JP4971958B2 - シート状熱伝導性成形体 - Google Patents
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そこで、適切な熱伝導性を有し、加えてハンドリング性に優れる熱伝導性成形体が強く望まれていた。
本発明のシート状熱伝導性成形体は、成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長が熱伝導性成形体の厚みの0.1〜1倍である。ピッチ系炭素繊維フィラーはアスペクト比があるため、微視的には部分的にフィラーが集まっていると見ることができ、球状フィラーと比較して熱伝導性成形体中での分散状態はより非均一な状態にあると言える。分散状態が均一である場合、熱伝導性成形体の熱抵抗は、その構成材料であるマトリクスの熱抵抗と熱伝導材の熱抵抗の合計になる(直列)。それに対し、分散状態が非均一な熱伝導性成形体の熱抵抗の逆数は、直列法にて求めた充填材リッチな部分の熱抵抗とマトリクスリッチな部分の熱抵抗の逆数の和となる(並列)。この様にして求められた分散状態が非均一な複合材の熱抵抗は、均一な複合材の熱抵抗と比較して小さくなり、高い熱伝導性を示す。
3次元ランダムマットとは、クロスラップされていることに加え、ピッチ繊維が三次元的に交絡しているマットをいう。この交絡は、ノズルから、金網ベルトに到達する間にチムニと呼ばれる筒において達成される。線状の繊維が立体的に交絡するために、通常一次元的な挙動しか示さない繊維の特性が立体においても反映されるようになる。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーをJIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーを抜き取り、光学顕微鏡下で測長器で2000本(10視野、200本ずつ)測定し、その平均値から求めた。
(3)成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は、成形体をヘキサン中でゲル化除去し、得られたピッチ系炭素繊維フィラーを(2)と同様の方法で測定した。
(4)ピッチ系炭素繊維フィラーの結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(5)ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面は、透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大し、グラフェンシートを確認した。
(6)ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は走査型電子顕微鏡で1000倍の倍率で観察し、凹凸を確認した。
(7)シート状熱伝導性成形体の熱抵抗は、成形体の片面にヒーター(熱電対付)を設置し、反対側に熱電対を設置し、以下の式を用いて求めた。
熱抵抗=(T1−T2)/P(K/W)
T1:ヒーター温度、T2:ヒーターと反対側の温度、P:ヒーター出力。
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。この時の紡糸温度は325℃であり、溶融粘度は18.5Pa・S(185poise)であった。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/m2のピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度2℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。この3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で800rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。個数平均繊維長は150μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。
ピッチ系炭素繊維フィラー40重量部と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とを自公転混合機(シンキー社製商品名「あわとり練太郎AR250」)を用いて1分間混合した後、ドクターブレードで700μmの厚みに成形した。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性成形体を作成した。成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は120μmであっ
た。
作成した熱伝導性シートの熱抵抗を測定したところ、0.28K/Wであった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー40重量部と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とを自公転混合機(シンキー社製商品名「あわとり練太郎AR250」)を用いて2分間混合した後、ドクターブレードで700μmの厚みに成形した。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性成形体を作成した。成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は90μmであった。
作成した熱伝導性シートの熱抵抗を測定したところ、0.30K/Wであった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー40重量部と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とを自公転混合機(シンキー社製商品名「あわとり練太郎AR250」)を用いて30秒間混合した後、ドクターブレードで700μmの厚みに成形した。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性成形体を作成した。成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は140μmであった。
作成した熱伝導性シートの熱抵抗を測定したところ、0.26K/Wであった。
粉砕時にカッターの回転数を650rpmにした他は、実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維を作成した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。個数平均繊維長は180μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。
ピッチ系炭素繊維フィラーの端面は透過型顕微鏡の観察によりグラフェンシートが閉じていることを確認した。また、表面は走査型電子顕微鏡の観察により、凹凸は1個であり実質的に平滑であった。
ピッチ系炭素繊維フィラー40重量部と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とを自公転混合機(シンキー社製商品名「あわとり練太郎AR250」)を用いて1分間混合した後、ドクターブレードで500μmの厚みに成形した。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性成形体を作成した。成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は160μmであった。
作成した熱伝導性シートの熱抵抗を測定したところ、0.18K/Wであった。
実施例4と同様の方法でピッチ系炭素繊維フィラーを作成した。
ピッチ系炭素繊維フィラー40重量部と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とを自公転混合機(シンキー社製商品名「あわとり練太郎AR250」)を用いて1分間混合した後、ドクターブレードで300μmの厚みに成形した。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性成形体を作成した。成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は160μmであった。
作成した熱伝導性シートの熱抵抗を測定したところ、0.12K/Wであった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラー40重量部と二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SE1740」)を60重量部とを自公転混合機(シンキー社製商品名「あわとり練太郎AR250」)を用いて10分間混合した後、ドクターブレードで1000μmの厚みに成形した。更に、これを130℃で1時間硬化することで、熱伝導性成形体を作成した。成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は60μmであった。
作成した熱伝導性シートの熱抵抗を測定したところ、0.51K/Wであった。
Claims (4)
- ピッチ系炭素繊維フィラーと熱硬化性樹脂としてシリコーン類を含むシート状熱伝導性成形体であって、成形体の厚みが100〜3000μmであって、成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長が成形体の厚みの0.1〜0.3倍であるシート状熱伝導性成形体。
- シート状熱伝導性成形体の原料となるピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長が20〜500μmである請求項1記載のシート状熱伝導性成形体。
- 樹脂100重量部に対し、該ピッチ系炭素繊維フィラーが5〜200重量部含まれている請求項1〜2のいずれか1項に記載のシート状熱伝導性成形体。
- ピッチ系炭素繊維フィラーと熱硬化性樹脂としてシリコーン類を含むシート状熱伝導性成形体の製造方法であって、ピッチ系炭素繊維フィラーとシリコーン類とを2分以内で混合することにより、成形体の厚みが100〜3000μmであって、成形体中のピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長が成形体の厚みの0.1〜0.3倍であるシート状熱伝導性成形体を製造する方法。
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