JP2013008012A - 吸音構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】建築施工面や意匠面での要求に適合しつつ、低周波数範囲の吸音を行う吸音構造体を提供する。
【解決手段】吸音構造体1は、複数の開口部30を有した板状部材10と、剛体壁40と、板状部材と剛体壁との間に設けられた背後空気層20と、を備える。吸音構造体1は、開口部30に接続された延長部材50をさらに備え、かつ、延長部材50の少なくとも延長部50が背後空気層20内に収容されていることを特徴とする。開口部30が孔形状又はスリット形状を成すことが好ましい。延長部50は、背後空気層20の厚さLよりも長いことが好ましく、また、延長部50の少なくとも一部に折り返し部が形成されていることが好ましい。また、延長部材50と、これに隣接する延長部材50と、を連結する連結部材50をさらに備えることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸音構造体に関し、特に低い周波数範囲で吸音作用を有する吸音構造体に関するものである。
コンサートホール等の公共施設や家屋等の居住空間等では、静かな空間が求められる。このような施設や家屋には、通常、エアコンやヒートポンプ等の空調機器や機械設備が設置されるが、これらの機器や設備の稼働運転に伴う騒音がしばしば問題となる。また、近隣の工場や建物施設の大型機械設備からの騒音による問題が生じることもある。これらの機器や設備から発生した騒音は、ブーミングと呼ばれる低い周波数範囲(100〜200Hz程度)での耳障りな音であり、部屋(居住空間)中で籠り易いからである。
なお、従来からの一般的な吸音対策として、吸音材料等の吸音構造体を建築構造に設置することが挙げられる。これらの吸音構造体は、その吸音機構によって、基本的に、(1)多孔質型、(2)板(膜)振動型、(3)共鳴器型の類型に分類される(非特許文献1)。
特に、低周波数範囲における吸音対策は、実質的には板振動型吸音構造体に殆ど依存しているが、この種の構造体を用いた場合の吸音率は高くなく、十分な吸音効果が得られていなかった。
ところで、複数の貫通孔が配列された板状部材、いわゆる孔あき板(有孔板あるいは穿孔板と呼ばれることもある。)は、吸音を行う建築材料として一般に良く利用されている(特許文献1〜3を参照)が、通常の天井高さで孔あき板を設置した場合には、吸音が表れる周波数は中音域(200Hz〜3kHz)以上であるため、上述したような低い周波数範囲での吸音には利用されていない。
この孔あき板は、上述した類型のうち、共鳴器型(ヘルムホルツ共鳴器)の吸音機構を採用するものであるが、より低い周波数での吸音効果を得るには、ヘルムホルツの理論式から(1)孔あき板の板厚を大きくすること、(2)孔あき板とその背後の剛体壁との間の空間(「背後空気層」とも呼ぶ。)の容積を大きくすること(通常、背後空気層の厚さを増加すること)、(3)孔と孔とのピッチを大きくすること、の3つの方策が考えられる。
しかしながら、通常入手可能な孔あき板の板厚や孔のピッチは規格化されており、その板厚やピッチを変更することは容易ではない。加えて、孔あき板の板厚や背後空気層の厚さの増加は、建築コストの増大のみならず居住空間の減少につながるため、採用は困難である。また、孔あき板の孔は、共鳴現象を得るために所定値以上の開口率を有する必要が有り、従って、安易にピッチを拡大することは出来ない。
なお、孔あき板の板厚はヘルムホルツ共鳴器のネック部の長さに相当するため、上記(1)の方策を応用したものとして、孔あき板の板厚自体は変更せずに、円筒部品等を各孔に追加してこのネック部を居住空間(部屋)側に延長することも考えられる。しかしながら、追加部品が人の目につくようになり、意匠面での要求に合致しない。
このように、建築施工面や建築意匠面での制約から、これらの方策の採用は困難であり、孔あき板を利用した低い周波数範囲の吸音は現実的ではなかった。
なお、特許文献1又は2には、孔あき板と、遮音材又は多孔質吸音材と、を組み合わせた構成が開示されているが、上記問題の解決(極めて低い周波数範囲での吸音)を目的とするものではない。また、特許文献3は、孔あき板より更に居室空間側に空気層を介して目隠し板(スリット板)を付加して広帯域の吸音を目的としたもので、同様に上記問題の解決を目的とするものではない。
また、特許文献4については説明の便宜上、後述する。
特開2009−249904号公報 特開2001−3483号公報 特開2004−219555号公報 特開平8−30277号公報
前川純一 他2名著、「建築・環境音響学」、第2版、共立出版株式会社、2000年9月25日、p.72−92
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、建築施工面や意匠面での要求に適合しつつ、低周波数範囲の吸音を効果的に行う吸音構造体を提供することを目的とする。
また、本発明は、市販の孔あき板等、通常入手可能な吸音材料を利用し、簡易に施工もできる吸音構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の末、(1)通常の孔あき板の孔に対して円筒部品を背後空気層側に嵌め込む(つまり埋設する)ことでもヘルムホルツ型の共鳴効果が得られること(すなわち、板全体の板厚や空気層の厚さを増加することなく低い周波数範囲で優れた吸音効果を得られること)、(2)円筒部品の長さを任意に設定することで吸音を行う周波数を変更・調節すること、及び、(3)このような構成は建築施工面や意匠面での制約を受けにくいこと、等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の構成・特徴を備えるものである。
複数の開口部を有した板状部材と、
前記板状部材と前記板状部材に対向する壁体との間に設けられた空気層と、
を備えた吸音構造体であって、
前記開口部の長さを延長するように前記開口部に接続された延長部材をさらに備え、かつ、前記延長部材の少なくとも延長部が前記空気層内に収容されていることを特徴とする吸音構造体。
ここで、板状部材に対向する壁体には、後述する実施例に示す剛体壁の他、開口部の無い板状部材が含まれる。また、空気層には、以下の実施形態にて後述する背後空気層が含まれる。
ところで、特許文献4には、開口部が設けられた遮音板とこれに対向する他方の遮音板との間の空気層を形成した遮音壁構造が開示されている。具体的には、一方の遮音板の幾つかの開口部(例えば、ある列に並んだ開口部)には、他方の遮音板に向かって垂直に延びた延長部が設けられた構造が開示されている。
しかしながら、特許文献4の遮音壁構造と本発明の吸音構造体とは、下記のように、解決しようとする目的や課題を異にするものであるだけでなく、基本的構造も全く異なるものである。
(1)そもそも特許文献4の遮音技術はエンジンルーム等からの騒音の遮音を目的とし、本発明は室内天井等での吸音を目的とする。
(2)また、特許文献4に開示の遮音壁構造は自動車エンジンルームのアンダーカバー等への用途を想定しているため、騒音抑制の他に放熱も同時に行う必要がある。従って、この遮音壁構造は、空気が一方の遮音板から入って他方の遮音板から抜ける通気構造(つまり、エンジンルーム付近の空気を逃がす構造)を採用する。従って、双方の遮音板には開口部(貫通孔)が設けられ、これらの開口部を通して空気が抜けるようになる。
これに対して、本発明の吸音構造体においては、孔あき板に対向する物体は剛体壁もしくは孔の無い平板(板状部材)であり、空気を逃がす通気構造を採用するものではない。つまり、上述した吸音メカニズムであるヘルムホルツ共鳴器は、本発明の吸音構造体のように閉鎖された空間が必要であるため、通気構造を採用する特許文献4に開示の遮音壁構造は、そもそもヘルムホルツ共鳴器を構成せず、本発明が奏するような吸音効果は得られない。
(3)また、特許文献4に開示の遮音壁構造は、二つ以上の2自由度の振動系を形成させるために、遮音板間の空気層内にハニカム構造体などの区画壁を設けて、この空気層を細かく分割し、かつ、この区画壁で隣接した一方の空間を、他方の空間と比較して、空間の容積を変えたり、延長部をさらに設けたりする必要がある。これに対して、本発明の吸音構造体は上述したような区画壁で背後空気層を分割する必要がなく、かつ、孔あき板に内径の異なる孔を配設したり、所定の列の空間群に対応する孔だけに延長部を設けたりする必要はない。
以上のように、特許文献4に開示の遮音壁構造と本発明の吸音構造体とは、目的、用途、及び内部構造に加え、音を抑制するメカニズムを異にするものであって、本発明が解決しようとする課題や手段に全く関連するものではない。
本発明によれば、この吸音構造体には、市販の孔あき板等、通常入手可能な吸音材料が使用されるとともに、低周波数範囲の吸音効果を主に担う延長部材が孔あき板背後の空気層(背後空気層)に収容され、低周波数範囲にて高い吸音効果を奏するため、建築施工面、建築意匠面、及び吸音性能面の各要求に合致した吸音構造体が提供される。さらに、本発明の好適な態様によれば、実際の建築現場に簡易に施工可能な吸音構造体が提供される。
本発明の一実施形態の吸音構造体を示した図である。 本発明の別の実施形態の吸音構造体を示した図である。 ネック部位置が共鳴周波数に及ぼす影響を検討するための試験体1〜3の概略を示した図である。 吸音構造体の吸音特性及び共鳴特性を検討するための試験体4〜6を説明した概略断面図である。 試験体4〜6の吸音特性(吸音率と周波数との関係)を示した図である。 試験体4〜6の共鳴特性(粒子速度と周波数との関係)を示した図である。 試験体11,12の外観を示した画像である。 試験体7〜12の吸音特性(吸音率と周波数との関係)を示した図である。 別の実施形態(実施例8)に係る吸音構造体について説明した図である。 別の実施形態(実施例9)に係る吸音構造体について説明した図である。 別の実施形態(実施例9)に係る吸音構造体について説明した図である。 従来のヘルムホルツ共鳴器について説明した図である。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づき説明するが、本発明は、下記の具体的な実施態様に何等限定されるものではない。なお、各図において同一又は対応する要素には同一符号を用いる。
(ヘルムホルツ共鳴器)
本発明の吸音構造体は、上述の共鳴器型吸音機構に属しており、より具体的には、公知のヘルムホルツ共鳴器の原理を利用している。ここで、図12(a)は、ヘルムホルツ共鳴器の原理を説明した図である。古くから広く利用されてきたヘルムホルツ共鳴器100は、ネック部と呼ばれる狭い開口部(ネック部)130と、その背後に空洞部120とを備えたもので、ネック部130の空気が一つの塊(mass)となり空洞部120がバネのような働きをすることで、ある特定の周波数でネック部130の空気が激しく共振運動して吸音する機構である。従って、ヘルムホルツ共鳴器100の共鳴周波数は、次式で求めることができる。
ここで、cは音速、sはネック部130の断面積、Vは空洞部120の容積、lはネック部130の長さ、δは管端補正であり、ネック部130が円孔の場合、その直径をdとすると0.8dで近似できる。ヘルムホルツ共鳴器100は、極めて狭い周波数範囲のみに鋭い吸音作用を持つため、室内固有振動の特定の周波数で発生した騒音を低減するときに有効である。
また、図12(b)に示すように、孔あき板110を剛体壁140から離して、その間に背後空気層120を持たせた場合も、ネック部と空洞部とを有した上述のヘルムホルツ共鳴器100が孔130の数だけ並んだものと考えられる。なお、図示の破線位置では、圧力の均衡が取れているだけであって介在物で物理的に区画されているわけではない。本明細書では、背後空気層内に共鳴器単位に分割・形成されると仮定した部分を空洞部と呼ぶことにし、どちらも同じ符号120を用いることにする。ここで、孔130の開孔率Pとし、孔あき板110から剛体壁140までの距離(つまり、背後空気層(空洞部)120の厚さ)をLとすると、上述の数式(1)は、次式のように表現することができる。
従って、ヘルムホルツ共鳴器100の共鳴周波数をさらに低くするためには、(1)孔あき板110の板厚l(つまり、ネック部の長さ)を大きくすること、(2)背後空気層120の厚さLを増加すること、(3)開孔率Pを小さくすること(つまり孔130のピッチを大きくすること)が挙げられる。しかしながら、孔あき板110の板厚lを単純に大きくする事は、生産・建築コストの直接的な増加を招くため、建築施工の面から許容できない。また、背後空気層120の厚さLの増加は、増加した分がそのまま居室空間160の減少につながるため、建築施工の面から許容できない。加えて、開孔率Pを小さくする事は、言い換えれば、共鳴器100の数の減少、ひいては、十分な吸音作用が得られなくなる事を意味する。
なお、上記(1)の考え方を応用して、図12(c)に示すように、ネック部の長さlが居室空間160側に局所的に延びるように、各孔130に対して追加部材(図中、長さlと内径dを有した中空円筒部材)150を接続することも考えられる。このようにすれば、通常の孔あき板110を利用しながら低周波数範囲での吸音が期待できるが、追加した多数の円筒部材150が居室空間160に露出することになり、見栄えが悪くなり、建築意匠の面から許容できない。
そこで本発明者は、上記発想を転換し、図1(a)に示すように、背後空気層20内に入り込む(つまり埋設する)ようにネック部50を延長した構成でも、上述した典型的なヘルムホルツ共鳴器100と似たような吸音効果が得られないかどうかに興味をもち、後述のように試験・検討した結果、典型的なヘルムホルツ共鳴器100と同等の吸音効果を発揮することを確認し、本発明の吸音構造体1を完成するに至った。
(吸音構造体の構成)
図1(a)は、本発明の吸音構造体1の断面を示した概略図である。吸音構造体1は、図示のように、複数の開口部30を有した板状部材10と、板状部材10の背後に設けられた空気層(背後空気層とも呼ぶ。)20と、を備える。本実施形態では、開口部30を有した板状部材10として複数の円形孔30を有した孔あき板10を前提としているが、必ずしもこれに限定されず、開口部30が、後述する実施形態に示すようなスリット形状をなす板状部材10でもよい。開口部30の断面形状は、円形の他、矩形、多角形であってもよい。図1においては、板状部材10は、剛体壁40の内側(居室空間60側)に設置され、居住空間60の一部を仕切っている。この板状部材10と剛体壁40との間の空気で満たされた空間が背後空気層20(図中、破線でさらに分割された空間が空洞部)である。
本発明では、開口部30の中空管路(ネック部)を長さlだけ延長する延長部材50が背後空気層20内部に収容されることを特徴とする。図1(b)に示す具体的な延長部材50の一例として、背後空気層20側に向かって長さlだけ延びた延長部50を有した直線状の円筒部材50が、孔あき板10の孔(開口部)30に嵌め込まれている。なお、図示の円筒部材50は、開口部30の内径dにその一端が嵌め込まれるように、開口部30の内径dより若干小さい外径D及び内径dを有している。このような構成により、通常の孔あき板10を利用しながら低周波数範囲での吸音を達成できる上に、追加した多数の円筒部材50が露出すること(図12(c)を参照)も無いため、意匠的な問題も生じない。
なお、延長部材50は、必ずしも直線状を成す必要は無く、特定の方向に湾曲した形状を成していてもよい(後述の図4(c)を参照)。なお、直線状の中空管(延長部材50)は一般に入手し易く、これを本発明の吸音構造体1に使用した場合には、吸音構造体1内で共鳴器を構成する背後空気層の個々の空洞部20も延長部材50を基点に整然と形成され易いという長所がある。また、延長部材50の延長部50の長さは、後述する折り曲げ部50を設ける等して空気層20の厚さLより大きくしてもよく、これにより共鳴周波数をさらに低下させることができるため、より低い周波数での吸音を目的とする場合に好適である。例えば、延長部材50の延長部50の少なくとも一部が、板状部材10と剛体壁40との間の任意の位置で可撓性を有する(言い換えれば、折り曲げ自在(屈曲自在)である)ように構成すれば、延長部材50に折り曲げ部50を形成して、その長さを背後空気層20の厚さLより大きくすることが可能である(図4(c)を参照)。
なお、図1の例では、延長部材50の一端が板状部材10の開口部30に嵌め込まれたものを示したが、必ずしもこれに限定されず、例えば、開口部30の内径dと等しい(又は内径dよりも大きい)内径dを有した延長部材50を用意して、これを開口部30の背後空気層20側の表面10に当接するように接続してもよい。
図2は、本発明の別の実施形態を示した図であり、開口部30がスリット形状を成す板状部材10の概略を示した斜視図である。この場合、延長部材50として、図示のように、長さlを有しかつスリット幅dだけ平行に離れた2枚の板51,51を開口部30の背後空気層20側に接続した構造が例示される。なお、ネック部の長さを十分に確保できるようにするため、延長部材50を、例えば、2枚の板51,51が所定の離間距離dを保ちながら剛体壁40付近まで延び、そこで、板状部材10に向けて折り返すように構成してもよい。
なお、板状部材10として、通常の建築施工で用いられる孔あき板(石膏ボード)が挙げられるが、必ずしもこれに限定されない。また、延長部材50は、樹脂製の材料や金属製の材料が挙げられるが、音波の透過しにくい材料、例えば、塩化ビニルが好ましい。
(ネック部位置が共鳴周波数に及ぼす影響)
また、本発明ではネック部50を背後空気層(空洞部)20内部に延長させることを特徴としているが、このネック部50の位置が共鳴周波数に及ぼす影響を検討するために、次の3つの試験体1〜3を作製し、粒子速度を計測して、その共鳴特性を観測した。具体的には、試験体1〜3の上方に音源スピーカーを設置して試験体1〜3に向けてホワイトノイズを放射して、開口部における空気粒子の共鳴による強い振動状態(粒子速度)を粒子速度センサで計測し、データレコーダで記録した。さらに、FFT分析によって共鳴特性を観測した。
図3(a)に示すように、一般的なヘルムホルツ共鳴器の位置であるネック全体(図示では、長さlを有した延長部材50)が空洞部20の外部にあるモデルを試験体1とした。図3(b)に示すように、ネック50の半分が空洞部20の内部にあるモデルを試験体2とした。図3(c)に示すように、ネック50全体が空洞部20の内部に埋設したモデルを試験体3とした。
(試験結果:ネック部位置と共鳴特性との関係)
試験体1〜3における粒子速度の周波数特性を比較した結果、800Hzまでの低い周波数範囲ではいずれの場合でも同様な特性が観察され、ネック50を典型的な外部位置とは反対側の背後空気層20に埋め込んだ試験体3でも、同等のレゾネータの機能を持つことがわかる。
また、試験体1〜3における粒子速度のピークの周波数の詳細を表1に示す。
FFT分析結果(実験値)のピークの周波数を見てみると、試験体1、試験体2、試験体3の順に、つまり、ネック50を空洞部20内部に埋め込むにつれて、ピークの周波数は若干高くなっている。ここで、一般的なヘルムホルツ共鳴器である試験体1については、数式1に基づいて理論共鳴周波数fを算出した。試験体2及び試験体3については、背後空気層20内部に埋め込まれたネック50容積分を減じた容積を数式1のVとして求めた共鳴周波数を理論共鳴周波数fとした。その結果、FFT分析した各試験体のピークの周波数(実験値)と、上述のように算出した理論共鳴周波数(理論値)とは、ほぼ一致した。従って、本発明のネック埋め込み形式の共鳴器の共鳴周波数は、空洞部20にネック50が埋め込まれた容積を減じた値を利用して理論的に算定が可能であることがわかる。
これらの新しく得られた知見を適用して、従来のヘルムホルツ理論式(上述の数式1)は次式のように書き直すことができる。つまり、本発明の吸音構造体1の理論共鳴周波数fは、下記の次式に基づいて設計することが可能となる。
ここで、Vefは一つ一つの背後空気層20の実効容積、sefはネック部の実効断面積、lefはネック部の実効長さである。図1(a)で示した実施形態の孔あき板10の場合では、上記知見によれば、背後空気層20の実効容積Vefは、全ての背後空気層20の容積を開口部30の数(つまり共鳴器の数)で除した容積V(図中、破線で区切られた空間部分)から延長部材50の延長部50の体積Vを減じた容積V’であると表現することができる。つまり、実効容積Vefは、下記の次式で表現することができる。
延長部材50が外径Dを有した中空円筒部材である場合には、以下の数式が成立する。なお、中空円筒部材の肉厚が十分に小さい場合には、外径Dの代わりに内径dを用いても良い。
なお、図1(a)に示す実施形態のネック部の実効断面積Sefは、延長部材50の内部空間Vの断面積となる。この実施形態の変形例として、延長部材50の一端が板状部材10に当接することでネック部が延長されていた場合は、板状部材10の開口部30の断面積と、延長部材50の内部空間Vの断面積と、を平均した断面積を実効断面積sefとして用いることが考えられる。なお、平均値を算出する場合は、各構成部材30、50の内部空間の距離がネック部の長さに占める割合を考慮して重み付けしてもよい。
また、ネック部の実効長さlefは、図1(a)に示す例では、延長部材50の全長(言い換えれば、延長部50の長さlと、板状部材10の板厚lと、の合計)となる。
これらの関係式を応用すれば、数式中の理論共鳴周波数fを、設計に際して吸音を望む中心周波数の値に設定すれば、この周波数に応じた延長部材50の延長部50の体積V又は長さlを決定することができる。
(実施例1及び実施例2)
(吸音特性の評価)
次に、図4に示すような3つの試験体4〜6を用意して本発明の吸音構造体1が発揮する吸音効果の評価を行った。先ず、上部が開口した中空円形容器140(深さL=50mm、内径φ=72mm)に、内径d=5mmの開口部130(合計6箇所)を形成した孔あき板110(板厚6mm)のみを設置したものを試験体4(比較例1)として用意した。図4(a)に試験体4の断面構造の概略を示す。この場合、数式2に基づいた理論的な共鳴周波数foは411Hz程度と計算される。
次に、試験体5(実施例1)として、比較例1と同様の孔あき板10と中空円形容器40とを使用し、孔あき板10の開口部30内側に、内径d=5mmで長さl=40mmを有した飲料用プラスチック製ストロー50をさらに嵌め込んだものを用意した。図4(b)に試験体5の断面構造の概略を示す。この場合、理論的には、共鳴周波数fは186Hz程度(比較例1の共鳴周波数の2分の1未満)と推定される。
さらに、試験体6(実施例2)として、比較例1と同様の孔あき板10と中空円形容器40とを使用し、孔あき板10の開口部30内側に、内径d=5mmで長さl=120mmの飲料用プラスチック製ストローをさらに嵌め込んだものを用意した。図4(c)に試験体6の断面構造の概略を示す。ここで、ストロー50は、容器40の深さ(背後空気層20の厚さL)よりも長くなるが、通常設けられている蛇腹部分50を利用して折り曲げて背後空気層20に収容されている。この場合、理論的には、共鳴周波数fは118Hz程度(比較例1の共鳴周波数の3分の1未満)と推定される。
上述の試験体の吸音特性を評価するために、音響管法(2マイクロフォン法)を用いて各試験体4〜6の吸音率を測定した。なお、測定用の音響管本体として、内径60mm及び長さ300mmのアクリル製円筒を用意した。
図5に試験体4(比較例1)と試験体5(実施例1)の測定結果(周波数と吸音率との関係)を示す。試験体4を用いて実測された共鳴周波数は400〜450Hz程度であり、概ね理論計算値と良く一致しており、試験体5で実測された共鳴周波数は220〜240Hz程度であり、上述の推定値よりも若干高めの周波数を示したものの、試験体4に比べ格段に低い周波数へと吸音の中心周波数が移動していることが分かる(図示の矢印を参照)。しかも試験体4の吸音率よりも高い吸音率を示している。
なお、試験体6(実施例2)ついては、測定に使用した音響管が短小すぎた為か、安定した測定結果が得られなかった為、図示していない。
(粒子速度計測による確認試験)
試験体6の共鳴が上述の吸音率試験で観測しにくかったため、粒子速度を計測してその共鳴特性を評価した。なお、粒子速度の計測方法は、試験体1〜3に対して測定した上記方法と同様であり、その説明は省略する。
図6に粒子速度計測結果(周波数と粒子速度との関係)を示す。試験体4の粒子速度及び試験体5の粒子速度は、ともに、上述の吸音特性(図5を参照)と同様に高いピークが観測されている。なお、粒子速度のピーク周波数は、吸音率のピーク周波数よりも若干低くなっており、理論共鳴周波数に近づく傾向である。
試験体6で観測されたピークにおける粒子速度は、他の試験体4,5の結果に比べ、やや低下しているが、ピーク自体は明瞭であり共鳴の特徴を十分に認識できる。試験体6の評価にあたって、六つの開口部30近傍で上記計測を行ったが、いずれの開口部30でも図6に示す結果と同様の結果であり、試験体6において発生する共鳴現象が、通常の孔あき板(試験体4)における共鳴周波数よりも十分に低い周波数へと移動していることが観測された(図示の矢印を参照)。
(実施例3〜7)
(吸音特性の再評価)
実施例2では、上述の通り、吸音率試験の観測が不調であり、粒子速度計測結果から事象を推測するに留まっていたため、以下に示す構成の試験体7〜12を用意して、再び吸音率試験を行った。
(試験体7〜12の仕様)
先ず、上部が開口したアクリル製中空立方体容器(縦88mm×横88mm×高さ(すなわち深さL)76mm、図示せず)に、内径d=5mmの開口部30を9個設けた孔あき板10(板厚6mm)のみを設置したものを試験体7(比較例2)として用意した。
次に、試験体8(実施例3)として、比較例2と同様の孔あき板10と中空立方体容器とを使用し、孔あき板10の開口部30内側に、内径d=5mmで長さl=15mmを有した飲料用プラスチック製ストロー50(以下、単にストロー50と呼ぶ。)をさらに嵌め込んだものを用意した。
また、試験体9(実施例4)として、同様の孔あき板10の開口部30内側に、内径d=4mm及び長さl=15mmのストロー50を嵌め込んだものを用意した。
さらに、試験体10(実施例5)として、同様の孔あき板10の開口部30内側に、内径d=4mm及び長さl=25mmを有したストロー50を嵌め込んだものを用意した。
さらに、試験体11(実施例6)として、同様の孔あき板10の開口部30内側に、内径d=5mm及び長さl=70mmを有したストロー50を嵌め込んだものを用意した(図7(a)を参照)。
加えて、試験体12(実施例7)として、試験体11(実施例6)で用いたストロー50と同様の内径及び長さ(d=5mm及び長さl=70mm)を有するが、2つの蛇腹部分50が更に設けられたストロー50を用意した。これらのストロー50の一端を孔あき板10の開口部30に嵌め込んだ後に、ストロー50の各蛇腹部分50で折り返した。なお、試験体11の全体は図7(b)を、蛇腹部分の折り返し50は図7(c)を参照されたい。
(試験体7〜12の理論共鳴周波数)
なお、各試験体7〜10の理論共鳴周波数fは、試験体4〜6の場合と同様に算出でき、それぞれ、約313Hz、約192Hz、約166Hz、約136Hzと推定された。また、試験体11及び12の理論共鳴周波数fは、ともに約106Hzと推定された。なお、これらの推定値fは、後述の図8(a)及び(b)のグラフ中では、下向き三角印で示す。
ここで、試験体9,10の理論共鳴周波数fの推定にあたっては、孔あき板10の開口部30の孔径dと延長部材50の内径dとが異なるため、双方の要素30,50の孔径と長さとを重み付けした次式に示す実効孔径deqを用いて理論値fを導いた。
但し、Shole及びlholeは、孔あき板10の開口部30の断面積及び厚さであり、Sext_part及びlext_partは、延長部材50の断面積及び長さである。
(試験体7〜12の吸音率測定の試験方法)
上述の試験体7〜12の吸音特性の評価に際しては、試験体4〜6への評価の場合と同様に、音響管法(2マイクロフォン法)を用いた。しかしながら、測定用の音響管本体として、試験体4〜6に用いた音響管よりも大型でかつ長尺の音響管を採用し、より具体的には、内径100mm及び長さ1000mmのアクリル製円筒を用意した。
図8(a)に試験体7(比較例2)、試験体8(実施例3)、試験体9(実施例4)、及び試験体10(実施例5)の測定結果(周波数と吸音率との関係)を示す。試験体7〜10を用いて実測された共鳴周波数(図中の各線のピーク)はそれぞれ、対応する理論共鳴周波数f(図中の対応する下向き三角印)と総じてよく一致し、同様の傾向を示しているといえる。
以上のように、本発明の吸音構造体1によれば、延長部材50を追加することにより、共鳴周波数(吸音の中心周波数)を低い範囲に移動させることが可能となる。また、延長部材50の内径dや長さlを増減することにより、共鳴周波数の微妙な調整も可能となり、特定の周波数で発生する騒音を低減することができる。
図8(b)に試験体11(実施例6)と試験体12(実施例7)の測定結果(周波数と吸音率との関係)を示す。内径及び長さが同一である試験体11,12は、測定可能な周波数に亘ってほぼ同様の吸音率を示した。なお、各試験体11,12を用いて実測された共鳴周波数はともに105Hz程度であり、対応する理論共鳴周波数fと良く一致した。図8(b)の結果より、延長部(ネック部)50は、複数の折り返し50を設けても、その内径d及び長さlが同一であれば、直線状に延びた場合と同様の吸音特性を発揮することがわかった。従って、実施例7は、より大きな居室空間60を取るために背後空気層20の長さLをより狭めた仕様の建築空間への吸音に好ましいといえる。
(他の実施例)
図9に本発明の吸音構造体1の別の実施例(実施例8)を示す。実施例8は、実際の建築現場での延長部材50の施工性の向上を図ったものである。実施例8では、例えば、図9(a)に示すように、孔あき板10の開口部30の内径dとほぼ同一の外径Dを有した直管状(つまり長さ方向に外径の変化がない)の延長部50を形成し、かつその一端50t1の開口部30の外周にフランジ部50frを設けた延長部材50Aを使用することができる。
この実施例8の延長部材50Aを使用すれば、孔あき板10の表面10側(室内空間60側)から延長部材50Aを挿入することができるだけでなく、フランジ部50frが設けられた構成であるために所定位置以上に押し込まれることがない。従って、誰でも簡易かつ容易に延長部材50Aを孔あき板10の各開口部30に取り付けることが可能になる。また、実施例8の延長部材50Aは、上述の通り室内空間60側から挿入可能であるため、孔あき板10が既に取り付けられている現場(建築空間)にも追加の取付けが可能である。
また、上述の延長部材50Aに替えて、背後空気層20に挿入される一端50t2に向かう程に外径Dが小さくなるとともに他端50t1付近の外径Dが孔あき板10の開口部30の内径dよりも若干大きくなるよう形成された延長部材50Bを使用してもよい(図9を参照)。すなわち延長部材50Bにはテーパ50tpが付いている。このような構成を備えた延長部材50Bは、上述の延長部材50Aと同様に押し込み量が規制されるとともに、その先端50t2の外径Dが孔あき板10の開口部30の内径dに比べて著しく小さくなるため、格段に挿入し易いものとなる。
また、図示しないが、各延長部材50A,50Bの各長所を最大限に発揮させるために、各延長部材50A,50Bに替えて、これらの延長部材50A,50Bの構成要素を組み合せたもの(フランジ部50frとテーパ50tpとが付いた延長部材)を使用してもよいことは言うまでもない。なお、実施例8の延長部材50A,50Bの材質として、金属、樹脂、紙などが挙げられるが、これらに限定されない。
(実施例9)
図10に本発明の吸音構造体1の別の実施例(実施例9)を示す。実施例9では、上述の延長部材50が隣接する他の複数の延長部材50と連結部材50にて連結された延長アセンブリ50Cを採用することを特徴とする。実施例9の延長部材50はその長さ方向にテーパ50tpが付いた構成を成すことが好ましいが、図12に示すような直管状の延長部材50であってもよい。連結部材50は、孔あき板10の開口部30の各位置と大きさに対応した開口部50を設けた板状(シート状)を成し、かつ、これらの各開口部50に延長部材50の一端50t1が垂直に当接するよう接続することが好ましい。
これにより、孔あき板10のある程度の面積に含まれる複数の開口部30に対して、これらに対応する数の延長部材50を備えた延長部材アセンブリ50Cを一回の挿入作業で取り付けることができるため、施工作業の能率が格段に向上させることが可能となる。つまり、孔あき板10の開口部30毎に延長部材50を一本一本挿入していく必要はなくなる。また、板状の連結部材50が各延長部材50の端部50t1に垂直に当接した構成であるために、孔あき板10への取付けの際、背後空気層20内への各延長部材50の押し込み量は規制される。従って、所定の位置に各延長部材50を取り付けることができる。
なお、孔あき板10が天井に既に施工されている場合には、図10(b)のように、連結部材50に連結された各延長部材50の先端50t2を孔あき板10の表面10側(居室空間60側)の開口部30へ挿入すればよい。一方、孔あき板10が天井(剛体壁40)に未だ施工されていない場合には、上記挿入方法だけでなく、図10(c)及び図12に示すように、連結部材50の各開口部50が孔あき板10の裏面10側(背後空気層20側)の各開口部30に一致するように延長部材アセンブリ50Cを孔あき板10に取り付けてもよい。後者の場合は、室内空間60側には連結部材50が全く現われなくなるために、吸音性能の向上のために意匠性が損なわれることもない。
また、連結部材50の開口部50の外周に、孔あき板10の開口部30の内径dより若干小さい外径を有した外縁凸部50をさらに形成してもよい。これにより、孔あき板10の裏面10側から延長部材アセンブリ50Cを取り付ける場合、図10(c)に示すように、連結部材50の外縁凸部50が孔あき板10の開口部30に嵌め込まれるようになるため、孔あき板10と延長部材アセンブリ50Cとの位置合わせが容易となり、施工作業の能率がさらに向上する。なお、延長部材アセンブリ50Cと孔あき板10との接続をより確実にするため、これらの間に接着剤を塗布してもよい。
以上、種々の実施例を挙げて本発明の吸音構造体1を説明したが、本発明の範囲は必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、延長部材50(円筒管)内部に、毛糸などの繊維体、通気性のある多孔質体や通気性のある発泡質体を充填してもよい。これにより、延長部材50を通過する音は、空気流摩擦抵抗損により熱エネルギーに変換されるため、共鳴周波数の周辺のより広い範囲での吸音効果を得ることが可能になる。
本発明の吸音構造体は、実用的にも背後空気層を増す必要も無く、使用可能な居室空間や天井高さを減じることも無いため、建築施工や建築意匠での要求に適合するものと期待される。従って、本発明の吸音構造体は産業上の利用可能性が非常に高い。
1 吸音構造体
10 板状部材(孔あき板)
10 板状部材(孔あき板)の表面
10 板状部材(孔あき板)の裏面
20 背後空気層(空気層,空洞部)
30 開口部(孔,スリット)
40 剛体壁
50,50A,50B 延長部材(ネック部)
50C 延長部材アセンブリ
50 延長部
50 折り曲げ部(蛇腹部分)
50fr フランジ部
50 連結部材
50t1,50t2 端部
50tp テーパが付いた部分
50 外縁凸部
60 居室空間
理論共鳴周波数
c 音速
d 開口部の内径
延長部材の内径
延長部材の外径
l 板状部材の開口部の長さ(板厚)
延長部材の延長部の長さ
ef ネック部の実効長さ
L 背後空気層の長さ
δ 管端補正
s 開口部(ネック部)の断面積
ef ネック部の実効断面積
V 空洞部の容積
延長部の体積
ef 空洞部の実効容積
V’ 背後空気層の容積から延長部の体積を減じた容積

Claims (11)

  1. 複数の開口部を有した板状部材と、
    前記板状部材と前記板状部材に対向する壁体との間に設けられた空気層と、
    を備えた吸音構造体であって、
    前記開口部の長さを延長するように前記開口部に接続された延長部材をさらに備え、かつ、前記延長部材の少なくとも延長部が前記空気層内に収容されていることを特徴とする吸音構造体。
  2. 前記板状部材は、前記開口部が孔形状又はスリット形状を成す部材であることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
  3. 前記延長部材の一部が前記開口部に嵌め込まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸音構造体。
  4. 前記延長部の長さが前記空気層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸音構造体。
  5. 前記延長部の少なくとも一部に折り返し部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸音構造体。
  6. 前記延長部材の一端にフランジ部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸音構造体。
  7. 前記延長部材が一端の外径が他端の外径に比べて徐々に細く形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸音構造体。
  8. 前記延長部材と、前記延長部材に隣接する前記延長部材と、を連結する板状の連結部材をさらに備えたことを特徴する請求項1〜7のいずれかに記載の吸音構造体。
  9. 前記吸音構造体は、ネック部と空洞部とを有した共鳴器が複数設けられていると擬制できる共鳴器型吸音特性を有し、かつ、
    空気の音速をc、前記ネック部の実効断面積と実効長さとをsefとlefとし、前記空洞部の実効容積をVefとし、管端補正をδと表現した場合に、前記吸音構造体の共鳴周波数が下記の次式に基づいて算定できることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の吸音構造体。
  10. 前記ネック部の前記実効断面積sefと前記実効長さlefとは、前記開口部の寸法と前記延長部材の寸法とを基に算出され、前記空洞部の前記実効容積Vefは、前記空気層の容積から前記延長部の体積を減じた容積として算出されることを特徴とする請求項9に記載の吸音構造体。
  11. 吸音を望む中心周波数を前記共鳴周波数として予め設定し、前記数式の関係に基づいて、前記延長部材の前記寸法が決定されていることを特徴とする請求項9に記載の吸音構造体。
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