JP2010264822A - 車両用ステアリングダンパ装置及びステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステアリングホイール側シャフト2と、このステアリングホイール側シャフト2と同軸上に配置されたステアリングギア側シャフト3と、ステアリングホイール側シャフト2とステアリングギア側シャフト3との間に設けられ弾性体4と、車両の走行速度に応じて前記ステアリングホイール側シャフト2と前記ステアリングギア側シャフト3とを相対的に移動させることで弾性体4に予圧を与えるアクチュエータ5とを備えている。
【選択図】 図4
Description
図10は従来のステアリングダンパ装置の説明図である。このステアリングダンパ装置は、筒状の部分(以下、筒状部42という)を有するステアリングホイール側シャフト41と、筒状部42に端部が挿入しているステアリングギア側シャフト43と、このステアリングギア側シャフト43の端部と筒状部42との間に介在している筒状の弾性体44と、ステアリングギア側シャフト43と一体回転するピン45とを有している。弾性体44の内周面はステアリングギア側シャフト43の外周面に固定され、弾性体44の外周面は筒状部42の内周面に固定されている。
一方、ステアリングホールを回転操作することでステアリングホイール側シャフト41が回転すると、弾性体44には弾性的なねじれが与えられる。この弾性体44のねじれ力がステアリングギア側シャフト43に伝わることで当該ステアリングギア側シャフト43が同方向に回転し、ステアリングギヤ機構の入力軸を回転させ車輪の向きを変え、車両進行方向の変更を行うことができる。
これにより、ステアリング装置としては所望の剛性を保有しているにも関わらず、運転者はステアリング装置に期待する走行速度や操舵角度に応じた剛性を、ステアリングホイールを介して感じることができない。
この結果、運転者は走行速度に応じた操舵フィーリングを得ることができない。
しかしながら、ステアリングダンパ装置は前述の様に車両走行中での車輪、路面、車体等から発生する振動を運転者側へ伝達させないために、ステアリングダンパ装置(弾性体44)の剛性を低くして使用される傾向にある。
そのために、ステアリングダンパ装置の剛性を高くすると、操舵装置へ伝達される車両振動を十分に減衰することが困難になってしまい、操舵フィーリングを向上させることが難しくなる。
なお、アクチュエータによって変化させることができる弾性体のシャフトねじり方向の剛性には、弾性体そのもののシャフトねじり方向の剛性と、弾性体を含めた第一シャフトと第二シャフトとの間におけるシャフトねじり方向の剛性とが含まれる。
この場合、制御部は、車両の走行速度についての情報を得ると、記憶部が記憶している相関情報を参照してアクチュエータによる前記シャフトの送り量を得ることができるので、制御部における制御のための演算の負担を軽減できる。そして、制御部が前記送り量に相当する信号をアクチュエータへ送信することができ、効率よくアクチュエータによって前記シャフトを移動させる処理が実行される。
この場合、モータ、第一シャフト及び第二シャフトを直線的に配置することができるので、ステアリングダンパ装置が径方向に大きくなることを防ぎ、コンパクト化することができる。
押圧部材は、モータの回転によって前記シャフトと共に変位することができるので、前記弾性体を圧縮変形させて予圧を与えることができる。
これにより、車両の走行速度に応じて、弾性体のシャフトねじれ方向の剛性を予め変化させることができるので、押圧部材又は弾性体の変位基準を任意に設定することができる。
この結果、押圧部材又は弾性体の変位基準からさらに弾性体は変形することができるので、車両の走行速度に応じたステアリングダンパ装置のねじり剛性を得ることができる。
本発明によれば、ステアリングダンパ装置が備えている弾性体に予圧を与えることで、弾性体のシャフトねじれ方向の剛性を予め変化させることができるので、弾性体の変位基準を任意に設定することができる。そして、この変位基準からさらに弾性体は変形することができるので、車両の走行速度に応じたねじり剛性を備えたステアリング装置を実現することができる。
図1は本発明のステアリング装置10の実施の一形態を模式的に示した説明図である。このステアリング装置10は、ステアリングホイール11が取り付けられるステアリングシャフト12と、ステアリングシャフト12を回転自在に支持しているコラム13と、ステアリングシャフト12に第一の自在継手14を介して接続された中間シャフト15と、中間シャフト15と第二の自在継手16を介して接続された出力軸17と、ステアリングギヤ機構18とを備えている。ステアリングギヤ機構18は例えばラックピニオン式であり、その入力軸18aと前記出力軸17とが接続され、また、ステアリングギヤ機構18の出力軸(ラック軸)18bの左右両側に車輪19が取り付けられる。
図3において、ステアリングダンパ装置1は、前記ステアリングホイール側シャフト2、前記ステアリングギア側シャフト3及び前記弾性体4の他に、ステアリングホイール側シャフト2とステアリングギア側シャフト3とを軸方向に相対的に移動させることでこの弾性体4に予圧を与えるアクチュエータ5を更に備えている。弾性体4に予圧が与えられることで、弾性体4のシャフトねじり方向の剛性は変化する。なお、前記シャフトねじり方向の剛性は、ステアリングホイール側シャフト2及びステアリングギア側シャフト3の軸心C回りのねじり剛性であり、以下、シャフトねじり方向の剛性を、単にねじり剛性と呼ぶ。実施形態のアクチュエータ5は、電動モータ6aと、電動モータ6aの回転によって弾性体4に対してステアリングホイール側シャフト2と共に変位する押圧部材7とを有している。ステアリングギア側シャフト3を軸方向に拘束した状態とした場合、後にも説明するが、押圧部材7は弾性体4に対して軸方向にステアリングホイール側シャフト2と共に変位することで、当該弾性体4を軸方向に予圧して圧縮変形させておく。また、電動モータ6aが有している回転軸6bは軸方向に突出していて、電動モータ6aの駆動により回転軸6bが回転する。電動モータ6aと回転軸6bとは一体構造であり、回転軸6bの外周面に雄ねじ6cが形成されている。
図3において、ステアリングギア側シャフト3は、直線状の本体部3aと、この本体部3aの端部に形成された有底筒形状の筒状部23とを有していて、本体部3aと筒状部23とは同軸上の配置にある。
なお、本ステアリングダンパ装置1に組み付けられたステアリングホイール側シャフト2とステアリングギア側シャフト3とは、四輪車両に搭載されるステアリング装置へ搭載する際に、両シャフト2,3の取り付け関係を逆にしても、本ステアリングダンパ装置1の機能は達成可能であることは明らかである。
図5はステアリングギア側シャフト3の説明図であり(a)は斜視図、(b)は正面図である。なお図5(b)には二点鎖線によって弾性体4(第一弾性部材4a及び第二弾性部材4b)も記載している。筒状部23の内部には、軸心C回りの周方向に直交する第一当接面24a及び第二当接面24bが形成され、また、軸方向に直交する第一挟み面27a及び第二挟み面27bが形成されている。筒状部23の内周壁面23aから軸心Cに向かって隆起する突出壁部25が設けられ、この突出壁部25の周方向両側面が第一当接面24a及び第二当接面24bとなる。第一挟み面27aと第二挟み面27bとの周方向の間であって、突出壁部25と異なる位置には、底面が第一挟み面27a及び第二挟み面27bよりも低くなった凹部28が形成されている。
そして、第一弾性部材4a及び第二弾性部材4bを筒状部23に収容した状態とし、かつ、押圧部材7の柱部33(図6参照)の先端部を筒状部23の凹部28(図5参照)に周方向両側に隙間を有して挿入した状態として、押圧部材7を筒状部23に組み付ける。この際、筒状部23の突出壁部25の先端部が押圧部材7の凹部35に周方向両側に隙間を有して挿入した状態となる。さらに、図3において、押圧部材7の孔31aを貫通させた電動モータ6aの回転軸6bを、ステアリングギア側シャフト3のねじ孔26に螺合させ、かつ、電動モータ6aを押圧部材7にねじ38によって固定する。
このため、第一弾性部材4a及び第二弾性部材4bによって、シャフト2,3間で軸心C回りのねじり荷重(回転トルク)を伝達可能となり、かつ、第一弾性部材4a及び第二弾性部材4bが周方向及び軸方向に弾性変形することによってシャフト2,3間の振動を吸収することができる。
この組み立て状態では、押圧部材7の円環部31と筒状部23との間には、軸方向の隙間eが形成される。この隙間eは、電動モータ6aが回転した際の押圧部材7の軸方向への移動代となる。
このように電動モータ6a(回転軸6b)の回転方向及び回転数を制御することにより、第一弾性部材4a及び第二弾性部材4bの軸方向の弾性変形量(弾性圧縮量)を増減することができる。
すなわち、アクチュエータ5の動作量、つまり、ステアリングホイール側シャフト2及び押圧部材7の軸方向の送り量に応じて、第一弾性部材4a及び第二弾性部材4bのねじり剛性を予め変化させて所定の値にしておくことが可能となる。
電動モータ6aは、車両に搭載された制御装置8(図1参照)によって制御される。このために、電動モータ6aは制御装置8からの信号が入力されるケーブル9を有している。操舵操舵の際、ステアリングホイール側シャフト2は軸心C回りに回転することから、図2に示しているように、ケーブル9はステアリングホイール側シャフト2の本体部2aに螺旋状に巻かれて設けられている。
なお、制御装置8は、ステアリングダンパ装置1が備えているが、例えば車両に搭載された電動式ステアリング装置のECU(エレクトリック・コントロールユニット)にその機能部として備えさせることができる(図1参照)。
そして、高速時及び低速時共に、車輪側からステアリングダンパ装置1に入力された振動は、弾性体4が弾性変形することによって吸収され、振動がステアリングシャフト12へ伝達されることを防止することができる。また、走行速度に応じて弾性体4の剛性が変化することで、振動を吸収する際の減衰性能も変化し、乗り心地を変化させることができる。
なお、図7の二点鎖線で示している直線Cは、弾性体4及び押圧部材7の変位が最大の場合でありねじり剛性が最大となる状態を示し、直線Dは、弾性体4及び押圧部材7が基準変位にある状態を示し、直線Eは、弾性体4及び押圧部材7の変位が最小の場合でありねじり剛性が最小となる状態を示している。
図8は、ステアリングダンパ装置101を部分的に断面で示した説明図である。図9は、このステアリングダンパ装置101を分解した斜視図である。このステアリングダンパ装置101も前記形態と同様に、ステアリングホイール側シャフト102と下103との間に設けられた弾性体104と、この弾性体104に予圧を与えてねじり剛性を変化させるアクチュエータ105とを備えている。さらに、制御装置8(図1参照)によって車両の走行速度に応じてアクチュエータ105が制御されることにより、弾性体104のねじり剛性を変化させる構成となっている。
アクチュエータ105は電動モータ106aからなり、電動モータ106aの回転によって回転軸106bが回転する。回転軸106bにはセレーション106dが形成されていて、ステアリングギア側シャフト103とセレーション結合されている。電動モータ106aは筒状部110にねじ122によって固定される。このため、電動モータ106aが回転すると、ステアリングホイール側シャフト102に対してステアリングギア側シャフト103を軸心C回りに強制的に正逆回転させることができる。
そして、ステアリングホイール11(図1参照)を回転させることでステアリングシャフト12及びステアリングホイール側シャフト102が一方向に回転すると、弾性体104には弾性的なねじれが与えられ、当該弾性体104のねじれ力がステアリングギア側シャフト103に伝わり当該ステアリングギア側シャフト103も同方向に回転し、ステアリングギヤ機構の入力軸18aを回転させ、車輪19の向きを変えることができる。
このために、制御装置8の記憶部8aには、ステアリングシャフト12(又はステアリングホイール側シャフト102)の回転角とその際に生じる弾性体104のねじれ角度との相関についての第一情報が記憶されている。
つまり、車速センサ39によって制御装置8は車両が低速走行状態であると判定すると、角度センサ40がステアリングシャフト12(又はステアリングホイール側シャフト102)の一方向の回転角を検知し、この回転角の情報を制御装置8が取得すると、制御装置8は前記第一情報に基づいて前記一方向の回転角に応じて、前記一方向とは逆の方向のトルクをステアリングギア側シャフト103に生じさせるように回転軸106bを回転させる。これにより、弾性体104のねじり剛性が見かけ上低くなった挙動を示す。
これに対して、図2のステアリングダンパ装置1の場合では、車両の走行速度の情報に基づいてアクチュエータ105の動作量を制御すればよく、制御が容易となる。
これに対し、図2のステアリングダンパ装置1の場合では、図5と図6とに示しているように、ステアリングギア側シャフト3が有する筒状部23の突出壁部25の先端が、ステアリングホイール側シャフト2に固定された押圧部材7の凹部35に周方向両側に隙間を有して挿入した状態にあり、また、押圧部材7の柱部33の先端が、ステアリングギア側シャフト3の筒状部23の凹部28に周方向両側に隙間を有して挿入した状態にある。このため、前記ピン111(図8参照)を用いることなく、ステアリングホイール側シャフト2とステアリングギア側シャフト3との過大な回転角度差が生じることを防止している。
そして、このステアリングダンパ装置1,101を備えたステアリング装置10によれば、走行速度の増減に伴い車両等の振動による周波数が増減するが、このような走行速度に応じて周波数が増減する振動については、弾性体4,104によって遮断できる。そして、運転者にとって必要とされる路面情報を含む車両の振動の周波数については、車両の走行速度に応じて減衰させることなくステアリング装置10に伝達させることができる。
この結果、車両の走行速度に応じたステアリング装置10の剛性を運転者に感じさせることができ、かつ、実際のステアリング装置10の剛性との乖離を生じさせることなく、操舵フィーリングを向上させることができる。
なお、ステアリングダンパ装置を中間シャフト15に設けた場合、そのシャフト両端部に自在継手が接続されている。このような自在継手及び中間シャフト15を含むシャフト構造体の全体としての剛性を高めるために、自在継手におけるジョイント剛性を高めることも有効であるが、ステアリングダンパ装置の弾性体の剛性を高めることにより、シャフト構造体の全体剛性を効率よく高めることができる。
また、本発明のステアリング装置10は、ステアリングギヤ機構18が油圧シリンダーを備えて構成されたラックアンドピニオン式ステアリング装置や、電動モータにより駆動されるポンプを備えたステアリング装置等の各種四輪自動車用パワーステアリング装置に適用することができる。
Claims (4)
- 第一シャフトと、
前記第一シャフトと同軸上に配置された第二シャフトと、
前記第一シャフトと前記第二シャフトとの間に設けられた弾性体と、
車両の走行速度に応じて前記第一シャフトと前記第二シャフトとを相対的に移動させることで前記弾性体に予圧を与えるアクチュエータと、を備えていることを特徴とする車両用ステアリングダンパ装置。 - 前記車両の走行速度と前記アクチュエータによる前記シャフトの送り量との相関情報を記憶する記憶部と、前記相関情報により定まる前記送り量で前記アクチュエータによって前記シャフトを移動させる制御部と、を備えている請求項1に記載の車両用ステアリングダンパ装置。
- 前記アクチュエータは、前記第一シャフトと前記第二シャフトとの間で同軸上に設けられたモータと、前記モータの回転によって前記シャフトと共に変位することで前記弾性体に予圧を与える押圧部材と、を有している請求項1又は2に記載の車両用ステアリングダンパ装置。
- ステアリングシャフトと、ステアリングギヤ機構と、前記ステアリングシャフトから前記ステアリングギヤ機構までの間に設けられた請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用ステアリングダンパ装置とを備えたことを特徴とするステアリング装置。
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