地磁気の遮蔽を目的とする磁気シールドルーム(MSR)や変動磁界の遮蔽を目的とする磁気シールドクリーンルーム(MSCR)には、換気や設備配管のための開口部が壁、床、天井に設けられている。
例えば、図20の平面図に示すように、磁気シールドクリーンルーム200は、磁気遮蔽層の最内層204A、中間層204B、及び最外層204Cからなる3層の磁気遮蔽構造体204によって囲まれている。すなわち、磁気遮蔽構造体204によって、磁気シールドクリーンルーム200の壁、床、天井が覆われている。
また、磁気シールドクリーンルーム200の室内部240には、EB(Electron Beam)露光装置、SQUID(Superconductive Quantum Interference Device)磁束計(生体磁気計測装置)、電子顕微鏡等の磁気ノイズに影響を受け易い機器202が設置されている。そして、磁気シールドクリーンルーム200の床や壁を構成する磁気遮蔽構造体204に、複数の正方形の開口部206、208が設けられている。
これらの開口部206、208から外部磁界が室内部240に侵入するのを防ぐために、通常、磁性材料からなる角筒状のダクト210が取り付けられている。このダクト210は最外層204Cから突出され、その突出長さは開口部の一辺の長さの2〜3倍程度にするのがよいとされていた。
図21に示すように、特許文献1の磁気シールドルーム212には開口部214が設けられており、この開口部214に磁気遮蔽材の管216が取り付けられている。管216は、磁気シールドルーム212の外壁面から突出しており、先端部にフランジ218を有している。
よって、管216によって開口部214から侵入する外部磁界を低減すると共に、フランジ218により管216の先端部から開口部214に漏洩する磁界を低減するので、管216の長さを短くできる。
このような磁気シールドルーム212では、室内に設置されたEB露光装置や生体磁気計測装置等の機器を正常に機能させるために、図20の磁気シールドクリーンルーム200のように磁気遮蔽層を多層にするのが一般的である。
近年のデバイスの微細化、高密度化に伴い、EB露光装置等の機器に求められる漏洩磁界の条件も、従来の0.3μT以下から0.1μT以下へと益々厳しくなっている。また、生体磁気計測においても、心臓磁界や脳磁界の計測では微小な信号を扱わなければならない。
これらの描画や計測を電車や自動車等のノイズ源が多い都市部で行う場合、磁気シールドルームには特に高い磁気遮蔽性が求められるので、磁気シールドルームを多層にする傾向が強くなる。
また、これらの多層磁気シールドルームの開口部に対して、ダクトは図22や図23のように取り付けられることが多い。
図22(A)、(B)の平断面図では、磁気遮蔽構造体204を構成する磁気遮蔽層の最外層204Cから角筒状のダクト210Cが突設されている。そして、最外層204Cから突出するダクト210Cの長さLは、通常、ダクト210Cの内側開口部の一辺の長さhの2倍(L=2h)以上になっている。
ダクト210Cを最外層204Cから突設させればよいのでダクトの取り付けは容易であるが、しかし、図22(A)に示すように、ダクト210Cの側方からダクト210Cの軸方向と直交するように直流一様磁界BXが水平に印加された場合、磁気遮蔽構造体204の最内層204A、中間層204Bに伝わった外部磁界BXの磁束Pは、開口部208A、208B付近で拡散され室内部240に侵入してしまう。
また、図22(B)に示すように、ダクト210Cの正面から室内部240に向かって直流一様磁界BZが水平に印加された場合、磁気遮蔽構造体204の最内層204A、中間層204Bに伝わった外部磁界BZの磁束Pは、開口部208A、208Bから室内部240に侵入してしまう。
これらにより、開口部から室内部に侵入(漏洩)する外部磁界を効果的に低減することができない。
さらに、ダクト長を長くすると製造コストも高くなり、取り付け部も強固にしなければならない。また、最外層204Cの外側に突出させた分だけ余計な空間が多層磁気シールドルームの外側に必要となる。
図23(A)、(B)の平断面図では、磁気遮蔽構造体204を構成する磁気遮蔽層の最内層204A、中間層204B、最外層204Cから角筒状のダクト210A、210B、210Cがそれぞれ突設されている。そして、最外層204Cから突出するダクト210Cの長さLは、ダクト210Aの内側開口部の一辺の長さhと同じ(L=h)になっている。また、ダクト210A、210Bの最外層204Cからの突出長さは、ダクト210Cの最外層204Cからの突出長さと同じになっている。
よって、図23(A)に示すように、図22(A)と同様に直流一様磁界BXがダクト210Cの側方から印加された場合、各層に伝わった外部磁界BXの磁束Pがダクト210A、210B、210Cを伝って室外部242側へ誘導される。
しかし、図23(B)に示すように、図22(B)と同様に直流一様磁界BZがダクト210の正面から印加された場合、多くのダクト210A、210B、210Cが最外層204Cから突出しているために外部磁界BZの磁束Pを誘導して開口部に集めてしまい、この結果、室内部に余計な磁束を引き込んで、開口部から室内部240に侵入(漏洩)する外部磁界BZを効果的に低減することができない。
また、全ての層にダクトを取り付けると材料費が掛かると共に、取り付け手間が増えるので取り付けに時間が掛かり、施工費も高くなってしまう。特に、室外部242側から空調用のダクトを取り付けるのは困難な作業になるので、複数のダクトを取り付けることは非常に効率が悪い施工となる。
また、通常のダクトの施工は磁気遮蔽構造体204の組み立てが完了した後に行われるので、室内部240側からダクトを取り付ける場合には、図23(A)、(B)とは逆に、各層の開口部208A、208B、208Cの大きさを室外部242に向うに従って徐々に小さくする必要があるので、各層毎に開口部の大きさを変えなければならない。
さらに、このようなダクトを扉が設けられる開口部に用いた場合には、ダクト210A、210B、210Cの厚みにより、床面に対する段差が大きくなってしまうので、人や物等の出入りの邪魔になってしまう。
特に、半導体デバイス・マスク製造用の磁気シールドクリーンルームの場合には、換気量が大きいためにダクト数が多くなるので、この問題が顕著に表れる。
図24(A)に示すように、特許文献2の磁気シールド装置220には、開口部222の外部にシールド材のダクト224が取り付けられている。そして、図24(B)に示すように、このダクト224の内部にはシールド板226からなる立体格子228が設けられている。
よって、開口部222から侵入する磁気を低減することができる。
しかし、この磁気シールド装置220のダクト224は、開口部222の外部に設けられているので、多層の磁気シールドルームに用いた場合には、図22と同様の問題が生じてしまう。
また、図25に示すように、特許文献3の磁気シールドルーム230は、高透磁率合金の内部室232、中間室234、及び外部室236の壁面部からなる3層構造によって囲まれており、この壁面部に対して上下方向に傾斜した換気ダクト238が、内部室232、中間室234、外部室236に形成された通孔232A、234A、236Aを貫通するように設けられている。換気ダクト238は、磁気絶縁材料によって形成されている。
よって、通孔236Aが形成された外部室236の壁面に向って印加される外部からの磁気は、内部室232、中間室234、及び外部室236の壁面部に吸収、遮蔽される。
また、換気ダクト238から侵入した外部からの磁気は換気ダクト238に吸収されずに通孔236A、234Aを介して室内部に向かう。しかし、通孔236A、234Aは上下方向にずれて形成されているので、通孔236Aから侵入した磁気は次の中間室234に当たって吸収、遮蔽され、通孔234Aから侵入した磁気は次の内部室232に当たって吸収、遮蔽される。これにより、換気ダクト238から侵入する磁気を低減することができる。
しかし、多層磁気シールド構造において、このような斜めのダクトを設置するのは困難であり、また、開口部が上下方向にずれているので、ウエハ等の試料の出入口や窓として開口部を利用することができない。
また、多層磁気シールドルーム230に防振装置を設ける場合、この防振装置用基礎の脚部のための貫通孔は床部に垂直に形成する必要があるので、このような貫通孔に特許文献3の傾斜した換気ダクト238を用いることはできない。
さらに、特許文献3の換気ダクト238を空調の吹出口、吸込口に用いた場合、空調機から強制的に大量の空気を換気ダクト238に流そうとすると、斜めのダクトでは室内の気流分布が乱れてしまうので、磁気シールドクリーンルームの換気ダクトには適さない。
特開平11−186779号公報
実開平3−12497号公報
特開平7−122877号公報
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る多層磁気シールドルームについて説明する。
なお、本実施形態は、心臓磁界や心臓磁場等の生体磁気計測装置、電子線描画装置、電子線マスク描画装置、又はイオンビーム装置等の磁気ノイズに影響を受け易い機器が備えられた部屋を磁気遮蔽するさまざまな用途の多層磁気シールドルームへの適用が可能である。
まず、本発明の第1の実施形態に係る多層磁気シールドルームについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る多層磁気シールドルーム10の斜視図であり、図2は、図1のA−A断面図である。
図1に示すように、多層磁気シールドルーム10は、幅3400mm、奥行き3400mm、高さ4600mmの直方体であり、図2に示すように、複数の磁気遮蔽層としての最内層12A、中間層12B、及び最外層12Cからなる3層構造の磁気遮蔽構造体12によって囲まれている。すなわち、多層磁気シールドルーム10の壁、床、天井が、磁気遮蔽構造体12によって覆われている。最内層12A、中間層12B、及び最外層12Cの材料には、パーマロイが用いられている。
最内層12A、中間層12B、及び最外層12Cの厚さは2mmであり、層間距離は100mmとなっている。
多層磁気シールドルーム10の室内部14には、EB露光装置等の磁気ノイズに影響を受け易い機器16が設置されている。
さらに、多層磁気シールドルーム10の床部には、最内層12A、中間層12B、及び最外層12Cを貫通する正方形の開口部18A、18B、18Cが換気用に設けられている。
そして、開口部18A、18B、18C付近を拡大した図3(A)、(B)の平断面図、及び図3(C)の正面図に示すように、高透磁性材料によって形成された筒体としての角筒状のダクト20が、最内層12Aから開口部18B、18C内へ突設されている。ダクト20は、最内層12Aの壁面に対して垂直に真っ直ぐ張り出しており、最内層12Aのみに接合されている。すなわち、最内層12A以外の磁気遮蔽層である中間層12B、最外層12Cとダクト20とは接合されていない。ダクト20の材料には、パーマロイが用いられている。
ダクト20の内側開口部24の形状は開口部18A、18B、18C同様に正方形であり、内側開口部24の一辺の長さhは350mmとなっている。また、ダクト20の長さLは、内側開口部24の一辺の長さhと同じ350mm(L=h)となっている。
次に、本発明の第1の実施形態に係る多層磁気シールドルームの作用及び効果について説明する。
図3(A)に示すように、ダクト20の側方からダクト20の軸方向と直交するように水平に印加された外部磁界BXは、複数の磁気遮蔽層としての最内層12A、中間層12B、及び最外層12Cによって遮蔽される。このとき、最内層12Aに伝わった開口部18A付近の磁束Pは、ダクト20の外面方向、又はダクト20の先端方向へ流れる。
そして、ダクト20の外面方向へ流れた磁束Pは再び最内層12Aに戻り、ダクト20の先端方向へ流れた磁束Pもダクト20を媒体にして外面方向に流れた後に再び最内層12Aに伝達される。
ここで、ダクト20の先端部は最内層12Aの開口部18Aから離れた室外部22側に位置するので、ダクト20の先端方向へ流れた磁束Pがダクト20の内側に流れても室内部14には侵入しないか、又は侵入する磁束Pは少なくなる。
また、図3(B)に示すように、ダクト20の正面から室内部14に向って水平に印加される外部磁界BZの磁束Pは、ダクト20により最内層12Aに導かれる。
これらにより、開口部18A、18B、18Cから室内部14に侵入(漏洩)する外部磁界BX、BZを低減することができる。
また、1つのダクト20を最内層12Aから突設させるだけでよいのでダクト20の製作費が安くなり、また、取り付けが容易になるので工期短縮や施工費の低減を図ることができる。
また、ダクト20が最内層12A以外の磁気遮蔽層である中間層12B、最外層12Cと接合されていなかったり、又は軽く接触しているだけで接合状態になっていなくても、最内層12Aにさえダクト20が接合されていれば、高い磁気遮蔽性を開口部に与えることができる。よって、最内層12A以外の磁気遮蔽層である中間層12B、最外層12Cの開口部18B、18Cには高い加工精度を必要とせず、また、ダクト20と開口部18B、18Cの隙間を埋めなくてもよいので、施工がより容易になる。
また、最内層12Aから突設されたダクト20により、開口部に高い磁気遮蔽性を与えることができるので、大きな開口部を設けることが可能であり、扉を有さない出入口や窓として開口部を利用することができる。
なお、第1の実施形態の図3では、ダクト20の長さLを内側開口部24の一辺の長さhと同じ350mm(L=h)としているが、これに限らず、ダクト20の長さを短くしたり、図4、5のようにダクト20の長さをさらに長くしてもよい。
図4(A)の平断面図、及び図4(B)の正面図は、図3のダクト20の長さLを内側開口部24の一辺の長さhの2倍の700mm(L=2h)としたものであり、図5(A)の平断面図、及び図5(B)の正面図は、図3のダクト20の長さLを内側開口部24の一辺の長さhの3倍の1050mm(L=3h)としたものである。
ダクト20の長さを長くすれば、開口部18Aから室内部14に侵入する外部磁界BXの磁束Pを低減することができるが、最外層12Cからのダクト20の突出長さを大きくしてしまうと、外部磁界BZの磁束Pを誘導してダクト20に集めてしまい、開口部18Aから室内部14に侵入する磁界を大きくしてしまう。よって、最外層12Cからあまり突出させない方が好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態に係る多層磁気シールドルームについて説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態のダクト20が最外層12Cから突出していないものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図6(A)、(B)は第2の実施形態に係る多層磁気シールドルーム26の開口部18A、18B、18C付近を拡大した平断面図であり、図6(C)は正面図である。
高透磁性材料によって形成された筒体としての角筒状のダクト20が、最内層12Aから開口部18B内へ突設されている。ダクト20は、最内層12Aの壁面に対して垂直に真っ直ぐ張り出しており、最内層12Aのみに接合されている。すなわち、最内層12A以外の磁気遮蔽層である中間層12B、最外層12Cとダクト20とは接合されていない。ダクト20の材料には、パーマロイが用いられている。
ダクト20の長さLは、ダクト20の内側開口部24の一辺の長さhの1/2の175mm(L=h/2)となっている。すなわち、ダクト20の先端部が複数の磁気遮蔽層からなる磁気遮蔽構造体12の最外層12Cから突出していない。
次に、本発明の第2の実施形態に係る多層磁気シールドルームの作用及び効果について説明する。
第2の実施形態では、図6(A)、(B)に示すように、第1の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができ、また、ダクト20の先端部が、最外層12Cから突出していないので、ダクト20の正面から室内部14に向って外部磁界BZが印加されたときに、外部磁界BZの磁束Pを誘導してダクト20に集めることがなくなり、開口部18Aから室内部14に侵入(漏洩)する磁界をより低減することができる。
よって、ダクト20の正面から室内部14に向って印加される外部磁界BZに対して高い磁気遮蔽性を開口部に与えることができ、また、多層磁気シールドルーム26の室外部22にダクト20が突出する空間を必要としない。
なお、第2の実施形態では、ダクト20の長さLが内側開口部24の一辺の長さhの1/2の175mm(L=h/2)としているが、これに限らず、ダクト20の長さを短くしたり、図7(A)の平断面図、及び図7(B)の正面図のようにダクト20の先端部を最外層12Cと面一にしてもよい。
図7のダクト20の先端部は最外層12Cから突出しておらず、かつダクト20の長さは、最外層12Cから突出させない範囲で最も長くなっている。
これにより、開口部18Aから室内部14へ侵入する外部磁界BXをより低減することができ、また、ダクト20の正面から室内部14に向って印加される外部磁界BZに対しても高い磁気遮蔽性を開口部に与えることができるので、図7のダクト20は、より好ましい実施形態である。
次に、本発明の第3の実施形態に係る多層磁気シールドルームについて説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態のダクト20の内部に磁気誘導部材が設けられているものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図8(A)、(B)は第3の実施形態に係る多層磁気シールドルーム28の開口部18A、18B、18C付近を拡大した平断面図であり、図8(C)は正面図である。
高透磁性材料によって形成された筒体としての角筒状のダクト20が、最内層12Aから開口部18B内へ突設されている。ダクト20は、最内層12Aの壁面に対して垂直に真っ直ぐ張り出しており、最内層12Aのみに接合されている。すなわち、最内層12A以外の磁気遮蔽層である中間層12B、最外層12Cとダクト20とは接合されていない。ダクト20の材料には、パーマロイが用いられている。
ダクト20の長さLは、ダクト20の内側開口部24の一辺の長さhの1/2の175mm(L=h/2)となっている。すなわち、ダクト20の先端部が複数の磁気遮蔽層からなる磁気遮蔽構造体12の最外層12Cから突出していない。
さらに、ダクト20の内部に高透磁性材料によって形成された磁気誘導部材30が設けられている。この磁気誘導部材30は、厚みのある平板を直交させた立体格子になっており、ダクト20と同じ長さの奥行きを有する。材料にはパーマロイが用いられている。また、磁気誘導部材30はダクト20の内壁の少なくとも2箇所と接している。
次に、本発明の第3の実施形態に係る多層磁気シールドルームの作用及び効果について説明する。
第3の実施形態では、図8(A)、(B)に示すように、第1の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができ、また、磁気誘導部材30によってダクト20内部の磁気抵抗が小さくなり、この磁気誘導部材30を介して最内層12Cの開口部18A間の磁束Pの受け渡しが容易になるので、開口部18Aから室内部14に侵入する外部磁界BXをより低減することができる。
また、磁気誘導部材30を立体格子とすることによって、開口部18A、18B、18Cの強度を上げることができる。
なお、第3の実施形態では、ダクト20の長さLが内側開口部24の一辺の長さhの1/2の175mm(L=h/2)となっているが、これに限らず、ダクト20の長さを図9(A)の平断面図、及び図9(B)の正面図のように短くしたり、又は長くしてもよい。
第3の実施形態では、磁気誘導部材30によって外部磁界BXに対して、より高い磁気遮蔽性を開口部に与えることができるので、ダクト20の長さLをそれほど長くしなくてもよい。よって、最外層12Cから突出させなくてもよいので、ダクト20の正面から室内部14に向って印加される外部磁界BZに対して高い磁気遮蔽効果を発揮することができる。
また、第3の実施形態では、立体格子状の磁気誘導部材30の例を示したが、磁気誘導部材30はダクト20の内壁の少なくとも2箇所と接していればよく、ダクト20の正面図である図10(A)〜(F)のように、開口部の用途に応じて、磁気誘導部材をさまざまな形状にすることができる。図10(C)のように磁気誘導部材30を立体格子にすれば、開口部の強度を上げることができる。また、磁気誘導部材を構成する各部材は、平板状に限らず、丸棒状や角柱状等のさまざまな形状の部材を用いることができる。また、磁気誘導部材の奥行き長さは任意である。奥行き長さを長くした方が、より高い磁気遮蔽効果を開口部に与えることができる。
また、磁気誘導部材30の材料をパーマロイとしたが、高透磁性を有する材料であればよく、ミューメタル又は珪素鋼等の材料を磁気誘導部材に用いてもよい。これらの高透磁性を有する材料を用いれば、多層磁気シールドルームの開口部から侵入する磁界に対してより優れた磁気遮蔽効果を発揮することができる。
これまでに説明した第1〜第3の実施形態において、ダクト20は換気用の開口部だけでなく、電線管や配管等にも適用でき、図11の多層磁気シールドルーム32に示すような窓34や透明な扉(不図示)を開口部に設けることもできる。
一般に、多層磁気シールドルームに設けられた扉は、壁部を構成する複数の磁気遮蔽層に対応した磁気遮蔽層を複数有しているが、扉を設ける開口部にダクト20を適用することによって、1層のみの磁気遮蔽層を有する扉でも十分な磁気遮蔽効果を発揮させることが可能となる。これにより、扉の重量を軽くすることができるので、扉を設ける開口部やヒンジ等の扉の開閉機構をそれほど強固なものにしなくてもよくなる。
また、第1〜第3の実施形態の多層磁気シールドルームの開口部に高い磁気遮蔽性を与えることができるので、この開口部を大きくすることが可能である。よって、扉を有さない出入口や大きな窓を多層磁気シールドルームに設けることができる。
大きな開口部は、多層磁気シールドルーム内にいる技師や被験者等が感じるストレスを和らげることができ、アメニティーの向上が図れる。また、半導体工場等においては、密閉した室内を外部から見通せるので安全性の向上に寄与できる。
また、図3〜5では、最内層12Aにダクト20が接合されているので、ダクト20の長さをそれほど長くしなくても高い磁気遮蔽性を開口部に与えることができ、さらに、図6〜9では、最外層12Cからダクト20を突出させる必要がないので、多層磁気シールドルーム26、28の室外部22にダクト20が突出する空間を必要としない。
特に、防振装置用基礎の脚部のための貫通孔や換気用開口が、躯体床に載置された多層磁気シールドルームの床部にある場合には、躯体床と多層磁気シールドルーム床部の間に十分な隙間がないことが多い。このような場合には、多層磁気シールドルームの外側にダクトを突出させられないことがあるので、多層磁気シールドルームの外側へのダクトの突出長さが小さい、又はダクトを突出させない第1〜第3の実施形態は有効となる。
また、第1〜第3の実施形態では、一辺が350mmの正方形の開口部18A、18B、18Cを床部の1箇所に設けた例を示したが、他の形状及び寸法の開口部を床、壁、天井の任意の箇所に複数設けた場合においても、第1〜第3の実施形態を適用すれば、第1〜第3の実施形態と同様の磁気遮蔽性を開口部に与えることができる。
また、第1〜第3の実施形態において、ダクト20の内側開口部24の一辺をhとしたときに、ダクト20の長さをh/2以上とすれば、ダクト20の先端方向へ流れた磁束Pがダクト20内側に流れても室内部14には侵入しないか、又は侵入する磁束は少なくなる。
また、ダクト20の長さが2h以上になると、磁気抵抗が大きくなって先端まで磁束が流れて行かないので、開口部から侵入する外部磁界を低減する効果はこれ以上はあまり大きくならない。
よって、ダクト20の長さをh/2以上2h以下とすることによって、開口部から室内部に侵入する外部磁界を低減することができ、また、ダクト20の長さを無駄に長くすることがなくなる。
また、第2の実施形態で示したように、ダクト20の長さは最外層から突出させないようにして、かつできるだけ長くした方がよいので、ダクト20の長さは、h/2以上h以下であることが好ましく、hであることがより好ましい。
また、第1〜第3の実施形態では、角筒状のダクト20の例を示したが、筒体であればよく、円筒状や矩形の断面を有する筒体を用いてもよい。
この場合、ダクトの内側開口部の形状が矩形のときの内側開口部の長辺の長さ、又はダクトの内側開口部の形状が円形のときの直径をhとすれば、ダクトの長さは、先に述べたダクト20の場合と同様に、h/2以上2h以下であればよく、h/2以上h以下であることが好ましく、hであることがより好ましい。
後述する実施例で、第1〜第3の実施形態で示した正方形の内側開口部を有する角筒状のダクト20において、これらの効果は検証されている。
ここで、ダクトの内側開口部の形状が矩形の場合、矩形の長辺の長さをhとした内開口面積は、一辺の長さをhとした正方形の内開口面積よりも小さくなる。また、ダクトの内側開口部の形状が円形の場合、円形の直径をhとした内開口面積と、一辺の長さをhとした正方形の内開口面積はそれほど大きくは違わない。
開口部から侵入する外部磁界は開口面積と共に大きくなる傾向があるので、正方形の内側開口部を有する角筒状のダクト20において高い磁気遮蔽性を開口部に与えられることが検証されていれば、開口面積がほぼ同じかそれ以下となる円形又は矩形の内側開口部を有するダクトにおいても開口部に十分な磁気遮蔽性を与えられるものと考えられる。
また、第1〜第3の実施形態では、ダクト20が最内層12Aの壁面に対して垂直に真っ直ぐ張り出して設けられ、最内層12Aのみに接合されている例を示したが、上下又は左右方向に斜めに張り出していても、ダクト20が曲がっていてもよい。さらに、最内層12A以外の他の層(第1〜第3の実施形態では、中間層12B、最外層12C)に接合されていてもよい。最内層12Aがダクト20と接合されていれば、他の層の少なくとも1つの層がダクト20と接合されていてもよいし、軽く接触していてもよい。ダクト20と最内層12Aの磁気遮蔽層との接合は、一般的なボルト、ナットやリベットによる締め付けによって行われる。
また、第1〜第3の実施形態では、3つの磁気遮蔽層12A、12B、12Cによる3層構造の磁気遮蔽構造体12によって囲まれた多層磁気シールドルーム10、26、28の例を示したが、2層、4層等の他の層数や、さまざまな層厚、層間隔の磁気遮蔽構造体を有する他の多層磁気磁気シールドルームにおいても、最内層からダクトを突設させることによって第1〜第3の実施形態と同様の磁気遮蔽効果を得ることができる。施工が容易な第1〜第3の実施形態は、層の数が多くなるほど、より効果を発揮することができる。
また、第1〜第3の実施形態では、筒体としてのダクト20の材料をパーマロイとしたが、高透磁性を有する材料であればよく、ミューメタル又は珪素鋼等の材料を用いてもよい。これらの高透磁性を有する材料を用いれば、多層磁気シールドルームの開口部から侵入する磁界に対してより優れた磁気遮蔽効果を発揮することができる。
(実施例)
図12、13は、第1〜第3の実施形態で示した多層磁気シールドルーム10、26、28に外部磁界を印加したときの開口部から室内部に侵入する磁界を有限要素法による三次元磁界解析シミュレーションを用いて数値化したものである。
磁気遮蔽層としての最内層12A、中間層12B、最外層12Cを形成するパーマロイの比透磁率を15000とし、多層磁気シールドルーム10、26、28の外部から5μTの外部磁界BX、BZを印加した。
図12には、ダクト20の側方からダクト20の軸方向と直交するように外部磁界BXを水平に印加したときの開口部18Aの開口面中心から室内部14側への距離d(mm)(横軸)に対する、その地点の磁界強度の値(縦軸)が示されている。磁界強度の値は、その地点の磁界強度Bnを外部磁界BXで割った値(Bn/BX)である。よって、Bn/BXの値が大きいほど室内部に漏洩する磁界、すなわち開口部から侵入する外部磁界が大きいことになる。
図12の符号36A、38A、40A、42A、44A、46A、48A、50A、52A、54A、56Aは、図14、16、15、6(A)、9、7、3(A)、4、5、8(A)、17のようにダクト20を設けた場合の値をそれぞれ示している。
図13には、ダクト20の正面から室内部14に向って外部磁界BZを水平に印加したときの開口部18Aの開口面中心から室内部14側への距離d(mm)(横軸)に対する、その地点の磁界強度の値(縦軸)が示されている。磁界強度の値は、その地点の磁界強度Bnを外部磁界BZで割った値(Bn/BZ)である。よって、Bn/BZの値が大きいほど室内部に漏洩する磁界、すなわち開口部から侵入する外部磁界が大きいことになる。
図13の符号36B、38B、40B、42B、44B、46B、48B、50B、52B、54B、56Bは、図14、16、15、6(B)、9、7、3(B)、4、5、8(B)、17のようにダクト20を設けた場合の値をそれぞれ示している。
図14、15、16、17は、比較例として示したものであり、図14(A)の平断面図、及び図14(B)の正面図は、開口部18A、18B、18Cのみでダクトが設けられていない場合である。
また、図15(A)の平断面図、及び図15(B)の正面図では、パーマロイで形成された角筒状のダクト20が、中間層12Bから突設されている。ダクト20は、中間層12Bの壁面に対して垂直に真っ直ぐ張り出しており、中間層12Bのみに接合されている。ダクト20の長さLは、ダクト20の内側開口部24の一辺の長さhと同じ350mm(L=h)となっている。
また、図16(A)の平断面図、及び図16(B)の正面図では、パーマロイで形成された角筒状のダクト20が、最外層12Cから突設されている。ダクト20は、最外層12Cの壁面に対して垂直に真っ直ぐ張り出しており、最外層12Cのみに接合されている。ダクト20の長さLは、ダクト20の内側開口部24の一辺の長さhと同じ350mm(L=h)となっている。
また、図17(A)の平断面図、及び図17(B)の正面図では、最内層12A、中間層12B、最外層12Cから、パーマロイで形成された角筒状のダクト20A、20B、20Cがそれぞれ突設されている。ダクト20A、20B、20Cは、最内層12A、中間層12B、最外層12Cの壁面に対してそれぞれ垂直に真っ直ぐ張り出している。そして、最外層12Cから突出するダクト20Cの長さLは、ダクト20Aの内側開口部の一辺の長さhと同じ350mmとなっている。また、ダクト20A、20Bの最外層12Cからの突出長さは、ダクト20Cの最外層12Cからの突出長さと同じになっている。
まず、図12に示すように、符号36A、38A、40A、42A、44A、46Aにおいては、開口部(d=0mm)から室内部14側に離れるに連れて磁界強度が減衰していくことがわかる。そして、長さLが350mmのダクト20を最外層12Cから設けた符号38A、中間層12Bから設けた40A、最内装12Aから設けた符号48Aを比べると、ダクト20を最内層12Aから設けた符号48Aが他のものよりも開口部付近(最内層からの距離dが0mmから200mm程度までの範囲)の磁界強度の減衰が、かなり大きくなっていることがわかる。また、この符号48Aと各層にダクト20が設けられている符号56Aを比べても大差がない。
これにより、外部磁界BXに対しては、最内層からダクトを設ければ(ダクトが最内層に接合されていれば)高い磁気遮蔽性を開口部に与えることができ、また、製造コストが掛かって施工も面倒な図17(符号56A)よりも図3のダクト20(符号48A)の配置の方が有効であることがわかる。
また、最内層12Aからダクト20を設けた場合において、ダクト20の長さLが175mmの符号42A、ダクト20の長さLが200mmの符号46A、ダクト20の長さLが350mmの符号48A、ダクト20の長さLが700mmの符号50A、ダクト20の長さLが1050mmの符号52Aを比べると、ダクト20の長さLが大きいほど、磁界強度の減衰も大きくなる。
しかし、48A、50A、52Aの磁界強度の減衰効果に大差がなく、ダクト20の長さを大きくし過ぎても効果的でないことがわかる。これは、ダクト20を長くすると磁気抵抗が大きくなり、ダクト20の先端まで磁束Pが流れないので、十分な減衰効果が発揮されないためと考えられる。
また、符号42A、46A、48A、50A、52Aの中で最も磁界強度の減衰が小さい符号42Aでも、ダクトを有さない符号36A、及び最外層12Cや中間層12Bのみにダクト20が設けられている符号38A、40Aと比べると減衰がかなり大きいことがわかる。
これにより、外部磁界BXに対しては、ダクトの内側開口部の一辺の長さをhとしたときに、ダクトの長さLをh/2(=175mm)以上2h(=700mm)以下とすれば開口部に高い磁気遮蔽性を与えることができ、また、ダクトの長さLはh/2(=175mm)以上h(=350mm)以下であることが好ましく、h(=350mm)であることがより好ましいことがわかる。
また、長さが175mmのダクト20の内部に磁気誘導部材30を設けた場合の符号54Aは、同じ長さで磁気誘導部材30が設けられていない符号42Aに比べて、磁界強度の減衰がかなり大きくなっていることがわかる。
さらに、長さが87.5mmのダクト20の内部に磁気誘導部材30を設けた場合の符号44Aの磁界強度の減衰の大きさは、これよりも長いダクト20を有するが磁気誘導部材30が設けられていない符号42Aとほぼ同じになっている。
これにより、外部磁界BXに対しては、ダクトの内部に磁気誘導部材を設けることによって、開口部に高い磁気遮蔽効果を与えられることがわかる。
次に、図13において、長さLが350mmのダクト20を最外層12Cから設けた符号38B、中間層12Bから設けた符号40B、最内装12Aから設けた符号48Bを比べると、最内層からの距離dが0mmから200mm程度までの範囲では、図12のときと同様の傾向が見られる。
これにより、外部磁界BZに対しては、最内層からダクトを設ければ(ダクトが最内層に接合されていれば)高い磁気遮蔽性を開口部に与えられることがわかる。
また、最内層12Aからダクト20を設けた場合において、ダクト20の長さLが175mmの符号42B、ダクト20の長さLが200mmの符号46B、ダクト20の長さLが350mmの符号48B、ダクト20の長さLが700mmの符号50B、ダクト20の長さLが1050mmの符号52Bを比べてみると、最内層からの距離dが300mm以上の位置の磁界強度の値は、符号50B、52Bが大きくなってしまう。これは、ダクト20の正面から室内部に向って外部磁界BZが印加されたときに、外部磁界BZの磁束Pを誘導してダクト20に集めてしまい、十分な減衰効果が発揮されないためと考えられる。
これにより、外部磁界BZに対しては、最外層からの突出長さが小さい方が、高い磁気遮蔽性を開口部に与えられることがわかる。
また、長さが175mmのダクト20の内部に磁気誘導部材30を設けた場合の符号54Bは、同じ長さで磁気誘導部材30が設けられていない符号42Bに比べて、磁界強度の減衰がかなり大きくなっていることがわかる。また、符号54Bは、最内層12Aからの距離dが300mm以上の範囲において、室内部14に引き込む磁界が小さくなっていることがわかる。
さらに、長さが87.5mmのダクト20の内部に磁気誘導部材30を設けた場合の符号44Bの磁界強度の減衰は、これよりも長いダクト20を有するが磁気誘導部材30が設けられていない符号42Bよりもかなり大きくなっている。
これにより、外部磁界BZに対しては、ダクトの内部に磁気誘導部材30を設けることによって、開口部に高い磁気遮蔽効果を与えられることがわかる。
これまで述べたように、外部磁界BX、BZに対して、開口部付近及び開口部から離れた地点における磁界強度の減衰を大きくする(開口部から侵入する外部磁界を効果的に低減する)には、ダクトを最内層に接合し、かつ最内層から突設させて、最外層から突出しないようにする。
また、ダクトの内側開口部の長辺の長さ又は直径をhとしたときのダクトの長さLをh/2以上2h以下とする。
さらに、ダクトの長さLはh/2以上h以下とするのが好ましく、hとするのがより好ましい。すなわち、図7のダクト20の配置がより好ましい実施形態である。
そして、ダクト20の内部に磁気誘導部材30を設ければ、磁界強度の減衰効果をより高くする(開口部からの外部磁界の侵入をより小さくする)ことができる。
図18、19は、開口部の大きさの違いによる開口面中央地点Mの磁界強度の大きさを図12、13と同様の解析シミュレーションによって求めたものである。
図18には、ダクト20の側方からダクト20軸方向と直交するように外部磁界BXを水平に印加したときのダクト20の長さL(mm)(横軸)に対する、開口部18Aの開口面中心地点Mの磁界強度の値(縦軸)が示されている。磁界強度の値は、地点Mの磁界強度Bnを外部磁界BXで割った値(Bn/BX)である。よって、Bn/BXの値が大きいほど室内部に漏洩する磁界、すなわち開口部から侵入する外部磁界が大きいことになる。また、図18(A)はダクト20の内側開口部の一辺の長さhを80mm、図18(B)はダクト20の内側開口部の一辺の長さhを350mm、図18(C)はダクト20の内側開口部の一辺の長さhを500mmとしたときの値である。
図18(A)〜(C)に示すように、ダクト20の長さLがh/2以上2h以下の範囲内においては、符号58A、60A、62Aの磁界強度は0.03以下と小さく、これによって、外部磁界BXに対しては、開口部の大きさに影響されずに高い磁気遮蔽効果が得られることがわかる。
図19には、ダクト20の正面から室内部14に向って外部磁界BZを水平に印加したときのダクト20の長さL(mm)(横軸)に対する、開口部18Aの開口面中心地点Mの磁界強度の値(縦軸)が示されている。磁界強度の値は、地点Mの磁界強度Bnを外部磁界BZで割った値(Bn/BZ)である。よって、Bn/BZの値が大きいほど室内部に漏洩する磁界、すなわち開口部から侵入する外部磁界が大きいことになる。また、図19(A)はダクト20の内側開口部の一辺の長さhを80mm、図19(B)はダクト20の内側開口部の一辺の長さhを350mm、図19(C)はダクト20の内側開口部の一辺の長さhを500mmとしたときの値である。
図19に示すように、ダクト20の長さLがh/2以上2h以下の範囲内においては、符号58B、60B、62Bの磁界強度は0.3以下と小さく、これによって、外部磁界BZに対しては、開口部の大きさに影響されずに高い磁気遮蔽効果が得られることがわかる。