然、水よりも油汚れに対して優れた洗浄力を有する。具体的に(c)成分のみで油汚れの洗浄を行なう場合、変性油汚れを溶解することができ、対象表面からの汚れの除去を容易にすることができる。しかしながら(c)成分のみでの洗浄剤は、(c)成分自体が洗浄表面に残留するという問題があり、更には引火などの安全性、また経済性においても不利である。そこで、前記のように、界面活性剤を用いて(c)成分を分散させた系が考えられるが、単に界面活性剤で分散させただけでは、(c)成分の性質が変わってしまい本来の洗浄力を発揮することができない。本発明は(c)成分の疎水性溶剤の性質を阻害せずに、しかも従来よりも更に少量の界面活性剤(a)及び(b)で、このような疎水性溶剤を含む水系の洗浄剤組成物を完成させた。かつ驚くべきことに(a)と(b)という特定の界面活性剤の組合せを用いたことで、同じ(c)成分量であっても、安定化が可能な範囲で界面活性剤量((a)+(b)の総量)を少なくすることができ、高い洗浄力を発揮できる組成を確立したところに意義がある。
<(d)成分>
本発明の(d)成分は水であり、水に存在する微量の金属成分を除去したイオン交換水や蒸留水、もしくは次亜塩素酸塩や塩素で滅菌した滅菌水などを用いることができる。
<その他の成分>
本発明では、主に除菌力を向上させる目的から本発明の効果を妨げない程度に(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤(以下(e)成分という)を含有してもよい。界面活性剤は一般に洗浄剤に使用されることが知られているものから選ぶことができる。好ましい(e)成分としては陽イオン界面活性剤を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤としては、下記一般式(e1)〜(e3)の化合物を用いることが洗浄効果及び、除菌効果の点から好ましい。
Figure 2007031692
〔式中、R10a及びR11aは炭素数5〜16、好ましくは6〜14のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基であり、R10c、R10dは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Tは−COO−、OCO−、−CONH−、−NHCO−、又は
Figure 2007031692
である。gは0又は1の数である。R10bは、炭素数1〜6のアルキレン基、又は−(O−R10f)e−である。ここでR10fはエチレン基もしくはプロピレン基、好ましくはエチレン基であり、eは1〜10、好ましくは1〜5の数である。R10eは炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。また、R12a、R12b、R12c、R12dはこれらの内2つ以上(好ましくは2つ)は炭素数8〜12のアルキル基であり、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。さらにZ-は陰イオン基、好ましくはハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンである。〕
本発明の好ましい陽イオン界面活性剤としては下記のものを挙げることができる。
Figure 2007031692
本発明では、洗浄効果を向上させる目的、及び低温あるいは高温における(c)成分である疎水性溶剤の分離や白濁を抑制するなどの効果により、グリコール系溶剤(以下(f)成分という)を併用することが好ましい。具体的には下記一般式(f1)の化合物が好適である。
9a−(OR9b)f−OH (f1)
〔式中、R9aは炭素数1〜7、好ましくは2〜5の炭化水素基であり、fは1〜5、好ましくは1〜4の数であり、R9bは炭素数2又は3のアルキレン基である。〕
具体的に好ましい化合物としては以下のものを挙げることができる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数3〜5)モノメチルエーテル、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数3〜5)モノエチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜5)モノフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜5)モノベンジルエーテルが挙げられる。
本発明では(f)成分としてエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
本発明では洗浄力をさらに向上させる目的から金属封鎖剤(以下(g)成分という)を含有することが好ましい。本発明に用いられる金属イオン封鎖剤としては、
(1)フィチン酸などのリン酸系化合物またはこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩
(2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸などのホスホン酸またはこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩
(3)2-ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1-ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸などのホスホノカルボン酸またはこれのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩
(4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンなどのアミノ酸またはこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩
(5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸、アルキルグリシン−N,N−ジ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、セリン−N,N−ジ酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンコハク酸などのアミノポリ酢酸またはこれらの塩、好ましくはアルカリ金属塩、もしくはアルカノールアミン塩
(6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキメチル酒石酸などの有機酸またはこれらのアルカリ金属塩、もしくはアルカノールアミン塩
(7)ゼオライトAに代表されるアルミノケイ酸のアルカリ金属塩またはアルカノールアミン塩
(8)アミノポリ(メチレンホスホン酸)もしくはそのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、またはポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)もしくはアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩
を挙げることができる。
これらの中で、上記(2)、(5)、(6)及び(7)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、上記(5)、及び(6)からなる群より選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。具体的には、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、クエン酸3ナトリウムが特に好ましい。
本発明ではアルカリ剤(以下(h)成分という)を含有することが洗浄力の点から好ましい。アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。本発明で用いるアルカリ剤は特にモノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及びモルホリンが好ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物は、20℃におけるpHが2〜12、更に3〜11であることが、洗浄効果の点から好ましい。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、上記アルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムあるいは上記のアミン化合物から選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。また、使い勝手の点から本発明の組成物は20℃における粘度は1〜100mPa・s、好ましくは1〜50mPa・sが良好である。ここで本発明でいう粘度は20℃の恒温槽で試料を30分間熟成させた後、TOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBMを用いて測定したものである。
また、本発明の組成物には、ゲル化防止のためのポリアルキレングリコールを配合してもよい。ゲル化防止としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が500〜20000のポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールが好ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記成分の他、更に必要に応じて、通常の分散剤、キレート剤、ハイドロトロープ剤、香料、染料、顔料、防腐剤等を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
<液体洗浄剤組成物>
一般に非イオン型界面活性剤等を用いて乳化または分散させる方法はよく知られているが、HLB等を考慮して適当な非イオン型界面活性剤を用いても、疎水性溶剤である(c)成分の約3倍量(重量比)以上必要なのが通常で、更にその洗浄力は(c)成分の配合量から期待されるレベルではなく、極めて低減されたものになる。本発明によれば、疎水性溶剤(c)成分の同じ量を均一化するのに必要な特定の非イオン性化合物である(a)と陰イオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤である(b)の総量は、(c)の2.5倍(重量比)以下、特には1.75倍以下まで低減でき、かつ(c)本来の洗浄力が遺憾なく発揮される。(c)を均一透明化できる範囲においては、(a)と(b)との総量が少ないほど、高い洗浄力が得られる。本発明は、(c)成分を、その性質を損なわないように水溶液中に配合するために、前記2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる1種のアルキル基を有する特定の化合物[(a)成分]を用い、且つ界面活性剤の中でも特定のもの〔(b)成分〕を併用することで、これら問題を解決するに至ったのである。この作用機作は明確ではないが、(a)成分は、通常の界面活性剤と異なり、その疎水性と親水性のバランスと分岐の構造から、(a)成分単独で疎水性溶剤を内部に閉じ込めた構造の曲率の小さく強固なミセルを形成しにくく、そのかわり(b)成分と組合わさって曲率の大きく柔軟性のある界面膜を作り、比較的大きな構造体を形成しやすいと考えられる。構造体の大きさについては推測の域を出ないが、場合によってはバイコンティニュアス構造のように疎水性溶剤も連続層を形成していることも考えられる。
特開平6−306400号公報には、(1)トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル等の両親媒性溶剤、(2)炭化水素などの非極性溶剤ないし弱極性溶剤、及び(3)水等の極性溶剤から構成される近三臨界点組成物を洗浄剤として用いることが開示されているが、該公報技術の実施例に用いられている非極性ないし低極性溶剤の配合量は27〜47.6重量%と多い。また、特開2002−20791号公報には、バイコンティニュアス相を形成する液体洗浄剤が開示されている。しかしながら、使用している疎水性成分の極性が高く、十分な洗浄力を得ることができない。またWO01/059059は、記載の界面活性剤を用いる場合、強固なマイクロエマルションを作り油を安定化させるため、油及び界面活性剤の優れた洗浄性を十分に発揮させるものではない。
本発明によれば、(a)と(b)との組合せを用いることで、(c)成分の配合量は比較的少ない量(例えば20重量%以下)でありながら、高洗浄力を得ることができる。
また、本発明の構成を採用すると、上記(g)成分のような両親媒性溶剤を併用しても、疎水性溶剤の性質を変化させることなく、逆に(g)成分と疎水性溶剤の両者の洗浄効果を十分発揮できる。
以下に、本発明の特徴部分をまとめると、〔(a)+(b)〕/(c)(質量比)は、2.5以下、好ましくは2以下、更に好ましくは1.75以下であり、安定性の点から下限は好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。〔(a)+(b)〕/(c)(質量比)は数値が低いほど洗浄力に優れ、高いほど安定性に優れる。また、(b)/(a)(質量比)は0.1以上、好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上であり、上限は好ましくは100以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは2以下である。(a)成分に対して(b)成分を特定比率以上含有することで(a)成分の配合濃度を下げて且つ安定化を達成することができる。また(c)成分である疎水性溶剤の油汚れ洗浄力を十分発揮させるために(a)成分に対する(b)成分を含有比率は特定比率以下が好ましい。また、十分な安定性のために(a)/(c)(質量比)は0.1以上、好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上であり、上限は好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.2以下である。また、〔(a)+(b)〕/界面活性剤総量(質量比)は0.7以上、好ましくは0.9以上、更に好ましくは0.95以上であり、上限は1.0以下、すなわちすべての界面活性剤が(a)と(b)成分から構成されるものであってもよい。本発明では、(a)及び(b)以外の界面活性剤の併用は、安定性及び洗浄性を低下させる可能性があり制限される。ここで、「界面活性剤総量」には(a)成分量も含む。
本発明の組成物は、水を主溶媒とする液体洗浄剤組成物である。本発明の液体洗浄剤組成物は、(d)成分の溶媒中に(c)成分の疎水性溶剤としての性質を損なうことなく、且つ安定に配合するものであり、(a)成分が、安定化の為に配合される。しかしながら、(a)成分のみで安定化させると洗浄力は不十分であった。本発明では更に(b)成分を併用することで、(a)成分を増量した場合でも安定で且つ優れた洗浄力も発揮することができるようになる。なお(c)成分は(b)成分でミセルで可溶化させることができるが、(c)成分の疎水性溶剤の洗浄力が十分発揮できず、また界面活性剤自体の洗浄力も低下する。
本発明の液体洗浄剤組成物中の具体的な各成分濃度は、(c)成分は2〜25重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%、最も好ましくは5〜15%である。少なすぎると洗浄力が不十分で、多すぎると必要な活性剤((a)及び(b))量も増加し、経済的でない。(d)成分は20重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。少なすぎると経済的でない。95重量%以上になると薄すぎて十分な洗浄性能が発揮できない。
本発明において(e)成分は洗浄効果及び除菌効果を高める目的から含有させてもよく、組成物中に0.01〜1質量%、更に0.05〜2質量%が好適であるが、(a)成分及び(b)成分による安定化の観点や(c)成分本来の洗浄効果の観点から、〔(a)+(b)〕/界面活性剤総量(質量比)が0.7以上となるように(e)成分の配合量を考慮する必要がある。
本発明の(f)成分は洗浄効果を高め、且つ安定性を向上させる目的から含有することが好ましく、含有量は、組成物中に好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜15質量%がよい。
(g)成分、(h)成分は、洗浄効果を向上させる目的から、組成物中に(g)成分を好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.3〜8質量%、特に好ましくは0.5〜6質量%、(h)成分を好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜8質量%含有することが、洗浄効果の点から好適である。
本発明ではハイドロトロープ剤やゲル化防止剤などのその他の成分は、使用目的、安定性、使い勝手などを考慮して種類や配合量等を適宜設定することができる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、変性油脂やグリース、油などの疎水性汚れに高い洗浄効果を示すものであり、工業用途あるいは一般家庭用途のいずれにおいても使用することが可能であり、特に一般家庭用の浴室洗浄剤として、浴室の皮脂やシリコーン汚れなどを対象とした洗浄剤、台所洗浄剤として、レンジ廻りや換気扇などの変性汚れなどを対象とした洗浄剤に有効である。
以下の実施例で用いた配合成分を示す。
<配合成分>
・a−1:2−エチル−1−ヘキサノールにEOを平均2モル付加させた化合物
・a−2:イソノニルアルコールにEOを平均2モル付加させた化合物
・a−3:イソデカノールにEOを平均2モル付加させた化合物
・a−4:2−エチル−1−ヘキサノールにEOを平均1モル付加させた化合物
・a−5:2−エチル−1−ヘキサノールにEOを平均4モル付加させた化合物
・a−6:2−エチル−1−ヘキシルモノグリセリルエーテル
・a−7:イソデシルモノグリセリルエーテル
・a'−1:n−オクタノールにEOを平均2モル付加させた化合物
・a'−2:n−ドデカノールにEOを平均2モル付加させた化合物
・a'−3:n−オクチルモノグリセリルエーテル
・b−1:ドデシル硫酸エステルナトリウム
・b−2:ポリオキシエチレン(EO平均4モル付加物)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム(ドデシル基は直鎖)
・b−3:ドバノール23(商標)(三菱化学社製、炭素数12/13=1/1の混合物分岐鎖アルキル含有率が20質量%)に、EOを平均2モル付加させ、さらに硫酸化させた化合物(ナトリウム塩)
・b−4:デカン酸ナトリウム
・b−5:ラウリン酸ナトリウム
・b−6:パルミチン酸ナトリウム
・b−7:カオーアキポRLM−45NV(商標)(花王(株)製、ポリオキシエチレン(EO平均4.5モル付加物)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム(ドデシル基は直鎖))
・b−8:カオーアキポRLM−100NV(商標)(花王(株)製、ポリオキシエチレン(EO平均10モル付加物)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム(ドデシル基は直鎖))
・b−9:α−オレフィンスルホン酸ナトリウム(オレフィンは炭素数12)
・b−10:ペレックスOT−P(商標)(花王(株)製、ジアルキルスルホコハク酸、アルキルはともに2−エチルヘキシル)
・b−11:アンヒトール20BS(商標)(花王(株)製、n−ドデシルジメチルカルボキシメチルベタイン)
・b−12:アンヒトール20AB(商標)(花王(株)製、n−ドデシルアミドプロピルジメチルカルボキシメチルベタイン)
・b−13:アンヒトール20N(商標)(花王(株)製、n−ドデシルジメチルアミンオキサイド)
・b−14:ソフタゾリンLAO(商標)(川研ファインケミカル社製、n−ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド)
・c−1:ドデカン(sp=16.2)
・c−2:IP2028(商標)(出光石油化学社製イソパラフィン、sp=14.3)
・d−1:水
・e−1:N−オクチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド
・f−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
・g−1:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
・g−2:クエン酸
・h−1:水酸化ナトリウム
・h−2:モノエタノールアミン
実施例1
表1〜4の液体洗浄剤組成物を調製し、下記の評価方法により安定性及び洗浄力を調べた。結果を表1〜4に示す。なお、比較品の一部は、便宜的にa'−1、a'−2およびa'−3を(a)成分として、[(a)+(b)]/(c)、(b)/(a)、(a)/(c)および[(a)+(b)]/[(a)+(b)+(e)]を算出した。ただし、比較品1−13では、[(a)+(b)]/[(a)+(b)+(e)]は、[(a)+(b)]/[(a)+(b)+(e)+(a'−2)](分子の(a)にa'−2を含まないが、分母の(a)成分にはa'−2を含む)により算出した。
<評価方法>
(1−1)安定性
○;室温(10〜30℃)で1ヶ月以上静置しても相分離や白濁をおこすことなく、安定な透明溶液である。
×:同条件において相分離、白濁、沈殿をおこす。
(1−2)洗浄力(石鹸カス汚れ洗浄力)
3ヶ月間、実際に使用して石鹸カスが固着している洗面器(ポリプロピレン製)を、評価用の液体洗浄剤組成物を含ませたポリウレタン製のスポンジに約500gの荷重をかけて5往復こすった。この操作を20回行い、20回の平均値で表示した。
5:汚れ落ちが非常に良好
4:汚れ落ちが良好
3:汚れ落ちにムラがある
2:若干汚れが落ちる程度
1:殆ど汚れが落ちない
(1−3)洗浄力(変性油汚れ洗浄力)
天ぷら油10gを鉄板に均一に塗布し、180℃の温度30分間焼き付けた後、更に室温で3ヶ月間放置することにより殆ど乾いた膜を形成してモデル汚染板とした。液体洗浄剤組成物約0.5mLを水平に固定したモデル汚染板に滴下し、1分間放置した。その後、浮き上がった汚れを脱脂綿で軽く除去した。この操作を計20回行い、それぞれの洗浄の程度を目視により観察して下記の基準により評価し、20回の平均値で表示した。
5:完全な汚れ落ち
4:60%から80%程度の汚れ落ち
3:50%から60%程度の汚れ落ち
2:30%から50%程度の汚れ落ち
1:30%程度までの汚れ落ち
0:まったく汚れが落ちない
Figure 2007031692
Figure 2007031692
Figure 2007031692
Figure 2007031692
Figure 2007031692

Claims (5)

  1. (a)下記(a1)及び(a2)から選ばれる一種以上の化合物、(b)陰イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤、(c)20℃で液体の疎水性有機溶剤、並びに(d)水を含有し、〔(a)+(b)〕/(c)(質量比)が2.5以下、(b)/(a)(質量比)が0.1以上、(a)/(c)(質量比)が0.1以上、〔(a)+(b)〕/界面活性剤総量(質量比)が0.7〜1である液体洗浄剤組成物。
    (a1):2−エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる1種のアルキル基を有し、炭素数2又は3のアルキレンオキシドの平均付加モル数が2〜6であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル
    (a2):下記一般式(I)で示される化合物
    Figure 2007031692

    〔式中、R1は2−エチルヘキシル、イソデシル、イソノニル基から選ばれる1種のアルキル基である。〕
  2. (b)成分が下記(b1)〜(b4)から選ばれる一種以上の化合物である請求項1項記載の液体洗浄剤組成物。
    (b1):下記一般式(1b)で示されるアルキル硫酸エステル塩
    2OSO32 (1b)
    〔式中、R2は炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を示し、M2は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
    (b2):下記一般式(2b)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩
    3(OCH2CH2nOSO33 (2b)
    〔式中、R3は炭素数8〜22のアルキル基又はアルキルアリル基、nは0〜16の整数、M3は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
    (b3):下記一般式(3b)で表される脂肪酸又はその塩
    4COOM4 (3b)
    〔式中、R4炭素数7〜17の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を示し、M4は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
    (b4):下記一般式(4b)で表されるエーテルカルボン酸塩
    5(OCH2CH2nOCH2COOM5 (4b)
    〔式中、R5は炭素数8〜22のアルキル基又はアルキルアリル基、nは0〜16の整数、M5は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
  3. (b)成分が下記(b5)〜(b6)から選ばれる一種以上の化合物である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
    (b5):下記一般式(5b)で表されるカルボベタイン型界面活性剤
    Figure 2007031692

    〔式中、R6aは炭素数9〜23のアルキル基又はアルケニル基であり、R6bは炭素数1〜6のアルキレン基である。Dは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、fは0又は1の数である。R6c、R6dは、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R6eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基である。M6は水素原子、アルカリ金属、アンモニア又はアルカノールアミンを示す。〕
    (b6):下記一般式(6b)で表されるアミンオキサイド型界面活性剤
    Figure 2007031692

    〔式中、R7aは炭素数8〜16の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R7c、R7dは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R7bは炭素数1〜5のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、eは0又は1の数である。〕
  4. (c)成分がJIS K 2254による蒸留試験において50%留出する温度が150〜360℃のパラフィン化合物である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
  5. (c)成分の含有量が15質量%以下である請求項1〜4の何れか1項記載の液体洗浄剤組成物。
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