JP4747926B2 - ポリアリーレンスルフィド組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高い熱伝導性を有すると共に、寸法安定性、耐熱性、金型離型性、および溶融流動性に優れ、溶融時のガス発生量が少なく(以下、低ガス性という。)、かつ熱伝導性や熱膨張性の異方性の小さいポリアリーレンスルフィド組成物に関するものであり、さらに詳しくは、電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用なポリアリーレンスルフィド組成物に関するものである。
ポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品性、成形性等に優れた特性を示す樹脂であり、その優れた特性を生かし、電気・電子機器部材、自動車機器部材およびOA機器部材等に幅広く使用されている。
しかしながら、ポリアリーレンスルフィドは熱伝導性が低いことから、例えば発熱を伴うような電子部品を封止すると、発生する熱を効率よく拡散することができず、熱膨張による寸法変化、熱による変形、或いはガス発生など、不具合を生じることがあった。
ポリアリーレンスルフィドの熱伝導性を改良する試みについては、これまでにもいくつかの検討がなされ、例えば(a)ポリフェニレンスルフィド、(b)平均粒径が5μm以下のアルミナ粉末、及び(c)繊維状強化材を配合する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1参照。)。また、(a)ポリアリーレンスルフィド、(b)特定の引張弾性率を有する炭素繊維、及び(c)黒鉛、金属粉、アルミナ、マグネシア、チタニア、ドロマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウムから選択される1種以上のフィラーを配合する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2参照。)。また、(a)ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルとからなる樹脂、(b)特定の熱伝導率を有する炭素繊維、及び(c)黒鉛を配合する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
また、六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末を含有するシリコーン組成物が提案されている(例えば特許文献4参照。)。
特開平04−033958号公報 特開2002−129015号公報 特開2004−137401号公報 特開2000−345039号公報
しかし、特許文献1〜3に提案された方法においては、組成物の熱伝導性が低く、また、熱伝導性に異方性を有しており、更には、組成物の熱膨張の異方性が大きく、充分な寸法安定性が得られないなどの課題があった。また、特許文献4に提案された方法においては、六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末そのものは、非常に熱伝導率が大きく、熱伝導性フィラーとして有用であるが、当該公報の従来技術に記載されているように、鱗片状のフィラーであるため配向しやすく、配向に平行な面と、配向に垂直な面との熱伝導性の異方性が大きいという課題があった。
そこで、本発明は、高い熱伝導性を有すると共に、寸法安定性、耐熱性、金型離型性、低ガス性および溶融流動性に優れ、かつ熱伝導性や熱膨張性の異方性の小さいポリアリーレンスルフィド組成物を提供することを目的とし、さらに詳しくは、電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用なポリアリーレンスルフィド組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンスルフィド、離型剤、特定の構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末又は特定の炭素繊維、及び、特定の複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末よりなるポリアリーレンスルフィド組成物とすることで、異方性が小さくしかも高い熱伝導性を有すると共に、熱膨張性とその異方性が小さく、また金型離型性に優れる組成物となりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、(a)ポリアリーレンスルフィド20〜50重量%、(b)離型剤0.05〜5重量%、(c)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末5〜25重量%、(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末15〜70重量%、並びに(e)黒鉛及び/又は炭素繊維5〜40重量%からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド組成物に関するものである。
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、(a)ポリアリーレンスルフィド、(b)離型剤、(c)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末又は100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維、並びに(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末からなるものである。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する(a)ポリアリーレンスルフィドとしては、ポリアリーレンスルフィドと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよく、その中でも、得られるポリアリーレンスルフィド組成物が機械的強度、成型加工性に優れたものとなることから測定温度315℃、荷重10kgの条件下、直径1mm、長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が50〜3000ポイズのポリアリーレンスルフィドが好ましく、特に60〜1500ポイズであるものが好ましい。
また、該(a)ポリアリーレンスルフィドとしては、その構成単位として下記の一般式(1)で示されるp−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましい。
Figure 0004747926
そして、他の構成成分としては、例えば
下記の一般式(2)に示されるm−フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747926
一般式(3)に示されるo−フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747926
一般式(4)に示されるフェニレンスルフィドスルホン単位、
Figure 0004747926
一般式(5)に示されるフェニレンスルフィドケトン単位、
Figure 0004747926
一般式(6)に示されるフェニレンスルフィドエーテル単位、
Figure 0004747926
一般式(7)に示されるジフェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747926
一般式(8)に示される置換基含有フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747926
(ここで、RはOH、NH、COOH、CHを示し、nは1又は2を示す。)
一般式(9)に示される分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、
Figure 0004747926
等を含有していてもよく、中でもポリ(p−フェニレンスルフィド)が好ましい。
該(a)ポリアリーレンスルフィドの製造方法としては、特に限定はなく、例えば一般的に知られている重合溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応する方法により製造することが可能であり、アルカリ金属硫化物としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びそれらの混合物が挙げられ、これらは水和物の形で使用しても差し支えない。これらアルカリ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩基とを反応させることによって得られるが、ジハロ芳香族化合物の重合系内への添加に先立ってその場で調整されても、また系外で調整されたものを用いても差し支えない。また、ジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、1−クロロ−4−ブロモベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルフォン、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニル等が挙げられる。また、アルカリ金属硫化物及びジハロ芳香族化合物の仕込比は、アルカリ金属硫化物/ジハロ芳香族化合物(モル比)=1.00/0.90〜1.10の範囲とすることが好ましい。
重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、特に非プロトン性で高温でのアルカリに対して安定な有機アミドが好ましい溶媒である。該有機アミドとしては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素及びその混合物、等が挙げられる。また、該重合溶媒は、重合によって生成するポリマーに対し150〜3500重量%で用いることが好ましく、特に250〜1500重量%となる範囲で使用することが好ましい。重合は200〜300℃、特に220〜280℃にて0.5〜30時間、特に1〜15時間攪拌下にて行うことが好ましい。
さらに、該(a)ポリアリーレンスルフィドは、直鎖状のものであっても、酸素存在下高温で処理し、架橋したものであっても、トリハロ以上のポリハロ化合物を少量添加して若干の架橋または分岐構造を導入したものであっても、窒素等の非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する(b)離型剤としては、ポリアリーレンスルフィドに用いる離型剤として知られている範疇に属するものであれば用いることが可能であり、例えばカルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ステアリン酸金属塩、酸アマイド系ワックス等を挙げることができ、その中でも特に得られる成形品の金型離型性や外観を優れたものとするポリアリーレンスルフィド組成物となることからカルナバワックス(以下、(b1)カルナバワックスと記す。)であることが好ましい。該(b1)カルナバワックスとしては、一般的な市販品を用いることができ、例えば(商品名)精製カルナバ1号粉(日興ファインプロダクツ製)等を挙げることができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する(c)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末又は100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維としては、該条件を満たすものであれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能である。
六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末(以下、(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末と記す。)としては、例えば粗製窒化ホウ素粉末をアルカリ金属又はアルカリ土類金属のホウ酸塩の存在下、窒素雰囲気中、2000℃×3〜7時間加熱処理して、窒化ホウ素結晶を十分に発達させ、粉砕後、必要に応じて硝酸等の強酸によって精製することにより製造することができ、この様にして得られた窒化ホウ素粉末は、通常、鱗片状を有するものである。そして、該(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末としては、本発明のポリアリーレンスルフィド組成物中における該鱗片状窒化ホウ素粉末の分散性に優れ、機械的特性の優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径(D50)が、3〜30μmであるものが好ましい。また、該(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末は、高結晶性を示し、特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物とすることが可能となることから、粉末X線回折法で求められる、(102)回折線の積分強度値[I(102)]に対する、(100)回折線及び(101)回折線の積分強度値の和[I(100)+(101)]の比で示されるG.I値(G.I=[I(100)+(101)]/[I(102)])が0.8〜10の範囲となるものであることが好ましい。
また、100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維(以下、(c2)100W/m・k以上の熱伝導率を有する炭素繊維と記す。)としては、該条件を満たすものであれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能である。炭素繊維には大別して、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系、ポリビニルアルコール系等があり、熱伝導率が100W/m・K以上であれば、これら何れを用いても良く、好ましくはピッチ系炭素繊維である。熱伝導率が100W/m・K未満の炭素繊維を用い、(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末単独と組み合わせポリアリーレンスルフィド組成物とした場合、高い熱伝導性を有するポリアリーレンスルフィド組成物を得ることは困難となり、本発明の目的を達成することが難しくなる。
該(c2)100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維の形状として、例えば繊維径5〜20μm、繊維長2〜8mmのチョップドファイバー、繊維径5〜20μm、繊維長30〜600μmのミルドファイバー等が例示でき、その中でも特に機械的強度に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることからチョップドファイバーが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物を構成する(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末(以下、(d)被覆酸化マグネシウム粉末と記す。)としては、該被覆酸化マグネシウム粉末の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えば特開2004−027177号公報に記載の方法より入手することが可能である。ここで、いずれの複酸化物によっても表面が被覆されていない酸化マグネシウム粉末を用いポリアリーレンスルフィド組成物とした場合、たとえ(c)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末又は100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維と組み合わせて配合しても、高い熱伝導性を有するポリアリーレンスルフィド組成物を得ることは出来ず、本発明の目的を達成することができない。
また、ケイ素とマグネシウムの複酸化物とは、フォルステライト(MgSiO)等に代表されるケイ素、マグネシウム及び酸素を含む金属酸化物、又は、酸化マグネシウムと酸化ケイ素の複合物である。一方、アルミニウムとマグネシウムの複酸化物とは、スピネル(AlMgO)等に代表されるアルミニウム、マグネシウム及び酸素を含む金属酸化物、又は、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの複合物である。
該(d)被覆酸化マグネシウム粉末は、必要に応じてシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤でさらに表面処理されたものであってもよく、シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、チタネート系カップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート等が挙げられ、アルミネート系カップリング剤としては、例えばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
該(d)被覆酸化マグネシウム粉末は、特に機械的特性、熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径(D50)が、1〜500μmを有するものであることが好ましく、特に3〜100μmを有するものであることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物において(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末を配合する際には、より熱伝導率、線膨張率に優れたものとなり、その異方性も抑えられたポリアリーレンスルフィド組成物となることからさらに(e)黒鉛及び/又は炭素繊維を配合することが好ましい
該黒鉛(以下、(e1)黒鉛と記す。)としては、特に制限を受けるものではない。黒鉛には大別して、天然黒鉛と人造黒鉛があり、天然黒鉛には土状黒鉛、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛等があり、これら何れのものを用いても良い。該(e1)黒鉛の固定炭素含有量について、何ら制限を受けるものではなく、特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、固定炭素含有量が95%以上である黒鉛が好ましい。また、該(e1)黒鉛の粒子径は、何ら制限を受けるものではなく、特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、一次粒子での平均粒子径が0.5〜400μmである黒鉛が好ましい。
一方、該炭素繊維(以下、(e2)炭素繊維と記す。)としては、特に制限を受けるものではない。炭素繊維には大別して、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系、ポリビニルアルコール系等があり、これら何れを用いても良く、好ましくはピッチ系炭素繊維である。該(e2)炭素繊維の熱伝導率について、何ら制限を受けるものではなく、特に熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから、熱伝導率が100W/m・K以上である炭素繊維が好ましい。また、該(e2)炭素繊維の形状として、例えば繊維径5〜20μm、繊維長2〜8mmのチョップドファイバー、繊維径5〜20μm、繊維長30〜600μmのミルドファイバー等が例示でき、その中でも特に機械的強度に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることからチョップドファイバーが好ましい。
さらに(e)成分として、(e1)黒鉛単独或いは(e2)炭素繊維単独で用いても、(e1)黒鉛と(e2)炭素繊維を同時に用いても構わない。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、特に機械的強度、成形性、熱伝導性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物となることから(a)ポリアリーレンスルフィド20〜60重量%、(b)離型剤0.05〜5重量%、(c)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末又は100W/m・k以上の熱伝導率を有する炭素繊維が5〜50重量%、並びに(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末15〜70重量%からなることが好ましく、特に得られる成形品の金型離型性や外観にも優れたものとなることから、(a)ポリアリーレンスルフィド20〜60重量%、(b1)カルナバワックス0.05〜5重量%、(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末5〜25重量%、並びに(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末15〜70重量%からなること、又は、(a)ポリアリーレンスルフィド20〜50重量%、(b1)カルナバワックス0.05〜5重量%、(c2)100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維5〜50重量%、並びに(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末15〜70重量%からなることが好ましい。
さらに、より熱伝導率、線膨張率に優れたものとなり、その異方性も抑えられたポリアリーレンスルフィド組成物となることから(a)ポリアリーレンスルフィド20〜50重量%、(b1)カルナバワックス0.05〜5重量%、(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末5〜25重量%、(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末15〜70重量%、並びに(e)黒鉛及び/又は炭素繊維5〜40重量%からなることが好ましい。
さらに、発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等の1種以上を混合して使用することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融混練方法を用いることができる。例えば単軸または二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常280〜400℃の中から任意に選ぶことが出来る。また、本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、射出成形機、押出成形機、トランスファー成形機、圧縮成形機等を用いて任意の形状に成形することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、繊維状、非繊維状の補強材を使用できる。繊維状補強材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウムウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー等が挙げられる。また非繊維状の補強材としては、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ワラステナイト、ゼオライト、ガラスビーズ、ガラスパウダー等が挙げられる。これらの補強材は2種以上を併用することができ、必要によりシラン系、チタン系カップリング剤で表面処理をして使用することができる。特に好ましい補強材は繊維状補強材ではガラス繊維が、非繊維状補強材では炭酸カルシウム、タルクである。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、従来公知の滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、金型腐食防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料等の着色剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上併用しても良い。
本発明のポリアリーレンスルフィド組成物は、発熱性の高い半導体素子、抵抗などの封止用樹脂、あるいは高い摩擦熱が発生する部品に特に好適である他、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネット、ソケット、抵抗器、リレーケースなどの電気機器部品用途に特に適している他、センサー、LEDランプ、コネクター、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、ハードディスクドライブ部品(ハードディスクドライブハブ、アクチュエーター、ハードディスク基板など)、DVD部品(光ピックアップなど)、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などの各種用途にも適用できる。
本発明は、熱伝導性、寸法安定性、耐熱性、金型離型性、低ガス性および溶融流動性に優れ、かつ熱伝導性や熱膨張性の異方性の小さいポリアリーレンスルフィド組成物を提供するものであり、該ポリアリーレンフィド組成物は、特に電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に有用なものである。
次に、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの例になんら制限されものではない。
実施例及び比較例において、(a)ポリアリーレンスルフィド、(b)離型剤、(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末、(c2)100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維、(c’)100W/m・K未満の熱伝導率である炭素繊維、(d)被覆酸化マグネシウム粉末、(d’)複酸化物で被覆されていない酸化マグネシウム粉末、(e)黒鉛、炭素繊維として以下のものを用いた。
<(a)ポリアリーレンスルフィド>
(a−1)ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、単にPPS(a−1)と記す。):溶融粘度110ポイズ
(a−2)ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、単にPPS(a−2)と記す。):溶融粘度300ポイズ
(a−3)ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、単にPPS(a−3)と記す。):溶融粘度350ポイズ
<合成例1(PPS(a−1)、PPS(a−2)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、NaS・2.8HO1866g及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)5リットルを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、407gの水を溜出させた。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2280gとNMP1500gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、ポリマーを遠心分離器により単離した。温水でポリマーを繰り返し洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(a−1))の溶融粘度は110ポイズであった。
更にPPS(a−1)を、空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理を行った。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(a−2))の溶融粘度は300ポイズであった。
<合成例2(PPS(a−3))の合成)>
攪拌機を装備する15リットルチタン製オートクレーブにNMP3232g、47%硫化水素ナトリウム水溶液1682g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1142gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、1360gの水を溜出させた。この系を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン2118gとNMP1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、続けて250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水451gを圧入し、再度255℃まで昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを固液分離した。ポリマーをNMP、アセトン及び水で順次洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(a−3))は直鎖状のものであり、その溶融粘度は350ポイズであった。
<(b)離型剤>
(b1−1)カルナバワックス(以下、単にカルナバワックス(b1−1)と記す。);日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末。
<(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末>
(c1−1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末(以下、単に窒化ホウ素粉末(c1−1)と記す。);電気化学工業(株)製、(商品名)デンカボロンナイトライドSGP;平均粒子径18.0μm、比表面積2m/g、G.I値0.9。
(c1−2)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末(以下、単に窒化ホウ素粉末(c1−2)と記す。);電気化学工業(株)製、(商品名)デンカボロンナイトライドSP−2;平均粒子径4.0μm、比表面積34m/g、G.I値7.5。
<(c2)100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維>
(c2−1)100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維(以下、単に高熱伝導炭素繊維(c2−1)と記す。);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK6371T;熱伝導率140W/m・K、チョップドファイバー、繊維径10μm、繊維長6mm。
<(c’)100W/m・K未満の熱伝導率である炭素繊維>
(c’−1)100W/m・K未満の熱伝導率である炭素繊維(以下、単に低熱伝導炭素繊維(c’−1)と記す。);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK223SE;熱伝導率20W/m・K、チョップドファイバー、繊維径10μm、繊維長6mm。
<(d)被覆酸化マグネシウム粉末>
(d−1)フォルステライトにより被覆された被覆酸化マグネシウム粉末(以下、単に被覆酸化マグネシウム粉末(d−1)と記す。);タテホ化学工業(株)製、(商品名)クールフィラーCF2−100;フォルステライトによる表面被覆、平均粒子径20μm。
<(d’)複酸化物で被覆されていない酸化マグネシウム粉末>
(d’−1)複酸化物で被覆されていない酸化マグネシウム粉末(以下、単に酸化マグネシウム粉末(d’−1)と記す。);協和化学工業(株)製、(商品名)パイロキスマ3320;平均粒子径17μm。
<(e)黒鉛及び炭素繊維>
(e1−1)黒鉛(以下、単に黒鉛(e1−1)と記す。);昭和電工(株)製、(商品名)UFG−30;人造黒鉛、固定炭素含有量99.4%。
(e2−1)炭素繊維(以下、単に炭素繊維(e2−2)と記す。)(高熱伝導炭素繊維(c2−1)と同じ炭素繊維);三菱化学産資(株)製、(商品名)ダイアリードK6371T;熱伝導率140W/m・K、チョップドファイバー、繊維径10μm、繊維長6mm。
実施例及び比較例で用いた評価・測定方法を以下に示す。
〜曲げ強度の測定〜
射出成形により長さ127mm、幅12.7mm、厚み3.2mmの試験片を作製し、該試験片を用いて、ASTM D−790 Method−1(三点曲げ法)に準じ、曲げ強度を測定した。測定装置は(商品名)AG−5000B(島津製作所製)を用い、支点間距離50mm、測定速度1.5mm/分の試験条件で行った。
〜熱伝導率の測定〜
測定装置として(商品名)TC7000(ルビーレーザー、アルバック社製)を用い、23℃の条件下で、レーザーフラッシュ法にて測定した。厚み方向の熱伝導率は、一次元法により、熱容量Cpと厚み方向の熱拡散率αを求め、また平面方向の熱伝導率は、二次元法により、平面方向の熱拡散率α’を求めて、次式より熱拡散率を算出した。
厚み方向の熱伝導率=ρ×Cp×α
平面方向の熱伝導率=ρ×Cp×α’
ここで、密度ρは、ASTM D−792 A法(水中置換法)に準じ測定した。また、測定に供する試験片は、下記の線膨張係数に用いる平板から切削加工した。さらに、熱伝導率の異方性を評価するために、熱伝導率の(厚み方向)/(平面方向)比率を算出した。該値が100%に近いほど異方性は小さく、逆に0%に近い、又は100%を大きく越える場合は、異方性が大きい、と判断した。
〜線膨張係数の測定〜
射出成形により長さ70mm、幅70mm、厚み2mmの平板を作製し、該平板より、樹脂の流動方向(MD)及び樹脂の流動方向に直角な方向(TD)に、それぞれ幅5mm、長さ15mmの短冊状板を切り出し、これを線膨張係数測定の試験片とした。次に該試験片を(商品名)DL7000(アルバック社製)に装着し、30〜200℃の範囲で、2℃/分の昇温条件のもと、線膨張係数を測定した。さらに、線膨張係数の異方性を評価するために、線膨張係数の(MD)/(TD)比率を算出し、該値が100%に近いほど異方性は小さく、逆に0%に近い、又は100%を大きく越える場合は、異方性が大きい、と判断した。
〜メルトフローレート(MFR)の測定〜
高化式フローテスターを用い、温度315℃、荷重5kg、ダイ内径2.0mmの条件下、10分間で流出する組成物の重さ(g単位)を測定し、メルトフローレート(以下、MFRと記す。)とした。
実施例1
PPS(a−2)39重量%、カルナバワックス(b1−1)1重量%、窒化ホウ素粉末(c1−1)10重量%及び被覆酸化マグネシウム粉末(d−1)50重量%の割合でそれぞれを配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド組成物を作製した。
該ポリアリーレンスルフィド組成物を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、曲げ強度を測定するための試験片、及び、熱伝導率、線膨張係数を測定するための平板を、それぞれ成形した。
該試験片及び該平板から、曲げ強度、熱伝導率、線膨張係数を測定した。また、該ポリアリーレンスルフィド組成物を高化式フローテスターに仕込みMFRを測定した。これらの結果を表1に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド組成物は、曲げ強度は十分に大きく、熱伝導率も高く、かつその異方性は小さかった。また、線膨張係数は小さく、かつその異方性も小さかった。さらにMFRも実用上十分な値を示した。
実施例2〜9
PPS(a−1,2,3)、カルナバワックス(b1−1)、窒化ホウ素粉末(c1−1,2)、被覆酸化マグネシウム(d−1)を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し、評価した。評価結果を表1に示す。
得られた全てのポリアリーレンスルフィド組成物は、熱伝導率は高く、線膨張係数は小さかった。
Figure 0004747926
実施例10
PPS(a−2)29重量%、カルナバワックス(b1−1)1重量%、窒化ホウ素粉末(c1−1)10重量%、被覆酸化マグネシウム粉末(d−1)40重量%、及び黒鉛(e1−1)20重量%の割合でそれぞれを配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド組成物を作製した。
該ポリアリーレンスルフィド組成物を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、曲げ強度を測定するための試験片、及び、熱伝導率、線膨張係数を測定するための平板を、それぞれ成形した。
該試験片及び該平板から、曲げ強度、熱伝導率、線膨張係数を測定した。また、ポリアリーレンスルフィド組成物を高化式フローテスターに仕込みMFRを測定した。これらの結果を表2に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド組成物は、曲げ強度は十分に大きく、熱伝導率も高く、かつその異方性は小さかった。また、線膨張係数は小さく、かつその異方性も小さかった。さらにMFRも実用上十分な値を示した。
実施例11〜19
PPS(a−1,2,3)、カルナバワックス(b1−1)、窒化ホウ素粉末(c1−1,2)、被覆酸化マグネシウム(d−1)、黒鉛(e1−1)、炭素繊維(e2−1)を表2に示す配合割合とした以外は、実施例10と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し、評価した。評価結果を表2に示す。尚、炭素繊維(e2−1)を配合する場合は、炭素繊維は二軸押出機サイドフィーダーのホッパーに投入して、ポリアリーレンスルフィド組成物を作製した。
得られた全てのポリアリーレンスルフィド組成物は、熱伝導率は高く、線膨張係数は小さく、またそれらの異方性も小さかった。
Figure 0004747926
実施例20
PPS(a−2)32重量%、カルナバワックス(b1−1)1重量%及び被覆酸化マグネシウム粉末(d−1)42重量%の割合で配合して、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに、一方、高熱伝導炭素繊維(c2−1)25重量%を二軸押出機サイドフィーダーのホッパーに、それぞれ投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド組成物を作製した。
該ポリアリーレンスルフィド組成物を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、曲げ強度を測定するための試験片、及び、熱伝導率、線膨張係数を測定するための平板を、それぞれ成形した。
該試験片及び該平板から、曲げ強度、熱伝導率、線膨張係数を測定した。また、ポリアリーレンスルフィド組成物を高化式フローテスターに仕込みMFRを測定した。これらの結果を表3に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド組成物は、曲げ強度は十分に大きく、熱伝導率も高く、かつその異方性は小さかった。また、線膨張係数は小さかった。さらにMFRも実用上十分な値を示した。
実施例21〜25
PPS(a−1,2,3)、カルナバワックス(b1−1)、高熱伝導炭素繊維(c2−1)、被覆酸化マグネシウム(d−1)を表3に示す配合割合とした以外は、実施例20と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し、評価した。評価結果を表3に示す。
得られた全てのポリアリーレンスルフィド組成物は、熱伝導率は高く、線膨張係数は小さかった。
Figure 0004747926
比較例1〜4
PPS(a−2)、カルナバワックス(b1−1)、窒化ホウ素粉末(c1−1,2)、被覆酸化マグネシウム(d−1)、酸化マグネシウム粉末(d’−1)を表4に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し、評価した。評価結果を表4に示す。
(c1)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末を配合しない比較例1の組成物は、熱伝導率が低いものであった。また、(d)被覆酸化マグネシウムを配合しない比較例2の組成物は、平面方向の熱伝導率は十分に高いものの、厚み方向は低く、その異方性は極めて大きかった。さらに、酸化マグネシウム(d’−1)を配合する比較例3の組成物は、厚み方向の熱伝導率が極めて低く、その異方性も大きかった。また、(b)離型剤を配合しない比較例4の組成物は、金型離型製が悪いことから、各評価に用いる試験片及び平板が成形できず、曲げ強度、熱伝導率、及び線膨張係数が評価できなかった。
Figure 0004747926
比較例5〜7
PPS(a−2)、カルナバワックス(b1−1)、窒化ホウ素粉末(c1−1)、被覆酸化マグネシウム(d−1)、酸化マグネシウム粉末(d’−1)、黒鉛(e1−1)、炭素繊維(e2−1)を表5に示す配合割合とした以外は、実施例10と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し、評価した。評価結果を表5に示す。尚、実施例と同様に、炭素繊維(e2−1)を配合する場合は、炭素繊維は二軸押出機サイドフィーダーのホッパーに投入して、組成物を作製した。
比較例5〜7により得られた組成物は、熱伝導率が小さい、線膨張係数が大きい、等の課題が発生した。
Figure 0004747926
比較例8〜11
PPS(a−2)、カルナバワックス(b1−1)、高熱伝導炭素繊維(c2−1)、低熱伝導炭素繊維(c’−1)、被覆酸化マグネシウム粉末(d−1)、酸化マグネシウム粉末(d’−1)を表6に示す配合割合とした以外は、実施例20と同様の方法により、ポリアリーレンスルフィド組成物、評価用試験片を作成し、評価した。評価結果を表6に示す。尚、実施例と同様に、高熱伝導炭素繊維(c2−1)或いは低熱伝導炭素繊維(c’−1)を配合する場合は、炭素繊維は二軸押出機サイドフィーダーのホッパーに投入して、組成物を作製した。
比較例8により得られた(d)被覆酸化マグネシウムを配合しない組成物は、熱伝導率は低かった。
比較例9,10により得られた低熱伝導炭素繊維(c’−1)を配合する組成物は、平面方向の熱伝導率は高いものの、厚み方向は低く、その異方性は大きかった。また高熱伝導炭素繊維(c2−1)を配合する実施例20、22により得られたポリアリーレンスルフィド組成物に比べ、曲げ強度も低かった。
比較例11により得られた酸化マグネシウム(d’−1)を配合する組成物は、厚み方向の熱伝導率が極めて低く、その異方性も大きかった。
Figure 0004747926

Claims (3)

  1. (a)ポリアリーレンスルフィド20〜50重量%、(b)離型剤0.05〜5重量%、(c)六方晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素粉末5〜25重量%、(d)ケイ素とマグネシウムの複酸化物及び/又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物で被覆された被覆酸化マグネシウム粉末15〜70重量%、並びに(e)黒鉛及び/又は炭素繊維5〜40重量%からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド組成物。
  2. (b)離型剤が(b1)カルナバワックスであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  3. 炭素繊維が、100W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
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