JP5015490B2 - 熱伝導性フィラー及びそれを用いた複合成形体 - Google Patents

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本発明は、熱伝導性フィラーに関する。更に詳しくは、ピッチ系炭素短繊維を原料に用いた伝熱性フィラーに関わる。
高性能の炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維と、一連のピッチ類を原料とするピッチ系炭素繊維に分類できる。そして炭素繊維は強度・弾性率が通常の合成高分子に比較して著しく高いという特徴を利用し、航空・宇宙用途、建築・土木用途、産業用ロボット、スポーツ・レジャー用途など広く用いられている。また、PAN系炭素繊維は、主として、その強度を利用する分野に、そしてピッチ系炭素繊維は、弾性率を利用する分野に用いられることが多い。
近年、省エネルギーに代表されるエネルギーの効率的使用方法が注目されている一方で、高速化されたCPUや電子回路のジュール熱による発熱が重篤な問題として認識されつつある。これらを解決するためには、熱を効率的に処理するという、所謂サーマルマネジメントを達成する必要がある。
サーマルマネジメントを具現化するには、金属・金属酸化物・金属窒化物・金属酸窒化物・合金といった、熱伝導性の高い無機材料を用いることが多い。金属ダイカストは、その典型的な例と考えることができる。しかし、複雑な形状をした電気部品の筐体を作製するには、上述した材料をフィラーとして何らかのマトリクスに混合した複合材として用いることが、費用対効果の面から望ましい。しかし、マトリクスに用いられることが多い合成樹脂の熱伝導率はフィラーの1//100程度以下であり、多量のフィラーを混合する必要がある。しかしながら、多量のフィラーの添加は、成形性の劣化を招き、実用性を損なってしまう。そのため、効率的に熱伝導性を発現できる形状にまで配慮がなされた高熱伝導性フィラーが求められていた。
一般に炭素繊維は、他の合成高分子に比較して熱伝導率が高いと言われているが、サーマルマネジメント用途に向けた、さらなる熱伝導の向上が検討されている。ところが、市販されているPAN系炭素繊維の熱伝導率は通常200W/(m・K)よりも小さい。これは、PAN系炭素繊維が所謂難黒鉛化炭素繊維であり、熱伝導を担う黒鉛性を高めることが非常に困難なことに由来している。これに対して、ピッチ系炭素繊維は易黒鉛化炭素繊維と呼ばれ、PAN系炭素繊維に比べて、黒鉛性を高くすることができるため、高熱伝導率を達成しやすいと認識されている。よって、効率的に熱伝導性を発現できる形状にまで配慮がなされた高熱伝導性フィラーにできる可能性がある。
ただ、炭素繊維単体での熱伝導性部材への加工は困難であり、非常に特殊な手法を用いる必要がある。そこで、金属性フィラー等と同様に、何らかのマトリクスと炭素繊維を複合材化し、それを成形体化し、その成形体の熱伝導度を向上させることが求められる。
そして、成形体が十分な熱伝導を達成するためには、熱伝導を主として担うフィラーが三次元的にネットワークを形成している必要がある。例えばサイズの揃った球体フィラーの場合、成形体中のフィラーのネットワークは分散状態にも依存するが、均一分散を仮定すると、パーコレーション的な挙動となる。したがって、十分な熱伝導性や電気伝導性を得るためには一定以上のフィラーの添加が必要になる。ところが、成形体を形成する手法においては、媒質とフィラーを一定以上の濃度で分散することが非常に困難なことが多い。
このような背景により、三次元的な架橋をフィラーに与える検討がされている。例えば金属を網目状にすることで、熱流を輸送する試みが特許文献1に開示されている。しかし、マトリクスへの分散に極めて高度な技術を要すると考えられる。また、特許文献2には、合金化することでマトリクスとフィラーが同時に溶融し、その結果、成形性を維持しながら高熱伝導性が達成されることが開示されている。
しかしながら、比重が樹脂に比して大きい金属材料の添加は、樹脂組成物の比重をも高くし、1gのオーダーで軽量化を議論するような用途には、不利と考えざるを得ない。
特開平6−196884号公報 国際公開第03/029352号パンフレット
上記したように、軽量で熱伝導性の高い樹脂組成物を作成するためには、熱伝導が高く比重の小さい物質が求められており、さらに最終的な使用状態において最大の熱伝導性を発現するようなフィラーの制御が強く望まれていた。
本発明者らは、最終的な成形体において熱伝導率を向上させること及び比重を小さくすることを目的とし、熱伝導性材料として熱伝導率の高いピッチ系炭素短繊維を、サイズ及びその分散、表面形状、微細構造に着目し、適切に制御し、さらにマトリクスに分散させることにより、これが達成できることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明の目的は、
透過型電子顕微鏡で観察した端面が閉じており、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平坦であるピッチ系炭素短繊維フィラーであり、更に、光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が7μm以上12μm以下の範囲であり、平均繊維径(D1)に対する繊維径分散(S1)の100分率が3〜20の範囲であり、かつ真密度が1.5〜2.2g/ccの範囲(ただし、2.20〜2.26g/ccを除く)であるピッチ系炭素短繊維フィラーによって達成することができる。
また、本発明には、平均繊維長(L1)が10μm以上700μm以下の範囲であり、D1に対するL1の比が1〜100であること、繊維軸方向の熱伝導率が300W/(m・K)以上であること、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズが10nm以上であり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが8nm以上であること、請求項1〜4のいずれかに記載のピッチ系炭素短繊維フィラーとマトリクスとからなり、マトリクスに対して体積分率で3〜60体積%の前記フィラーを含有する複合成形体、マトリクスが、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂であること、熱可塑性樹脂が、ポリカーボネイト類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリエチレン2,6ナフタレート類、ナイロン類、ポリプロピレン類、ポリエチレン類、ポリエポキシエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィド類の群より選ばれる少なくとも一種の樹脂であること、熱硬化性樹脂が、エポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類の群より選ばれる少なくとも一種の樹脂であること、平板状に成形した状態における熱伝導率が2W/(m・K)以上であること、請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を、射出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、押出成形法、注型成形法、ブロー成形法の群より選ばれる少なくとも一種以上の手法の組み合わせによって作製する複合成形体の製造方法、請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を主たる材料とする電子部品用放熱板、請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を主たる材料とする電波遮蔽板、請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を主たる材料とする熱交換器が包含される。
本発明のピッチ系炭素短繊維フィラーは、特定の形状を有し、さらにサイズが制御されていることにより、マトリクスの粘度増大を抑制しつつ、高い熱伝導率を複合成形体に付与することが可能になり、成形性が良好で熱伝導率の高い複合成形材料にすることが可能である。当該複合成形体は電子部品用放熱板や熱交換器の効率を高めることが可能になる。さらに、ピッチ系炭素短繊維が、数GHzの周波数帯域の電波遮蔽性に優れることにより、電波遮蔽板を供給することも可能になる。
次に、本発明の実施の形態について順次に説明していく。
本発明で用いられるピッチ系炭素短繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特に光学的異方性ピッチ、即ちメソフェーズピッチが好ましい。これらは、一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよいが、メソフェーズピッチを単独で用いることが炭素短繊維の熱伝導性を向上させる上で特に望ましい。
原料ピッチの軟化点はメトラー法により求めることができ、230℃以上340℃以下が好ましい。軟化点が230℃より低いと、不融化の際に繊維同士の融着や大きな熱収縮が発生する。また、340℃より高いとピッチの熱分解が生じ糸状になり難くなる。さらに、ガス成分が発生し、糸に気泡が発生し強度劣化を招く。
原料ピッチはメルトブロー法により紡糸され、その後不融化、焼成、ミリング、篩い分け、黒鉛化によってピッチ系炭素短繊維となる。以下各工程について説明する。
本発明においては、ピッチ系炭素短繊維の原料となるピッチ繊維の紡糸ノズルの形状については特に制約はないが、ノズル孔の長さと孔径の比が3よりも小さいものが好ましく用いられ、更に好ましくは1.5程度のものが用いられる。紡糸時のノズルの温度についても特に制約はなく、安定した紡糸状態が維持できる温度、即ち、紡糸ピッチの粘度が1〜100Pa・S、好ましくは50〜60Pa・Sになる温度であればよい。
ノズル孔から出糸されたピッチ繊維は、100〜370℃に加温された毎分100〜10000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって短繊維化される。吹き付けるガスは空気、窒素、アルゴンを用いることができるが、コストパフォーマンスの点から空気が望ましい。
ピッチ繊維は、金網ベルト上に捕集され連続的なマット状になり、さらにクロスラップされることで一定の目付のウェブとなる。
このようにして得られたピッチ繊維よりなるウェブは、公知の方法で不融化し、700〜900℃で焼成される。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いて200〜300℃の温度で一定時間の熱処理を付与することで達成される。安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが望ましい。そして、不融化したピッチ繊維は、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガス中で焼成されるが、常圧であり、且つコストの安い窒素中で実施される。
不融化・焼成されたピッチ繊維よりなるウェブは、さらに短繊維化を進め一定の長さにするために、ミリング、篩分けを実施する。ミリングは、ビクトリーミル、ジェットミル、高速回転ミル等の粉砕機、切断機等が使用される。ミリングを効率よく行うためには、ブレードを取付けたロータを高速に回転させることにより、繊維軸に対して直角方向に繊維を寸断する方法が適切である。
ミリングによって生じる繊維の平均繊維長は、ロータの回転数、ブレードの角度等を調整することにより制御される。さらに、篩により、10〜60μm、より好ましくは、15〜50μmに分けられる。或いは、100〜700μm、より好ましくは100〜300μmに分けられる。このような平均繊維長の調整は篩の目の粗さを組み合わせることによって達成することができる。
上記のミリング処理、篩分けを終えた繊維を2300〜3500℃に加熱し黒鉛化して最終的なピッチ系炭素短繊維とする。黒鉛化は、アチソン炉等にて非酸化性雰囲気下で実施される。
次に、本発明のピッチ系炭素短繊維フィラーの形状について述べる。本発明のピッチ系炭素短繊維は、透過型電子顕微鏡でフィラー端面の形状を観察すると、グラフェンシートが閉じた構造になっている。フィラーの端面がグラフェンシートとして閉じている場合には、余分な官能基の発生や、形状に起因する電子の局在化が起こらないので、水のような不純物の濃度を低減することができ、例えば、膨張黒鉛との親和性をより高めることが可能になり好ましい。特に、本発明のように、繊維長が1mmよりも短いフィラーにおいては、フィラー表面積に占める端面の割合が高くなることより、グラフェンシートが閉じている構造が特に好ましい。
なお、グラフェンシートが閉じているとは、炭素繊維を構成するグラフェンシートそのものの端部が炭素繊維端部に露出することなく、グラファイト層が略U字上に湾曲し、湾曲部分が炭素繊維端部に露出している状態である。
また、本発明のピッチ系炭素短繊維フィラーは走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平坦であることが必要である。
ここで、実質的に平坦であるとは、フィブリル構造のような激しい凹凸を表面に有しないことを意味し、フィラーの表面に激しい凹凸が存在する場合には、マトリクス樹脂との混練に際して表面積の増大に伴う粘度の増大を引き起こし、成形性を悪化させる。よって、表面凹凸はできるだけ小さい状態が望ましい。
上述のピッチ系炭素短繊維フィラーは、ミリングを行った後に黒鉛化処理を実施することによって、容易に得ることができる。
本発明のピッチ系炭素短繊維フィラーの光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)は7〜12μmであることが必要であり、より好ましくは8〜11μmである。12μmより大きいD1の場合は、不融化工程で近接する糸との融着を起こしやすく、7μmより小さいD1の場合は、ピッチ系炭素短繊維フィラーの重量当たりの表面積が増大し、繊維表面が実質的に平坦であっても、表面に凹凸を有する繊維と同様に成形性を悪化させてしまい、実用上好ましくない。また、光学顕微鏡で観測した繊維径の分散である繊維径分散(S1)のD1に対する百分率は3〜20の範囲が好ましい。
本発明のピッチ系炭素短繊維フィラーの平均繊維長(L1)は、10〜700μmであることが好ましい。L1は目的によって最適な値があるが、当該フィラーが副次的に発現する補強効果を出す場合には、300〜700μmの範囲が好ましい。より好ましくは300〜500μmの範囲である。一方、当該フィラーを伝熱経路作製用、即ち放熱助材に用いる場合は、L1は10〜300μmの範囲が好ましい。より好ましくは、10〜100μmの範囲である。L1が10μより短い場合は、繊維状を逸脱しており、本発明の趣旨をも逸脱する。L1が700μmを超える場合には、嵩真密度が小さくなり、マトリクス成分との混合が困難になる。また、D1に対するL1の比(L1/D1)は1〜100の範囲であることが好ましい。
L1/D1は平均繊維長にも依存するが、L1/D1が1より小さいときには、最終的な成形品での粉落ちが顕著になる。一方、L1/D1が100を超えると、折れる繊維の割合が高くなるため、本来の性能を出すことが困難になる。より好ましくは平均繊維長が10〜100μmの場合には、1.5〜10であり、平均繊維長が300〜500μmの場合には、30〜50である。
本発明においてピッチ系炭素短繊維フィラーの真密度は、黒鉛化温度に強く依存するが、1.5〜2.2g/ccの範囲のものが好ましい。より好ましくは、1.6〜2.0g/ccである。また、ピッチ系炭素短繊維の繊維軸方向の熱伝導率は300W/(m・K)以上であり、より好ましくは、400W/(m・K)以上である。
また、ピッチ系炭素短繊維フィラーは、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズが10nm以上であり、さらに六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが8nm以上であることが好ましい。
結晶子サイズは六角網面の厚み方向、六角網面の成長方向のいずれも、黒鉛化に対応するものであり、熱物性を発現するためには、一定サイズ以上が必要である。六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズ及び六角網面の成長方向の結晶子サイズは、X線回折法で求めるこができる。測定手法は集中法とし、解析手法としては、学振法を用いた。六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、(002)面からの回折線を用いて求め、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、(110)面からの回折線を用いて夫々求めた。
本発明においてピッチ系炭素短繊維フィラーは、表面処理したのちサイジング剤をフィラーに対し0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2.5重量%添着させてもよい。サイジング剤としては通常用いられる任意のものが使用でき、具体的にはエポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、酢酸ビニル、水、アルコール、グリコールを単独又はこれらの混合物で用いることができる。このような表面処理は、嵩真密度を高くすることを鑑みると有効である。ただ、過剰のサイジング剤の添着は、熱抵抗となるため、必要とされる物性に応じてこれを実施することができる。
本発明では、ピッチ系炭素短繊維フィラーとマトリクスとを混合し、複合成形体を作製する。この際、ピッチ系炭素短繊維フィラーは、マトリクスに対して体積分率で3〜60%を添加させる。3体積%より少ない添加量では、熱伝導性を十分に確保することが難しい。一方、60体積%より多いピッチ系炭素短繊維フィラーのマトリクスへの添加は困難であることが多い。
マトリクスは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれか一つ以上を含有する。さらに、マトリクスとしては、複合成形体に所望の物性を発現させるために熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を適宜混合して用いることもできる。
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネイト類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリエチレン2,6ナフタレート類、ナイロン類、ポリプロピレン類、ポリエチレン類、ポリエポキシエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィド類の群より選ばれる少なくとも一種から選定することができる。
より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸類(ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル)、ポリアクリル酸類、ポリカーボネイト、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、アイオノマー等が挙げられる。そして、マトリクスとしては、これらから一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、二種以上の高分子材料からなるポリマーアロイを使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類、イミド類、熱硬化型変性PPE類、熱硬化型PPE類等が挙げられ、これらから一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
本発明の複合成形体は、ピッチ系炭素短繊維フィラーとマトリクスとを混合して作製するが、混合の際には、ニーダー、ミキサー、ブレンダー、ロール、押出機、ミリング機、自公転式の撹拌機などの混合装置又は混練装置が好適に用いられる。そして、複合成形体は、射出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、押出製刑法、注型成形法、ブロー成形法等の成形方法にて、成形することが可能である。成形条件は、手法とマトリクスに強く依存し、熱可塑性樹脂の場合は、当該樹脂の溶融粘度より温度を上げた状態で成形を実施する。マトリクスが熱硬化性樹脂の場合は、適切な型において、当該樹脂の硬化温度を付与するといった方法を挙げることができる。
本発明の複合成形体を平板状に成形し、熱伝導率を測定すると2W/(m・K)以上の熱伝導率を示す。2W/(m・K)の熱伝導率は、マトリクスとして用いている高分子材料に比較すると約一桁高い熱伝導率である。
本発明の複合成形体は、その熱伝導率の高さを利用することで、電子部品用放熱板として用いることができる。また、ピッチ系炭素短繊維フィラーの添加量を多くすることで、高い熱伝導度が得られるため、電子部品においても、比較的耐熱性が要求される自動車や大電流を必要とする産業用パワーモジュールのコネクタ等に好適に用いることができる。より具体的には、放熱板、半導体パッケージ用部品、ヒートシンク、ヒートスプレッダー、ダイパッド、プリント配線基板、冷却ファン用部品、筐体等に用いることができる。また、熱交換器の部品として用いることもできる。ヒートパイプに用いることができる。さらに、ピッチ系炭素短繊維フィラーの電波遮蔽性を利用し、特にGHz帯の電波遮蔽用部材として好適に用いることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(1)ピッチ系炭素短繊維フィラーの平均繊維径及び繊維径分散:
黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーを光学顕微鏡下400倍で10視野撮影し求めた。
(2)ピッチ系炭素短繊維フィラーの平均繊維長:
黒鉛化を経たピッチ系炭素短繊維フィラーを光学顕微鏡下で10視野撮影し求めた。倍率は糸長さに応じて適宜調整した。
(3)ピッチ系炭素短繊維フィラーの真密度:
比重法を用いて求めた。
(4)結晶サイズ:
X線回折にて求め、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズは(002)面からの回折線を用いて求め、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは(110)面からの回折線を用いて求めた。また、求め方は学振法に準拠して実施した。
(5)ピッチ系炭素短繊維フィラーの熱伝導率:
粉砕工程以外を同じ条件で作製した、黒鉛化後のピッチ系炭素短繊維の抵抗率を測定し、特開平11−117143号公報に開示されている熱伝導率と電気比抵抗との関係を表す下記式(1)より求めた。
[数1]
K=1272.4/ER−49.4 (1)
ここで、Kは黒鉛化後のピッチ系炭素短繊維の熱伝導率W/(m・K)、ERは同じピッチ系炭素短繊維の電気比抵抗μΩmを表す。
(6)平板状成形体の熱伝導率:
京都電子製QTM−500で測定した。
[実施例1]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均繊維径が15μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された短繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/mのピッチ系短繊維からなるウェブとした。
このウェブを空気中で175℃から280℃まで平均昇温速度7℃/分で昇温して不融化を行った。不融化したウェブを窒素雰囲気中800℃で焼成した後、ミリングし、平均繊維長が25μmの短繊維フィラーに篩い分けを行った。その後、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理することで黒鉛化し、ピッチ系炭素短繊維フィラーとした。平均繊維径は9.7μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は14%であった。真密度は、2.05g/ccであった。
透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていることを確認した。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、15nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、20nmであった。
焼成までを同じ工程で作製し、ミリングを実施しなかったウェブを、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理した黒鉛化ウェブより、単糸を抜き取り、電気比抵抗を測定したところ、2.4μΩmであった。下記式(1)を用いて求めた熱伝導度は480W/(m・K)であった。
[数2]
K=1272.4/ER−49.4 (1)
[実施例2]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分6000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均繊維径が11μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された短繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付280g/mのピッチ系短繊維からなるウェブとした。
このウェブを空気中で175℃から280℃まで平均昇温速度7℃/分で昇温して不融化を行った。不融化したウェブを窒素雰囲気中800℃で焼成した後、ミリングし、平均繊維長が30μmの短繊維フィラーに篩い分けを行った。その後、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理することで黒鉛化し、ピッチ系炭素短繊維フィラーとした。平均繊維径は8.1μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は16%であった。真密度は、2.0g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、17nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、25nmであった。
焼成までを同じ工程で作製し、ミリングを実施しなかったウェブを、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理した黒鉛化ウェブより、単糸を抜き取り、電気比抵抗を測定したところ、2.2μΩmであった。上記式(1)を用いて求めた熱伝導度は530W/(m・K)であった。
[実施例3]
実施例1と同じウェブでミリング後の篩い分けの目開きを調整し、平均繊維長が350μmのピッチ系炭素短繊維フィラーを得た。
平均繊維径は9.9μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は16%であった。真密度は、2.05g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、14nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、19nmであった。
熱伝導率は、ミリング前のウェブをそのまま、黒鉛化した材料を使用しているので、実施例1と同じである。
[実施例4]
実施例2と同じウェブでミリング後の篩い分けの目開きを調整し、平均繊維長が400μmのピッチ系炭素短繊維フィラーを得た。
平均繊維径は7.9μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は15%であった。真密度は、2.0g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、16nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、24nmであった。
熱伝導率は、ミリング前のウェブをそのまま、黒鉛化した材料を使用しているので、実施例2と同じである。
[実施例5]
ミリングまでを実施例1と同じとし、非酸化性雰囲気とした電気炉にて2300℃で黒鉛化し、ピッチ系炭素短繊維フィラーを得た。平均繊維長は、30μmであった。
平均繊維径は10.6μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は13%であった。真密度は、1.8g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、11nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、10nmであった。
焼成までを同じ工程で作製し、ミリングを実施しなかったウェブを、非酸化性雰囲気とした電気炉にて2300℃で熱処理した黒鉛化ウェブより、単糸を抜き取り、電気比抵抗を測定したところ、3.4μΩmであった。上記式(1)を用いて求めた熱伝導度は320W/(m・K)であった。
[比較例1]
ミリングまでを実施例1と同じとし、平均繊維長が28μmのピッチ系炭素短繊維フィラーに篩い分けを行った。その後、非酸化性雰囲気とした電気炉にて1300℃で熱処理することで黒鉛化し、ピッチ系炭素短繊維フィラーとした。平均繊維径は10.8μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は12%であった。真密度は、1.4g/ccであった。
透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じている箇所と開いている箇所が混在していた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、3nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、2nmであった。
焼成までを同じ工程で作製し、ミリングを実施しなかったウェブを、非酸化性雰囲気とした電気炉にて1300℃で熱処理した黒鉛化ウェブより、単糸を抜き取り、電気比抵抗を測定したところ、20μΩmであった。上記式(1)を用いて求めた熱伝導度は14W/(m・K)であった。
[比較例2]
ミリングまでを実施例1と同じとしたウェブを非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で黒鉛化し、その後ミリング、篩い分けを実施することで、平均繊維長19μmのピッチ系炭素短繊維フィラーを得た。
平均繊維径は9.4μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は18%であった。真密度は、1.98g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが開いていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、凹凸が多くフィブリル状であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、15nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、20nmであった。
黒鉛化ウェブより、単糸を抜き取り、電気比抵抗を測定したところ、2.8μΩmであった。上記式(1)を用いて求めた熱伝導度は400W/(m・K)であった。
実施例1から比較例2までの物性を表1にまとめた。
Figure 0005015490
[実施例6]
熱可塑性樹脂として、帝人化成製ポリカーボネイトを選定し、実施例1で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを60:40の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングし、マスターチップとした。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工し、複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、4.0W/(m・K)であった。
[実施例7]
熱可塑性樹脂として、帝人化成製ポリカーボネイトを選定し、実施例1で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを70:30の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングし、マスターチップとした。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工し、複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、3.3W/(m・K)であった。
[実施例8]
熱可塑性樹脂として、帝人化成製ポリカーボネイトを選定し、実施例1で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを80:20の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングし、マスターチップとした。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工し、複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、2.0W/(m・K)であった。
[実施例9]
熱可塑性樹脂として、帝人化成製ポリカーボネイトを選定し、実施例4で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを70:30の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングし、マスターチップとした。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工し、複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、3.6W/(m・K)であった。
[実施例10]
熱可塑性樹脂として、帝人化成製ポリカーボネイトを選定し、実施例5で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを70:30の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングし、マスターチップとした。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工し、複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、2.5W/(m・K)であった。
[比較例3]
熱可塑性樹脂として、帝人化成製ポリカーボネイトを選定し、比較例2で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを70:30の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングしたが、粘度が増大し混練不十分のマスターチップが作製された。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工したが、成形性が悪く、実施例9と同じ条件で平板を得ることができなかった。
[実施例11]
熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を選定し、実施例1で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを70:30の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングし、マスターチップとした。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工し、複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、4.1W/(m・K)であった。
[実施例12]
熱可塑性樹脂として、ポリプロピレンを選定し、実施例1で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを70:30の体積比でクリモト製二軸混練機にて、コンパウンディングし、マスターチップとした。このチップを名機製作所製の射出成形機にて、厚み2mmの平板に加工し、複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、3.9W/(m・K)であった。
[実施例13]
熱硬化性樹脂として、東レ・ダウ・コーニング社製のシリコーン樹脂を選定し、実施例1で作製したピッチ系炭素短繊維フィラーとを70:30の体積比で自公転型の混練機でミキシングを行い、300mm□の金枠に設置し、真空プレス機で、プレス加工し厚み0.5mmの平板状の複合成形体を得た。この複合成形体の熱伝導率を測定したところ、4.1W/(m・K)であった。
[比較例4]
ピッチ系炭素短繊維フィラーを添加しない、ポリカーボネイト製の平板を作製した。
[比較例5]
ピッチ系炭素短繊維フィラーを添加しない、ポリフェニレンスルフィド製の平板を作製した。熱伝導率は0.2W/(m・K)であった。
[比較例6]
ピッチ系炭素短繊維フィラーを添加しない、シリコーン樹脂製の平板を作製した。熱伝導率は、0.4W/(m・K)であった。
[実施例14]
実施例7で作製した、平板状の複合成形体の上に70℃に加熱した分銅を乗せ、熱伝導性シートとした。熱伝導性は、比較例4に比べて高かった。放熱部材として機能していることがわかった。
[実施例15]
実施例11で作製した、平板状の複合成形体の上に70℃に加熱した分銅を乗せ、熱伝導性シートとした。熱伝導性は、比較例5に比べて高かった。放熱部材として機能していることがわかった。
[実施例16]
実施例13で作製した、平板状の複合成形体の上に70℃に加熱した分銅を乗せ、熱伝導性シートとした。熱伝導性は、比較例6に比べて高かった。放熱部材として機能していることがわかった。
[実施例17]
実施例7で作製した、平板状の複合成形体の電波遮蔽性は、比較例4より高かった。

Claims (15)

  1. 透過型電子顕微鏡で観察した端面が閉じており、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平坦であるピッチ系炭素短繊維フィラーであり、更に、光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が7μm以上12μm以下の範囲であり、平均繊維径(D1)に対する繊維径分散(S1)の100分率が3〜20の範囲であり、かつ真密度が1.5〜2.2g/ccの範囲(ただし、2.20〜2.26g/ccを除く)であるピッチ系炭素短繊維フィラー。
  2. 平均繊維長(L1)が10μm以上700μm以下の範囲であり、D1に対するL1の比が1〜100である、請求項1に記載のピッチ系炭素短繊維フィラー。
  3. 繊維軸方向の熱伝導率が300W/(m・K)以上である、請求項1または2に記載のピッチ系炭素短繊維フィラー。
  4. 六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズが10nm以上であり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが8nm以上である請求項1〜3のいずれかに記載のピッチ系炭素短繊維フィラー。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のピッチ系炭素短繊維フィラーとマトリクスとからなり、マトリクスに対して体積分率で3〜60体積%の前記フィラーを含有する複合成形体。
  6. マトリクスが、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂である、請求項5記載の複合成形体。
  7. 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネイト類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリエチレン2,6ナフタレート類、ナイロン類、ポリプロピレン類、ポリエチレン類、ポリエポキシエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィド類の群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である、請求項6に記載の複合成形体。
  8. 熱硬化性樹脂が、エポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類の群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である、請求項6に記載の複合成形体。
  9. 平板状に成形した状態における熱伝導率が2W/(m・K)以上である、請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を、射出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、押出成形法、注型成形法、ブロー成形法の群より選ばれる少なくとも一種以上の手法の組み合わせによって作製する複合成形体の製造方法。
  11. 請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を主たる材料とする電子部品用放熱板。
  12. 請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を主たる材料とする電波遮蔽板。
  13. 請求項5〜8のいずれかに記載の複合成形体を主たる材料とする熱交換器。
  14. 縮合多環炭化水素化合物よりなる原料ピッチを、紡糸、不融化、焼成、ミリング、篩い分け及び黒鉛化の各工程を順に行い製造されるピッチ系炭素短繊維フィラーであって、当該不融化工程における昇温温度の上限が280℃である請求項1記載のピッチ系炭素短繊維フィラー。
  15. 縮合多環炭化水素化合物よりなる原料ピッチを、紡糸、不融化、焼成、ミリング、篩い分け及び黒鉛化の各工程を順に行うピッチ系炭素短繊維フィラーを製造する方法であって、当該不融化工程における昇温温度の上限が280℃であるピッチ系炭素短繊維フィラーの製造方法。
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