JP2009013390A - 熱伝導性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導性に優れる熱伝導性シートを提供すること。
【解決手段】結晶子サイズ、平均繊維長、平均繊維径、繊維径の分散を制御したピッチ系炭素繊維フィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物を混合し、その混合物のかさ密度が、ピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物の平均かさ密度より高くなる状態で、マトリクスと複合し、熱伝導性シートを作成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ピッチ系炭素繊維フィラー及び球状もしくは板状無機化合物を含む熱伝導性シートに関わるものである。さらに詳しくは、メルトブロー法によって作製したピッチ系炭素繊維フィラーの結晶子サイズや繊維径、黒鉛化度、無機化合物と複合した時のかさ密度を制御し、さらに樹脂に複合化させて形成した熱伝導性シートである。更に、球状もしくは板状無機化合物のモース硬度を制御し、さらに樹脂に複合化させて形成した熱伝導性シートであり、電子部品の放熱板や熱交換器、電磁波遮蔽に好適に使用される。
高性能の炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維と、一連のピッチ類を原料とするピッチ系炭素繊維に分類できる。そして炭素繊維は強度・弾性率が通常の合成高分子に比較して著しく高いという特徴を利用し、航空・宇宙用途、建築・土木用途、スポーツ・レジャー用途などに広く用いられている。
近年、省エネルギーに代表されるエネルギーの効率的使用方法が注目されている一方で、高速化されたCPUや電子回路のジュール熱による発熱が問題になっている。これらを解決するためには、熱を効率的に処理するという、いわゆるサーマルマネジメントを達成する必要がある。
炭素繊維は、通常の合成高分子に比較して熱伝導率が高く、放熱性に優れていると言われている。炭素繊維など炭素材料は、フォノンの移動により高い熱伝導率を達成すると言われている。このフォノンは、結晶格子が発達している材料において良く伝達する。実際は、市販のPAN系炭素繊維の熱伝導率は通常200W/(m・K)よりも小さく、サーマルマネジメントの観点からは必ずしも好適であるとは言い難い。これに対して、ピッチ系炭素繊維は黒鉛化性が高いために結晶格子が良く発達し、PAN系炭素繊維に比べて高熱伝導率を達成しやすいと認識されている。
炭素繊維以外に熱伝導性が優れた物質として、酸化アルミニウムや窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、シリカ、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物などが知られている。しかし、金属材料系の充填材は比重が高く複合材としたときに重量が大きくなってしまう。また、炭素系材料であるカーボンブラック等の球形材料は、添加量が高くなると、粉落ちが発生し、特に電子機器においては、その導電性が機器に悪影響を与える。これに対して、炭素繊維は比重が小さく金属材料系の充填材と同じ体積で添加した場合、複合材の重量を軽くできるというメリットがあるのみならず、その形状が繊維状であることより、カーボンブラックを使用したときの様な粉落ちが起こり難く、更には複合材の補強硬化を示すというメリットもある。
次にサーマルマネジメントに用いる複合材の特徴について考察する。炭素繊維の高い熱伝導率を効果的に利用するためには、何らかのマトリクスを介在させた状態において炭素繊維がネットワークを形成していることが好ましい。特にネットワークが三次元的に形成されている場合には、成形体の面内方向のみならず厚み方向に対しても炭素繊維の高い熱伝導が達成されることが予想される。しかし現実には、炭素繊維同士が交絡した場合、空隙が発生する。空隙部分は輻射により熱伝導が行われるが、炭素繊維もしくはマトリクスにより行われる伝熱より効率が劣るため、複合材としての熱伝導性が低下することになる。
そのため、複合材の熱伝導性を向上させるため、炭素繊維と球状粒子を混合させた複合材が検討されてきた(特許文献1、2、3)。しかし、炭素繊維と球状粒子を混ぜるだけでは、熱伝導性は向上するが、無機粒子を混ぜることにより成形時の粘度が大幅に向上し、成形性が低下する問題があった。
特開2006−265441号公報第1頁 特開2005−320515号公報第1頁 特開2005−213459号公報第1頁
上記のように、炭素繊維、特にピッチ系炭素繊維の高熱伝導率という観点からサーマルマネジメント用途の開発が進みつつある。しかし、サーマルマネジメントの観点からは成形体としての熱伝導性が高くなっていることが必要とされている。更に、成形体を得る際に、成形性に優れることが求められている。
そこで、適切な熱伝導率を有し、さらに成形体の三次元的な熱伝導性が向上し、加えて成形性に優れる熱伝導性シートが強く望まれていた。
本発明者らは、複合材の特に厚み方向の熱伝導度を向上させること及び複合材の成形性の向上を鑑み、一つに炭素繊維の集合状態に着目し、その集合状態が3次元的にランダムな場合に、熱伝導性シートの熱伝導率が著しく改善されることを見出し、さらに球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物を炭素繊維の交絡によって発生する空隙に充填効率よく埋め込むことで、熱伝導性を改善しつつ、成形性を低下させないことで、優れた熱伝導性及び成形性を併せ持った熱伝導性シートを得ることに到達した。
即ち、本発明の目的は、ピッチ系炭素繊維フィラーとフィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物とを含む熱伝導性シートであって、該熱伝導性シートのかさ密度が、それを構成するピッチ系炭素繊維フィラーのかさ密度及び含有率、該無機化合物のかさ密度及び含有率から算出される平均かさ密度よりも大きいことを特徴とする熱伝導性シートによって達成することができる。
更に本発明には、ピッチ系炭素繊維フィラーがメソフェーズピッチを原料とし、ピッチ系炭素繊維フィラーの六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であり、炭素繊維の平均繊維径が5〜20μmであり、炭素繊維の平長さが5〜6000μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20であることを特徴とする熱伝導性シート、球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物が、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、アルミニウム、ガラス、マグネシウム、銀、銅、スズおよびダイヤモンドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする熱伝導性シート、フィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物の含有量が、ピッチ系炭素繊維フィラー100重量部の含有量に対し、1重量部〜900重量部であることを特徴とする熱伝導性シート、該無機化合物のモース硬度が5以下である熱伝導性シート、球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物が、アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、ガラス、マグネシウム、銀、銅及びスズからなる群より選ばれる少なくとも1種である熱伝導性シートが包含される。
本発明の炭素繊維複合シートは、黒鉛結晶の広がり(六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズ)を一定サイズ以上に制御したピッチ系炭素繊維フィラーの三次元的交絡、更に球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物を、ピッチ系炭素繊維フィラーの三次元的交絡に埋め込むことで、高い熱伝導性がシート面内に発現させることを可能にせしめている。また、埋め込むことで、成形時の粘度がほとんど向上せず、成形性の低下を抑制している。更には、球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物のモース硬度を5以下とすることで、ピッチ系炭素繊維フィラーの破砕を抑制することでも、高い熱伝導率が面内に発現することを可能にせしめている。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。
本発明で用いられるピッチ系炭素繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特に光学的異方性ピッチ、すなわちメソフェーズピッチが好ましい。メソフェーズピッチは、黒鉛化処理を行った際に黒鉛化度が向上しやすため、炭素繊維の熱伝導性を向上させる上で特に好ましいためである。
原料ピッチとなる光学異方性ピッチの軟化点はメトラー法により求めることができ、250℃以上350℃以下が好ましい。軟化点が250℃より低いと、不融化の際に繊維同士の融着や大きな熱収縮が発生する。また、350℃より高いとピッチの熱分解が生じ糸状になりにくくなる。
光学異方性ピッチは溶融後、ノズルより吐出しこれを冷却することによる溶融紡糸によって繊維化できる。紡糸方法としては、具体的には口金から吐出したピッチをワインダーで引き取る通常の紡糸法、熱風をアトマイジング源として用いるメルトブロー法、遠心力を利用してピッチを引き取る遠心紡糸法などが挙げられる。中でも、曲率半径の制御、生産性の高さなどの理由からメルトブロー法を用いるのが好ましい。
光学異方性ピッチは溶融紡糸された後、不融化、焼成、必要に応じて粉砕を経て最後に黒鉛化することによってピッチ系炭素繊維フィラーとする。以下、メルトブロー法を例にとって、各工程について説明する。
本発明においては、紡糸時の温度は、光学異方性ピッチの粘度が30〜250ポイズの範囲にある温度であることが望ましい。更に好ましくは50〜200ポイズの範囲にある温度である。紡糸ノズルは、導入角αが10〜55°であり、吐出口長さLと吐出口の径Dの比L/Dが6〜20の範囲にあるノズルが好ましく用いられる。紡糸条件がこの範囲にある時、光学異方性ピッチにかかるせん断力が、芳香環をある程度配列させることできる。紡糸条件がこの条件から外れる時、例えば、粘度がより大きい、もしくは導入角がより小さい、もしくはL/Dがより大きい時などせん断力がより強くかかる条件では、配列が進みすぎて黒鉛化した際に、炭素繊維が割れやすくなる。逆に粘度がより小さい、もしくは導入角がより大きい、もしくはL/Dがより小さいなどせん断力がより小さいなどせん断力が小さくかかる条件では、芳香環があまり配列しないため、黒鉛化処理しても黒鉛化度がそれほど向上せず、高い熱伝導性が得られない。
ノズル孔から出糸されたピッチ繊維は、100〜350℃に加温された毎分100〜10000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって短繊維化される。吹き付けるガスは空気、窒素、アルゴンを用いることができるが、コストパフォーマンスの点から空気が好ましい。
ピッチ繊維は、金網ベルト上に捕集され連続的なマット状になり、さらにクロスラップされることで3次元ランダムマットとなる。
3次元ランダムマットとは、クロスラップされていることに加え、ピッチ繊維が三次元的に交絡しているマットをいう。この交絡は、ノズルから、金網ベルトに到達する間にチムニと呼ばれる筒において達成される。線状の繊維が立体的に交絡するために、通常一次元的な挙動しか示さない繊維の特性が立体においても反映されるようになる。
このようにして得られたピッチ繊維よりなる3次元ランダムマットは、公知の方法で不融化する。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いて200〜350℃で達成される。安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが好ましい。また、不融化したピッチ繊維は、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガス中で600〜1500℃で焼成され、次いで2000〜3500℃で黒鉛化されるが、焼成は常圧で、且つコストの安い窒素中で実施される場合が多く、黒鉛化は使用する炉の形式に応じて、不活性ガスの種類を変更する事が一般的である。不融化後或いは焼成後、必要に応じ得られた繊維を粉砕する。粉砕は公知の方法によって行うことができる。具体的には、カッター、ボールミル、ジェットミル、クラッシャーなどを用いることができる。粉砕された炭素繊維を必要に応じて焼成し、次いで黒鉛化する。黒鉛化温度は、炭素繊維としての熱伝導率を高くするためには、2000〜3500℃にすることが好ましい。より好ましくは2300〜3500℃である。黒鉛化の際に黒鉛性のルツボに入れ処理すると、外部からの物理的、化学的作用を遮断でき好ましい。黒鉛製のルツボは上記の炭素繊維を、所望の量入れることが出来るものであるならば大きさ、形状に制約はないが、黒鉛化処理中または冷却中に炉内の酸化性のガス、または水蒸気との反応による当該炭素繊維の損傷を防ぐために、フタ付きの気密性の高いものが好適に利用できる。
ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は5〜20μmであることが必要である。5μm以下の場合には、原料となるマットの形状が保持できなくなることがあり生産性が悪い。繊維径が20μmを超えると、不融化工程でのムラが大きくなり部分的に融着が起こったりするところが発生する。より好ましくは5〜15μmであり、さらに好ましくは8〜12μmである。
これに対してピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維長は5〜6000μmであることが好ましい。5μmを下回ると繊維としての特徴が失われ、十分な熱伝導度を発揮できない。一方6000mmを超えると繊維の交絡が著しく増大し、樹脂と混合した際に粘度が非常に大きくなりハンドリングが困難になる。より好ましくは10〜3000μm、さらに好ましくは20〜1000mmである。
なお、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率として求められるCV値は、5〜20であることが好ましい。CV値が5を下回ることは工程上あり得ない。また、CV値が20を超えると、不融化でトラブルを起こす直径20μm以上の繊維が増える可能性が高くなり、生産性の観点から好ましくない。
本発明で用いるピッチ系炭素繊維フィラーは、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であることが必要である。六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは公知の方法によって求めることができ、X線回折法にて得られる炭素結晶の(110)面からの回折線によって求めることができる。結晶子サイズが重要になるのは、熱伝導が主としてフォノンによって担われており、フォノンを発生するのが結晶であることに由来している。より好ましくは、20nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。
本発明で用いる無機化合物は、球状もしくはアスペクト比が3以下である。形状は光学顕微鏡等で測定することができる。繊維状などアスペクト比が3より大きい形状をしていると、ピッチ系炭素繊維フィラーが交絡して形成される空隙に、無機化合物を埋め込むことができず、熱伝導性シートの熱伝導性の向上、及び成形性の低下が期待できない。
無機化合物に特に限定はないが、具体的にはシリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、アルミニウム、ガラス、マグネシウム、銀、銅、スズ、ダイヤモンドを使用することができる。
無機化合物の含有量はピッチ系炭素繊維フィラー100重量部の含有量に対し、1〜900重量部であることが好ましい。無機化合物の含有量が1重量部より少ないと、熱伝導性接着剤の熱伝導性が向上しない。逆に、無機化合物の含有量が900重量部より多いと、炭素繊維フィラー同士の交絡によってできる空隙に入る無機化合物の量より、含有量が多くなるため、熱伝導性シートの粘度が大幅に向上し、ハンドリング性が低下してしまう。
ハンドリングや成形性の点で、ピッチ系炭素繊維フィラー100重量部に対し、無機化合物の含有量は好ましくは1重量部〜300重量部である。
本発明の熱伝導性シートに用いるピッチ系炭素繊維フィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物は、ピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物を混合した状態のかさ密度が、ピッチ系炭素繊維フィラーのかさ密度及び含有率、無機化合物のかさ密度及び含有率から算出される平均かさ密度よりも大きいことが必要である。混合した時のかさ密度が算出したかさ密度よりも小さい場合、ピッチ系炭素繊維フィラーの空隙に無機化合物が効率よく埋め込まれていないことを意味し、熱伝導率の向上は期待できない。また、熱伝導性接着剤の粘度が大幅に向上し、成形性が低下する。ここで示すかさ密度は、公知の方法によって測定することができ、ピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物を混合したかさ密度は、両者を混合して、マトリックスに導入する前の段階で、公知の方法で測定する。
多くは、ピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が無機化合物の粒子径より短かく、無機化合物の充填状態から計算できる空隙の大きさよりピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が短い場合、混合した状態のかさ密度が算出したかさ密度より大きくなる。また、無機化合物間の空隙の大きさからピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が離れるほど充填の効果が高くなる。
逆に、ピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が無機化合物の粒子径より長く、ピッチ系炭素繊維フィラーの充填状態から計算できる空隙の大きさより無機化合物の粒子径が小さい場合、混合した状態のかさ密度が算出したかさ密度より大きくなる。また、ピッチ系炭素繊維フィラー間の空隙の大きさから無機化合物の粒子径が離れるほど充填の効果が高くなる。
本発明で用いる球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物は、モース硬度が5以下であることが好適である。モース硬度は、鉱物等を引っかいた時にできる傷のでき方から判断した硬さの序列であり、文献等からも確認できる。通常、炭素繊維など黒鉛化炭素に類するものはモース硬度が0.5〜1にある。モース硬度が5以下の無機化合物は炭素繊維と混合しシートを作成しても、炭素繊維を衝突によりほとんど破砕すること無く、炭素繊維の交絡からなるネットワークを維持し、高熱伝導率を達成することができる。これに対し、モース硬度が5より大きい化合物は、炭素繊維と混合した際に炭素繊維との衝突により、炭素繊維を破砕してしまう。その結果、炭素繊維の交絡からなるネットワークが形成しにくくなり熱伝導率が低下することがある。中でも、モース硬度が3以下の化合物は衝突による炭素繊維の破砕が更に少なく、好適に使用できる。
モース硬度が5以下の熱伝導性充填材に特に限定はないが、具体的にはアルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、ガラス、マグネシウム、銀、銅、スズを使用することができる。また、モース硬度が3以下の無機化合物は窒化ホウ素、スズ、マグネシウム、銀、アルミニウム、銅などがある。
本発明の熱伝導性シートの熱伝導率は公知の方法によって測定することができるが、その中でも、プローブ法、ホットディスク法、レーザーフラッシュ法が好ましく、特にプローブ法が簡易的で好ましい。
一般に炭素繊維そのものの熱伝導度は数百W/(m・K)であるが、成形体にすると、欠陥の発生・空気の混入・予期せぬ空隙の発生により、熱伝導率は急激に低減する。よって、炭素繊維複合シートとしての熱伝導率は実質的に3W/(m・K)を超えることが困難であるとされてきた。
本発明の熱伝導性シートに用いるマトリクスに特に限定は無いが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂共に用いることができる。熱可塑性樹脂に特に限定はないが、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリフェニレンスルフィド類などを用いることができる。熱硬化性樹脂に特に限定はないが、エポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類などを用いることができる。
本発明の熱伝導性シートは公知の方法により作製することができる。具体的な成型体作成方法としては、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、注型成形法などが挙げられる。
成形する前にピッチ系炭素繊維フィラーは、電解酸化などによる酸化処理やカップリング剤やサイジング剤で処理することで、表面を改質させたものを用いることもできる。また、無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法、化学的蒸着法、塗装、浸漬、微細粒子を機械的に固着させるメカノケミカル法などの方法によって金属やセラミックスを表面に被覆させたものでもよい。
ピッチ系炭素繊維フィラーとマトリックスの混合比は特に限定されないが、樹脂100重量部に対して、20〜250重量部のピッチ系炭素繊維フィラーが含まれることが好ましい。より好ましくは40〜150重量部である。ピッチ系炭素繊維フィラー含有率が20重量部より小さいと十分な熱伝導度が得られず、ピッチ系炭素繊維フィラー含有率が250重量部より大きくなると樹脂が少なくなりシートとしての形状を維持するのが難しくなる。また、炭素繊維複合シートの厚みは用途によって自由に設定することができるが、0.2〜10mmが成形歩留まりを向上させる上で好ましい。0.2mm以下は均一な成形が困難であり、10mm以上は厚みムラの制御が困難になる。
このようにして得られた炭素繊維複合シートは、発熱体に貼付し熱伝導性性成型体として用いることができる。より具体的に、成形体の用途について説明する。当該成形体は、電子機器等において半導体素子や電源、光源などの電子部品が発生する熱を効果的に外部へ放散させるための放熱部材、伝熱部材あるいはそれらの構成材料等として用いることができる。また、本発明の炭素繊維複合シートは鋏で容易に切断することができる。また、任意の形状に加工して半導体素子等の発熱部材と放熱器等の放熱部材との間に介在させて用いたり、放熱板、半導体パッケージ用部品、ヒートシンク、ヒートスプレッダー、ダイパッド、プリント配線基板、冷却ファン用部品、ヒートパイプ、筐体等に成形加工したりして用いることできる。平面的に用いることはもとより、立体的に用いることも可能である。ヒートパイプの場合、フレキシブルな形態にすることが可能となる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーをJIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維長は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーを抜き取り、光学顕微鏡下で測長器で2000本測定し、その平均値から求めた。
(3)ピッチ系炭素繊維フィラーの結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(4)熱伝導性シートの熱伝導率は、京都電子製QTM−500を用いプローブ法で求めた。
(5)ピッチ系炭素繊維フィラー、無機化合物、及びピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物の混合物のかさ密度は、JIS1201−1に従って測定した。
(6)成形前の粘度は、B型粘度計で測定した。
[実施例1]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/mのピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度2℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。この3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で800rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。平均繊維長は300μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。かさ密度は0.40g/ccであった。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、水酸化アルミニウム(平均粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、モース硬度9、マイクロン社製)10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」、硬化剤「エピキュア113」を)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、10.0Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、6.3W/(m・K)であった。
[実施例2]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、窒化ホウ素(平均粒子径10μm、かさ密度2.03g/cc、モース硬度2、GEケミカル社製)10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.94g/cc(平均値:0.81g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」、硬化剤「エピキュア113」)を60重量部、とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、8.7Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、7.2W/(m・K)であった。また、
[実施例3]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、水酸化アルミニウム(平均粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、モース硬度9、マイクロン社製)10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、7.5Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、6.1W/(m・K)であった。
[実施例4]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、モース硬度9、マイクロン社製)10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物とポリカーボネート系樹脂(帝人化成社製商品名「L−1225WP」)を60重量部とをニーダー(栗本鉄工所製)を用いて280℃で混合し、ストランドを得た。このときの粘度は、シェアレート1000(1/s)の時、700Pa・sであった。更に、これをノズル温度300℃、金型温度80℃で射出成形することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、3.5W/(m・K)であった。
[実施例5]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/mのピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度2℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。この3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で800rpmで粉砕し、その後ボールミル(レッチェ製)で粉砕し、で3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。平均繊維長は50μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは65nmであった。かさ密度は1.15g/ccであった。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、水酸化アルミニウム(平均粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、モース硬度9、マイクロン社製)10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は1.61g/cc(平均値:1.45g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」、硬化剤「エピキュア113」を)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、3.8Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作製した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、4.4W/(m・K)であった。
[実施例6]
実施例5と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、水酸化アルミニウム(平均粒子径50μm、かさ密度2.15g/cc、モース硬度9、マイクロン社製)10重量%をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は1.49g/cc(平均値:1.40g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」、硬化剤「エピキュア113」を)60重量%とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、3.9Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、4.6W/(m・K)であった。
[実施例7]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、窒化ホウ素30重量部(平均粒子径10μm、かさ密度2.03g/cc、モース硬度2、GEケミカル社製)をビニール袋の中で混合した。フィラー混合物のかさ密度は1.35g/cc(平均値:1.22g/cc)であった。フィラー混合物と熱硬化性シリコーン樹脂(東レダウシリコーン製、SE1740)40重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度はシェアレート1.8(1/s)の時、12.3Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、13.3W/(m・K)であった。
[実施例8]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、アルミニウム30重量部(平均粒子径8μm、かさ密度1.80g/cc、モース硬度2、東洋アルミニウム製)をビニール袋の中で混合した。フィラー混合物のかさ密度は1.22g/cc(平均値:1.10g/cc)であった。フィラー混合物と熱硬化性シリコーン樹脂(東レダウシリコーン製、SE1740)40重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度はシェアレート1.8(1/s)の時、11.9Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、12.6W/(m・K)であった。
[実施例9]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、酸化亜鉛240重量部(平均粒子径10μm、かさ密度g4.00/cc、モース硬度5、堺化学工業製)をビニール袋の中で混合した。フィラー混合物のかさ密度は2.25g/cc(平均値:2.20g/cc)であった。フィラー混合物と熱硬化性シリコーン樹脂(東レダウシリコーン製、SE1740)40重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度はシェアレート1.8(1/s)の時、13.1Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、13.6W/(m・K)であった。
[比較例1]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)70重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、7.0Pa・sであった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、3.8W/(m・K)であった。
[比較例2]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径50μm、かさ密度2.15g/cc、モース硬度9、マイクロン社製)10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.71g/cc(平均値:0.84g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡した後、ドクターブレードで0.5mmの厚みに成形した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、15.0Pa・sであり粘度が非常に高かった。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、4.1W/(m・K)であった。
[比較例3]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素短繊維フィラー30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径50μm、かさ密度2.15g/cc、モース硬度9、マイクロン社製)10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.71g/cc(平均値:0.84g/cc)であった。フィラー混合物とポリカーボネート系樹脂(帝人化成社製商品名「L−1225WP」)を60重量部とをニーダー(栗本鉄工所製)を用いて280℃で混合し、ストランドを得た。このときの粘度は、シェアレート1000(1/s)の時、1200Pa・sであり、粘度が非常に高かった。更に、これをノズル温度300度、金型温度80℃で射出成形することで、熱伝導性シートを作成した。
作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、1.5W/(m・K)であった。
本発明の熱伝導性シートは、ピッチ系炭素繊維フィラーとアスペクト比が小さい無機化合物を混合し、ピッチ系炭素繊維フィラーが交絡してできた空隙に無機化合物を埋め込むことで、高い熱伝導性を発現することを可能にせしめている。また、成形時に粘度を向上させることも無く、成形性を維持できる。更に、無機化合物のモース硬度を制御することによりピッチ系炭素繊維フィラーの破砕を抑制し、より高い熱伝導性の発現を可能にせしめている。これにより、高い放熱特性が要求される場所に用いることが可能になり、サーマルマネージメントを確実なものとする。

Claims (6)

  1. ピッチ系炭素繊維フィラーと球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物とを含む熱伝導性シートであって、該ピッチ系炭素繊維フィラーと該無機化合物を混合した状態のかさ密度が、該ピッチ系炭素繊維フィラーのかさ密度及び含有率、該無機化合物のかさ密度及び含有率から算出される平均かさ密度よりも大きいことを特徴とする熱伝導性シート。
  2. ピッチ系炭素繊維フィラーがメソフェーズピッチを原料とし、ピッチ系炭素繊維フィラーの六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であり、炭素繊維の平均繊維径が5〜20μmであり、炭素繊維の平均繊維長が5〜6000μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性シート。
  3. 球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物が、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、アルミニウム、ガラス、マグネシウム、銀、銅、スズおよびダイヤモンドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  4. ピッチ系炭素繊維フィラーの含有量100重量部に対し、球状もしくは板状無機化合物の含有量が1重量部〜900重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の熱伝導性シート。
  5. 無機化合物のモース硬度が5以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  6. 球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物が、アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、ガラス、マグネシウム、銀、銅、スズからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性シート。
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