JP2005324774A - ダンピングフォース発生装置およびそれを備えたステアリングシステム - Google Patents

ダンピングフォース発生装置およびそれを備えたステアリングシステム Download PDF

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Abstract

【課題】操舵操作に対しての適度な抵抗力を発生させるステアリングシステムを得る。
【解決手段】ステアリングシステム20に、操作に対しての抵抗力を発生させるダンピングフォース発生装置10を設ける。そのダンピングフォース発生装置10は、ハウジング66内に充填されたシリコンオイル68により、ステアリングホイール40が取り付けられた操作軸42とともに回転する回転板64の回転に対する抵抗力を発生させる。ハウジング66には、温度センサ106,およびペルチェモジュール70が設けられている。ペルチェモジュール70に直流電流を供給することにより、シリコンオイル68が加熱あるいは冷却されて温度が調節される。そのため環境温度等の影響による温度変化を抑制し、適度な抵抗力を発生させることができる。また、車速度,運転者の好み等に応じた抵抗力となるように、シリコンオイル68の温度を調節することもできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、可動体の動作に対しての抵抗力を発生させるダンピングフォース発生装置と、操作部材の操作に対しての抵抗力を発生させるダンピングフォース発生装置を備えたステアリングシステムとに関する。
ダンピングフォース発生装置は、ダンピングフォース、つまり、可動体の動作を制動する向きの力である抵抗力を発生させるものであり、例えば、振動減衰力を発生させる等の目的で、様々な機器,装置,車両,構築物等に用いられている。例えば、車両においては、ショックアブソーバ,ステアリングダンパ等のように、車体と車輪との相対移動に対する抵抗力,あるいは不整路面から車輪を介して転舵部に伝わる外乱等に対しての抵抗力等を発生させる目的で用いられ、また、ステアリングシステムの操作系に用いることも検討されている。具体的には、ステアリングホイール等の操作部材になされた操作に対しての抵抗力を発生させるために、ダンピングフォース発生装置を用いることが検討されている。特に、粘性流体を用いたダンピングフォース発生装置を用いれば、例えば、操作速度に応じた大きさのダンピングフォース(以下、「抵抗力」と呼ぶ場合がある)を発生させることにより、過度に急激な操作がなされることや操作量が過剰になることを防止しつつ、滑らかな操作フィーリングを実現することができる。ダンピングフォース発生装置を用いたステアリングシステムとしては、下記〔特許文献1〕には、電気粘性流体を電場により硬化させて、車輪側からの逆入力による操作部材の振動を抑制する技術が記載されている。
特開2003−34255号公報
しかしながら、粘性流体を用いたダンピングフォース発生装置では、環境温度の変化等の要因により、粘性流体の温度が変化すると粘性流体の粘度が変化するという現象が生じる。その現象により、環境温度が変化した場合、適度な抵抗力が得られない場合がある。ちなみに、上記〔特許文献1〕には、温度変化による粘性流体の粘度変化については何ら記載されていない。また、逆に、上記現象を積極的に利用することで、所望する適度な抵抗力を発揮させることも可能である。本発明は、そういった事情に鑑みてなされたものであり、適度な抵抗力が得られるダンピングフォース発生装置,およびそれが用いられたステアリングシステムを得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のダンピングフォース発生装置は、操作部材等の可動体に連結されてその可動体と連係して動く連動体と、その連動体と接触するように収容されて自身の粘性によって前記連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる抵抗力発生流体と、その抵抗力発生流体を加熱・冷却する加熱・冷却器とを含んで構成されることを特徴とする。また、本発明のステアリングシステムは、それの操作系に、上記ダンピングフォース発生装置を備えたことを特徴とする。
本発明のダンピングフォース発生装置は、加熱・冷却器によって抵抗力発生流体の温度を変化させることができるため、抵抗力発生流体の温度を適度な温度にすることが可能であり、可動体の動作に対して適度な抵抗力を発生させることができる。また、本発明のステアリングシステムは、抵抗力発生流体の温度を適度な温度にすることが可能であり、操舵操作に対して適度な抵抗力を発生させることができるのである。なお、本発明のステアリングコラムの各種態様およびそれらの作用および効果については、以下の、〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に、(3)項が請求項2に、(7)項が請求項3に、それぞれ相当する。
(1)操舵操作がなされる操作部材と、その操作に対する抵抗力を発生させるダンピングフォース発生装置とを備えるステアリングシステムであって、
前記ダンピングフォース発生装置が、
操舵操作において前記操作部材と連係して動く連動体と、
その連動体と接触するように収容され、自身の粘性によって前記連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる抵抗力発生流体と、
その抵抗力発生流体を加熱・冷却する加熱・冷却器と
を含んで構成されることを特徴とするステアリングシステム。
本項に記載の態様は、例えば、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリングシステムに好適な態様である。ステアバイワイヤ式のステアリングシステムは、例えば、操作部と転舵部とが機械的に分離され、操作部になされた操舵操作(以後、単に「操作」と略記する場合がある。)を電磁気的に検出し、その検出された操作に基づいて転舵部に設けられた動力源を制御することにより車輪を転舵するステアリングシステムであり、操作をする際に転舵部からの反力が操作部材に伝わらないため、適度な操作抵抗(手応え)が得られない。そのため、本項に記載のダンピングフォース発生装置を備えたステアリングシステムは、そのダンピングフォース発生装置によって操作抵抗となる抵抗力を発生させることにより、例えば、操作感(操舵感)を向上させることができる。
本項に記載のステアリングシステムが備えるダンピングフォース発生装置は、可動体たる操作部材の動作に対しての抵抗力を流体の粘性等によって発生させるものであり、流体抵抗力発生装置と表現することもできる。本ダンピングフォース発生装置は、振動減衰力といった狭い意味でのダンピングフォースではなく、可動体の任意の動作に対して、その動作を制動する向きの力である抵抗力といった広い意味でのダンピングフォースを発生させるのである。本ダンピングフォース発生装置は、その抵抗力を利用することで、運転者の操作に対して、適度な手応えを与えることができるのである。
本項のダンピングフォース発生装置は、オイル,グリース等を抵抗力発生流体として用いて抵抗力を発生させるものである。抵抗力発生流体は、温度によって粘度が変化するため、適度な抵抗力を発生させるためには、抵抗力発生流体の温度を適度な温度にすることが望ましい。本ダンピングフォース発生装置は、加熱・冷却器を備えており、環境温度等の影響によって抵抗力発生流体の温度が変化しても、当該流体を加熱あるいは冷却することによって抵抗力発生流体の温度を適度な温度に調節することができるようになっている。例えば、夏季には、環境温度が上昇し、抵抗力発生流体の粘性が低くなるために抵抗力が低下する。本ダンピングフォース発生装置は、そういった場合に、加熱・冷却器で抵抗力発生流体を冷却することで、適度な抵抗力を発生させることができる。また、逆に、例えば、冬季には、抵抗力発生流体の温度低下に伴って抵抗力発生流体の粘性が高くなり、抵抗力が増加する。そういった場合には、加熱・冷却器で抵抗力発生流体を加熱することで、適度な抵抗力を発生させることができる。
本項に記載のダンピングフォース発生装置の上述の用い方は、温度変化に対する補償を目的とするものであるが、加熱・冷却器によって、意図的に抵抗力発生流体の温度を変化させ、ダンピングフォース発生装置によって発生させる抵抗力を積極的に増減させることも可能である。所望の抵抗力が一定であるとは限らず、例えば、運転者の好みや,車両の走行状態等に基づいて、抵抗力の大きさを随時変更することが望まれる場合もある。例えば、高速度で走行する際には抵抗力を比較的大きくし、低速度で走行する際には抵抗力を比較的小さくするといったような場合である。その場合には、高速度で走行する際には、抵抗力発生流体の温度を低目に設定することにより、抵抗力発生流体の粘度を増大させて比較的大きな抵抗力を発生させ、逆に、低速度で走行する際には、抵抗力発生流体の温度を高めに設定することにより、抵抗力発生流体の粘度を減少させて比較的小さな抵抗力しか発生させないようにすることもできる。このように、本項に記載のステアリングシステムは、抵抗力発生流体の温度を積極的に変化させ、操舵操作に対して所望の抵抗力を発生させることができるのである。
加熱・冷却器は、抵抗力発生流体の温度を上昇・下降させるものであり、その具体的な手段は、特に限定されない。例えば、発熱体を有するヒータ,コンプレッサ等を備えて冷媒の圧縮・膨張を利用した冷却器,ヒートポンプ,熱交換器等、種々のものとすることもできる。また、後に詳しく説明するペルチェ素子を用いた加熱・冷却器を用いることも可能である。なお、加熱・冷却器は、加熱器と冷却器とが別個に設けられていてもよく、両方の機能を備えて一体化されたようなものであってもよい。
抵抗力発生流体は、剪断速度の増加に応じて粘度も増加する流体とすることができ、そのような場合、操作部材の操作速度が大きい場合に、その操作に対して発生する抵抗力も大きくなるようにすることができる。そのことによって、例えば、ゆっくり操作する際には発生する抵抗力が小さいため微妙な操作がしやすくなり、素早く操作した際には発生する抵抗力が大きいため操作に対する手応えが得られやすくなり、操作感が向上するのである。このような特性は、摩擦による抵抗や,弾性力による抵抗とは異なる特性である。
抵抗力発生流体には、例えば、オイル,グリース等を採用することができる。オイルは、例えば、シリコンオイル,化学合成油,鉱物油,植物油,またはそれらのうちの2以上のものを混合したもの等を含んで構成することができる。さらに、各種の添加剤を含んでいてもよい。シリコンオイルは、他のオイルと比較して温度変化による粘度の変化が小さいため、抵抗力発生流体に採用すれば流体の温度を一定に保ち易くなる。一方、抵抗力発生流体の粘度を意図的に変化させる場合には、温度変化による粘度の変化が比較的大きいものを採用することが望ましい場合がある。
抵抗力発生流体に必要な粘度は、特に限定されず、ダンピングフォース発生装置の構成に応じて、適切な粘度のものを用いればよい。例えば、ダンピングフォース発生装置において抵抗力を発生させる機構として、一般的なショックアブソーバのように、抵抗力発生流体中を、連動体の一態様であるピストンが、自身に設けられたバルブにおいて当該流体を通過させながら移動するといった機構を採用することができ、その機構を採用した場合には抵抗力発生流体の粘度が比較的低くても適度な抵抗力が得られることが多い。例えば、また、上記抵抗力を発生させる機構として、ロータリダンパ等のように連動体が抵抗力発生流体中で単純に回転するといった機構である回転式抵抗力発生機構を採用することができ、その機構を採用した場合には粘度が比較的高い抵抗力発生流体により適度な抵抗力が得られることが多い。また、操作量と連動体の移動量との比によっても異なり、例えば、操作が増幅されて連動体に伝達される機構であれば、比較的粘度が低くても適度な抵抗力が得られる。以上のように、抵抗力発生流体の粘度を一概に決定することは困難であるが、例えば、抵抗力を発生させる機構として上記回転式抵抗力発生機構を採用した場合には、抵抗力発生流体は、JIS K 2283:2000に規定される動粘度試験方法によって測定される動粘度が6,000(mm2/s)以上であることが望ましい。
本項に記載の態様において、操作部材は、特に限定されず、例えば、ステアリングホイール,操縦桿,レバー等、種々の形状のものを採用できる。操舵操作の態様も、特に限定されず、例えば、操作部材を回転させる,回動させる,スライドさせる等、種々の態様の操作が行われるシステムに対して、本項の態様が適用可能である。連動体が操作部材と連係して動くようにするためには、例えば、連動体を操作部材に直接的あるいは間接的に連結することができる。その連動体の動作の態様は、特に限定されない。例えば、操作部材の回転に応じて連動体が回転する、操作部材の直線的な移動に応じて連動体が直線的に移動するといったように、連動体が操作部材と同じ動作をする態様や,逆に、操作部材の回転に応じて操作部材が直線運動をする等、連動体が操作部材と異なる動作をする態様等、種々の態様とすることが可能である。また、連動体と操作部材との動作速度の関係で言えば、例えば、連動体を操作部材と同じ速度で回転,移動等させるような態様とすることもでき、また、操作部材と連動体とを減速機構,増速機構等を介して連結し、連動体を操作部材と異なる速度で回転,移動等させる態様とすることもできる。
(2)前記ダンピングフォース発生装置が、
前記抵抗力発生流体の温度を測定するための温度センサと、
その温度センサの出力値に基づいて前記加熱・冷却器を制御する流体温度制御器と
を備える(1)項に記載のステアリングシステム。
温度センサと流体温度制御器とを備えれば、測定された抵抗力発生流体の温度に基づいて、より精度よく制御を行うことができる。
(3)前記加熱・冷却器がペルチェモジュールを備える(1)項または(2)項に記載のステアリングシステム。
ペルチェモジュールは、ペルチェ素子を利用した加熱あるいは冷却手段である。P型の熱電半導体とN型の熱電半導体とを電極によって電気的に接続し、直流電流を供給できるようにしたものである。一般的には、複数組のP型およびN型の熱電半導体を交互に直列接続して、すなわちペルチェ素子を複数直列接続したものが用いられることが多い。そのペルチェモジュールに直流電流が供給されると、そのP型およびN型の熱電半導体の接続部分において、吸熱作用(冷却)あるいは放熱作用(加熱)が生じる。具体的には、電流がP型半導体からN型半導体に流れる箇所では放熱作用が、N型半導体からP型半導体に流れる箇所では吸熱作用が同時に生じる。
複数のP型およびN型の熱電半導体を並べて板状に配列し、電流がP型半導体からN型半導体に流れる箇所とN型半導体からP型半導体に流れる箇所とがそれぞれ異なる面に位置するように接続すれば、例えば、直流電流が供給された際に、1の面において吸熱作用が、他の1の面において放熱作用が生じる構造とすることができる。つまり、1対の熱移動面が形成されるのである。直流電流の通電方向の切り換えにより、それら1対の熱移動面の各々の吸熱作用と放熱作用とを逆にすることができる。
ペルチェモジュールを備えることにより、通電方向の切り換えによって抵抗力発生流体の加熱と冷却を切り換えることができる。そのため、1つのペルチェモジュールにより、必要に応じて抵抗力発生流体の加熱と冷却とを行うことができ、ダンピングフォース発生装置をコンパクトあるいはシンプルなものにすることができる。なお、ペルチェモジュールを加熱器と冷却器との一方に用いて、他方をペルチェモジュールとは異なる手段とすることも可能である。
(4)前記ペルチェモジュールが、前記連動体に設けられた(3)項に記載のステアリングシステム。
例えば、ペルチェモジュールをそれの1対の熱移動面の一方が連動体の外面に接触するように連動体に固定し、他方の熱移動面を抵抗力発生流体と接触させる態様が、本項に記載の態様の一態様となる。そうすることにより、抵抗力発生流体の温度を上昇させる場合には、連動体から吸熱して、その熱を抵抗力発生流体へ放熱することができる。抵抗力発生流体の温度を下降させる場合には、上記と電流の向きを逆にして、逆の作用を生じさせればよい。また、例えば、連動体を中空状のものとして、中空部にペルチェモジュールを配設する態様とすることも可能である。その場合には、連動体を介して抵抗力発生流体を加熱・冷却することとなる。その態様は、例えば、連動体が1つの面で抵抗力発生流体と接触するような構成である場合に、有効である。
(5)前記ダンピングフォース発生装置が、前記連動体の少なくとも一部分を覆って前記抵抗力発生流体を収容する流体収容器を備え、
前記ペルチェモジュールが、前記流体収容器に設けられた(3)項に記載のステアリングシステム。
例えば、ペルチェモジュールをそれの熱移動面の一方が流体収容器の内面に接する状態で流体収容器に固定して、他方の熱移動面を抵抗力発生流体と接触させるような態様が、本項の態様の一態様となる。そうすることにより、抵抗力発生流体の温度を下降させる場合には、抵抗力発生流体から吸熱して、その熱を流体収容器へ放熱することができる。抵抗力発生流体の温度を上昇させる場合には、上記と電流の向きを逆にして、逆の作用を生じさせればよい。また、本項に記載の態様では、例えば、ペルチェモジュールを、一方の熱移動面が流体収容器の外面に接する状態で流体収容器に固定することもできる。その場合には、ペルチェモジュールは、流体収容器を介して抵抗力発生流体を加熱・冷却することとなる。
(6)前記操作部材が回転操作されるものであって、
前記連動体が、前記操作部材の回転軸線回りに回転させられるように設けられたものである(1)項ないし(5)項のいずれかに記載のステアリングシステム。
操作部材が回転操作される場合には、連動体が操作部材と同軸的に回転する構造とすることにより、シンプルな構造とすることができる。例えば、ステアリングシステムが、操作部材が取り付けられて操作部材とともに回転する回転軸を有している場合には、その回転軸に連動体を設けることができる。また、回転軸の一部を連動体として機能させることもできる。
(7)予定された動作を行う可動体と連係して動く連動体と、
その連動体と接触するように収容されて、自身の粘性によって前記連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる抵抗力発生流体と、
その抵抗力発生流体を加熱・冷却する加熱・冷却器と
を含んで構成されることを特徴とするダンピングフォース発生装置。
本項の態様は、カテゴリをダンピングフォース発生装置とするものである。本項に記載のダンピングフォース発生装置は、先に説明したステアリングシステムにおけるものと同様の構成を有するため、本ダンピングフォース発生装置の詳しい説明は省略する。本ダンピングフォース発生装置は、加熱・冷却器によって抵抗力発生流体の温度を変化させることができるため、ステアリングシステムの態様において説明したダンピングフォース発生装置が有する利点と同様の利点を有する。
本項に記載のダンピングフォース発生装置の用途は、特に限定されず、産業用,民生用の様々な機器,装置,車両,構築物等に用いることができる。可動体は、特に限定されないが、例えば、ダンピングフォース発生装置をショックアブソーバとして機能させることで、サスペンションシステムとして構成することも可能である。また、連動体が可動部材と連係して動くようにするためには、例えば、連動体を可動部材に直接的あるいは間接的に連結することができる。なお、本ダンピングフォース発生装置を備えたステアリングシステムの一態様が、先に示した態様であり、先の態様においては、操作部材が本項における可動体に該当する。なお、上記(2)項ないし(5)項に記載された態様の技術的特徴を、本項に記載のダンピングフォース発生装置に適用することが可能である。
(10)操舵操作がなされる操作部材と、その操作に対する反力を付与する反力付与装置とを備えるステアリングシステムであって、
前記反力付与装置が、
モータを有し、そのモータの駆動力によって、前記操作部材の操作に対する抵抗力を発生させる駆動力依拠抵抗力発生機構と、
操舵操作において前記操作部材と連係して動く第1連動体と、その第1連動体と係合させられた弾性体とを備え、その弾性体の弾性力によって、前記第1連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる弾性抵抗力発生機構と、
操舵操作において前記操作部材と連係して動く第2連動体と、その第2連動体と接触するように収容された抵抗力発生流体とを有し、その抵抗力発生流体の粘性によって前記連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる粘性抵抗力発生機構と
を含んで構成されたことを特徴とするステアリングシステム。
反力付与装置は、操舵操作の際に適度な抵抗力、すなわち操舵反力を発生させる装置である。その操舵反力を発生させることにより、例えば、運転者が適度な手応えを感じることができ、操舵感を向上させることができる。操舵反力(以後、単に「反力」と称する場合がある)は、例えば、操舵量,操舵速度,あるいは操舵時等に路面から転舵部に入力される転舵反力等に応じて付与することができる。従来から検討されていた反力付与装置は、例えば、モータ,ばね等を備えた機構によって操舵反力を発生させるものであった。しかしながら、モータによって操舵反力を発生させる場合には、操舵操作がなされてから実際に操舵反力が操作部材に付与されるまでに若干のタイムラグが生じる等の問題があった。また、ばねの弾力性によって操舵反力を発生させる場合には、操作部材にその中立位置に向かう向きの弾性力を発生させるのみであり、適度な抵抗力とは言えない。さらに、それらを組み合わせたとしても、タイムラグの問題は解消されない。すなわち、従来から検討されてきた反力付与装置では、適度な抵抗力を発生させることができないのである。
本項に記載の反力付与装置は、粘性抵抗力発生機構を備えており、その粘性抵抗力発生機構によって操舵反力を操作部材に付与することにより、タイムラグを低減することができる。また、本項の反力付与装置は、3つの機構を組み合わせることにより、より適切に操舵反力を発生させることができる。本項に記載の粘性抵抗力発生機構において、第2連動体および抵抗力発生流体が、それぞれ上記(1)項に記載の連動体および抵抗力発生流体と同様なものとされている。また、本項に記載の粘性抵抗力発生機構を、上記(1)項に記載の加熱・冷却器を備えるものとすることができる。その場合には、上記(2)項ないし(5)項に記載された態様の技術的特徴を、本項に記載のステアリングシステムに適用することが可能である。
本項に記載の駆動力依拠抵抗力発生機構が備えるモータは、電動モータとされることが望ましい。また、本項に記載の駆動力依拠抵抗力発生機構が、モータの駆動力を減速して出力する減速機を備えるものとすることができる。その減速機は、その態様は特に限定されないが、例えば、ストレイン・ウェーブ・ギアリング機構(いわゆる、ハーモニックドライブ(登録商標)機構),サイクロイド減速機構等を採用した減速機とすることができる。本項に記載の弾性抵抗力発生機構が備える第2連動体の態様は、特に限定されないが、例えば、上記(1)項に記載の連動体と同様な態様にすることができる。また、本項の弾性抵抗力発生機構が備える弾性体は、その態様は特に限定されないが、例えば、ばね部材(コイルスプリング等),ゴム部材,気体(空気、窒素等)等によって構成することができる。
(11)予定された動作を行う可動体の動作に対する反力を付与する反力付与装置であって、
モータを有し、そのモータの駆動力によって、前記可動体の動作に対する抵抗力を発生させる駆動力依拠抵抗力発生機構と、
前記可動体と連係して動く第1連動体と、その第1連動体と係合させられた弾性体とを備え、その弾性体の弾性力によって、前記第1連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる弾性抵抗力発生機構と、
前記可動体と連係して動く第2連動体と、その第2連動体と接触するように収容された抵抗力発生流体とを有し、その抵抗力発生流体の粘性によって前記第2連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる粘性抵抗力発生機構と
を含んで構成されることを特徴とする反力付与装置。
本項の態様は、カテゴリを反力付与装置とするものである。本項に記載の反力付与装置は、上記(10)項に記載のステアリングシステムにおけるものと同様の構成を有するため、本項の反力付与装置の詳しい説明は省略する。本項の反力付与装置は、上記(10)項に記載のステアリングシステムの態様において説明した反力付与装置が有する利点と同様の利点を有する。本項に記載の反力付与装置の用途は、特に限定されず、産業用,民生用の様々な機器,装置,車両,構築物等に用いることができる。本項の連動体が可動部材と連係して動くようにするためには、例えば、連動体を可動部材に直接的あるいは間接的に連結することができる。なお、本項の反力付与装置を備えたステアリングシステムの一態様が、先に示した態様であり、上記(10)項の態様においては、操作部材が本項における可動体に該当する。
以下、本発明のいくつかの実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、決して下記の実施例に限定されるものではなく、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
1. ステアリングシステムの概要.
図1に、本発明の一実施例であるダンピングフォース発生装置10、およびそれを備えたステアリングシステム20のダンピングフォースの発生に関連性の深い部分を模式的に示す。ステアリングシステム20は、操舵操作(以後、単に「操作」と称する場合がある)がなされる操作部30と車輪を転舵する動力源を備えた転舵部32とを含んで構成されている。本実施例において、ステアリングシステム20は、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリングシステムとして構成されており、操作部30と転舵部32とが機械的に分離されている。そして、操作部30において検出された操作に基づいて、転舵部32が電気的に制御されることにより、車輪の転舵が行われる。
操作部30は、操作部材たるステアリングホイール40と,車体によって回転可能に保持されて一端部にステアリングホイール40が取り付けられた回転軸たる操作軸42と,操作軸42の回転位置を検出するためのエンコーダ44と,ステアリングホイール40になされた操作に基づいて転舵部32に制御信号を送信する電子制御装置46とを備えている。ステアリングホイール40が回転操作されると、操作軸42が同じ角速度で回転させられ、その操作軸42の回転に応じてパルス信号がエンコーダ44から電子制御装置46に出力される。電子制御装置46は、パルス信号に基づいて操作軸42の回転位置等の情報を取得し、回転位置等の情報を転舵部32の制御を行う際に利用する。一方、電子制御装置46からの制御信号を受信した転舵部32は、自身が備える駆動回路によって、その制御信号に従い動力源に電力を供給して車輪を転舵させる。
本ステアリングシステム20は、上述のように操作部30と転舵部32とが機械的に連結されていないため、転舵部32が車輪から受ける反力が操作部30に伝わらない。そのため、操作部30には、上記反力に応じた回転トルクを操作軸42に付与するための反力モータ50が設けられている。転舵部32には、車輪を転舵する際等に受ける転舵反力を検出するためのセンサが設けられており、電子制御装置46は、検出された転舵反力に基づいて、駆動回路52を介して反力モータ50に電力を供給する。具体的には、ナックルアームに転舵力を伝達するタイロッドに加わる軸方向の力である軸力が、歪みセンサによって検出されるタイロッドの軸方向の歪みに基づいて取得される。そして、電子制御装置46は、その軸力に基づいて駆動回路52に制御信号を送信し、反力モータ50に適切な電力が供給されるようにするのである。
2. ダンピングフォース発生装置.
操作部30には、ステアリングホイール40を回転操作する運転者が適度な手応えを感じるように、操作軸42の回転動作に対しての抵抗力を発生させるダンピングフォース発生装置10が設けられている。そのダンピングフォース発生装置10は、操作軸42に相対回転不能に固定された円板状の回転板64(連動体の一態様である),回転板64を覆うハウジング66,そのハウジング66内に充填された抵抗力発生流体たるシリコンオイル68,およびそのハウジング66の内側に固定された穴あき円板状の2つのペルチェモジュール70を含んで構成されている。回転板64は、内周部がボス部とされ、そのボス部において操作軸42に外嵌する状態で操作軸42に固定されている。回転板64は、操作軸42と一体的に回転し、操作時にハウジング66に対して相対回転するようにされている。すなわち、回転板64は、操作軸42を介して間接的にステアリングホイール40に連結され、ステアリングホイール40と連係して動くようにされているのである。なお、ハウジング66は、車体の一部に固定されており、操作軸42は、ダンピングフォース付与装置10によって、車体に回転可能に保持されているのである。
ハウジング66は、外形形状が概ね短円筒状をなし、また、一方の端部が開口する第1容器体74と、その開口端部を塞ぐ第2容器体76とが組み付けられて構成されている。第2容器体76の外周部にはOリング78が設けられており、第1容器体74の開口部と第2容器体76の外周部との間が液密に保たれている。それら第1容器体74および第2容器体76の各々の中央には、軸穴80,82が軸方向に設けられており、それら軸穴80,82を挿通させられた操作軸42が、軸穴80,82の各々に設けられた軸受84,86を介して回転可能に保持される構造となっている。軸穴80,82の各々には、内周面に沿って環状のシールリング90,92が嵌められており、ハウジング66の内部を液密に保っている。
第1容器体74の、図における上部には、配線穴94が設けられており、その配線穴94において、ペルチェモジュール70に電力を供給するためのリード線100がハウジング66の内部から外部に通され、温度センサ106が外部から内部へ挿入されている。詳しく言えば、第1容器体74には、配線穴94を塞ぐシール部材110が設けられており、そのシール部材110を挿通して、リード線100および温度センサ106が配設されている。本実施例において、第1容器体74,第2容器体76,シールリング90,92,Oリング96,シール部材110等を含んで流体収容器たるハウジング66が構成されている。
3. ペルチェモジュール.
本実施例において、ペルチェモジュール70は、図2,図3にそれの一部分を模式的に示すように、2つの面(図においては上下の面)が熱移動面とされた平板な形状に形成されており、直流電流が供給された際に、いずれか一方の面から熱を吸収し、他方の面から熱を放出するという機能を有している。ペルチェモジュール70は、複数のP型の熱電半導体150(以後、「P型半導体」と略記する場合がある。また、N型の熱電半導体152についても同様とする)と,複数のN型の熱電半導体152とが交互に並べられ、電極154,156によって直列に接続されたものである。その電極154,156は、ガラスエポキシ158によって、アルミ板160,162に絶縁性を保ちつつ固定されている。
ペルチェモジュール70において、電流がP型半導体150からN型半導体152に流れる接続部分では放熱作用が、逆に、電流がN型半導体152からP型半導体150に流れる接続部分では吸熱作用が生じる。図2に示す電流の向きにおいて、ペルチェモジュール70の図における上部のアルミ板160で吸熱作用が生じ、下部のアルミ板162で放熱作用が生じる。その電流の向きを変えると、それぞれ吸熱作用が生じる部分と放熱作用が生じる部分とが切り替わり、すなわち上部と下部とにおける放熱作用と吸熱作用とが切り替わる。そのアルミ板160,162が設けられた2つの面が1対の熱移動面とされている。なお、本実施例において、説明を容易にするために、アルミ板160が設けられた面を第1熱移動面166、アルミ板162が設けられた面を第2熱移動面168とする。また、第1熱移動面166と第2熱移動面168とには、実質的な差異はないが、直流電流の供給時に、それら1対の熱移動面の各々には、放熱作用および吸熱作用のうち、互いに逆の作用が生じることを明確にするために区別することとする。
図3において、2つのリード線100に、直流電流を供給すれば、その電流の向きに応じて、上側のアルミ板160が設けられた第1熱移動面166および下側のアルミ板162が設けられた第2熱移動面168の、いずれか一方において吸熱作用が生じ、他方において放熱作用が生じる。本実施例において、ペルチェモジュール70は、環状をなして形成されており、図1において、2つのペルチェモジュール70の各々の、第1熱移動面166がハウジング66の内壁に固定される一方、第2熱移動面168がシリコンオイル68と接触するように設けられている。そして、シリコンオイル68の温度を上昇させる場合には、第1熱移動面166においてハウジング66から吸熱し、第2熱移動面168においてシリコンオイル68へ放熱する。一方、シリコンオイル68の温度を下降させる場合には、直流電流の向きを逆にして、上記とは逆の作用を生じさせる。なお、本実施例のペルチェモジュール70は、アルミ板160,162の間にシリコンオイルが入らないようにされている。
4. 電子制御装置.
電子制御装置46は、コンピュータを主体とした装置であり、CPU,RAM,ROM,I/O(入出力インタフェース),およびそれらをつなぐバス等を含んで構成されている。I/Oには、車速度センサ200,抵抗力調節器202,およびエンコーダ44が接続されている。また、I/Oには、駆動回路52を介して反力モータ50が、2つの駆動回路210の各々を介して2つのペルチェモジュール70が接続されている。さらにまた、I/Oには、転舵部32が接続されている。
5. ダンピングフォース発生装置の作動.
本実施例において、ダンピングフォース発生装置10は、抵抗力を発生させる機構として、連動体(回転板64)が抵抗力発生流体(シリコンオイル68)中で単純に回転する機構である回転式抵抗力発生機構を採用している。具体的に説明すると、ステアリングホイール40が操作されると、回転板64が操作軸42とともに回転させられ、回転板64とハウジング66とが相対的に回転する。その際には、ハウジング66の内部に充填されたシリコンオイル68の粘性により、回転板64の回転に対しての抵抗力が発生し、また、運転者が、ステアリングホイール40をゆっくり回転させた際には発生する抵抗力が小さく、素早く回転させた際には発生する抵抗力が大きくなる。このように運転者が行った操作に応じて、適度な抵抗力を発生させることにより、操作に対する手応えが生じるため、操作感が向上するのである。
電子制御装置46は、流体温度制御プログラムを実行することにより、ペルチェモジュール70を制御してシリコンオイル68の温度である流体温度を設定された目標温度に調節する。なお、目標温度の設定については後に詳述する。測定により得られる流体温度である測定温度Tは、抵抗式の温度センサ106の検出信号に基づいて電子制御装置46により比較的短時間間隔(例えば、0.1秒)で定期的に取得される。電子制御装置46は、目標温度と測定温度Tとの偏差を減少させるように、2つの駆動回路210を介して2つのペルチェモジュール70に直流電流を供給するのである。例えば、測定温度Tが目標温度よりも高い場合には、ペルチェモジュール70の2つの熱移動面のうち、シリコンオイル68と接する第2熱移動面168において吸熱作用が生じ、ハウジング66に固定された第1熱移動面166において放熱作用が生じる向きに電流を供給するのである。また、測定温度Tが目標温度よりも低い場合には、逆の向きに電流を供給する。以上のように、電子制御装置46によってペルチェモジュール70を制御することにより、環境温度に対する補償がなされて流体温度が不適切な温度となり得る環境下であっても、流体温度を目標温度に保つのである。その結果、シリコンオイル68の粘度が予定された大きさとなるため、その粘性により発生する抵抗力を目標の大きさに保つことができる。
上記の目標温度を不変の値として制御することもできるが、本実施例において、運転者の選択および車速度に基づいて、目標温度が適宜変更されて制御される。本実施例において、ステアリングシステム20には抵抗力調節器202が設けられている。その抵抗力調節器202は、操作に対する抵抗力の大きさを、運転者が「小,中,大」のうちのいずれか1つを選択するスイッチである。なお、標準的な抵抗力を発生させる場合には、抵抗力調節器202を「中」に設定する。また、操作抵抗を小さくする場合には、「小」を選択する。電子制御装置46により、抵抗力調節器202に入力された選択に応じて、予め準備された3つの設定温度(低温TL<標準温度TM<高温TH)の中の1つが上記目標温度として選択される。具体的には、選択された抵抗力の大きさが「小」の場合には、目標温度が高温THにされ、「中」が選択された場合(つまり、流体温度が標準温度TMにされた場合)よりもシリコンオイル68の粘度が小さい状態に保たれる。一方、抵抗力の大きさが「大」の場合には、目標温度が低温TLにされ、「中」が選択された場合よりもシリコンオイル68の粘度が大きい状態に保たれる。このような制御により、運転者の好みに応じて抵抗力の大きさを調節することができる。なお、本実施例において、選択肢は3段階であったが、2段階とすることや、4段階以上とすることができる。さらに、無段階で連続的に調節することもできる。
また、本実施例において、上記の目標温度を、車両の走行速度に基づいて変化させることによって、走行状態に適した大きさの操作抵抗が発生するように制御される。例えば、高速道路を走行する際等、車両が高速度で走行している状態がある程度継続する状態である高速度走行継続状態において、急激な操作を抑制することが望ましいため、操作抵抗が大きくなるように低速度走行時よりも低い目標温度で制御が行われるのである。
電子制御装置46により行われる車速度に基づく流体温度の制御について具体的に説明する。電子制御装置46により、車速度センサ200の信号に基づいて車速度Vが比較的短時間間隔毎に取得され、設定時間前から現時点までの間において車速度Vがしきい速度V1以上となっていた時間が占める比率である高速度走行時間率が演算される。その高速度走行時間率が設定値以上となったときに、車両が高速度で走行している状態、すなわち高速度走行継続状態であると判定される。そのため、一時的に車速度が増加してしきい速度V1を越えるような場合には高速度走行継続状態であると判定されない。電子制御装置46の制御において、停止状態,市街地の走行中等、高速度走行継続状態でない(つまり低速度等走行状態)と判定された場合には、上記抵抗力調節器202により運転者が選択した抵抗力に対応する設定温度(低温TL,標準温度TM,高温THのうちのいずれか)が目標温度とされる。一方、高速度走行継続状態であると判定された場合には、その後も高速度走行継続状態が続くと予測され、目標温度が低速度走行時よりも設定された温度ΔT1だけ低くして制御される(具体的には、高速度走行時の目標温度=TX−ΔT1となる。なお、式中の「X」は「LMH」のいずれかである。)。
このような車速度に基づく流体温度の制御の一態様である高速度走行時間率に基づく流体温度の制御により、市街地での右左折等の際には比較的軽やかに操作を行うことができる一方、高速道路を走行する等の際には急激な操作を抑制する度合いが強くなるのである。本実施例において、車両の走行速度を2段階に分けて抵抗力を調節していたが、3段階以上とすることができる。また、無段階で連続的に調節することもできる。なお、目標温度の決定は、抵抗力調節器202への入力(小,中,大)と車速度とに基づいて目標温度を定めたテーブルを電子制御装置46に記憶させておき、そのテーブルに従って行われるようにしてもよい。
本実施例において、ダンピングフォース発生装置10は、前述の構成要素の他に、温度センサ106,駆動回路210,抵抗力調節器202,および電子制御装置46のペルチェモジュール70を制御する部分も含んで構成されている。
6. 変形例.
上記実施例において、ペルチェモジュール70がハウジング66の内側に固定されていたが、ペルチェモジュールをハウジング66の外側に固定して、ハウジング66の外側からシリコンオイル68を加熱あるいは冷却する態様とすることもできる。その態様では、ペルチェモジュールの取り付けが比較的容易になる。さらに、ハウジング66の内側と外側との両方にペルチェモジュールを設ける態様とすることもできる。その態様では、加熱・冷却の効果が大きくなり、シリコンオイル68の温度を迅速に変化させることができる。
上記実施例において、回転板64は1枚であったが、複数の回転板が操作軸42とともに回転する態様とすることもできる。その態様は、ダンピングフォース発生装置の外径の割に、比較的大きな抵抗力を発生させることができる。また、上記実施例において、回転板64の表面は平坦にされていたが、回転板64の円板部分、つまり内周部以外の部分に、溝,穴,突起等を設けた態様とすることもできる。その態様では、回転板によりシリコンオイル68が比較的強く撹拌されると考えられ、加熱・冷却の効果が高くなる場合がある。
上記実施例において、連動体たる回転板64は、ステアリングホイール40と同軸的に同じ角速度で回転する態様、すなわちステアリングホイール40と同じ動きをする態様であった。それとは別の態様として、ステアリングホイール40が回転した際に、運動変換機構によって可動体が直線的に動くようにすることもできる。可動体が直線的に動く場合には、例えば、ダンピングフォース発生装置は、ショックアブソーバのように、可動体たるピストンがチューブに充填された抵抗力発生流体たる鉱物油,合成オイル等の抵抗を受けながら移動する態様とすることができる。この態様では、比較的粘度の低い抵抗力発生流体によっても適度な抵抗力が得られる場合が多い。運動変換機構は、例えば、操作軸とともに回転するウォームギヤ,ピニオンギヤにより、ラックが直線方向に移動させられるものとすることができる。また、運動変換機構は、例えば、操作軸とともに回転するボールナットに螺合したボールねじが軸線方向に移動する機構とすることもできる。それらラック,ボールねじ等に可動体を設けて、可動体を直線的に動かすことができる。
上記実施例において、ダンピングフォース発生装置10に温度センサ106が設けられていたが、温度センサ106を設けずにペルチェモジュール70を温度センサとして用いる態様とすることができる。ペルチェモジュール70のリード線100間の電位差を測定すれば、シリコンオイル68とハウジング66との温度差が取得できる。そのため、例えば、ハウジング66の温度が気温、あるいは車体に設けられた温度測定器によって得られた温度と略等しいとみなせば、シリコンオイル68の温度が推定できるのである。その態様では、ダンピングフォース発生装置を比較的シンプルにすることができる。
7. 第2実施例.
上記実施例において、ステアリングシステム20にダンピングフォース発生装置10および反力モータ50が設けられていたが、それらに代えて、粘性抵抗力発生機構としてのダンピングフォース発生装置10,駆動力依拠抵抗力発生機構としての反力モータ230,および弾性抵抗力発生機構としての中立位置復帰装置240を含んで構成される反力付与装置250をステアリングシステムに設けることができる。図4に反力付与装置250の断面を示す。この図において、図の右側が車両後方側、つまり運転者側であり、反力付与装置250の後方端部に図示を省略するステアリングホイール40(操作部材)が取り付けられる。なお、以下の説明において、車両前方側を「前」,車両後方側を「後」と呼び分けることとする。反力付与装置250は、中立位置復帰装置240の復帰装置ハウジング254と一体的に形成された取付ブラケット256において、インストゥルメントパネルのリインフォースメントに取り付けられる。なお、ダンピングフォース発生装置10の構成については、上記第1実施例とほぼ同様であるため説明を省略する。なお、また、本実施例において、回転板64によって第2連動体が構成されている。
反力モータ230は、ディスク状の電機子をロータとするいわゆるプリントモータと呼ばれるモータであり、扁平な形状をなしている。反力モータ230は、モータハウジング262を有し、出力軸としての概ね円筒形状をなす短いモータ軸264が、モータハウジング262の中央に形成された軸保持穴270において、軸受272を介して、モータハウジング262に回転可能に保持されている。本反力モータ230では、2枚のロータ274が、互いに離間する状態で、モータ軸264の外周部に相対回転不能に固定して設けられている。ロータ274は、一般的なプリントモータが備えるものと同様のものであるため説明は簡単なものに留めるが、コイル線を形成するように打ち抜かれた銅薄板が絶縁板を介して積層され、形成されたコイル線のいくつかのものどうしが電気的な導通を確保されることで、平板に形成されたコイルを有する構造とされている。2枚のロータ274の間には、ステータとしての比較的薄い環状をなす永久磁石280が、2つのロータ274のそれぞれと小さい隙間を有する状態で、自身の外周がモータハウジング262に固定されて保持されている。この永久磁石280も、通常のプリントモータが備えるものと同様のものである。2枚のロータ274の各々への通電は、各々のロータ274の表面に形成されたコイル線の一部分をコミュテータとして、各々2つのブラシ282によって行われる。
反力モータ230は、中立位置復帰装置240に固定されている。詳しく言えば、自身のモータハウジング262と中立位置復帰装置240の前端部の外面とが固定部材290によって接続されることで、中立位置復帰装置240に固定されている。なお、モータハウジング262の後方側面と、ダンピングフォース発生装置10のハウジング66の前方側面とが固定部材292によって接続されており、ダンピングフォース発生装置10は反力モータ230および中立位置復帰装置240と相対回転不能に固定されている。反力モータ230はモータハウジング262が固定される一方、モータ軸264には、操作軸300が、相対回転不能な状態で嵌入させられている。このような構造により、反力モータ230が回転することで、厳密に言えば、ロータ274が回転することで、操作軸300が回転するようにされている。つまり、反力モータ230の回転力(トルク)は、操作軸300に接続されたステアリングホイール40の回転力として伝達される。運転者のステアリングホイール40の回転操作とは反対の方向に回転力を与えることで、操作反力が付与され、運転者の回転操作と同方向に回転力を与えることで、運転者の操作が助勢されるのである。
本反力モータ230は、ロータ274がコアを有していないため、比較的イナーシャが小さく、また、ロータ274への非通電時において永久磁石94の磁力がロータ274に作用することがなく、ステアリング操作におけるフィーリングに殆ど悪影響を与えない。また、2つのロータ274は、互いのトルクリップルが打ち消されるように位相をずらして設けられているため、円滑な回転が担保されている。つまり、本反力モータ230を用いることにより、操作フィーリングが良好な操作装置が実現するのである。さらに、本反力モータ230は、2つのロータ274が冗長化された状態にあり、一方の失陥によっても、モータの機能を喪失することがなく、信頼性が高いモータとされている。
中立位置復帰装置240は、ステアリングホイール40が中立位置からいずれかの方向に回転操作させられると、その操作角度に応じてステアリングホイール40を中立位置に復帰させる向きに弾性力を発生させる装置であり、ステアリングホイール40に操作軸300を介して連結されている。その操作軸300は、後方端部を除き中空とされており、後端部である小径部326の外周には、セレーションが形成され、その小径部326が、ステアリングホイール40のボス部と嵌合するようにされている。中立位置復帰装置240の復帰装置ハウジング254は、円筒形状をなしており、両端部の各々に端部部材328が、固定的に付設されている。操作軸300は、それら両端の端部部材328の各々に、軸受330を介して相対回転可能に保持されている。なお、操作軸300は、復帰装置ハウジング254内の部分にベアリングボールが嵌り込む雄ねじ332が形成され、ボールねじとして機能するものとなっている。
復帰装置ハウジング254内には、操作軸300を挿通させる状態で前後に移動する移動体としてのスライド部材334が設けられている。スライド部材334の外周部にはキー336が付設されており、そのキー336は、ハウジング312の内周面に形成されたキー溝338と緩やかに嵌合している。このキー336およびキー溝338により、スライド部材334は、復帰装置ハウジング254との相対回転を禁止される。また、スライド部材334の内周部には、ねじ溝に沿って周回するベアリングボールが保持されており、スライド部材334は、ボールナットとして機能するものとされている。このスライド部材334の内周部は、操作軸300の雄ねじ332と噛合しており、操作軸300とスライド部材334とでボールねじ機構が構成されている。ステアリングホイール40の回転操作に応じて回転軸としての操作軸300が回転させられれば、その回転に応じてスライド部材334は、操作軸300に規定される軌道に沿って前後方向に移動する。ちなみに、車両が左旋回するようにステアリングホイール40を操作すれば、スライド部材334は、図に示す中立位置から前方へ移動し、右旋回するように操作すれば、後方に移動する。なお、スライド部材334の移動量は、ステアリングホイール40の操作量に応じたものとなる。なお、本実施例において、スライド部材334によって第1連動体が構成されている。
復帰装置ハウジング254内部の両端部の各々には、弾性体である圧縮コイルスプリング340を支持する支持部材342が配設されている、支持部材342は、円筒部344と操作軸300を挿通させる挿通穴が形成された底部346とからなる有底円筒形状をなし、底部346の外面を端部部材328に当接する状態で配設されている。一方、スライド部材334は、両端部の各々に、比較的短い長さの円筒部348が形成されている。スライド部材334の前後方向の移動は、自身の円筒部348の端部が支持部材342の円筒部344の開口端部に当接することによって規制され、図に示す中立状態からその当接する状態までのスライド部材334の移動量が、移動限界量とされている。
中立位置復帰装置240の復帰装置ハウジング254の内部に配設されている圧縮コイルスプリング340は、コイル径が漸変するようなスプリングである。その圧縮コイルスプリング340は、大径側の端部350において、支持部材342の円筒部344の内面に自身の外周部が保持された状態で、支持部材342に支持されている。また、圧縮コイルスプリング340は、小径側の端部352において、スライド部材334の円筒部348に保持環358を介して自身の外周部が保持される状態で、スライド部材334の端部に支持されている。
2つのスプリング340の各々は、図に示す中立位置において、ともに縮められており、伸長方向の弾性力を発生するものとされている。したがって、それらの弾性力は、スライド部材334を付勢する付勢力として作用することになる。ステアリングホイール40を回転操作した場合にその操作角に応じて、スライド部材334が移動させられるため、移動方向側のスプリング340による付勢力が反対側のスプリング340による付勢力より大きくなる。この付勢力の差が、スライド部材334の移動に対する弾性抵抗力を発生させ、その弾性抵抗力がステアリング操作に対する抵抗力として作用することで、中立位置復帰装置240は、弾性抵抗力発生機構として機能するものとなっている。また、上記2つのスプリング340の構成が同じものとされていることで、スライド部材334が図に示す中立位置に位置する状態において、2つのスプリング340の各々の付勢力は釣り合うものとなっている。ステアリングホイール40が操作されていない状態において、それら付勢力の釣合いによりステアリングホイール40は中立位置に保持される。すなわち、中立位置復帰装置240は、操作部材中立位置保持機構を備えているのである。
操舵操作によって操作軸300が回転させられると、スライド部材334の移動量が増加し、その移動量が設定移動量を超えた場合に、コイル径の大きな部分から漸次剛体化する。それに応じて、反力変動勾配であるばね定数が漸増し、中立位置復帰装置240は、図5に示すような特性の付勢力でスライド部材334を付勢することになる。つまり、スライド部材334の移動量が設定移動量xR1,xL1を超えるまでは、付勢力FR,FLは小さい値でリニアに増加し、設定移動量xR1,xL1を超えた後には、スプリング340の剛体化が開始されて、増加勾配が漸次大きくなるような特性の付勢力である。
なお、図示を省略するが、コイル径が漸変するスプリング340に代えて、巻線のピッチが漸変するような圧縮コイルスプリングを採用することによっても、図5に示すような特性の付勢力を得ることが可能である。そのようなスプリングでは、スライド部材334の移動量が設定移動量を超えた場合、ピッチの細かな部分から漸次剛体化し、反力変動勾配であるばね定数が漸増するようなばね特性を示し、そのような特性を利用することで、設定移動量を超えた場合に、付勢力の増加勾配を漸次大きくさせることができるのである。
ダンピングフォース発生装置10および反力モータ230の各々が発生する抵抗力について説明する。図6に、操舵角速度と、ダンピングフォース発生装置10が発生する粘性抵抗力、つまり操作軸300に作用する粘性抵抗トルクとの関係を示す。本実施例において、ダンピングフォース発生装置10は、ペルチェモジュール70によってシリコンオイル68の温度が一定に保たれており、シリコンオイル68の粘度が変化しないようにされている。そして、ダンピングフォース発生装置10は、操舵角速度に応じた大きさの粘性抵抗力を発生させることによって、ステアリング操作に対する抵抗力を発生させる。その粘性抵抗力によって、ステアリングホイール40に反力が付与される。
図7に、反力モータ230が発生するトルクと車速度との関係を示す。反力モータ230は、例えば、操舵操作によって操舵角が増加した際に、操舵方向とは反対の方向にステアリングホイール40を回転させる駆動力を発生させることによって、ステアリング操作に対する抵抗力を発生させる。その反力モータ230が発生する駆動力の大きさ、つまり、反力モータ230が発生するトルクの大きさは、本実施例において、車速度に応じて大きくなるようにされている。すなわち、車速度が大きい場合に、慎重な操舵操作(操舵速度,操舵角度等が比較的小さい操作)を行いやすいように、反力を増加させて操作に対する手応えを大きくし、操舵感を向上させているのである。本実施例において、ダンピングフォース発生装置10および中立位置復帰機構240によっても反力が付与されているが、反力モータ230によって、車速度等の走行状態に応じて反力の大きさを変化させることができるのである。また、車速度以外に、例えば、路面状況(ドライ,ウェット,スノー等)に応じて反力の大きさを変化させることができ、路面のμ(ミュー)が小さいほど反力を大きくすることができる。なお、操作軸300の回転位置は、図示を省略するエンコーダによって検出される。
以上のように、本反力付与装置250は、ダンピングフォース発生装置10,反力モータ230,および中立位置復帰装置240の各々が発生する抵抗力の合力を反力として可動体たるステアリングホイール40(操作部材の一種である)に付与する。その本反力付与装置250による反力付与の特性は、ダンピングフォース発生装置10の特性(例えば、シリコンオイル68の温度,粘度),反力モータ230の制御方法,および中立位置復帰装置240の特性(スプリング340のばね定数,形状等)等を変更することにより、目的に応じて変化させることができる。
本実施例の反力付与装置250は、ダンピングフォース発生装置10,反力モータ230,および中立位置復帰装置240を備えており、適切な操舵反力を発生させることができる。また、本反力付与装置250は、ダンピングフォース発生装置10,反力モータ230,および中立位置復帰装置240を備えるにも拘わらず、コンパクトなものとされている。特に、ステアリングホイール40の径方向の寸法が小さくされており、その点において、配置スペースからの制約を受け難いものとされている。なお、本反力付与装置250は、ダンピングフォース発生装置10および中立位置復帰装置240によってある程度の抵抗力を発生させることができるため、出力の小さい小型の反力モータ230を採用することができる。その小型の反力モータ230を採用できることが、当該装置のコンパクト化に貢献しているのである。また、本反力付与装置250は、反力モータ230の失陥時に、ダンピングフォース発生装置10および中立位置復帰装置240によってある程度の抵抗力を発生させることができ、フェールセーフ性に優れている。
本発明の実施例であるダンピングフォース発生装置およびそれを備えたステアリングシステムのダンピングフォースの発生に関連性の深い部分を示す図である。 上記ダンピングフォース発生装置のペルチェモジュールの一部分とその作用とを模式的に示す図である。 上記ペルチェモジュールの一部分を模式的に示す斜視図である。 上記とは別の実施例のステアリングシステムに配備された反力付与装置の断面図である。 上記反力付与装置の中立位置復帰装置が発生する付勢力の大きさを示す図である。 上記反力付与装置のダンピングフォース発生装置が発生する粘性抵抗力の大きさを示す図である。 上記反力付与装置の反力モータが発生するモータトルクの大きさを示す図である。
符号の説明
10:ダンピングフォース発生装置 20:ステアリングシステム 30:操作部 32:転舵部 40:ステアリングホイール(可動体たる操作部材) 42:操作軸(回転軸) 46:電子制御装置 64:回転板(連動体) 66:ハウジング(流体収容器) 68:シリコンオイル(抵抗力発生流体) 70:ペルチェモジュール 106:温度センサ 150:P型の熱電半導体 152:N型の熱電半導体 154,156:電極 158:ガラスエポキシ 160,162:アルミ板 166:第1熱移動面 168:第2熱移動面 230:反力モータ 240:中立位置復帰装置 250:反力付与装置 300:操作軸 334:スライド部材(第1連動体) 340:圧縮コイルスプリング(弾性体)

Claims (3)

  1. 操舵操作がなされる操作部材と、その操作に対する抵抗力を発生させるダンピングフォース発生装置とを備えるステアリングシステムであって、
    前記ダンピングフォース発生装置が、
    操舵操作において前記操作部材と連係して動く連動体と、
    その連動体と接触するように収容され、自身の粘性によって前記連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる抵抗力発生流体と、
    その抵抗力発生流体を加熱・冷却する加熱・冷却器と
    を含んで構成されることを特徴とするステアリングシステム。
  2. 前記加熱・冷却器がペルチェモジュールを備える請求項1に記載のステアリングシステム。
  3. 予定された動作を行う可動体と連係して動く連動体と、
    その連動体と接触するように収容されて、自身の粘性によって前記連動体の動きに対しての抵抗力を発生させる抵抗力発生流体と、
    その抵抗力発生流体を加熱・冷却する加熱・冷却器と
    を含んで構成されることを特徴とするダンピングフォース発生装置。
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