JPH05185941A - 車両用操舵装置 - Google Patents

車両用操舵装置

Info

Publication number
JPH05185941A
JPH05185941A JP186892A JP186892A JPH05185941A JP H05185941 A JPH05185941 A JP H05185941A JP 186892 A JP186892 A JP 186892A JP 186892 A JP186892 A JP 186892A JP H05185941 A JPH05185941 A JP H05185941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
characteristic
high frequency
input
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP186892A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3203725B2 (ja
Inventor
Hiroshi Takahashi
高橋  宏
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP186892A priority Critical patent/JP3203725B2/ja
Publication of JPH05185941A publication Critical patent/JPH05185941A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3203725B2 publication Critical patent/JP3203725B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドライバーからの操舵入力に応じて操舵輪を
転舵する車両用操舵装置において、有利なシステムコス
トで高い安全性を確保しながら、操作能力が異なるあら
ゆるドライバーに対して車両の操舵特性を最適化するこ
と。 【構成】 操舵入力のうち低周波成分は継手fを介して
メカニカルに伝達し、継手fを介して伝達される高周波
成分の位相遅れ分(または位相遅れ分とゲイン低下分)
のみを電気的な制御により補償する操舵特性制御手段i
を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵輪に適用さ
れ、ドライバーからの操舵入力に応じて操舵輪を転舵す
る車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用操舵装置としては、例え
ば、図19に示すように、ステアリングホイールをドラ
イバーからの操舵入力手段とし、操舵入力をそのまま機
械的に操舵機構(ラックアンドピニオン機構やボールナ
ット機構等)に伝達して操舵輪を転舵する装置が一般的
に知られている。
【0003】また、車両用操舵装置としては、例えば、
図20に示すように、ステア・バイ・ワイヤと称し、ス
テアリングホイールへの操舵入力を電気的に検出し、こ
の情報をコントローラで処理し、制御指令を操舵アクチ
ュエータに出力することで操舵入力に応じて操舵輪を転
舵する装置も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
従来装置にあっては、操舵入力側と操舵出力側とが等速
ジョイント等により機械的に結合され、入出力伝達特性
として一義的もしくはきわめて限定された特性しか得ら
れない為、ドライバーの操作特性を考慮しながら車両の
操舵特性を変化させることができず、操作能力が異なる
あらゆるドライバーに対して車両の操舵特性を最適化す
ることは不可能である。
【0005】また、後者の従来装置にあっては、ステア
リングホイールと操舵機構とが機械的にリンクされてい
ない為、コントローラの故障等に対するフェイルセーフ
を万全とするには、システム構成がきわめて複雑にな
る。例えば、CPUを2以上用いたりし、システムの冗
長性が要求され、システム価格が高くなる。
【0006】ところで、車両の操舵特性をあらゆるドラ
イバーに対して最適化させる必要性は次の点にある。
【0007】図21は『人間工学22』(1986年発
行)の「手動制御における加齢効果」に記載された年齢
層毎(20才代,80才代)によるドライバーの操作特
性の測定結果である。このドライバーの操作特性におい
て、0.5Hz 以上の高周波数領域ではドライバーが高齢化
するほど位相の遅れが生じていることがわかる。
【0008】つまり、年齢の違いによって操舵反応速度
が異なり、図22に示すようなパイロンを等間隔に配置
しておき、パイロン間を蛇行して通り抜けるコースを設
定した場合、一般に、年の若いドライバーはコースを容
易にトレースして運転することができるが、高齢のドラ
イバーでは、図22の実線に示すように、操舵に高周波
数成分が必要になってくると、うまくコースを通過する
ことができない。この現象は、図21のドライバーの操
作特性に示すように、0.5Hz 以上の高周波数領域ではド
ライバーの加齢によって位相が遅れるという事実に対応
している。
【0009】但し、全てのドライバーについて同様な事
がいえるわけではないが、運動反射神経が敏速ではない
人については一般的な傾向であるといえる。
【0010】本発明は、上記のような問題に着目してな
されたもので、ドライバーからの操舵入力に応じて操舵
輪を転舵する車両用操舵装置において、有利なシステム
コストで高い安全性を確保しながら、操作能力が異なる
あらゆるドライバーに対して車両の操舵特性を最適化す
ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の車両用操舵装置では、操舵入力のうち低周波成
分は継手を介してメカニカルに伝達し、継手を介して伝
達される高周波成分の位相遅れ分のみを電気的な制御に
より補償する手段とした。
【0012】即ち、図1のクレーム対応図に示すよう
に、ステアリングホイールaに結合された上部ステアリ
ングシャフトbと、操舵輪cを転舵する操舵機構dに結
合された下部ステアリングシャフトeと、前記上部ステ
アリングシャフトbと下部ステアリングシャフトeの間
に介装され、低周波数領域の操舵入力を伝達し高周波数
領域の操舵入力を吸収するする継手fと、前記下部ステ
アリングシャフトeまたは操舵機構dに設けられ、外部
からの指令により補助舵角を与えることができる補助舵
角機構gと、前記ステアリングホイールaから入力され
る操舵周波数を検出する操舵周波数検出手段hと、検出
された操舵周波数が高周波数領域である時、高周波数領
域での位相遅れを補償する指令を前記補助舵角機構gに
出力する操舵特性制御手段iとを備えていることを特徴
とする。
【0013】尚、前記操舵特性制御手段iを、検出され
た操舵周波数が高周波数領域である時、高周波数領域で
の位相遅れを補償すると共に高周波数領域でのゲイン低
下を補償する指令を前記補助舵角機構gに出力する手段
としても良い。
【0014】
【作用】ステアリングホイールaから入力される操舵周
波数が低周波数領域である時には、継手fが低周波数領
域の操舵入力を伝達する手段であることで、操舵入力
が、ステアリングホイールa→上部ステアリングシャフ
トb→継手f→下部ステアリングシャフトe→操舵機構
dへと伝達され、操舵輪cが操舵入力に応じて転舵され
る。
【0015】ステアリングホイールaから入力される操
舵周波数が高周波数領域である時には、継手fが高周波
数領域の操舵入力を吸収する手段であることで、操舵入
力が継手fにおいて吸収され、下部ステアリングシャフ
トeへは、位相が大幅に遅れた操舵入力が伝達される。
しかし、操舵周波数検出手段hにより検出された操舵周
波数が高周波数領域である時、操舵特性制御手段iにお
いて、高周波数領域での位相遅れを補償する指令が補助
舵角を与える補助舵角機構gに出力される。従って、操
舵特性制御手段iでドライバーの操作特性に応じた補償
量で位相遅れを補償することでドライバーの操作特性の
バラツキにかかわらずほぼ一定の操舵位相特性を得るこ
ともできるし、また、ドライバーの好みの目標位相特性
を設定しておいた場合には、好みに応じた位相特性を得
ることもできる。ここで、補助舵角機構gでの高周波数
領域位相遅れ補償時、補償動作に伴なう操舵違和感が懸
念されるが、継手fが高周波数領域の操舵入力を吸収す
るする手段であることで、補助舵角機構gからの高周波
数領域補償入力が上部ステアリングシャフトbを介して
ステアリングホイールaにほとんど伝達されることはな
い。
【0016】操舵特性制御系のフェイル時で、高周波数
領域位相遅れ補償が行なわれない時であっても、ステア
リングホイールaと操舵機構dとは、上部ステアリング
シャフトb,継手f,下部ステアリングシャフトeによ
り機械的に連結されている為、操舵入力が低周波数領域
であれば全く通常通りの操舵が確保されるし、高周波数
領域であっても位相等に遅れが出るだけであり、高い安
全性が確保される。
【0017】尚、操舵特性制御手段iを、検出された操
舵周波数が高周波数領域である時、高周波数領域での位
相遅れを補償すると共に高周波数領域でのゲイン低下を
補償する手段とした場合には、ステアリングホイールa
の切り不足と位相遅れの両方を改善することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0019】(第1実施例)まず、構成を説明する。
【0020】図2は請求項1記載の本発明に対応する第
1実施例の車両用操舵装置を示す全体システム図で、ス
テアリングホイール1に等速ジョイント2を介して結合
された上部ステアリングシャフト3と、図外の操舵輪を
転舵する操舵機構4に結合された下部ステアリングシャ
フト5と、前記上部ステアリングシャフト3と下部ステ
アリングシャフト5の間に介装され、低周波数領域の操
舵入力を伝達し高周波数領域の操舵入力を吸収するする
ラバーカップラー6(継手に相当)と、前記下部ステア
リングシャフト5に設けられ、外部からの指令により補
助舵角を与えることができる操舵アクチュエータ7(補
助舵角機構に相当)と、前記上部ステアリングシャフト
3に設けられ、ステアリングホイール1の操舵角を検出
する操舵角センサ8と、前記下部ステアリングシャフト
5に設けられ、その回転変位を検出する回転角センサ9
と、前記両センサ8,9からのセンサ信号を入力し、前
記操舵アクチュエータ7に制御指令を出力するコントロ
ーラ10とを備えている。
【0021】前記ラバーカップラー6は、図3に示すよ
うに、上部ステアリングシャフト3に固定される入力部
材6aと、下部ステアリングシャフト5に固定される出
力部材6bと、入力部材6aと出力部材6bとの間に介
装される軟質ゴム6cとによって構成されている。
【0022】前記操舵アクチュエータ7は、下部ステア
リングシャフト5に設けられた出力ギヤ7aと、入力ギ
ヤ7bを有する直流モータ7cと、両ギヤ7a,7bに
噛み合う中間ギヤ7dとによって構成されている。
【0023】次に、作用を説明する。
【0024】図4はコントローラ10で行なわれる操舵
特性制御処理作動の流れを示すフローチャートで、以
下、各ステップについて説明する。
【0025】ステップ40では、操舵角センサ8からの
操舵角θINと回転角センサ9からの回転角θOUT が読み
込まれる。
【0026】ステップ41では、検出された操舵角θIN
を微分処理することにより操舵周波数fθが演算される
(操舵周波数検出手段に相当)。
【0027】ステップ42では、操舵周波数fθが設定
周波数fθ0 (例えば、0.5Hz )以上かどうかが判断さ
れる。そして、fθ<fθ0 の時にはステップ40へ戻
り、fθ≧fθ0 の時にはステップ43以降の位相補償
処理へ進む。
【0028】ステップ43では、操舵周波数fθと目標
位相特性PE *(f) (図9の破線)により目標位相遅れ量
E *が求められる。
【0029】ステップ44では、回転角θOUT により実
位相遅れ量PE が求められる。
【0030】ステップ45では、目標位相遅れ量PE *
実位相遅れ量PE との差により位相補償量PD が求めら
れる。
【0031】ステップ46では、位相補償量PD が得ら
れる制御指令が直流モータ7cに出力される。尚、制御
指令はハイパスフィルタを通すことで直流モータ7cに
は高周波成分のみの駆動力が印加される。
【0032】尚、上記ステップ42〜ステップ46は、
操舵特性制御手段に相当する。
【0033】(イ)低周波操舵入力時 ステアリングホイール1から入力される操舵周波数fθ
が設定周波数fθ0 未満の低周波数領域である時には、
ステップ40→ステップ41→ステップ42の処理が繰
り返されるだけで、操舵アクチュエータ7による位相補
償は行なわれない。
【0034】従って、操舵入力は、ステアリングホイー
ル1→等速ジョイント2→上部ステアリングシャフト3
→ラバーカップラー6→下部ステアリングシャフト5→
操舵機構4へと伝達され、操舵輪が操舵入力に応じて転
舵される。
【0035】つまり、ドライバーの操作特性が図5に示
す特性であり、ラバーカップラー6の伝達特性が図6に
示す特性である場合、低周波数領域での位相特性は、ド
ライバー操作位相特性PA(f)にラバー伝達位相特性P
B(f)とを合わせた位相特性PC(f)となり、低周波数領域
でのゲイン特性は、ドライバー操作ゲイン特性gA(f)に
ラバー伝達ゲイン特性gB(f)とを合わせたゲイン特性g
C(f)となる。
【0036】(ロ)高周波操舵入力時 ステアリングホイール1から入力される操舵周波数fθ
が設定周波数fθ0 以上の高周波数領域である時には、
ステップ40→ステップ41→ステップ42→ステップ
43→ステップ44→ステップ45→ステップ46へと
進む流れとなり、操舵アクチュエータ7による位相補償
が行なわれる。
【0037】つまり、実舵の特性をみると、ラバーカッ
プラー6が低周波数領域の操舵入力を伝達し高周波数領
域の操舵入力を吸収するする手段であることで、操舵入
力はラバーカップラー6において吸収され、下部ステア
リングシャフト5へは位相が大幅に遅れると共に(図7
の位相特性)、ゲインが低下した(図7のゲイン特性)
操舵入力が伝達される。
【0038】しかし、ステップ43〜ステップ46の処
理により、目標位相遅れ量PE *と実位相遅れ量PE との
差により求められた位相補償量PD を得る制御指令が直
流モータ7cに出力されることで、操舵アクチュエータ
7による外部からの制御入力で位相遅れが補償されるこ
とになる。
【0039】例えば、コントローラ10での補償特性が
図8に示す特性となる場合、図9に示すように、高周波
数領域での位相遅れに操舵アクチュエータ7により発生
する位相進み動作が重畳され、図9の実線で示す位相補
償後の実位相特性PE(f)は、図9の破線で示す目標位相
特性PE *(f) とほぼ一致したものとなる。尚、この第1
実施例では、ゲインについて補償していないので、ゲイ
ン特性は変化ない。
【0040】従って、高齢者ドライバー等であってドラ
イバーの操作特性が位相遅れの大きな特性である場合に
は、高周波数領域で大きな位相補償量PD が与えられ、
また、若者ドライバー等であってドライバーの操作特性
が位相遅れの小さな特性である場合には、高周波数領域
で小さな位相補償量PD を与えられることになり、ドラ
イバーの操作特性のバラツキにかかわらず目標位相特性
E *(f) とほぼ一致する一定の操舵位相特性を得ること
ができることになる。
【0041】尚、目標位相特性PE *(f) は、操舵に高周
波数成分が必要となる旋回時やレーンチェンジ時等にお
いて、操舵違和感の無い最適な特性に設定しておく。
【0042】ここで、操舵アクチュエータ7での高周波
数領域位相遅れ補償時、補償動作に伴なう操舵違和感が
懸念されるが、ラバーカップラー6が低周波数領域の操
舵入力を伝達し高周波数領域の操舵入力を吸収するする
手段であることで、操舵アクチュエータ7からの補償入
力が上部ステアリングシャフト3を介してステアリング
ホイール1にほとんど伝達されることはない。
【0043】(ハ)位相補償制御系のフェイル時 コントローラ10等の位相補償制御系のフェイル時で、
高周波数領域位相遅れ補償が行なわれない時であって
も、ステアリングホイール1と操舵機構4とは、上部ス
テアリングシャフト3,ラバーカップラー6,下部ステ
アリングシャフト5により機械的に連結されている為、
図7に示すように、操舵入力が低周波数領域であれば全
く通常通りの操舵が確保されるし、高周波数領域であっ
ても位相に遅れが出るだけであり、高い安全性が確保さ
れる。
【0044】(ニ)路面外乱入力時 路面の凹凸が直接外乱となり操舵機構4が動作してしま
うことが考えられる。しかし、凹凸等の路面外乱の大き
なものは、基本的に0.1Hz 以下の低い周波数であり、こ
れは図6に示すようなラバーカップラー6の伝達特性が
あるために、従来のステアリング系と同じである。よっ
て本構成にしたことにより、とりわけ問題が発生するこ
とはない。
【0045】一方、0.1Hz 以上の周波数に関しては、例
えば、操舵角センサ8からの操舵入力と回転角センサ9
からの操舵出力を比較し、路面からの外乱に対してその
動きを抑制するように直流モータ7cを動作させること
により、外乱に対して安定な系を構成することができ
る。但し、日常的な走行では、ここまでやらなくても、
図6の特性を外乱の入力周波数に対して伝達しやすい様
にしておけば、特に問題があるレベルにならないと考え
る。
【0046】すなわち、外乱の基本周波数に対しては、
従来システムと同じであり、高い周波数において問題が
発生してもごくわずかである。
【0047】以上説明してきたように第1実施例の車両
用操舵装置にあっては、下記に列挙する効果を発揮す
る。
【0048】(1)ドライバーからの操舵入力に応じて
操舵輪を転舵する車両用操舵装置において、操舵入力の
うち低周波成分はラバーカップラー6を介してメカニカ
ルに伝達し、ラバーカップラー6を介して伝達される高
周波成分の位相遅れ分のみを電気的な制御により補償す
る装置とした為、従来のステア・バイ・ワイヤによる装
置に比べ有利なシステムコストで高い安全性を確保しな
がら、操作能力が異なるあらゆるドライバーに対して車
両の操舵特性を最適化することができる。
【0049】(2)車両の操舵特性を検出する回転角セ
ンサ9を設け、位相補償制御系として実舵の特性をみる
フィードバック制御系を構成し、ドライバーの操作特性
にかかわらず一定の目標位相特性PE(f)を得る装置とし
た為、ラバーカップラー6の伝達特性の経時変化等にか
かわらず、操舵入力に対し最適な一定の位相特性を常に
精度良く得ることができる。
【0050】(第2実施例)次に、請求項1記載の発明
に対応する第2実施例の車両用操舵装置について説明す
る。
【0051】まず、構成を説明する。
【0052】構成的には図2に示す第1実施例装置に対
し、回転角センサ9が設けていない構成としている点で
相違する。尚、他の構成は第1実施例装置と同様である
ので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略す
る。
【0053】次に、作用を説明する。
【0054】図11はコントローラ10’で行なわれる
操舵特性制御処理作動の流れを示すフローチャートで、
以下、各ステップについて説明する。
【0055】ステップ50では、イグニッションキーが
ONされたかどうかが判断される。
【0056】ステップ51では、操舵角センサ8からの
操舵角θINを微分処理することにより操舵周波数fθが
演算され(操舵周波数検出手段に相当)、この操舵周波
数fθと図12に示す初期位相補償特性に基づいてイニ
シャル補償が行なわれる。
【0057】ステップ52では、操舵角センサ8からの
操舵角θINによりドライバーの操作状況を単位時間観測
し、ドライバーの操舵スペクトルを測定すると共に、高
周波数成分(例えば、0.5Hz 以上)でのパワースペクト
ルの面積値を算定する。
【0058】ステップ53では、パワースペクトル面積
値が設定値1未満かどうかが判断される。
【0059】ステップ54では、パワースペクトル面積
値が設定値2(>設定値1)を超えているかどうかが判
断される。
【0060】ステップ55では、パワースペクトル面積
値が設定値2を超えている場合、図14の段階的位相補
償特性のうち補償特性1により位相補償を行なう指令が
出力される。
【0061】ステップ56では、パワースペクトル面積
値が設定値1以上で設定値2以下の場合、図14の段階
的位相補償特性のうち補償特性2により位相補償を行な
う指令が出力される。
【0062】ステップ57では、パワースペクトル面積
値が設定値2未満の場合、図14の段階的位相補償特性
のうち補償特性3により位相補償を行なう指令が出力さ
れる。ステップ58では、イグニッションキーがOFF
かどうかが判断され、ONである間は、ステップ52〜
ステップ57の処理が繰り返される。
【0063】尚、ステップ51〜ステップ57は、操舵
特性制御手段に相当する。
【0064】この第2実施例装置を搭載した車両でイグ
ニッションキーをONにして運転を開始すると、ステッ
プ51で図12の初期補償特性Pj(f)に基づいて操舵ア
クチュエータ7により高周波数領域で位相が補償され、
図13に示すようにシステム全体の位相特性としては、
ドライバー操作特性+ラバーの伝達特性Pi(f)に初期補
償特性Pj(f)を重畳した特性となる。尚、この初期補償
特性Pj(f)は、普通の位相応答を持つドライバーを想定
して設定しておく。
【0065】しかし、ドライバーにはもともと高周波数
領域で位相遅れの小さい操作特性を有している人もいる
し、また、位相遅れの大きい操作特性を有している人も
いる。そこで、ドライバーの操作特性を把握することが
必要になるが、それを行なっているのがステップ52の
処理であって、ドライバーの操舵スペクトルを測定する
ことでドライバーの操作特性を推定している。つまり、
高周波数域でのパワースペクトル面積値が小さい場合
は、大きな位相補償が必要なドライバーと推定すること
ができるし、逆に、高周波数域でのパワースペクトル面
積値が大きい場合は、小さな位相補償で十分なドライバ
ーと推定することができる。
【0066】このように、所定時間あるいは所定距離を
走行した時点でドライバーの操作特性を推定し、初期補
償特性に代え推定特性に適合する補償特性を選択して位
相補償を行なうのがステップ52〜ステップ57の処理
である。
【0067】従って、この第2実施例装置においても、
第1実施例装置と同様に、ドライバーの操作特性のバラ
ツキにかかわらず最適な操舵位相特性を得ることができ
ることになる。また、位相補償制御系のフェイル時や路
面外乱入力時等の他の作用については、第1実施例装置
と全く同様な作用を示す。
【0068】以上説明してきたように、この第2実施例
装置にあっては、第1実施例装置での上記(1)の効果
に加え、下記の効果が得られる。
【0069】(3)操舵角センサ8のみを用い、ドライ
バーの操作特性をドライバーの操舵スペクトルの測定に
より推定検出して段階的位相補償を行なう装置とした
為、入力や演算処理等の制御系が簡単な実用的システム
としながら、ドライバーの操作特性のバラツキにかかわ
らず最適な位相特性を得ることができる。
【0070】(第3実施例)次に、請求項2記載の発明
に対応する第3実施例の車両用操舵装置について説明す
る。
【0071】構成については、第1実施例装置と同じで
あるので省略する。
【0072】作用については、図5のドライバー操作特
性と図6のラバー伝達特性と図7の実舵の特性は同じ
で、図8のコントローラ10の補償特性に代えて図15
のコントローラ10の補償特性を使用する。つまり、操
舵周波数が高周波数領域では、位相補償とゲイン補償の
両方を行なう。
【0073】この結果、ドライバー+補償制御によるト
ータルとしての特性は、図16に示すように、ゲインが
フラットで、位相の遅れも抑えられたものとなり、ステ
アリングホイール1の切り不足と位相遅れの両方を改善
することができる。
【0074】以上、実施例を図面により説明してきた
が、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があ
っても本発明に含まれる。
【0075】例えば、実施例では継手として、ラバーカ
ップラーの例を示したが、図17に示すような電気粘性
流体継手11を用いても良い。
【0076】この電気粘性流体継手11は、上部ステア
リングシャフト3に固定される入力部材11aと、下部
ステアリングシャフト5に固定される出力部材11b
と、入力部材11aと出力部材11bとの間に封入され
る電気粘性流体11cと、該電気粘性流体11cに電圧
を印加する電圧源11dとによって構成され、例えば、
操舵周波数が低周波数域の時には、電気粘性流体11c
に高電圧を印加し、スティフネスを上昇させた硬い物質
として操舵入力を機械的に伝達させ、操舵周波数が高周
波数域の時には、電気粘性流体11cの印加電圧を零と
し、最も流体粘性の低い状態として操舵入力を吸収する
ようにする。この電気粘性流体継手11の伝達特性は、
カットオフ周波数を0.5Hz とした場合、図18に示すよ
うになる。
【0077】また、継手としては、流体の粘性を利用
し、速い動きは伝達せず、遅い動きのみを伝達する流体
クラッチ等も考えられる。
【0078】実施例では、操舵アクチュエータ7のギヤ
系と直流モータ7cを直結する例を示したが、ギヤ系と
直流モータ7cとの間にクラッチを設けても良い。この
場合、直流モータ7cのロック時に、コンピュータでの
自己診断(センサ8,9の差)やドライバー操作により
クラッチを切ることで、ステアリング操作を確保するこ
とができる。
【0079】第1実施例では、目標位相特性として1つ
の特性を設定した例を示したが、複数の目標位相特性を
設定しておき、複数の特性の中からドライバーが選択し
て目標位相特性を決めるようにしても良く、この場合
は、ドライバーの好みに応じた位相特性を得ることがで
きる。
【0080】第2実施例では、段階的に位相を補償する
にあたって、3段階の補償特性を設定した例を示した
が、この段階数は実施例に限られるものではなく、2段
階としても、また、3段階以上としても良い。
【0081】
【発明の効果】以上説明してきたように請求項1記載の
本発明にあっては、ドライバーからの操舵入力に応じて
操舵輪を転舵する車両用操舵装置において、操舵入力の
うち低周波成分は継手を介してメカニカルに伝達し、継
手を介して伝達される高周波成分の位相遅れ分のみを電
気的な制御により補償する手段とした為、有利なシステ
ムコストで高い安全性を確保しながら、操作能力が異な
るあらゆるドライバーに対して車両の操舵特性を最適化
することができるという効果が得られる。
【0082】また、請求項2記載の本発明にあっては、
操舵特性制御手段を、検出された操舵周波数が高周波数
領域である時、高周波数領域での位相遅れを補償すると
共に高周波数領域でのゲイン低下を補償する手段とした
為、ステアリングホイールの切り不足と位相遅れの両方
を改善することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用操舵装置を示すクレーム対応図
である。
【図2】第1実施例の車両用操舵装置を示す全体システ
ム図である。
【図3】第1実施例装置のラバーカップラーを示す断面
図である。
【図4】第1実施例装置のコントローラで行なわれる位
相補償制御処理作動の流れを示すフローチャートであ
る。
【図5】ドライバーの操作特性図である。
【図6】ラバーカップラーの伝達特性図である。
【図7】ドライバーの操作特性とラバーカップラーの伝
達特性とを合せた実舵の特性図である。
【図8】第1実施例装置でのコントローラの補償特性図
である。
【図9】第1実施例装置で位相補償された後の操舵特性
図である。
【図10】第2実施例の車両用操舵装置を示す全体シス
テム図である。
【図11】第2実施例装置のコントローラで行なわれる
位相補償制御処理作動の流れを示すフローチャートであ
る。
【図12】第2実施例装置での初期補償特性図である。
【図13】第2実施例装置で初期補償さらた場合のシス
テム全体特性図である。
【図14】第2実施例装置のコントローラでの段階的位
相補償特性図である。
【図15】第3実施例装置のコントローラでのゲイン及
び位相補償特性図である。
【図16】第3実施例装置でのドライバー+コントロー
ラのトータルとしての操舵特性図である。
【図17】継手の他例である電気粘性流体継手を示す断
面図である。
【図18】電気粘性流体継手の伝達特性図である。
【図19】従来のメカニカルな車両用操舵装置を示す図
である。
【図20】従来のステア・バイ・ワイヤによる車両用操
舵装置を示す図である。
【図21】年齢層毎(20才代,80才代)によるドラ
イバーの操作特性図である。
【図22】等間隔に配置したパイロン間を蛇行して通り
抜けるコースを設定した場合の走行軌跡特性図である。
【符号の説明】
a ステアリングホイール b 上部ステアリングシャフト c 操舵輪 d 操舵機構 e 下部ステアリングシャフト f 継手 g 補助舵角機構 h 操舵周波数検出手段 i 操舵特性制御手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングホイールに結合された上部
    ステアリングシャフトと、 操舵輪を転舵する操舵機構に結合された下部ステアリン
    グシャフトと、 前記上部ステアリングシャフトと下部ステアリングシャ
    フトの間に介装され、低周波数領域の操舵入力を伝達し
    高周波数領域の操舵入力を吸収する継手と、 前記下部ステアリングシャフトまたは操舵機構に設けら
    れ、外部からの指令により補助舵角を与えることができ
    る補助舵角機構と、 前記ステアリングホイールから入力される操舵周波数を
    検出する操舵周波数検出手段と、 検出された操舵周波数が高周波数領域である時、高周波
    数領域での位相遅れを補償する指令を前記補助舵角機構
    に出力する操舵特性制御手段と、 を備えていることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用操舵装置におい
    て、 前記操舵特性制御手段を、検出された操舵周波数が高周
    波数領域である時、高周波数領域での位相遅れを補償す
    ると共に高周波数領域でのゲイン低下を補償する指令を
    前記補助舵角機構に出力する手段としたことを特徴とす
    る車両用操舵装置。
JP186892A 1992-01-09 1992-01-09 車両用操舵装置 Expired - Fee Related JP3203725B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP186892A JP3203725B2 (ja) 1992-01-09 1992-01-09 車両用操舵装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP186892A JP3203725B2 (ja) 1992-01-09 1992-01-09 車両用操舵装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05185941A true JPH05185941A (ja) 1993-07-27
JP3203725B2 JP3203725B2 (ja) 2001-08-27

Family

ID=11513530

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP186892A Expired - Fee Related JP3203725B2 (ja) 1992-01-09 1992-01-09 車両用操舵装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3203725B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09190732A (ja) * 1995-08-03 1997-07-22 Vdo Adolf Schindling Ag 操作装置
JP2010264822A (ja) * 2009-05-13 2010-11-25 Jtekt Corp 車両用ステアリングダンパ装置及びステアリング装置
JP2010276200A (ja) * 2001-10-25 2010-12-09 Lord Corp 磁界応答材料を有するブレーキ
JP2018012364A (ja) * 2016-07-19 2018-01-25 株式会社ジェイテクト 車両用操舵装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09190732A (ja) * 1995-08-03 1997-07-22 Vdo Adolf Schindling Ag 操作装置
JP2010276200A (ja) * 2001-10-25 2010-12-09 Lord Corp 磁界応答材料を有するブレーキ
JP2010264822A (ja) * 2009-05-13 2010-11-25 Jtekt Corp 車両用ステアリングダンパ装置及びステアリング装置
JP2018012364A (ja) * 2016-07-19 2018-01-25 株式会社ジェイテクト 車両用操舵装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3203725B2 (ja) 2001-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4254777B2 (ja) 車輌用操舵制御装置
EP0775624B1 (en) Steering system for automobile
JP3705173B2 (ja) 車両用操舵制御装置
US7584819B2 (en) Vehicle steering system
US6580989B1 (en) Motor vehicle steering system
US8849517B2 (en) Detecting a hands free driving situation of a motor vehicle
US6842678B2 (en) Motor vehicle steering system
WO2003059719A1 (fr) Appareil de commande d'appareil de direction assistee electrique
KR20200141728A (ko) 차량의 전자식 조향장치 및 그 제어방법
JP2001026277A (ja) 車両用操舵装置
JP3463580B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
KR101878070B1 (ko) 스티어 바이 와이어용 조타시스템 및 그 제어방법
CN115923919A (zh) 用于转矩控制的方法、控制单元和机电辅助转向系统
JP5198941B2 (ja) 車両用操舵装置
JPH05185941A (ja) 車両用操舵装置
JP4434261B2 (ja) ステアリング装置
JP2003182620A (ja) 車両の操舵装置
KR100670996B1 (ko) 비정상적인 진동을 억제하기 위한 조향 보조 동력을제어하는 전동식 조향장치
JP2008049992A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3841674B2 (ja) 車両の操舵装置
JPH10264838A (ja) 操舵制御装置
JP5975242B2 (ja) 舵角比可変操舵装置
JPH10310073A (ja) 電気式動力舵取装置
JP3881356B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2004168150A (ja) 電動式操舵装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees