JP4752996B2 - リチウム二次電池用負極活物質粒子の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用負極活物質粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池用の新規な高容量の負極活物質粒子およびその製造方法に関し、特に、電気化学的にリチウムを吸蔵および放出するリチウム二次電池用の負極活物質粒子であって、シリコンと第1の他の金属元素よりなる非晶質組織を有するシリコン合金粒子の全部または一部の表面が第2の他の金属元素および/または導電性炭素材料でさらに表面処理されていることを特徴とするリチウム二次電池用負極活物質粒子およびその製造方法に関する。
リチウム二次電池は、特に携帯用機器に使用される。昨今の携帯用機器に代表される携帯電話および携帯用パソコンにおいて多くの機能が付加され使用される電池には、その機器の作動電圧に応じた出力電圧と、使用時間に影響する電池容量を大きくする要求がある。特に、使用時間を長くするための電池容量の増加については、限られた電池スペースでは電気エネルギーを蓄える活物質のエネルギー密度を高める以外に電池の容量を増加させることはできない。
従来から使用されている代表的なリチウム二次電池の正極活物質はコバルト酸リチウムであり、負極活物質は黒鉛である。このような電池材料構成で容積エネルギー効率を400Wh/L以上にするのは困難である。特に、負極活物質としての黒鉛の理論エネルギー量は372mAh/gであるために限界があり、他の種類の負極活物質の利用が各研究機関や電池製造メーカーで研究開発されている。
そのような中で考えられている負極活物質材としてはシリコン、錫、金属リチウムなどがあり、金属リチウムについてはリチウムデンドライトの発生、シリコンおよび錫についてはリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積膨張・収縮による結晶構造の破壊および微粒子化による孤立化などによる利用率低下などが問題としてあり、それらの改善が色々となされている。
特開平8−50922号公報 特開平8−213008号公報 特開2001−332254号公報 特開2002−83594号公報 特開2003−109589号公報 特開2003−77529号公報 WO00/17949号国際公開公報 WO01/029912号国際公開公報
負極活物質としてのシリコンは、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積膨張・収縮の比率が大きく、また、粒子の微粒子化が起こり易いために電気的な繋がりが阻害され、充放電サイクルと共に充電放電ができ難くなるといった問題がある。
本発明は、以上のような問題を解決することを目的に開発されたものであって、その主な目的は、(1)負極活物質粒子のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う粒子の微細化の抑制と、(2)負極活物質粒子のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う粒子の微細化が起こっても微細化された微粒子の電気的な繋がりを保持させることにある。
この結果、本発明のさらなる目的としては、(3)比較的簡単な工程で製造でき、リチウムイオンの吸蔵及び放出時における体積変化を低減できるリチウム二次電池用負極活物質粒子およびその製造方法並びにその負極活物質粒子を用いた負極およびリチウム二次電池を提供することにある。
また、本発明の別の目的としては、(4)充放電効率が高く、サイクル寿命及びエネルギー密度が低下せず、さらに、内部抵抗が増大しないリチウム二次電池を提供することにある。
本発明による負極活物質粒子およびその製造方法は、シリコンを用いた非晶質領域を有するシリコン合金粒子とその製造方法に特徴があり、特に、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出するリチウム二次電池用の負極活物質粒子であって、シリコンと他の金属元素よりなる非晶質領域を有するシリコン合金粒子の全部または一部の表面を第1の導電性材料で表面処理することにより、電気特性の良好な負極活物質粒子およびその製造方法を提供するものである。
本発明による負極活物質粒子は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出するリチウム二次電池用の負極活物質粒子であって、シリコンと他の金属元素よりなる非晶質領域を有するシリコン合金粒子の全部または一部の表面が第1の導電性材料でさらに表面処理されたものである。
すなわち、本発明による負極活物質粒子は、シリコンと他の金属元素とを合金化した非晶質組織を有するシリコン合金粒子を母材として、さらに、その表面の全部または一部に第1の導電性材料を粒子形状又は繊維状のまま固着させたり層状に被覆させたりすることにより、極めて複雑な形状を有する負極活物質粒子を提供することができる。
この負極活物質粒子の形状は、負極活物質による被覆層が負極集電体上に形成された後、各粒子の間に適当な空隙を形成する。シリコンを主体とする負極活物質粒子自体はリチウムイオンを吸蔵するときに膨張しリチウムイオンを放出するときに収縮するが、負極活物質粒子間に形成された空隙は前記リチウムイオンの吸蔵および放出に伴う体積変化を吸収するように機能するため、充放電に伴う負極活物質粒子よりなる被覆層の体積変化を低減できる。
また、シリコンを主体とする非晶質組織を有する負極活物質粒子自体は、リチウムイオンの吸蔵および放出に伴う体積変化による構造変化の歪疲労から微細化が進み、孤立化による電気的接触の低下を招くが、シリコン合金粒子の表面上に固着または被覆された第1の導電性材料は、前記体積変化による微細化が進んだ後の各粒子間の電気的な繋がりを確保するためにも機能することから、負極活物質粒子の微細化にもかかわらず優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を提供することができる。
このとき、負極の表面に形成された被覆層の空隙率は、37〜65%の範囲内にあることが好ましい。
このような空隙率は空隙率37%より小さくなると、負極活物質粒子により形成された被覆層の中への電解液の浸透を困難にして、電解液の真空含浸に時間を要したり、含浸量不足で電池性能を悪化させたりする。また、逆に空隙率65%より大きくなると、限られた容積内での電極の動きにより内部短絡が発生するといった問題を生じる。
したがって、このような適当な空隙を負極の被覆層の中に保持するためには、表面処理後、リチウム二次電池用の負極を加圧成形しないことによりリチウム二次電池用の負極を形成することができる負極活物質粒子を提供することが重要である。
本発明による負極活物質粒子の平均粒子径は25μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは5μm以下の平均粒子径を有する負極活物質粒子が、リチウムイオンを吸蔵・放出する際の体積変化に対応して応力歪の発生を効果的に防止し微細化を抑制することが判明した。
負極活物質粒子の平均粒子径が25μmより大きくなると、負極被覆面に凹凸が発生し、特に一部に角部を有する負極集電体上に負極活物質粒子が表面処理される負極を使用した場合には、約23%程度の割合で内部短絡を起こしてセパレーターを損傷することが破損したリチウム二次電池を解体調査することにより確認された。
また、5μm以下の平均粒子径を有する負極活物質粒子を使用すると、各粒子間に形成された空隙がリチウムイオンの吸蔵および放出時の応力歪をより効果的に吸収するようになることから、負極活物質粒子の微細化をより一層効果的に抑制できることが判った。
さらに、非晶質領域を有するシリコン合金粒子の形状は、球状よりは扁平状、繊維状など細長く潰れた形状の方が粒子の微細化が進み難いことが判明した。
次に、本発明によるシリコンと他の金属元素よりなるシリコン合金粒子は、その全部または一部に非晶質領域を有することが好ましい。
また、本発明によるシリコンと他の金属元素よりなるシリコン合金粒子はその全部または一部に非晶質領域を有すればよいから、他の金属元素はシリコンの全部と合金化されている必要はなく、シリコンの一部と合金化しているものであってもよい。
この非晶質領域の形成は、以下に説明する方法によって作製される。
シリコンを非晶質化するために添加される他の金属元素としてはその添加する目的および工程の違いにより、シリコンの非晶質化を促進するために添加される第1の他の金属元素とシリコンの非晶質化および被覆するために添加される第2の他の金属元素とに大別される。
まず、シリコンの非晶質化を促進するためには、一般的な合金製造方法を用いて第1の他の金属元素が最終的な負極活物質粒子全体重量の0.1wt%以下となるようにプレ・シリコン合金粒子が作製される。
このように、シリコンにあらかじめ0.1wt%程度の他の金属元素を添加してプレ・シリコン合金粒子を作製しておくことは、例えば、この後の非晶質化工程で遊星ボールミルなどを用いて加工処理する場合にシリコンの非晶質化が第1の他の金属元素を添加しない場合には30〜48時間程度かかっていたのが、数時間程度の短い時間で非晶質化することを可能にする。
なお、シリコンと後述される第2の他の金属元素とが非晶質化した後のシリコン合金粒子の組成は、第2の他の金属元素の添加により、第1の金属元素が非晶質化されたシリコン合金粒子全体の重量の0.1wt%よりさらに低率となって含有されることになる。また、鉄が第1の他の金属元素として使用されてシリコンと合金化されている場合は、鉄には微量のシリコンが含まれているために0.1wt%以上の含有率を示して含有されることがある。
このように、シリコンの非晶質化を促進させるためにシリコンにあらかじめ添加される第1の他の金属元素としては、鉄、アルミニウム、クロムまたはマグネシウムなどがある。また、本発明によるシリコンと第1の他の金属元素よりなるプレ・シリコン合金粒子は、シリコンとこれらの異なる複数の第1の他の合金元素を添加することによって合金化されたものであってもよい。
つぎに、前記プレ・シリコン合金粒子は、第2の他の金属元素と混合され、少なくともメカニカルアロイング法、メカニカルグライディング法、液体急冷法および気体急冷法より選ばれた1又は2以上の製法により非晶質化され、全部または一部に非晶質領域を有するシリコン合金粒子が作製される。
また、作製されたシリコン合金粒子は、その全部または一部に非晶質領域を有すればよいから、他の金属元素はシリコンの全部と合金化されている必要はなく、シリコンの一部と合金化しているものであってもよい。さらに、後述される非晶質化されたシリコン合金粒子を表面改質するためには、前記これらの異なる製法によって作製されたシリコン合金粒子の混合粉を使用することもできる。
このように、シリコンを非晶質化すると共にシリコンを被覆するためにプレ・シリコン合金粒子と混合される第2の他の金属元素としては、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、マグネシウム、鉛、錫、亜鉛、ビスマスおよびアンチモンなどがある。また、非晶質化されたシリコン合金粒子は、第1の他の金属元素と同じ又は異なる複数の前記第2の他の金属元素を混合することによって非晶質化させたものであってもよい。
ここで、前記製法により作製された非晶質領域を有するシリコンとは、シリコンの結晶構造の違いにより非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンが存在するが、本発明においては、非晶質領域を有するシリコンの他、微結晶領域を有するシリコンを含む。
非晶質シリコンとは、ラマン分光分析において非晶質領域に対応する480cm -1 近傍のピークが検出される一方、結晶領域に対応する520cm -1 近傍のピークが実質的に検出されないものである。また、微結晶シリコンとは、ラマン分光分析において結晶領域に対応する520cm -1 近傍のピークと、非晶質領域に対応する480cm -1 近傍のピークとの両方が実質的に検出されるものであり、微結晶シリコンは結晶領域と非晶質領域とから実質的に構成されるものである。一方、多結晶シリコン及び単結晶シリコンは、ラマン分光分析において、結晶領域に対応する520cm -1 近傍のピークが検出される一方、非晶質領域に対応する480cm -1 近傍のピークが実質的に検出されないものである。
このように、非晶質領域を有するシリコンを用いる理由は、従来より有望視されていたシリコンまたは錫などのような負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵したり放出したりした場合の体積膨張変化が3倍から4倍と非常に大きくなることが欠点の一つで、その結果、結晶がその体積変化に耐え切れなくなって微粉砕され、負極中で電気的な接続経路が遮断されて電気化学反応に寄与しなくなってしまうのに対して、非晶質領域を有するシリコンは、他の金属元素と合金化することによる各元素同士の強い結合力のために前記膨張収縮に対する耐久性が高まると共に粒子自体の体積変化をも小さくでき、その結果、粒子が微粉砕されることによる負極中での電気的な接続経路の遮断を抑制する上で極めて有効であるからである。
また、負極と接触する界面において固体電解質を用いる場合に、このような非晶質領域を有するシリコンを用いると、前記固体電解質に含まれる成分が負極活物質粒子からなる負極表面処理層に拡散して固溶され、負極活物質粒子で表面処理された負極と固体電解質との密着性を向上させることも考えられる。
さらに、負極と固体電解質との密着性があると、イオン伝導性が向上してより高い充放電容量が得られるようになると共に、充放電を繰り返した場合に、負極活物質粒子の体積変化による固体電解質との接触性が低下することも抑制されて、さらに優れた充放電サイクル特性が得られるようになる。また、上記のように負極と固体電解質とが接触する界面において、固体電解質に含まれる成分が負極活物質粒子の中に固溶された状態になると、金属間化合物を形成する場合のように、充放電によって固体電解質に含まれる成分と活物質とが分離されて密着性が低下するということもなく、一層優れた充放電サイクル特性が得られるようになる。
このように、負極内の負極活物質の膨張収縮に対する耐久性を高めて微粉砕化を抑制し、さらに、負極と固体電解質との密着性を高めることによりリチウム二次電池の充放電サイクル特性を向上させるためには、少なくとも非晶質領域がシリコンと他の金属元素よりなるシリコン合金粒子全体の重量に占める割合が80wt%以上にすることが必要である。
また、非晶質領域がシリコンと他の金属元素よりなるシリコン合金粒子全体の重量に占める割合を少なくとも80wt%以上にすると、合金粒子の体積膨張・収縮による構造破壊が抑制されることにより、リチウム二次電池の充放電50サイクル後の容量減衰率が約1/20まで改善され、非晶質化が進んでいないシリコン粒子またはシリコン合金粒子を用いる場合よりもリチウム二次電池容量の減衰抑制効果を一層高めることができる。
さらに、合金化された他の金属元素が酸化してしまうことよるリチウムイオンに対する不活性化を防止するために、プレ・シリコン合金粒子の非晶質化は不活性ガス雰囲気の下で実施されることが好ましい。
プレ・シリコン合金粒子と第2の金属元素とを不活性ガス雰囲気の下で固着させ表面処理すると、生成される金属酸化物を所定量以下に抑えることが可能となり、また、このような不活性ガス雰囲気の下による金属酸化物生成の抑制は、シリコン合金粒子および第2金属元素が雰囲気ガスと反応して他の金属生成物を作り出してしまうことをも排除する。
また、このとき生成される金属酸化物の負極活物質粒子全体の重量に占める割合が1wt%より大きくなると、初期負極活物質粒子の利用率が相乗効果で90%以下となるため、負極活物質粒子全体の重量に占める金属酸化物の割合は1wt%以下に抑えられることが好ましい。
さらに、本発明による負極活物質粒子は、前記非晶質化されたシリコン合金粒子表面の全部または一部に第1の導電性材料をそのままの形状で固着させたり層状に被覆させたりすることにより、極めて複雑な形状が与えられる。
この負極活物質粒子の形状は、負極集電体に表面処理された後、各粒子間にできた空隙により負極活物質粒子により形成された被覆層が充放電に伴い体積変化することを吸収すると共に、体積変化した場合であっても、微細化が進んだ後の各粒子間の電気的な繋がりを保証する。
このように表面改質層を有する負極活物質粒子の形成は、非晶質化されたシリコン合金粒子をメカニカルアロイング法、焼結法、およびその他の表面改質複合化法(高速で複数種類の粉体同士が衝突しながら容器内を循環することにより合金化、表面処理する製法で、ハイブリダイジング法とも呼ばれる方法や、容器内壁と中心軸との間隙で粉体が押し付けられる時の摩擦熱と加圧力を利用して合金化、表面処理する製法で、メカニカルグライディング法、またはメカノフュージョン法と呼ばれているものなどがある。)を用いて第1の導電性材料で表面処理することにより行われる。また、本発明による負極活物質粒子は、これらの異なる製法によって作製された負極活物質粒子の混合粉を用いたものであってもよい。
前記製法の中で、特にメカニカルアロイング法、またはメカニカルグラインディング法などを用いて非晶質化されたシリコン合金粒子の表面に第1の導電性材料を被覆すると、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴い粒子形状が破壊した場合でも、シリコン合金粒子の表面の一部にこれらの第1の導電性材料が凹凸を形成しながら残存し、かつ、粒子形状を維持していることから、固着された第1の導電性材料を媒体として粒子間の電気的な繋がりが維持され、リチウムイオン電池容量の減少が抑制される。
この結果、このような表面処理がなされていない場合の負極の表面抵抗は9Ωcmであったものに対して、4.3Ωcm〜2.6Ωcmまで低減され改善することができた。
このように、第1の導電性材料は上述したように各粒子間の導電性を確保するためなどに機能するものであるから、かかる目的を達成するための金属元素としては、少なくとも鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、マグネシウム、鉛、錫、錫半田および亜鉛などよりなる群から選ばれた1種又は2種以上のものが好ましく、また、同じような機能を発揮できるカーボンブラック又は黒鉛などよりなる導電性炭素材料から選ばれたものであってもよい。さらに、本発明で使用される第1の導電性炭素材料は、これらの異なる複数の金属元素および/または導電性炭素材料から選ばれたものであってもよい。
このように、本発明により上記目的を達成するためには、負極活物質粒子に含まれる他のすべての金属元素(第1の他の金属元素、第2の他の金属元素および導電性材料中の金属元素)の前記負極活物質粒子全体の重量に占める割合が30〜83wt%であることが好ましい。
他のすべての金属元素が負極活物質粒子全体の重量に占める割合が30wt%より少ないと、リチウムイオンの吸蔵および放出時の体積膨張収縮に伴う構造変化の歪疲労からシリコン合金粒子の微細化が進み、孤立化により電気的接触が乏しくなる傾向を示す。また、83wt%より多い場合は、リチウムイオン吸蔵および放出に対してシリコン合金粒子の体積膨張・収縮による微細化が抑制されることにより、孤立化により電気的接触が乏しくなるといった問題点は改善されるものの、負極活物質粒子としての電池容量が極めて小さくなるといった問題点が生ずることになる。
次に、本発明による負極活物質粒子およびそれを用いたリチウム二次電池用の負極の形成方法について説明する。
本発明によるリチウム二次電池用の負極活物質粒子の製造方法は、電気的化学にリチウムを吸蔵および放出するリチウム二次電池用の負極活物質粒子を製造する方法であって、
シリコンの全部または一部と第1の他の金属元素とを合金化させてシリコン合金粒子を製造するための第1のステップと、
前記シリコン合金粒子表面の全部または一部を第2の金属元素でさらに合金化および/または表面処理し、非晶質領域を有するシリコン合金粒子に改質するための第2のステップと、そして
前記非晶質領域を有するシリコン合金粒子に第1の導電性材料を固着させるための第3のステップと、
を含むこと特徴とする。
また、本発明によるリチウム二次電池用の負極の製造方法は、電気化学的にリチウムを吸蔵および放出するリチウム二次電池用負極を製造する方法であって、
シリコンの全部または一部と第1の金属元素とを合金化させてシリコン合金粒子を製造するための第1のステップと、
前記シリコン合金粒子表面の全部または一部を第2の金属元素でさらに合金化および/または表面処理し、非晶質領域を有するシリコン合金粒子に改質するための第2のステップと、
前記非晶質領域を有するシリコン合金粒子に第1の導電性材料を固着させるための第3のステップと、そして
前記第1の導電性材料を固着させたシリコン合金粒子を含む被覆材料を負極集電体に表面処理し、負極を形成させるための第4のステップと
を含むことを特徴とする。
前記第1のステップは、シリコンと第1の他の金属元素とを、例えば、溶解法などの一般的な合金化方法を用いることにより、プレ・シリコン合金粒子を作製することができる。
前記第2のステップは、前記プレ・シリコン合金粒子と第2の他の金属元素とを混合し、少なくともメカニカルアロイング法、メカニカルグライディング法、液体急冷法および気体急冷法より選ばれた1又は2以上の製法を用いることによりプレ・シリコン合金粒子を非晶質化し、その全部または一部に非晶質領域を有するシリコン合金金粒子が作製される。
また、作製されたシリコン合金粒子はその全部または一部に非晶質領域を有すればよいから、他の金属元素はシリコンの全部と合金化されている必要はなく、シリコンの一部と合金化しているものであってもよい。さらに、後述される非晶質化されたシリコン合金粒子を複雑形状化するための第3のステップにおいては、前記これらの異なる製法によって作製されたシリコン合金粒子の混合粉を使用することもできる。
このように非晶質領域を有するシリコンを用いると、従来より有望視されていたシリコンまたは錫などのような負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵したり放出したりした場合の体積膨張変化が3倍から4倍と非常に大きくなることが欠点の一つで、その結果、結晶がその体積変化に耐え切れなくなって微粉砕され、負極中で電気的な接続経路が遮断されて電気化学反応に寄与しなくなってしまうのに対して、非晶質領域を有するシリコンは、他の金属元素と合金化することによる各元素同士の強い結合力のために前記膨張収縮に対する耐久性が高まると共に粒子自体の体積変化をも小さくでき、その結果、粒子が微粉砕されることによる負極中での電気的な接続経路の遮断を抑制するのに極めて効果的である。
また、負極と接触する界面において固体電解質を用いる場合に、このような非晶質領域を有するシリコンを用いると、前記固体電解質に含まれる成分が負極活物質粒子からなる負極表面処理層に拡散して固溶され、負極活物質粒子で表面処理された負極と固体電解質との密着性を向上させることも考えられる。
また、負極と固体電解質との密着性が高まると、イオン伝導性が向上してより高い充放電容量が得られるようになると共に、充放電を繰り返した場合に、負極活物質粒子の体積変化による固体電解質との接触性が低下することも抑制されて、さらに優れた充放電サイクル特性が得られるようになる。また、上記のように負極と固体電解質とが接触する界面において、固体電解質に含まれる成分が負極活物質粒子の中に固溶された状態になると、金属間化合物を形成する場合のように、充放電によって固体電解質に含まれる成分と活物質とが分離されて密着性が低下するということもなく、一層優れた充放電サイクル特性が得られるようになる。
さらに、合金化された他の金属元素が酸化してしまうことよるリチウムイオンに対する不活性化を防止するために、第2のステップによるプレ・シリコン合金粒子の非晶質化は不活性ガス雰囲気の下で実施されることが好ましい。
プレ・シリコン合金粒子と第2の金属元素とを不活性ガス雰囲気の下で固着させ表面処理すると、生成された金属酸化物を所定量以下に抑えることが可能となり、また、このような不活性ガス雰囲気の下による金属酸化物生成の抑制は、シリコン合金粒子および第2金属元素が雰囲気ガスと反応して他の金属生成物を作り出してしまうことをも排除する。
また、このとき生成される金属酸化物の負極活物質粒子全体の重量に占める割合が1wt%より大きくなると、初期負極活物質粒子の利用率が相乗効果で90%以下となるため、負極活物質粒子全体の重量に占める金属酸化物の割合は1wt%以下に抑えられることが好ましい。
第3のステップよる複雑形状を有する負極活物質粒子の形成は、非晶質化されたシリコン合金粒子をメカニカルアロイング法、焼結法、およびその他の表面改質複合化法(高速で複数種類の粉体同士が衝突しながら容器内を循環することにより合金化、表面処理する製法で、ハイブリダイジング法とも呼ばれる方法や、容器内壁と中心軸との間隙で粉体が押し付けられる時の摩擦熱と加圧力を利用して合金化、表面処理する製法で、メカニカルグライディング法、またはメカノフュージョン法と呼ばれているものなどがある。)を用いて第1の導電性材料で表面処理することにより行われる。また、本発明による負極活物質粒子は、これらの異なる製法によって作製された負極活物質粒子の混合粉を用いたものであってもよい。
前記製法の中で、特にメカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法などを用いて非晶質化されたシリコン合金粒子の表面に第1の導電性材料を被覆すると、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴い粒子形状が破壊した場合でも、シリコン合金粒子の表面の一部にこれらの第1の導電性材料が凹凸を形成しながら残存し、かつ、粒子形状を維持していることから、固着された第1の導電性材料を媒体として粒子間の電気的な繋がりが維持され、リチウム二次電池容量の減少が抑制される。
本発明による負極活物質粒子を用いて負極を形成するためには、銅箔などからなる負極集電体に本発明による負極活物質粒子の他、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、マグネシウム、鉛、錫、錫半田、亜鉛および導電性炭素材料よりなる群から選ばれた1種又は2種以上の第2の導電性材料とバインダーとを含む被覆材料を塗工し熱乾燥させることにより、所定の空隙率を有する被覆層で表面処理されたリチウム二次電池用の負極を作製することができる。
このとき、メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法、焼結法、またはその他の表面改質複合化法を用いて非晶質領域を有するシリコン合金粒子の表面に第1の導電性材料を固着させた負極活物質粒子を用いると、これらの負極活物質粒子は複雑な表面形状を有する粒子形状を維持していることから、塗工後、所定の空隙率を有する被覆層で表面処理されたリチウム二次電池用の負極の形成を容易にし、負極集電体を塗工する上で極めて重要な因子の一つとなる。
このように、本発明による負極集電体への塗工方法は、それ以外で他の特許に説明されているような負極集電体表面を粗面化したところに数μmの厚さに柱状シリコンをイオンスパッタリング、PVD、CVDおよびメッキなどの方法により形成させる表面処理方法に対して被覆層の厚みを厚くできることから、電極容量を大きくして容積効率を高めることができる。
この結果、本発明による負極を用いたリチウム二次電池は、高率充放電に対して厚み90μmの電極においては、2Cまでは0.2Cの場合とほぼ同程度の電池容量を示すために、小型の携帯用機器へ適用することもできる。
また、負極に形成される被覆層の空隙率は、負極集電体の両面に負極活物質粒子を塗工し熱乾燥した状態での前記被覆層の空隙率を好ましくは37%〜65%の範囲内にすることで、負極活物質粒子のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積膨張を被覆層内部のみで吸収して負極の厚みの増加を抑制することができるため、全体としても前記負極が組み込まれたリチウム二次電池の形状変化を最小限に抑えることができる。
このような負極に形成される被覆層の空隙は、従来、電極密度と被覆面との平滑性を高めるために、塗工後、プレス加工されていたが、このような加圧成形をすると、逆に負極の厚みを変動させてリチウム二次電池を設計通りの寸法に仕上げることができず、また、サイクル試験中にも負極の厚みが変動するために、限られた容積内での負極の動きにより内部短絡が発生するという問題があった。
しかしながら、本発明による負極を用いたリチウム二次電池の製造方法によれば、このように被覆層に形成される空隙率を所定範囲内に制御することが可能となり、負極を加圧成形しないことにより上記問題を解決できる。
本発明による負極活物質粒子は、(1)負極活物質粒子のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う粒子の微細化の抑制と、(2)負極活物質粒子のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う粒子の微細化が起こっても微細化された微粒子の電気的な繋がりを保持することができる。
また、本発明による負極活物質粒子は、(3)比較的簡単な工程で製造でき、リチウムイオンの吸蔵及び放出時における体積変化を低減できるリチウム二次電池用負極活物質粒子およびその製造方法並びにその負極活物質粒子を用いた負極およびリチウム二次電池を提供することができる。
さらに、本発明による負極活物質粒子は、(4)充放電効率が高く、サイクル寿命及びエネルギー密度が低下せず、更に内部抵抗が増大しないリチウム二次電池を提供することができる。
また逆に、上述したような本発明による負極活物質粒子において規定される範囲外の構成または値を用いた負極活物質粒子を用いると、充放電サイクル経過後のリチウム二次電池の特性は図3の中のCで示されたように初期特性を維持できなくなり実用に適しない。
なお、本発明における他の金属元素の個々の比率および原材料の粒度などについては特に限定するものではなく、リチウム二次電池の用途・容量・形態に応じて適宜選択されるものである。
以下、本発明による負極活物質粒子を用いた負極、およびその負極を用いたリチウム二次電池について実施例を用いて具体的に説明すると共に、充放電サイクル特性が向上されることを比較例を挙げて明らかにする。
図1は、本発明による負極活物質粒子を用いた薄型のリチウム二次パック電池1の外観斜視図を示し、電池1にはそれぞれ正極端子2および負極端子3が設けられている。
図2には、図1に用いられている負極の斜視図が示されており、厚み約8μmの銅箔からなる負極集電体4の表裏面に、主に本発明による負極活物質粒子5を表裏面で相対的に少し位置をずらしてそれぞれ厚みが約50μmになるように塗布して乾燥したものである。
また、図4には、本発明による負極活物質粒子の製造プロセスと各プロセスにおける負極活物質粒子の形態概念図示している。
図4を参照して、本発明による負極活物質粒子の製造プロセスを以下に説明する。負極活物質粒子5は、通常の溶融合金化法により、シリコンにアルミニウム0.07%、クロム0.01%、鉄0.1%およびマグネシウム0.01%をあらかじめ添加させた平均粒径2μmを有するプレ・シリコン合金粉末粒子を作製し使用した。
つぎに、このプレ・シリコン合金粉末粒子と平均粒径3μmを有するニッケル粒子粉末、およびマグネシウム粉末粒子とを0.5:0.35:0.15の重量比となるように混合し、アルゴンガス雰囲気下で遊星ボールミル容器内に収納して前記容器を密閉した上で約10時間高速回転させること(メカニカルアロイング法)によりプレ・シリコン合金粉末粒子とニッケル粉末粒子、マグネシウム粉末粒子とを合金化し非晶質化させたシリコン−ニッケル−マグネシウム合金粉末粒子を作製した。
このとき作製されたシリコン−ニッケル−マグネシウム合金粉末粒子をXRD分析したところ、シリコン元素のピークは検出されなかったことから、すべてのシリコンが非晶質化したものと考えられる。
つぎに、ニッケルおよび鉄の重量比が0.25:0.25となるように混合された金属粉末粒子と黒鉛粉末との重量比が0.5:0.5となるように配合された第1の導電性材料と、前記非晶質化されたシリコン−ニッケル−マグネシウム合金粉末粒子との重量比が1:1(シリコン−ニッケル−マグネシウム合金粉末粒子:金属粉末粒子:黒鉛との重量比が1.0:0.5(0.25Ni:0.25Fe):0.5)となるように配合して、ハイブリダイジング法によりシリコン−ニッケル−マグネシウム合金粉末粒子の表面改質処理を行なうことにより、本発明による負極活物質粒子5の粉末を作製した。
作製された本発明による負極活物質粒子5の粉末にバインダーを加えて攪拌し、塗工機のタンクに充填し塗工ヘッドより間欠的に吐出させることにより負極集電体4の表裏面に塗工し、さらに、約150℃で乾燥した後に所定の幅で一定の長さを有するスリット形状に切断することにより、本発明によるリチウム二次電池用の負極4を作製した。
つぎに、接着フィルムが熱接着された負極端子2を負極集電体4の端部表面上にある未塗工部分に超音波溶接し、真空乾燥後に正極とセパレーターを介して重ね合わせながら巻き込み、さらに、アルミラミネートフィルムを成形した電池パック内に装填して片面を残して熱シールし、未シール部分から電解液を真空含浸した後に未シール部分を真空下で熱シールすることにより真空密閉してリチウム二次電池1を作製した。
前記リチウム二次電池1の作製条件は、以下のとおりである。
(1)負極
負極活物質88wt%、導電剤(ケッチェンブラック)4wt%、バインダー(ポリフッ化ビニリデン)8wt%よりなる負極合剤に溶剤(N−メチルピロリドン)の適量を加えることにより溶解してペースト状とし、これを負極集電体4(厚さ8μmの銅箔)に乾燥塗工膜の厚みが約60μmとなるように塗工した。
(2)セパレーター
厚さ約20μmの多層ポリエチレンフィルムを用いた。
(3)正極
コバルト酸リチウム40wt%、鉄リン酸リチウム10wt%、ニッケル−コバルト酸リチウム40wt%よりなる正極活物質90wt%と、導電剤(ケッチェンブラック)5wt%とバインダー(ポリフッ化ビニリデン)5wt%とを混合し、適量の溶剤(N−メチルピロリドン)を加えることにより溶解してペースト状とし、これを正極集電体(厚さ約15μmのアルミ箔)に、プレス後の乾燥塗工膜の比重が3、厚みが約60μmとなるように塗工した。
(4)電解液
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとが1:1の混合液に、LiPFを1M濃度となるように溶解した。
このようにして作製された、本発明による負極活物質粒子が塗工された負極を有する薄型パック電池の設計上の理論容量は約1,200mAhとなる。
図3には、本発明によるリチウム二次電池による5時間率での充放電サイクルした場合の結果と、その比較例として、プレス処理をするなどして負極被覆層の空隙率を35%にした負極を用いたリチウム二次電池による5時間率での充放電サイクルした電池の特性を示す。
ここで、図3の中のAで示される曲線は本発明による負極活物質粒子が塗工された負極を備えたリチウム二次電池の充放電特性であり、Cで示される曲線は結晶質シリコンが残留した組成の負極活物質粒子を塗工した後、プレス処理をするなどして空隙率を35%にした負極を用いた比較例によるリチウム二次電池の特性を示す。また、付記番号の1および2は5サイクル目の特性であることを表し、付記番号の3および4は45サイクル目の特性であることをを表す。
図3によれば、本発明によるリチウム二次電池は、特性Aにより当初設計値どおりの電池容量が得られていることが判る。また、45サイクル目経過後においても約1,160mAhの電池容量を示していることから、45サイクル目経過後においても当初設計値の約97%の電池容量を維持できることが判った。
一方、これに対し比較例によるリチウム二次電池の特性Cは、当初設計値の約1,200mAh電池容量に対して、最初の充電では約1,180mAhとほぼ設計値どおりの電池容量を示したが、5サイクル目では約970mAh、45サイクル目では約405mAhと電池容量の減衰が著しいことが判明した。
このように、本発明よるリチウム二次電池の充放電サイクル経過による電池容量の減少が小さいのは、負極内での本発明による負極活物質粒子からなる被覆層のリチウムイオン吸蔵・放出による体積膨張・収縮の変化が小さく、かつ、前記被覆層がその体積変化による応力歪に対抗できる強度を有しており、さらに、前記被覆層を構成する負極活物質粒子の微細化の進行が抑制されると共に、表面改質処理効果により複雑形状化された負極活物質粒子の表面が導電性機能を維持しているために、たとえ負極活物質粒子が負極集電体から離脱しても負極内での電気的接続ネットワークが確保されて、充放電時の十分な電子移動を可能としていることによるものと考えられる。
なお、負極活物質粒子としてシリコンと他の金属元素とを混合物してその全部または一部を合金化して調整する場合は、他の金属元素を複数種類混合してより高い充放電効率を示す最適な他の金属元素の組み合わせがあることが認められた。
例えば、アルミニウム、銅および錫は他の金属元素と合金化し易く、鉛およびアンチモンなどは他の金属元素との合金化を促進し、かつ、マグネシウムはリチウムイオンの吸蔵放出に伴う体積膨張・収縮に対してもシリコン合金粒子の微細化を抑制して導電機構を維持する傾向が強いことが判明した。
一方、これに対してアルミニウム、鉄、マグネシウムおよびニッケルは非常に活性であるために、特にシリコンと合金化する際の雰囲気に注意を払わないと酸化による発熱を起こし、その結果、リチウム二次電池の充放電効率を低下させるのでその取り扱いには注意を要する。金属酸化物がシリコン合金粒子内で部分的にでも存在すると、リチウムイオンを吸蔵した場合にリチウムイオンが酸化して不活性化してしまい、惹いてはリチウム二次電池の容量を減少させることになる。なお、リチウム二次電池に用いられる全ての材料の水分率は、10ppm以下とすることによりリチウム二次電池の寿命が向上することが判った。
本発明による負極活物質を用いた薄型パック電池の斜視図を示す。 本発明による負極活物質を塗工した負極の斜視図を示す。 本発明による負極が適用されたリチウム二次電池と比較例とのリチウム二次電池の充放電サイクル特性を示す。 本発明による負極活物質粒子の製造プロセスと各プロセスにおける負極活物質粒子の形態概念図示す。
符号の説明
1 薄型パック電池
2 負極端子
3 正極端子
4 負極集電体
5 負極活物質

Claims (11)

  1. 電気化学的にリチウムを吸蔵および放出するリチウム二次電池用の負極活物質粒子を製造する方法であって、
    シリコンの全部または一部と第1の他の金属元素とを合金化させてシリコン合金粒子を製造するための第1のステップと、
    前記シリコン合金粒子表面の全部または一部を第2の他の金属元素でさらに合金化および/または表面処理し、非晶質領域を有するシリコン合金粒子に改質するための第2のステップと、そして
    前記非晶質領域を有するシリコン合金粒子に第1の導電性材料を固着させるための第3のステップとを含み、
    かつ、前記第1の他の金属元素は、少なくとも鉄、アルミニウム、クロムおよびマグネシウムよりなる群から選ばれた1種以上の金属元素であり、前記第2の他の金属元素は、少なくとも鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、マグネシウム、鉛、錫、亜鉛、ビスマスおよびアンチモンよりなる群から選ばれた1種以上の金属元素であることを特徴とする、リチウム二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  2. 前記第2のステップは、少なくともメカニカルアロイング法、メカニカルグライディング法、液体急冷法および気体急冷法から選ばれた1又は2以上の製法であることを特徴とする、請求項1記載のリチウム二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  3. 前記第2のステップは、不活性ガス雰囲気の下で実施されるものであることを特徴とする、請求項1または2記載のリチウム二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  4. 前記第3のステップは、少なくともメカニカルアロイング法、メカニカルグライディング法、メカノフュージョン法、ハイブリダイジング法および焼結法より選ばれた1又は2以上の製法であることを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載のリチウム二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  5. 電気化学的にリチウムを吸蔵および放出するリチウム二次電池用の負極を製造する方法であって、
    シリコンの全部または一部と第1の他の金属元素とを合金化させてシリコン合金粒子を製造するための第1のステップと、
    前記シリコン合金粒子表面の全部または一部を第2の他の金属元素でさらに合金化および/または表面処理し、非晶質領域を有するシリコン合金粒子に改質するための第2のステップと、
    前記非晶質領域を有するシリコン合金粒子に第1の導電性材料を固着させるための第3のステップと、そして
    前記第1の導電性材料を固着させたシリコン合金粒子を含む被覆材料を負極集電体に表面処理し、負極を形成させるための第4のステップとを含み、
    かつ、前記第1の他の金属元素は、少なくとも鉄、アルミニウム、クロムおよびマグネシウムよりなる群から選ばれた1種以上の金属元素であり、前記第2の他の金属元素は、少なくとも鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、マグネシウム、鉛、錫、亜鉛、ビスマスおよびアンチモンよりなる群から選ばれた1種以上の金属元素であることを特徴とする、リチウム二次電池用負極の製造方法。
  6. 前記第2のステップは、少なくともメカニカルアロイング法、メカニカルグライディング法、液体急冷法および気体急冷法から選ばれた1又は2以上の製法であることを特徴とする、請求項5に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  7. 前記第2のステップは、不活性ガス雰囲気の下で実施されるものであることを特徴とする、請求項5または6記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  8. 前記第3のステップは、少なくともメカニカルアロイング法、メカニカルグライディング法、メカノフュージョン法、ハイブリダイジング法および焼結法より選ばれた1又は2以上の製法であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  9. 前記被覆材料は、バインダー含むことを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  10. リチウム二次電池用負極の被覆層に所定の空隙を形成させるために、表面処理後、リチウム二次電池用負極を加圧成形しないことを特徴とする、請求項5〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  11. 請求項5〜10のいずれかに記載の方法により得られる負極を使用することを特徴とする、リチウム二次電池の製造方法。
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