JP4787753B2 - 減速機付き駆動装置 - Google Patents
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Description
サーキュラスプライン20の内周面に内歯が形成され、フレクスプライン30の外周面にはサーキュラスプライン20の内歯と噛合可能な外歯が形成され、かつフレクスプライン30が半径方向に撓むことが可能になっている。フレクスプライン30の歯数はサーキュラスプライン20の歯数より僅かに少なく設定されている。
ウェーブジェネレータ40は、長径部分で可撓ベアリング50を介してフレクスプライン30を撓ませ、フレクスプライン30の外歯をサーキュラスプライン20の内歯と噛合させている。
第1リンク70と第2リンク90とは回動支持機構91で連結され、互いに回動可能になっている。第1リンク70と第2リンク90との回転中心に回転軸がくるように波動歯車装置60が装着されている。すなわち、サーキュラスプライン20が第2リンク90に固定される。そして、フレクスプライン30が第1回転軸30a(出力軸)において複数のボルト80によって第1リンク70に固定される。ウェーブジェネレータ40には第2回転軸40aが設けられ、第2回転軸40aは、第1回転軸30aに対して回転可能に支持され、第1回転軸30aを設けていない側に駆動力を伝達するためのプーリ61が固定されている。
ここで、ベルト62によって図示しないモータからの駆動力をプーリ61に伝えると、ウェーブジェネレータ40が駆動され、ウェーブジェネレータ40の回転にしたがってフレクスプライン30が減速して回転し、第1リンク70が回動される。
また、ウェーブジェネレータ40に駆動力を伝えるプーリ61は、ウェーブジェネレータ40と並んで第2回転軸40aに配置されることにより、回転軸方向の大きさが大きくなることが避けられず、用途によっては使用しにくい問題がある。
本発明は、前記従来の問題点に鑑み、波動歯車装置の軸方向の大きさを小さくし、減速機付き駆動装置のレイアウトの自由度を向上させるとともに、良好な応答性を有する減速機付き駆動装置を提供することを目的とする。
そして、波動発生手段は、モータのロータであるため、モータの出力を直接波動歯車装置の入力として利用でき、波動歯車装置がコンパクトになるとともに、波動歯車装置の入力部分の剛性が高くなり応答性を良好にすることができる。
さらに、ロータの回転速度に対して剛体歯車の回転速度が大きく減速されるため、例えば剛体歯車の回転軸を中空構造にし、そこに電気ハーネスなどを通しても電気ハーネスと回転軸の摺動速度が小さく、ハーネスが損傷される恐れも少なくなる。
また、第1の発明によれば、変形拘束部材により、ロータの変形が抑制される。また、ウェーブジェネレータの剛性を高くすることができる。
また、モータのロータは、可撓歯車より外周側にあるため、駆動力の入力のために、回転軸の一端または両端を用いる必要が無く、回転軸両端付近のレイアウトの自由度が向上する。
さらに、波動発生手段はモータのロータであり押圧部で可撓歯車を機械的に撓ませるため、剛体歯車の外歯と可撓歯車の内歯とを確実に噛合させることができる。
また、第1の発明によれば、変形拘束部材により、ロータの変形が抑制される。また、ウェーブジェネレータの剛性を高くすることができる。
波動歯車装置10は主として、剛体歯車としてのサーキュラスプライン1と、サーキュラスプライン1の外側に配置される可撓歯車としてのフレクスプライン2と、フレクスプライン2の外側に配置された波動発生手段としてのプーリ3で構成されている。
サーキュラスプライン1は、図2に示すように小径部の端部側の外周面に外歯1aが形成され、その中心部に貫通孔が設けられている。
フレクスプライン2は、半径方向に変形可能な可撓性を有する円筒状の部材で、その内周面に外歯1aと噛合可能な内歯2aが形成され、内歯2aを設けていない側の端部には剛性のフランジ2bが形成されている。サーキュラスプライン1の外歯1aはフレクスプライン2の内歯2aより歯数が少なく設定されている。
フレクスプライン2のフランジ2bの両側には図1に示すように、プーリ支持リング6とリンク8が配置され、プーリ支持リング6とリンク8は、フランジを挟んで円周方向に並んだ複数のボルト8aによって連結されている。フレクスプライン2は、フランジ2bを固定端として内歯2aが設けられた側を半径方向へ撓ませることができる。プーリ支持リング6は、図1に示すように第1ベアリング5を介してプーリ3を支持し、リンク8は第2ベアリング7を介してサーキュラスプライン1を支持している。
図4(a)では、プーリ3の内周面における短径部分で、サーキュラスプライン1の歯mとフレクスプライン2の歯nが噛み合っている。この噛み合い位置を噛合点aとして、プーリ3を反時計方向に90度回転させた場合、(b)に示すように、噛合点aがプーリ3の内周面における短径部分と同様に90度回転することになる。このとき、噛合点がずれることによって、歯mと歯nが噛み合わなくなる。そして、プーリ3をさらに90度、すなわち(a)の位置から反時計方向に180度回転させると、噛合点aも同様に180度回転することになる。このとき、フレクスプライン2の歯nが、サーキュラスプライン1の歯と再び噛み合うことになるが、サーキュラスプライン1の歯数がフレクスプライン2のそれより少ないため、サーキュラスプライン1の歯mが歯nからずれることになる。したがって、フレクスプライン2を固定した場合、プーリ3の回転速度に対して、サーキュラスプライン1の回転速度が大きく減速されることになり、波動歯車装置10を減速機として使用する場合、大きな減速比が得られる。
すなわち、出力軸に対する波動歯車装置10の配置位置は出力軸の端部だけでなく内側にも設定することもでき、そして内側に設定した場合には、波動歯車装置の両側から伸びた出力軸から駆動力を出力することもできる。
前記した基礎的形態としての波動歯車装置10を減速機として使用する場合、プーリ3をモータのロータとして形成し、モータの駆動力を減速してサーキュラスプライン1から直接に出力することで、駆動源と減速機を一体にしつつコンパクトにした装置を構成することができる。
本実施形態の減速機付き駆動装置10′は、図5に示すように外歯1a′が形成されたサーキュラスプライン1′の外側に、内歯2a′が形成されたフレクスプライン2′が配置され、フレクスプライン2′の外側には可撓ベアリング4を介してモータの回転軸の一例としてのロータ16が配置されている。ここでのロータとは、同軸上に固定して配置されたステータとの間で互いに吸引力または反発力などの磁力が作用されて回転されるものである。ロータには、永久磁石または電磁石が配置され、これらの永久磁石または電磁石は、対向するステータと電磁石または永久磁石との間で相互に力を及ぼし合う。
ロータ16は、内周面が楕円形状に形成され、その短径部分でフレクスプライン2′を撓ませ、フレクスプライン2′の内歯2a′をサーキュラスプライン1′の外歯1a′に噛合させている。すなわち、このロータ16は前記波動歯車装置10におけるプーリ3と同様にウェーブジェネレータとしての機能を発揮するものである。
ロータ16は、2つの第1ベアリング5によってケーシング15に回転可能に支持されている。ロータ16の外側に、ケーシング15に固定され、円周方向に形成された複数の突極にコイル17aが巻かれたステータ17が配置されている。このコイル17aに順次に通電することによって、ロータ16を挟んだ回転磁場を形成することができる。
図7に示すように、ロータ16には円周方向に等間隔に複数の永久磁石16aが配置され、したがって、ステータ17との磁気吸引または反発でロータ16が駆動力を得て回転することができる。
サーキュラスプライン1′の端部側にロータ16の回転速度を検出するエンコーダ18が設けられ、その回転円盤18aは、第3ベアリング19を介してケーシング15に回転可能に支持されるとともに、ロータ16と連結されている。
そして、ロータ16が回転するとき、エンコーダ18で回転円盤18aの回転角を示す情報が作成されるので、その情報を用いてロータ16の回転速度を検出することができる。
このように、ロータ16はウェーブジェネレータとしての機能をもつと同時に、ステータ17とでモータを構成し、モータにおける駆動力を出力する出力軸の機能も果たすので、駆動力を直接に減速して出力することができる。
まず、モータを軸の端部に設けることなく、外周側に配置して扁平型にしたので、軸方向の長さを短くすることができる。なお、従来の外歯を備えた可撓歯車で構成される波動歯車装置において、ウェーブジェネレータとロータ(アウターロータ)とを一体化した場合には、波動歯車装置の出力に比較してモータが小さすぎるため、実用的な装置とはならない。
そして、モータの回転を制御する場合に、モータから回転体までの間の剛性が低いと、制御を安定させるため速度ループゲインを大きくするのが難しいが、本実施形態では、ロータとウェーブジェネレータを軸で結合するのではなく、ロータ自体がウェーブジェネレータとなっていることから回転体までの弾性要素が無いとみなすことができ、速度ループゲインを高くして応答性を良好にすることができる。しかも、ロータが中空形状で径が大きいことから、ロータ自体の捩り剛性も高く、これによっても応答性が良好になる。
また、減速機付き駆動装置10′は、モータが中空構造となり、表面積が大きくなるため、冷却性能に優れ、高トルクを持続することが期待できる。
さらに、モータ、ウェーブジェネレータおよびフレクスプラインの3つが一体となっているので、サーキュラスプラインを備えたリンクにこの一体化された装置を挿入し、締結するだけで組立が可能であるので、部品点数・組立工数が削減され、低コスト化が可能となる。
また、従来は、モータとウェーブジェネレータのシャフト同士の締結で回り止めのキーを使用していたが、減速機付き駆動装置10′では、キーを使用する必要がないので、キー溝の疲労によるガタが発生することがない。したがって、ロータからウェーブジェネレータまでの運動の伝達経路においてガタを0にでき、前記したとおりウェーブジェネレータの応答性が良好になる上、騒音の低下や耐久性の向上も期待できる。
また、従来は、モータとウェーブジェネレータのシャフト同士の結合において、精度を要するテーパシャフトとテーパハウジングによる結合を行っていたが、減速機付き駆動装置10′では、そのようなテーパ加工は不要となり、加工工数の削減と低コスト化を実現することができる。
図9に示す減速機付き駆動装置10″は、図5の減速機付き駆動装置10′のサーキュラスプライン1′を、片持ち支持から両持ち支持に変更し、フレクスプライン2′を両側から配置したものである。このような両持ち支持は、波動発生手段をフレクスプライン2′の外周側に配置したことにより可能になっている。
減速機付き駆動装置10″は、幅広の外歯1a″が形成されたサーキュラスプライン1″の外周側に、内歯2a″が形成されたフレクスプライン2″が配置され、フレクスプライン2″の外周側には幅広の可撓ベアリング4を介してロータ16″が配置されている。
ロータ16″は、内周面が楕円形状に形成され、その短径部分でフレクスプライン2″を撓ませ、フレクスプライン2″の内歯2a″がサーキュラスプライン1″の外歯1a″に噛合されている。つまり、ロータ16″は図5のロータ16と同様にウェーブジェネレータとしての機能を有する。
サーキュラスプライン1″は、一端側、図9においては右側が第2ベアリング7′を介して第2の部材の一部である第2リンク106に回転可能に支持され、他端側、図9においては左側も第2ベアリング7′を介して第2リンク106に回転可能に支持されている。このようにサーキュラスプライン1″が両側で回転支持されることにより、減速機付き駆動装置10″をロボットの関節などの高トルクを要する関節として利用することができる。
なお、サーキュラスプライン1″は、第2リンクと一体になっている部材、例えばケーシング15により回転自在に支持されていてもよい。
そして、ロータ16″が回転するとき、エンコーダ18で回転円盤18aの回転角を示す情報が作成されるので、その情報を用いてロータ16″の回転速度を検出することができる。
このように、サーキュラスプライン1″およびフレクスプライン2″を両側で支持したことにより、図5の減速機付き駆動装置10′が有する利点に加え、高トルクの回転伝達が可能となる。また、同じトルク伝達力にしようとした場合には、減速機付き駆動装置10″の半径方向の大きさを小さくすることができる。
図10に示す減速機付き駆動装置10″は、図5の減速機付き駆動装置10′におけるステータ17に比べ、若干内径側に寄せて配置されたステータ171を有している。ステータ171は、コイル171aを有し、コイル171aへの通電により、モータの回転軸、すなわち第1リンク107と第2リンク106の互いの回転軸の方向に磁束を発生する。
ステータ171の図10における左右両側には、ステータ171を両側から囲む形でロータ161が配置されている。ロータ161は、ステータ171の両側に、永久磁石162,163を有している。永久磁石162,163も、前記回転軸に沿った磁束を発生しており、ステータ171への通電により、ロータ161が回転するように、ステータ171とロータ161とでいわゆるフラットモータを構成している。
ロータ161の永久磁石162,163は、フレクスプライン2″の内歯2a″と、サーキュラスプライン1″の外歯1a″が噛み合う部分の外周に配置されている。
そして、ロータ161は、フレクスプライン2″の内歯2a″と、サーキュラスプライン1″の外歯1a″が噛み合う部分の外周に位置する部分が厚く形成されているので、永久磁石162,163の剛性により、外歯1a″と内歯2a″とを、しっかりと噛み合わせることができる。また、第1ベアリング5,5は、ロータ161の両端付近の外周に嵌合されているので、ロータ161がフレクスプライン2″を押圧した反力として半径方向外側に広げられたとしても、第1ベアリング5,5が変形を拘束する変形拘束部材として機能するので、ロータ161の見かけ上の剛性が高く、外歯1a″と内歯2a″の確実な噛合を実現できる。さらに、第1ベアリング、5,5を、ロータ161の外周の中でも各永久磁石162,163の外周に嵌合させれば、ロータ161の見かけ上の剛性をさらに向上し、外歯1a″と内歯2a″の確実な噛合を実現できる。特に、本実施形態のように永久磁石162,163が外歯1a″と内歯2a″の外周部分に配置されているときは、効果的である。なお、変形拘束部材は、必ずしもベアリングである必要はなく、永久磁石162,163の外周に、リング状の部材を嵌合させてもよい。
また、ステータ171とロータ161とを、フラットモータの構成としたことで、ステータ171の外径が小さくなり、減速機付き駆動装置10″を小型にすることができる。
図11は、脚式移動ロボットにおける足の関節部分を示す断面図である。
図11に示すように、減速機付き駆動装置10′は、サーキュラスプライン1′の両端が、ボルト8aにより第2リンク12に結合されている。すなわち、第2リンク12はサーキュラスプライン1′と一体になっている。そして、第1リンク13は、図11における右側において、第2ベアリング7′によりサーキュラスプライン1′に回動可能に支持され、左側において、第2ベアリング7′により第2リンク12に回動可能に支持されている。なお、左右の第2リンク12,12は、上方で一体になっており、左右の第1リンク13,13は、下方で一体になっている。
このように、減速機付き駆動装置10′が動作する場合、サーキュラスプライン1′の両側で均等に駆動力を出力することができるので、第1リンク13と第2リンク12バランスよく回動させることができる。また、ロータ16自体がウェーブジェネレータとしての機能を有するため、ロータ16を高速で回転させ、応答性良く第1リンク13と第2リンク12とを互いに回動させることができる。
また、サーキュラスプライン1′の回転速度が低速であるため、その中央の貫通孔にハーネスを通しても、サーキュラスプライン1′との摺動で、ハーネスが損傷される恐れは少なく、ロボットの信頼性を向上させることができる。また、例えば減速機付き駆動装置10′を潤滑するための流体を流した場合でも、大きな遠心力で流体が貫通孔の壁面に付着して目的の部分に届かないという不具合もない。
Claims (6)
- 外周面に外歯が形成された円形状の剛体歯車と、
前記剛体歯車の外側に配置され、前記剛体歯車の外周長より大きな内周長を有するとともに、内周面に前記剛体歯車の外歯と噛合可能な内歯が形成された環状の可撓歯車と、
前記可撓歯車を半径方向に撓ませることにより前記可撓歯車の内歯を前記剛体歯車の外歯に噛合させるとともに、前記可撓歯車を撓ませる噛合位置を円周方向に移動させる波動発生手段とを備え、
前記波動発生手段は、モータのロータであり、
前記ロータの外周部に、前記ロータの変形を防ぐ変形拘束部材をさらに備えた
ことを特徴とする減速機付き駆動装置。 - 外周面に外歯が形成された円形状の剛体歯車と、
前記剛体歯車の外側に配置され、前記剛体歯車の外周長より大きな内周長を有するとともに、内周面に前記剛体歯車の外歯と噛合可能な内歯が形成された環状の可撓歯車と、
前記可撓歯車を半径方向に撓ませることにより前記可撓歯車の内歯を前記剛体歯車の外歯に噛合させるとともに、前記可撓歯車を撓ませる噛合位置を円周方向に移動させる波動発生手段とを備え、
前記波動発生手段は、前記可撓歯車の外側に前記可撓歯車に対して回転自在に配置され、前記可撓歯車を半径方向に撓ませるべく押圧する押圧部を備えた回転部材であり、
前記回転部材は、モータのロータであり、
前記ロータの外周部に、前記ロータの変形を防ぐ変形拘束部材をさらに備えた
ことを特徴とする減速機付き駆動装置。 - 前記ロータの外周側に、ロータを回転させるモータのステータが配置され、
前記剛体歯車は、第1の部材に結合されるとともに、両端部において第2の部材により回転自在に支持される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の減速機付き駆動装置。 - 同じ径の筒状部を有する前記可撓歯車を2つ有し、各可撓歯車の一端側を互いに向かい合わせて配置した上、各可撓歯車を前記剛体歯車に噛合させるとともに、各可撓歯車を他端側で支持した
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の減速機付き駆動装置。 - 前記ロータは、少なくとも内周が楕円形状をなすとともに複数の磁石が配置され、前記複数の磁石は、前記楕円形状の長軸または短軸を線対称軸として配置された
ことを特徴とする請求の請求項1または請求項2に記載の減速機付き駆動装置。 - 前記ロータは、前記モータの回転軸に沿った磁束を発生するように構成され、
前記ロータを回転させるステータは、前記ロータの磁束の発生部分に対面して配置されるとともに、前記回転軸に沿った磁束を発生するように構成された
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の減速機付き駆動装置。
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