JP3749587B2 - 床面の残留磁気シールド方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、事務所ビル、工場、病院等の建物において、床面の強磁性体の残留磁気による精密機器や電子機器の磁気障害を防止するための磁気シールド技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のインテリジェントビルを代表とする事務所ビルや、半導体素子の製造等のために無人化を志向する工場、あるいは最新医療機器が導入される病院等に設置される機器には、磁気に対して敏感なものが多くなってきている。このうち、例えば電子顕微鏡等のように、微弱な変動磁場の存在下でも所要性能が発揮できなくなる特殊な機器に対しては、磁気シールドルームが設置され、高度な磁気制御空間が提供されるが、一般の機器に関しては、強磁場発生源が近くにない限り何の対策も施されることなく所定位置に設置されているのが現状である。しかし、実際にはこれらの機器にも、磁束密度が数G(ガウス)程度の弱い磁気でも悪影響を受けやすいものがあり、例えばコンピュータ用のCRTディスプレイは、0.6G以上で色ずれ現象を生じる。
【0003】
一方、建物の磁気環境としては、従来から、強い磁気に対しては磁気シールド等による対策が講じられていたが、弱い磁気に関してはあまり問題子視されていなかった。しかしながら、建物全体を対象に数G程度の磁気まで制御することを考えた場合、従来は問題にならなかったような弱い磁気環境でも大きな問題になるものがある。このような磁気環境を発生する原因の一つに、鉄骨構造物に存在する残留磁気の問題がある。残留磁気とは、強磁性体が強い磁場に曝されることによって磁化され、磁場を取り除いた後も強磁性体に残留する弱い磁気のことであり、鉄骨等には、その製造から建築現場での施工に到る各種工程において発生した残留磁気が存在するものがある。
【0004】
ここで、建物の鉄骨構造物に発生した残留磁気による障害事例について説明する。この事例では、事務所ビル3階において、一部のパーソナルコンピュータ用CRTディスプレイに色ずれ現象が認められた。色ずれ現象とは、周辺の磁気の影響によってCRTディスプレイの画像が変色、あるいは輝度が変化する現象をいい、正しい色が表示されないために画像障害になると共に、オペレータの疲労にもつながる。色ずれの程度は外部の磁気の強さに比例し、画像障害を生じる閾値は次に示すように0.6G程度である。
0.3〜0.4G ・・・・ 肉眼では全く色ずれを感じない。
0.4〜0.6G ・・・・ 若干の色ずれを感じるが、実用上での支障はない。
0.6G以上 ・・・・ 色ずれによる画像障害を生じる。
【0005】
この事例においては、現地調査を行った結果、CRTディスプレイの色ずれ障害は、床内部に存在する強磁性体の残留磁気が原因で発生したものであることが推定された。すなわち床内部の鉄骨、鉄筋、デッキプレート等の鋼材は強磁性体であり、製造及び施工の過程で受ける種々の磁気的履歴において、内部に磁気が残留する性質を有する。残留磁気は建物竣工後も半永久的に存在し、弱いながらも周辺の空間に磁場を形成する。
【0006】
そこで、床面における強磁性体の残留磁気を対象にして、色ずれ障害が生じた場所周辺の磁場計測を行った。図7はその計測結果を示すもので、(A)は床面高さ±0mm、(B)は床面高さ+700mmの水平面での磁気分布図である。すなわちこの計測結果によれば、床面高さ±0mmでは、局所的に強い磁気が不規則に分布していることがわかる。また、床面高さ+700mmでは、床面高さ±0mmよりは小さいものの、広範囲に亘って色ずれ障害の閾値である0.6Gを超えていることがわかる。したがって、CRTディスプレイの色ずれ障害はこのような磁場によって発生したものと考えられる。
【0007】
この事例における色ずれ障害防止対策としては、周辺レイアウトの変更を行った。すなわち、上記の計測結果から色ずれ障害の起こる領域が特定できたため、CRTディスプレイを0.6G未満の場所に移し、比較的磁気の大きい領域はソファなどを設置し、打ち合わせ等のためのスペースとした。
【0008】
以上が残留磁気によるCRTディスプレイの障害事例であるが、このほかにも電子顕微鏡や、超LSIパターン形成のための電子ビーム露光装置等、電子ビーム応用機器でも障害が生じることが報告されている。
【0009】
このような問題の解決策としては、鉄骨、デッキプレート等の製造及び建築現場での施工時点で、これらが残留磁気を帯びないようにすることが最善の方法である。しかし、建物竣工後に磁気障害が発覚した場合は、従来技術では次の3つの方法が考えられる。
(1) 設置場所の変更
上記事例での対策のように、対象の機器を磁気障害の生じない領域へ移動する方法である。
(2) 磁気シールドボックス
対象の機器をパーマロイ(Ni合金)やアモルファス(非晶質合金)のような磁気特性の優れた強磁性体で箱状に覆う方法である。
(3) 床面の磁気シールド化
残留磁気を有する床面を前記アモルファスや電磁鋼板のような磁気特性の優れた強磁性体で平面状に覆い、侵入磁場を吸収する方法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来技術による方法によれば、それぞれ次のような問題が指摘される。
(1) 設置場所の変更による方法
最も簡易で確実な対策ではあるが、スペースが狭い場合や、室内配置のレイアイトによっては実施不可能なことも多く、根本的な解決策にならない。
(2) 磁気シールドボックスの使用による方法
局所的で低コストであるが、対象機器を個々に覆うため見た目が悪く、しかも機器本来の使い勝手が損なわれる。
(3) 床面の磁気シールド化による方法
この方法については、図8に実験結果を示す。すなわち図8は、残留磁気の大きい床面に対して3,030mm四方に方向性電極鋼板(厚さ0.3mm)からなる磁気シールド層を2層敷設した場合と、敷設しない場合のそれぞれの床面高さ±0mm及び床面高さ+1,000mmの水平面での磁気分布図である。この実験結果によれば、床面高さ+1,000mmではある程度の磁気シールド効果は認められるものの、依然として全領域が0.6G以上であることに変わりはない。これは、周辺からの磁気の回り込みや、磁気を吸収した磁気シールド層自体の外周部が磁極になり、そこに集中する磁気が床面上方へ導出されたことによる影響が原因であると思われる。したがって、この方法による効果を高めるには広い範囲の床面を磁気シールド化する必要があり、手間がかかると共に費用が高くなる。
【0011】
本発明は、上記のような事情のもとになされたもので、その技術的課題とするところは、建物竣工後に存在の発覚した床面の残留磁気による機器の磁気障害を防止可能とすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を有効に解決するための手段として、本発明に係る床面の残留磁気シールド方法は、強磁性体が埋設されたコンクリートスラブとその上に支持されたフロアパネルとによる二重床の間の空間に、一定方向に延びる複数の起伏が形成された波板状又は折板状を呈する所要数の磁気シールドパネルからなる磁気シールド層を形成し、この磁気シールド層の外周部が下方を向くようにする。近年、事務所ビル等の建物の床は、OA機器等のための床下配線や配管用に二重床になっているものが多く、本発明では、この二重床内の空間を利用して磁気シールド層を形成するものである。
【0013】
すなわち、二重床空間内に磁気シールドパネルを敷き詰めて磁気シールド層を形成することにより、床面下の強磁性体の残留磁気が二重床のフロアパネルの上の室内空間に侵入するのを遮断するものである。磁気シールド層を形成する範囲は、必ずしも対象となる部屋の床面全域である必要はなく、残留磁気の強い領域に限定しても構わない。また、残留磁気が強くて一層では十分な効果が得られない場合は、必要枚数だけ磁気シールドパネルを重ねて使用すれば良い。
【0014】
本発明においては、磁気シールドパネルが、フロアパネルの下面に一体的に固定された構成としても良い。すなわち、例えばコンクリート等によるフロアパネルの成形の際にその下面に磁気シールドパネルを一体化させるか、成形後に貼り付けるといった手法によって、フロアパネルに磁気シールド機能を持たせるもので、施工の際に、磁気シールドパネルの敷設をフロアパネルの敷設と別に行う必要がないといった利点がある。
【0015】
またこの場合も、必ずしも全てのフロアパネルの下面に磁気シールド層を設ける必要はなく、残留磁気の強い領域に限定しても構わない。下面に磁気シールド層を設けたフロアパネルは、それ以外のフロアパネルと同様の表面仕上げとすることも好ましい。
【0016】
本発明において、磁気シールドパネルを一定方向に延びる複数の起伏が形成された波板状又は折板状としたのは、次のような理由による。すなわち、磁気シールド層に反磁場を形成してパッシブな磁気シールドを行うには、前記磁気シールド層を残留磁気の方向とほぼ平行に形成するのが良いが、床における残留磁気の方向は一定ではなく、鉛直面に対して種々の方向を向いているため、従来のように磁気シールド層が平板状である場合は、ほぼ鉛直な方向の残留磁気に対しては反磁場が殆ど形成されず、パッシブな磁気シールド効果が得られない。その点、例えば磁気シールド層が波板状又であれば、どのような方向の残留磁気に対しても、波状の起伏面にこの残留磁気とほぼ平行な部分が存在することになり、この部分に前記残留磁気に対する反磁場が形成されるので、高い磁気シールド効果が期待できる。また折板状であっても、床面に概ね平行あるいは鉛直な方向の残留磁気に対してほぼ平行な面が存在し、床面に対して45°前後の磁気に対しても、水平成分と鉛直成分に分解して考えると、起伏面における水平部分及び立ち上がり部分にそれぞれ反磁場が形成されるので、同様に高い磁気シールド効果が期待できる。
【0017】
また、ある程度広い範囲で床面の残留磁気シールドを行う場合は複数枚の磁気シールドパネルを敷き並べるが、磁気は連続する隙間から漏れやすいため、各磁気シールドパネルの端部同士の接合部分は、隙間が漏れ磁束の発生しない程度の大きさとなるように適当な重ね代で重ねて連結する。なお、磁気シールドパネルには、場合によっては配線・配管用の開口部を形成する必要があるが、前記配線・配管用のような小さな開口部では、漏れ磁気は殆ど問題にならない。
【0018】
また、本発明において磁気シールド層の外周部が下方を向くようにしたのは、次のような理由による。すなわち、外部からの磁気を吸収した磁気シールド層の外周部は磁極になり、磁気が集中するため、前記外周部を下方へ向ければ、二重床のフロアパネル上に設置される機器に影響のない下側へ向けて磁気を導出させることができるからである。このため、起伏延長方向に対して直交する方向の外周部は、磁気シールドパネルの起伏形状における立ち上がり面の端部が下方へ延びる形状とし、また、磁気シールド層の起伏延長方向における端部は、その下面に磁気シールドパネルの起伏形状と符合する凹凸面を持った磁気シールド金具を嵌着する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は、本発明に係る床面の残留磁気シールド方法の具体的な第一の実施形態を示すものである。まず図1は、パーソナルコンピュータ等のOA機器を設置する部屋において、磁場計測により判明した床面高さ±0mmでの残留磁気の分布を示す平面図である。
【0020】
図1に示す部屋には、床面高さ±0mmにおいて2.5G以上の残留磁気が検出された領域があり、同心的な等値線で示すように、前記領域の外周側へ向けて徐々に磁気強度が弱くなっている。どの程度の強さの残留磁気までを磁気シールドの対象とするかは、その上部空間に設置する機器の性能への要求によって異なるが、例えばパーソナルコンピュータのCRTディスプレイが色ずれ障害を起さない程度に残留磁気をシールドする場合は、床面高さ±0mmにおける1G以上の領域を対象にすれば十分である。したがってこの実施形態では、図1において太い破線Aで囲んだ部分を磁気シールド対象領域とした。
【0021】
図2はこの実施形態による床面の残留磁気シールド方法を示す断面図である。この図において、参照符号1は鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物の二重床であり、鉄筋コンクリートスラブ11と、この鉄筋コンクリートスラブ11上に多数のレベル調整脚13を介して水平に支持されたフリーアクセスフロア用パネル(以下、フロアパネルという)12とからなる。鉄筋コンクリートスラブ11とフロアパネル12との間には、OA機器等への床下配線や配管を行うための空間14が形成されている。
【0022】
二重床1内の空間14には、図1の磁気シールド対象領域Aに対応して磁気シールド層2が形成されている。この磁気シールド層2は、図3の斜視図にも示すような複数枚の磁気シールドパネル21と、磁気シールド金具22とからなり、磁気シールドパネル21は、それぞれ複数のスペーサ3を介して鉄筋コンクリートスラブ11の上面から若干浮上した状態に敷き並べられている。これは、後述するように、磁気シールド金具22の下端面22aを磁気シールドパネル21より下側とするためである。また、フロアパネル12を支持している各レベル調整脚13は、それぞれ前記スペーサ3上に位置して立設されることによって、磁気シールドパネル21をこのスペーサ3上に固定している。
【0023】
磁気シールドパネル21は、一定方向へ互いに平行に延びる多数の起伏(山部及び谷部)が形成された折板状を呈するものであって、その材料としては、典型的には公知のパーマロイ(Ni合金)、アモルファス(非晶質合金)、珪素鋼板、純鉄等のように高透磁率の材料が選定される。前記山部及び谷部の延長方向に対して直交する方向(以下、左右方向という)に並んだ磁気シールドパネル21は、左右方向の端部21aに位置する山部同士が互いに一山分の重ね代で重なり合った状態で、図示されていないビス等により緊結されており、また前記延長方向に並んだ磁気シールドパネル21は、前記延長方向の端部21b同士が適当な幅の重ね代をもって互いに重なり合った状態で、同様にビス等によって緊結されている。そしてこれによって、互いに隣接した磁気シールドパネル21の重ね代を互いに密接させ、漏れ磁束の発生の原因となる連続した隙間が形成されないようにする。
【0024】
磁気シールドパネル21の左右方向両端の立ち上がり面21a’は、その端縁が下方を向いている。また、磁気シールドパネル21の山部及び谷部の延長方向の端部21bのうち、他の磁気シールドパネル21と結合されず磁気シールド層2の外周縁となる端部21b’の下面には、その山部及び谷部の起伏形状と符合する凹凸面を持った磁気シールド金具22を嵌着し、図示されていないビス等で結合する。磁気シールド金具22は磁気シールドパネル21と同様の高透磁率の材料からなり、その下端面22aは、磁気シールドパネル21の谷部の下面よりも下側に位置する。
【0025】
二重床1における鉄筋コンクリートスラブ11からは、その内部の鉄筋や下面のデッキプレートあるいは鉄骨(いずれも図示省略)が製造や施工の過程で磁気を帯びることによって、図2に破線で示すように、さまざまな方向の残留磁気Hが発生しているが、先に説明したように、起伏形状の磁気シールドパネル21には残留磁気Hの方向に応じた反磁場が形成され、これによって前記残留磁気Hを吸収し、その上方への侵入を遮断する。また、この磁気シールド作用によって形成される磁気回路は、磁気シールド層2の外周となる前記立ち上がり面21cの下縁及び磁気シールド金具22の下端面22aを磁極として、下側(鉄筋コンクリートスラブ11側)へ向けて導出される。このため、磁気シールド層2の外周部からフロアパネル12上の室内空間への磁気侵入も著しく抑えられる。
【0026】
なお、図示の実施形態においては、磁気シールドパネル21が折板状のものを使用した例について説明したが、これは、曲面状に起伏した波板状のものであっても良い。また、磁気シールドパネル21の連結枚数は、磁気シールド対象領域Aの広さにより決められるのであるから、磁気シールド対象領域Aよりも広いものであれば、複数枚を並べて連結する必要がないことは勿論である。
【0027】
次に図4は、本発明に係る床面の残留磁気シールド方法の具体的な第二の実施形態を示すものである。すなわちこの実施形態においては、磁気シールドパネル23がフロアパネル15の下面に一体的に固定されている。フロアパネル15は、第一の実施形態と同様、鉄筋コンクリートスラブ11上に多数のレベル調整脚13を介して水平に支持され、これによって、鉄筋コンクリートスラブ11との間に空間14を有する二重床を構成するもので、例えば補強コンクリートで成形されている。
【0028】
磁気シールドパネル23は、先に説明した第一の実施形態と略同様の折板状であって厚さ1mm程度の純鉄等の高透磁率材料からなり、コンクリートでフロアパネル15を成形する際に、その成形用型枠(図示省略)内に配置することによって、前記フロアパネル15の下面に一体化されたものである。したがって、このフロアパネル15の下面は、磁気シールドパネル23によって図4の断面と直交する方向に延びる多数の起伏23aを有する形状となっている。
【0029】
フロアパネル15の下面外周縁における磁気シールドパネル23の左右方向の端部23bは、下方を向くように屈曲されており、この端部23bの下端は、起伏23aの下面よりも下方位置まで延びている。また、磁気シールドパネル23の山部及び谷部の延長方向の端部の下面には、図3と同様、山部及び谷部の起伏形状と符合する凹凸面を持った磁気シールド金具を接合することが望ましい。
【0030】
またこの場合も、図1に示す磁気シールド対象領域Aに敷設されるフロアパネル13のみを、下面に磁気シールドパネル23を一体化したものを用い、前記磁気シールド対象領域A以外の領域には、図2に示すような通常のフロアパネル12を敷設すれば良い。なお、下面に磁気シールドパネル23を一体化したフロアパネル15と通常のフロアパネル12は、表面(上面)を互いに同様の仕上げとする。
【0031】
図5は、磁気シールドパネルによる磁気シールド効果を確認するために行った実験の結果を示すものである。この実験では、図6に示すように、磁気発生源として外径d1 =370mm、内径d2 =100mm、厚さt=100mmの環状のソレノイドコイルAを用い、その軸心に沿った空間の磁場の大きさを磁束密度(G)で評価し、磁気シールドパネルによる磁気シールドを行わない場合と、ソレノイドコイルAの中心から150mmの位置に、600mm×600mm、厚さ1mmの純鉄製の磁気シールドパネルBをソレノイドコイルAの軸心と直交する方向に設置し、この磁気シールドパネルBに平板状のものを用いた場合と、上述の実施形態のように折板状のもの及びその端部をソレノイドコイルA側へ向けて折り曲げたものを用いた場合とを比較した。
【0032】
図5の実験結果から明らかなように、磁気シールドパネルBが平板である場合は、この磁気シールドパネルBに対してほぼ垂直に侵入する磁場に対しては効果的な反磁場が形成されず、磁気シールドパネルを設置しない場合と殆ど変わらないが、磁気シールドパネルBに折板状のものを用いた場合は、大きなシールド効果が認められた。特に、端部をソレノイドコイルA側へ折り曲げたものは、端部からの磁気の回り込みも抑えられることによって、全体的に磁場が小さくなっていることがわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る床面の残留磁気シールド方法によれば、次のような効果が実現される。
(1) 床面上の室内空間に残留磁気の大きい領域がなくなり、磁気シールド対象領域の外周部からの磁気によって、部分的に残留磁気の強い領域が形成されることがないので、残留磁気の影響を受けやすい機器を室内の全ての場所に設置することができる。
(2) 機器を個々に磁気シールドボックスで覆う場合のように外観上の圧迫感を与えたり、機器の使い勝手に悪影響を与えることがない。
(3) 従来の磁気シールドパネルによる床面の残留磁気シールド方法よりも磁気シールド効果が高く、また、必ずしも室内の床面全体を磁気シールド対象領域とする必要がないため、コストの高騰を来さない。
(4) 磁気シールドパネルをフロアパネルの下面に一体化することによって、磁気シールドパネルの敷設をフロアパネルの敷設と別工程で行う必要がなく、施工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る床面の残留磁気シールド方法の実施対象となる部屋における床面高さ±0mmでの残留磁気の分布を示す平面図である。
【図2】本発明に係る床面の残留磁気シールド方法の第一の実施形態を示す概略的な断面図である。
【図3】上記実施形態における磁気シールド層の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】本発明に係る床面の残留磁気シールド方法の第二の実施形態を示す概略的な断面図である。
【図5】磁気シールド効果を確認するための実験結果を示す説明図である。
【図6】上記実験の方法を概略的に示す説明図である。
【図7】CRTディスプレイに色ずれ障害をもたらした床面上の残留磁気を測定した磁気分布図である。
【図8】残留磁気の大きい床面に従来技術による磁気シールド層を敷設した場合及び敷設しない場合のそれぞれの床面高さ±0mm及び床面高さ+1,000mmの水平面での磁気分布図である。
【符号の説明】
1 二重床
11 鉄筋コンクリートスラブ
12,15 フロアパネル
14 空間
2 磁気シールド層
21,23 磁気シールドパネル
22 磁気シールド金具
H 残留磁気
Claims (4)
- 強磁性体が埋設されたコンクリートスラブとその上に支持されたフロアパネルとによる二重床の間の空間に、一定方向に延びる複数の起伏が形成された波板状又は折板状を呈する所要数の磁気シールドパネルからなる磁気シールド層を形成し、この磁気シールド層の外周部を下方へ向けてなることを特徴とする床面の残留磁気シールド方法。
- 請求項1の記載において、
磁気シールドパネルが、フロアパネルの下面に一体的に固定されたことを特徴とする床面の残留磁気シールド方法。 - 請求項1の記載において、
磁気シールド層は複数枚の磁気シールドパネルからなり、各磁気シールドパネルの端部同士を適当な重ね代で連結することを特徴とする床面の残留磁気シールド方法。 - 請求項1乃至3のうちいずれかの記載において、
磁気シールド層の起伏延長方向両端部の下面には、磁気シールドパネルの起伏形状と符合する凹凸面を持った磁気シールド金具を嵌着することを特徴とする床面の残留磁気シールド方法。
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