JP4747931B2 - ポリアリーレンスルフィド組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的強度、熱伝導性、寸法安定性、耐熱性、金型離型性、および溶融流動性に優れ、溶融時のガス発生量が少ない(以下、低ガス性という。)ポリアリーレンスルフィド組成物に関するものであり、さらに詳しくは、電気・電子部品或いは自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用な低ガス性高熱伝導ポリアリーレンスルフィド組成物に関するものである。
ポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品性、成形性等に優れた特性を示す樹脂であり、その優れた特性を生かし、電気・電子機器部材、自動車機器部材およびOA機器部材等に幅広く使用されている。
しかしながら、ポリアリーレンスルフィドは熱伝導性が低いことから、例えば発熱を伴うような電子部品を封止すると、発生する熱を効率よく拡散することができず、熱膨張による寸法変化、熱による変形、或いはガス発生など、不具合を生じることがあった。
ポリアリーレンスルフィドの熱伝導性を改良する試みについては、これまでにもいくつかの検討がなされ、例えば(a)ポリフェニレンスルフィド、(b)平均粒径が5μm以下のアルミナ粉末、及び(c)繊維状強化材を配合する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1参照。)。また、(a)ポリアリーレンスルフィド、(b)特定の引張弾性率を有する炭素繊維、及び(c)黒鉛、金属粉、アルミナ、マグネシア、チタニア、ドロマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウムから選択される1種以上のフィラーを配合する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2参照。)。さらに、(a)ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルとからなる樹脂、(b)特定の熱伝導率を有する炭素繊維、及び(c)黒鉛を配合する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
特開平04−033958号公報 特開2002−129015号公報 特開2004−137401号公報
しかし、特許文献1〜3に提案された方法においては、組成物の熱伝導性が低く充分な寸法安定性が得られなかった。また、これらの提案方法において充分に高い熱伝導性を得るためには、高いフィラー含有量が必須となり、このため組成物の機械的強度の低下が著しく、金型離型性や成型品外観の悪化をきたすものであった。即ち、これらの提案方法はおしなべて、高い熱伝導性と高い機械的強度、良好な金型離型性、成型品外観とを同時に得ることは難しかった。
そこで、本発明は、機械的強度、熱伝導性、寸法安定性、耐熱性、金型離型性、低ガス性および溶融流動性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物、特に電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に有用な低ガス性高熱伝導ポリアリーレンスルフィド組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンスルフィド、特定繊維長を有する炭素繊維同士を特定の比率で混合した混合炭素繊維、及び特定の熱伝導性フィラーよりなるポリアリーレンスルフィド組成物とすることで、高い機械的強度と高い熱伝導性を併せ持つと共に金型離型性に優れる組成物となりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド(A)15〜50重量%、繊維長2〜8mm、繊維径5〜20μmの炭素繊維(B1)/繊維長20〜600μm、繊維径2〜20μmの炭素繊維(B2)=9/1〜1/9(重量比)からなる混合炭素繊維(B)5〜60重量%、並びに、ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末(C1)、炭酸マグネシウムを主成分とするマグネサイトであって炭酸マグネシウム含有率が98〜99.999重量%である高純度マグネサイト粉末(C2)、金属ケイ素粉末(C3)からなる群より選択される少なくとも1種以上の熱伝導性フィラー(C)15〜70重量%からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド組成物に関するものである。
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、ポリアリーレンスルフィド(A)、繊維長2〜8mmの炭素繊維(B1)/繊維長20〜600μmの炭素繊維(B2)=9/1〜1/9(重量比)からなる混合炭素繊維(B)、並びに、ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末(C1)、炭酸マグネシウムを主成分とするマグネサイトであって炭酸マグネシウム含有率が98〜99.999重量%である高純度マグネサイト粉末(C2)、金属ケイ素粉末(C3)からなる群より選択される少なくとも1種以上の熱伝導性フィラー(C)からなるものである。
ポリアリーレンスルフィド(A)
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成するポリアリーレンスルフィド(A)としては、ポリアリーレンスルフィドと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよく、その中でも、得られるポリアリーレンスルフィド組成物が機械的強度、成型加工性に優れたものとなることから、測定温度315℃、荷重10kgの条件下、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて測定した溶融粘度が50〜3000ポイズであるポリアリーレンスルフィドが好ましく、特に60〜1500ポイズであるものが好ましい。
また、該ポリアリーレンスルフィド(A)としては、その構成単位として下記の一般式(1)で示されるp−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましい。
Figure 0004747931
そして、他の構成成分としては、例えば、下式の一般式(2)に示されるm−フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747931
一般式(3)に示されるo−フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747931
一般式(4)に示されるフェニレンスルフィドスルホン単位、
Figure 0004747931
一般式(5)に示されるフェニレンスルフィドケトン単位、
Figure 0004747931
一般式(6)に示されるフェニレンスルフィドエーテル単位、
Figure 0004747931
一般式(7)に示されるジフェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747931
一般式(8)に示される置換基含有フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747931
(ここで、RはOH、NH、COOH、CHを示し、nは1又は2を示す。)
一般式(9)に示される分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747931
等を含有していてもよく、中でもポリ(p−フェニレンスルフィド)が好ましい。
該ポリアリーレンスルフィド(A)の製造方法としては、特に限定はなく、例えば一般的に知られている重合溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応する方法により製造することが可能であり、アルカリ金属硫化物としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びそれらの混合物が挙げられ、これらは水和物の形で使用しても差し支えない。これらアルカリ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩基とを反応させることによって得ることも可能であり、その際にはジハロ芳香族化合物の重合系内への添加に先立ってその場で調整されても、また系外で調整されたものを用いても差し支えない。また、ジハロ芳香族化合物としては、例えばp−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、1−クロロ−4−ブロモベンゼン、4、4’−ジクロロジフェニルスルフォン、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4、4’−ジクロロベンゾフェノン、4、4’−ジクロロジフェニル等が挙げられる。また、アルカリ金属硫化物及びジハロ芳香族化合物の仕込み比は、アルカリ金属硫化物/ジハロ芳香族化合物(モル比)=1.00/0.90〜1.10の範囲とすることが好ましい。
重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、特に非プロトン性で高温でのアルカリに対して安定な有機アミドが好ましい溶媒である。該有機アミドとしては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素及びその混合物、等が挙げられる。また、該重合溶媒は、重合によって生成するポリマーに対し150〜3500重量%で用いることが好ましく、特に250〜1500重量%となる範囲で使用することが好ましい。重合は200〜300℃、特に220〜280℃にて0.5〜30時間、特に1〜15時間攪拌下にて行うことが好ましい。
さらに、該ポリアリーレンスルフィド(A)は、直鎖状のものであっても、酸素存在下高温で処理し、架橋したものであっても、トリハロ以上のポリハロ化合物を少量添加して若干の架橋または分岐構造を導入したものであっても、窒素等の非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成するポリアリーレンスルフィド(A)の配合量は、特に機械的強度、成形性、熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから15〜50重量%であることが好ましい。
混合炭素繊維(B)
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する混合炭素繊維(B)は、繊維長2〜8mmの炭素繊維(B1)と繊維長20〜600μmの炭素繊維(B2)を9/1〜1/9(重量比)で混合してなるものである。
該炭素繊維(B1)は、繊維長が2〜8mmの炭素繊維であり、この範疇に属するものであれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能である。ここで、繊維長2mm未満の炭素繊維である場合、得られるポリアリーレンスルフィド組成物は熱伝導性、機械的強度に劣るものとなる。一方、繊維長8mmを越える炭素繊維である場合、得られるポリアリーレンスルフィド組成物は、成形加工性に劣るものとなる。また、該炭素繊維(B1)としては、得られるポリアリーレンスルフィド組成物が機械的強度、成形加工性に特に優れたものとなることから、繊維径5〜20μmの炭素繊維であることが好ましい。該炭素繊維(B1)としては、例えばピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ポリビニルアルコール系炭素繊維、セルロース系炭素繊維等の何れを用いても良く、好ましくはピッチ系炭素繊維である。
該炭素繊維(B1)の熱伝導率については何ら制限を受けることなく用いることが可能であり、その中でも特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、熱伝導率が100W/m・K以上である繊維長2〜8mmの炭素繊維であることが好ましい。
一方、該炭素繊維(B2)は、繊維長が20〜600μmの炭素繊維であり、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能である。ここで、繊維長20μm未満、又は繊維長600μmを越える炭素繊維である場合、得られるポリアリーレンスルフィド組成物は熱伝導性に劣るものとなる。また、該炭素繊維(B2)としては、得られるポリアリーレンスルフィド組成物が機械的強度、成形加工性に特に優れたものとなることから、繊維径2〜20μmの炭素繊維であることが好ましい。該炭素繊維(B2)としては、例えばピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ポリビニルアルコール系炭素繊維、セルロース系炭素繊維等の何れを用いても良く、好ましくはピッチ系炭素繊維である。
該炭素繊維(B2)の熱伝導率については何ら制限を受けるものではなく用いることが可能であり、その中でも特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、熱伝導率が500W/m・K以上である繊維長20〜600μmの炭素繊維であることが好ましい。
該混合炭素繊維(B)は、繊維長2〜8mmの炭素繊維(B1)と繊維長20〜600μmの炭素繊維(B2)とが炭素繊維(B1)/炭素繊維(B2)=9/1〜1/9(重量比)、好ましくは8/2〜4/6で用いられているものある。ここで、炭素繊維(B1)単独、炭素繊維(B2)単独又は炭素繊維(B1)/炭素繊維(B2)=9/1〜1/9を外れる範囲である場合、ポリアリーレンスルフィド組成物とした際に、たとえ下記に記載する熱伝導性フィラー(C)と組み合わせて配合しても、高い熱伝導性と機械的強度を有するポリアリーレンスルフィド組成物を得ることは出来ず、本発明の目的を達成することができない。
また、本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する混合炭素繊維(B)の配合量は、特に機械的強度、成形性、熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから5〜60重量%であることが好ましい。
熱伝導性フィラー(C)
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する熱導電性フィラー(C)は、ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末(C1)(以下、単に被覆酸化マグネシウム粉末(C1)と記す。)、炭酸マグネシウムを主成分とするマグネサイトであって炭酸マグネシウム含有率が98〜99.999重量%である高純度マグネサイト粉末(C2)(以下、単に高純度マグネサイト粉末(C2)と記す。)、金属ケイ素粉末(C3)からなる群より選択される少なくとも1種以上の熱伝導性フィラーである。
該被覆酸化マグネシウム粉末(C1)としては、ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えば特開2004−027177号公報に記載の方法より入手することが可能である。ここで、いずれの複酸化物によっても表面が被覆されていない酸化マグネシウム粉末を用いポリアリーレンスルフィド組成物とした場合、たとえ混合炭素繊維(B)と組み合わせて配合しても、高い熱伝導性を有するポリアリーレンスルフィド組成物を得ることは出来ず、本発明の目的を達成することができない。
また、ケイ素とマグネシウムの複酸化物としては、フォルステライト(MgSiO)等に代表されるケイ素、マグネシウム及び酸素を含む金属酸化物、又は、酸化マグネシウムと酸化ケイ素の複合物を挙げることができ、アルミニウムとマグネシウムの複酸化物とは、スピネル(AlMgO)等に代表されるアルミニウム、マグネシウム及び酸素を含む金属酸化物、又は、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの複合物を挙げることができる。
該被覆酸化マグネシウム粉末(C1)は、必要に応じてシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤でさらに表面処理されたものであってもよく、シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、チタネート系カップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート等が挙げられ、アルミネート系カップリング剤としては、例えばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
該被覆酸化マグネシウム粉末(C1)は、特に機械的特性、熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径(D50)が、1〜500μmを有するものであることが好ましく、特に3〜100μmを有するものであることが好ましい。
該高純度マグネサイト粉末(C2)としては、炭酸マグネシウムを主成分とするマグネサイトであって炭酸マグネシウム含有率が98〜99.999重量%であるマグネサイト粉末であり、該条件を満たすものであれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能である。該条件を満足するマグネサイト粉末としては、合成品と天産品とがあり、これらの何れを用いても良く、例えば(商品名)合成マグネサイトMSHP(神島化学工業(株)製)等を好ましい例として挙げることができる。ここで、炭酸マグネシウム含有率が98〜99.999重量%の範囲を外れるマグネサイト粉末を用いポリアリーレンスルフィド組成物とした場合、たとえ混合炭素繊維(B)と組み合わせて配合しても、高い熱伝導性を有するポリアリーレンスルフィド組成物を得ることはできない。
また、該高純度マグネサイト粉末(C2)としては、特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径(D50)が、1μm以上であるものが好ましく、特に10μm以上であるものが好ましい。
該高純度マグネサイト粉末(C2)は、必要に応じてシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤でさらに表面処理されたものであってもよく、シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、チタネート系カップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート等が挙げられ、アルミネート系カップリング剤としては、例えばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
該金属ケイ素粉末(C3)としては、従来から知られ販売されている金属ケイ素の粉末を用いることができ、金属ケイ素粉末の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることが可能である。そして、該金属ケイ素粉末(C3)におけるケイ素含有率は、特に制限を受けるものではなく、特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、ケイ素含有率が95重量%以上であるものが好ましく、特に98重量%以上であるものが更に好ましい。
また、該金属ケイ素粉末(C3)は、特に機械的特性、熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径(D50)が1μm以上であるものが好ましい。該金属ケイ素粉末(C3)の形状としては特に制限はなく、例えば樹枝状粉、片状粉、角状粉、球状粉、粒状粉、針状粉、不定形状粉、海綿状粉等が挙げられ、また、これら形状の混合物であっても良い。該金属ケイ素粉末(C3)の製造方法としては、例えば電解法、機械的粉砕法、アトマイズ法、熱処理法、化学的製法等が挙げられ、該金属ケイ素粉末(C3)としてはこれらのいずれの製法により製造されたものであってもかまわない。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する熱伝導性フィラー(C)の配合量は、特に機械的強度、成形性、熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから15〜70重量%であることが好ましい。
離型剤(D)
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、得られる成形品の金型離型性や外観を優れたものとするために離型剤(D)を配合してなることが好ましい。該離型剤(D)としては離型剤として知られている範疇に属するものであれば用いることが可能であり、例えばカルナバワックス(D1)、ポリエチレンワックス(D2)、ポリプロピレンワックス(D3)、ステアリン酸金属塩(D4)、酸アマイド系ワックス(D5)等を挙げることができ、その中でも特に得られる成形品の金型離型性や外観を優れたものとするポリアリーレンスルフィド組成物となることからカルナバワックス(D1)であることが好ましい。該カルナバワックス(D1)としては、一般的な市販品を用いることができ、例えば(商品名)精製カルナバ1号粉(日興ファインプロダクツ製)等を挙げることができる。
該離型剤(D)の配合量は、特に金型離型性、成形品外観に優れるポリアリーレンスルフィド組成物となることから、ポリアリーレンスルフィド(A)、混合炭素繊維(B)、熱伝導性フィラー(C)の合計量100重量部に対し、0.05〜5重量部であることが好ましい。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等の1種以上を混合して使用することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融混練方法を用いることができる。例えば、単軸または二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常280〜400℃の中から任意に選ぶことが出来る。また、本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、射出成形機、押出成形機、トランスファー成形機、圧縮成形機等を用いて任意の形状に成形することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、繊維状、非繊維状の補強材を使用できる。繊維状補強材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウムウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー等が挙げられる。また非繊維状の補強材としては、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ワラステナイト、ゼオライト、ガラスビーズ、ガラスパウダー等が挙げられる。これらの補強材は2種以上を併用することができ、必要によりシラン系、チタン系カップリング剤で表面処理をして使用することができる。特に好ましい補強材は繊維状補強材ではガラス繊維、非繊維状補強材では炭酸カルシウム、タルクである。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、従来公知の滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、金型腐食防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料等の着色剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上併用しても良い。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、発熱性の高い半導体素子、抵抗などの封止用樹脂、あるいは高い摩擦熱が発生する部品に特に好適である他、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネット、ソケット、抵抗器、リレーケースなどの電気機器部品用途に特に適している他、センサー、LEDランプ、コネクター、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、ハードディスクドライブ部品(ハードディスクドライブハブ、アクチュエーター、ハードディスク基板など)、DVD部品(光ピックアップなど)、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などの各種用途にも適用できる。
本発明は、熱伝導性、寸法安定性、耐熱性、金型離型性、低ガス性及び溶融流動性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物を提供するものであり、該ポリアリーレンスルフィド組成物は、特に電気・電子部品又は自動車電装部品等の電気部品用途に有用な低ガス性高熱伝導ポリアリーレンスルフィド組成物である。
次に、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの例になんら制限されるものではない。
以下に実施例及び比較例において用いたポリアリーレンスルフィド(A)、炭素繊維(B1)、炭素繊維(B2)、被覆酸化マグネシウム粉末(C1)、高純度マグネサイト粉末(C2)、金属ケイ素粉末(C3)、複酸化物で被覆されていない酸化マグネシウム粉末(C1’)(以下、単に酸化マグネシウム粉末(C1’)と記す。)、マグネサイト粉末(C2’)、カルナバワックス(D1)を示す。
<ポリアリーレンスルフィド(A)>
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−1)(以下、単にPPS(A−1)と記す。):溶融粘度110ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−2)(以下、単にPPS(A−2)と記す。):溶融粘度300ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−3)(以下、単にPPS(A−3)と記す。):溶融粘度350ポイズ。
<カルナバワックス(D1)>
カルナバワックス(D1−1);日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末。
<炭素繊維(B1)>
炭素繊維(B1−1);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK223SE;諸性能は表1に示す。繊維長6mm、繊維径10μm。
炭素繊維(B1−2);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK6371T;諸性能は表1に示す。繊維長6mm、繊維径10μm。
炭素繊維(B1−3);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK223HG;諸性能は表1に示す。繊維長6mm、繊維径10μm。
Figure 0004747931
<炭素繊維(B2)>
炭素繊維(B2−1);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK223HGを粉砕して調整した;諸性能は表2に示す。繊維長50μm、繊維径10μm。
炭素繊維(B2−2);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK223HGを粉砕して調整した;諸性能は表2に示す。繊維長400μm、繊維径10μm。
炭素繊維(B2−3);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK6371M;諸性能は表2に示す。繊維長50μm、繊維径10μm。
Figure 0004747931
<被覆酸化マグネシウム粉末(C1)>
フォルステライトにより被覆された被覆酸化マグネシウム粉末(C1−1)(以下、単に被覆酸化マグネシウム粉末(C1−1)と記す。);タテホ化学工業(株)製、(商品名)クールフィラーCF2−100;フォルステライトによる表面被覆、平均粒子径20μm。
<酸化マグネシウム粉末(C1’)>
酸化マグネシウム粉末(C1’−1);協和化学工業(株)製、(商品名)パイロキスマ3320;平均粒子径17μm。
<高純度マグネサイト粉末(C2)>
高純度マグネサイト粉末(C2−1);神島化学工業(株)製、(商品名)合成マグネサイトMSHP;炭酸マグネシウム含有率99.99重量%、平均粒子径12μm。
<マグネサイト粉末(C2’)>
マグネサイト粉末(C2’−1);神島化学工業(株)製、(商品名)重質炭酸マグネシウム;炭酸マグネシウム含有率86.8重量%、平均粒子径11μm。
<金属ケイ素粉末(C3)>
金属ケイ素粉末(C3−1);キンセイマテック(株)製、(商品名)金属シリコン#200(98%);ケイ素含有率98.4重量%、平均粒子径17μm、不定形状粉末。
実施例及び比較例で用いた評価・測定方法を以下に示す。
〜曲げ強度の測定〜
射出成形により長さ127mm、幅12.7mm、厚み3.2mmの試験片を作製し、該試験片を用いて、ASTM D−790 Method−1(三点曲げ法)に準じ、曲げ強度を測定した。測定装置(島津製作所製、(商品名)AG−5000B)を用い、支点間距離50mm、測定速度1.5mm/分の試験条件で行った。
〜熱伝導率の測定〜
射出成形により長さ70mm、幅70mm、厚み2mmの平板を作製し、該平板を切削加工して熱伝導率を測定する試験片を作製した。該試験片を熱伝導率測定装置(アルバック社製、(商品名)TC7000;ルビーレーザー)に装着し、23℃の条件下で、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。熱伝導率は、熱容量Cpと熱拡散率αを求め、次式より熱伝導率を算出した。
厚み方向の熱伝導率=ρ×Cp×α
ここで、密度ρは、ASTM D−792 A法(水中置換法)に準じ測定した。
〜メルトフローレート(MFR)の測定〜
高化式フローテスターを用い、温度315℃、荷重5kg、ダイ内径2.0mmの条件下、10分間で流出する組成物の重さ(g単位)を測定し、メルトフローレート(以下、MFRと記す。)とした。
合成例1(PPS(A−1)、PPS(A−2)の合成)
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、NaS・2.8HO1866g及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す)を5リットルを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、407gの水を溜出させた。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2280gとNMP1500gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、ポリマーを遠心分離器により単離した。温水でポリマーを繰り返し洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(A−1))の溶融粘度は110ポイズであった。
更にPPS(A−1)を、空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理を行った。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(A−2))の溶融粘度は300ポイズであった。
合成例2(PPS(A−3)の合成)
攪拌機を装備する15リットルチタン製オートクレーブにNMP3232g、47%硫化水素ナトリウム水溶液1682g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1142gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、1360gの水を溜出させた。この系を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン2118gとNMP1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、続けて250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水451gを圧入し、再度255℃まで昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを固液分離した。ポリマーをNMP、アセトン及び水で順次洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(A−3))は直鎖状のものであり、その溶融粘度は350ポイズであった。
調製例1(炭素繊維(B2−1)の調製)
炭素繊維(B1−3)100gをボールミル(フリッチュ社製、(商品名)遊星型ボールミルP−5)に投入後30分間粉砕し、炭素繊維(B2−1)を得た。
得られた炭素繊維(B2−1)の繊維長は50μmであった。
調製例2(炭素繊維(B2−2)の調製
炭素繊維(B1−3)をボールミル(フリッチュ社製、(商品名)遊星型ボールミルP−5)に投入後10分間粉砕し、炭素繊維(B2−2)を得た。
得られた炭素繊維(B2−2)の繊維長は400μmであった。
実施例1
PPS(A−2)32.9重量%、炭素繊維(B2−1)21.1重量%及び金属ケイ素粉末(C3−1)46.0重量%の割合で配合して、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、炭素繊維(B1−2)を該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド組成物を作製した。その際のポリアリーレンスルフィド組成物の構成割合は、PPS(A−2)/炭素繊維(B1−2)/炭素繊維(B2−1)/金属ケイ素粉末(C3−1)=25/24/16/35(重量%)であった。
該ポリアリーレンスルフィド組成物を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、曲げ強度を測定するための試験片及び熱伝導率を測定するための平板をそれぞれ成形した。
該試験片及び該平板により曲げ強度、熱伝導率を測定した。また、ポリアリーレンスルフィド組成物を高化式フローテスターに仕込みMFRを測定した。これらの結果を表3に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド組成物は、曲げ強度は十分に大きく、熱伝導率も高かった。またMFRも実用上十分な値を示した。
実施例2〜14
PPS(A−1,2,3)、炭素繊維(B1−1、2、3)、炭素繊維(B2−1、2、3)、被覆酸化マグネシウム粉末(C1−1)、高純度マグネサイト粉末(C2−1)、金属ケイ素粉末(C3−1)、カルナバワックス(D1−1)を表3に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し評価した。評価結果を表3に示す。
得られた全てのポリアリーレンスルフィド組成物は、曲げ強度は十分に大きく、熱伝導率も高かった。またMFRも実用上十分な値を示した。
Figure 0004747931
比較例1〜12
PPS(A−1,2)、炭素繊維(B1−2、3)、炭素繊維(B2−1)、被覆酸化マグネシウム粉末(C1−1)、酸化マグネシウム粉末(C1’−1)、高純度マグネサイト粉末(C2−1)、マグネサイト粉末(C2’−1)、金属ケイ素粉末(C3−1)、カルナバワックス(D1−1)を表4に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し評価した。評価結果を表4に示す。
比較例1〜5により得られた炭素繊維(B2)を配合しない組成物のそれぞれは、曲げ強度は十分に大きいものの熱伝導率は低かった。また、比較例6により得られた炭素繊維(B1)を配合しない組成物は、曲げ強度、熱伝導率共に低かった。
比較例7、8により得られた熱伝導性フィラー(C)を配合しない組成物のそれぞれは、熱伝導率が低かった。比較例9、10により得られた炭素繊維(B1)/炭素繊維(B2)の重量比が要件を満たしていない組成物のそれぞれは、熱伝導率が低かった。比較例11により得られた複酸化物で被覆されていない酸化マグネシウム粉末を配合する組成物、比較例12により得られた炭酸マグネシウム含有率が98〜99.999重量%の範囲から外れるマグネサイト粉末を配合する組成物のそれぞれは熱伝導率が低かった。
Figure 0004747931

Claims (6)

  1. ポリアリーレンスルフィド(A)15〜50重量%、繊維長2〜8mm、繊維径5〜20μmの炭素繊維(B1)/繊維長20〜600μm、繊維径2〜20μmの炭素繊維(B2)=9/1〜1/9(重量比)からなる混合炭素繊維(B)5〜60重量%、並びに、ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末(C1)、炭酸マグネシウムを主成分とするマグネサイトであって炭酸マグネシウム含有率が98〜99.999重量%である高純度マグネサイト粉末(C2)、金属ケイ素粉末(C3)からなる群より選択される少なくとも1種以上の熱伝導性フィラー(C)15〜70重量%からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド組成物。
  2. 炭素繊維(B1)が100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  3. 炭素繊維(B2)が500W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  4. さらに離型剤(D)を配合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  5. 離型剤(D)が、カルナバワックス(D1)、ポリエチレンワックス(D2)、ポリプロピレンワックス(D3)、ステアリン酸金属塩(D4)、酸アマイド系ワックス(D5)からなる群より選択される1種以上の離型剤であることを特徴とする請求項に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  6. 離型剤(D)が、カルナバワックス(D1)であることを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
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