JP5328593B2 - 開放型磁気シールド構造 - Google Patents

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本発明は開放型磁気シールド構造に関し、とくに透光性、通気性等を有しつつ高い磁気シールド性能を有する開放型磁気シールド構造に関する。
半導体製造施設等で用いる電子顕微鏡、EB露光装置、EBステッパー等の電子ビーム応用装置は、微弱な磁気ノイズ(例えば100nT(1mG)程度)でも電子ビームの軌道が狂うので、製品の品質を維持するために環境磁気の影響を避ける必要がある。また、医療施設等で用いる脳磁計や心磁計等のSQUID(超電導量子干渉素子)応用機器は、脳磁波や心磁波といった超微弱な磁場を計測するために環境磁気の影響を1nT(0.01mG)以下に制御する必要がある。一般的な建築物の構造(RC造の床・壁、軽量鉄骨造の壁・天井等)は磁気シールド機能をほとんど有していないため、このような機器を環境磁気から保護して正常な動作を保証することを目的として、半導体製造施設・医療施設等の建築物内に磁気シールド空間(シールドルーム)を設けることが要求される。また、MRI装置やNMR装置等の磁気利用装置を用いる施設等では、そのような装置から発生する磁場の影響から周囲の人や機器を保護することを目的として、施設内に磁気シールド空間を設けることが要求される場合もある。
このような弱磁場に対する磁気シールド空間は、従来、シールド対象空間の床、壁、天井の内面を透磁率μの高いPCパーマロイ材、電磁鋼板等の磁性材料板(以下、磁性板ということがある)で隙間なく覆う構造(以下、密閉型シールド構造という)として構築することが一般的である(特許文献1参照)。しかし、密閉型シールド構造は磁性板のサイズの制約から接合部が多くなり、磁性板の接合部の隙間から磁気が侵入又は漏洩してシールド性能の劣化が生じやすく、設計から期待されるシールド性能をなかなか得ることができない問題点がある。また、密閉型シールド構造は基本的に隙間・開口のない構造であり、透視性、透光性、放熱性を確保することが難しい問題点もある。
これに対し本発明者らは、簾状又はルーバー状に並べた帯状磁性板の群(以下、シールド簾体という)を用いて透視性、透光性、放熱性を確保できる構造(以下、開放型シールド構造という)を開発した(特許文献2〜4参照)。図7(A)に示すように、開放型シールド構造1では、比較的狭い幅(例えば30〜50mm)の複数の帯状磁性板(例えば、短冊形又は長尺形磁性板)2を長さ方向中心軸Cが同一簾面F上にほぼ平行に並ぶように板厚方向間隔dで重ねたシールド簾体3を基本構造とし、図7(B)に示すように複数のシールド簾体3a、3b、3c、3dを各簾体3の対応する磁性板2の端縁の重ね合わせ(面接触、図中の符号9参照)により磁気的に接合して列状のシールド簾体3を形成する。また、そのような列状のシールド簾体3の一端側の未接合端縁を他端側の対応する未接合端縁と重ね合わせて接合することにより、図7(B)のようにシールド対象空間を囲む磁気的に閉じた環状の開放型シールド構造(以下、環状簾体5ということがある)を構築する。
図7(B)に示す開放型シールド構造1は、シールド簾体3の各帯状磁性板2の板厚方向間隔dによって対象空間に開放性(透視性、透光性、放熱性)を与えることができる。板厚方向間隔dは、磁性板2中の磁束の通りやすさ(磁性板のパーミアンス)が間隔d中の磁束の通りやすさ(間隔のパーミアンス)より大きくなるように、すなわち間隔dの断面積Saに対する磁性板2の断面積Smと比透磁率μsとの積(Sm・μs)の割合(Sm・μs/Sa)が1より大きくなるように設計する。実際には、その割合(Sm・μs/Sa)を要求されるシールド性能に応じて1より充分に大きくなるように選択することができる。また開放型シールド構造1は、磁性板2の重ね合わせ(面接触)によってシールド簾体3の接合部に高い磁気的連続性を確保することができ、図7(B)のような環状構造の閉磁路(磁気を集中させる磁気回路)で対象空間を囲むことによりシールド性能の劣化(磁気の侵入又は漏洩)を小さく抑えて設計どおりのシールド性能を対象空間に与えることができる(特許文献2参照)。このような開放型シールド構造1を用いれば、上述したように高度なシールド性能が要求される磁気シールド空間を最小限の磁性材料によって効率的・経済的に構築することが期待できる。
特開平09−162585号公報 国際公開2004/084603号パンフレット 特開2006−351598号公報 特開2007−103854号公報
しかし、本発明者の実験によれば、直流磁場又は周波数が数Hz以下の充分小さい交流磁場を対象とする場合は図7の開放型シールド構造1によってほぼ設計どおりのシールド性能を対象空間に与えることができるものの、対象が周波数10Hz以上の交流磁場(例えば50〜60Hzの商用周波数程度)になると開放型シールド構造1のシールド性能に劣化が生じうる。この知見は、以下に示す3種類の試験体A、B、及びCの交流磁場に対するシールド性能を比較評価する実験結果から得られたものである。
(A)試験体A(密閉型シールド構造)
図8(A)に示すように、幅250mm×高さ570mm×厚さ1mmのPCパーマロイ製の4枚の方形磁性板7a、7b、7c、7dを端縁の突合せにより角筒形状に組み合わせ、各接合部(コーナー部)に30mm×30mmのPCパーマロイ製のL字型アングル材7e(高さ570mm×厚さ1mm)を重ね合わせて密閉型シールド構造6を作製し、実質的な内部空間の大きさが縦250mm×横250mm×高さ570mmの密閉型シールド構造の試験体Aとした。L字型アングル材7eは、各磁性板7の接合部におけるシールド性能の劣化を抑えるためのものである。
(B)試験体B(開放型シールド構造)
図7に示すように、幅30mm×長さ310mm×厚さ1mmのPCパーマロイ製の帯状磁性板2を用い、その磁性板2の20枚を相互間隔d=30mmで平行に並べてシールド簾体3(図7(A)参照)を形成し、4体の簾体3の端縁を30mm×30mmの面積で相互に重ね合わせて列状に接合することにより環状の開放型シールド構造1(図7(B)参照)を作製し、実質的な内部空間の大きさが縦250mm×横250mm×高さ570mmの開放型シールド構造の試験体Bとした。試験体Bで用いた磁性材料量は、試験体Aで用いた磁性材料量とほぼ同じである。
(C)試験体C(開放型シールド構造)
幅30mm×長さ310mm×厚さ0.35mmの3枚の方向性電磁鋼板を長さ方向中心軸で芯合わせしつつ積層して厚さ1.05mmの帯状磁性板2とし、その磁性板2の20枚を相互間隔d=30mmで平行に並べて重ねてシールド簾体3(図7(A)参照)を形成し、その4体の簾体3の端縁を30mm×30mmの面積で相互に(電磁鋼板を1枚ずつ交互に)重ね合わせて列状に接合することにより環状の開放型シールド構造1(図7(B)参照)を作製し、実質的な内部空間の大きさが縦250mm×横250mm×高さ570mmの開放型シールド構造の試験体Cとした。試験体Cで用いた磁性材料量も、試験体Aで用いた磁性材料量とほぼ同じである。
実験では、各試験体A、B及びCをそれぞれ図8(B)に示すような環状コイル(例えばヘルムホルツ・コイル)Lの中央部に設置し、コイルLの中央部に0.7〜56.2μTp−pの交流磁場M(周波数0.1Hz、直流磁場相当)を印加して各試験体の内部空間に設けた磁気センサ8(例えばガウスメータ)で磁場Bの強さを測定し、各試験体のシールド係数SE(=印加磁場Mの強さ/シールド後の磁場Bの強さ)を算出した。また、印加磁場Mの周波数を10Hz、100Hzに切り替えながら実験を繰り返し、交流磁場Mの周波数の相違による磁気シールド係数SEを比較することにより、各試験体の交流磁場に対するシールド性能を評価した。各試験体A、B及びCの交流磁場に対するシールド性能の実験結果を図9(A)、図9(B)及び図9(C)に示す。
図9(A)及び図9(B)に示すように、PCパーマロイ製の磁性板2、7を用いた密閉型シールド構造の試験体A及び開放型シールド構造の試験体Bでは、何れも印加磁場Mの周波数が高くなるとシールド係数SEが小さくなっていることが分かる。とくに試験体Bは、印加磁場Mが周波数0.1Hzのときは60〜90程度の高いシールド係数SEを示すのに対し、周波数10Hzになるとシールド係数SEが30〜70程度に低下し、周波数100Hzになるシールド係数SEが更に大幅に低下することが確認された。試験体Aにおいても同様の傾向は見られるが、周波数10Hzのシールド係数SEは周波数0.1Hzのときとほぼ同程度であり、周波数100Hzのシールド係数SEは低下するものの試験体Bに比して低下の度合いは小さい。他方、電磁鋼板を用いた密閉型シールド構造の試験体Cでは、印加磁場Mの周波数が増加してもシールド係数SEがほとんど低下しなかったが、シールド係数SEは1〜10程度と小さいことが確認された。
上述した半導体製造施設、医療施設等で要求される高度な磁気シールド空間を実現するためには、図9(C)のような小さいシールド係数SEでは不充分であり、図9(A)及び図9(B)のような高いシールド係数SEが必要である。とくに図9(B)の開放型シールド構造は、対象が直流磁場又は周波数が充分小さい交流磁場であれば、同じ重量の磁性材料を用いた図9(A)の密閉型シールド構造よりも高いシールド係数SEが得られるので、高度な磁気シールド空間に適した構造といえる。ただし、図9の実験結果は、PCパーマロイのような透磁率の高い磁性板を用いた開放型シールド構造のシールド性能が、対象交流磁場の周波数が10Hz以上になると大幅に劣化することを示している。このような10Hz以上の周波数(例えば商用周波数程度)におけるシールド性能の劣化を小さく抑えることができれば、開放型シールド構造の適用範囲を広げて普及を図ることができる。
そこで本発明の目的は、交流磁場においても磁気シールド性能の劣化が少ない開放型磁気シールド構造を提供することにある。
図9(A)及び図9(B)に示す試験体A及びBのシールド性能の劣化は、磁性板内部に発生する渦電流のエネルギー損失(渦電流損)によるものと推定される。弱磁場における磁気シールド構造は周囲の低周波数の磁束を磁性板に集中させて磁気の侵入又は漏洩を防止するものであり、渦電流の発生を目的とするものではないが、対象磁場の周波数がある程度高くなると磁性板の内部に電磁誘導によって渦電流が発生すると考えられる。発生する渦電流の大きさは磁性板を貫く磁束の変化の割合に比例し、渦電流の向きは図4(A)のように磁性板に入射する方向の磁場が増大する場合は反時計回り、図4(B)のように磁性板から出射する方向の磁場が増大する場合は時計回りとなる。
図8(A)の密閉型シールド構造では、対象磁場の周波数が高くなると図4(C)に示すように、印加磁場Mと垂直な磁性板面7a及び7cに周囲の磁界を打ち消す方向の渦電流が流れ、周囲の磁界と渦電流による逆方向の磁界との相互作用の結果としてシールド効果を向上させる作用が生じる。これに対し印加磁場Mと平行な磁性板面7b及び7dには内部の磁束変化を妨げる方向に渦電流が流れ、周囲の磁束の集中が妨げられる結果としてシールド効果を低下させる作用を生じる。図9(A)のシールド係数SEのシールド性能の劣化特性は、このような密閉型シールド構造の各面7a、7b、7c、7dで生じる渦電流の2つの作用が合算された結果のシールド効果である考えられる。
これに対して図7(B)の開放型シールド構造は、印加磁場Mと垂直な磁性板面が存在せず、印加磁場Mと平行な磁気回路のみによって構成されている。図9(A)に比して図9(B)のシールド係数SEの劣化が大きい理由は、開放型シールド構造において生じる渦電流が磁気回路への磁束の集中を妨げる作用のみを生じることによると考えられる。また、磁性板に生じる渦電流損(W)は式(1)で表すことが知られており、式(1)においてfは対象磁場の周波数、tは磁性板の板厚、Bmは磁性板の最大磁束密度、ρは磁性板の抵抗率、kは定数である。図9(B)において周波数f=100Hzのシールド係数SEが周波数f=10Hzの場合に比して大幅に低下している理由は、(1)式で示すように渦電流損が対象磁場の周波数fの2乗に比例することによるものと考えられる。
W=k・t・f・Bm/ρ ……………………………………(1)
すなわち、密閉型シールド構造では渦電流損の影響があまり大きな問題とならないが、開放型シールド構造では交流磁場の周波数が10Hz以上になると渦電流損の影響が大きくなり、シールド性能を大幅に低下させる原因となる。従って、開放型シールド構造で生じる渦電流損を小さく抑えることができれば、図9(B)のような10Hz以上の交流磁場に対する開放型シールド構造のシールド性能の大幅な低下を避けることが期待できる。本発明は、この知見に基づく研究開発の結果、完成に至ったものである。
図2の実施例を参照するに、本発明による開放型磁気シールド構造は、所定幅wで厚さ30μm以下の長尺リボン状の強磁性薄帯材12をシールド対象空間の内周面の各辺に応じた長さで切り出し、切り出した強磁性薄帯材を対象空間のコーナー部において重ね合わせて接合することにより環状強磁性薄帯材13を形成し、その複数の環状強磁性薄帯材13を同じ形状の環状絶縁性薄帯材15と長手方向中心軸Cで位置合せしつつ交互に重ね合わせて環状積層磁性板11(図(B)参照)とし、その複数の環状積層磁性板11対象空間の内周面に沿って各磁性板11の長手方向中心軸Cが同一面F上にその所定幅w以上の所定間隔dで平行に並ぶように配置してなるものである。
好ましくは、強磁性薄帯材12を鉄系アモルファス製、コバルト系アモルファス製、又はナノ結晶軟磁性材料製とし、環状絶縁性薄帯材15を強磁性薄帯材12と実質上同じ厚さの紙製又は合成樹脂製のシート又はフィルムとする。
更に好ましくは、図2(B)に示すように、シールド対象空間の内周上に複数の環状積層磁性板11と直交する向きに配置され且つ磁性板11の各々を長手方向中心軸Cが内周面上に所定間隔dで平行に並ぶように係止する複数の係止部21付き磁性板支持材20を設け図3に示すように、各係止部21にそれぞれ複数の環状積層磁性板11内周面の法線方向に空隙sを隔てて同心状に係止することにより多重磁気シールド面F1、F2を形成することができる。
本発明の開放型シールド構造1は、所定幅wで厚さ30μm以下の長尺リボン状の強磁性薄帯材12をシールド対象空間の内周面の各辺に応じた長さで切り出し、切り出した強磁性薄帯材を対象空間のコーナー部において重ね合わせて接合することにより環状強磁性薄帯材13を形成し、その複数の環状強磁性薄帯材13を同じ形状の環状絶縁性薄帯材15と長手方向中心軸Cで位置合せしつつ交互に重ね合わせて環状積層磁性板11を構成し、その複数の環状積層磁性板11対象空間の内周面に沿って各磁性板11の長手方向中心軸Cが同一面F上にその所定幅w以上の所定間隔dで平行に並ぶように配置するので、次の効果を奏する。
(イ)各強磁性薄帯材12を絶縁性薄帯材14と交互に重ね合わせることでそれぞれ電気的に独立させ、帯状積層磁性板10を板厚tの小さい強磁性薄帯材12の束とすることにより、帯状積層磁性板10で発生する渦電流損((1)式参照)を小さく抑えることができる。
(ロ)また、渦電流損の小さい帯状積層磁性板10を組み合わせて開放型シールド構造1とすることにより、渦電流損に起因するシールド性能の低下を避け、交流磁場に対する開放型シールド構造1のシールド性能を大幅に改善できる。
(ハ)更に、強磁性薄帯材12の厚さを30μm以下とすることにより、100Hz以下の交流磁場に対する開放型シールド構造1のシールド性能を直流磁場に対する場合と実質上同等(85〜90%以上)にすることができ、100Hz以下の弱磁場に対して汎用的な開放型シールド構造1とすることができる。
(ニ)また、強磁性薄帯材12として長尺リボン状のアモルファスを用いることにより、その長尺リボンを適宜枚数積層して磁気シールド用の帯状積層磁性板10とすることができるので、加工の手間を減らして開放型シールド構造1の施工の容易化を図ると共に、開放型シールド構造1においてシールド性能の劣化の原因となりうる接合部を削減(例えばコーナ部のみに削減)することができる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
本発明による開放型磁気シールド構造の一実施例の説明図である。 本発明による開放型磁気シールド構造の他の実施例の説明図である。 本発明による開放型磁気シールド構造の更に他の実施例の説明図である。 磁気シールド構造のシールド性能を劣化させる渦電流の説明図である。 本発明の開放型磁気シールド構造のシールド性能を示す実験結果の一例である。 本発明の開放型磁気シールド構造のシールド性能を示す実験結果の他の一例である。 従来の開放型磁気シールド構造の説明図である。 従来の密閉型磁気シールド構造及びシールド性能の計測方法の説明図である。 従来の磁気シールド構造のシールド性能を対比した実験結果である。
図1は、帯状積層磁性板10を用いて構築した本発明の開放型シールド構造1の実施例を示す。図7を参照して上述したように開放型シールド構造1は、矩形断面(長手方向と交差する断面)の短辺を板厚t(例えば1mm)とし長辺を板幅w(例えば30〜50mm)とする所要長さの磁性板2を用いて構築するが、本発明ではそのような磁性板2として、図1(A)及び(B)に示すように、板幅wの複数の強磁性薄帯材12を同じ形状の絶縁性薄帯材14と長手方向中心軸Cで交互に重ね合わせて板厚tとした帯状積層磁性板10を用いる。帯状積層磁性板10は、各強磁性薄帯材12が絶縁性薄帯材14によって相互に絶縁されており、電気的に独立した薄い強磁性材12の集合した束とみなすことができる。式(1)に示すように磁性板に発生する渦電流損(W)は板厚tの2乗に比例するので、磁性板10を薄い強磁性材12の束とすることにより、磁性板10で発生する渦電流損を小さく抑えることができる。
強磁性薄帯材12の板厚は、できるだけ薄くして渦電流損を小さく抑えることが望ましい。例えば、強磁性薄帯材12の板厚を20μmとすると、厚さ1mmの磁性板2(図7参照)に比して渦電流損(W)を2500分の1とすることができる(式(1)参照)。後述する実験例1及び2に示すように、厚さ30μm以下の強磁性薄帯材12を重ね合わせて帯状積層磁性板10とすれば、100Hz以下の周波数において帯状積層磁性板10に発生する渦電流損(W)を充分に小さく抑え、帯状積層磁性板10を用いた開放型シールド構造1の交流磁場に対するシールド性能を直流磁場に対する場合と実質上同等(85〜90%以上)に維持することができる。従って、100Hz以下の交流磁場を対象とする場合は、厚さ30μm以下の強磁性薄帯材12を積層して用いることが好ましい。ただし、強磁性薄帯材12の板厚は、シールド対象の周波数に応じて、その周波数における開放型シールド構造1のシールド性能が直流磁場に対する場合と実質上同等となるように、数値シミュレーション又は実験によって適宜設計することが可能である。
また強磁性薄帯材12の材質は、弱磁場で高いシールド性能を発揮させるため、できるだけ高い透磁率(例えば初透磁率8000以上、最大透磁率35000以上)を有する磁性材料とすることが望ましい。好ましくは強磁性薄帯材12を初透磁率10000以上、最大透磁率60000以上の磁性材料製とし、更に好ましくはPCパーマロイと同等以上の透磁率を有する磁性材料製とする。このような磁性材料の一例は、単ロール法により長尺リボン状の箔材として製造されるアモルファス(非晶質金属)である。例えば鉄系アモルファス製は、PCパーマロイよりやや劣るが同程度の透磁率(初透磁率8000〜15000、最大透磁率35000〜600000)を有しており、厚さ18〜30μm、幅50.8mmの長尺リボン状の箔材として市販されている(日本非晶質金属製)。またコバルト系アモルファス製は、PCパーマロイより優れた透磁率(初透磁率30000〜170000、最大透磁率600000〜1000000)を有しており、厚さ20μm、幅25mmの長尺リボン状の箔材として提供されている(日立金属製)。更に、鉄系アモルファスを結晶化温度以上で熱処理して結晶粒径を10nm程度に小さくしたナノ結晶軟磁性材料(登録商標ファインメット)が開発されており、PCパーマロイより優れた透磁率(初透磁率15000、最大透磁率70000)を有するナノ結晶軟磁性材料が、厚さ18μm、幅40mmの長尺リボン状の箔材として市販されている(日立金属製)。このような長尺リボン状のアモルファスを、シールド対象空間に応じた長さに切断して開放型磁気シールド用の強磁性薄帯材12として用いることができる。なお、開放型シールド構造1のシールド性能を高めるためには、長尺リボン状のアモルファスを予め磁気焼鈍したうえで用いることが有効である。
絶縁性薄帯材14は、導電材でもある強磁性薄帯材12をそのまま積層すると電気的に一体化して渦電流損(W)が大きくなるため、強磁性薄帯材12の相互間に挿入して電気的な絶縁性を確保するためのものである。絶縁性薄帯材14の材質は、強磁性薄帯材12の相互間を電気的に絶縁できるものであればとくに制限はないが、紙製又は合成樹脂製のシート又はフィルムが適している。また、絶縁性薄帯材14の厚さは、絶縁性の観点からは厚いほうが望ましいが、強磁性薄帯材12の板厚に比してあまり大きくなると強磁性薄帯材12の相互間にシールド性能を低下させる磁気的な隙間が生じるおそれがある。好ましくは絶縁性薄帯材14を、強磁性薄帯材12と同程度の30μm以下で、且つ、絶縁性が確保できる厚さとする。例えばアモルファス製の強磁性薄帯材12を用いた場合は、後述する実験例1及び2に示すように、絶縁性薄帯材14を強磁性薄帯材12と実質上同じ厚さの紙又は合成樹脂製シートとすることにより、強磁性薄帯材12の相互間の絶縁性を確保すると共に磁気的な隙間の発生を避けることができる。
強磁性薄帯材12と絶縁性薄帯材14とを長手方向中心軸Cで位置合せしながら必要枚数積層することにより、所要のシールド性能(パーミアンス)を有し且つ渦電流損の小さい帯状積層磁性板10を形成する。積層する枚数は適宜調整可能であり、要求されるシールド性能に応じて数値シミュレーション又は実験により最適値を設計することもできるが、図9(B)に示すPCパーマロイと同程度のシールド性能とするためには30〜60層の強磁性薄帯材12を積層する必要がある。多層に積層された強磁性薄帯材12と絶縁性薄帯材14とを適当な間隔でテープ等の固定具を用いて一体化してもよいが、強磁性薄帯材12に大きな応力が加わるとシールド性能に悪影響を及ぼすため、固定のための応力は最小限に抑える必要がある。
或いは、厚さ30μm以下の強磁性薄帯材12は脆弱であって単独での取り扱いが難しい場合もあるので、予め工場等で強磁性薄帯材12と絶縁性薄帯材14とを一体化し、絶縁性薄帯材14により強度を高めて強磁性薄帯材12の取り扱い性を改善することも考えられる。例えば、絶縁性薄帯材14を強磁性薄帯材12の片側又は両側の帯状面を覆う絶縁性被覆材(例えば合成樹脂製のラッピング材)とし、強磁性薄帯材12と絶縁性薄帯材14とを一体化する。この場合は、絶縁性薄帯材14で被覆された強磁性薄帯材12を、強磁性材12が相互に接触しないように必要枚数重ね合わせることで帯状積層磁性板10を形成することができる。
図1(C)は、上述した帯状積層磁性板10を複数枚用い、各磁性板10の長手方向中心軸Cが同一面F上にその所定幅w以上の所定間隔dで平行に並ぶように配置して磁気シールド面Fを形成した本発明の開放型シールド構造1の実施例を示す。図示例のシールド構造1は、各帯状積層磁性板10の長手方向と直交する方向(図示例では垂直方向)に配置された複数の磁性板支持材20を有し、各支持材20にそれぞれ磁性板10の板幅w以上の所定間隔dで複数段の係止部21を設け、磁性板10の各々をそれぞれ各支持材20の対応する段の係止部21に架け渡して平行に係止(図示例では載置)することにより、図7(A)のシールド簾体3と同様に、複数段の磁性板10が平行に配置された磁気シールド面Fを形成する。支持材20及び係止部21は、例えば木材、樹脂材等の磁性板10と磁気的及び電気的に導通しない材質とすることが望ましいが、支持材20及び係止部21と磁性板10との接触面(又は接触部位)に適当な非磁性かつ絶縁性の部材を介在させて磁性板10との磁気的及び電気的な導通を防止してもよい。
各支持材20における係止部21の間隔dは、図7のシールド簾体3と同様に、間隔dの断面積Saに対する帯状積層磁性板10の断面積Smと比透磁率μsとの積(Sm・μs)の割合(Sm・μs/Sa)が1より大きくなるように設計する。例えば、間隔dを積層磁性板10の板幅wと同程度の大きさ(d=w)とすることにより、その割合(Sm・μs/Sa)を1より充分に大きくすることができる。ただし、各係止部21の間隔dは全て同じである必要はなく、各磁性板10の対応する係止部21の間隔dが同じであれば、係止部21の位置によって間隔dが相違してもよい。各磁性板10の対応する係止部21を平行に位置決めするため、図1(C)に示すように、各支持材20に交差する向きの下地材22を固定したうえで係止部21を取り付けてもよい。また、磁性板10を架け渡す支持材20の間隔Dは、架け渡した磁性板10に撓みが発生すると相互間隔dが広がってシールド性能の低下に繋がるので、磁性板10の撓みが生じない大きさ(例えば、積層磁性板10の板幅wの8〜10倍程度)に設定する。
図2(B)に示す本発明の実施例では、シールド対象空間を囲む内周面にそれぞれ磁性板支持材20を平行に配置し、各支持材20の対応する係止部21にそれぞれ帯状積層磁性板10を架け渡して環状に接合することにより磁気的に閉じた複数段の環状積層磁性板11(磁気回路)を形成し、図7(B)の環状簾体5と同様に、対象空間を囲む環状の開放型シールド構造1を形成する。例えば、図1(C)に示す磁気シールド面Fを対象空間の四方内面にそれぞれ配置し、コーナ部において各内面の磁気シールド面Fの各段の磁性板10を重ね合わせて接合することにより、図2(B)のような環状の開放型シールド構造1を構築することができる。
或いは、図2(A)に示すように、シールド対象空間の内周面に沿って複数枚の強磁性薄帯材12を端縁の重ね合わせにより環状に接合して磁気的に閉じた環状強磁性薄帯材13を形成し、その上に複数枚の絶縁性薄帯材14を敷き詰めて環状絶縁性薄帯材15を形成し、そのような環状強磁性薄帯材13と環状絶縁性薄帯材15とを位置合せしながら必要枚数積層することにより、図2(B)のような環状積層磁性板11(磁気回路)を形成してもよい。例えば強磁性薄帯材12として長尺リボン状のアモルファスを用いる場合は、長尺リボンから対象空間の内周面の各辺に応じた長さの4枚の薄帯材12を切り出し、その4枚の薄帯材12をコーナ部において重ね合わせて接合することにより、コーナ部以外は接合部の存在しない環状強磁性薄帯材13とすることができる。このようにシールド性能の劣化の原因となりうる接合部を減らすことができる点で、長尺リボン状のアモルファスは本発明の強磁性薄帯材12に適している。図2(A)の環状積層磁性板11をシールド対象空間の内周面に設けた各支持材20の対応する係止部21に架け渡し、対象空間の内周面に複数段の環状積層磁性板11を配置することにより、図2(B)のように対象空間を囲む環状の開放型シールド構造1を構築する。
[実験例1]
図2(B)のような環状積層磁性板11を用いた開放型シールド構造1の交流磁場に対するシールド性能を確認するため、50枚のナノ結晶軟磁性材料(日立金属製のファインメット、厚さ18μm、幅40mm)製の環状強磁性薄帯材13を、絶縁紙(シート)製の環状絶縁性薄帯材15(厚さ18μm、幅40mm)と共に積層した環状積層磁性板11を用いて図2(B)の開放型シールド構造1(モデルA)を構成し、そのモデルAのシールド性能を数値シミュレーション(三次元非線形動磁場解析)により確認した。この解析では、印加磁場の強度として1μTp−p、10μTp−p、50μTp−pの3種類を想定し、印加磁場の周波数を0Hz、10Hz、100Hzに切り替えながらモデルAのシールド係数SE(=印加磁場の強さ/シールド後の磁場の強さ)を算出した。また比較のため、環状絶縁性薄帯材15を挿入せずに50枚の環状強磁性薄帯材(ナノ結晶軟磁性材料)13のみを積層した環状磁性板を用いて図2(B)の開放型シールド構造1(モデルB)を構成し、同じ印加磁場の強度及び周波数におけるモデルBのシールド係数SEを数値シミュレーションにより算出した。各モデルA及びBの印加磁場に対するシールド性能のシミュレーション結果を図5(A)及び図5(B)に示す。
図5(B)に示すように、環状強磁性薄帯材13のみを積層したモデルBでは、周波数0Hz(直流磁場)のときのシールド係数SEに比して、周波数10Hzになるとシールド係数SEが67〜79%に低下し、周波数100Hzになるシールド係数SEが32〜34%に大幅に低下し、図9(B)のPCパーマロイの場合と同様に周波数が高くなるとシールド性能が大幅に劣化することが分かる。これに対し、図5(A)に示すように、環状強磁性薄帯材13を環状絶縁性薄帯材15と共に積層したモデルAでは、直流磁場のときのシールド係数SEに比して、周波数10Hzにおいて95〜97%のシールド係数SEを維持し、周波数100Hzにおいても90〜94%のシールド係数SEを維持しており、周波数が高くなっても直流磁場の場合と実質上同程度(90%以上)のシールド係数SEを示すことが分かる。この実験結果から、強磁性薄帯材13(又は12)と絶縁性薄帯材15(又は14)とを重ね合わせた帯状積層磁性板11(又は10)は、100Hz以下の周波数において発生する渦電流損(W)が充分に低減されており、渦電流損の影響によるシールド性能の劣化が少ない開放型シールド構造を構築できることが確認できた。
[実験例2]
また、30枚の鉄系アモルファス(日本非晶質金属製のMETGLAS 2605SC、厚さ30μm、幅50.8mm)製の環状強磁性薄帯材13を絶縁紙(シート)製の環状絶縁性薄帯材15(厚さ30μm、幅50.8mm)と共に積層した環状積層磁性板11を用いて図2(B)の開放型シールド構造1(モデルA)を構成し、そのモデルAのシールド係数SEを実験例1と同様の数値シミュレーション(三次元非線形動磁場解析)により算出した。また比較のため、環状絶縁性薄帯材15を挿入せずに30枚の環状強磁性薄帯材(鉄系アモルファス)13のみを積層した環状磁性板を用いて図2(B)の開放型シールド構造1(モデルB)を構成し、そのモデルBのシールド係数SEを併せて算出した。各モデルA及びBの印加磁場に対するシールド性能のシミュレーション結果を図6(A)及び図6(B)に示す。
図6(B)に示すモデルBでは、周波数0Hz(直流磁場)のときのシールド係数SEに比して、周波数10Hzになるとシールド係数SEが69〜82%となり、周波数100Hzになるシールド係数SEが33〜35%となり、やはり周波数が高くなるとシールド性能が大幅に劣化していることが分かる。これに対し、図6(A)に示すように、環状強磁性薄帯材13を環状絶縁性薄帯材15と共に積層したモデルAでは、直流磁場のときのシールド係数SEに比して、周波数10Hzにおいて92〜94%のシールド係数SEを示し、周波数100Hzにおいても85〜87%のシールド係数SEを維持しており、100Hz以下の周波数においても直流磁場の場合と実質上同程度(85%以上)のシールド係数SEを有していることが分かる。この実験結果からも、実験例1と同様に、帯状積層磁性板11(又は10)を用いることで渦電流損の影響によるシールド性能の劣化が少ない開放型シールド構造が構築できることを確認できた。なお、図5(A)に比して図6(A)のシールド係数SEが小さい理由は、ナノ結晶軟磁性材料と鉄系アモルファスとの磁気特性(透磁率)の相違によるものと考えられる。また、図5(A)に比して図6(A)のシールド係数SEの低下率が大きい理由は、実験例2で用いた鉄系アモルファスの板厚が、実験例1で用いたナノ結晶軟磁性材料の板厚に比して大きいため、発生する渦電流損が大きい(2.78倍程度)ためであると考えられる。
こうして本発明の目的である「交流磁場においても磁気シールド性能の劣化が少ない開放型磁気シールド構造」の提供を達成できる。
図3は、磁気シールド空間のシールド性能の向上を目的として、多重の磁気シールド面F1、F2を形成した本発明の開放型シールド構造1の実施例を示す。従来から密閉型シールド構造において、上述したように1層のみではシールド対象空間からの磁気漏洩を充分に防ぐことができないことから、シールド性能の向上を目的として、対象空間の周囲に2層又は3層以上のシールド構造を配置した多重シールド構造が用いられている(特許文献1参照)。本発明の開放型シールド構造においても、図3のように2層又は3層以上の磁気シールド面F1、F2を配置した多重シールド構造とすることにより、シールド性能の大幅な向上が期待できる。
図3(B)の実施例は、例えば図1(C)の磁性板支持材20の各係止部21に、それぞれ複数(図示例では2枚)の帯状積層磁性板10a、10bを磁気シールド面Fの法線方向に空隙sを隔てて係止(図示例では載置)することにより、多重磁気シールド面F1、F2を形成したものである。例えば強磁性薄帯材12として長尺リボン状のコバルト系アモルファス(厚さ20μm、幅25mm)を用いる場合に、そのリボン幅が比較的小さいことから、強磁性薄帯材12と絶縁性薄帯材14とが積層された一対の帯状積層磁性板10a、10bを支持材20の各係止部21に並べて係止し、一対の磁気シールド面F1、F2を形成することにより開放型シールド構造1のシールド性能を向上させる。外層の磁気シールド面F1と内層の磁気シールド面F2とは相互に接触させてもよいが、両シールド面F1、F2の間に適当な空隙sを設けることによりシールド効果の更なる向上が期待できる。
図3(B)において、外層及び内層に積層する薄帯材12の枚数は、要求されるシールド性能に応じて数値シミュレーション又は実験により最適値を設計すればよいが、外層と内層とで積層する枚数を相違させてもよい。例えば、外部から対象空間に侵入する磁気ノイズを想定した場合、外層で一旦減衰したものが内層に印加されるため、外層の積層枚数(例えば50枚程度)に比して内層の積層枚数を少なく(例えば40枚程度に)することができる。また、外層と内層との間の空隙sの大きさも数値シミュレーション又は実験により最適値を設計できるが、シールド性能から最適な空隙sとすると周囲の壁厚が大きくなり対象空間内部の有効面積が減少してしまう場合もあるので、実際には対象空間の許容壁厚を考慮して決定することになる。
図3(A)は、例えば図2(B)のようにシールド対象空間を囲む内周面に配置した各支持材20の対応する係止部21に、それぞれ一対の環状積層磁性板(磁気回路)11a、11bを同心状に架け渡して係止することにより、外層の複数段の環状積層磁性板11aと内層の複数段の環状積層磁性板11bとを対象空間の周囲に入れ子状に配置した開放型シールド構造1を示す。従来の密閉型シールド構造を入れ子状の多重構造とする場合は、外層及び内層毎にそれぞれ磁性板を取り付けるための下地を設けることが必要であり、施工に手間とコストが必要であった。これに対し本発明の開放型シールド構造は、各支持材20の対応する係止部21に複数の環状積層磁性板11a、11bを並べて係止するだけで図3(A)のような入れ子状の多層構造を構築することができ、簡単な施工作業で経済的にシールド性能の向上を図ることが可能である。
1…開放型磁気シールド構造 2…帯状磁性板(短冊形磁性板)
3…シールド簾体 5…環状簾体
6…密閉型磁気シールド構造 7…方形磁性板又は磁性アングル
8…磁気センサ 9…重ね合わせ部
10…帯状積層磁性板 11…環状積層磁性板
12…強磁性薄帯材 13…環状強磁性薄帯材
14…絶縁性薄帯材 15…環状絶縁性薄帯材
20…支持材 21…係止部
22…下地材
C…長手方向中心軸 d…磁性板の配置間隔
F…磁気シールド面(磁気簾面) I…電流
L…電流担体(コイル) M…磁場
t…磁性板の厚さ(板厚) s…空隙
SE…シールド係数 w…磁性板の幅

Claims (4)

  1. 所定幅で厚さ30μm以下の長尺リボン状の強磁性薄帯材をシールド対象空間の内周面の各辺に応じた長さで切り出し、切り出した強磁性薄帯材を対象空間のコーナー部において重ね合わせて接合することにより環状強磁性薄帯材を形成し、その複数の環状強磁性薄帯材を同じ形状の環状絶縁性薄帯材と長手方向中心軸で位置合せしつつ交互に重ね合わせて環状積層磁性板とし、その複数の環状積層磁性板を対象空間の内周面に沿って各磁性板の長手方向中心軸が同一面上に前記所定幅以上の所定間隔で平行に並ぶように配置してなる開放型磁気シールド構造。
  2. 請求項1のシールド構造において、前記強磁性薄帯材を鉄系アモルファス製、コバルト系アモルファス製、又はナノ結晶軟磁性材料製としてなる開放型磁気シールド構造。
  3. 請求項1又は2のシールド構造において、前記環状絶縁性薄帯材を強磁性薄帯材と実質上同じ厚さの紙製又は合成樹脂製のシート又はフィルムとしてなる開放型磁気シールド構造。
  4. 請求項1から3の何れかのシールド構造において、前記シールド対象空間の内周面上に複数の環状積層磁性板と直交する向きに配置され且つ当該磁性板の各々を長手方向中心軸が内周面上に所定間隔で平行に並ぶように係止する複数の係止部付き磁性板支持材を設け各係止部にそれぞれ複数の環状積層磁性板を内周面の法線方向に空隙を隔てて同心状に係止することにより多重磁気シールド面を形成してなる開放型磁気シールド構造。
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