JP4791387B2 - 電機子 - Google Patents
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Description
そして、上記の通り従来の電機子のインシュレータでは、電機子コイルの1層目を整列して巻回するために、巻線巻装部に巻線案内溝を形成している。しかしながら、例えば機種変更により電機子コイルの種類が変わりその線径が異なる場合や、電機子コイルを巻回するテンションにより電機子コイルの線径が変化した場合には、その線径に応じた巻線案内溝を形成したインシュレータが必要となり、一種類のインシュレータでは対応できないという問題があった。そして、電機子コイルに応じた巻線案内溝を有するインシュレータを形成するためには、それに対応する金型の製作や、溝のないインシュレータに機械加工により溝を施す必要があり、特に多品種少量生産に対応する場合のコストアップの要因となる。
図1はこの発明の実施の形態1による回転電機の電機子の構造を示す正面断面図である。本実施の形態では、図示しない回転子と所定の空隙を介して配置され、固定子として機能する回転電機の電機子1を例に取り上げ説明する。
図1において、電機子1は、ヨーク部20と磁極ティース部21とからなる電機子コア片200を環状に配列した電機子コア2と、磁極ティース部21に巻回される電機子コイル3とを備えている。
電機子コア片200は、図2に示すように、電磁鋼板をプレスで打ち抜くとともに打ち抜いた鋼板を積層し、抜きカシメなどで鋼板同士を連結して形成されており、隣り合う電機子コア片200と当接する略矩形形状のヨーク部20と、ヨーク部20の周方向中央位置から径方向内側に突出する磁極ティース部21とからなり、磁極ティース部21は磁極ティース先端部21aを有している。そして各電機子コア片200は、各ヨーク部20に設けられた図示しない連結部により環状に連結され電機子コア2を形成している。そして、各電機子コア片200の積層方向両端側からは、磁極ティース部21を覆うように一対のインシュレータ4が装着されており、電機子コイル3は該インシュレータ4を介して電機子コア片200に巻回される。これにより、電機子コイル3と電機子コア2は電気的に絶縁される。
図3に示すように、突起部5は、フランジ部41aの積層方向側壁面から巻線巻回部40の積層方向端面に向かって傾斜する板状に形成されている。突起部5の先端は巻線巻回部40の積層方向端面から所定の隙間を有する位置まで延び、先端部が弾性変形時に積層方向端面に支えてしまわないようにしている。また、突起部5の先端は1層目の電機子コイル3を押圧する必要があるため、少なくともその先端(折り曲げ部分)が電機子コイル巻回時に1層目の最初のターンとなる電機子コイル3cに接触し押圧するように形成されている。図3の例では、1層目の電機子コイル3の押圧を確実にするため、その先端をさらに斜め下方向に傾斜するように折り曲げて形成されている。
図3(a)に示すように、電機子コイル3はヨーク部20側のフランジ部41a側から巻始められ、フランジ部41b側に向かって巻回される。図3(b)に示すように、電機子コイル3がフランジ部41bの壁面に到達すると1層目の最終ターンとなる電機子コイル3aはその前のターンである電機子コイル3bをフランジ部41a側に押しつけるようにして巻回される。その際、図3(c)に示すように、1層目の最初のターンとなる電機子コイル3cは突起部5が弾性変形することによりフランジ部41b側に押圧されるため、電機子コイル3の1層目は巻線巻回部40に隙間無く整列して巻回される。電機子コイル3の1層目が隙間無く整列して巻回されることにより、2層目以降は下層の電機子コイル3にガイドされて整列して巻回される。
また、もちろん、突起部5の形状は図2および図3に記載の形状に限られず、十分に弾性変形し、1層目の電機子コイル3を押圧することができればどのような形状であってもよい。
図4に示すように、本例では、突起部5がフランジ部41a側ではなく、磁極ティース先端部21a側のフランジ部41bに形成されるもので、フランジ部41bの積層方向側壁面のフランジ部41aに相対する側面の根元部に突起部5が突設されている。
本例の電機子コイル3の巻回工程について以下に詳述する。図4(a)に示すように、電機子コイル3はヨーク部20側のフランジ部41a側から巻始められ、フランジ部41b側に向かって巻回される。そして、図4(b)に示すように、電機子コイル3がフランジ部41bの突起部5に到達すると1層目の最終ターンとなる電機子コイル3aは突起部5を弾性変形させながら突起部5に沿って巻線巻回部40に挿入される。そして、突起部5が弾性変形することにより電機子コイル3aがフランジ部41a方向に押圧されるため、図4(c)に示すように、電機子コイル3の1層目は巻線巻回部40に隙間無く整列して巻回される。電機子コイル3の1層目が隙間無く整列して巻回されることにより、2層目以降は下層の電機子コイル3にガイドされて整列して巻回される。
また、このような構成は、電機子コイル3の線径にかかわらず電機子コイル3を隙間無く片寄せすることができるため、線径が異なる電機子コイル3に対して一種類のインシュレータ4で対応することができ、線径に応じたインシュレータを作製する必要がないため、生産性の向上、生産コストの低減を図ることができる。
また、インシュレータ4が一種類であれば、電機子コア2に別種類のインシュレータを誤装着することをがないという効果も有している。
また、突起部5はインシュレータ4と一体形成されるため、生産工程の削減をはかることができる。
このように突起部5とインシュレータ4とを別々に形成することにより、インシュレータ4自体の形状を単純化でき、インシュレータ4の成形上の制約が減少し、それに伴い作製費用の低減を図ることができる。
また、本実施の形態1では、電機子コア2はヨーク部20と磁極ティース部21とを有する複数の電機子コア片200を環状に連結することにより構成したが、これに限られるものではなく、例えば、環状のヨーク部材に複数の磁極ティースを所定間隔で固定することにより形成するような構成であっても良い。
図5は、この発明の実施の形態2による電機子コイル3の巻回工程を説明する電機子コア片200の側面図である。
上記実施の形態1ではインシュレータ4に形成された突起部5により電機子コイル3を一方方向に押圧する構成としていたが、本実施の形態2ではインシュレータ4の所定の位置に弾性変形するゴム部材6を配置することにより、電機子コイル3を押圧する構成とする。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されているため説明は省略する。
電機子コイル3の巻回工程について以下に詳述する。図5(a)に示すように、電機子コイル3はフランジ部41a側から巻始められ、フランジ部41b側に向かって巻回される。図5(b)に示すように、電機子コイル3がフランジ部41bの壁面に到達すると1層目の最終ターンとなる電機子コイル3aはその前のターンである電機子コイル3bをフランジ部41a側に押しつけるようにして巻回される。その際、図5(c)に示すように、1層目の最初のターンである電機子コイル3cはゴム部材6が弾性変形することによりフランジ部41b側に押圧されるため、電機子コイル3は巻線巻回部40に隙間無く整列して巻回される。電機子コイル3の1層目が隙間無く整列して巻回されることにより、2層目以降は下層の電機子コイル3にガイドされて整列して巻回される。
図6に示すように、本例では、ゴム部材6がフランジ部41a側ではなく、フランジ部41b側に設置されるもので、インシュレータ4において、巻線巻回部40の積層方向側端面とフランジ部41bとが交わる角部にゴム部材6が接着剤等により固着されている。
本例の電機子コイルの巻回工程を以下に詳述する。図6(a)に示すように、電機子コイル3はフランジ部41a側から巻始められ、フランジ部41b側に向かって巻回される。そして、図6(b)に示すように、電機子コイル3がフランジ部41bのゴム部材6に到達すると1層目の最終ターンとなる電機子コイル3aはゴム部材6を弾性変形させながらゴム部材6に沿って巻線巻回部40に挿入される。そして、ゴム部材6が弾性変形することにより電機子コイル3aがフランジ部41a方向に押圧されるため、図6(c)に示すように、電機子コイル3の1層目は巻線巻回部40に隙間無く整列して巻回される。電機子コイル3の1層目が隙間無く整列して巻回されることにより、2層目以降は下層の電機子コイル3にガイドされて整列して巻回される。
また、本実施の形態2では、電機子コア2はヨーク部20と磁極ティース部21とを有する複数の電機子コア片200を環状に連結することにより構成したが、これに限られるものではなく、例えば、環状のヨーク部に複数の磁極ティース部を所定間隔で固定することにより形成するような構成であっても良い。
上記実施の形態1および2における、インシュレータ4に設けられた突起部5およびゴム部材6は、上述の通り十分に弾性変形するため、電機子コイル3の線径にかかわらず電機子コイル3を一方方向へ押圧することができる。そのため、インシュレータを一種類化することができるが、本実施の形態3では、より占積率の高いインシュレータを得るために電機子コイル3の線径に応じて突起部5およびゴム部材6の形状や材質を変更するものである。この際もちろんインシュレータ4自体の設計変更は不要であり、突起部5およびゴム部材6の簡単な設計変更をするだけで、電機子コイル3の線径に応じたインシュレータ4を得ることができる。
3 電機子コイル、4 インシュレータ、40 巻線巻回部、
41a,41b フランジ部、5 突起部(弾性部材)、6 ゴム部材(弾性部材)。
Claims (5)
- 電磁鋼板を積層してなりヨーク部とティース部とを有する電機子コアと、上記磁極ティース部を覆うように装着される電機子コイル巻回し用の電機子のインシュレータと、上記インシュレータを介して上記電機子コアに巻回される電機子コイルとを備え、
上記インシュレータは、上記磁極ティース部を覆う巻線巻回部と、上記巻線巻回部の両側部に設けられたフランジ部と、上記磁極ティース部の積層方向端面を覆う上記巻線巻回部の両側部に位置する上記両フランジ部の相対する少なくとも一方の側面の根元部に配設され、相対する他方のフランジ部側面方向に上記電機子コイルの1層目を押圧する弾性部材とを備え、
上記電機子コイルの1層目は、上記巻線巻回部からの高さが均一となるよう略一直線上に整列されていることを特徴とする電機子。 - 上記弾性部材は、上記フランジ部側面に突設された弾性変形する突起部であることを特徴とする請求項1に記載の電機子。
- 上記弾性部材は、上記フランジ部側面に設置された弾性変形するゴム部材であることを特徴とする請求項1に記載の電機子。
- 上記弾性部材は、上記インシュレータと一体形成されたことを特徴とする請求項2に記載の電機子。
- 上記弾性部材は、上記インシュレータとは別部品であり、別々に形成された後、上記弾性部材が上記インシュレータに固定されたものであることを特徴とする請求項2または3に記載の電機子。
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