JP2003309393A - 磁気シールド構造およびその設計法 - Google Patents

磁気シールド構造およびその設計法

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JP2003309393A
JP2003309393A JP2002111058A JP2002111058A JP2003309393A JP 2003309393 A JP2003309393 A JP 2003309393A JP 2002111058 A JP2002111058 A JP 2002111058A JP 2002111058 A JP2002111058 A JP 2002111058A JP 2003309393 A JP2003309393 A JP 2003309393A
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magnetic shield
dimension
magnetic
shield structure
magnetic field
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JP2002111058A
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Toshifumi Niino
敏文 新納
Koichi Ishibashi
孝一 石橋
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Fujita Corp
Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd
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Fujita Corp
Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気シールド設計において、最適な磁気シー
ルド形状の設定が容易に行えるようにすることにある。 【解決手段】 水平磁場を卓越磁場と想定した場合に
は、ロの字形の磁気シールド構造の奥行dと高さhとの
比は、高さhが低くなる程磁気シールド効果が高くな
る。高さhを一定とした場合には、奥行dを大きくした
方が磁気シールド効果を高くすることができる。高さh
が225mm(=d/4)、450mm(=d/2)の
場合に、5μTの水平磁場が0.3〜0.28μTまで
に、すなわち約94%も侵入磁場を低減できることが確
認される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物内に設置され
る機器に影響を及ぼす侵入磁場の磁気シールド技術に関
し、特に、最適な磁気シールド構造の設計に適用して有
効な技術である。
【0002】
【従来の技術】建物内には、建物外部あるいは建物内部
を発生源とする種々の磁場が存在している。例えば、建
物外部の送電線から、50Hzあるいは60Hzといっ
た商用周波数の交流磁場が侵入してくる。また、建物内
部の電気室では、周辺に交流磁場が漏洩している。ま
た、超電導磁石を用いたNMR(核磁気共鳴装置)で
は、周辺に直流磁場が漏洩している。
【0003】このような建物においては、磁場の人体や
機器への影響が懸念されている。このうち、人体に関し
ては影響の有無はまだ明らかとなっていないが、機器に
関しては電子ビーム応用機器等で障害が生じる。例え
ば、テレビやパソコン用CRTディスプレイでは、交流
磁場により画像揺れ等の磁気障害が生じる。その閾値
は、画面サイズ、方式、解像度等によって異なるが、一
般的には1μT〜2μT(波高値)とされている。
【0004】建物外部から建物内に侵入する磁場の一例
として、送電線近傍の集合住宅における磁場分布を図1
4に示す。これは、電圧66,000V、4回線からな
る送電線を対象として、周辺の磁場分布を数値シミュレ
ーションで求めたものである。送電線及び集合住宅の断
面図に磁場分布を書き込んでいるが、画像揺れの閾値で
ある1μT以上の領域が半分以上あることがわかる。閾
値を2μTとしてもかなりの領域が越えている。
【0005】このような磁場に対して、建物内の比較的
広い領域で磁場を低減し、磁気障害が発生しないように
する従来方法としては、以下のようなものがある。
【0006】まず、建物内の対象空間に対して、その全
周を磁気シールド材で覆う方法がある。例えば、対象空
間を直方体形状と想定すれば、その周辺6面を磁気シー
ルド材で覆い、磁気シールドルームにする方法である。
【0007】かかる磁気シールド構造では、対象空間内
への磁場の侵入を遮断し、内部全体で磁気障害の発生を
抑えることができる。磁場の侵入の影響が少ない1面の
磁気シールド層を省略した5面構造の磁気シールドルー
ムにする場合もある。
【0008】次に、集合住宅のように開口部がたくさん
あり、壁面に十分なシールド層を設けることができない
場合は、磁気シールド性能は落ちるが屋根面のみを磁気
シールド材で覆い、外部からの磁場の侵入を防ぐ方法も
採用されている。
【0009】いずれも、磁気シールド材には、パーマロ
イ、アモルファス、珪素鋼板、純鉄等の高透磁率を有す
る強磁性体材料が使われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかる従来技
術には、以下のような問題点がある。すなわち、磁気シ
ールドルームは、性能を確保するため、窓等の開口部が
ない閉ざされた空間となることが多く、採光面、換気面
で不利であるとともに、中の人間に与える心理的悪影響
も大きい。
【0011】また、出入り口に用いられる磁気シールド
扉は、特殊な機構を用いて開閉するため、出入りが大変
である。そのため、磁気シールドルームは研究所等に設
置される特殊な空間の趣が強い。当然、コストも高い。
したがって、一般の建物で比較的広い空間を対象として
磁気シールド構造を採用するのは難しい。
【0012】また、屋根面のみを磁気シールド材で覆う
工法は、屋根面の面積が大きく、かつ幅・奥行とも所定
の長さ以上あれば多少効果はあるが、外壁に面する部分
ではほとんど効果がない。逆に磁気シールド材端部に磁
極ができ、磁場が大きくなることもある。また、面積が
大きくなると、当然コストも高くなる。屋根面の面積が
小さい場合の効果は皆無と言ってよい。
【0013】一方、対象空間の全周を磁気シールド材で
覆う磁気シールドルーム程の高性能は有しないが、屋根
面のみの磁気シールド工法と比べると、格段に高い磁気
シールド効果が期待できる磁気シールド構造が提案され
ている。
【0014】かかる磁気シールド構造としては、例え
ば、水平方向に相対する2層の磁気シールド層を配置す
る構造が挙げられる(以下、簡単に、かかる磁気シール
ド構造を平行2層の磁気シールド構造と言う場合もあ
る)。例えば、本発明者の一人が提案した、特願平7−
129156「変動磁場シールド工法」がこれに相当す
る。
【0015】これは、建物内所要空間の上下平面に、強
磁性材料あるいは導電性材料からなる磁気シールド層を
サンドイッチ状に配し、送電線等からの磁場の侵入を遮
断するものである。外周からの磁場の侵入はあるが、建
物内の比較的広い領域で磁場を概ね低減できる。工場等
のように床面積が大きく、磁場の影響を受ける機器を部
屋内に置くような建物に適用できる。
【0016】また、本発明者が提案した特願2002−
53693「磁気シールド構造」もある。これは、建物
内所要空間において、送電線等から発生する磁場に対し
て、水平面上部と下部の相対する2層及び垂直面1層か
らなる3層形状の磁気シールド層を磁気的に連通させて
磁気回路を構成するものである(以下、簡単に、コの字
形磁気シールド構造と言う場合もある)。内部の大部分
で磁場が0.5倍以下に低減され、テレビやパソコン用
CRTディスプレイの画像揺れ障害を防ぐことができ
る。バルコニー等の開口面が多い集合住宅等に適用でき
る。
【0017】さらに、水平方向に相対する2層及び垂直
方向に相対する2層からなる4層形状の磁気シールド層
を磁気的に連通させて配置するものもある(以下、簡単
に、ロの字形の磁気シールド構造と言う場合もある)。
例えば、本発明者の一人が提案した特願平7−3486
16「変動磁場シールド工法」に、かかる提案がある。
【0018】これは、送電線に平行な面(天井面、床
面、両壁面)を方向性珪素鋼板の圧延方向が送電線と直
交して閉回路を描くように配し、4層形状の磁気シール
ド層を形成するものである。開放面近傍を除く広い領域
で磁場を0.1〜0.2倍程度まで低減することができ
る。磁場の影響を受ける機器を広い領域に置くことが想
定される事務所等のような建物に適用できる。
【0019】いずれも、部屋空間、あるいは建物全体空
間といった広い空間を対象とした磁気シールド構造であ
るが、それのみならず、磁場の影響を受ける機器周辺の
局所空間にも対応できる。
【0020】これらの磁気シールド構造の適用に際して
は、対象空間における磁場の性状(強さ・方向)をもと
に、求められる磁場環境(閾値)から所望の磁気シール
ド効果を決定し、これに基づき磁気シールド設計を行う
ことになる。
【0021】磁気シールド設計は、使用する磁気シール
ド材の種類、厚さ(重ね枚数)、設置範囲(形状)等
を、コストを加味して数値シミュレーションやモデル実
験等により決定するものである。
【0022】一般的には、対象となる建物や部屋の形状
から磁気シールド構造の形状を決定し、求められる磁気
シールド性能に見合った磁気シールド材の種類、厚さ
(重ね枚数)を決定する手順となる。
【0023】従来、磁気シールド層の組み込み易さとい
う観点から形状を設定することが多かったが、設定され
た形状が対象の磁場に対して効果的でない場合、性能が
十分に発揮できない場合等が発生することもあった。
【0024】しかし、磁気シールド性能における形状の
効果については、従来はそれ程重視されておらず、かか
る場合には、磁気シールド材の変更等で対処することが
主流となっていた。かかる対処では、高価な磁気シール
ド材を使ったり、磁気シールド材の厚さを増す等して、
施工コストの増大に繋がった。
【0025】本発明者は、長年磁気シールド構造の研究
を行ってきて、使用する磁気シールド材の重要性は勿論
ではあるが、磁気シールド形状の設定も、磁気シールド
性能の大きな決定要因となることを経験的に見出した。
磁気シールド構造の設計において、最適な形状設定は、
性能やコストを決める上で大きな鍵となる。
【0026】本発明の目的は、磁気シールド設計におい
て、最適な磁気シールド形状の設定が行えるようにする
ことにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者は、長年磁気シ
ールド構造の研究を行う中、同様の磁気シールド構造に
おいても、磁気シールド構造の高さ、幅、奥行の3種の
寸法の比率が大きく磁気シールド性能に影響を及ぼす事
実を見出した。
【0028】これまでは、磁気シールド構造の形状と言
えば、例えば、断面ロの字形の磁気シールド形状、断面
コの字型の磁気シールド形状、上下2面の磁気シールド
層からなる平行2層の磁気シールド形状等、形状自体が
それぞれ異なるものの間での、磁気シールド性能の優劣
の比較を行ってきた。
【0029】しかし、例えば、断面ロの字形状の磁気シ
ールド形状であっても、磁気シールド効果と上記寸法と
の間に一定の法則性、規則性があることを見出し、本発
明に至ったものである。
【0030】かかる実験的に見出された規則性を利用す
ることにより、磁気シールド設計をより効率的に行える
ようにすることができる。かかる規則性は、単なる設計
変更で辿り着くものではなく、綿密な実験に基づき本発
明者により初めて見出され、提案されたものである。
【0031】従来、磁気シールド層の組込がし易いとい
う観点から一旦決定した磁気シールド形状の変更は、設
計上、余程のことがない限り行われず、かかる形状を前
提とした上で、コストはかかるものの磁気シールド材の
変更で所望の磁気シールド性能を確保すべく対応してき
た。
【0032】かかる対応は、磁気シールド形状の設計に
おいて、磁気シールド効果と形状との対応関係に規則性
が見出せていなかったため、形状変更を行うとなるとど
の方向にどのようにして変更したらよいか、指針となる
べきものがなかったこと等による。
【0033】しかし、今回本発明者が提案する規則性を
利用すれば、磁気シールド形状の設定、あるいは変更に
際して、どの方向に変更等を行えばよいかの方向性が得
られる。これまでその方向性が見出せず磁気シールド形
状の設定、変更を十分に考慮し得なかった分野におい
て、その方向性を示す本発明は、極めて意義のある発明
と言える。
【0034】本発明は、前記の如く、建物内に設置され
る機器に影響を及ぼす侵入磁場の磁気シールド技術に関
し、特に、最適な磁気シールド構造の設計に適用して有
効な技術である。
【0035】本発明は、前記寸法が考慮される3次元の
対象空間を磁気シールドする構造、及びその設計に適用
できるものであるが、その適用性が実効性があり、且つ
分かりやすいように、本発明の適用磁気シールド構造の
対象は、本発明者等が磁場の性状(強さ・大きさ)を勘
案した上で、求められる条件、性能等に応じて提案し
た、以下の3種類の磁気シールド構造を例に挙げて説明
する。
【0036】すなわち、対象空間の上下平面に、水平方
向に相対する2層の磁気シールド層を配置した2層形状
の、すなわち平行2層の磁気シールド構造である。工場
等のように床面積が大きく、磁場の影響を受ける機器を
部屋内に置くような建物に有効に適用できる。
【0037】また、対象空間の周辺に、水平方向に相対
する2層及び垂直面1層からなる磁気シールド層を磁気
的に連通させ、磁気回路が有効に働く方向に向けて設置
した3層形状の磁気シールド構造、すなわちコの字形の
磁気シールド構造である。テレビやパソコン用CRTデ
ィスプレイの画像揺れ障害を防ぐことを目的として、バ
ルコニー等の開口面が多い集合住宅等に適用できる。
【0038】さらに、磁気シールドする対象空間の周辺
に、水平方向に相対する2層及び垂直方向に相対する2
層からなる磁気シールド層を磁気的に連通させ、磁気回
路が有効に働く方向に向けて設置した4層形状の磁気シ
ールド構造、すなわち、ロの字形の磁気シールド構造で
ある。広い領域に対して磁場の影響を受ける機器を置く
ことが想定される事務所等のような建物に適用できる。
【0039】これらが対象とする空間は、主に部屋空
間、あるいは建物全体空間といった広い空間であるが、
それのみならず、磁場の影響を受ける機器周辺の局所空
間にも対応できる。
【0040】局所空間では、かかる空間を取り囲むよう
に磁気シールド材を固定または移動可能とした複数の磁
気シールド面で形成して、その自由な組み合わせで磁気
シールド層を構成すればよい。
【0041】部屋空間では、水平面上部の磁気シールド
層を室内天井あるいは上階床に、水平面下部の磁気シー
ルド層を室内床、あるいは下階天井に構成する。また、
コの字形及びロの字形においては、垂直面の磁気シール
ド層を室内壁面に構成すればよい。あるいは外壁面に構
成することもできる。
【0042】建物全体空間では、水平面の磁気シールド
層を建物の屋根面あるいは床面、垂直面の磁気シールド
層を外壁面に構成する。
【0043】すなわち、本発明は、磁気シールド構造を
いずれかの対象空間に対して選択採用する際に、卓越す
る磁場の方向に応じて、奥行、高さ、幅の最適な寸法比
を設定する基準を提案するものである。
【0044】先ず、水平磁場が卓越する空間では、奥行
に対する高さの比はできるだけ小さくする。そこで、設
計上、奥行が決まっている場合は、高さをできるだけ低
くする。最低でも奥行の1/2倍以下が好ましい。逆
に、高さが決まっている場合は、奥行をできるだけ長く
すればよい。最低でも高さの2倍以上がよい。
【0045】一方、幅は、対象空間の端部から磁気シー
ルド構造の端部までの距離を、奥行の1/4倍以上とす
る。対象空間の端部として、左右の端部を考慮すれば、
少なくとも奥行の1/2倍は必要である。
【0046】すなわち、磁気シールド構造の幅は、対象
空間の幅寸法と、対象空間の左右端に設定する上記奥行
の1/4倍以上の寸法とを足し合わせた寸法となる。
【0047】次に、垂直磁場が卓越する空間では、磁気
シールド構造によって異なり、コの字形、ロの字形の磁
気シールド構造においては、設計上、奥行が決まってい
る場合は、奥行の1/2倍以上、2倍以下が好ましく、
より好ましくは高さと奥行が等しい場合である。
【0048】逆に、高さが決まっている場合は、奥行を
高さの1/2倍以上、2倍以下に設定すればよく、より
好ましくは、奥行をできるだけ高さと等しくするとよ
い。
【0049】幅は、対象空間の端部から磁気シールド構
造の端部までの距離を、奥行の1/2倍以上とする。対
象空間の端部として、左右の端部を考慮すれば、少なく
とも奥行の等倍は必要である。
【0050】すなわち、磁気シールド構造の幅は、対象
空間の幅寸法と、対象空間の左右端に設定する上記奥行
の1/2倍以上の寸法とを足し合わせた寸法となる。
【0051】一方、平行2層の磁気シールド構造におい
ては、垂直磁場が卓越する空間では全く磁気シールド効
果はなく、平行2層の磁気シールド構造を垂直磁場卓越
空間では採用できない。
【0052】なお、水平方向に卓越、垂直方向に卓越の
いずれとも判定しにくい中間方向の侵入磁場に対して
は、磁場を水平方向と垂直方向に分解し、いずれかの方
向が大きい方向を卓越磁場として扱えばよい。
【0053】あるいは、45゜方向の磁場の場合、奥行
に対する高さの比を1/2倍、幅を対象空間の端部から
磁気シールド構造の端部までの距離を奥行の1/2倍以
上とすれば、両方を満足させることができる。対象空間
の端部として、左右の端部を考慮すれば、少なくとも奥
行の等倍は必要である。
【0054】これらは強磁性体による磁気シールド効果
だけを考慮したときに対応しているが、導体の渦電流に
よる磁気シールド効果は、50Hzないしは60Hz程
度の周波数帯では、強磁性体による磁気シールド効果と
比べて1/10以下と小さいため、本発明では考慮しな
いものとする。
【0055】また、例えば、被磁気シールド空間を直方
体に見立てた場合に、かかる被磁気シールド空間を筒状
に囲むように覆う断面ロの字形の磁気シールド構造で
は、幅方向を長くする程、両サイド開放面からの磁場の
侵入を抑え、広い領域で磁場を低減することができる。
【0056】しかし、建物や部屋の制約上、かかる設計
は難しい場合がある。この場合、両サイド開放面の一
方、あるいは両方を塞ぐことにより、性能を確保するこ
とができる。これらは、結果として従来形の5面あるい
は6面構造の磁気シールド構造となる。
【0057】従って、5面あるいは6面構造の磁気シー
ルド構造も、ロの字形の延長線上に位置付けることがで
き、水平磁場が卓越する空間、垂直磁場が卓越する空間
それぞれにおいて、前述の奥行と高さの関係を当てはめ
ることができる。ただし、幅に関しては対象外となる。
【0058】すなわち、本発明は、磁気シールドする対
象空間を囲む磁気シールド構造であって、前記磁気シー
ルド構造を規定する互いに直交する3方向に沿った複数
の寸法のうち、前記磁気シールド空間への侵入磁場の卓
越方向に沿った卓越方向寸法と、前記卓越方向寸法と直
交する他の2方向にそれぞれ沿った寸法のうち一方の寸
法とが、前記一方の寸法が、前記卓越方向寸法の1/2
倍以下であることを特徴とする。
【0059】かかる構成においては、前記卓越方向寸法
と直交する他の2方向にそれぞれ沿った寸法のうち他方
の寸法とは、前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空
間の寸法と、前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空
間の左右端のそれぞれから、前記他方の寸法方向に沿っ
て設定され、前記卓越方向寸法の1/4倍以上であるそ
れぞれの寸法との総和であることを特徴とする。
【0060】以上の構成においては、前記卓越方向磁場
は水平磁場であり、前記卓越方向寸法は奥行であり、前
記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿った
寸法のうち一方の寸法とは高さであることを特徴とす
る。
【0061】本発明は、前記磁気シールド構造を規定す
る互いに直交する3方向に沿った複数の寸法のうち、前
記磁気シールド空間への侵入磁場の卓越方向に沿った卓
越方向寸法と、前記卓越方向寸法と直交する他の2方向
にそれぞれ沿った寸法のうち一方の寸法とが、前記卓越
方向寸法が、前記一方の寸法の1/2倍以上、2倍以下
であることを特徴とする。
【0062】上記構成においては、前記卓越方向寸法と
直交する他の2方向にそれぞれ沿った寸法のうち他方の
寸法とは、前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空間
の寸法と、前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空間
の左右端のそれぞれから、前記他方の寸法方向に沿って
設定され、前記一方の寸法の1/2倍以上であるそれぞ
れの寸法との総和であることを特徴とする。
【0063】以上の構成においては、前記卓越方向磁場
は垂直磁場であり、前記卓越方向寸法は高さであり、前
記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿った
寸法のうち一方の寸法とは奥行であることを特徴とす
る。
【0064】本発明は、磁気シールドする対象空間を囲
む磁気シールド構造の設計法であって、前記対象空間に
適用する前記磁気シールド構造の形状を設定するステッ
プと、設定された前記磁気シールド構造の形状を規定す
る寸法の比を、基準寸法比の範囲内に入るように調整す
るステップとを有することを特徴とする。
【0065】上記構成においては、前記磁気シールド構
造の形状を規定する寸法とは、互いに直交する3方向に
沿った寸法であり、そのうちの一つの寸法は、侵入磁場
の卓越方向に沿っていることを特徴とする。
【0066】以上の構成においては、前記寸法の比と
は、前記磁気シールド構造を規定する互いに直交する3
方向に沿った複数の寸法のうち、前記磁気シールド空間
への侵入磁場の卓越方向に沿った卓越方向寸法と、前記
卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿った寸
法のうち一方の寸法との比であることを特徴とする。
【0067】上記構成においては、前記基準寸法比と
は、前記一方の寸法が、前記卓越方向寸法の1/2倍以
下であることを特徴とする。あるいは、前記基準寸法比
とは、前記卓越方向寸法が、前記一方の寸法の1/2倍
以上、2倍以下であることを特徴とする。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0069】本発明は、直交する3方向に沿った寸法に
よりその形状が規定できる磁気シールド構造であれば、
その形状を特段問わない。しかし、説明を分かりやす
く、簡単にするために、以下、平行2層の磁気シールド
構造と、コの字形磁気シールド構造と、ロの字形磁気シ
ールド構造との3種を例に挙げて説明する。
【0070】なお、平行2層の磁気シールド構造とは、
磁気シールド層が相対する平行2層から構成される形状
の磁気シールド構造である。
【0071】コの字形磁気シールド構造とは、相対する
平行2層の磁気シールド層の2層に垂直1層の磁気シー
ルド層が断面コの字形になるように交差する場合であ
り、ロの字形磁気シールド構造とは、相対する平行2層
と、別の相対する平行2層とが互いに交差するように設
けられ、略角筒状に被磁気シールド空間としての対象空
間を覆う断面ロの字形になる場合である。
【0072】(実施の形態1)本実施の形態1では、平
行2層からなる磁気シールド構造について、本発明を適
用した場合について説明する。
【0073】図1(A)は、平行2層の磁気シールド構
造の基本形であり、(B)は、(A)に示す磁気シール
ド効果の評価面における磁場の強さの評価点を示す説明
図である。図2は、図1(A)に示す基本形に対して、
互いに直交する3方向に沿った寸法である奥行、高さ、
幅のうち、奥行と高さの寸法比が、磁気シールド効果に
及ぼす影響を示すグラフである。
【0074】なお、以下の説明では、幅に関しては、特
に断らない限り、十分な幅設定が前提としてなされてお
り、磁気シールド効果に及ぼす幅の影響は無視できるも
のとする。
【0075】本実施の形態の平行2層の磁気シールド構
造100は、図1(A)に示すように、相対する平行な
磁気シールド層110、120が上下に高さh離された
形状に構成されている。かかる平行2層の磁気シールド
構造に対して、上記奥行と高さとがどのような比率であ
れば、最大の磁気シールド効果が得られるか本発明者
は、シミュレーションにより検証した。
【0076】検証に際しては、かかる平行2層の磁気シ
ールド構造100に対する侵入磁場の方向が問題となる
ため、図1(B)に示すように、水平方向が卓越してい
る場合と、垂直方向が卓越している場合との2つの場合
について検証した。
【0077】水平、垂直の互いに直交する2方向の場合
について検証すれば、侵入磁場がどの方向を向いていて
も、これら水平、垂直の2方向に侵入磁場を分解すれ
ば、本検証における水平磁場卓越、垂直磁場卓越のいず
れかに帰結させることができる。
【0078】さらに、以下の説明では、水平卓越磁場、
垂直卓越磁場の双方を侵入磁場と想定するが、磁気シー
ルド構造を実際の建物に適用する場合には、一般的に、
建物は、地盤面に対しての水平要素と、垂直要素とを重
要な構成要素とするため、上記侵入磁場の卓越方向の想
定は妥当である。
【0079】図1(A)に示す平行2層の基本形状で
は、幅wは1800mm、奥行dは900mmに固定
し、高さhを225mm(=d/4)、450mm(=
d/2)、900mm(=d)、1350mm(=3d
/2)、1800mm(=2d)と変化させて、水平卓
越磁場、垂直卓越磁場の各々における磁気シールド効果
を検証した。水平卓越磁場、垂直卓越磁場の双方とも、
磁場強度は5μTである。
【0080】また、かかる検証に際しては、磁気シール
ド層110、120は、0.3mm厚の磁気シールド材
を6枚重ねた厚さの1.8mm、透磁率μ=8000の
磁気シールド材を使用した。導電率による影響は考慮し
ていない。これは、厳密には、実際の磁気シールド材で
は、渦電流による磁気シールド効果も期待されるが、5
0Hz、60Hz程度の周波数帯では、強磁性体による
磁気シールド効果に比べて1/10以下と小さいためで
ある。かかる点については、以下の実施の形態でも同様
である。
【0081】その結果を図2に示す。図2では、縦軸に
上記平行2層の磁気シールド構造100の評価面130
の各評価点a、b、cにおける磁場強度をμT単位で、
横軸に高さhの寸法をmm単位でそれぞれとっている。
【0082】図2からは、水平卓越磁場、垂直卓越磁場
における水平2層の磁気シールド構造100の水平卓越
磁場方向に沿った寸法の奥行dと、かかる水平卓越磁場
方向に直交する高さhとの割合の磁気シールド効果に及
ぼす影響を読み取ることができる。
【0083】図2からは、水平卓越磁場の場合には、全
体的傾向として、磁気シールド効果は、奥行dを一定と
した場合には、高さhが低くなる程、磁気シールド効果
が高くなることが確認される。すなわち、逆に高さhを
一定とした場合には、奥行dを大きくした方が磁気シー
ルド効果を高くすることができる。
【0084】図2からは、高さhが225mm(=d/
4)の場合に、最も高い磁気シールド効果が得られるこ
とも分かる。かかる磁気シールド効果は評価点により異
なるが、5μTの水平磁場を1.8〜0.2μTまでに
低減することができる。すなわち64〜96%も侵入磁
場を低減できることが分かる。因みに、1.8μTは水
平a、cのグラフから、0.2μTは水平bのグラフか
らそれぞれ読み取った値である。
【0085】一方、高さhが450mm(=d/2)の
場合でも、5μTの侵入磁場を3〜0.8μTまで、す
なわち40〜84%低減することができることも確認さ
れる。
【0086】さらに、図2のグラフからは、磁場の低減
効果は、同一評価面でも、評価点a、cよりも、中央の
評価点bの方が磁気シールド効果が大きくなることが確
認される。
【0087】なお、平行2層の磁気シールド構造は、中
央部分を主な対象とした構造であるため、評価点bにお
ける磁気シールド効果として、侵入磁場を80%低減で
きる場合を目安とすれば、かかる磁気シールド効果を得
るための設計上の基準、すなわち、基準寸法比として
は、奥行dと高さhとの割合を、h≦d/2とすればよ
いことが分かる。
【0088】評価点a、cは、平行2層の磁気シールド
構造の周辺部分に相当し、当然に磁気シールド効果は中
央部分(評価点b)に比べ低くなるが、かかる周辺部分
における磁気シールド効果を中央部分の場合と同様とす
るには、奥行を大きくすればよい。
【0089】かかる侵入磁場を80%低減できる磁気シ
ールド効果としての目安は、送電線近傍の侵入磁場を1
〜2μTに低減できる程度の効果を有している。かかる
磁気シールド効果は、建物内におけるテレビやパソコン
用CRTディスプレイにおける侵入磁場の影響を阻止で
きる閾値にほぼ対応しており、前記設定の目安は、十分
に利用できる実効性のある目安と言える。
【0090】上記基準を用いれば、対象建物に対して、
平行2層の磁気シールド構造の適用が好ましいと決定さ
れた段階で、奥行dが決まっている場合には、高さhを
できるだけ低くするように磁気シールド設計すればよい
と言える。特に、侵入磁場の80%低減を目安とする場
合には、高さhは、少なくとも奥行dの1/2倍以下と
なるように設計する必要がある。
【0091】また、建物全体に平行2層の磁気シールド
構造100を適用しようとする場合には、屋上側と、建
物の一階部分の床側とで平行2層を形成することとなる
が、高さhは設計上固定され、奥行dを長くする場合を
考慮しなければならないことも想定される。
【0092】しかし、かかる奥行dの変更も十分に上記
目安の磁気シールド効果を確保できるまで長くすること
ができない場合には、中間階の床側、あるいは天井側に
1層の磁気シールド面を設定することにより、全体とし
て、上記目安の磁気シールド効果を満たす平行2層の磁
気シールド構造を複数重ねた構成とすればよいことも、
前記基準から考えられる。すなわち、上記の如く、中間
階に1層介在させることにより、実質的に高さhと奥行
dとの比率を変えることができる。
【0093】これまでは、かかる設計段階における方向
性がないため、一旦決定した平行2層の磁気シールド効
果を高めるためには、磁気シールド材の変更を主流とし
て対応していたが、上記の如く本発明を適用することで
同一の磁気シールド材を使用した場合でも、高さhと奥
行dとの比率を考慮することで、磁気シールド材の変更
により得られると同様の、あるいはそれ以上の磁気シー
ルド効果が獲得できる。さらに、かかる場合には、磁気
シールド材の変更はないため、磁気シールド材の変更を
考慮する場合に比べて施工コストの低減も図れる。
【0094】次に、卓越磁場が垂直な場合について検証
する。図2に示すように、平行2層の磁気シールド構造
100では、全く効果がないことが確認される。すなわ
ち、卓越磁場が垂直である場合には、平行2層の磁気シ
ールド構造を選択してはいけないことが分かる。
【0095】(実施の形態2)本実施の形態では、相対
する平行2層の磁気シールド層に対して、垂直1層の磁
気シールド層が交差するコの字形の磁気シールド構造
に、本発明を適用した場合について説明する。
【0096】図3(A)は、コの字形の磁気シールド構
造200の基本形であり、(B)は、(A)に示す磁気
シールド効果の評価面における磁場の強さの評価点を示
す説明図である。図4は、図3(A)に示す基本形に対
して、互いに直交する寸法の奥行、高さの比が、磁気シ
ールド効果に及ぼす影響を示すグラフである。
【0097】本実施の形態のコの字形の磁気シールド構
造200は、図3(A)に示すように、相対する平行な
磁気シールド層210、220が上下に高さh離され、
両磁気シールド層210、220に垂直1層の磁気シー
ルド層230が交差するように設けられ、断面がコの字
形に形成されている。
【0098】コの字形の磁気シールド構造200に対し
て、上記奥行、高さの寸法がどのような比率であれば、
最大の磁気シールド効果が得られるか本発明者は、シミ
ュレーションにより検証した。
【0099】検証に際しては、図3(B)に示すよう
に、侵入磁場の卓越方向として、水平、垂直の2方向
を、すなわち、水平磁場、垂直磁場のそれぞれを卓越磁
場とした場合について検証した。
【0100】図3(A)に示すコの字形の基本形状で
は、幅wは1800mm、奥行dは900mmに固定
し、高さhを225mm(=d/4)、450mm(=
d/2)、900mm(=d)、1350mm(=3d
/2)、1800mm(=2d)と変化させて、水平卓
越磁場、垂直卓越磁場の各々における磁気シールド効果
を検証した。水平卓越磁場、垂直卓越磁場の双方とも、
磁場強度は5μTである。
【0101】その結果を図4に示す。図4では、縦軸に
上記コの字形の磁気シールド構造200の評価面240
の各評価点における磁場強度をμT単位で、横軸に高さ
hの寸法をmm単位でそれぞれとっている。
【0102】図4に示すように、水平卓越磁場の場合に
は、磁気シールド効果の全体的傾向は、前記実施の形態
1の平行2層の場合と同様に、奥行dを一定とした場合
には、高さhが低くなる程磁気シールド効果が高くなる
ことが確認される。すなわち、高さhを一定とした場合
には、奥行dを大きくした方が磁気シールド効果を高く
することができる。かかる傾向は、磁気シールド効果の
大きさは異なるものの、全ての評価点a、b、cに共通
の傾向である。
【0103】図4からは、高さhが225mm(=d/
4)の場合に、最も高い磁気シールド効果が得られるこ
とが分かる。かかる磁気シールド効果は評価点により異
なるが、5μTの水平磁場を1.8〜0.2μTまでに
低減することができる。すなわち、64〜96%も侵入
磁場を低減できることが分かる。
【0104】一方、高さhが450mm(=d/2)の
場合でも、5μTの侵入磁場を3〜0.5μTまで、す
なわち40〜90%低減できることが確認される。
【0105】さらに、図4のグラフからは、磁場の低減
効果は、同一評価面でも、評価点cよりも、中央の評価
点bおよび端部の評価点aの方が磁気シールド効果が大
きくなることが確認された。
【0106】また、図4からは、評価点a、bにおける
磁気シールド効果は、h≦d/2でほぼ収束する傾向が
見られる。一方、磁気シールド効果のかかる収束域で
は、図4のシミュレーションのシールド材料の透磁率、
厚さ等の条件における最大の磁気シールド性能を示して
いる。これ以上、高さhを小さくしてもあまり磁気シー
ルド効果は変わらないものと考えられる。逆に、機能や
コスト等の面で、不合理となる。
【0107】そこで、かかる収束域を磁気シールド設計
上有効に活用できる範囲と見做し、h≦d/2であれば
よいという磁気シールド設計上の基準寸法比が得られ
る。
【0108】上記基準を用いれば、対象建物に対して、
コの字形の磁気シールド構造の適用が好ましいと決定さ
れた段階で、奥行dが決まっている場合には、高さhを
できるだけ低くするように磁気シールド設計すればよい
ことが分かる。特に、上記の如く磁気シールド効果の収
束域を考慮する場合には、高さhは、少なくとも奥行d
の1/2倍以下となるように設計する必要がある。
【0109】また、建物全体をコの字形の磁気シールド
構造200で形成しようとする場合には、すなわち、屋
上側、建物の一階部分の床側、側壁とでコの字形を形成
する場合では、高さh、あるいは奥行dのいずれか、あ
るいは双方の長さ変更をすることにより、h≦d/2を
満足するようにすればよい。
【0110】また、高さh、奥行dを共に変更できない
場合には、中間階に平行な磁気シールド層を追加するこ
とにより、奥行dに対する高さhを実質的に低くするこ
とで、上記基準を満たす磁気シールド構造を設計するこ
とができる。かかる構成は、上記基準の磁気シールド効
果を満たすコの字形磁気シールド構造を複数重ねた構成
と見做すことができる。
【0111】これまでは、かかる設計段階における方向
性がないため、一旦決定したコの字形の磁気シールド効
果を高めるためには、磁気シールド材の変更を主流とし
て対応していたが、上記の如く本発明を適用することで
同一の磁気シールド材を使用した場合でも、高さhと奥
行dとの比率を考慮することで、磁気シールド材の変更
により得られると同様のあるいはそれ以上の磁気シール
ド効果が獲得できる。
【0112】さらに、かかる場合には、磁気シールド材
の変更はないため、磁気シールド材の変更を考慮する場
合に比べて施工コストの低減も図れる。
【0113】次に、卓越磁場が垂直な場合について検証
する。図4に示すように、全体的傾向としては、高さh
と奥行dとが等しい場合に最も高い磁気シールド効果を
示し、d<h、d>hの場合には磁気シールド効果が漸
次低減することが確認される。
【0114】すなわち、具体的には、図4からは、高さ
hが900mm(=d)の場合に、最も高い磁気シール
ド効果が得られている。かかる磁気シールド効果は評価
点により異なるが、5μTの垂直磁場を1.8〜0.8
μTまでに低減することができる。すなわち、64〜8
4%も侵入磁場を低減できることが分かる。
【0115】一方、高さhが450mm(=d/2)の
場合でも、h=900mmの場合とそれ程変わらず、
1.9〜0.9μT、すなわち62〜82%の磁気低減
効果が得られる。高さhが225mm(=d/4)の場
合でも、2.3〜1.5μTまで、すなわち54〜70
%の磁気低減が図れる。
【0116】すなわち、垂直磁場の場合には、図4から
も明らかなように、水平磁場とは異なり、磁場の低減状
況は大きくは推移せず、小幅で推移することが確認され
る。
【0117】そこで、磁気シールド効果の目安を、h=
dの場合の磁気シールド効果を100%と見做して、そ
の67%以上の磁気シールド効果(最も高い磁気シール
ド効果が得られるときの磁場強度の1.5倍以下)が確
保できる範囲と想定すれば、d/2≦h≦2dの範囲
で、コの字形の磁気シールド構造の寸法比を決定すれば
良いとの設計上の基準寸法比が得られる。
【0118】特に、h=dとすれば、高さ、奥行の寸法
比が種々のコの字形磁気シールド構造であっても、最大
の磁気シールド効果が得られることも分かる。
【0119】なお、上記水平卓越磁場、垂直卓越磁場の
双方における基準設定は、評価点cにおける結果を考慮
せず、評価点a、bにおける結果に基づき行っている。
コの字形の磁気シールド構造において、開放面近傍では
当然磁気シールド効果は落ちるため、かかる部分での評
価を基準寸法比の設定に際して除外し、実用上、十分に
妥当性がある設定を考慮した。
【0120】(実施の形態3)本実施の形態では、4面
の磁気シールド層が、角筒状に被磁気シールド空間を囲
む断面ロの字形の磁気シールド構造に、本発明を適用し
た場合について説明する。
【0121】図5(A)は、ロの字形の磁気シールド構
造300の基本形であり、(B)は、(A)に示す磁気
シールド効果の評価面における磁場の強さの評価点を示
す説明図である。図6は、図5(A)に示す基本形に対
して、互いに直交する寸法である奥行、高さの寸法比
が、磁気シールド効果に及ぼす影響を示すグラフであ
る。
【0122】本実施の形態のロの字形の磁気シールド構
造300は、図5(A)に示すように、4面の磁気シー
ルド層310、320、330、340とが角筒状に被
磁気シールド空間を囲む磁気シールド構造に形成されて
いる。磁気シールド層310、330は、上下に高さh
離され相対して設けられ、磁気シールド層320、34
0は垂直層を構成して相対して設けられている。
【0123】ロの字形の磁気シールド構造300に対し
て、上記奥行、高さの寸法がどのような比率であれば、
最大の磁気シールド効果が得られるか本発明者は、シミ
ュレーションにより検証した。
【0124】検証に際しては、図5(B)に示すよう
に、侵入磁場の卓越方向として、水平、垂直の2方向
を、すなわち、水平磁場、垂直磁場のそれぞれを卓越磁
場とした場合について検証した。
【0125】図5(A)に示すロの字形の基本形状で
は、幅wは1800mm、奥行dは900mmに固定
し、高さhを225mm(=d/4)、450mm(=
d/2)、900mm(=d)、1350mm(=3d
/2)、1800mm(=2d)と変化させて、水平卓
越磁場、垂直卓越磁場の各々における磁気シールド効果
を検証した。水平卓越磁場、垂直卓越磁場の双方とも、
磁場強度は5μTである。
【0126】その結果を図6に示す。図6では、縦軸に
上記ロの字形の磁気シールド構造300の評価面350
の各評価点における磁場強度をμT単位で、横軸に高さ
hの寸法をmm単位でそれぞれとっている。
【0127】図6に示すように、水平卓越磁場の場合に
は、磁気シールド効果の全体的傾向は、前記実施の形態
1の平行2層の場合と同様に、奥行dを一定とした場合
には、高さhが低くなる程磁気シールド効果が高くな
る。すなわち、高さhを一定とした場合には、奥行dを
大きくした方が磁気シールド効果を高くすることができ
る。かかる傾向は、磁気シールド効果の大きさは異なる
ものの、全ての評価点a、b、cに共通の傾向であるこ
とが確認された。
【0128】さらに、かかる磁気シールド効果は、高さ
h=d/2まで直線的に低減し、その後高さh=d/4
までは略一定となることが確認される。
【0129】図6からは、高さhが225mm(=d/
4)、450mm(=d/2)の場合に、5μTの水平
磁場が0.3〜0.28μTまでに低減されることが確
認された。すなわち約94%も侵入磁場を低減できるこ
とが分かる。
【0130】さらに、図4のグラフからは、磁場の低減
効果は、評価点a、cよりも、中央の評価点bの方が磁
気シールド効果がやや大きいものの、略同程度に優れた
磁気シールド効果を示すことも確認された。
【0131】かかるロの字形の磁気シールド構造におけ
る磁気シールド設計上の基準は、例えば、図6に示すよ
うに、磁気シールド効果がほぼ一定となる範囲に基づき
設定すればよい。
【0132】磁気シールド効果のかかる一定範囲では、
図6のシミュレーションのシールド材料の透磁率、厚さ
等の条件における最大の磁気シールド性能を示してい
る。これ以上、高さhを小さくしてもあまり磁気シール
ド効果は変わらないものと考えられる。逆に、機能やコ
スト等の面で、不合理となる。
【0133】そこで、基準寸法比は、磁気シールド効果
がほぼ一定となる範囲に基づき設定することが妥当と考
えられる。奥行dと高さhとの割合は、h≦d/2であ
ればよいとの、磁気シールド設計上の基準寸法比が得ら
れる。
【0134】上記基準を用いて、磁気シールドルーム等
の対象空間に対して、ロの字形の磁気シールド構造の適
用が好ましいと決定された段階で、奥行dが決まってい
る場合には、高さhをできるだけ低くするように磁気シ
ールド設計すればよいことが分かる。特に、磁気シール
ド効果がほぼ一定となる範囲を目安とする場合には、高
さhは、少なくとも奥行dの1/2倍以下となるように
設計する必要がある。
【0135】これまでは、かかる設計段階における方向
性がないため、一旦決定したロの字形の磁気シールド効
果を高めるためには、磁気シールド材の変更を主流とし
て対応していたが、上記の如く本発明を適用することで
同一の磁気シールド材を使用した場合でも、高さhと奥
行dとの比率を考慮することで、磁気シールド材の変更
により得られると同様のあるいはそれ以上の磁気シール
ド効果が獲得できる。
【0136】さらに、かかる場合には、磁気シールド材
の変更はないため、磁気シールド材の変更を考慮する場
合に比べて施工コストの低減も図れる。
【0137】次に、卓越磁場が垂直な場合について検証
する。図6に示すように、ロの字形の磁気シールド構造
で確認されたように、磁気低減効果の大きさは異なるも
のの、磁気シールド効果は、奥行d、幅wを一定とした
場合には、h=dで最大の磁気シールド効果が得られ、
その前後で磁気シールド効果が減少する傾向が確認され
た。
【0138】また、かかる磁気シールド効果は評価点に
より若干異なるが、5μTの垂直磁場を0.45〜0.
55μTまでに低減することができる。すなわち91〜
84%も侵入磁場を低減できることが分かる。
【0139】そこで、磁気シールド効果の目安を、h=
dの場合の磁気シールド効果を100%と見做して、そ
の67%以上の磁気シールド効果(最も高い磁気シール
ド効果が得られるときの磁場強度の1.5倍以下)が確
保できる範囲と想定すれば、d/2≦h≦2dの範囲
で、ロの字形の磁気シールド構造の寸法比を決定すれば
良いとの設計上の基準寸法比が得られる。特に、h=d
とすれば、高さ、奥行の寸法が種々のロの字形磁気シー
ルド構造であっても、最大の磁気シールド効果が得られ
ることも分かる。
【0140】さらに、本実施の形態では、幅wと奥行d
との関係についても考察した。図7(A)は、水平磁場
が卓越磁場である場合を検証するための基本形である。
かかる基本形では、前記の如く、水平磁場を卓越磁場と
して想定した場合における基準に合わせた寸法を採用し
ている。
【0141】すなわち、奥行dは900mm、高さhは
225mmに固定し、幅wを225mm,450mm,
900mm,1350mm,1800mmに変化させて
いる。磁気シールド材の厚さは1.8mm、透磁率μは
8000とした。与えた磁場の強さは5μTで、方向は
水平である。評価面は幅方向中央の断面で、図7(B)
に示すa、b、cの評価点の磁場の強さで評価した。
【0142】なお、図7に示す評価面(幅は0)での磁
気シールド効果は、幅0と見做した対象空間における磁
気シールド効果に相当する。そのため、図7に示す幅w
は、幅0の対象空間の左右に、w/2ずつ磁気シールド
空間が設定されているものと見做せる。
【0143】そこで、幅を持った対象空間に対応した磁
気シールド構造では、磁気シールド構造の全幅=(w/
2)+(対象空間の幅)+(w/2)となる。
【0144】その結果を、図8に示す。図8からは、上
記水平磁場においては、全体的傾向として、幅が長くな
る程磁気シールド効果が高くなるが、w=d/2から略
上限に達し始め、w=d以上では殆ど変化せずフラット
になっている。評価点a、b、cではほぼ同じである
が、w=d以上では、中心点であるbでシールド効果が
やや高いことが確認される。
【0145】そこで、磁気シールド効果がほぼ一定とな
る領域に基づき、磁気シールド設計上の基準を定める
と、w≧d/2という基準寸法比が得られる。かかる基
準を適用すれば、卓越磁場が水平磁場である場合には、
侵入磁場を94%も低減できる高い磁気シールド効果が
得られる。
【0146】磁気シールド効果が一定となる領域では、
図8のシミュレーションのシールド材料の透磁率、厚さ
等の条件における最大の磁気シールド性能を示してお
り、これ以上は磁気シールド効果は変わらないものと考
えられる。逆に、機能やコスト等の面で、不合理とな
る。
【0147】そこで、基準寸法比は、磁気シールド効果
がほぼ一定となる範囲に基づき設定することが妥当と考
えられる。
【0148】かかる結果から、磁気シールドルーム等の
対象空間に対して、ロの字形の磁気シールド構造の適用
が好ましいと決定された段階で、奥行dが決まっている
場合には、幅wは奥行の1/2倍以上に設定すればよい
ことが分かる。
【0149】但し、幅wの磁気シールド効果の評価は、
磁気シールド構造300の中央に位置する評価面350
における評価点であり、かかる磁気シールド効果は、両
サイドに向かうにつれて低下する。従って、端部でも中
央位置の評価面と同様の磁気シールド効果を得るために
は、磁気シールドされる対象空間の端部から磁気シール
ド構造の端部までの距離が、上記範囲に沿って設定され
た幅の1/2倍必要となる。
【0150】すなわち、900mmの幅を設定する場合
には、さらに、左右に900×1/4に等しい225m
mずつ、合計1350mmの幅を設定しなければならな
いこととなる。
【0151】図9(A)は、卓越磁場が垂直磁場である
場合を検証する際のロの字形の磁気シールド形状の基本
形を示す。かかる基本形では、奥行dは900mm、高
さhは900mmにそれぞれ固定し、幅wは225m
m,450mm,900mm,1350mm,1800
mmに変化させている。その他の条件は、図7に示す水
平磁場の場合と同じである。図9(B)は、評価点の状
況を示す説明図である。
【0152】なお、上記基本形では、前記の如く垂直磁
場が卓越した場合における基準に合わせた寸法形状を採
用している。
【0153】かかる結果を、図8に示す。垂直磁場の場
合でも、全体的傾向として、幅wが長い程、シールド効
果が高い。但し、w=dでシールド効果はほぼ上限に達
し始め、1350mm以上では殆ど変化しない。垂直面
に近いa、cで磁気シールド効果が高い。
【0154】図8に示すかかる結果から、卓越磁場を垂
直磁場とした場合には、水平磁場におけると同様に、磁
気シールド効果がほぼ一定となる範囲に基づきw≧d、
より好ましくはw≧3d/2であるとの基準寸法比が得
られる。例えば、幅方向に900mmの空間を対象とす
ると、左右に奥行900mmの1/2倍の450mmず
つ、合計1800mmの幅が必要となる。
【0155】(実施の形態4)本実施の形態では、前記
実施の形態で確認された磁気シールド効果と、磁気シー
ルド構造を規定する寸法比との規則性に基づく設計上の
基準寸法比を利用して、磁気シールド構造の最適形状を
設定する設計法に、どのようにして、磁気シールド構造
における奥行、高さ、幅の寸法比率を適用するかを説明
する。
【0156】説明に際しては、対象空間を磁気シールド
するに際して、コの字形の磁気シールド構造200を選
択した場合を例に挙げて説明する。なお、説明において
は、特に断りがない限りは、幅は、影響を与えない程度
まで十分に確保されているものとする。
【0157】また、磁場強度は、奥行と高さの比をもと
に前記実施の形態で示した数値シミュレーションの結果
から引用している。なお、厳密に言うと磁気シールド効
果は、磁気シールド材の厚さ、磁気シールド材内部の磁
気飽和等によっても異なってくるが、それらを無視して
も概略評価は行える。
【0158】例えば、コの字形の磁気シールド構造を例
に挙げて説明する。コの字形の磁気シールド構造では、
前記実施の形態2で説明したように、卓越磁場が水平方
向である場合には、基準寸法比としてh≦d/2を用い
る。また、卓越磁場が垂直方向である場合には、d/2
≦h≦2dを基準寸法比として用いる。
【0159】かかる基準は、奥行dと、高さhとの寸法
比を示している。そこで、実際に磁気シールド建物を設
計するに際しては、建物の高さhと奥行dとを、上記比
率を満足するように設定すればよいこととなる。
【0160】しかし、実際には建物の高さhが決まって
おり、現状では、奥行dに対して高さhが大きすぎる場
合も考えられる。かかる場合には、コの字形磁気シール
ド構造に、水平層を1層、あるいは複数層介在させるこ
とにより、奥行dに対する高さhの割合を小さく設定す
ればよい。磁気シールド建物の適当な階の床、天井面に
水平な磁気シールド層を設定すればよいこととなる。あ
るいは、磁気シールド建物の奥行dを延ばして、高さh
の比率を小さくするように設定することもできる。
【0161】例えば、図10(A)に示すように、コの
字形の磁気シールド構造では、侵入磁場が5μTの水平
卓越磁場である場合には、その中心点での磁場強度は、
3.10μTであるが、図10(B)に示すように、2
分する高さで水平層を設けることで、磁場強度を1.5
8μTに低減することができる。
【0162】また、2分した高さをさらに2分、すなわ
ち4分する高さで水平層を設ければ、上記磁場強度1.
58μTは、0.53μTに低減することができる。4
分した高さをさらに2分、すなわち8分する高さに水平
層を設ければ、0.25μTにまで、磁場強度を低減さ
せることができる。
【0163】このようにして、間に水平層を介在させる
ことにより、高さhと奥行dとの比率を変更させること
ができ、設計上は、このようにして中間の水平層を設け
ることにより、前記基準寸法比の範囲内に高さhと奥行
dとの寸法比率を収めるようにして、コの字形磁気シー
ルド構造における好ましい磁気シールド効果を得ること
ができる。
【0164】以下、かかるケースについて、より具体的
な建物を想定して説明する。すなわち、水平卓越磁場と
して5μTの侵入磁場がある8階建ての集合住宅に、コ
の字形の磁気シールド構造を適用して、磁場強度を中心
点で1μT以下に低減できるようにする設計方法につい
て説明する。
【0165】設計上、図10(A)に示すように、コの
字形磁気シールド構造が、建物の開口面を広くできるこ
とから採用された。当初設計では、集合住宅の屋上側
と、1階部分の床側とに相対する磁気シールド層21
0、220を設定し、両者を繋ぐ外壁230に設けた垂
直1層の磁気シールド層230とで、磁気シールド構造
200を構成すると決定した。
【0166】かかる磁気シールド構造200では、高さ
hと奥行dとの関係は、h=2dである。しかし、かか
る構成で期待できる内部の磁場強度は3.10μTであ
り、目標の1μTより約3倍も大きく、設計上でさらな
る磁気シールド性の向上が求められた。
【0167】なお、建物の高さh、奥行d、幅wは、最
早変更できないものとする。かかる場合には、従来は、
使用する磁気シールド材の材質変更により対策を行うこ
とが行われていた。提案されている磁気シールド構造と
しては、コの字形磁気シールド構造より優れた磁気シー
ルド効果を発揮する形状としては、従来はロの字形磁気
シールド形状があるが、窓等の開放性を確保することが
強く求められているため、コの字形形状以外の磁気シー
ルド構造の形状変更による対応策は採用することができ
ない状況と想定する。
【0168】しかし、本発明を適用すれば、コの字形に
形成されている磁気シールド構造部分の奥行dと高さh
との割合を調整することで、同じ磁気シールド材を使用
しても大きな磁気シールド効果を確保することができ
る。すなわち、磁気シールド形状の変更を行うことな
く、且つ、磁気シールド材の材質を変更することなく、
磁気シールド効果を向上させることができる。
【0169】すなわち、中間階に、磁気シールド層31
0、320と相対する平行な磁気シールド層410を設
けることにより、トータルの高さhを磁気シールド層4
10で実質的に分断して短くしたと同様の効果を得るこ
とで、h≦d/2とする構成を考えればよい。
【0170】現在の想定高さは、h=2dであるから、
上記基準からは、少なくともh/4の高さに実質的な高
さを短くするように磁気シールド層410を中間階に設
定すれば、効果的な磁気シールド効果が得られることが
分かる。h/4の高さに相当する中間階に磁気シールド
層410を設けるには、2階毎に磁気シールド層410
を設定すればよい。
【0171】そこで、図10(B)に示すように、2
階、4階部分の床側に磁気シールド層410a(41
0)、410b(410)を設けた。図中、6階部分の
構成は説明上省略した。
【0172】かかる構成では、磁気シールド層410
a、230、220で構成されるコの字形の磁気シール
ド構造200aと、磁気シールド層410b、230、
410aで構成されるコの字形の磁気シールド構造20
0bとがそれぞれ重なった構成となっている。勿論、図
示は省略しているが、実際には、さらに同様の小さなコ
の字形磁気シールド構造は、4階と6階部分との間、6
階と屋上部分との間に形成されることとなる。
【0173】このように構成した場合には、小さな磁気
シールド構造200a、200b内の磁場強度は、0.
53μTとなり、本建物に求められていた1μT以下の
磁気シールド目標を達成することができた。
【0174】因みに、4階部分にのみ磁気シールド層4
10bを設けて、集合住宅を上下に2分する高さで、す
なわち5階の床側に磁気シールド層410bを一層設け
る構成では、実質的な高さhは、奥行dと等倍にしかな
らない。
【0175】かかる構成では、磁気シールド構造は、磁
気シールド層210、230、410からるコの字形磁
気シールド構造と、磁気シールド層410、230、2
20とからなるコの字形磁気シールド構造とが上下に重
なった構造となっているものと見做せるが、建物内部の
磁場は、1.58μTにしか低減できず、目標とする1
μT以下には低減できない。
【0176】逆に、h/8の高さに設定した場合には、
すなわち、h=d/4となるように磁気シールド層42
0を設ける場合には、各階毎に磁気シールド層410c
を設けることとなる。図10(B)では、簡単のため
に、2階の床側に磁気シールド層410cを設けた場合
を示し、その他の場合は省略している。
【0177】かかる構成では、各階毎に小さなコの字形
の磁気シールド構造が、すなわち、磁気シールド層41
0c、230、220からなる磁気シールド構造200
c、磁気シールド層410a、230、410cからな
る磁気シールド構造200dとが積み重なった構成とさ
れる。かかる場合には、5μTの侵入磁場は、0.25
μTにまで低減される。
【0178】また、図示はしないが、h=2dで、9階
建ての集合住宅において、5μTの水平磁場を侵入磁場
と想定して、例えば、かかる侵入磁場を80%以上低減
させるためにコの字形の磁気シールド構造を採用する場
合には、h≦d/2を満たす条件として、各階毎、若し
くは2階毎に磁気シールド層を設ければよいことが容易
に分かる。施工コストの低減を図るためには、2階毎に
磁気シールド層を設ければよい。
【0179】しかし、3階以上の高さに分断するように
中間階に磁気シールド層を設ける構成では、所定の磁気
シールド効果は得られないことも、本発明に係る基準か
ら容易に分かる。
【0180】さらに、図示はしないが、h=2dで、1
3階建ての集合住宅では、5μTの水平磁場を侵入磁場
と想定して、かかる侵入磁場を80%以上低減させるた
めにコの字形の磁気シールド構造を採用するに際して、
少なくとも何階毎に磁気シールド層を設ければよいか
は、h≦d/2を最低限度満たす場合を考えればよく、
3階毎であればよいことが簡単に分かる。勿論、2階
毎、あるいは1階毎に設ければ、より磁気シールド効果
を大きくすることができる。
【0181】コの字形状の磁気シールド構造の適用に際
して、垂直磁場を卓越磁場と想定して、本発明を適用す
る場合を以下説明する。
【0182】図11(A)では、コの字形の磁気シール
ド構造を、8階建ての集合住宅に侵入する5μTの垂直
磁場を、磁気シールド材の材質変更を考慮することなく
行う対策として設計上最適なものは、前記実施の形態2
の結果ら明らかなように、h=dの場合である。
【0183】そこで、図11(B)に示すように、かか
る条件を満たすべく、5階の床側に磁気シールド層42
0を設ければよいことが分かる。この場合の磁気シール
ド効果は、1.57μTが、1.16μTに低減された
ことが確認できる。また、逆に、1.16μT以上に磁
気低減を図る場合には、かかるコ字形形状の磁気シール
ド構造では限度であり、その時点では材質変更で対処し
なければならないことも判断できる。従来は、かかる点
の判別も容易には行えなかったが、本発明によりかかる
判断の方向付けが得られ、設計効率を従来以上に向上さ
せることができる。
【0184】図12は、h=d/4と設定した場合のコ
の字形磁気シールド構造における磁気シールド効果を、
5μTの水平磁場を卓越磁場とした場合の各評価点a、
b、cで状況を示す説明図である。例えば、平屋建ての
工場等の建物内の空間の磁気シールドを検討する場合に
採用できる構造である。
【0185】3評価点の磁場強度は左から順に0.29
μT、0.25μT、1.17μTである。求められる
性能と照らし合わせ、問題がなければ設計上、この形状
で良しとする。
【0186】図13(A)は、h=d/4と設定した場
合のコの字形磁気シールド構造における磁気シールド効
果を、5μTの垂直磁場を卓越磁場とした場合の各評価
点a、b、cでの状況を示す説明図である。3評価点の
磁場強度は左から順に1.45μT、2.00μT、
2.36μTである。
【0187】かかる磁気シールド効果では十分でなく、
最早、奥行d、高さh、幅wの変更はできないものと想
定した場合に、磁気シールド材の材質変更を考慮するこ
となく磁気シールド効果を向上させるためには、本発明
に係る前記基準に照らせば、垂直方向に磁気シールド層
430を追加することにより、実質的に長いdを磁気シ
ールド層430で分断して短くしたと同様の効果が得ら
れるようにすればよいことが分かる。
【0188】因みに、磁気シールド層430を設けるこ
とにより、形成された空間Aでは、d=hの関係が成立
するロの字形磁気シールド構造300aが形成されるこ
ととなる。その結果、前記実施の形態3に示すように、
最高の磁気シールド効果が得られることとなる。
【0189】一方、さらに垂直な磁気シールド層440
を設ければ、新たに空間Bが構成されることとなる。か
かる空間Bでは、d=2hの関係となっており、h=d
の場合より磁気シールド効果は劣るものの、図6に示す
ように、十分な磁気シールド効果を得ることができる。
因みに、5μTの垂直磁場は、0.79μTに低減され
た。
【0190】また、磁気シールド層440を設けること
により新たに形成された空間Cでは、コの字形の磁気シ
ールド構造が形成され、かかる構成では、h=dに設定
され、1.16μTの最高の磁気シールド効果が得られ
る。
【0191】このようにして、図10、11に示す場合
と同様に、垂直な間仕切兼用の磁気シールド層を適宜加
えることにより、奥行と高さの比の調整を行えば適切な
磁気シールド構造が得られる。これでも求められる磁気
シールド性能を満足しない場合は、さらに基準に示す範
囲内で細分割すればよい。
【0192】本発明の適用により、上記の如く、最適な
磁気シールド構造を設定することができるが、以下、従
来の設計方法との比較において、再度、本発明の有効性
について説明する。
【0193】先ず、磁気シールドする対象空間として部
屋を対象とする場合には、従来法では、部屋を磁気シー
ルド構造にする場合、部屋の形状(幅、奥行、高さ)を
ベースとしてシールド形状を決める。すなわち、部屋の
壁、天井、床の適当な箇所に磁気シールド層を設けたも
のを、磁気シールド構造の基本形状とする。
【0194】そして、数値シミュレーションやモデル実
験を行い、対象空間で所要の磁気シールド性能が発揮さ
れるよう、磁気シールド材料の種類や厚さを決定する。
コストを加味して、最適な構造を決定するためには、何
度も繰り返しシミュレーションや実験を行う必要があ
り、多くの労力と時間を要する。
【0195】また、磁気シールド形状が不合理な場合、
いたずらに透磁率の高い高価なシールド材料を使うこと
になったり、必要な厚みが増したりして、コストの増大
に繋がる。
【0196】しかし、本発明では、部屋を磁気シールド
構造にする場合、目的に応じて基本構造(平行2層、コ
の字形、ロの字形など)を決定し、基準寸法比を考慮す
ることにより、先ずは磁気シールド効果の高いシールド
形状を決定する。一般的には、部屋の高さを変更するこ
とは難しいため、高さを基準として、磁気シールド上有
効な奥行や幅を決定する。ケースによっては、部屋の内
部で奥行や幅が収まる場合もある。逆に、部屋の外部ま
で要する場合もある。
【0197】そして、数値シミュレーションやモデル実
験を行い、対象空間で所要の磁気シールド性能が発揮さ
れるよう、磁気シールド材料の種類や厚さを決定する。
かかるステップは従来法と同様であるが、元々シールド
効果の高い形状が設定されているため、最適な構造を求
めるのも容易である。また、トータルとしてのコストを
抑えることができる。
【0198】対象空間が建物である場合にも、ほぼ同様
のステップをとって最適設計を行うことができる。従来
法では、建物を磁気シールド構造にする場合、建物の形
状(幅、奥行、高さ)をベースとしてシールド形状を決
める。すなわち、建物の外壁、屋根、床の適当な箇所に
磁気シールド層を設けたものを、磁気シールド構造の基
本形状とする。
【0199】そして、数値シミュレーションやモデル実
験を行い、対象空間で所要の磁気シールド性能が発揮さ
れるよう、磁気シールド材料の種類や厚さを決定する。
コストを加味して、最適な構造を決定するためには、何
度も繰り返しシミュレーションや実験を行う必要があ
り、多くの労力と時間を要する。また、シールド形状が
不合理な場合、いたずらに透磁率の高い高価なシールド
材料を使うことになったり、必要な厚みが増したりし
て、コストの増大に繋がる。
【0200】それに対して本発明では、建物を磁気シー
ルド構造にする場合、目的に応じて基本構造(平行2
層、コの字形、ロの字形など)を決定し、基準寸法比を
考慮することにより、まずはシールド効果の高いシール
ド形状を決定する。高さは、階高がベースとなるが、2
層、3層、・・・と繋ぐことにより、種々の高さを実現
できる。高さあるいは奥行を基準として、シールド上有
効な奥行あるいは高さを決定する。
【0201】そして、数値シミュレーションやモデル実
験を行い、対象空間で所要の磁気シールド性能が発揮さ
れるよう、磁気シールド材料の種類や厚さを決定するの
は従来法と同じであるが、元々シールド効果の高い形状
が設定されているため、最適な構造を求めるのも容易で
ある。また、トータルとしてのコストを抑えることがで
きる。
【0202】本発明は、上記実施の形態に限定されるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて
変更してもよい。
【0203】例えば、前記説明では、典型的な磁気シー
ルド構造の形状である平行2層、コの字形、ロの字形の
磁気シールド構造を例に挙げて説明したが、かかる形状
以外の磁気シールド構造においても、かかる磁気シール
ド構造の形状を規定する寸法比の調整によって、磁気シ
ールド効果を向上させることができる。すなわち、本発
明は、平行2層、コの字形、ロの字形以外の形状の磁気
シールド構造にも適用できる。
【0204】
【発明の効果】本発明によれば、建物内に設置される機
器に影響を及ぼすような磁場が存在する建物において、
最適な磁気シールド構造を設計することができる。
【0205】卓越磁場の方向に応じて、磁気シールド構
造を規定する寸法を基準の所定比に設定することによ
り、同一形状の磁気シールド構造であっても、磁気シー
ルド材の変更を行わなくても、磁気シールド効果の向上
を図ることができる。
【0206】そのため、かかる基準を採用することによ
り、磁気シールド設計の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、平行2層の磁気シールド構造の基本
形を示す斜視図であり、(B)は磁気シールド効果を評
価する評価点の状況を示す断面説明図である。
【図2】平行2層の磁気シールド構造における奥行と高
さの比率の磁気シールド効果に及ぼす影響を示すグラフ
図である。
【図3】(A)は、コの字形の磁気シールド構造の基本
形を示す斜視図であり、(B)は磁気シールド効果を評
価する評価点の状況を示す断面説明図である。
【図4】コの字形の磁気シールド構造における奥行と高
さの比率の磁気シールド効果に及ぼす影響を示すグラフ
図である。
【図5】(A)は、ロの字形の磁気シールド構造の基本
形を示す斜視図であり、(B)は磁気シールド効果を評
価する評価点の状況を示す断面説明図である。
【図6】ロの字形の磁気シールド構造における奥行と高
さの比率の磁気シールド効果に及ぼす影響を示すグラフ
図である。
【図7】(A)は、水平磁場において、ロの字形の磁気
シールド構造における幅と奥行の比の磁気シールド効果
に及ぼす影響を調べるための基本形を示す斜視図であ
り、(B)は磁気シールド効果を評価する評価点の状況
を示す断面説明図である。
【図8】水平磁場、垂直磁場において、ロの字形の磁気
シールド構造における奥行と幅の比率の磁気シールド効
果に及ぼす影響を示すグラフ図である。
【図9】(A)は、垂直磁場において、ロの字形の磁気
シールド構造における幅と奥行の比の磁気シールド効果
に及ぼす影響を調べるための基本形を示す斜視図であ
り、(B)は磁気シールド効果を評価する評価点の状況
を示す断面説明図である。
【図10】(A)は、水平磁場を卓越磁場とした場合に
おいて、コの字形の磁気シールド構造の基本形を建物に
適用している状況を示す断面説明図であり、(B)は
(A)に示す場合に基準寸法比を適用する状況を示す断
面説明図である。
【図11】(A)は、垂直磁場を卓越磁場とした場合に
おいて、コの字形の磁気シールド構造の基本形を建物に
適用している状況を示す断面説明図であり、(B)は
(A)に示す場合に本発明を適用する状況を示す断面説
明図である。
【図12】水平磁場において、奥行が高さの4倍に設定
されたコの字形磁気シールド構造における磁気シールド
効果を示す断面説明図である。
【図13】(A)は、垂直磁場において、奥行が高さの
4倍に設定されたコの字形磁気シールド構造における磁
気シールド効果を示す断面説明図であり、(B)は
(A)に本発明を適用して磁気シールド効果の向上を図
る場合を示す断面説明図である。
【図14】送電線近傍の住宅内に侵入する磁場分布を示
す説明図である。
【符号の説明】
100 磁気シールド構造 110 磁気シールド層 120 磁気シールド層 130 評価面 200 磁気シールド構造 200a 磁気シールド構造 200b 磁気シールド構造 200c 磁気シールド構造 200d 磁気シールド構造 210 磁気シールド層 220 磁気シールド層 230 磁気シールド層 240 評価面 300 磁気シールド構造 310 磁気シールド層 320 磁気シールド層 330 磁気シールド層 340 磁気シールド層 350 評価面 410 磁気シールド層 410a 磁気シールド層 410b 磁気シールド層 410c 磁気シールド層 420 磁気シールド層 430 磁気シールド層 a 評価点 b 評価点 c 評価点 A 空間 B 空間 C 空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石橋 孝一 東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目36番5号 三井建設株式会社内 Fターム(参考) 5E321 AA42 AA44 AA46 GG07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気シールドする対象空間を囲む磁気シ
    ールド構造であって、 前記磁気シールド構造を規定する互いに直交する3方向
    に沿った複数の寸法のうち、 前記磁気シールド空間への侵入磁場の卓越方向に沿った
    卓越方向寸法と、 前記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿っ
    た寸法のうち一方の寸法とが、 前記一方の寸法が、前記卓越方向寸法の1/2倍以下で
    あることを特徴とする 磁気シールド構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気シールド構造におい
    て、 前記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿っ
    た寸法のうち他方の寸法とは、 前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空間の寸法と、 前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空間の左右端の
    それぞれから、前記他方の寸法方向に沿って設定され、
    前記卓越方向寸法の1/4倍以上であるそれぞれの寸法
    との総和であることを特徴とする磁気シールド構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の磁気シールド構
    造において、 前記卓越方向磁場は、水平磁場であり、 前記卓越方向寸法は、奥行であり、 前記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿っ
    た寸法のうち一方の寸法とは、高さであることを特徴と
    する磁気シールド構造。
  4. 【請求項4】 磁気シールドする対象空間を囲む磁気シ
    ールド構造であって、 前記磁気シールド構造を規定する互いに直交する3方向
    に沿った複数の寸法のうち、 前記磁気シールド空間への侵入磁場の卓越方向に沿った
    卓越方向寸法と、 前記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿っ
    た寸法のうち一方の寸法とが、 前記卓越方向寸法が、前記一方の寸法の1/2倍以上、
    2倍以下であることを特徴とする磁気シールド構造。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の磁気シールド構造におい
    て、 前記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿っ
    た寸法のうち他方の寸法とは、 前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空間の寸法と、 前記他方の寸法に沿った方向の前記対象空間の左右端の
    それぞれから、前記他方の寸法方向に沿って設定され、
    前記一方の寸法の1/2倍以上であるそれぞれの寸法と
    の総和であることを特徴とする磁気シールド構造。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の磁気シールド構
    造において、 前記卓越方向磁場は、垂直磁場であり、 前記卓越方向寸法は、高さであり、 前記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞれ沿っ
    た寸法のうち一方の寸法とは、奥行であることを特徴と
    する磁気シールド構造。
  7. 【請求項7】 磁気シールドする対象空間を囲む磁気シ
    ールド構造の設計法であって、 前記対象空間に適用する前記磁気シールド構造の形状を
    設定するステップと、 設定された前記磁気シールド構造の形状を規定する寸法
    の比を、基準寸法比の範囲内に入るように調整するステ
    ップとを有することを特徴とする磁気シールド構造の設
    計法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の磁気シールド構造の設計
    法において、 前記磁気シールド構造の形状を規定する寸法とは、互い
    に直交する3方向に沿った寸法であり、そのうちの一つ
    の寸法は、侵入磁場の卓越方向に沿っていることを特徴
    とする磁気シールド構造の設計法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8記載の磁気シールド構
    造の設計法において、 前記寸法の比とは、前記磁気シールド構造を規定する互
    いに直交する3方向に沿った複数の寸法のうち、磁気シ
    ールド空間への侵入磁場の卓越方向に沿った卓越方向寸
    法と、前記卓越方向寸法と直交する他の2方向にそれぞ
    れ沿った寸法のうち一方の寸法との比であることを特徴
    とする磁気シールド構造の設計法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の磁気シールド構造の設
    計法において、 前記基準寸法比とは、前記一方の寸法が、前記卓越方向
    寸法の1/2倍以下であることを特徴とする磁気シール
    ド構造の設計法。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の磁気シールド構造の設
    計法において、 前記基準寸法比とは、前記卓越方向寸法が、前記一方の
    寸法の1/2倍以上、2倍以下であることを特徴とする
    磁気シールド構造の設計法。
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