JP2004200001A - リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電容量が大きく、初期充放電効率が高く、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法を提供し、また、このような負極用材料を具備してなるリチウム二次電池負極およびリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法、並びに該リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を具備したリチウム二次電池負極およびリチウム二次電池。
【選択図】 なし
【解決手段】リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法、並びに該リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を具備したリチウム二次電池負極およびリチウム二次電池。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素層を形成し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびリチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を含有する炭素層を形成してなる2層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型軽量化および高性能化が進行している携帯電子機器のニーズに応えるため、リチウムイオン二次電池の高容量化が急務となっている。ところで、リチウムイオン二次電池の負極活物質の一つである黒鉛は、372mAh/gの理論電気容量を有するが、これよりも高容量である負極活物質を得ようとするためには、非晶質炭素材料や、あるいは炭素材料に代わる新規材料の開発を進める必要がある。黒鉛に代わる新規材料としては、従来からケイ素やその化合物が検討されている。ケイ素やその化合物は、ケイ素自体がリチウムと合金を形成し、黒鉛よりも大きな電気容量が得られることが知られている。そこで最近では、黒鉛にケイ素化合物の粉末を単に混合したものや、シランカップリング剤などを用いて黒鉛表面にケイ素化合物などを化学的に固定したものが提案されている。
【0003】
しかしながら、黒鉛にケイ素化合物などを単に混合したものを負極用材料として用いた場合には、黒鉛とケイ素化合物とが必ずしも密着していないため、充放電サイクルの進行によりケイ素化合物が膨張・収縮した際にケイ素化合物が黒鉛から遊離してしまい、このケイ素化合物自体の電子伝導性が低いため、ケイ素化合物が負極活物質として十分に利用されないという問題点があった。また、黒鉛にケイ素化合物をシランカップリング剤などで化学的に結合させたものでは、充放電サイクルが進行してもケイ素化合物と黒鉛とが密着したままであるため、ケイ素化合物も負極活物質として十分に機能するが、負極用材料の製造の際にシランカップリング処理が必要であり、このため安定した品質の負極用材料が容易に得られるまでには至っていない他、また高容量を得るために十分なケイ素化合物をカップリング処理できないという問題点を有していた。
【0004】
また、リチウムイオン二次電池の負極用材料としては、黒鉛の理論容量を超えるものとして、炭素材料と、リチウムと合金化可能な金属または合金との複合材料も検討されている。これらのリチウム合金を含む炭素負極用材料としては、(1)金属または合金と炭素材または黒鉛材とを単に混合したもの、(2)その改良法として炭素前駆体となるピッチ・樹脂などと金属または合金とを溶融混練した後、粉砕・炭化して用いる方法などが提案されているが、上記と同様、充放電に伴いリチウム合金化金属が大きく膨張するため粒子の破壊が起き易く、サイクル劣化が起きるという問題点を有する。
【0005】
さらに、リチウムと合金化可能な金属としてのケイ素粒子の表面に、化学蒸着処理法(CVD法)により炭素層被膜を形成してなるリチウム二次電池用負極材料が開示されている。(たとえば、特開2002−215887号公報(特許文献1)など)
しかしながら、上記化学蒸着処理法で炭素層被覆された負極用材料は、均一な炭素層被覆処理が可能である一方、該処理が比較的高コストとなるという問題点を有していた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−215887号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、充放電容量が大きく、初期充放電効率が高く、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法を提供し、また、このような負極用材料を具備してなるリチウム二次電池負極およびリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の研究を重ねた結果、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造とすることなどにより、充放電容量が大きく、初期充放電効率が高く、かつ充放電サイクル特性に優れるリチウム二次電池負極用複合炭素材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
さらに、本発明の第2の発明によれば、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素層を形成し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を含有する炭素層を形成してなる2層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1ないし第3の発明において、上記リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子が、ケイ素もしくはスズまたはそれらと他の金属との混合物あるいは合金を含む金属化合物であるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
【0011】
また、本発明の第5の発明によれば、第1ないし第4のいずれかの発明において、上記鎖状構造を有する導電性物質が、カーボンブラックであるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1ないし第4のいずれかの発明において、上記アスペクト比を有する導電性物質が、黒鉛化気相成長炭素繊維であるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
【0012】
また、本発明の第7の発明によれば、第1ないし第6のいずれかの発明において、上記炭素層が、異方性(メソフェーズ)ピッチまたは等方性ピッチを原料とした炭化物層であるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を固定化し、さらにその表面に炭素前駆体の被膜を形成した後、該炭素前駆体から炭素層を形成するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の第9の発明によれば、第2の発明において、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により炭素前駆体を固定化し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を該メカノケミカル処理により固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第10の発明によれば、第3の発明において、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と炭素前駆体とからなる混合物を固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法が提供される。
【0015】
さらに、本発明の第11の発明によれば、第1ないし第7のいずれかの発明におけるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を用いるリチウムイオン二次電池負極が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、第11の発明におけるリチウムイオン二次電池負極を用いるリチウムイオン二次電池が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法について詳細に説明する。
(I)リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料
(1)金属もしくは金属化合物粒子
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の核として、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくはその金属化合物粒子を使用する。
【0017】
上記金属としては、Ag,Zn,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pbなどが挙げられ、また金属化合物としては、たとえば、SnO,SnO2,SiO,SiO2 などの金属酸化物およびSiとB,C,Mg,Al,Fe,Co,Ni,In,Snなどとの金属ケイ素化合物などが挙げられる。
この中、好ましくはAg,Zn,Al,Si,Ge,Sn,Pbもしくはその合金を含む金属化合物、より好ましくはSi,Snもしくはその合金を含む金属化合物、特に好ましくはSiもしくはその合金を含む金属化合物である。
【0018】
これらの金属もしくは合金を含む金属化合物は、混合物として用いてもよい。
上記の金属もしくは金属化合物粒子は、レーザー回折方式による測定にて、3〜50μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜30μmの平均粒径を有する。本発明の金属もしくは金属化合物粒子が、上記範囲の平均粒径であると、工業的に要求される負極塗工電極の性状(塗工性、塗工電極の厚み均一性、塗工電極密度など)のバランスの点および負極電極の導電性の点などより好ましい。
(2)導電性物質
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料においては、上記のようなリチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接(第1製造法)または炭素層を形成する炭素前駆体を挟んで(第2製造法)、もしくは炭素層を形成する炭素前駆体と混合して(第3製造法)、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化する。
【0019】
本発明において、鎖状構造を有する導電性物質としては、各種のカーボンブラックなどが挙げられるが、この中、特に好ましいものは、鎖状構造性、導電性の観点からアセチレンブラックの使用である。
また、本明細書において、アスペクト比を有する導電性物質とは、繊維状、円柱状、角柱状、紡錘状、タブレット状など、必ずしも円形の断面を有するものではない細長い形状を有する導電性粒子を意味する。
【0020】
このようなものとしては、各種金属繊維、各種金属酸化物繊維、各種黒鉛化炭素繊維などが挙げられるが、この中、特に好ましいものは、導電性が高く、それ自体が容量に寄与することおよび大きさなどの観点から黒鉛化気相成長炭素繊維の使用である。
本発明のアスペクト比を有する導電性物質として好ましく用いられる黒鉛化気相成長炭素繊維について説明する。
【0021】
黒鉛化気相成長炭素繊維
本発明のリチウムイオン二次電池負極に使用する黒鉛化気相成長炭素繊維は、特定の長さを有する黒鉛化気相成長炭素繊維を、適切な切断手段にて切断することにより製造することができる。
該黒鉛化気相成長炭素繊維は、気相成長炭素繊維を黒鉛化処理することにより、また、該気相成長炭素繊維は、気相成長法により製造することができる。
【0022】
気相成長法により気相成長炭素繊維を製造する方法としては、いわゆる基板成長法と流動気相法とがある。基板成長法は、基板に触媒金属、たとえば遷移金属もしくは遷移金属化合物を担持させ、高温度に加熱しながら、その基板上に炭素源ガス、たとえば炭化水素ガスを流通させることにより、基板表面に炭素繊維を生成させる方法であり、流動気相法は、基板を使用せず、触媒金属源、たとえば触媒金属を供給することのできる金属化合物と炭素源、たとえば炭化水素のような炭素化合物とを気化して高温の反応管中に流通させることにより、空間中に炭素繊維を生成させる方法である。なお、炭素源と触媒金属源とは同一の化合物であってもよく、好適な化合物としてフェロセンのようなメタロセン化合物が挙げられる。
【0023】
具体的には、特開昭52−107320号、特開昭57−117622号、特開昭58−156512号、特開昭58−180615号、特開昭60−185818号、特開昭60−224815号、特開昭60−231821号、特開昭61−132630号、特開昭61−132600号、特開昭61−132663号、特開昭61−225319号、特開昭61−225322号、特開昭61−225325号、特開昭61−225327号、特開昭61−225328号、特開昭61−2275425号、特開昭61−282427号、特開平5−222619号の各公報に記載の方法により製造される気相成長炭素繊維を黒鉛化気相成長炭素繊維の原料として使用することができる。
【0024】
黒鉛化気相成長炭素繊維は、上記気相成長炭素繊維を2,000℃以上、好ましくは2,000〜3,000℃の範囲に加熱処理することにより黒鉛化することにより製造することができる。
加熱処理の雰囲気としては、通常、不活性ガス雰囲気が用いられる。加熱処理時間は、通常5分以上である。
【0025】
本発明においては、上記のようにして得られる平均繊維長が20〜100μm、好ましくは30〜70μmである黒鉛化気相成長炭素繊維を適切な切断手段により切断することにより、リチウムイオン二次電池負極用黒鉛化気相成長炭素繊維を得ることができる。
上記切断手段としては、高圧縮力をもって繊維塊を加圧圧縮するプレス機、静水圧等方加圧装置(CIP)、加圧ロール装置などを挙げることができる。
【0026】
加圧圧縮による場合、その加圧圧縮力は、100〜3,000kg/cm2であり、好ましくは300〜2,000kg/cm2であり、さらに好ましくは500〜1,500kg/cm2である。
本発明において、メカノケミカル処理によりリチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接または炭素層を形成する炭素前駆体を挟んで、もしくは炭素層を形成する炭素質前駆体と混合して固定化される上記鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質の大きさは、固定化できる大きさであれば特に限定されるものではないが、上記鎖状構造を有する導電性物質は、その一次粒子径が金属もしくは金属化合物粒子の平均粒径の10分の1以下程度がよい。一方、上記アスペクト比を有する導電性物質は、短軸方向の長さが金属もしくは金属化合物粒子の平均粒径の10分の1以下程度で、かつ長軸方向の長さは金属もしくは金属化合物粒子の平均粒径の2倍以下程度がよい。これを超える大きさであると、金属もしくは金属化合物粒子表面に均一に固定化し難く充放電における金属もしくは金属化合物の膨張・収縮を十分に押さえ込むことができなくなるので好ましくない。
(3)炭素層
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成するか(第1製造法)、または、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接(第2製造法)もしくは鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と炭素前駆体との混合物を固定化した後に(第3製造法)炭素層を形成する。
【0027】
該炭素層の炭素前駆体としては、たとえば、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどが挙げられるが、好ましくは石油系ピッチであり、特に好ましくは石油系異方性(メソフェーズ)ピッチまたは等方性ピッチが用いられる。
本発明の第1製造法においては、これらの炭素前駆体を用いて溶融浸漬法、溶融噴霧法、メカノケミカル処理法など、好ましくはメカノケミカル処理法により、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質表面に炭素前駆体の被膜を形成し、さらに不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより炭素層を形成する。
【0028】
また、本発明の第2製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素前駆体をメカノケミカル処理にて固定化し、さらにその表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理にて固定化した後、不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより炭素層を形成する。
【0029】
さらに、本発明の第3製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素前駆体と鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質との混合物をメカノケミカル処理にて固定化した後、不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を含有する炭素層を形成する。
【0030】
該炭素層の厚さは、いずれも0.05〜1.0μm程度である。炭素層の厚さが0.05μm未満であると、充放電における金属もしくは金属化合物の膨張・収縮により炭素層が崩壊し、導電性が保たれなくなる。また、1.0μmを超えると、相対的に炭素化率が高くなり負極容量の低下を招き好ましくない。
(II)リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法
本発明の第1製造法においては、前記のように、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を固定化し、さらにその表面に炭素層を形成することによりリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を製造する。
【0031】
また、本発明の第2製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により炭素前駆体を固定化し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を該メカノケミカル処理により固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成することによりリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を製造する。
【0032】
さらに、本発明の第3製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と炭素前駆体との混合物を固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成することによりリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を製造する。
【0033】
なお、本発明の第3製造法における鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と、炭素層を形成する炭素前駆体との混合比は、重量比にて2:1〜1:20程度でよい。
以下にメカノケミカル処理について説明する。
メカノケミカル処理
本発明においてメカノケミカル処理とは、乾式法にて機械的衝撃力などの機械的エネルギーを用いることにより化学的変化を誘起する処理方法を意味する。
【0034】
具体的な方法として、原料粉体を運動する気体にのせて、粉体同士をぶつける、あるいは粉体を強固な壁にぶつける方法、たとえば、ジェットミル、ハイブリダイゼーションなどが挙げられる。また、狭い空間を大きな力で通すなどの方法により、粉体にせん断力を与えて、その際のエネルギーを利用する方法を用いることができる。たとえば、ホソカワミクロン(株)製メカノフュージョンなどが挙げられ、上記せん断力を与える場合、与えるせん断速度は、10sec-1以上、好ましくは100sec-1以上、さらに好ましくは1,000sec-1以上である。また、その上限は通常50,000sec-1以下である。
【0035】
本発明においては、ハイブリダイザーを用いてメカノケミカル処理を行うことが好ましい。ハイブリダイザーは、上記のように粒子を気相中に分散させながら、衝撃力を主体とする機械的・熱的エネルギーを粒子に与え、1〜5分間で固定化または成膜処理を行うことができるものである。
該メカノケミカル処理に際して、雰囲気の温度を高くすると、金属もしくは金属化合物粒子と鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質との反応が促進され、炭化物などの生成が多くなるので好ましくない。メカノケミカル処理時の雰囲気温度は、500℃以下、好ましくは400℃以下、さらに好ましくは300℃以下が望ましい。また、メカノケミカル処理は、大気中で行うこともできるが、不活性ガス雰囲気、たとえば窒素ガス雰囲気が好ましく、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気がさらに好ましい。
【0036】
本発明においては、このメカノケミカル処理を行うことにより、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質および/または炭素前駆体を金属もしくは金属化合物粒子表面上に、均一かつ強固に固定化することが可能となる。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成するか(第1製造法)、または、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接(第2製造法)もしくは鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と混合してメカノケミカル処理により炭素前駆体を固定化した後(第3製造法)炭素層を形成する。
【0037】
以下に炭素層の形成について説明する。
炭素層の形成
本発明においては、前記のように、好ましくは石油系異方性(メソフェーズ)ピッチまたは等方性ピッチなどを炭素前駆体として用い、メカノケミカル処理法などによりその被膜を形成した後、不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより炭素層を形成する。
【0038】
該熱処理温度は、500〜1,500℃、好ましくは800〜1,200℃である。上記温度範囲で炭素層形成を行うことにより、負極用複合炭素材料の導電性を高くし、かつ金属もしくは金属化合物粒子の炭化物の生成を抑制できるので好ましい。
また、熱処理は、不活性ガス雰囲気、たとえば、窒素ガス雰囲気下にて行う。
【0039】
熱処理時間は、1〜10時間程度でよい。また、該熱処理前に適宜ピッチ被膜の不融化処理を行うこともできる。
このようにして製造された本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の平均粒径は、レーザー回折方式による測定にて、3〜35μm程度である。
(III)リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料は、ポリエチレンやポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどのバインダーを添加し、負極とするに好適な形状、たとえばシート状または板状に加圧ロール成形する。
【0040】
このようにして作成された負極は、単位体積当たりの容量が大きく、電池の小型化に好適である。
また、本発明による複合炭素材料を負極に用い、リチウムイオン二次電池を製造する場合には、電解液としてはリチウム塩を溶解し得るものであればよいが、特に非プロトン性の誘電率が大きい有機溶媒が好ましい。
【0041】
上記有機溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチル−ジオキソラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを挙げることができる。これらの溶媒を単独、あるいは適宜混合して用いることが可能である。
【0042】
電解質としては、安定なアニオンを生成するリチウム塩、たとえば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、六塩化アンチモン酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)などが好適である。
また、リチウムイオン二次電池の正極としては、たとえば、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバルト、五酸化バナジウムなどの金属酸化物や、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などのリチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モリブデンなどの遷移金属のカルコゲン化合物;およびポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロールなどの導電性を有する共役系高分子物質などを用いることができる。
【0043】
これらの正極と負極との間に合成繊維製またはガラス繊維製の不織布、織布やポリオレフィン系多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレンの不織布などのセパレータを設ける。
また、従来の電池と同様に集電体を使用することができる。
負極集電体としては、電極、電解液などに電気化学的に不活性な導体、たとえば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス綱などの金属を板、箔、棒の形態で使用できる。
【0044】
本発明のリチウム二次電池は、前記セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケースなどの電池構成要素と本発明の負極用複合炭素材料とを用いて、常法に従って円筒型、角型あるいはボタン型などの形態を有することができる。
本発明のリチウム二次電池は、各種携帯電子機器に用いられ、特にノート型パソコン,ノート型ワープロ,パームトップ(ポケット)パソコン,携帯電話,PHS,携帯ファックス,携帯プリンター,ヘッドフォンステレオ,ビデオカメラ,携帯テレビ,ポータブルCD,ポータブルMD,電動髭剃り機,電子手帳,トランシーバー,電動工具,ラジオ,テープレコーダー,デジタルカメラ,携帯コピー機,携帯ゲーム機などに用いることができる。また、さらに電気自動車,ハイブリッド自動車,自動販売機,電動カート,ロードレベリング用蓄電システム,家庭用蓄電器,分散型電力貯蔵機システム(据置型電化製品に内蔵),非常時電力供給システムなどの二次電池として用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0046】
【実施例1】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径10μm、純度99.9%)16.0gに、比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、大気中で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、ピッチ被覆ケイ素粉末を得た。次いで、該ピッチ被覆ケイ素粉末20.0gに平均繊維径(短軸方向の長さ)0.1μm、平均繊維長(長軸方向の長さ)5μmのVGCF(気相成長炭素繊維)1.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、大気中で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、複合化処理粉を得た。次いで、該複合化処理粉を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより本発明の負極用複合炭素材料を得た。
【0047】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層で被覆され、さらにその表面にVGCFが強固に付着した複合炭素材料が得られたことが判明した。また、この負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、10.8μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、81.6重量%であった。
【0048】
上記で得られた負極用複合炭素材料に対し、ポリフッ化ビニリデン7重量%を添加した塗液を作製し、銅箔上に塗布・乾燥後、電極密度が1.6g/ccとなるように圧延し負極とした。
すなわち、上記負極と対極および参照極に金属リチウムを用いた三極セルを使用し、エチレンカーボネート(EC)/メチルエチルカーボネート(MEC)を体積比にて1/2に調製した混合炭酸エステル溶媒に、電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モルの濃度で溶解させた電解液中にて、充放電容量特性を測定した。
【0049】
充放電は、100mA/g−10mVの定電流−定電圧にて12時間充電し、放電は、100mA/gの定電流にて(1.5V/Li/Li+)の電位まで行い、10回繰り返し測定した。
この時の、初回の放電容量は820mAh/g、充放電効率は90.5%、10回目の放電容量は820mAh/g、充放電効率は99.9%と高い放電容量および充放電効率を示し、10回目まで安定にサイクルを繰り返し得た。
【0050】
【実施例2】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径5μm、純度98%)16.0gに、実施例1と同様のVGCF1.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で9,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、VGCF被覆ケイ素粉末を得た。次いで、該VGCF被覆ケイ素粉末17.0gに比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、複合化処理粉を得た。次いで、該複合化処理粉を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより本発明の負極用複合炭素材料を得た。
【0051】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層で被覆された複合炭素材料が得られたことが判明した。また、この負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、5.6μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、81.2重量%であった。
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
【0052】
この時の、初回の放電容量は815mAh/g、充放電効率は90.1%、10回目の放電容量は814mAh/g、充放電効率は99.9%と高い放電容量および充放電効率を示し、10回目まで安定にサイクルを繰り返し得た。
【0053】
【実施例3】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径5μm、純度98%)16.0gに、実施例1と同様のVGCF1.0gおよび比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、複合化処理粉を得た。次いで、該複合化処理粉を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,100℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより本発明の負極用複合炭素材料を得た。
【0054】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層およびVGCFで被覆された複合炭素材料が得られたことが判明した。また、この負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、5.6μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、81.3重量%であった。
【0055】
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
この時の、初回の放電容量は817mAh/g、充放電効率は90.4%、10回目の放電容量は817mAh/g、充放電効率は99.9%と高い放電容量および充放電効率を示し、10回目まで安定にサイクルを繰り返し得た。
【0056】
【比較例1】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径10μm、純度99.9%)16.0gに、比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、ピッチ被覆ケイ素粉末を得た。次いで、該ピッチ被覆ケイ素粉末を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより負極用複合炭素材料とした。
【0057】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層で被覆された複合炭素材料が得られたことが判明した。
また、該負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、10.7μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、86.0重量%であった。
【0058】
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
この時の、初回の放電容量は807mAh/g、充放電効率は88.5%、10回目の放電容量は710mAh/g、充放電効率は99.4%と初期容量および初期効率は、比較的良好であるものの、10回目まで緩やかにサイクル劣化を生じた。
【0059】
【比較例2】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径10μm、純度99.9%)16.0gに、比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをメカノケミカル処理による複合化処理を行うことなく、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより負極用複合炭素材料とした。
【0060】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、ケイ素粉末とピッチ粉末とが均一に混合されているものの、ケイ素粉末が炭素層で被覆されていないことが判明した。
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
【0061】
この時の、初回の放電容量は605mAh/g、充放電効率は85.1%、10回目の放電容量は440mAh/g、充放電効率は98.5%と初期容量および初期効率とも低く、かつ10回目までの容量劣化も顕著であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料は、個々の粒子が均質である上、核である金属もしくは金属化合物粒子の表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質および/または炭素層が強固に固定化されており、充放電を繰り返した時に発生する該金属もしくは金属化合物粒子の膨張・収縮を押さえ込むとともに、膨張・収縮のストレスを緩衝する作用をも有するため、該金属もしくは金属化合物粒子の膨張・収縮による崩壊を抑制でき、かつ該金属もしくは金属化合物粒子が崩壊した場合であっても粒子間の導電性が保持される。
【0063】
従って、本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料は、高容量で、充放電効率が高く、さらにサイクル特性に優れる。
また、その製造方法も乾式法であるため、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質および/または炭素層を、核となる金属もしくは金属化合物粒子表面上に、均一かつ強固に固定化することが可能であるとともに、複雑な工程を要せず安価に製造可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素層を形成し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびリチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を含有する炭素層を形成してなる2層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型軽量化および高性能化が進行している携帯電子機器のニーズに応えるため、リチウムイオン二次電池の高容量化が急務となっている。ところで、リチウムイオン二次電池の負極活物質の一つである黒鉛は、372mAh/gの理論電気容量を有するが、これよりも高容量である負極活物質を得ようとするためには、非晶質炭素材料や、あるいは炭素材料に代わる新規材料の開発を進める必要がある。黒鉛に代わる新規材料としては、従来からケイ素やその化合物が検討されている。ケイ素やその化合物は、ケイ素自体がリチウムと合金を形成し、黒鉛よりも大きな電気容量が得られることが知られている。そこで最近では、黒鉛にケイ素化合物の粉末を単に混合したものや、シランカップリング剤などを用いて黒鉛表面にケイ素化合物などを化学的に固定したものが提案されている。
【0003】
しかしながら、黒鉛にケイ素化合物などを単に混合したものを負極用材料として用いた場合には、黒鉛とケイ素化合物とが必ずしも密着していないため、充放電サイクルの進行によりケイ素化合物が膨張・収縮した際にケイ素化合物が黒鉛から遊離してしまい、このケイ素化合物自体の電子伝導性が低いため、ケイ素化合物が負極活物質として十分に利用されないという問題点があった。また、黒鉛にケイ素化合物をシランカップリング剤などで化学的に結合させたものでは、充放電サイクルが進行してもケイ素化合物と黒鉛とが密着したままであるため、ケイ素化合物も負極活物質として十分に機能するが、負極用材料の製造の際にシランカップリング処理が必要であり、このため安定した品質の負極用材料が容易に得られるまでには至っていない他、また高容量を得るために十分なケイ素化合物をカップリング処理できないという問題点を有していた。
【0004】
また、リチウムイオン二次電池の負極用材料としては、黒鉛の理論容量を超えるものとして、炭素材料と、リチウムと合金化可能な金属または合金との複合材料も検討されている。これらのリチウム合金を含む炭素負極用材料としては、(1)金属または合金と炭素材または黒鉛材とを単に混合したもの、(2)その改良法として炭素前駆体となるピッチ・樹脂などと金属または合金とを溶融混練した後、粉砕・炭化して用いる方法などが提案されているが、上記と同様、充放電に伴いリチウム合金化金属が大きく膨張するため粒子の破壊が起き易く、サイクル劣化が起きるという問題点を有する。
【0005】
さらに、リチウムと合金化可能な金属としてのケイ素粒子の表面に、化学蒸着処理法(CVD法)により炭素層被膜を形成してなるリチウム二次電池用負極材料が開示されている。(たとえば、特開2002−215887号公報(特許文献1)など)
しかしながら、上記化学蒸着処理法で炭素層被覆された負極用材料は、均一な炭素層被覆処理が可能である一方、該処理が比較的高コストとなるという問題点を有していた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−215887号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、充放電容量が大きく、初期充放電効率が高く、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法を提供し、また、このような負極用材料を具備してなるリチウム二次電池負極およびリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の研究を重ねた結果、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造とすることなどにより、充放電容量が大きく、初期充放電効率が高く、かつ充放電サイクル特性に優れるリチウム二次電池負極用複合炭素材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
さらに、本発明の第2の発明によれば、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素層を形成し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化してなる3層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を含有する炭素層を形成してなる2層構造を有するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1ないし第3の発明において、上記リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子が、ケイ素もしくはスズまたはそれらと他の金属との混合物あるいは合金を含む金属化合物であるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
【0011】
また、本発明の第5の発明によれば、第1ないし第4のいずれかの発明において、上記鎖状構造を有する導電性物質が、カーボンブラックであるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1ないし第4のいずれかの発明において、上記アスペクト比を有する導電性物質が、黒鉛化気相成長炭素繊維であるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
【0012】
また、本発明の第7の発明によれば、第1ないし第6のいずれかの発明において、上記炭素層が、異方性(メソフェーズ)ピッチまたは等方性ピッチを原料とした炭化物層であるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を固定化し、さらにその表面に炭素前駆体の被膜を形成した後、該炭素前駆体から炭素層を形成するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の第9の発明によれば、第2の発明において、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により炭素前駆体を固定化し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を該メカノケミカル処理により固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第10の発明によれば、第3の発明において、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と炭素前駆体とからなる混合物を固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成するリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法が提供される。
【0015】
さらに、本発明の第11の発明によれば、第1ないし第7のいずれかの発明におけるリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を用いるリチウムイオン二次電池負極が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、第11の発明におけるリチウムイオン二次電池負極を用いるリチウムイオン二次電池が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料およびその製造方法について詳細に説明する。
(I)リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料
(1)金属もしくは金属化合物粒子
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の核として、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくはその金属化合物粒子を使用する。
【0017】
上記金属としては、Ag,Zn,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pbなどが挙げられ、また金属化合物としては、たとえば、SnO,SnO2,SiO,SiO2 などの金属酸化物およびSiとB,C,Mg,Al,Fe,Co,Ni,In,Snなどとの金属ケイ素化合物などが挙げられる。
この中、好ましくはAg,Zn,Al,Si,Ge,Sn,Pbもしくはその合金を含む金属化合物、より好ましくはSi,Snもしくはその合金を含む金属化合物、特に好ましくはSiもしくはその合金を含む金属化合物である。
【0018】
これらの金属もしくは合金を含む金属化合物は、混合物として用いてもよい。
上記の金属もしくは金属化合物粒子は、レーザー回折方式による測定にて、3〜50μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜30μmの平均粒径を有する。本発明の金属もしくは金属化合物粒子が、上記範囲の平均粒径であると、工業的に要求される負極塗工電極の性状(塗工性、塗工電極の厚み均一性、塗工電極密度など)のバランスの点および負極電極の導電性の点などより好ましい。
(2)導電性物質
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料においては、上記のようなリチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接(第1製造法)または炭素層を形成する炭素前駆体を挟んで(第2製造法)、もしくは炭素層を形成する炭素前駆体と混合して(第3製造法)、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化する。
【0019】
本発明において、鎖状構造を有する導電性物質としては、各種のカーボンブラックなどが挙げられるが、この中、特に好ましいものは、鎖状構造性、導電性の観点からアセチレンブラックの使用である。
また、本明細書において、アスペクト比を有する導電性物質とは、繊維状、円柱状、角柱状、紡錘状、タブレット状など、必ずしも円形の断面を有するものではない細長い形状を有する導電性粒子を意味する。
【0020】
このようなものとしては、各種金属繊維、各種金属酸化物繊維、各種黒鉛化炭素繊維などが挙げられるが、この中、特に好ましいものは、導電性が高く、それ自体が容量に寄与することおよび大きさなどの観点から黒鉛化気相成長炭素繊維の使用である。
本発明のアスペクト比を有する導電性物質として好ましく用いられる黒鉛化気相成長炭素繊維について説明する。
【0021】
黒鉛化気相成長炭素繊維
本発明のリチウムイオン二次電池負極に使用する黒鉛化気相成長炭素繊維は、特定の長さを有する黒鉛化気相成長炭素繊維を、適切な切断手段にて切断することにより製造することができる。
該黒鉛化気相成長炭素繊維は、気相成長炭素繊維を黒鉛化処理することにより、また、該気相成長炭素繊維は、気相成長法により製造することができる。
【0022】
気相成長法により気相成長炭素繊維を製造する方法としては、いわゆる基板成長法と流動気相法とがある。基板成長法は、基板に触媒金属、たとえば遷移金属もしくは遷移金属化合物を担持させ、高温度に加熱しながら、その基板上に炭素源ガス、たとえば炭化水素ガスを流通させることにより、基板表面に炭素繊維を生成させる方法であり、流動気相法は、基板を使用せず、触媒金属源、たとえば触媒金属を供給することのできる金属化合物と炭素源、たとえば炭化水素のような炭素化合物とを気化して高温の反応管中に流通させることにより、空間中に炭素繊維を生成させる方法である。なお、炭素源と触媒金属源とは同一の化合物であってもよく、好適な化合物としてフェロセンのようなメタロセン化合物が挙げられる。
【0023】
具体的には、特開昭52−107320号、特開昭57−117622号、特開昭58−156512号、特開昭58−180615号、特開昭60−185818号、特開昭60−224815号、特開昭60−231821号、特開昭61−132630号、特開昭61−132600号、特開昭61−132663号、特開昭61−225319号、特開昭61−225322号、特開昭61−225325号、特開昭61−225327号、特開昭61−225328号、特開昭61−2275425号、特開昭61−282427号、特開平5−222619号の各公報に記載の方法により製造される気相成長炭素繊維を黒鉛化気相成長炭素繊維の原料として使用することができる。
【0024】
黒鉛化気相成長炭素繊維は、上記気相成長炭素繊維を2,000℃以上、好ましくは2,000〜3,000℃の範囲に加熱処理することにより黒鉛化することにより製造することができる。
加熱処理の雰囲気としては、通常、不活性ガス雰囲気が用いられる。加熱処理時間は、通常5分以上である。
【0025】
本発明においては、上記のようにして得られる平均繊維長が20〜100μm、好ましくは30〜70μmである黒鉛化気相成長炭素繊維を適切な切断手段により切断することにより、リチウムイオン二次電池負極用黒鉛化気相成長炭素繊維を得ることができる。
上記切断手段としては、高圧縮力をもって繊維塊を加圧圧縮するプレス機、静水圧等方加圧装置(CIP)、加圧ロール装置などを挙げることができる。
【0026】
加圧圧縮による場合、その加圧圧縮力は、100〜3,000kg/cm2であり、好ましくは300〜2,000kg/cm2であり、さらに好ましくは500〜1,500kg/cm2である。
本発明において、メカノケミカル処理によりリチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接または炭素層を形成する炭素前駆体を挟んで、もしくは炭素層を形成する炭素質前駆体と混合して固定化される上記鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質の大きさは、固定化できる大きさであれば特に限定されるものではないが、上記鎖状構造を有する導電性物質は、その一次粒子径が金属もしくは金属化合物粒子の平均粒径の10分の1以下程度がよい。一方、上記アスペクト比を有する導電性物質は、短軸方向の長さが金属もしくは金属化合物粒子の平均粒径の10分の1以下程度で、かつ長軸方向の長さは金属もしくは金属化合物粒子の平均粒径の2倍以下程度がよい。これを超える大きさであると、金属もしくは金属化合物粒子表面に均一に固定化し難く充放電における金属もしくは金属化合物の膨張・収縮を十分に押さえ込むことができなくなるので好ましくない。
(3)炭素層
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成するか(第1製造法)、または、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接(第2製造法)もしくは鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と炭素前駆体との混合物を固定化した後に(第3製造法)炭素層を形成する。
【0027】
該炭素層の炭素前駆体としては、たとえば、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどが挙げられるが、好ましくは石油系ピッチであり、特に好ましくは石油系異方性(メソフェーズ)ピッチまたは等方性ピッチが用いられる。
本発明の第1製造法においては、これらの炭素前駆体を用いて溶融浸漬法、溶融噴霧法、メカノケミカル処理法など、好ましくはメカノケミカル処理法により、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質表面に炭素前駆体の被膜を形成し、さらに不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより炭素層を形成する。
【0028】
また、本発明の第2製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素前駆体をメカノケミカル処理にて固定化し、さらにその表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理にて固定化した後、不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより炭素層を形成する。
【0029】
さらに、本発明の第3製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素前駆体と鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質との混合物をメカノケミカル処理にて固定化した後、不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を含有する炭素層を形成する。
【0030】
該炭素層の厚さは、いずれも0.05〜1.0μm程度である。炭素層の厚さが0.05μm未満であると、充放電における金属もしくは金属化合物の膨張・収縮により炭素層が崩壊し、導電性が保たれなくなる。また、1.0μmを超えると、相対的に炭素化率が高くなり負極容量の低下を招き好ましくない。
(II)リチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法
本発明の第1製造法においては、前記のように、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を固定化し、さらにその表面に炭素層を形成することによりリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を製造する。
【0031】
また、本発明の第2製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により炭素前駆体を固定化し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を該メカノケミカル処理により固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成することによりリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を製造する。
【0032】
さらに、本発明の第3製造法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と炭素前駆体との混合物を固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成することによりリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を製造する。
【0033】
なお、本発明の第3製造法における鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と、炭素層を形成する炭素前駆体との混合比は、重量比にて2:1〜1:20程度でよい。
以下にメカノケミカル処理について説明する。
メカノケミカル処理
本発明においてメカノケミカル処理とは、乾式法にて機械的衝撃力などの機械的エネルギーを用いることにより化学的変化を誘起する処理方法を意味する。
【0034】
具体的な方法として、原料粉体を運動する気体にのせて、粉体同士をぶつける、あるいは粉体を強固な壁にぶつける方法、たとえば、ジェットミル、ハイブリダイゼーションなどが挙げられる。また、狭い空間を大きな力で通すなどの方法により、粉体にせん断力を与えて、その際のエネルギーを利用する方法を用いることができる。たとえば、ホソカワミクロン(株)製メカノフュージョンなどが挙げられ、上記せん断力を与える場合、与えるせん断速度は、10sec-1以上、好ましくは100sec-1以上、さらに好ましくは1,000sec-1以上である。また、その上限は通常50,000sec-1以下である。
【0035】
本発明においては、ハイブリダイザーを用いてメカノケミカル処理を行うことが好ましい。ハイブリダイザーは、上記のように粒子を気相中に分散させながら、衝撃力を主体とする機械的・熱的エネルギーを粒子に与え、1〜5分間で固定化または成膜処理を行うことができるものである。
該メカノケミカル処理に際して、雰囲気の温度を高くすると、金属もしくは金属化合物粒子と鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質との反応が促進され、炭化物などの生成が多くなるので好ましくない。メカノケミカル処理時の雰囲気温度は、500℃以下、好ましくは400℃以下、さらに好ましくは300℃以下が望ましい。また、メカノケミカル処理は、大気中で行うこともできるが、不活性ガス雰囲気、たとえば窒素ガス雰囲気が好ましく、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気がさらに好ましい。
【0036】
本発明においては、このメカノケミカル処理を行うことにより、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質および/または炭素前駆体を金属もしくは金属化合物粒子表面上に、均一かつ強固に固定化することが可能となる。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法においては、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成するか(第1製造法)、または、リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、直接(第2製造法)もしくは鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と混合してメカノケミカル処理により炭素前駆体を固定化した後(第3製造法)炭素層を形成する。
【0037】
以下に炭素層の形成について説明する。
炭素層の形成
本発明においては、前記のように、好ましくは石油系異方性(メソフェーズ)ピッチまたは等方性ピッチなどを炭素前駆体として用い、メカノケミカル処理法などによりその被膜を形成した後、不活性ガス雰囲気下にて熱処理を行うことにより炭素層を形成する。
【0038】
該熱処理温度は、500〜1,500℃、好ましくは800〜1,200℃である。上記温度範囲で炭素層形成を行うことにより、負極用複合炭素材料の導電性を高くし、かつ金属もしくは金属化合物粒子の炭化物の生成を抑制できるので好ましい。
また、熱処理は、不活性ガス雰囲気、たとえば、窒素ガス雰囲気下にて行う。
【0039】
熱処理時間は、1〜10時間程度でよい。また、該熱処理前に適宜ピッチ被膜の不融化処理を行うこともできる。
このようにして製造された本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の平均粒径は、レーザー回折方式による測定にて、3〜35μm程度である。
(III)リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料は、ポリエチレンやポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどのバインダーを添加し、負極とするに好適な形状、たとえばシート状または板状に加圧ロール成形する。
【0040】
このようにして作成された負極は、単位体積当たりの容量が大きく、電池の小型化に好適である。
また、本発明による複合炭素材料を負極に用い、リチウムイオン二次電池を製造する場合には、電解液としてはリチウム塩を溶解し得るものであればよいが、特に非プロトン性の誘電率が大きい有機溶媒が好ましい。
【0041】
上記有機溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチル−ジオキソラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを挙げることができる。これらの溶媒を単独、あるいは適宜混合して用いることが可能である。
【0042】
電解質としては、安定なアニオンを生成するリチウム塩、たとえば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、六塩化アンチモン酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)などが好適である。
また、リチウムイオン二次電池の正極としては、たとえば、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバルト、五酸化バナジウムなどの金属酸化物や、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などのリチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モリブデンなどの遷移金属のカルコゲン化合物;およびポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロールなどの導電性を有する共役系高分子物質などを用いることができる。
【0043】
これらの正極と負極との間に合成繊維製またはガラス繊維製の不織布、織布やポリオレフィン系多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレンの不織布などのセパレータを設ける。
また、従来の電池と同様に集電体を使用することができる。
負極集電体としては、電極、電解液などに電気化学的に不活性な導体、たとえば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス綱などの金属を板、箔、棒の形態で使用できる。
【0044】
本発明のリチウム二次電池は、前記セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケースなどの電池構成要素と本発明の負極用複合炭素材料とを用いて、常法に従って円筒型、角型あるいはボタン型などの形態を有することができる。
本発明のリチウム二次電池は、各種携帯電子機器に用いられ、特にノート型パソコン,ノート型ワープロ,パームトップ(ポケット)パソコン,携帯電話,PHS,携帯ファックス,携帯プリンター,ヘッドフォンステレオ,ビデオカメラ,携帯テレビ,ポータブルCD,ポータブルMD,電動髭剃り機,電子手帳,トランシーバー,電動工具,ラジオ,テープレコーダー,デジタルカメラ,携帯コピー機,携帯ゲーム機などに用いることができる。また、さらに電気自動車,ハイブリッド自動車,自動販売機,電動カート,ロードレベリング用蓄電システム,家庭用蓄電器,分散型電力貯蔵機システム(据置型電化製品に内蔵),非常時電力供給システムなどの二次電池として用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0046】
【実施例1】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径10μm、純度99.9%)16.0gに、比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、大気中で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、ピッチ被覆ケイ素粉末を得た。次いで、該ピッチ被覆ケイ素粉末20.0gに平均繊維径(短軸方向の長さ)0.1μm、平均繊維長(長軸方向の長さ)5μmのVGCF(気相成長炭素繊維)1.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、大気中で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、複合化処理粉を得た。次いで、該複合化処理粉を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより本発明の負極用複合炭素材料を得た。
【0047】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層で被覆され、さらにその表面にVGCFが強固に付着した複合炭素材料が得られたことが判明した。また、この負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、10.8μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、81.6重量%であった。
【0048】
上記で得られた負極用複合炭素材料に対し、ポリフッ化ビニリデン7重量%を添加した塗液を作製し、銅箔上に塗布・乾燥後、電極密度が1.6g/ccとなるように圧延し負極とした。
すなわち、上記負極と対極および参照極に金属リチウムを用いた三極セルを使用し、エチレンカーボネート(EC)/メチルエチルカーボネート(MEC)を体積比にて1/2に調製した混合炭酸エステル溶媒に、電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モルの濃度で溶解させた電解液中にて、充放電容量特性を測定した。
【0049】
充放電は、100mA/g−10mVの定電流−定電圧にて12時間充電し、放電は、100mA/gの定電流にて(1.5V/Li/Li+)の電位まで行い、10回繰り返し測定した。
この時の、初回の放電容量は820mAh/g、充放電効率は90.5%、10回目の放電容量は820mAh/g、充放電効率は99.9%と高い放電容量および充放電効率を示し、10回目まで安定にサイクルを繰り返し得た。
【0050】
【実施例2】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径5μm、純度98%)16.0gに、実施例1と同様のVGCF1.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で9,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、VGCF被覆ケイ素粉末を得た。次いで、該VGCF被覆ケイ素粉末17.0gに比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、複合化処理粉を得た。次いで、該複合化処理粉を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより本発明の負極用複合炭素材料を得た。
【0051】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層で被覆された複合炭素材料が得られたことが判明した。また、この負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、5.6μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、81.2重量%であった。
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
【0052】
この時の、初回の放電容量は815mAh/g、充放電効率は90.1%、10回目の放電容量は814mAh/g、充放電効率は99.9%と高い放電容量および充放電効率を示し、10回目まで安定にサイクルを繰り返し得た。
【0053】
【実施例3】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径5μm、純度98%)16.0gに、実施例1と同様のVGCF1.0gおよび比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、複合化処理粉を得た。次いで、該複合化処理粉を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,100℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより本発明の負極用複合炭素材料を得た。
【0054】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層およびVGCFで被覆された複合炭素材料が得られたことが判明した。また、この負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、5.6μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、81.3重量%であった。
【0055】
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
この時の、初回の放電容量は817mAh/g、充放電効率は90.4%、10回目の放電容量は817mAh/g、充放電効率は99.9%と高い放電容量および充放電効率を示し、10回目まで安定にサイクルを繰り返し得た。
【0056】
【比較例1】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径10μm、純度99.9%)16.0gに、比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをハイブリダイザー(O型:奈良機械製作所製)を用いて、窒素雰囲気下で12,000rpm−3分の機械的衝撃力を加えることによりメカノケミカル処理を行い、ピッチ被覆ケイ素粉末を得た。次いで、該ピッチ被覆ケイ素粉末を窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより負極用複合炭素材料とした。
【0057】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、均一に炭素層で被覆された複合炭素材料が得られたことが判明した。
また、該負極用複合炭素材料の平均粒径を測定した結果、10.7μmであり、元素分析による負極用複合炭素材料中のケイ素濃度は、86.0重量%であった。
【0058】
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
この時の、初回の放電容量は807mAh/g、充放電効率は88.5%、10回目の放電容量は710mAh/g、充放電効率は99.4%と初期容量および初期効率は、比較的良好であるものの、10回目まで緩やかにサイクル劣化を生じた。
【0059】
【比較例2】
ケイ素粉末(高純度化学製:平均粒径10μm、純度99.9%)16.0gに、比重1.25の石油系メソフェーズピッチ粉末4.0gを添加し、予備混合したものをメカノケミカル処理による複合化処理を行うことなく、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分にて1,000℃まで昇温して、その温度にて1時間保持することにより負極用複合炭素材料とした。
【0060】
該負極用複合炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、ケイ素粉末とピッチ粉末とが均一に混合されているものの、ケイ素粉末が炭素層で被覆されていないことが判明した。
上記で得られた負極用複合炭素材料について、実施例1と同様にして充放電容量特性の測定を行った。
【0061】
この時の、初回の放電容量は605mAh/g、充放電効率は85.1%、10回目の放電容量は440mAh/g、充放電効率は98.5%と初期容量および初期効率とも低く、かつ10回目までの容量劣化も顕著であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料は、個々の粒子が均質である上、核である金属もしくは金属化合物粒子の表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質および/または炭素層が強固に固定化されており、充放電を繰り返した時に発生する該金属もしくは金属化合物粒子の膨張・収縮を押さえ込むとともに、膨張・収縮のストレスを緩衝する作用をも有するため、該金属もしくは金属化合物粒子の膨張・収縮による崩壊を抑制でき、かつ該金属もしくは金属化合物粒子が崩壊した場合であっても粒子間の導電性が保持される。
【0063】
従って、本発明のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料は、高容量で、充放電効率が高く、さらにサイクル特性に優れる。
また、その製造方法も乾式法であるため、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質および/または炭素層を、核となる金属もしくは金属化合物粒子表面上に、均一かつ強固に固定化することが可能であるとともに、複雑な工程を要せず安価に製造可能である。
Claims (12)
- リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化し、さらにその表面に炭素層を形成してなる3層構造を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料。
- リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、炭素層を形成し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質をメカノケミカル処理により固定化してなる3層構造を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料。
- リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を含有する炭素層を形成してなる2層構造を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料。
- 上記リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子が、ケイ素もしくはスズまたはそれらと他の金属との混合物あるいは合金を含む金属化合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料。
- 上記鎖状構造を有する導電性物質が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料。
- 上記アスペクト比を有する導電性物質が、黒鉛化気相成長炭素繊維であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料。
- 上記炭素層が、異方性(メソフェーズ)ピッチまたは等方性ピッチを原料とした炭化物層であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料。
- リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を固定化し、さらにその表面に炭素前駆体の被膜を形成した後、該炭素前駆体から炭素層を形成することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法。
- リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により炭素前駆体を固定化し、さらにその表面に鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質を該メカノケミカル処理により固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成することを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法。
- リチウムを吸蔵・放出可能な金属もしくは金属化合物粒子表面に、乾式法にて機械的衝撃力を用いるメカノケミカル処理により、鎖状構造またはアスペクト比を有する導電性物質と炭素前駆体とからなる混合物を固定化した後、該炭素前駆体から炭素層を形成することを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料の製造方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用複合炭素材料を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極。
- 請求項11に記載のリチウムイオン二次電池負極を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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