JP3781814B2 - 変動磁場シールド工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧送電線等の送電線近傍の建築空間において、送電線から発生する漏洩磁場によるCRTディスプレイ等の機器への磁気障害を防ぐために行なう変動磁場シールド工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧送電線近傍の建物は、常時大きな漏洩磁場の環境下にあり、内部の機器や人体への影響が懸念されている。このうち、人体に関しては定量的な影響度は明らかになっていないが、機器に関してはコンピューター等の電子機器を中心に磁気障害が明らかになっている。例えば、コンピューター用のCRTディスプレイは、10mG程度の変動磁場で画面のちらつき障害が生じる。
一例として、高圧送電線近傍に建つ建物内部の磁場の実測例を紹介する。建物は2階建軽量鉄骨造の事務所ビルで、送電線は複導体2回線同相154KVの特別高圧架空送電線である。電流は、平常時1500〜1800A(rms値)流れている。両者は、送電線センターから水平距離で18.1m離れた位置にある。
【0003】
図5は、建物2階に位置する送電線に最も近い部屋の実測結果を元に作成した等磁場強度分布図である。送電線は、図中の右斜め下を右上りに走っている。これをみると、CRTディスプレイの変動磁場に対する磁気障害の閾値である10mG(0−P値)以下の領域はほとんどないことがわかる。
従来から、このような建物における対策として、対象の機器が小さい場合は、本体周辺のみ磁場シールドする方法が採られている。例えば、CRTディスプレイであれば、正面部が開口になっている磁気シールドボックスで覆う方法が採られる。また、対象の機器が大きく、あるいは複数台設置されて、広い面積に亙ってシールドする必要がある場合は、磁気シールドルームを設置する方法が採られている。さらに、重要な建物においては、所要の部屋あるいは建物全体を磁気シールドするケースもある。この場合、壁、天井、床の6面に磁気シールドを施すことになる。いずれも、磁気シールド用の材料としては、パーマロイ、アモルファス、珪素鋼板等の高透磁率を有する材料が使われている。これらで必要箇所を覆い、外部からの侵入磁場を磁気シールド層内に吸収する形で磁気の侵入を防いでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記磁気シールドボックスは、機器単体を個別に覆うもので簡易な方法ではあるが、機器の操作性を損なうとともに、見栄えが良くない。また、人体に関しては、磁気シールドは行なわれていない。
また、上記磁気シールドルームは、磁気の侵入を防ぐ目的でシールド扉が設置されるが、特殊な機構を用いて開閉するため出入りが大変である。また、窓がない閉ざされた空間になることが多く、採光面・換気面で不利であると共に、中の人間に与える心理的悪影響も大きい。
さらに、部屋あるいは建物全体の磁気シールドは、広範囲に亙って効果が大きい反面、建築コストが高くなる。また、窓がない閉ざされた空間になることについては、磁気シールドルームと同様である。
【0005】
以上を勘案して、本発明者は高圧送電線近傍の建物においてCRTディスプレイ等に磁気障害が生じる問題の解決策として、特願平7−129156号で「変動磁場シールド工法」を提案した。これは、磁気シールドすべき対象空間の上下平面に磁気シールド層をサンドイッチ状に配置したものである。
しかしながら、前記工法は壁面に磁気シールド層がなく、従来通り窓を設けることができるため居住性は優れている反面、建物外周部からの磁場の侵入を許すという問題点がある。これを抑えるため、磁気シールド層を所定長さだけ外方にはね出す対策を講じているが、効果を高めようとするとはね出し寸法が大きくなり、1mを越すと建物面積に加えなければならなくなる。
そこで、本願発明は、上記課題に鑑み、居住性を確保しながら建物外周部も含めて建物全体や建物の部分的空間等を効率的に磁気シールドする技術の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明は、高圧送電線等の送電線近傍に設けた建築空間への漏洩磁場を遮蔽するための変動磁場シールド工法において、前記建築空間を囲むとともに前記送電線に平行な面を、磁化容易軸が前記送電線と直交する方向に向けられた磁気シールド面で形成した。さらに、磁気シールド面を、建築空間を囲むとともに送電線に平行な面上を、磁化容易軸が圧延方向を向いた方向性珪素鋼板で、前記圧延方向を送電線と直交する方向に向けて覆うことにより構成した。因に、建築空間とは、本発明では、壁、天井、床等で囲まれた空間を総称しており、例えば、建物全体により構成される大きな空間全体や、建物内のフロアー空間や、さらには建物内の小空間としての部屋等を意味するものである。
【0007】
送電線の周りには、ビオ・サバールの法則に従い同心円状に磁場が発生しており、複数の送電線では、全ての送電線の磁場は位相を考慮して重ね合わせたものが全体としての漏洩磁場(本願でいう変動磁場)となっている。本願発明の上記解決手段では、建築空間を囲む面のうち、漏洩磁場が侵入してくる送電線に平行な面を磁気シールド面で構成するとともに、その磁気シールド面の磁化容易軸を送電線と直交する方向に向けた。そのため、建築空間は磁気シールド面により構成された磁気回路で囲まれることとなり、建築空間内に入り込もうとする漏洩磁場はこの磁気回路で効率的に吸収される。
一方、いずれの送電線にも平行方向の磁場成分はないため、送電線に直交する建築空間を構成する面から侵入する磁場の値は極めて小さく問題にならない。 そのため、本願発明の変動磁場シールド工法で形成される建築空間では、周囲に極力窓を設けない構成の従来のシールドルーム等とは異なり、送電線と直交する方向の面には、通常の建築物の壁面と同様に自由に窓が設けられる。
【0008】
磁化容易軸が圧延方向を向いた方向性珪素鋼板は、圧延方向の透磁率が高いため、圧延方向を磁気の方向に一致させれば高い磁気シールド効果が得られる。上記構成の如く、圧延方向を送電線と直交するように設けることにより、送電線から発生する磁気が効果的にこの方向性珪素鋼板でシールドされる。
さらに、磁気シールド面を、方向性珪素鋼板で上記建築空間の構成面を覆うようにして形成すれば、従前の建築空間の面構成材を変えることなく、その面構成材により形成された面を磁気シールド面として使用することができる。
また、磁気シールド性の調整は、方向性珪素鋼板を適宜複数枚積層させることにより行なえる。因に、積層させる必要枚数は、磁場の大きさにより決まるもので、磁場解析等により簡単に求められる。
【0009】
さらに、圧延方向が前記送電線と直交する方向に向けられている方向性珪素鋼板を、送電線に沿って複数枚横継ぎにした。方向性珪素鋼板は、製造上圧延方向の長さには基本的には制約がないが、圧延方向と直交する幅方向については、現在入手可能なものは最大でも1m程度である。さらに、かかる方向性珪素鋼板に脆いため、折り曲げての使用は難しい。そのため、上記の如く構成面をかかる方向性珪素鋼板で覆うに際しては、幅方向、コーナー部分等では方向性珪素鋼板同士を適宜継がなければならない。
【0010】
磁気シールド面同士の継ぎ目部分では磁気が漏れ易く、一般的には継ぎ目部分には隙間が開かないように形成される。しかし、本発明では、方向性珪素鋼板により建築空間を囲むようにして磁気回路が形成されているため、上記方向性珪素鋼板の幅方向両端部での継ぎ目部分に、5mmまでの隙間が開いても、磁気シールド効果に殆ど影響がないことが確認された。隙間はない方が好ましいが、しかしあっても5mm以下であれば、十分に実用に堪える範囲内であることが分かった。そのため、継ぎ目部分での隙間の許容度が広がった分、継ぎ目部分に係る作業性が良くなり、継ぎ目の隙間を0にする場合に比べて、格段に施工能率を上げることができる。
【0011】
また、水平面を構成する磁気シールド面の方向性珪素鋼板と、垂直面を構成する磁気シールド面の方向性珪素鋼板との接続を、断面L字形に板面を合わせた形状の高透磁性コーナー部材の前記板面を、前記水平面と垂直面とを構成するそれぞれの磁気シールド面の方向性珪素鋼板の板面に接面させながら緊結した。高透磁性コーナー部材の断面L字形に合わせた板面を、建築空間を囲む水平面と垂直面とを構成するそれぞれの磁気シールド面の方向性珪素鋼板の板面に接面させているので、方向性珪素鋼板同士をコーナー部で磁気的に接続して磁気回路を形成することができる。特に、コーナー部材を高透磁性としているため、磁束が集中するコーナー部の磁気的補強の役目が担える。かかる高透磁性コーナー部材は、例えば、パーマロイやアモルファス等で作ればよい。さらに、建築空間を、床面、天井面、および複数の壁面によって他の空間と区画し、かかる床面、天井面、および壁面のうちの2つの面を送電線と平行に設け、これら4つの面のそれぞれにおいて、帯状の方向性珪素鋼板を複数枚横継ぎに設け、建築空間をこれら4つの面で囲むように構成した。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明で、磁気シールド面には、開口部を設けるとともに、前記開口部の周辺には、高透磁性コーナー部材と磁気的に接続された高透磁性吸磁部材を設けた。基本的には、磁気シールド面には開口部を設けないことが好ましいが、居住性の面で窓や出入り口等の開口部が必要となる場合がある。そこで、開口部の周辺に高透磁性吸磁部材を設けることにより、開口部からの磁気の侵入を防止する。特に上記構成では、高透磁性吸磁部材が、磁気回路を構成する方向性珪素鋼板同士の接続に用いた高透磁性コーナー部材に接続されているため、この高透磁性吸磁部材を侵入磁気を磁気回路へ吸磁させるバイパスとして利用することができ、開口部における効果的な磁気シールドが図れる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明で、開口部を、その左右両側縁を磁気シールド面の方向性珪素鋼板の圧延方向に沿って設けるとともに、高透磁性吸磁部材を、その上下両端側が高透磁性コーナー部材に接続させ、且つ前記開口部の左右両側縁に設けた。磁気シールド面には種々の形状及び配置で開口部を設けることができるが、上記構成では、開口部の左右側縁を磁気シールド面の方向性珪素鋼板の圧延方向に沿わせて設けるとともに、その左右両側縁に上下端側が高透磁性コーナー部材に接続されている高透磁性吸磁部材を設けた。開口部への侵入磁気を開口部周辺で吸磁するという点からは、開口部の左右両側縁に高透磁性吸磁部材を設けることにより、開口部の近接位置で磁気を補足して磁気シールドが効果的に行なえる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、以下図により説明する。
本実施形態では、本発明の変動磁場シールド工法を適用する建築空間として、図1に示すように、送電線Aの近傍に設けた6階建ての建物10の、3階及び6階のフロアー空間20を想定した。以下かかるフロアー空間20を例にとり、変動磁場シールド工法について説明する。
尚、本願発明の変動磁場シールド工法の適用可能な建築空間としては、建物全体として形成される大きな建築空間でも、或は建物内に形成される部屋単位の小さな建築空間でも構わなく、以下説明する本実施形態のフロアー空間20に限定する必要はない。
【0015】
複数本の送電線Aが平行に走っている近傍に、6階建の建物10が設けられている。建物10は、送電線Aに平行な面30と、送電線Aに垂直な面40とから構成されている。建物10の3階及び6階のフロアー空間20は、それぞれ送電線Aに平行な面30として、天井面31、床面32及び両側の壁面33とから構成され、略矩形の箱形に形成されている。
送電線Aから発生する漏洩磁場は、送電線Aと直交する成分がほとんどで、送電線Aと平行する成分は無視できる程しかない。そのため、本実施形態では、上記天井面31、床面32及び両側の壁面33が、送電線Aに平行な面30として磁気シールド面に形成されている。
【0016】
かかる磁気シールド面としての天井面31、床面32及び両側の壁面33の面上が、図1(a)及び図2に示すように、方向性珪素鋼板50で覆われている。方向性珪素鋼板50は幅1m程で提供されるため、本実施形態では、複数枚の方向性珪素鋼板50が、天井面31等の上記磁気シールド面上に横継ぎにされて貼られている。複数の方向性珪素鋼板50は、それぞれの圧延方向(図中、実線の矢印で示す)が、送電線Aに対して直交する方向に揃うようにして貼り込みがなされている。貼り込みに際しては、横継ぎ部分の隙間が5mm以下になるように設定されている。方向性珪素鋼板50の磁化容易軸は圧延方向を向けて形成されているため、上記要領でこれを貼った磁気シールド面はその磁化容易軸が送電線Aと直交する方向に向けられることとなる。
また、複数枚のそれぞれの方向性珪素鋼板50は、圧延方向に向けて、フロアー空間20の周囲を囲むように連結されて磁気回路を形成している。そのため、送電線の周囲に生ずる漏洩磁場(変動磁場)は、この磁気回路に効果的に吸磁されて、横継ぎの隙間が5mm以下では、問題となる程の磁気漏洩がみられない。
【0017】
かかる方向性珪素鋼板50の貼り込みは面毎に行なわれ、天井面31、床面32、及び両側の壁面33の4面にそれぞれ別個に独立して貼られている。方向性珪素鋼板50同士の磁気的接続は、後記するように高透磁性コーナー部材60を用いて磁気回路が形成できるように行なわれる。
また、現在入手できる方向性珪素鋼板50は、一般に最大板厚が0.35mmであるため、適宜複数枚が積層されて使用されている。本実施形態では、方向性珪素鋼板50は、予め必要枚数が積層されたユニットに形成され、このユニットを現場で磁気シールド面上に貼り込むようにしている。
尚、積層枚数は、シールドすべき漏洩磁場の大きさに合わせて設定すればよく、磁場解析により容易に算出できる。
【0018】
建物10の水平面を構成する磁気シールド面(本実施形態では、天井面31及び床面32が該当)の方向性珪素鋼板50aと、建物10の垂直面を構成する磁気シールド面(本実施形態では、両側の壁面33が該当)の方向性珪素鋼板50bとは、図3に示すように、高透磁性コーナー部材60を介してフロアー空間20の四隅のコーナー部21で互いに磁気的に接続されている。
高透磁性コーナー部材60は、高透磁性材料のパーマロイ、或はアモルファス等を使用して、2枚の細長の平面部材が断面L字形に合わされた形状に形成されている。かかる高透磁性コーナー部材60の互いに交差する板面のそれぞれは、前記コーナー部21で直交方向に合わされる方向性珪素鋼板50a、50bの内面に接面されている。本実施形態では、高透磁性コーナー部材60のそれぞれの板面が、接面する方向性珪素鋼板50a、50bのそれぞれとボルト・ナット連結により緊結されている。
【0019】
上記構成の高透磁性コーナー部材60としてパーマロイを使用する場合には、例えば、予め工場において、一枚形成のパーマロイ板に板面へのボルト挿通用の穴開け及び断面L字形への曲げ加工を施した後、さらに磁気焼鈍を施したものを使用すればよい。使用するパーマロイ板の厚さは、漏洩磁場に対する必要な磁気シールド性能及び力学的剛性を考慮して決めればよく、普通は板厚1〜1.5mm程度の一枚もので十分である。
このようにして、天井面31、床面32、及び両側の壁面33上に、方向性珪素鋼板50を貼って、且つ方向性珪素鋼板50同士を高透磁性コーナー部材60を介して緊結することにより、フロアー空間20は、その周囲を方向性珪素鋼板50による磁気回路で囲まれることとなる。交流送電の場合には送電線Aから発生する磁場は、交流磁場(例えば、50Hzないしは60Hz)であるため、図中の方向性珪素鋼板50の圧延方向に沿って、周期的に流れの方向を逆に変えながら磁気回路中を磁束が流れ、フロアー空間20への漏洩磁場の侵入が防止される。
【0020】
上記構成の磁気シールド面(例えば、壁面33等が該当)には、基本的には開口部を設けないことが好ましいが、居住性の面で窓や出入り口等が必要となる場合もある。本実施形態では、以下、磁気シールド面である壁面33に、窓を想定した開口部70を設けた場合について説明する。かかる開口部70は、上記実施形態に述べた高透磁性コーナー部材60を利用して、侵入磁気が効果的に防止できるものである。
壁面33に設けた開口部70の両側縁部には、パーマロイやアモルファス等の高透磁性材料で形成された略矩形平板状の高透磁性吸磁部材80が設けられ、ちょうど高透磁性吸磁部材80で、開口部70の左右側縁が挟まれたように形成されている。
【0021】
さらに、壁面33に貼られた方向性珪素鋼板50と、天井面31と床面32とに貼られた方向性珪素鋼板50とは、高透磁性コーナー部材60を介して磁気的に接続されているが、上記高透磁性吸磁部材80の上下両端側が、この高透磁性コーナー部材60に接続されている。
このようにして、開口部70周辺の磁気は、開口部70の左右両側縁に設けた高透磁性吸磁部材80で吸い取られる。高透磁性吸磁部材80から高透磁性コーナー部材60を介して、方向性珪素鋼板50により構成される磁気回路に磁気が流れ、その結果開口部70からの侵入磁気の防止が図れる。
また、磁気シールド面に設ける開口部70には、左右側縁に高透磁性吸磁部材80を設ける構成を示したが、開口部70の周縁全体に設けても構わない。
【0022】
【発明の効果】
本発明の構成では、磁化容易軸が送電線とは直交方向に向けられた磁気シールド面で、送電線と平行な壁面等を形成する。即ち、磁気シールドを必要とする空間が磁気回路で囲まれるため、送電線と垂直な壁面等に窓を設ける等して居住性を確保しながら、建物外周部も含めて建物全体、或は建物内のフロアー空間、或は小部屋等の建築空間の効率的磁気シールドが行なえる。
また、方向性珪素鋼板を磁気シールド面の構成に使用すれば、従来の面構成材を使用することができるため、外観上は一般の建物と変わりなく、磁気シールドを意識せずに使用できる。磁気シールドによる建物の使い勝手等の諸機能が落ちることもない。さらに、窓等の開口部の周辺に、上記方向性珪素鋼板からなる磁気回路へ磁気を効率的に逃がす高透磁性吸磁部材を設けることにより、磁気シールド面への開口も行なえるので、より一層良好な居住性の確保が行なえる。
さらに、磁気シールド層を天井側と床側とからサンドイッチ状に配置する工法に比べて、建物外周部の側方からの磁場の侵入を防げるとともに、かかる磁場の侵入を防ぐ目的で磁気シールド層を外方にはね出す必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の建築空間と送電線との位置関係を示す平面図(a)と側面図(b)。
【図2】本実施形態の方向性珪素鋼板で周囲を囲んだ状況を示す斜視図。
【図3】方向性珪素鋼板同士のコーナー部での継ぎ状況を示す断面図。
【図4】磁気シールド面に開口部を設けた状況を示す正面図。
【図5】従来の送電線近傍の建物内部における変動磁場の等磁場強度分布を示す図。
【符号の説明】
10 建物
20 フロアー空間(建築空間)
30 送電線に平行な面
31 天井面(磁気シールド面)
32 床面(磁気シールド面)
33 壁面(磁気シールド面)
40 送電線に垂直な面
50 方向性珪素鋼板
60 高透磁性コーナー部材
70 開口部
80 高透磁性吸磁部材
Claims (3)
- 高圧送電線等の送電線近傍に設けた建築空間への漏洩磁場を遮蔽するための変動磁場シールド工法において、
前記建築空間を囲むとともに前記送電線に平行な面を、磁化容易軸が前記送電線と直交する方向に向けられた磁気シールド面で形成し、
前記磁気シールド面は、前記建築空間を囲むとともに前記送電線に平行な面上を、磁化容易軸が圧延方向を向いた方向性珪素鋼板で、前記圧延方向を前記送電線と直交する方向に向けて覆ってなり、
前記圧延方向が前記送電線と直交する方向に向けられている前記方向性珪素鋼板は、前記送電線に沿って複数枚横継ぎにされており、
水平面を構成する磁気シールド面の方向性珪素鋼板と、垂直面を構成する磁気シールド面の方向性珪素鋼板との接続は、断面L字形に板面が合わされた形状の高透磁性コーナー部材の前記板面を、前記水平面と垂直面とを構成するそれぞれの磁気シールド面の方向性鋼板の板面に接面させながら緊結してなり、
前記建築空間は、床面、天井面、および複数の壁面によって他の空間と区画され、
前記床面、前記天井面、および前記壁面のうちの2つの面は送電線と平行に設けられ、
前記床面、前記天井面、および前記壁面のうちの2つの面からなる4つの面のそれぞれにおいて、帯状の方向性珪素鋼板が複数枚横継ぎに設けられ、前記建築空間を前記4つの面で囲むことを特徴とする変動磁場シールド工法。 - 前記磁気シールド面には、開口部が設けられるとともに、前記開口部の周辺には、前記高透磁性コーナー部材と磁気的に接続された高透磁性吸磁部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の変動磁場シールド工法。
- 前記開口部は、その左右両側縁が前記磁気シールド面の方向性珪素鋼板の圧延方向に沿って設けられるとともに、前記高透磁性吸磁部材は、その上下両端側が前記高透磁性コーナー部材に接続され、且つ前記開口部の左右両側縁に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の変動磁場シールド工法。
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