JP5984010B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
通例、ラック軸の一対の端部は、ハウジングに保持されたラックブッシュにより軸方向に摺動可能に支持されている。特許文献1では、ラック軸の一対の端部のうち、補助ピニオンに近い側の端部が、ラックブッシュとしての偏心軸受ブッシュによって受けられている。偏心軸受ブッシュは、その回動位置によってラック軸を枢支する位置を変化させて、補助ピニオンとラック軸との噛合状態を調整している。
そこで、本発明の目的は、ラックブッシュの付勢に起因するバックラッシの増大を抑制することができるステアリング装置を提供することである。
請求項2のように、前記第2ラックブッシュは、前記ラック軸の軸方向に関して前記第1ピニオン軸と前記第2ピニオン軸との間に配置されていてもよい。
図1は本発明の一実施形態のステアリング装置の概略図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ラックアンドピニオン機構からなる転舵機構2を備えている。転舵機構2は、車体に固定された筒状の第1ハウジング3(ラックハウジングに相当)を挿通し、軸方向X1に離隔したはす歯の第1ラック4とはす歯の第2ラック5とを有する転舵軸としてのラック軸6と、第1ラック4に噛み合うはす歯の第1ピニオン7を有する第1ピニオン軸8と、第2ラック5に噛み合うはす歯の第2ピニオン9を有する第2ピニオン軸10と、ラック軸6の軸方向X1の第1端部11および第2端部12にそれぞれタイロッド13およびナックル14を介して連結された転舵輪15とを備えている。
運転者が操舵部材18を操作することで、そのマニュアル操舵力(操舵トルク)により、ステアリングシャフト19、自在継手20、中間軸21、自在継手22、第2ピニオン軸10、ラック軸6、タイロッド13およびナックル14を介して転舵輪15を操舵することができる。すなわち、操舵部材18、ステアリングシャフト19、自在継手20、中間軸21、自在継手22、第2ピニオン軸10、ラック軸6によってマニュアル操舵系MSが構成されている。
電動モータ24は、車体に固定されたモータハウジング26と、出力軸としての回転軸27とを備えている。減速機構25は、継手28を介して回転軸27とトルク伝達可能に連結されたウォーム軸等の駆動ギヤ29と、駆動ギヤ29と噛み合い第1ピニオン軸8と一体回転可能に連結されたウォームホイール等の被動ギヤ30とを備えている。
トルクセンサ31のトルク検出結果は、ECU(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)32に与えられる。ECU32では、トルク検出結果や図示しない車速センサから与えられる車速検出結果等に基づいて、内蔵の駆動回路を介して電動モータ24を駆動制御する。電動モータ24の出力回転が減速機構25を介して減速されて第1ピニオン軸8に伝達され、ラック軸6の直線運動に変換されて、操舵が補助される。
ラック軸6の第1端部11は、第1ピニオン軸8に相対的に近く且つ第2ピニオン軸10から相対的に遠い。また、ラック軸6の第2端部12は、第1端部11とは反対側の端部であり、第2ピニオン軸10に相対的に近く且つ第1ピニオン軸8から相対的に遠い。
第2ラックブッシュ17は、ラック軸6の軸方向X1に関して両ピニオン軸8,10の間に配置されている。第2ラックブッシュ17は、ラック軸6を第1ピニオン7および第2ピニオン9側へ付勢する機能を果たしている。
図5は、操舵補助力伝達用の第1ピニオン軸8の中心軸線に沿って切断した、ステアリング装置1の要部の概略断面図である。図5に示すように、ラック軸6が挿通された第1ハウジング3と交差状に連続した筒状の第2ハウジング33が設けられている。第2ハウジング33内には、ラック軸6が挿通されるとともに、第1ピニオン軸8および減速機構25が収容されている。
第1ピニオン軸8は、蓋部35によって支持された例えば玉軸受からなる第1軸受36と、本体部34によって支持された例えば玉軸受からなる第2軸受37とによって回転可能に支持されている。第1ピニオン軸8の軸方向に関して、第1軸受36と第2軸受37との間に、被動ギヤ30が配置されている。また、第1ピニオン軸8の先端部は、本体部34によって支持された例えば針状ころ軸受からなる第3軸受38によって回転可能に支持されている。第1ピニオン軸8の軸方向に関して、第2軸受37と第3軸受38との間に、第1ピニオン7が配置されている。
第1ラックガイド39は、第2ハウジング33の本体部34に設けられた筒状の第1ガイドハウジング40と、第1ガイドハウジング40に形成された第1保持孔41内に第1保持孔41の深さ方向Z1およびその反対方向に摺動可能に収容され且つラック軸6を軸方向(図5において、紙面とは直交する方向)に摺動可能に支持する第1サポートヨーク42とを備えている。また、第1ラックガイド39は、第1保持孔41の入口にねじ込み固定された第1調整ねじ43と、第1調整ねじ43によって受けられ第1サポートヨーク42をラック軸6側に弾性的に付勢する例えば圧縮コイルばねからなる第1付勢部材44と、第1調整ねじ43を第1ガイドハウジング40に止定する第1ロックナット45とを備えている。
また、ステアリング装置1は、ラック軸6を挟んで第2ピニオン軸10とは反対側に配置され、第2ラック5の背部からラック軸6を第2ピニオン9に向けて付勢する第2ラックガイド49を備えている。
ラック軸6の第1端部11を支持し、ラック軸6を第1ピニオン7側に向けて付勢する第1ラックブッシュ16は、図7および図8Aに示すように、第1ハウジング3に支持されてラック軸6の第1端部11の全周を取り囲む環状部60と、環状部60から軸方向に延びる断面円弧状部61とを備えており、例えば樹脂により形成されている。
また、ラック軸6の軸方向X1に関して両ピニオン軸8,10間の中間部に配置されてラック軸6を支持しつつ、ラック軸6を第1ピニオン7および第2ピニオン9側に向けて付勢する第2ラックブッシュ17は、図9および図10Aに示すように、第1ハウジング3に支持されてラック軸6の軸方向X1の中間部の全周を取り囲む環状部70と、環状部70から軸方向に延びる断面円弧状部71とを備えており、例えば樹脂により形成されている。
本実施形態によれば、概略図である図11に示すように、ラック軸6の第1端部11に配置されてラック軸6を第1ピニオン7側へ付勢する第1ラックブッシュ16による付勢力F1が、第1ピニオン7と第1ラックガイド39とでラック軸6を挟持する位置P2を支点として、ラック軸6を第2ピニオン9から引き離す方向へのモーメントM1を生じさせる。その第1ラックブッシュ16によるモーメントM1に抗して、第2ラックブッシュ17が、ラック軸6を両ピニオン7,9側へ付勢しているので、第2ピニオン9と第2ラック5との間のバックラッシの増大を抑制することができる。
Claims (3)
- ハウジングを挿通し、軸方向に対向する第1端部と第2端部とを有し、これら両端部のうち前記第1端部に相対的に近い第1ラックと両端部のうち前記第2端部に相対的に近い第2ラックとを中心軸線に対して同側に有するラック軸と、
前記第1ラックに噛み合う第1ピニオンを有する第1ピニオン軸と、
前記第2ラックに噛み合う第2ピニオンを有し、前記ラック軸の中心軸線を含み且つ前記第1ピニオン軸の中心軸線と平行な平面に対して、前記第1ピニオン軸と同側に配置された第2ピニオン軸と、
前記ハウジングにより保持されて、前記第1ラックの背部から前記ラック軸を前記第1ピニオン側に向けて付勢する第1ラックガイドと、
前記ハウジングにより保持されて、前記第2ラックの背部から前記ラック軸を前記第2ピニオン側に向けて付勢する第2ラックガイドと、
前記ハウジングにより支持され、前記ラック軸の第1端部を軸方向に摺動可能に支持し且つ前記ラック軸を前記第1ピニオンに向けて付勢する第1ラックブッシュと、
前記ハウジングにより支持され、前記ラック軸の第1端部を軸方向に摺動可能に支持し且つ前記ラック軸を前記第1ピニオンおよび前記第2ピニオンに向けて付勢する第2ラックブッシュと、を備えるステアリング装置。 - 請求項1において、前記第2ラックブッシュは、前記ラック軸の軸方向に関して前記第1ピニオン軸と前記第2ピニオン軸との間に配置されているステアリング装置。
- 請求項1または2において、前記第1ピニオン軸は、操舵補助力伝達用であり、
前記第2ピニオン軸は、マニュアル操舵力伝達用であり、
前記ラック軸を支持する軸受として、前記第1ラックブッシュおよび前記第2ラックブッシュのみが設けられているステアリング装置。
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