図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る磁気シールド体及び磁気シールドルームを説明する。
まず、本発明の第1の実施形態に係る磁気シールド体10について説明する。
図1に示すように、磁気シールド体10は、木製のフレーム部材12と透磁性を有する複数の筒体14によって構成されている。
筒体14は、四角形の断面形状を有した厚みのある角パイプ状の部材であり、筒体14の内部に形成された穴は貫通している。そして、フレーム部材12には、角柱状の貫通孔16が複数形成されており、この複数の貫通孔16に筒体14がそれぞれ装着されている。すなわち、筒体14がフレーム部材12に複数支持されている。そして、これら複数の筒体14の両端面が面をそれぞれ形成している。
また、隣り合う筒体14の平面状の側面同士は対向している。
次に、本発明の第1の実施形態に係る磁気シールド体10の作用及び効果について説明する。
図1に示すように、第1の実施形態の磁気シールド体10を構成する透磁性の筒体14は、空気に比べて磁気抵抗が小さい。よって、磁気シールド体10に照射された磁界の磁束は筒体14に吸収される。この筒体14に吸収された磁束は隣り合う筒体14に伝播し、この伝播を繰り返して磁気遮蔽効果を発揮することができる。
また、隣り合う筒体14同士は離れているが、隣り合う筒体14の平面状の側面同士は対向しているので、筒体14間の磁気抵抗は小さい。よって、筒体14間の磁束の伝播が容易になり、十分な磁気遮蔽効果を発揮することができる。筒体14同士の間隔を大きくしなければならない場合には、筒体14を長くすることにより十分な磁気遮蔽効果を確保することができる。
例えば、図2に示す磁気シールド体18のように、複数の筒体14を装着できる貫通孔20が複数形成された木製のフレーム部材22を用いて、この貫通孔20に隙間Sを空けて筒体14を横に並べて配置するようにしてもよい。
また、図1に示すように、フレーム部材12が筒体14を支持するので、筒体14(磁性材料)が応力を受けて歪むことがなく、筒体14同士は非接触なので、磁気相互作用によって磁気特性が悪化することもない。よって、筒体14(磁性材料)の磁気特性(透磁率など)が劣化することがないので、効果的な磁気遮蔽性を得ることができる。
例えば、図3に示す磁気シールド体24のように、複数の筒体14を装着できる貫通孔26が複数形成された木製のフレーム部材28を用いて、隣り合う筒体14の側面同士が接触するように、筒体14をこの貫通孔26に横に並べて配置するようにしてもよい。
この場合においても、フレーム部材12と同様に、フレーム部材28が筒体14を支持するので、筒体14(磁性材料)が応力を受けて歪むことがない。図3に示すように、筒体14の上面とフレーム部材28の下面との間に隙間Uを設ければ、フレーム部材28が多少下方に撓んだ場合でも筒体14に接触することがないので筒体14の歪みをより確実に防ぐことができる。
なお、第1の実施形態では、木製のフレーム部材12、22、28を用いた例を示したが、フレーム部材は筒体14を支持できる強度を有する材料で形成されていればよい。例えば、プラスチック、樹脂等を材料として用いることができる。フレーム部材は、筒体14を支持したときの撓み等が極力小さいものが好ましく、撓み等がないものがより好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態に係る磁気シールド体30について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の磁気シールド体10のフレーム部材12を支持部材を積層することによって形成したものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図4に示すように、磁気シールド体30は、複数の支持部材34によって構成されている。
支持部材34は、図5に示すように、筒体14の外周部に一体に設けられた角パイプ状の木製の筒体である。そして、この支持部材34を複数積層することによって磁気シールド体30を構築している。すなわち、積層された支持部材34に透磁性を有する複数の筒体14が支持されている。そして、これら複数の筒体14の両端面が面をそれぞれ形成している。
また、隣り合う筒体14の平面状の側面同士は対向している。
次に、本発明の第2の実施形態に係る磁気シールド体30の作用及び効果について説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図4に示すように、積層された複数の支持部材34が筒体14を支持するので、筒体14(磁性材料)が応力を受けて歪むことがなく、筒体同士は非接触なので、磁気相互作用によって磁気特性が悪化することもない。よって、筒体14(磁性材料)の磁気特性(透磁率など)が劣化することがないので、効果的な磁気遮蔽性を得ることができる。
また、図5に示すように、支持部材34を複数積層していくだけで磁気シールド体30を構築することができるので、組み立て施工を容易に行うことができる。
また、透磁性の筒体14は支持部材34で保護されている。よって、施工時に応力や衝撃が筒体14にかかり、筒体14が歪んで磁気特性(透磁率など)が劣化することがない。
なお、第2の実施形態では、木製の支持部材34を用いた例を示したが、支持部材は、積層された支持部材が筒体14を支持できる強度を有する材料で形成されていればよい。例えば、プラスチック、樹脂等を材料として用いることができる。支持部材は、筒体14を支持したときの撓み等が極力小さいものが好ましく、撓み等がないものがより好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態に係る磁気シールド体36について説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態の磁気シールド体10のフレーム部材12を導電性を有するフレーム部材にしたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図6に示すように、磁気シールド体36は、アルミニウム製のフレーム部材40と透磁性を有する複数の筒体14によって構成されている。そして、フレーム部材40には、角柱状の貫通孔42が複数形成されており、この複数の貫通孔42に筒体14がそれぞれ装着されている。すなわち、筒体14がフレーム部材40に複数支持されている。
次に、本発明の第3の実施形態に係る磁気シールド体36の作用及び効果について説明する。
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図6に示すように、フレーム部材40が筒体14を支持するので、筒体14(磁性材料)が応力を受けて歪むことがなく、筒体14同士は非接触なので、磁気相互作用によって磁気特性が悪化することもない。よって、筒体14(磁性材料)の磁気特性(透磁率など)が劣化することがないので、効果的な磁気遮蔽性を得ることができる。
また、図6に示すように、フレーム部材40に形成された貫通孔42による導波管効果により、貫通孔42を通過する電磁波が減衰されるので、電磁波遮蔽効果を発揮することができる。また、遮蔽対象とする電磁波の強さに応じて、フレーム部材40の厚さを変えて貫通孔42の深さを調整することにより、必要とする導波管効果を得ることができる。
このような導波管効果を得るためには、貫通孔42は、連続した導電層によって周囲が囲まれている閉塞された孔でなければならない。また、この孔の深さに対する孔の開口部長辺の比(深さ/長辺)が大きいほど、電磁波の減衰が大きくなるので、孔の深さに対する孔の開口部長辺の比が大きい方が好ましい。
例えば、貫通孔の断面形状が矩形であり、貫通孔の開口部の断面寸法が150mm×150mm(この場合、貫通孔の開口部長辺は150mm)である場合、この貫通孔の深さが150mm、300mm、450mmであるときの電磁波の減衰の大きさは、理論上それぞれ27dB、54dB、81dBとなることが一般に知られている。
よって、貫通孔42の深さは、150mm以上であればよく、300mm以上であることが好ましく、450mm以上であることがより好ましい。
また、貫通孔42の深さに対する貫通孔42の開口部長辺の比(深さ/長辺)では、1(=150mm/150mm)以上であればよく、2(=300mm/150mm)以上であることが好ましく、3(=450mm/150mm)以上であることがより好ましい。
ここで、導電性のフレーム部材40は筒体を支持するので応力がかかる。しかし、導電性材料は応力を受けて歪んでも、導波管効果が低下することはない。
これらにより、1つの磁気シールド体で、磁気遮蔽性と電磁波遮蔽性の効果を得ることができる。すなわち、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置のように磁気遮蔽性と電磁波遮蔽性の両方の効果を必要とする場合においても、磁気シールド体と電磁波シールド体を並べて配置しなくてよいので、省スペース化を図ることができる。
なお、第3の実施形態では、アルミニウム製のフレーム部材40を用いた例を示したが、フレーム部材は筒体を支持できる強度を有する導電性の材料で形成されていればよい。例えば、銅、SUS等を材料として用いることができる。フレーム部材は、筒体14を支持したときの撓み等が極力小さいものが好ましく、撓み等がないものがより好ましい。
次に、本発明の第4の実施形態に係る磁気シールド体44について説明する。
第4の実施形態は、第3の実施形態の磁気シールド体36のフレーム部材40を積層構造にしたものである。したがって、以下の説明において、第3の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図7に示すように、磁気シールド体44は、複数の支持部材48によって構成されている。
支持部材48は、図8に示すように、筒体14の外周部に一体に設けられた角パイプ状のアルミニウム製の筒体である。そして、この支持部材48を複数積層することによって磁気シールド体44を構成している。
また、筒体14の端面は、支持部材48の端面よりも奥側に位置している。
次に、本発明の第4の実施形態に係る磁気シールド体44の作用及び効果について説明する。
第4の実施形態では、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図7に示すように、支持部材48に形成された貫通孔による導波管効果により、貫通孔を通過する電磁波が減衰されるので、電磁波遮蔽効果を発揮することができる。また、遮蔽対象とする電磁波の強さに応じて、支持部材48の長さを変えて、支持部材48に形成された貫通孔の深さを調整することにより、必要とする導波管効果を得ることができる。
また、図7に示すように、積層された複数の支持部材48が筒体14を支持するので、筒体14(磁性材料)が応力を受けて歪むことがなく、筒体14同士は非接触なので、磁気相互作用によって磁気特性が悪化することもない。よって、筒体14(磁性材料)の磁気特性(透磁率など)が劣化することがないので、効果的な磁気遮蔽性を得ることができる。
また、図8に示すように、支持部材48を複数積層していくだけで磁気シールド体44を構築することができるので、組み立て施工を容易に行うことができる。
また、透磁性の筒体14は支持部材48で保護されている。よって、施工時に応力や衝撃が筒体14にかかり、筒体が歪んで磁気特性(透磁率など)が劣化することがない。
また、積層構造によって支持部材48同士の間の隙間を小さくすることができるので、隙間からの電磁波の漏洩を低減することができ、電磁波遮蔽性の低下を防ぐことができる。
また、磁気シールド体44では、図9に示すように、隣り合う支持部材48の接する壁同士を導電性テープ50で挟み込むことによって、隣り合う支持部材48の間の隙間から漏洩する電磁波の低減効果をより高めることができる。
隣り合う支持部材48の間の隙間から漏洩する電磁波の低減効果をより高めるには、導電性テープ50を用いる方法の他に、支持部材48の外周表面にニッケルメッキを施したり、隣り合う支持部材48の接する壁同士をハンダ付けしてもよい。
なお、第4の実施形態では、アルミニウム製の支持部材48を用いた例を示したが、支持部材は、積層された支持部材が筒体を支持できる強度を有する導電性の材料で形成されていればよい。例えば、銅、SUS等を材料として用いることができる。支持部材は、筒体14を支持したときの撓み等が極力小さいものが好ましく、撓み等がないものがより好ましい。
次に、本発明の第5の実施形態に係る磁気シールドルーム52について説明する。
第5の実施形態は、第1の実施形態の磁気シールド体10を磁気シールドルームの側壁に設けたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図10に示すように、壁としての天井54、床56及び側壁58によって、磁気シールドルーム52が形成されている。そして、この側壁58の1つが第1の実施形態の磁気シールド体10になっている。
また、磁気シールドルーム52内部の略中央には、磁界の発生源としてのMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置(不図示)が設置されている。
次に、本発明の第5の実施形態に係る磁気シールドルーム52の作用及び効果について説明する。
第5の実施形態では、図10に示すように、複数の貫通孔を有する開放型の磁気シールド体10を磁気シールドルーム52の側壁として用いることによって、MRI装置から発生した磁界が、磁気シールド体10を介して磁気シールドルーム52の外部へ漏洩するのを防ぐことが可能となる。よって、磁気シールドルーム52の外部に居るペースメーカー装着者や、MRI室の外部にある医療機器に及ぼす悪影響を防止することができる。
また、磁気シールド体10は筒体14を複数配置したものなので、磁気シールドルーム52のように、部屋空間を構成する側壁に用いることによって、この部屋空間に開放感を与えることができる。
すなわち、磁気シールドルーム52の側壁である磁気シールド体10から離れた位置に居るMRI装置の被験者は磁気シールドルーム52の外を見通すことができる。また、広い視野が得られるので、磁気シールドルーム52の外の景色が把握できて開放感を感じることができる。
また、磁気シールド体10近傍の磁気シールドルーム52外部にいる人は、筒体14が邪魔になって磁気シールドルーム52の内部が見えにくく、1つの筒体14を覗き込んでも、磁気シールドルーム52の室内の一部しか視野に入れることができない。すなわち、磁気シールドルーム52の室内に居る被験者のプライバシーを確保し、かつ被験者に開放感を与えることができる。
なお、第5の実施形態では、磁気シールドルーム52の側壁58の1つを磁気シールド体10とした例を示したが、磁気シールドルーム52を形成する壁(側壁、天井、床)の少なくとも一部が磁気シールド体10であればよい。よって、どの壁の一部又は全てが磁気シールド体10であってもよいし、磁気シールドルーム52の全ての壁が磁気シールド体10であってもよい。
また、壁(側壁、天井、床)に形成された開口部に磁気シールド体10を設けることによって、MRI装置から発生した磁界が、この開口部から磁気シールドルームの外部へ漏洩するのを防ぐことが可能となる。例えば、図11、12に示す磁気シールドルーム60、61のように、側壁58に形成されて、壁、窓、空調ダクト、配線ダクト等に用いられる開口部62、63に、第1の実施形態の磁気シールド体10を設けてもよい。磁気シールドルーム52と同様に、磁気シールドルーム60、61の内部の略中央には、磁界の発生源としてのMRI装置が設置されている。図11、12では壁58の表面から突出するように磁気シールド体10が設けられているが、必要な磁気遮蔽性が得られれば、突出させないように設けてもよい。
また、磁気シールド体10を磁気シールド体18、24、30、36、44としてもよい。磁気シールドルームを形成する壁の少なくとも一部を磁気シールド体36、44とした場合には、磁気シールド体36、44を介して磁気シールドルームの内部から外部へ漏洩する磁界を防ぐと共に、磁気シールド体36、44を介して磁気シールドルームの外部から内部へ漏洩する電磁波を防ぐことが可能となる。これにより、MRI装置が電磁波の影響を受けることがなくなり、正常に機能させることができる。
MRI装置や生体磁気計測装置等が設置された部屋では、部屋の内部で発生した磁界が部屋の外部に漏洩するのを防ぐ磁気遮蔽性と、部屋の外部で発生した電磁波が部屋の内部に漏洩するのを防ぐ電磁波遮蔽性の両方が求められる。このような部屋に磁気シールド体36、44を用いることによって、磁気シールド体に電磁シールドガラス層を別途設置する必要がなくなったり、少ない枚数の電磁シールドガラス層を設置すればよいので、施工手間が減り、コスト低下を図ることができる。
また、第5の実施形態では、磁界の発生源を磁気シールドルーム52、60、61に設置されたMRI装置とした例を示したが、磁界を発生するさまざまな装置を設置した場合においても、第5の実施形態と同様の磁気遮蔽効果を得ることができる。また、電磁波によって悪影響が及ぼされるさまざまな装置を設置した場合においても、第5の実施形態と同様の電磁波遮蔽効果を得ることができ、これらの装置を支障なく使用することができる。
なお、第1〜5の実施形態で示した透磁性の筒体14の材料としては、珪素鋼板、パーマロイ、電磁鋼板、アモルファス板等を用いることができる。また、筒体14の大きさや形状は、十分な磁気遮蔽性を発揮し、隣り合った筒体14間の磁気抵抗を小さく抑えられるものであればよい。例えば、図13(A)〜(C)に示す磁気シールド体65、67、69のように、三角や六角の多角の断面形状を有する筒体64、66や、円の断面形状を有する筒体68を用いてもよい。また、多角の断面形状を有する筒体64、66の角を丸くしたり、筒体68の断面形状を楕円にしてもよい。
多角の断面形状を有する筒体14、64、66では、隣り合う筒体14、64、66の平面状の側面同士が対向するので、隣り合う筒体14、64、66間の磁気抵抗を小さくできる。よって、筒体14、64、66間の磁束の伝播が容易になり、十分な磁気遮蔽効果を発揮することができる。隣り合った筒体14、64、66間の磁気抵抗を小さく抑えるために、これらの筒体14、64、66の側面同士は近接していることが好ましい。
図13(C)に示すように、磁気シールド体69は、木製のフレーム部材74と透磁性を有する複数の筒体68によって構成されている。
筒体68は、円の断面形状を有した厚みのある円筒状の部材であり、内部に形成された穴は貫通している。そして、フレーム部材74には円柱状の貫通孔71が複数形成されており、この複数の貫通孔71に筒体68がそれぞれ装着されている。すなわち、筒体68がフレーム部材74に複数支持されている。そして、これら複数の筒体68の両端面が面をそれぞれ形成している。
また、隣り合う筒体68の側面同士は近接している。
よって、隣り合う筒体68同士の間に間隔がある場合においても、隣り合う筒体68の側面同士は近接しているので、筒体68間の磁気抵抗は小さい。よって、筒体68間の磁束の伝播が容易になり、十分な磁気遮蔽効果を発揮することができる。
また、板状の透磁性材料から筒体を製造する場合、多角の断面形状を有する筒体は、折り曲げ加工を必要とするので、曲げられた部分で磁気特性(透磁率など)が劣化してしまう。よって、十分な熱処理(焼きなまし)を行って、良好な磁気特性に戻さなければならない。
しかし、円の断面形状を有する筒体68は、折り曲げ加工を必要としないので、磁気特性(透磁率など)が劣化することがない。よって、筒体の製造が容易になる。
また、円の断面形状を有する筒体68は折り目がないので、筒体68中を磁束が伝播し易い。よって、より高い磁気遮蔽効果を発揮することができる。
筒体64、66、68の外周部に設けられたフレーム部材70、72、74を導電性の材料とすれば、磁気遮蔽効果と共に、電磁波遮蔽効果が得られる。
また、フレーム部材70、72、74に示された点線で分割された支持部材による積層構造にしてもよい。この場合、支持部材は、筒体64、66、68の外周部に一体に設けられていることになる。この支持部材も、第2の実施形態の支持部材34や第4の実施形態の支持部材48と同様に、積層された複数の支持部材が筒体64、66、68を支持するので、筒体64、66、68(磁性材料)が応力を受けて歪むことがなく、筒体同士は非接触なので、磁気相互作用によって磁気特性が悪化することもない。
また、第1〜5の実施形態で示した磁気シールド体10、18、24、30、36、44の大きさ、筒体14、64、66、68の個数等は、磁気シールド体の用途や設置状況に応じて適宜決めればよい。
また、図7に示した磁気シールド体44をコーナー部に設置する場合には、図14に示すように磁気シールド体44同士を導電性のアングル材76で繋ぎ合せたり、図14に示すように磁気シールド体44同士を導電性の角筒78で繋ぎ合せれば、簡単な施工で容易にコーナー部における電磁波遮蔽効果を確保することができる。このことは、磁気シールド体36をコーナー部に設置する場合においても同様である。
また、磁気シールド体10、18、24、30、36、44を室内に設置するパーテーション等の間仕切りに用いてもよい。
なお、第1〜5の実施形態では、複数の筒体14、64、66、68の端面によって面が形成されているが、この面は、複数の筒体の端面を含んだ顕著な凹凸がないひろがりのことである。
すなわち、隣り合った筒体14、64、66、68の端面同士が面一に近い状態で配置されていることを指す。よって、この面は平面(隣り合った筒体同士の端面が完全な面一)であることが好ましいが、隣り合った筒体の端面同士が筒体の長さ方向に多少ずれていてもよい。また、意匠上の理由からわざと上記面に若干の角度や出入りを持たせることもありうる。
このように、第1〜5の実施形態の磁気シールド体10、18、24、30、36、44では、磁性材料にかかる応力を低減することにより、効果的な磁気遮蔽性が得られる。特に、MRI装置から発生する直流磁界や、電車及び車の移動に起因する低周波変動磁界に対して効果的である。
以上、本発明の第1〜6の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜6の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
(実施例)
図16には、図17(A)〜(D)に示す磁気シールドルーム80、82、84、86の内部に設置された磁界発生源88からx方向に一様磁界を加えたときのz方向の高さに対する磁束密度が示されている。これらの磁束密度は、有限要素法を用いた三次元磁界解析によって求めた値である。図16の符号90、92、94、96の値は、磁気シールドルーム80、82、84、86にそれぞれ対応している。
磁気シールドルーム80、82、84、86は、図18に示すように、縦3000mm×横3000mm×高さ3000mmの立方体の部屋98をx=0の面、y=0の面、及びz=0の面で分割した1/8モデルである。そして、この磁気シールドルーム80、82、84、86の中心部にMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置を模擬した磁界発生源88が設置されている。
磁界発生源88を10mmの厚さを有する角筒状のコイルとし、コイルの電流値を2500×105(A/m2)としている。角筒状のコイルの断面形状は正方形であり、この一辺は外形で1179mmとしている。また、角筒状のコイルのx方向の長さは700mmである。磁界発生源88は、発生する磁界の方向がx方向と平行となる(y−z平面と垂直に交わる)ように設置されている。
図17に示すように、磁気シールドルーム80、82、84、86の天井面には比透磁率3000の磁性体100が設けられ、側壁の1つに磁気シールド体102A〜102Dがそれぞれ設けられている。磁性体100の厚さは50mmである。
磁気シールド体102A〜102Dは、図19の正面図に示すように比透磁率3000の磁性材料(珪素鋼板を想定)からなる角パイプ状の筒体104を等間隔に配置したものである。筒体104同士の隙間は1mmとし外周に配置された筒体104の外側に形成された隙間は0.5mmとなっている。すなわち、筒体104は150mmピッチで縦横に並べられている。また、磁気シールド体102A〜102Dは、磁界発生源88から発生する磁界の方向と磁気シールド面が垂直に交わるように設けられている。
磁気シールド体102A〜102D(筒体104)のx方向の長さは、図17(A)の磁気シールド体102Aが50mm、図17(B)の磁気シールド体102Bが100mm、図17(C)の磁気シールド体102Cが300mm、図17(D)の磁気シールド体102Dが600mmとなっている。
先に述べたように、磁気シールドルーム80、82、84、86は、図18に示した部屋98の1/8モデルなので、図17に示した磁性体100のx方向及びy方向の長さは共に、1500mm(部屋98の磁性体のx方向及びy方向の長さは共に、3000mm)である。また、図17に示した磁気シールド体102A〜102Dのy方向及びz方向の長さは共に、1500mm(部屋98の磁気シールド体のy方向及びz方向の長さは共に、3000mm)である。
図16の符号90、92、94、96の測定点は、図20に示すように、磁気シールド体102A〜102Dの外側の面となるy−z平面Tから100mm外側に平行移動した測定平面F上としている。そして、この測定平面F上において、図19に示す一点鎖線106上の高さzが図16の横軸の高さz(mm)となっている。一点鎖線106は、z軸から75mm離して平行に引かれている。
図16に示すように、磁束密度は、符号90、92、94、96の順に小さくなっており、符号96が最も小さい値を示している。すなわち、符号96の磁気シールドルーム86の磁気遮蔽効果が最も高いことを示している。
また、高さz=0mmにおいて、符号90の値は0.054(T)、符号92の値は0.044(T)、符号94の値は0.028(T)、符号96の値は0.025(T)となっている。また、図16には示されていないが、図17(A)の磁気シールドルーム80に磁気シールド体102Aが設けられていない場合の値は0.097(T)となっており、x方向の長さが最も短い磁気シールド体102A(符号90)の場合においても、磁気シールドルーム80に磁気シールド体102Aが設けられていない場合の磁束密度を約55/100にする磁気遮蔽効果が得られていることがわかる。
よって、x方向の長さが50mmの磁気シールド体102A(符号90)の磁束密度(磁気遮蔽性)を100%とすると、磁気シールド体102A(符号90)に対して磁気シールド体102B(符号92)は81%、磁気シールド体102C(符号94)は52%、磁気シールド体102D(符号96)は46%に漏洩磁界をそれぞれ減衰することができるので、x方向の長さを長くすることが磁気遮蔽性を高める上で効果的であることがわかる。
このように、筒体104(磁気シールド体102A〜102D)の長さが長い方が、より磁気遮蔽性が高くなる。よって、透磁性の筒体(磁気シールド体)の長さは、50mm以上であればよく、100mm以上であることが好ましく、300mm以上であることがより好ましい。
また、透磁性の筒体(磁気シールド体)の長さに対する筒体の外壁の長辺の比(長さ/長辺)では、0.4(≧50mm/149mm)以上であればよく、0.7(≧100mm/149mm)以上であることが好ましく、2.1(≧300mm/149mm)以上であることがより好ましい。
図21には、図22(A)〜(D)に示す磁気シールドルーム108、110、112、114の内部に設置された磁界発生源88からy方向に一様磁界を加えたときのz方向の高さに対する磁束密度が示されている。
磁気シールドルーム108、110、112、114は、図17(A)〜(D)の磁気シールドルーム80、82、84、86に設置された磁界発生源88の向きをy方向に一様磁界を加える向きに替えただけのものであり、他の構成や測定方法等は磁気シールドルーム80、82、84、86の場合と同じである。よって、磁気シールドルーム108、110、112、114の構成や測定点についての説明は省略する。
図21の符号116、118、120、122の値は、磁気シールドルーム108、110、112、114にそれぞれ対応している。
図21に示すように、磁束密度は、符号116、118、120、122の順に小さくなっており、符号122が最も小さい値を示している。すなわち、符号122の磁気シールドルーム114の磁気遮蔽効果が最も高いことを示している。
また、高さz=0mmにおいて、符号116の値は0.03(T)、符号118の値は0.022(T)、符号120の値は0.013(T)、符号122の値は0.012(T)となっている。また、図21には示されていないが、図22(A)の磁気シールドルーム108に磁気シールド体102Aが設けられていない場合の値は0.046(T)となっており、x方向の長さが最も短い磁気シールド体102A(符号116)の場合においても、磁気シールドルーム108に磁気シールド体102Aが設けられていない場合の磁束密度を約65/100にする磁気遮蔽効果が得られていることがわかる。
よって、x方向の長さが50mmの磁気シールド体102A(符号116)の磁束密度(磁気遮蔽性)を100%とすると、磁気シールド体102A(符号116)に対して磁気シールド体102B(符号118)は73%、磁気シールド体102C(符号120)は43%、磁気シールド体102D(符号122)は40%に漏洩磁界をそれぞれ減衰することができるので、x方向の長さを長くすることが磁気遮蔽性を高める上で効果的であることがわかる。
このように、筒体104(磁気シールド体102A〜102D)の長さが長い方が、より磁気遮蔽性が高くなる。よって、透磁性の筒体(磁気シールド体)の長さは、50mm以上であればよく、100mm以上であることが好ましく、300mm以上であることがより好ましい。
また、透磁性の筒体(磁気シールド体)の長さに対する筒体の外壁の長辺の比(長さ/長辺)では、0.4(≧50mm/149mm)以上であればよく、0.7(≧100mm/149mm)以上であることが好ましく、2.1(≧300mm/149mm)以上であることがより好ましい。
図23には、図24(A)、図25(A)に示す磁気シールドルーム124、126の内部に設置された磁界発生源88からx方向に一様磁界を加えたときのz方向の高さに対する磁束密度が示されている。
磁気シールドルーム124は、図17(A)の磁気シールド体102Aのx方向の長さを450mmにした磁気シールド体102Eが設けられたものである。また、磁気シールドルーム126は、図17(A)の磁気シールド体102Aのx方向の長さを450mmにし、さらに透磁性の筒体の配置を図25(B)のようにした磁気シールド体102Fが設けられたものである。
磁気シールド体102Fは、図25(B)の正面図に示すように比透磁率3000の磁性材料(珪素鋼板を想定)からなる角パイプ状の筒体128を等間隔に配置したものである。筒体128同士の隙間は6mmとし外周に配置された筒体104の外側に形成された隙間は3mmとなっている。すなわち、筒体128は150mmピッチで縦横に並べられている。
磁気シールドルーム124、126の構成や測定方法等は磁気シールドルーム80の場合と同じである。よって、磁気シールドルーム124、126の構成や測定点についての説明は省略する。
図23の符号130は、図24(A)の磁気シールドルーム124に磁気シールド体102Eが設けられていない場合の値であり、符号134、132の値は、磁気シールドルーム124、126にそれぞれ対応している。
図23に示すように、磁束密度は、符号130、132、134の順に小さくなっており、符号134が最も小さい値を示している。すなわち、符号134の磁気シールドルーム124の磁気遮蔽効果が最も高いことを示している。
また、高さz=0mmにおいて、符号132の値は0.03(T)、符号134の値は0.025(T)となっている。また、図24(A)の磁気シールドルーム124に磁気シールド体102Eが設けられていない符号130の値は0.097(T)となっており、筒体同士の間の間隔が最も大きい磁気シールド体102F(符号132)の場合においても、磁気シールドルーム124に磁気シールド体102Eが設けられていない場合の磁束密度を約26/100にする磁気遮蔽効果が得られていることがわかる。
よって、透磁性の筒体の間の間隔が小さいほど、高い磁気遮蔽性を得ることができ、また、筒体同士の間の間隔がある程度大きくなっても磁気遮蔽効果はそれほど違わないことがわかる。筒体同士の間の間隔が1mmである磁気シールド体102E(符号134)の磁束密度(磁気遮蔽性)を100%とすると、磁気シールド体102E(符号134)に対して磁気シールド体102F(符号132)は120%となり、磁気遮蔽性が20%程度低下するが、先に述べたように、磁気シールド体102F(符号132)は、磁気シールドルーム124に磁気シールド体102Eが設けられていない場合の漏洩磁界を約31/100に低減することができ、十分な磁気遮蔽効果が確保されている。
このように、十分な磁気遮蔽効果を確保するためには、筒体同士の間の間隔が6mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
図26には、図27、図28に示す磁気シールドルーム136、138の内部に設置された磁界発生源88からy方向に一様磁界を加えたときのz方向の高さに対する磁束密度が示されている。
磁気シールドルーム136は、図24(A)の磁気シールドルーム124に設置された磁界発生源88の向きをy方向に一様磁界を加える向きに替えただけのものであり、磁気シールドルーム138は、図25(A)の磁気シールドルーム126に設置された磁界発生源88の向きをy方向に一様磁界を加える向きに替えただけのものである。よって、磁気シールドルームの構成や測定方法等は磁気シールドルーム124、126の場合と同じである。よって、磁気シールドルーム136、138の構成や測定点についての説明は省略する。
図26の符号140は、図27(A)の磁気シールドルーム136に磁気シールド体102Eが設けられていない場合の値であり、符号144、142の値は、磁気シールドルーム136、138にそれぞれ対応している。
図26に示すように、磁束密度は、符号140、142、144の順に小さくなっており、符号144が最も小さい値を示している。すなわち、符号144の磁気シールドルーム136の磁気遮蔽効果が最も高いことを示している。
また、高さz=0mmにおいて、符号142の値は0.015(T)、符号144の値は0.012(T)となっている。また、図27(A)の磁気シールドルーム136に磁気シールド体102Eが設けられていない符号140の値は0.046(T)となっており、筒体同士の間の間隔が最も大きい磁気シールド体102F(符号142)の場合においても、磁気シールドルーム136に磁気シールド体102Eが設けられていない場合の磁束密度を約22/100にする磁気遮蔽効果が得られていることがわかる。
よって、透磁性の筒体の間の間隔が小さいほど、高い磁気遮蔽性を得ることができ、また、筒体同士の間の間隔がある程度大きくなっても磁気遮蔽効果はそれほど違わないことがわかる。筒体同士の間の間隔が1mmである磁気シールド体102E(符号144)の磁束密度(磁気遮蔽性)を100%とすると、磁気シールド体102E(符号144)に対して磁気シールド体102F(符号142)は約125%となり、磁気遮蔽性が25%程度低下するが、先に述べたように、磁気シールド体102F(符号142)は、磁気シールドルーム136に磁気シールド体102Eが設けられていない場合の漏洩磁界を約22/100に低減することができ、十分な磁気遮蔽効果が確保されている。
このように、十分な磁気遮蔽効果を確保するためには、筒体同士の間の間隔が6mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
図29は、図30、31に示す測定装置の構成により、電磁波シールド体146に対して実施した実験の測定結果である。
図30に示すように、電磁波シールド体146を隔てて、送信アンテナ148、受信アンテナ150がそれぞれ設置されている。
電磁波シールド体146は、図32に示すように、アルミニウム製の角パイプ状の筒体152を横に3個、縦に15個積層したものである。筒体152の断面形状の外形寸法は150mm×150mm、長さ(奥行き)は450mm、板厚は1mmである。よって、電磁波シールド体146の横幅は450mm、高さは2250mmとなる。
送信アンテナ148は、このアンテナの電磁波発信源が電磁波シールド構造体146の一方の表面から3000mm離れるように設置され、受信アンテナ150は、このアンテナの電磁波受信源が電磁波シールド構造体146の他方の表面から600mm離れるように設置されている。
測定は、始めに電磁波シールド構造体146を設置しない状態で、送信アンテナ148から電磁波を送信させ、これを受信アンテナ150で受信して、その電磁波の強度(基準レベルA0)を測定する。
次に、電磁波シールド構造体146を設置した状態で、送信アンテナ148から電磁波を発信させ、これを受信アンテナ150で受信して、その電磁波の強度(レベルA1)を測定する。
そして、この基準レベルA0の値からレベルA1の値を引いた値を電磁波遮蔽性能(dB)とする。すなわち、図29の縦軸に示す電磁波遮蔽性能(dB)の値が大きいほど電磁波遮蔽性が高いことになる。
そして、この測定を1MHz〜701MHzの周波数(図29の横軸)の水平偏波及び垂直偏波に対して行った。水平偏波の出力は80dBμV、垂直偏波の出力は50dBμVとした。
水平偏波を測定するための送信アンテナ148及び受信アンテナ150には、図30に示すように、横置きされたバイコニカルアンテナを用いた。
また、垂直偏波を測定するための送信アンテナ148及び受信アンテナ150には、図31に示すように、縦置きされたバイコニカルアンテナを用いた。
図30、31共に、送信アンテナ148と受信アンテナ150は、アンテナの電磁波発信源及び電磁波受信源の高さが、図32に示す電磁波シールド体146の略中央の点Cに位置するように設置されている。すなわち、床面Gから送信アンテナ148の電磁波発信源までの高さ、及び床面Gから受信アンテナ150の電磁波受信源までの高さは、1125mmとなっている。
図29の符号154、156、158、160、162、164は、周波数に対する電磁波遮蔽性能の値である。
符号154、156、158は、水平偏波(図30)に対する測定結果である。符号154は電磁波シールド体146の筒体152の外周面にニッケルメッキが施されたものである。符号156は、電磁波シールド体146の筒体152の外周面にニッケルメッキは施されておらず、図9に示したような導電性テープ50により筒体152同士の隙間を塞いだものである。符号158は、電磁波シールド体146の筒体152にニッケルメッキが施されておらず、また、導電性テープも貼られていないものである。
よって、水平偏波においては、符号158(アルミニウム筒体のみ)に比べて、符号156(アルミニウム筒体+導電性テープ)や符号154(アルミニウム筒体+ニッケルメッキ)の方が高い電磁波遮蔽性が得られることがわかる。
また、最も電磁波遮蔽性が低い符号158(アルミニウム筒体のみ)においても、周波数400MHz以下では50dB以上の値を示しており、実用において十分な電磁波遮蔽性が得られていることがわかる。
符号160、162、164は、垂直偏波(図31)に対する測定結果である。符号160は電磁波シールド体146の筒体152の外周面にニッケルメッキが施されたものである。符号162は、電磁波シールド体146の筒体152の外周面にニッケルメッキは施されておらず、図9に示したような導電性テープ50により筒体152同士の隙間を塞いだものである。符号164は、電磁波シールド体146の筒体152にニッケルメッキが施されておらず、また、導電性テープも貼られていないものである。
よって、垂直偏波においては、符号164(アルミニウム筒体のみ)や符号162(アルミニウム筒体+導電性テープ)に比べて、符号160(アルミニウム筒体+ニッケルメッキ)の方が高い電磁波遮蔽性が得られることがわかる。
これらの実験結果からわかるように、導電性の筒体を積層された構造によって十分な電磁波遮蔽性を得ることができる。また、この筒体の外周面にニッケルメッキを施したり、筒体同士の間の隙間を導電性テープで塞ぐことにより、筒体同士の間の隙間から漏洩する電磁波を低減して電磁波遮蔽性を向上させることができる。電磁波遮蔽性を向上させる上では、筒体の外周面にニッケルメッキを施す方法が最も効果的である。