JP4760581B2 - 車両用操作スイッチおよびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スイッチノブを裏面側から照明する光源を備え、摺動部にグリースが塗布されてなる、車両用操作スイッチに関する。
車室内に配置されたナビゲーション、ディスプレイ、オーディオ、空調装置等の車両用操作スイッチの多くが、夜間における視認性を良くするため、スイッチノブを裏面側から照明する光源を備えている。このようなスイッチノブを裏面側から照明する光源を備えてなる車両用操作スイッチが、例えば、特開2001−222924号公報(特許文献1)に開示されている。
また、車両用操作スイッチは、車両ユーザーが頻繁に使用する部位であり、スイッチノブ押動時の感触や品位が重要視される部位でもある。このため、車両用操作スイッチは、スイッチノブ押動時の摺動部におけるクリアランスができるだけ小さく設計され、スイッチノブ押動時のガタツキが抑制されている。また、多くの車両用操作スイッチは、上記摺動部にグリースが塗布されて、スイッチノブ押動時の感触や品位が高められている。
特開2001−222924号公報
前述したように、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチは、スイッチノブ押動時の感触が良く、高品位である。一方、グリースは、一般的に低温になるほど粘度が高くなる特性を持つ。このため、寒冷地などの極めて低い温度環境下で車両を長時間放置すると、摺動部に塗布されたグリースの粘度が高くなり、上位車両用操作スイッチは、スイッチノブの押動に必要な力が増大し、最悪の場合はグリースが凍結してスイッチノブを押動できなくなる。
上記極めて低い温度環境下で長時間放置された車両では、車両ユーザーがエンジンを始動し、空調ヒーターの動作により車室内温度が常温付近まで上昇すれば、グリースの粘度も常温相当に回復し、上記車両用操作スイッチも通常の動作感触が得られるようになる。
しかしながら、車室内温度の上昇には、大容積であるため一般的に長時間を要する。また、空調ヒーターがOFFの状態で当該空調ヒーターをONするための車両用操作スイッチが凍結してしまった場合、空調ヒーターをONすることができないため、車両ユーザーは長時間に渡って不快感を伴うことになる。
そこで本発明は、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチであって、スイッチノブ押動時の感触が良く、高品位であると共に、極めて低い温度環境下で長時間放置された場合においても、短時間で通常の動作感触を回復することのできる車両用操作スイッチおよびその制御方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の車両用操作スイッチは、スイッチノブを裏面側から照明する光源を備え、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチであって、車室内の温度情報により、前記光源が強制点灯されることを特徴としている。
上記車両用操作スイッチは、車室内に配置されたナビゲーション、ディスプレイ、オーディオ、空調装置等に用いられる車両用操作スイッチで、夜間における視認性を良くするため、スイッチノブを裏面側から照明する光源を備えている。また、上記車両用操作スイッチは、スイッチノブ押動時の摺動部にグリースが塗布されており、スイッチノブ押動時の感触が良く、高品位である。
また、上記車両用操作スイッチにおいては、上記スイッチノブを裏面側から照明する光源が、車両ユーザーによる夜間照明の設定に関係無く、車室内の温度情報により強制点灯される構成となっている。従って、例えば寒冷地などの極めて低い温度環境下で車両を長時間放置した場合において、車両のエンジンを始動して車室内の温度情報が得られた時点で、当該車両用操作スイッチの光源が強制点灯される。これによって、摺動部に塗布されたグリースが極めて低い温度環境下で高粘度になっている(または凍結している)場合においても、強制点灯された光源の発する熱により、急速に粘度を低下させる(または解凍させる)ことができる。結果として、上記車両用操作スイッチは、車室内温度の上昇に伴って自然に粘度低下する(または解凍する)場合に較べて、極めて短時間で常温におけるスイッチノブ押動時の動作・感触に復帰することができる。
以上のようにして、上記車両用操作スイッチは、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチであって、スイッチノブ押動時の感触が良く、高品位であると共に、極めて低い温度環境下で長時間放置された場合においても、短時間で通常の動作感触を回復することのできる車両用操作スイッチとなっている。
尚、車室内に装備される車両用操作スイッチの多くは、夜間照明機能を有しており、車両に装備されるマイコン等により、点灯/消灯を容易に制御できる。このため、上記車両用操作スイッチの構成を実現させる上で、特別な発熱部品・機構・回路等の追加を必要としない。従って、上記車両用操作スイッチは、従来に較べて、特にコストが増大することもない。また、上記車室内の温度情報は、各種電子装置内部の基板上に実装されたサーミスタから、あるいは空調装置を制御する電子装置(ECU)等の他機器と通信することで、光源の強制点灯に利用可能である。
請求項2に記載のように、前記光源の強制点灯は、車室内の温度情報により、終了されることが好ましい。光源の強制点灯は、例えば、タイマーによって終了させてもよい。しかしながら、車室内の温度情報により、車室内の温度がある一定値まで上昇したことを確認した上で光源の強制点灯を終了することで、上記車両用操作スイッチにおけるスイッチノブ押動時の感触を確実に通常の動作・感触に回復することができる。
請求項3に記載のように、上記車両用操作スイッチにおける前記光源は、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。光源は、例えば、バルブ(豆電球)等であってもよい。しかしながら、光源をLEDとすることで、上記強制点灯・消灯の繰り返しに対しても、長寿命を確保することができる。
請求項4に記載のように、前記車両用操作スイッチは、当該車両の空調装置を操作するための車両用操作スイッチとして好適である。
上記車両用操作スイッチは極めて短時間で常温時におけるスイッチノブ押動時の動作に復帰できるため、空調ヒーターがOFFの状態で当該車両用操作スイッチが凍結した場合においても、極短時間で空調ヒーターをONすることができる。このため、車両ユーザーは、長時間に渡って不快感を伴うことがない。
請求項5〜11に記載の発明は、上記車両用操作スイッチの制御方法に関する発明である。
請求項5に記載の発明は、スイッチノブを裏面側から照明する光源を備え、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチの制御方法であって、車室内の温度を検出して、検出温度が第1設定温度以下である場合に、前記光源を強制点灯することを特徴としている。
上記車両用操作スイッチの制御方法によって得られる効果については、前述したとおりであり、その説明を省略する。
前記第1設定温度は、例えば請求項6に記載のように、−20℃とする。車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースは、一般的に、−20℃以下となった場合に、急激に高粘度化する。従って、光源を強制点灯する際の判断基準である第1設定温度を−20℃とすることで、高粘度化したグリースの粘度低下を開始させることができる。
また、請求項7に記載のように、前記第1設定温度を、−30℃としてもよい。車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースは、−30℃以下となった場合には、凍結する可能性がある。従って、光源を強制点灯する際の判断基準である第1設定温度を−30℃とすることで、凍結したグリースの解凍を開始させることができる。
請求項8に記載のように、上記車両用操作スイッチの制御方法においては、車室内の温度を検出して、検出温度が第2設定温度より高い場合に、前記光源の強制点灯を終了することが好ましい。前述したように、車室内の温度がある一定値まで上昇したことを確認した上でスイッチノブ押動時の感触を確実に通常の動作感触に回復すると共に、回復後には、不要となった光源の強制点灯を終了して、車両ユーザーによる通常の夜間照明の設定に復帰させることが好ましい。
例えば、請求項9に記載のように、前記第2設定温度を−20℃とする。車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースは、一般的に、−20℃より高い温度においては粘度変化がゆるやかである。従って、光源の強制点灯を終了する際の判断基準である第2設定温度を−20℃とすることで、スイッチノブ押動時の感触を最小限で常温時と同程度に回復させることができる。
上記車両用操作スイッチの制御方法においては、例えば請求項10に記載のように、当該車両の空調装置を制御する電子装置により、前記車室内の温度を検出することができる。また、請求項11に記載のように、当該車両の車室内に配置された電子装置のサーミスタにより、前記車室内の温度を検出するようにしてもよい。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
最初に、車両に用いられている車両用操作スイッチの一般的な特徴について説明する。
図1は、ナビゲーション、ディスプレイ、オーディオ、空調装置等の操作系統がまとめられた、車室内のパネルPの斜視図である。図1のパネルPには、ナビゲーション、ディスプレイ、オーディオ、空調装置等の操作を行うため、タイプの異なる車両用操作スイッチSW1〜SW3が多数装着されている。
図2(a)〜(c)と図3(a),(b)は、図1に示した車両用操作スイッチの内部構造例で、それぞれ、車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3の模式的な断面図である。
図2(a)〜(c)と図3(a),(b)に示す車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3では、いずれも、タクトスイッチTSWが、回路基板1上に装着されている。各車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3は、スイッチノブN1a〜N1c,N2,N3を図中の白抜き矢印で示したように押し下げ、タクトスイッチTSWを押圧することにより、ON・OFF操作を行う。尚、回路基板1上に装着されるスイッチは、タクトスイッチTSWに限らず、スイッチ操作に反応する素子であれば別のスイッチであってもよい。また、回路基板1上には、タクトスイッチTSWや以下に示す光源Lを制御するためのマイコンが実装される場合もある。
図2(a)〜(c)と図3(a),(b)の車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3は、いずれも、光源Lを備えている。この光源Lは、リフレクタと共に用いられて、スイッチノブN1a〜N1c,N2,N3を裏面側から照明する。スイッチノブN1a〜N1c,N2,N3の表面には、光が透過するように加工された各スイッチ機能を示す文字等の意匠部があり、光源Lの点灯で、当該意匠の夜間における視認性が高められる。光源Lの点灯は、例えば回路基板1上に実装されたマイコンによって制御され、マイコンにより照明ON指示となった場合、基板1上の光源Lに電流が流れて点灯する。光源Lの光は、スイッチノブN1a〜N1c,N2,N3の内側から、光が透過するように加工された文字等の意匠部を通り、車室内へ放出される。車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3における光源Lは、例えばバルブ(豆電球)等であってもよいが、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。光源LをLEDとすることで、後述する本発明の車両用操作スイッチにおける光源Lの強制点灯・消灯の繰り返しに対しても、長寿命を確保することができる。
図2(a)〜(c)に示す車両用操作スイッチSW1a〜SW1cは、いずれも、スイッチノブN1a〜N1cが図中の上下方向に動く、所謂ストロークタイプのスイッチである。
図2(a)の車両用操作スイッチSW1aでは、一般にPC、ABS、PS等の樹脂材料からなるエスカッションE1aの一部で、ガイドレールGrが構成されている。一般にPC、PMMA等の樹脂材料からなるスイッチノブN1aは、エスカッションE1aのガイドレールGrとの間に僅かなクリアランスを有するように組みつけられて、内面がガイドレールGrと摺動できる構造となっている。同様に、図2(b)の車両用操作スイッチSW1bでは、エスカッションE1bの一部でガイドレールGrが構成され、スイッチノブN1bに連結するノブリブL1bの外面がガイドレールGrと摺動する。また、図2(c)の車両用操作スイッチSW1cでは、エスカッションE1cと別体で構成されたリフレクタR1cの一部でガイドレールGrが構成され、スイッチノブN1cの一部がガイドレールGrと摺動する。尚、図2(c)の車両用操作スイッチSW1cにおいて、エスカッションE1cとリフレクタR1cが一体的に形成された車両用操作スイッチもある。
図2(a)〜(c)の各車両用操作スイッチSW1a〜SW1cでは、常に、タクトスイッチTSWからスイッチノブN1a〜N1cに反力が加わっている。スイッチノブN1a〜N1cは、押動がない場合にストッパSで決められた所定の高さで停止しており、エスカッションE1a〜E1cの先端面(図中の上面)から所定量だけ飛び出た構造となっている。この飛び出たスイッチノブN1a〜N1cを白抜き矢印で示したように押し下げてタクトスイッチTSWを押圧することにより、ON・OFF操作を行う。より詳細に説明すると、車室内に露出しているスイッチノブN1a〜N1cの表面を押下すると、スイッチノブN1a〜N1cが摺動し沈み込み、基板1上のタクトスイッチTSWが押し込まれて、電気的な信号に変換されマイコンにて制御される。
図3(a)に示す車両用操作スイッチSW2は、スイッチノブN2が回転軸N2aを中心として片側(図の右側)でのみ上下方向に動く、所謂ヒンジタイプのスイッチである。図3(a)の車両用操作スイッチSW2では、エスカッションE2と別体で軸受けA2が構成され、スイッチノブN2の回転軸N2aが軸受けA2のガイド孔Gaと摺動する。 図3(b)に示す車両用操作スイッチSW3は、スイッチノブN3が回転軸N3aを中心として両側(図の左側と右側)で上下方向に動く、所謂シーソタイプのスイッチである。図3(b)の車両用操作スイッチSW3では、エスカッションE2と別体で軸受けA3が構成され、スイッチノブN3の回転軸N3aが軸受けA3のガイド孔Gaと摺動する。
図3(a)の車両用操作スイッチSW2では、スイッチノブN2が、回転軸N2aを中心として回転可能な構造となっている。スイッチノブN2は、常に、タクトスイッチTSWから反力が加わっており、押動がない場合にストッパSで決められた所定の高さで停止している。車両用操作スイッチSW2では、エスカッションE2の先端面(図中の上面)から飛び出たスイッチノブN2を白抜き矢印で示したように押し下げて回転させ、タクトスイッチTSWを押圧してON・OFF操作を行う。
図3(b)の車両用操作スイッチSW3では、スイッチノブN3が、回転軸N3aを中心として回転可能な構造となっている。スイッチノブN3は、常に、回転軸N3の両側に設けられたタクトスイッチTSWから反力が加わっており、両タクトスイッチTSWの反力のバランスが取れた位置で停止している。車両用操作スイッチSW3では、エスカッションE3の先端面(図中の上面)から飛び出たスイッチノブN3を、白抜き矢印で示したようにそれぞれ図の左側と右側で押し下げて回転させ、各タクトスイッチTSWのON・OFF操作を行う。
また、図2(a)〜(c)と図3(a),(b)に示す車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3では、スイッチノブN1a〜N1c,N2,N3の押動時における上記摺動部のクリアランス部分に、図中に黒い太線で示したグリースが塗布されている。このグリースは、スイッチノブ押動時の感触を良して、高品位の感触が得られるようにするものである。
以上、図1〜図3を用いて、車両に用いられている車両用操作スイッチの一般的な特徴について説明した。
本発明の車両用操作スイッチおよびその制御方法は、上記スイッチノブを裏面側から照明する光源を備え、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチおよびその制御方法であって、車室内の温度情報により、上記光源を強制点灯させるものである。
すなわち、本発明の車両用操作スイッチにおいては、例えば図2(a)〜(c)と図3(a),(b)に示す車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3において、スイッチノブN1a〜N1c,N2,N3を裏面側から照明する光源Lが、車両ユーザーによる夜間照明の設定に関係無く、車室内の温度情報により強制点灯される。従って、例えば寒冷地などの極めて低い温度環境下で車両を長時間放置した場合において、車両のエンジンを始動して車室内の温度情報が得られた時点で、車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3の光源Lが強制点灯される。これによって、摺動部に塗布されたグリースが極めて低い温度環境下で高粘度になっている(または凍結している)場合においても、強制点灯された光源Lの発する熱により、急速に粘度を低下させる(または解凍させる)ことができる。結果として、車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3は、車室内温度の上昇に伴って自然に粘度低下する(または解凍する)場合に較べて、極めて短時間で常温におけるスイッチノブN1a〜N1c,N2,N3押動時の動作・感触に復帰することができる。
上記した本発明の車両用操作スイッチは、特に、車両の空調装置を操作するための車両用操作スイッチとして好適である。上記した車両用操作スイッチは極めて短時間で常温時におけるスイッチノブ押動時の動作に復帰できるため、空調ヒーターがOFFの状態で当該車両用操作スイッチが凍結した場合においても、極短時間で空調ヒーターをONすることができる。このため、車両ユーザーは、長時間に渡って不快感を伴うことがない。
図4は、本発明の車両用操作スイッチに関する制御方法の一例で、上記車両用操作スイッチSW1a〜SW1c,SW2,SW3に設けられた光源Lを強制点灯させる制御の流れ(フローチャート)を示した図である。
図4に示すように、例えば寒冷地などの極めて低い温度環境下で長時間放置された車両において、最初にステップS10で、エンジンを始動する。これによって、例えば当該車両の空調装置を制御する電子装置に電源が入り、車室内の温度を検出することができる状態となる。また、例えば当該車両の車室内に配置された他の電子装置のサーミスタにより、車室内の温度を検出するようにしてもよい。このように、車室内の温度情報は、各種電子装置内部の基板上に実装されたサーミスタから、あるいは空調装置を制御する電子装置(ECU)等の他機器と通信することで、以下に示す光源の強制点灯(および消灯)に利用可能である。
次にステップS20で、上記車室内の温度情報により、検出した車室内の温度が、第1設定温度以下であるかどうかを判定する。
ここで、車両用操作スイッチに用いられているグリースの粘度に関する一般的な温度依存性を、図5に示す。図5は、車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースについて、稠度の温度特性を測定した結果である。尚、稠度試験とは、材料の硬さを測定する方法の1つで、試験方法はJIS K2220に規格化されており、規定円すいを試料中に侵入させ、侵入した長さにより試料の固さを表す。従って、稠度の値は、粘度とは逆に、数字が小さいほど固いとなる。
図5に示すように、車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースは、一般的に、−20℃以下となった場合に、急激に高粘度化する。また、−30℃以下となった場合には、凍結する可能性がある。従って、第1設定温度は、この車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースが急激に高粘度化する境界値の−20℃、あるいは凍結する可能性が高まる−30℃とする。第1設定温度を−20℃とした場合には、次のステップ30で、高粘度化したグリースの粘度低下を開始させることができる。また、第1設定温度を−30℃とした場合には、次のステップ30で、凍結したグリースの解凍を開始させることができる。
再び図4に戻り、ステップS30では、検出した車室内の温度が第1設定温度以下であると判定された場合、光源Lを強制点灯する。これによって、強制点灯された光源Lの発する熱により、上述したように、例えば凍結していたグリースは急速に解凍し、高粘度化していたグリースは急速に粘度が低下する。
次にステップS40で、検出した車室内の温度が、第2設定温度より高いかどうかを判定する。
第2設定温度は、例えば、第1設定温度と同じ、−20℃とする。上述したように、車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースは、一般的に、−20℃より高い温度においては粘度変化がゆるやかで、−20℃以下となった場合に急激に高粘度化する。従って、光源Lの強制点灯を終了する際の判断基準である第2設定温度を−20℃とすることで、スイッチノブN1a〜N1c,N2,N3の押動時の感触を、最小限で常温時と同程度に回復させることができる。
検出した車室内の温度が第2設定温度より高いと判定された場合、次にステップS50で、光源Lの強制点灯を終了する。
このように、光源Lの強制点灯は、車室内の温度情報により、終了することが好ましい。光源Lの強制点灯は、例えば、タイマーによって終了させてもよい。しかしながら、車室内の温度がある一定値まで上昇したことを確認した上で光源Lの強制点灯を終了することで、上記車両用操作スイッチにおけるスイッチノブ押動時の感触を確実に通常の動作・感触に回復することができる。また、回復後には、不要となった光源Lの強制点灯を終了して、車両ユーザーによる通常の夜間照明の設定に復帰させることが好ましい。
以上のようにして、上記した本発明の車両用操作スイッチおよびその制御方法は、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチであって、スイッチノブ押動時の感触が良く、高品位であると共に、極めて低い温度環境下で長時間放置された場合においても、短時間で通常の動作感触を回復することのできる車両用操作スイッチおよびその制御方法となっている。
尚、上記光源Lが強制点灯されるのは、車両のライトのスイッチがOFFのときである。車室内に装備される車両用操作スイッチの多くは、夜間照明機能を有しており、車両に装備されるマイコン等により、点灯/消灯を容易に制御できる。このため、上記した本発明の車両用操作スイッチおよびその制御方法の構成を実現させる上で、特別な発熱部品・機構・回路等の追加を必要としない。従って、上記車両用操作スイッチおよびその制御方法は、従来に較べて、特にコストが増大することもない。
ナビゲーション、ディスプレイ、オーディオ、空調装置等の操作系統がまとめられた、車室内のパネルPの斜視図である。 (a)〜(c)は、図1に示した車両用操作スイッチの内部構造例で、それぞれ、車両用操作スイッチSW1a〜SW1cの模式的な断面図である。 (a),(b)は、図1に示した車両用操作スイッチの内部構造例で、それぞれ、車両用操作スイッチSW2,SW3の模式的な断面図である。 本発明の車両用操作スイッチに関する制御方法の一例で、車両用操作スイッチに設けられた光源を強制点灯させる制御の流れ(フローチャート)を示した図である。 車両用操作スイッチの摺動部に塗布されるグリースについて、稠度の温度特性を測定した結果である。
符号の説明
SW1,SW1a〜SW1c,SW2,SW3 車両用操作スイッチ
1 (回路)基板
TSW タクトスイッチ
L 光源
N1a〜N1c,N2,N3 スイッチノブ
L1b ノブリブ
R1c リフレクタ
E1a〜E1c,E2,E3 エスカッション
Gr ガイドレール
N2a,N3a 回転軸
A2,A3 軸受け
Ga ガイド孔
S ストッパ
P パネル

Claims (11)

  1. スイッチノブを裏面側から照明する光源を備え、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチであって、
    車室内の温度情報により、前記光源が強制点灯されることを特徴とする車両用操作スイッチ。
  2. 車室内の温度情報により、前記光源の強制点灯が終了されることを特徴とする請求項1に記載の車両用操作スイッチ。
  3. 前記光源が、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用操作スイッチ。
  4. 前記車両用操作スイッチが、当該車両の空調装置を操作するための車両用操作スイッチであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用操作スイッチ。
  5. スイッチノブを裏面側から照明する光源を備え、摺動部にグリースが塗布されてなる車両用操作スイッチの制御方法であって、
    車室内の温度を検出して、検出温度が第1設定温度以下である場合に、前記光源を強制点灯することを特徴とする車両用操作スイッチの制御方法。
  6. 前記第1設定温度が、−20℃であることを特徴とする請求項5に記載の車両用操作スイッチの制御方法。
  7. 前記第1設定温度が、−30℃であることを特徴とする請求項5に記載の車両用操作スイッチの制御方法。
  8. 車室内の温度を検出して、検出温度が第2設定温度より高い場合に、前記光源の強制点灯を終了することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の車両用操作スイッチの制御方法。
  9. 前記第2設定温度が、−20℃であることを特徴とする請求項8に記載の車両用操作スイッチの制御方法。
  10. 当該車両の空調装置を制御する電子装置により、前記車室内の温度を検出することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の車両用操作スイッチの制御方法。
  11. 当該車両の車室内に配置された電子装置のサーミスタにより、前記車室内の温度を検出することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の車両用操作スイッチの制御方法。
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