JP4746254B2 - プロピレンのヒドロホルミル化生成物ならびにアクリル酸および/またはアクロレインの製造法 - Google Patents

プロピレンのヒドロホルミル化生成物ならびにアクリル酸および/またはアクロレインの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、プロピレンのヒドロホルミル化生成物ならびにアクリル酸および/またはアクロレインの製造法に関する。
【0002】
プロピレンのヒドロホルミル化は、プロピレンのヒドロホルミル化生成物、即ちブチルアルデヒドおよび/またはブタノールを製造するための重要な大工業的方法である。
【0003】
プロピレンのヒドロホルミル化は、大工業的に連続的方法で行なわれ、この場合プロピレンは、一酸化炭素および水素と一緒にヒドロホルミル化反応器中に供給され、ヒドロホルミル化触媒の存在で反応される。この反応搬出物は、プロピレンのヒドロホルミル化生成物と共に一般に重要な量の未反応のプロピレンを含有し、この未反応のプロピレンは、分離され、一般に新しい一酸化炭素および水素と一緒に再びヒドロホルミル化反応器に供給される。しかし、返送されたプロピレンと一緒に、不純物として供給されたプロピレン中に含有されているかまたはヒドロホルミル化反応器中で副反応によって形成された、ヒドロホルミル化に利用することができないプロパンは、反応器中に返送される。プロパンの濃度がヒドロホルミル化反応器中で連続的に上昇しかつヒドロホルミル化反応が停止するような値に達することを回避させるために、プロピレン供給原料と一緒に導入されるかまたは副反応によって形成されたプロパンを系から取り出す目的で、連続的に返送されるプロピレンを含有する流れの部分流を導出させなければならない。
【0004】
また、搬出流と一緒にプロパンと共に未反応のプロピレンは、系から除去され、したがってこの未反応のプロピレンは、後反応のためには失なわれている。この損失を僅かに維持するために、一般に高い純度のプロピレン供給原料が使用される。ヒドロホルミル化のために、通常、約99.5%の純度のプロピレン供給原料が使用され、このプロピレン供給原料は、時には”ポリマー等級のプロピレン”と呼称され、この場合残分は、本質的にプロパンからなる。しかし、高い純度のこの種のプロピレン供給原料は、入手するには費用がかかりすぎ、したがって低い純度のプロピレンよりも明らかに高い価格で市場で提供されている。即ち、例えばプロパン約3〜7%を含有する所謂”化学薬品等級のプロピレン”は、特許の保護が請求された”ポリマー等級のプロピレン”よりも明らかに安価である。
【0005】
プロパンのより高い含量を有するプロピレン供給原料は、工業的ヒドロホルミル化法で記載された理由から簡単に使用されえない。ヒドロホルミル化反応器中でのプロパン濃度がヒドロホルミル化を停止させるような高い値に達することを回避させるために、導出流は、未反応のプロピレンの同時の損失下に、安価な使用物質の節約を無駄にするように高く選択されなければならなかった。
【0006】
ヒドロホルミル化生成物から分離された流れをプロピレン含量が増加された画分とプロピレン含量が減少された画分とに分離し、プロピレン含量が増加された画分だけを反応帯域中に返送することが提案されている。しかし、プロピレンとプロパンの分離は、類似した物理的性質のための費用がかかる。即ち、欧州特許出願公開第0648730号明細書には、プロピレンから取得されたオキソ生成物の製造法が開示されており、この場合プロピレンヒドロホルミル化の生成物流から分離されたガス流は、吸着剤を用いてのプロピレンの選択的な吸着にかけられ、引続き脱着にかけられる。選択的な吸着作業周期および脱着作業周期は、周期的な圧力交換および/または温度交換を必要とする。このための必要とされる装置は、費用がかかり、故障しがちである。
【0007】
アクリル酸は、重要な基本化学薬品である。この基本化学薬品は、反応性の二重結合のために、殊にポリマーを製造するためのモノマーとして適している。アクリル酸の得られた量によって、大部分は、重合前に、例えば接着剤、分散液または塗料にエステル化される。得られたアクリル酸の一部分は、直接に例えば”超吸着剤”に重合される。アクリル酸がプロピレンを分子状酸素を用いて固体の触媒で不均質系触媒により接触気相酸化することによって製造されうることは、公知である。例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第1962431号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2943707号明細書、ドイツ連邦共和国特許第1205502号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19508558号明細書、欧州特許出願公開第0257565号明細書、欧州特許出願公開第0253409号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2251364号明細書、欧州特許出願公開第0117146号明細書、英国特許第150986号明細書および欧州特許出願公開第0293224号明細書参照。
【0008】
アクリル酸および/またはアクロレインの製造とプロピレンのヒドロホルミル化生成物の製造との結合は、公知技術水準において記載されてもいないし、示唆されてもいない。
【0009】
本発明の課題は、プロパンの混和と共にプロピレン供給原料の使用を可能にする、プロピレンのヒドロホルミル化生成物の製造法および供給されるプロピレンおよび/またはプロパンのできるだけ完全な物質的利用を可能にすることである。
【0010】
ところで、意外なことに、プロピレンのヒドロホルミル化の反応搬出物から分離された、本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れは、接触気相酸化によるアクリル酸および/またはアクロレインを製造するための使用物質として適していることが見い出された。
【0011】
従って、本発明の対象は、
a)反応帯域中にプロピレン含有供給原料ならびに一酸化炭素および水素を供給し、ヒドロホルミル化触媒の存在でプロペンのヒドロホルミル化生成物に反応させ、
b)反応帯域からの搬出物から本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを分離し、
c)本質的にプロピレンおよびプロパンからなる流れを分子状酸素の存在で接触気相酸化させてアクリル酸および/またはアクロレインに変えることにより、プロピレンのヒドロホルミル化生成物ならびにアクリル酸を製造する方法である。
【0012】
発明者らは、ヒドロホルミル化の反応搬出物から分離されたプロピレン/プロパン流中に含有されていてもよい特殊な不純物、例えば一酸化炭素、水素、ブチルアルデヒド、ブタノール等は、アクリル酸および/またはアクロレインへのプロピレンの気相酸化の際に使用される不均質触媒を損なわず、その際得られる反応生成物の後処理の場合にも支障をきたさないことを見出した。
【0013】
ヒドロホルミル化の実施に適した耐圧性反応装置は、当業者に公知である。そのために、気−液反応のために一般的な常用の反応器、例えば場合によっては内蔵物によってさらに分割されていてもよい攪拌釜、ガス循環反応器、気泡塔等が挙げられる。
【0014】
本発明による方法の出発物質として適したプロピレン供給原料は、プロピレンと共にプロパンの混和物を含有することができる。このプロピレン供給原料は、例えばプロパンを0.5〜40質量%、有利に2〜30質量%、殊に3〜10質量%含有する。1つの好ましい例は、プロパン3〜10質量%を含有する”化学薬品等級のプロピレン”である。この化学薬品等級のプロピレンは、例えば水蒸気分解装置中でのナフサまたは天然ガスの変換および引続く蒸留による後処理によって得ることができる。また、さらに適当なプロピレン供給原料の例は、20〜30%のプロパン含量を有する、所謂”精油所等級のプロピレン”である。
【0015】
一酸化炭素および水素は、通常、混合物、所謂合成ガスの形で使用される。本発明による方法で使用される合成ガスの組成は、広い範囲で変動可能である。一酸化炭素と水素とのモル比は、一般に5:1〜1:5、有利に2:1〜1:2、殊に約45:55である。
【0016】
ヒドロホルミル化反応の場合の温度は、一般に50〜200℃、有利に約60〜190℃、殊に約90〜190℃の範囲内にある。反応は、有利に約10〜700バール、有利に15〜200バール、殊に15〜60バールの範囲内で実施される。反応圧力は、使用されるヒドロホルミル化触媒の活性に依存して変動されうる。
【0017】
適当なヒドロホルミル化触媒は、助触媒と一緒に使用されてよいし、助触媒なしに使用されてもよい、当業者に公知の常用の遷移金属化合物および遷移金属錯体である。好ましくは、遷移金属は、周期律表の第VIII副族の金属、特にCo、Ru、Rh、Pd、Pt、OsまたはIr、殊にRh、Co、IrまたはRuである。プロピレンをヒドロホルミル化するための特に好ましいヒドロホルミル化触媒は、燐含有のロジウム触媒、例えばRhH(CO)(PPhまたはRhH(CO)(PPhである。適当なヒドロホルミル化触媒は、例えばBeller他, Journal of Molecular Catalysis A, 104 (1995), 第17〜85に記載されており、この場合この刊行物は、参考のために引用されている。
【0018】
プロピレンおよびプロパンを含有する流れを取得するために、公知技術水準によれば、多数の工業的方法が提供されているが、しかし、これらの方法の使用は、一定の予定作業時間が満たされる限り、本発明による方法の成果にとって一般に重要なことではない。即ち、反応帯域からの搬出物は、一工程または多工程の分離操作にかけることができ、この場合には、ヒドロホルミル化生成物、即ちブチルアルデヒドおよび/またはブタノールの主要量を含有する少なくとも1つの流れおよび本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを得ることができる。ファクター、例えば搬出法の種類、使用される合成ガスの純度等に依存して、場合によっては他の流れ、例えば合成ガス含有排ガス、ヒドロホルミル化の高沸点副生成物および/またはヒドロホルミル化触媒を含有する流れを得ることができ、この流れは、場合によっては後処理後に全部または一部分が反応帯域中に返送されるかまたは処理から排除される。反応帯域からの搬出物から、例えば第1にヒドロホルミル化生成物および場合によってはヒドロホルミル化生成物よりも高温で沸騰する含分を分離することができる。引続き、未反応のプロピレンおよびプロパンの混合物は、例えば冷却によって凝縮除去されることができる。
【0019】
しかし、好ましくは、反応帯域からの搬出物から、例えば気−液分離器中で、場合によっては反応器中で予め支配している圧力よりも低い圧力に搬出物を先に減圧させた後に、第1に未反応のプロピレンおよびプロパンを溶解して含有する粗製ヒドロホルミル化生成物を分離し、次に粗製ヒドロホルミル化生成物を脱ガス工程にかけ、この場合には、本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れが生じることにより、本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを得ることができる。一般に未反応の合成ガス、不活性ガス(例えば、メタン、N、CO)ならびに反応搬出物中に含有されている未反応のプロピレンおよびプロパンの一部分を含有する、粗製ヒドロホルミル化生成物から分離された反応搬出物の残分は、一般に全部または一部分が反応帯域中に返送される。
【0020】
更に、溶解されたプロピレンおよびプロパンの脱ガスのために、粗製ヒドロホルミル化生成物は、場合によってはさらに減圧されることができ、加熱されることができおよび/またはストリッピングガス、例えば合成ガスで処理されることができる。好ましくは、脱ガスは、塔中で実施され、この場合粗製ヒドロホルミル化生成物は、塔の中央部に供給され、塔の塔底部で脱ガスされたヒドロホルミル化生成物が取り出され、この脱ガスされたヒドロホルミル化生成物は、さらに後処理に供給されることができ、この場合には、塔の塔頂部で本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる液状またはガス状の流れが取り出される。
【0021】
好ましくは、粗製ヒドロホルミル化生成物の脱ガスは、塔中で一般に4〜12バール、特に6〜10バール、特に有利に6〜8バールで実施され、この場合には、使用される圧力に応じて、塔の塔底中の温度は、一般に120〜190℃、有利に140〜170℃、特に有利に140〜160℃の範囲内で維持される。分離内蔵物としては、脱ガス塔中で、例えば梱包物、充填体または棚段を使用することができ、有利には、梱包物が使用される。脱ガス塔の理論段の数は、一般に8〜40段の範囲内、有利に10〜25段の範囲内、特に有利に10〜20段の範囲内にある。好ましくは、脱ガス塔は、これから得られるプロピレンおよびプロパンを含有する流れ中のブチルアルデヒドの含量が0.5質量%、有利に0.1〜、特に有利に0.01質量%を超えない程度に運転される。脱ガス塔の正確な運転条件は、使用される塔の分離効率に相応して当業者によって粗製ヒドロホルミル化生成物中に含有されている成分の公知の蒸気圧および蒸気平衡量につき従来の計算法で常法により算出されることができる。
【0022】
好ましくは、唯一の脱ガス塔の代わりに2個の脱ガス塔を使用することができ、この場合これらの脱ガス塔は、有利に異なる条件で運転される。第1の脱ガス塔は、この実施形式の場合には、一般に第2の脱ガス塔よりも低い圧力で運転される。例えば、第1の塔は、前記の圧力条件下および温度条件下で運転されることができ、第2の塔は、一般に6〜30バール、有利に10〜26バールの圧力および一般に140〜200℃の温度で運転されることができる。この処理形式によれば、第1の塔中で特に入念に脱ガスされることができ、他方、より高い圧力での脱ガスの場合には、第2の塔中で例えばブチルアルデヒドの良好な分離を達成することができる。
【0023】
また、アクリル酸および/またはアクロレインへの気相酸化において使用される触媒の種類に応じて、脱ガス塔から取得される、プロピレンおよびプロパンを含有する流れの含水量を、50ppmを超えない程度に調節することは、好ましい。この方法は、プロペンおよびプロパンを含有する流れが液体の形でアクロレインおよび/またはアクリル酸装置に供給される場合に特に好ましいことが判明した。これは、例えば返送導管中で脱ガス塔の塔頂部で相分離器が設置されることによって実現させることができ、この場合には、この相分離器中でプロピレンおよびプロパンと一緒に共沸的に留去される水(高沸点生成物へのアルデヒドの凝縮によって形成された)が返送流として塔上に入るプロピレン−プロパン混合物から分離される。また、選択的に液状プロピレン−プロパン混合物は、気相酸化への供給前に相分離器上に導かれるか、または特に低い含水量を得ようと努力される場合には、水の分離のために、乾燥剤、例えばモレキュラーシーブ4Åまたはモレキュラーシーブ3Å上に導かれる。場合によっては、ガス状のプロペン−プロパン流の含水量は、望ましい場合には、同様に乾燥剤、例えばモレキュラーシーブ4Åまたはモレキュラーシーブ3Åで減少させることができる。
【0024】
前記方法を用いた場合には、アクロレインおよび/またはアクリル酸への気相酸化または場合によってはこの気相酸化に前接続された、プロパンの一部分がプロピレンにオキシ脱水素されかつそれによってプロピレンおよびプロパンを含有する流れのプロピレン含量が増加されるオキシ脱水素工程の含量を、ブチルアルデヒドについておよび所望の場合には、水について前記値に減少させることに成功する。燐含有化合物(例えば、ヒドロホルミル化からの遊離配位子)は、脱ガス塔から得ることができるプロピレン−プロパン流中での記載された条件の使用の際には、一般に検出不可能である。
【0025】
未反応のプロピレンおよびプロパンを溶解して含有する、反応帯域からの搬出物の粗製ヒドロホルミル化生成物の分離は、種々の方法で行なうことができる。例えば、ヒドロホルミル化のために過剰量で使用される合成ガスに到達するまで本質的に液状の搬出物が反応帯域から減圧される液体搬出法を使用することができ、この場合には、搬出物の圧力減少のために、本質的に高沸点副生成物、均質に溶解されたヒドロホルミル化触媒、ヒドロホルミル化生成物の一部分ならびに溶解されたプロピレンおよびプロパン、溶解されていないプロピレンおよびプロパンからなる液相と、本質的にヒドロホルミル化生成物、未反応のプロピレンおよびプロパンならびに未反応の一酸化炭素および水素ならびに不活性物(例えば、N、CO、メタン)からなる気相とに分離される。液相、場合によっては後分離の後に液相中に含有されている生成物アルデヒドは、返送流として再び反応器中に導かれることができる。気相の少なくとも部分的な凝縮によって、粗製ヒドロホルミル化生成物は得ることができる。凝縮の際に残存する気相は、全部または一部分が反応帯域中に返送される。
【0026】
好ましくは、減圧工程で第1に生じる気相および液相は、WO 97/07086に記載の方法により後処理されることができる。この目的のために、液相は、加熱され、塔の上部範囲内に導入され、一方で、気相は、塔の塔底部内に導入される。それによって、気相と液相は、向流で導かれる。相の相互の接触を高めるために、塔は、有利に充填体で充填されている。気相と液相との内部接触によって、液相中に存在する、ヒドロホルミル化生成物、未反応のプロピレンおよびプロパンの残存量は、気相中に移され、したがって塔頂部から塔を去るガス流は、塔の下端部で導入されるガス流と比較してヒドロホルミル化生成物ならびに未反応のプロピレンおよびプロパンの含量が増加されている。更に、塔を去るガス流および塔を去る液相の後処理は、上記の記載と同様に、例えば脱ガス塔中で行なわれる。
【0027】
また、所謂循環ガス法により実施することができ、この場合には、ヒドロホルミル化反応器のガス室からガス流は取り出される。このガス流は、本質的に合成ガス、未反応プロピレンおよびプロパンからなり、この場合には、ヒドロホルミル化反応器中の蒸気圧に応じて、ヒドロホルミル化反応の際に形成されるヒドロホルミル化生成物が一緒に導かれる。ガス流から一緒に導かれる粗製ヒドロホルミル化生成物は、例えば冷却によって凝縮分離され、液体含分が遊離されたガス流は、ヒドロホルミル化反応器中に返送される。更に、凝縮分離された粗製ヒドロホルミル化生成物中に溶解して含有されている未反応のプロピレンおよびプロパンは、記載されたように、例えば脱ガス塔中で遊離されることができる。
【0028】
本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れは、例えばプロピレンを40〜80質量%、有利に60〜80質量%含有しかつプロパンを20〜60質量%、有利に20〜40質量%含有する。
【0029】
次に、不純物を含めて未反応のプロピレンおよびプロパンを含有する流れの典型的な組成は、単に例示的に記載されており、この場合この流れは、2個の脱ガス塔による脱ガスおよび引続くモレキュラーシーブ3Åにより遊離されることができる:
プロピレン 68質量%
プロパン 30質量%
メタン 1.7質量%
一酸化炭素 0.28質量%
二酸化炭素 0.38質量%
エタン 0.20質量%
水素 350質量ppm
ブチルアルデヒド 10質量ppm
水 5質量ppm。
【0030】
本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる、ガス状の流れは、自体公知の方法により、アクリル酸および/またはアクロレインの製造のために接触気相酸化される。勿論、この流れは、気相酸化のために供給原料を形成させる目的で、別の源、例えば蒸気分解装置からのプロピレン含有供給原料と混合されることができる。更に、この場合には、例えば次の組成の混合プロペン流をアクロレインおよび/またはアクリル酸への気相酸化のために生じさせかつ使用することができる:
プロピレン: 94質量%以上
プロパン: 6質量%以下
メタンおよび/またはエタン: 4000質量ppm以下
炭化水素: 5質量ppm以下
アセチレン: 1質量ppm以下
水: 5質量ppm以下
水素: 100質量ppm以下
酸素: 2質量ppm以下
硫黄含有化合物: 2質量ppm以下
(硫黄として計算した)
塩素含有化合物 1質量ppm以下
(塩素として計算した)
CO: 1000質量ppm以下
CO: 700質量ppm以下
シクロプロパン: 10質量ppm以下
プロパジエンおよび/またはプロピン:5質量ppm以下
炭化水素>C(アントラセン油):10質量ppm以下
カルボニル基含有化合物: 10質量ppm以下
(Ni(CO)として計算した)
ブチルアルデヒド: 2.5質量ppm以下
Pおよび/またはAs含有化合物:検出不可能
場合によっては不活性の希釈ガスと混合された供給原料は、酸素との混合物で高められた温度、通常200〜450℃ならびに場合によっては高められた圧力で不均質触媒上、一般に遷移金属、例えばモリブデン、バナジウム、タングステンおよび/または鉄を含有する混合酸化物触媒上に導かれ、その際に酸化によりアクリル酸および/またはアクロレインに変換される。これに関しては、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4405059号明細書、欧州特許出願公開第0253409号明細書、欧州特許出願公開第0092097号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第4431949号明細書に指摘されている。アクリル酸への反応は、1段階または2段階で実施されることができる。2段階の反応の実施の場合には、プロピレンは、第1の段階でアクロレインに酸化され、アクロレインは、第2の段階でアクリル酸に酸化される。不均質触媒としては、第1の段階でモリブデン、ビスマスおよび鉄の酸化物を基礎とする酸化物多成分系触媒ならびに第2の段階でモリブデンおよびバナジウムの酸化物を基礎とする相応する触媒が好ましい。
【0031】
プロパンは、気相酸化において希釈ガスおよび/または使用物質として使用することができる。プロパンを使用物質として直接にアクリル酸に変換するのに適した方法は、欧州特許第0608838号明細書に記載されている。また、ヒドロホルミル化の際に生じるプロピレン/プロパン流中のプロピレン含分を増加させるために、この流れは、アクリル酸の製造の際の使用物質としての使用前に、例えばCatalysis Today, 24 (1995), 307〜313または米国特許第5510558号明細書の記載と同様に接触オキシ脱水素することができるかまたは例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第19508558号明細書、欧州特許出願公開第0293224号明細書または欧州特許出願公開第0117146号明細書の記載と同様に均質オキシ脱水素または接触脱水素することができる。
【0032】
アクリル酸および/またはアクロレインへのプロピレンの反応は、強力な発熱性である。従って、プロピレン/プロパン流は、有利に不活性の希釈剤、例えば空気窒素、二酸化炭素、メタンおよび/または水蒸気を用いて希釈される。使用される反応器の種類は、それ自体全く制限されないとしても、酸化触媒で充填された管束熱交換器が有利に使用される。それというのも、この管束熱交換器の場合には、反応の際に遊離される熱の大部分が熱導管、対流および放射によって冷却された反応器壁に導出されうるからである。
【0033】
アクリル酸への1段階または2段階の接触気相酸化の場合には、純粋なアクリル酸を得ることができるのではなく、ガス状混合物を得ることができ、この場合このガス状混合物は、副成分としてのアクリル酸と共に、本質的に未反応のアクロレインおよび/またはプロピレン、プロパン、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素、酢酸、プロピオン酸、ホルムアルデヒド、他のアルデヒドおよび無水マレイン酸を含有していてよい。
【0034】
得られた反応ガスから、アクリル酸は、例えば不活性の高沸点溶剤、例えばジフェニルエーテル、ジフェニルおよび/またはジメチルフタレートおよび類似物を用いての向流吸着によって分離されることができ、ドイツ連邦共和国特許第2136396号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第4308087号明細書参照、引続き蒸留により単離されることができる。
【0035】
他面、気相酸化で得られた反応生成物を凝縮、殊に部分凝縮または全体凝縮させ、得られた溶液からアクリル酸を結晶化によって分離することは、可能である。凝縮は、有利に塔中で実施される。この場合には、分離作用を有する内蔵物、殊に梱包物、充填体および/または棚段、有利に泡鐘段、網目板、バルブトレイおよび/または双流段を備えた塔が使用される。この場合、ガス状の生成物混合物の凝縮可能な成分は、気相酸化により分別され、冷却によって凝縮除去される。ガス混合物は、一般に不純物および場合によっては一緒に使用される希釈ガスにより低沸点留分、中程度の沸点の留分および高沸点留分ならびに凝縮不可能な成分を含有するので、塔の場合には、相応する個所に1個以上の側方流出管が設けられていてもよい。従って、塔中での凝縮は、既に個々の成分への分離を可能にする。適した塔は、少なくとも1個の冷却装置を含み、そのために全ての常用の熱媒体または熱交換器が適しており、この場合には、凝縮の際に形成される熱が間接的に導出される。好ましくは、管束熱交換器、板状熱交換器および空気冷却器である。適当な冷却媒体は、例えば空気または冷却液体、例えば殊に水である。塔中で支配している圧力は、凝縮不可能な成分の量に依存し、有利に0.5〜5バール絶対圧力、殊に0.8〜3バール絶対圧力である。塔に対する正確な運転条件、例えば温度操作および圧力操作、冷却装置のスイッチの切換および配置は、当業者によって常用の最適化の範囲で混合物の組成に依存して定めることができる。1つの好ましい実施態様において、熱いガス混合物は、凝縮除去前に直接的または間接的に冷却される。直接的な冷却の場合には、冷却媒体として有利に分別凝縮の際に生じる低沸点留分が使用される。また、系に内在していない冷却媒体、例えばジフェニルエーテル、ジフェニルおよび/またはジメチルフタレートを使用することができる。前冷却は、塔の塔底部内で塔に組み込まれてかまたは塔とは別に適当な装置中、例えばガス冷却器、急冷装置またはフラッシュトップ中で行なうことができる。
【0036】
引続き、アクリル酸を含有する、凝縮の際に得ることができる溶液は、結晶化されることができる。結晶化は、連続的または非連続的に1段階または多段階で実施されることができる。好ましくは、結晶化は、1段階で行なわれる。引続き、アクリル酸の得られた結晶は、母液と分離される。好ましくは、母液は、少なくとも一部分がガス状生成物混合物の凝縮の段階中に返送される。アクリル酸を製造するための特に好ましい方法は、ドイツ連邦共和国特許第19740252号明細書中に記載されており、これは、完全に内容的に参考のために引用されている。
【0037】
使用された酸化方法に応じて、本質的に価値のある成分として未反応のプロパンを含有する、アクロレインおよび/またはアクリル酸への気相酸化を去る排ガスは、例えば分解装置用原料としてかまたはプロパンオキシド水素化装置のための原料として、利用することができるかまたは蒸気発生またはエネルギー取得のための燃料として使用されてもよい。
【0038】
本発明による方法により得られた、ブチルアルデヒド生成物とアクリル酸生成物の複合体は、ヒドロホルミル化装置に供給されるプロピレン原料の最適な利用を最少の費用で可能にし、こうして2つの方法の経済性を改善する。即ち、ヒドロホルミル化装置の排ガス中に含有されている価値のある物質のプロピレンを簡単ではないが、有利でなくとも燃料として利用しようと望む場合には、これまでヒドロホルミル化装置に供給されるプロピレンの殆んど完全な利用のために、未反応のプロピレンをヒドロホルミル化反応器中への返送前にこのヒドロホルミル化反応器中に含まれているプロパンから費用をかけて運転することができるプロペン/プロパン分離装置中で分離することが必要とされた。また、ヒドロホルミル化装置のプロペンおよびプロパンを含有する排ガスを原料として水蒸気分解装置に使用することは、このような排ガスが当該の立場で一般に利用される場合には、経済的な視点から本発明による方法よりも好ましくない。それというのも、この分解装置用原料中のプロピレン含量に関連して、付加的な有用性は得られないからである。ヒドロホルミル化装置に供給されるオレフィン原料をできるだけ完全に利用するためのべつの解決は、欧州特許出願公開第188246号明細書に提案されており、即ちプロピレンおよびプロパンを含有する、第1のヒドロホルミル化反応器の排ガスは、原料として最初に切断された第2のヒドロホルミル化反応器中に利用される。また、しかし、この解決は、切断された第2の反応のために重大な付加的な投資を引き起こし、しかも付加的な運転費用も必要となる。これとは異なり、本発明による方法は、ヒドロホルミル化装置のプロピレン原料の最適な利用を実際に言うに値するほどの付加的な投資なしに可能にする。それというのも、一般に単にヒドロホルミル化装置とアクリル酸装置との間の去級導管を設置することができ、アクロレイン/アクリル酸生成物に適したプロピレン/プロパン流を分離するために、脱ガス塔を本発明による運転する場合には、実際に言うに値するほどの付加的な運転費用を全く必要としないからである。
【0039】
本発明による方法の成果は、驚異的なことである。それというのも、アクリル酸の製造のために、プロピレンおよびプロパンを含有する、ヒドロホルミル化装置からの排ガス流を原料として使用することは、この原料から製造されるアクリル酸の純度に対して不利な作用をもたらし、それによってアクリル酸の使用の可能性および市場化の可能性を制限することは、当業者により懸念されたことであったからである。
【0040】
本発明を次の実施例につき詳説する。
【0041】
実施例
ヒドロホルミル化反応器にプロピレン95質量%およびプロパン5質量%を含有する”化学薬品等級のプロピレン(Chemical Grade Propylen)”1kg/hの供給原料ならびに反応に必要とされる合成ガスを供給した。形成される生成物、n−ブチルアルデヒドおよびイソブチルアルデヒドからなる混合物、を未反応のプロピレンならびに供給されたプロパンおよび形成されたプロパン一緒に循環ガス流を用いて反応器から搬出させた。凝縮可能な含分を後接続された冷却器中で沈殿させ、次に続く分離器に捕集した。凝縮物は、ブチルアルデヒド78.3質量%、プロピレン14.3質量%およびプロパン7.4質量%を含有していた。この混合物を脱ガス塔に供給し(2.03kg/h)、そこでこの混合物を塔底部中のC不含のアルデヒド流(粗製オキソ生成物)(1.6kg/h)と塔頂部でのプロピレン66質量%およびプロパン34質量%からなる混合物(0.44kg/h)とに分離した。
【0042】
塔頂からの流出物をアクリル酸装置の合成段階への供給原料(”化学薬品等級のプロピレン(Chemical Grade Propylen)”0.33kg/h)と合わせた。それに応じて、供給原料は、プロピレン78.4質量%およびプロパン21.6質量%の組成を有していた。
【0043】
供給原料流を蒸発させ、空気および窒素と一緒に、米国特許第4298763号明細書の実施例1c)、1の記載により製造された、Mo−Basis 2を基礎とする酸化物触媒を含む鋼製管に導通させ、約340℃の温度に維持した。この鋼製管中で、酸素との反応によって、95.3モル%のプロピレン変換率で87.4モル%のアクロレインおよび1モル%のアクリル酸の収量が達成された。
【0044】
第2の試験で、前記により得られたアクロレイン生成物混合物をさらに後処理なしに同様に構成された第2の鋼製管に導通させ、この場合この鋼製管は、米国特許第4259211号明細書の実施例1の記載により得られた、アクリル酸へのアクロレインの酸化のために触媒で充填されていた。第2の鋼製管中への侵入までに、第1の鋼製管からのアクロレイン生成物混合物に、第2の鋼製管からの出口で反応混合物の酸素含量が3.2体積%になる程度に空気を添加した。第2の鋼製管(反応器)中で291℃の温度で、99.3%のアクロレイン変換率の際に使用されたアクロレインに対して95.2%のアクリル酸収率が達成された。

Claims (10)

  1. プロピレンのヒドロホルミル化生成物ならびにアクリル酸および/またはアクロレインの製造法において、
    a)反応帯域中にプロピレン含有供給原料ならびに一酸化炭素および水素を供給し、ヒドロホルミル化触媒の存在でプロペンのヒドロホルミル化生成物に反応させ、
    b)反応帯域からの搬出物から本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを分離し、
    c)本質的にプロピレンおよびプロパンからなる流れを分子状酸素の存在で接触気相酸化させてアクリル酸および/またはアクロレインに変えることを特徴とする、プロピレンのヒドロホルミル化生成物ならびにアクリル酸および/またはアクロレインの製造法。
  2. プロピレン含有供給原料がプロパン2〜40質量%を含有する、請求項1記載の方法。
  3. 本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを、反応帯域からの搬出物から最初に、未反応のプロピレンおよびプロパンを溶解して含有する粗製ヒドロホルミル化生成物を分離し、この粗製ヒドロホルミル化生成物を脱ガス工程にかけることによって得ることができる、請求項1または2記載の方法。
  4. 反応帯域からの搬出物が本質的にガス状であり、粗製ヒドロホルミル化生成物がガス状搬出物の部分凝縮によって分離される、請求項3記載の方法。
  5. 反応帯域からの搬出物が本質的に液状であり、液状搬出物が減圧され、その際、本質的に副生成物、均質に溶解したヒドロホルミル化触媒および微少量のヒドロホルミル化生成物、微少量の未反応のプロピレンおよび微少量のプロパンからなる液相と本質的にヒドロホルミル化生成物、未反応のプロピレンおよびプロパンならびに未反応の一酸化炭素および水素からなる気相への分離が行なわれ、粗製ヒドロホルミル化生成物を気相の少なくとも部分的な凝縮によって得ることができる、請求項3記載の方法。
  6. 粗製ヒドロホルミル化生成物がかけられる脱ガス工程には、2個の脱ガス塔が使用される、請求項3記載の方法。
  7. ヒドロホルミル化触媒として燐含有ロジウム触媒を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを不活性の希釈ガスと混合し、酸素の存在で少なくとも1つの酸化帯域中で不均質系触媒と接触させる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを第1の酸化帯域中でアクロレインを含有する中間生成ガス混合物の維持下に第1の不均質系触媒と接触させ、中間生成ガス混合物を第2の酸化帯域中でアクリル酸を含有する生成ガス混合物の維持下に第2の不均質系触媒と接触させる、請求項8記載の方法。
  10. 本質的に未反応のプロピレンおよびプロパンからなる流れを接触気相酸化前にプロピレン含量を増加させるためにオキシ脱水素してアクリル酸および/またはアクロレインに変える、請求項1記載の方法。
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