JP2011226802A - 電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法 - Google Patents

電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法 Download PDF

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Abstract


【課題】導電性材同士の重ね合わせ箇所がスポット留めされ、スリットを具備する継ぎ目部を備えた電磁シールド室において、電磁シールド室の電磁シールド性能を精緻に特定することのできる、電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法を提供すること。
【解決手段】この特定方法は、設定ステップS10と追跡ステップS20とからなり、設定ステップは、電波発信源からの発信電波が電磁シールド室MS内に透過されるスリットSLを二次波源と仮定し、スリットSLの数や位置を設定し、発信電波W1の入射時指向特性と偏波特性を設定して二次波源特性を決定するステップ、電磁シールド室MS内へ透過される透過電波W2の透過減衰量、指向特性、偏波特性および位相特性を設定して透過電波特性を決定するステップからなり、追跡ステップは、虚像法に基づいて透過電波W2,W3の軌跡を追跡して受信点Rにおける電界強度を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁シールド性能を特定する方法に係り、特に、建物の壁面に配された導電性材同士がスリットを有する継ぎ目部を介して接続されてなる電磁シールド室に関し、このスリットを室の構成要素として適切に反映してなる電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法に関するものである。
半導体を製造する室、病院のMRI検査室などには、室内および室外からの電波漏洩を防止するべく、壁面を鉄板や銅箔等の導電性材で覆ったり、電磁シールド扉や電磁シールド窓を備える等してなる電磁シールド室が用いられている。
電磁シールド室の壁面に設けられた導電性材は一般に、所定の平面寸法の導電性材が相互に重ね合わされる等して多数の継ぎ目部を設けた姿勢で全ての壁面を覆っている。なお、ここでいう「壁面」とは、壁、天井、床、窓、扉などを含む包括的な意味である。
この導電性材の継ぎ目部の形態として、主として2種類の形態を挙げることができる。その一つの形態は、はんだや溶接等によって、重ね合わされた導電性材同士が隙間(スリット)なく接続された形態である。
一方、他の形態は、隣接する導電性材同士を重ね合わせ、重ね合わせ箇所がビスや釘、ステープル等で一定間隔にスポット留めされた形態である。
室内から、あるいは室外からの電波漏洩の抑制という観点で言えば、前者の形態、すなわち、導電性材同士が相互に隙間なく密着している形態が望ましい。
しかし、施工上の簡便さや工期の短縮、工費等による経済性の観点から、重ね合わせ箇所がスポット留めされる後者の形態が採用されるのが現実には多く、特にこの経済性を重視する昨今の傾向から、後者の形態の採用はより一層顕著となっている。
重ね合わせ箇所がスポット留めされる形態が、施工性、経済性に優れている一方で、重ね合わせ箇所の密着性が保証されていないことからここにスリットが生じ易く、このスリットからの電波漏洩という大きな課題が生じてしまう。
ところで、電磁シールド室の性能設計方法は、「使用される導電性材の材料面から見た性能把握」から始まり、「導電性材同士の接続箇所の接続形態に起因した構造面から見た性能把握」、および、「電磁シールド室としての全体構造から見た性能把握」へと進むのが一般的な設計フローである。
このうち、「使用される導電性材の材料面から見た性能把握」、および「導電性材同士の接続箇所の接続形態に起因した構造面から見た性能把握」に関しては、当該技術分野における当業者の過去の経験側や公開情報、さらには実験等によってそれらの性能が特定でき、設計に反映させることができる。一方、「電磁シールド室としての全体構造から見た性能把握」に関しては、特に、建築空間を対象としてその内部で電波が光線的に壁面等で反射する軌跡を追跡する方法である、虚像法、鏡像法、レイトレーシング法など(これらを総称して、「虚像法」と称することができる)が適用されることが多い。
電磁シールド室の性能を特定するに当たり、上記する虚像法によるシミュレーションにおいては、電波発信源から電波(光線)が直線状に伝播し、壁面等で反射(正反射)する際の光線の追跡を特定することを基本としており、これを電磁シールド室の性能特定に適用する際には、電磁シールド面の任意の位置を透過する光線を追跡することとなる。したがって、光線が透過する箇所の実際の電磁シールド構造は考慮せずに、対象となる電磁シールド面の全体が一様の電磁シールド特性を有しているという前提のもとでシミュレーションがおこなわれている。
しかし、既述するように、実際の電磁シールド面は、導電性材からなる面と、隣接する導電性材同士を繋ぎ合わせる継ぎ目部と、から構成されている。そして、重ね合わせ箇所がスポット留めされた継ぎ目部の形態においては、導電性材からなる面に比して電磁シールド性能の低下が顕著となることから、結果として、この継ぎ目部からの電波漏洩が電磁シールド室全体の電磁シールド性能に大きく影響することになる。
従来の虚像法シミュレーションにおいては、継ぎ目部、特に導電性材同士の重ね合わせ箇所がスポット留めされた継ぎ目部を有する電磁シールド室に関し、この継ぎ目部で形成されるスリットをシミュレーションに反映していないことから、実際の電磁シールド室の電磁シールド性能を精緻に特定するものとはなっていなかった。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、導電性材同士の重ね合わせ箇所がスポット留めされた継ぎ目部を有し、この継ぎ目部がスリットを具備する電磁シールド室において、このスリットが電磁シールド室の構成要素として適切に反映され、もって、従来の特定方法に比して電磁シールド室の電磁シールド性能を精緻に特定することのできる、電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法は、建物の壁面に複数の導電性材が配され、隣接する導電性材同士が継ぎ目部を介して接続されてなる電磁シールド室において、少なくとも一つの継ぎ目部がスリットを具備する電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法であって、前記電磁シールド性能を特定する方法は、諸条件を設定する設定ステップと、電磁シールド室内へ透過された電波を追跡して電磁シールド室内の受信点における電界強度を算出する追跡ステップと、からなり、前記設定ステップは、電磁シールド室の外側の電波発信源を一次波源とした際に、該一次波源からの発信電波が前記スリットを介して電磁シールド室内に透過される該スリットを二次波源と仮定し、少なくとも該スリットの数と3次元的な位置を設定し、一次波源から二次波源への発信電波の入射時指向特性と偏波特性を設定して、二次波源特性を決定するステップ、二次波源から電磁シールド室内へ透過される透過電波の透過減衰量、指向特性、偏波特性および位相特性を設定して透過電波特性を決定するステップ、からなり、前記追跡ステップは、虚像法に基づいて電磁シールド室内における透過電波の軌跡を追跡し、少なくとも、該電磁シールド室内の受信点における電界強度を算出するものである。
本発明の電磁シールド性能を特定する方法は、性能特定対象の電磁シールド室を構成する導電性材同士の継ぎ目部が少なくとも1つのスリットを具備することを前提とし、このスリットを介して外部からの電波が室内に透過することを設計に反映するべく、このスリットを仮想的な二次波源とし、電波発信源である一次波源から二次波源に発信電波が伝播され、二次波源を介して透過電波が室内に透過されるという電波光線の軌跡を設定し、これら二次波源の特性や透過電波の特性を適切に決定し、虚像法シミュレーションの下で、電磁シールド室内の受信点における電磁シールド性能を示す、たとえば電界強度を算出するものである。
なお、一次波源から室内に透過される電波が、壁面の任意箇所に設定された主たる電波透過領域(スリット以外の領域)からも透過される場合もあり、この場合には、この主たる電波透過領域に付随して、継ぎ目部のスリット(二次波源)からの電波の透過が虚像法シミュレーションに反映されるものである。また、受信点に到達する透過電波は、たとえば、二次波源から直接到達する透過電波と、電磁シールド室内の壁面で反射した後に到達する透過電波とからなる。
本発明は、虚像法に基づいて電磁シールド室内における透過電波の光線軌跡を追跡することから、その設定ステップにおける、スリットの数やそれぞれのスリットの3次元的な座標位置の設定は必須となる。なお、このスリットはシミュレーション対象の電磁シールド室に対して1箇所のみを設定してもよいし、2箇所以上を設定してもよい。尤も、実際の電磁シールド室では、多数の導電性材のそれぞれが重ね合わされ、各重ね合わせ箇所がスポット留めされてなる継ぎ目部を多数有することに鑑みれば、虚像法シミュレーションに際して複数のスリットとそれぞれのスリットに対応した二次波源を設定するのがよく、このように複数のスリットを設定することで、より一層精緻に電磁シールド室の電磁シールド性能を特定することができる。
さらに、スリットによる二次波源の特性を決定するべく、入射時指向特性や偏波特性を設定することで、二次波源特性が決定される。
設定ステップではさらに、透過電波の特性を決定するべく、電磁シールド室内へ透過される透過電波の透過減衰量、指向特性、偏波特性および位相特性を設定する。
設定ステップにおいて、スリットによる二次波源の特性、および、この二次波源から室内に透過される透過電波の特性の双方が決定されることにより、次の虚像法に基づく追跡ステップにおいて、これらの特性を利用して透過電波の室内における光線軌跡を追跡し、室内の任意の箇所に設定された受信点における電界強度の算出がおこなわれる。
なお、実際の虚像法シミュレーションにおいては、一次波源である電波発信源の情報(座標位置等)、受信点の情報(座標位置等)、対象電波の周波数、導電性材の材料面から見た電磁シールド性能と反射性能、スリットの構造面から見た電磁シールド性能等がさらに設定される。
なお、虚像法シミュレーションにて算出される結果としては、受信点における電界強度以外にも、発信電波の透過状況、透過電波の壁面における反射状況、反射した透過電波が受信点に到達する到達時間特性などが挙げられる。
上記する本発明の電磁シールド性能を特定する方法によれば、継ぎ目部のスリットを介して外部からの電波が室内に透過すること、すなわち、スリットが電磁シールド室の構成要素として適切に反映された虚像法シミュレーション結果が得られる。
ここで、上記する継ぎ目部は、扉と枠、窓ガラスと枠との取り合い等、基本的に部材同士の直線状の接続構造を具備するものであり、かつ当該構造において、その接続構造上、無視できない電気的な抵抗が存在する部位のことである。そして、この継ぎ目部の形態として、たとえば以下の形態を挙げることができる。
その一つは、隣接する導電性材同士が重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留めされた形態である。また、他の一つは、隣接する導電性材が併設され、別途の導電性材がこれらに跨るように配されて重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留めされた形態である。また、さらに他の一つは、隣接する導電性材の端部が折り曲げられて折り曲げ箇所を成し、双方の折り曲げ箇所同士が重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留めされた形態である。
その他、隣接する導電性材の一方の端部が他方側へ、もしくは他方と反対側へ折り曲げられて折り曲げ箇所を成し、この折り曲げ箇所と他方の導電性材が重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留めされた形態、隣接する導電性材の一方の端部領域に凹溝を形成し、この凹溝を含む端部領域と他方の導電性材の端部領域が重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留めされた形態、双方の導電性材の端部領域に相補的な形状の凹溝を形成し、隣接する導電性材双方の凹溝を位置決めした姿勢で双方の端部領域が重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留めされた形態などがある。これら多様な形態の継ぎ目部のいずれにおいても、隣接する導電性材同士の重ね合わせ箇所に前記スリットが形成されるものである。
なお、ここでいう「スポット留め」とは、既述するように、導電性材同士の重ね合わせ箇所がビスや釘、ステープル等で一定間隔に留められ、スリットが形成され易い継ぎ目構造を呈した接続形態を意味している。
以上の説明から理解できるように、本発明の電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法によれば、導電性材同士の継ぎ目部に形成されるスリットを二次波源とし、一次波源である電波発信源から伝播された発信電波をこの二次波源を介して透過電波として室内に透過させ、この透過電波の軌跡を虚像法にて追跡することにより、スリットを有する実際の電磁シールド室の電磁シールド性能を精緻に特定することができる。
本発明の電磁シールド性能を特定する方法のフロー図である。 (a)は虚像法の概念を説明した模式図であり、(b)は反射性状の考え方を説明した模式図である。 導電性材の継ぎ目部がスリットを具備する電磁シールド室を、電波発信源、室内の受信点と、発信電波および透過電波とともに示した模式図である。 (a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)はともに、継ぎ目部の実施形態の例を示した模式図である。 虚像法シミュレーションモデルを示すモデル図である。 (a)は実験で使用した電磁シールド室を模擬した図であり、(b)は、実験による電界強度実測値と本発明の方法による特定値を示したグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の特定方法を説明する図示例は「屋外から屋内」への電波の伝播を例として示すものであるが、「屋内から屋外」についても適用対象であることは勿論のことである。さらに、室内や屋外に存在する「電波を発射する、透過時に減衰が見られるその他の構造物」を設定することも可能である。
図1は、本発明の電磁シールド性能を特定する方法のフロー図であり、図2aは虚像法の概念を説明した模式図であり、図2bは反射性状の考え方を説明した模式図である。さらに、図3は、導電性材の継ぎ目部がスリットを具備する電磁シールド室を、電波発信源、室内の受信点と、発信電波および透過電波とともに示した模式図である。
本発明の特定方法は、建物の壁面(壁、天井、床、窓、扉など)に複数の導電性材が配され、隣接する導電性材同士が継ぎ目部を介して接続されてなる電磁シールド室であって、少なくとも一つの継ぎ目部がスリットを具備する電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法である。
そして、この特定方法は主として、諸条件を設定する設定ステップS10と、次いで電磁シールド室内へ透過された電波を追跡して電磁シールド室内の受信点における電界強度を算出する追跡ステップS20と、から構成されている。
諸条件を設定する設定ステップS10においては、電磁シールド室の外側の電波発信源を一次波源とした際に、該一次波源からの発信電波がこのスリットを介して電磁シールド室内に透過される該スリットを二次波源と仮定する。そして、シミュレーション対象の建物の壁面におけるスリットの数、各スリットの3次元位置を設定し、電磁シールド室の外側の電波発信源(一次波源)からの発信電波がスリットに到達する際の、発信電波の入射時指向特性と偏波特性を設定して、二次波源の特性を決定する(ステップS1)。
なお、この二次波源は、「一つのスリット」に「一個」設定するのではなく、設定されたスリットの長さと対象となる周波数(波長)との関係において該スリット上に複数個設定されるものである。
この二次波源の特性が決定されたら、二次波源から虚像法追跡を行うに際し、複数の透過電波のそれぞれに対して個別に、「指向特性」、「偏波特性」、「位相特性」を付与して透過電波の特性を決定する(ステップS2)。なお、二次波源の基本的な電界強度は、二次波源へ到来した発信電波の強さから透過減衰量を差し引くことで設定される。
なお、上記する二次波源の特性および透過電波の特性の決定に加えて、一次波源である電波発信源の情報(座標位置等)、受信点の情報(座標位置等)、対象電波の周波数、導電性材の材料面から見た電磁シールド性能と反射性能、スリットの構造面から見た電磁シールド性能等がさらに設定される。
設定ステップにおいて、スリットによる二次波源の特性、および、この二次波源から室内に透過される透過電波の特性の双方が決定されたら、次いで、虚像法に基づく追跡ステップにおいて、これらの特性を利用して透過電波の室内における光線軌跡を追跡し、電磁シールド性能を示すシミュレーション結果を算出する(たとえば、室内の任意の箇所に設定された受信点における電界強度、発信電波の透過状況、透過電波の壁面における反射状況、反射した透過電波が受信点に到達する到達時間特性など)。
ここで、虚像法における予測シミュレーションのアルゴリズムを図2a,bを参照して概説する。
まず、信号の距離伝搬に関し、送信点からの信号は平面波と設定し、受信点までの伝搬に対して電界強度は距離の2乗に反比例して減衰するものとする。
次に、反射信号に関し、各面からの反射波は図2aで示すように、各反射面に対する正反射を順次追跡していく「虚像法」を適用する。
各面での反射性状に関し、図2bで示すように、各面での反射時に入射信号の電界ベクトルを、入・反射波面に含まれる成分(TM成分)と、対向壁面と平行となる成分(TE成分)とにベクトル分解し、それぞれについて反射時の減衰量と位相変化量を求める。なお、分解された信号はそのまま伝搬し、次の反射面が存在する場合に、そこでさらにTM成分とTE成分に分解される。
受信点に到達した各信号は、受信点での設定指向性に合わせて合成される。ここで、位相量の扱いについては結果出力内容に応じて加味することができる。
このような虚像法を適用した本発明の特定方法は、図3で示すような電磁シールド室の電磁シールド性能の特定評価に適用される。同図で模擬する電磁シールド室MSは、壁、天井、床を含む6つの壁面を有し、その一部にはドアD,窓Fが設けてあり、その全面に、多数の鉄板や銅箔等の導電性材C,…が相互に継ぎ目部Jにて接続された姿勢で設けてある。この継ぎ目部Jは、隣接する導電性材C,C同士が重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留め等されている接続形態であり、したがって、この継ぎ目部Jの全部もしくは一部には、スリットが形成されている。
また、電磁シールド室MSの一部には、電波を透過するための透過材C’が配され、電磁シールド室MSの外部にある電波発信源Sからの電波は、この透過材C’と継ぎ目部Jのスリットとから室内へ透過される。
電磁シールド室MSの電磁シールド性能を特定評価するに当たり、室内の任意位置には受信点Rが設定されており、電波発信源Sから発信される発信電波W1は、透過材C’と継ぎ目部Jのスリットを介して、受信点Rに直接電波される透過電波W2として、あるいは、室の壁面で反射した後に受信点Rに間接的に電波される透過電波W3として、到達する。
ここで、図4には、スリットが形成され易い6つの継ぎ目部の形態を図示している。図4aで示す継ぎ目部Jは、隣接する導電性材C,C同士が重ね合わされ、重ね合わせ箇所KがビスBにてスポット留めされた形態である。
図4bで示す継ぎ目部Jaは、隣接する導電性材C,Cが併設され、別途の導電性材C”がこれらに跨るように配されて重ね合わされ、重ね合わせ箇所KがビスBにてスポット留めされた形態である。
図4cで示す継ぎ目部Jbは、隣接する導電性材Cの端部が折り曲げられて折り曲げ箇所Caを成し、双方の折り曲げ箇所Ca,Ca同士が重ね合わされ、重ね合わせ箇所KがボルトB’でスポット留めされた形態である。
図4dで示す継ぎ目部Jcは、隣接する導電性材Cの一方の端部が他方側へ折り曲げられて折り曲げ箇所を成し、この折り曲げ箇所と他方の導電性材Cが重ね合わされ、重ね合わせ箇所KがビスBにてスポット留めされた形態である。
図4eで示す継ぎ目部Jdは、隣接する導電性材Cの一方の端部領域に凹溝Mを形成し、この凹溝Mを含む端部領域と他方の導電性材Cの端部領域が重ね合わされ、重ね合わせ箇所KがビスBにてスポット留めされた形態である。
さらに図4fで示す継ぎ目部Jeは、双方の導電性材C、Cの端部領域に相補的な形状の凹溝M、Mを形成し、隣接する導電性材双方の凹溝M、Mを位置決めした姿勢で双方の端部領域が重ね合わされ、重ね合わせ箇所KがビスBにてスポット留めされた形態である。なお、図示例以外にも、隣接する導電性材同士の重ね合わせの形態、スポット留めの形態は多様に存在する。
ここで、上記するステップS2で設定される「透過電波の透過減衰量」に関しては、本発明者等によって特定されている以下の表1に基づいてその設定がおこなわれる。
Figure 2011226802
図5は、追跡ステップS20における、虚像法シミュレーションモデルを示すモデル図であり、図3で示す電磁シールド室MSに対応したシミュレーションモデルの一実施の形態である。
透過材C'は透過点P1、P2でそれらの3次元位置を(xP1、yP1、zP1)、(xP2、yP2、zP2)で設定し、電波発信源MS,受信点MRの各3次元位置も同様に、(xS、yS、zS)、(xR、yR、zR)で設定する。
さらに、継ぎ目部のスリットの数やその位置の設定方法としては、たとえば図示のように6箇所のスリットSLを設定し、それぞれの3次元位置を(xSL、ySL、zSL)で設定する。なお、実際にスリットが10箇所存在する場合に、この10箇所全てをモデル化してもよい。
発信電波W1は、透過点P1を介して室内に透過されるとともに、二次波源として設定された6箇所のスリットSLを介して室内に透過され、受信点Mに対して直接的に到達する透過電波W2,壁面で反射した後に間接的に到達する透過電波W3のそれぞれの光線軌跡が虚像法シミュレーションにて追跡される。
[本発明の特定方法による特定値(シミュレーション結果)と実測値を比較した検証結果]
本発明者等は、図6aで示す電磁シールド室を模擬し、電磁シールド性能を実測するとともに、本発明の特定方法にて電磁シールド性能を特定し、双方の実測値と特定値を比較検証した。
図6aで示す電磁シールド室は、室の各辺が5mの電波暗室(各壁面に電波吸収体が貼り付けられている)であり、そのうちの一つの壁面には、幅3mで高さ2mの電磁シールド性能測定用開口TKが設けてある。また、この電磁シールド性能測定用開口TKには全長約2.6mのスリット状の接続構造(スリットSL)を設置する。
さらに、電磁シールド室を模擬するために、電磁シールド性能測定用開口TKと対向する壁面の全面に導電性材Cを貼り付けている。
電波暗室の外側の電波発信源Sより試験用の電波を照射し、発信電波W1がスリットSLを介して室内に漏洩した透過電波W2の軌跡を追跡し(追跡位置をより厳密に言えば、スリット中央から水平方向に1mずれた位置における奥行き方向である)、その強度分布レベルの分布を実測するとともに、本発明の特定方法による特定値を算出した。
この実測値および特定値を同一グラフにプロットしたものを図6bに示している。なお、図6aにおいて、スリットSLから矢印y方向に向かってスリットからの離間距離が測定される。
同図より、実測値と特定値には極めて高い相間があり、本発明の電磁シールド性能を特定する方法が、導電性材同士の継ぎ目部が有するスリットからの電波漏洩を精緻に特定し、このスリットが電磁シールド室の構成要素に適正に反映されてなる該電磁シールド室の電磁シールド性能を精度よく特定するものであることが実証された。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
C…導電性材、C’…透過材、C”…導電性材、R…受信点、S…電波発信源、J,Ja,Jb,Jc,Jd,Je…継ぎ目部、MS…電磁シールド室、W1…発信電波、W2…透過電波(直接波)、W3…透過電波(反射波)、SL…スリット、K…重ね合わせ箇所、B…ビス、B’…ボルト

Claims (4)

  1. 建物の壁面に複数の導電性材が配され、隣接する導電性材同士が継ぎ目部を介して接続されてなる電磁シールド室において、少なくとも一つの継ぎ目部がスリットを具備する電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法であって、
    前記電磁シールド性能を特定する方法は、諸条件を設定する設定ステップと、電磁シールド室内へ透過された電波を追跡して電磁シールド室内の受信点における電界強度を算出する追跡ステップと、からなり、
    前記設定ステップは、
    電磁シールド室の外側の電波発信源を一次波源とした際に、該一次波源からの発信電波が前記スリットを介して電磁シールド室内に透過される該スリットを二次波源と仮定し、少なくとも該スリットの数と3次元的な位置を設定し、一次波源から二次波源への発信電波の入射時指向特性と偏波特性を設定して、二次波源特性を決定するステップ、
    二次波源から電磁シールド室内へ透過される透過電波の透過減衰量、指向特性、偏波特性および位相特性を設定して、透過電波特性を決定するステップ、からなり、
    前記追跡ステップは、
    虚像法に基づいて電磁シールド室内における透過電波の軌跡を追跡し、少なくとも、該電磁シールド室内の受信点における電界強度を算出する、電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法。
  2. 前記継ぎ目部は、隣接する導電性材同士が重ね合わされ、重ね合わせ箇所がスポット留めされるとともに、前記重ね合わせ箇所に前記スリットが形成されるものである、請求項1に記載の電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法。
  3. 前記スリットが2以上存在し、これに応じて2以上の二次波源が仮定される、請求項1または2に記載の電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法。
  4. 前記受信点に到達する透過電波は、二次波源から直接到達する透過電波と、電磁シールド室内の壁面で反射した後に到達する透過電波とからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の電磁シールド室の電磁シールド性能を特定する方法。
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