JP4743337B2 - 固定子、モータ及び圧縮機 - Google Patents
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Description
また、コイルの巻き始め部が巻線とインシュレータの壁部との間に挟まれた状態である場合、圧縮機運転時の振動によってストレスが加わり、コイルの巻き始め部が損傷したり断線したりすることがある。
なお、本発明において、環状の壁部に形成されるコイル通過部は、壁部の一部を切り欠いて形成された切欠部であってもよいし、環状の壁部の一部が切断されて周方向に隣接する壁部間に形成された隙間(壁部が部分的にない所)であってもよい。
また、歯部及び当該歯部に積層された突出部にコイルを巻き終わった後で、コイルの巻き始め部が壁部の内側に配置されたとしても、第1のコイル通過部が形成された部分において、コイルの巻き始め部が巻線とインシュレータの壁部との間に挟まれた状態になることはない。したがって、圧縮機運転時の振動によってストレスが加わり、コイルの巻き始め部が損傷したり断線したりするのを抑制することができるので、コイルの巻線品質が向上する。
また、この固定子では、第1のコイル通過部を巻き始め部に近接する箇所に設けることが可能となり、当該巻き始め部を容易に壁部の外側に逃がすことができる。その結果、巻き始め部がインシュレータの壁部と巻き回されたコイルとの間で圧迫されるのをより抑制することができる。
また、この固定子では、第1のコイル通過部が片側だけに形成されているので、巻き崩れを防止する壁部の一部を残しながら、巻き始め部を壁部の外側に逃がすことができる。
また、この固定子では、コイルの巻き始め部を電源線とすることで、電位の高い電源線をふらつかせることなく固定できるため、電源線をコイルの巻き終り部にしたときの問題(電源線が確実に固定されないため、スロットから離れてしまい、隣接する歯部に巻線されているコイルと接触する)を解消でき、隣接する歯部に巻線されているコイルとの接触を確実に防止することができる。その結果、長期にわたって安定した機能を発揮することができる。
また、電源線を引き回したりねじって束ねたとしても、当該電源線が損傷したり断線したりするのを抑制することができる。
また、歯部及び当該歯部に積層された突出部にコイルを巻き終わった後で、コイルの巻き始め部が壁部の内側に配置されたとしても、第1のコイル通過部が形成された部分において、コイルの巻き始め部が巻線とインシュレータの壁部との間に挟まれた状態になることはない。したがって、圧縮機運転時の振動によってストレスが加わり、コイルの巻き始め部が損傷したり断線したりするのを抑制することができるので、コイルの巻線品質が向上する。
また、電源線を引き回したりねじって束ねたとしても、当該電源線が損傷したり断線したりするのを抑制することができる。
<圧縮機の全体構成>
まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る圧縮機の構成について説明する。この第1実施形態に係る圧縮機1は、図1に示すように、1シリンダ型ロータリー圧縮機であって、密閉ケーシング10と、密閉ケーシング10内に配置されるモータ20及び圧縮機構30とを備えている。この圧縮機1は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、R410A冷媒(以下、冷媒と略記する)を利用している。そして、この圧縮機1は、密閉ケーシング10内において、圧縮機構30がモータ20の下側に配置される。また、密閉ケーシング10の下部には、圧縮機構30の各摺動部に供給される潤滑油2が貯留されている。
密閉ケーシング10は、パイプ11、トップ12及びボトム13によって構成されている。パイプ11は、上下方向に延びた略円筒状の部材であり、その上下端が開口している。また、パイプ11の側面にはアキュームレータ(図示せず)に接続されるインレットチューブ14を密閉ケーシング10の内部に導入するための接続口11aが形成されている。そして、この接続口11aの内周面には、インレットチューブ14を保持する円筒形状の継手管15が接合されている。トップ12は、パイプ11の上端の開口を塞ぐ部材である。このトップ12には、圧縮機構30によって圧縮された高温高圧の冷媒を密閉ケーシング10の外部に吐出するための吐出管16が設けられている。また、トップ12には、モータ20に接続されるターミナル端子17が設けられている。ボトム13はパイプ11の下端の開口を塞ぐ部材である。上記した構成の密閉ケーシング10には、パイプ11、トップ12及びボトム13によって囲まれた密閉空間が形成されている。
圧縮機構30は、モータ20のシャフト44の回転軸に沿って上から下に向かって、マフラ31と、フロントヘッド(端板部材)32と、シリンダ33及びピストン34と、リアヘッド(端板部材)35とを有している。
モータ20は、上記した圧縮機構30を駆動するために設けられており、回転子40と、この回転子40の径方向外側にエアギャップを介して配置される固定子50とを有している。
回転子40は、コア41及び複数の永久磁石(図示せず)を有している。コア41は、
金属材料からなる複数の薄板が互いに積層されるとともに、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。また、コア41には、その略中央部に、平面視で略円形の貫通孔43が形成されている。貫通孔43には、シャフト44の上端部が挿入されており、回転子40と固定子50との間に発生する磁力によって、シャフト44が回転子40と共に回転する。
固定子50は、図2に示すように、コア51と、コイル52(52U,52V,52W)と、コア51の上端部及び下端部にそれぞれ配置されたインシュレータ60及び70(図1参照)とを有している。
コア51は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層される共に、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。このコア51は、図3に示すように、環状のバックヨーク部53と、そのバックヨーク部53から径方向内側に突出する6個の歯部54A〜54Fとを有している。コア51の略中央部分には、上下方向(Z方向)に延びた貫通孔Hが形成されている。この貫通孔Hの内部には、上記した回転子40が配置される。歯部54A〜54Fの各々は、バックヨーク部53の内周面から径方向内側に延在する突出部55A〜55Fと、当該突出部55A〜55Fの先端に設けられ、突出部55A〜55Fより周方向に幅広に形成される先端部56A〜56Fとを有している。
6個の歯部54A〜54Fの各々には、各相(U相、V相、W相)のコイル52(52U,52V,52W)が巻き回される。具体的には、対向配置される歯部54A及び54DにU相のコイル52Uが巻き回され、対向配置される歯部54B及び54EにV相のコイル52Vが巻き回され、対向配置される歯部54C及び54FにW相のコイル52Wが巻き回される。本実施形態のコイル52では、外径が0.5mm〜1.5mmの巻線が使用されている。
本実施形態において、コイル52Wの巻き始めとなる巻き始め部52aとは、図7に示すように、コイル52Wが、歯部54Cの突出部55C及びそれに積層される突出部61Cに巻き回される際に、突出部61Cの根元部において外壁部62の内周面と接触する部分から、巻回部と反対側に延在した部分(突出部61Cの上方に配置される部分を含む)である。コイル52Uの巻き始めとなる巻き始め部52a及びコイル52Vの巻き始めとなる巻き始め部52aについても同様である。
隣接する歯部54A〜54Fのそれぞれの間には、図3に示すように、コア51を上下方向(Z方向)に貫通する6個のスロット57A〜57Fが形成されている。このスロット57A〜57Fの各々は、隣接する歯部54A〜54Fの先端部56A〜56F間に形成される開口Gを介して、貫通孔Hに連通している。コイル52は、この開口Gを介してスロット57A〜57Fの内部に挿入される巻線機のノズル(図示せず)によって、各歯部54A〜54Fに巻き回される。
インシュレータ60は、コア51とコイル52との絶縁を図るために設けられている。
このインシュレータ60は、図5及び図6に示すように、複数の歯部54A〜54Fの突出部55A〜55Fに積層される複数の突出部61A〜61Fと、複数の突出部61A〜61Fの径方向外側に配置される環状の外壁部62と、複数の突出部61A〜61Fの各々の径方向内側に配置され、前述した先端部56A〜56Fに積層される内壁部63A〜63Fとを有している。この外壁部62及び内壁部63A〜63Fは、上方に(コア51の反対側)延在しており、歯部54A〜54F及びその歯部54A〜54Fに積層された突出部61A〜61Fに巻き回されたコイル52が崩れるのを防止する機能を有している。なお、環状の外壁部62は、その一部が切断されて、壁部が部分的にない所を有するが、全体として環状に形成されている。また、図4に記載した位置(A1)〜(F2)と、図5に記載した位置(A1)〜(F2)とは対応している。
次に、図8を参照して、上記構成のロータリー圧縮機のコイルの巻き回し方法について説明する。まず、本実施形態では、図8(a)に示すように、歯部54B及び当該歯部54Bに積層される突出部61Bにコイル52Vを巻き回す際に、コイル52Vの巻き始めとなる巻き始め部52aを、コイル通過部62bを介して外壁部62の外側に配置しておく。そして、図8(b)に示すように、当該巻き始め部52aを外壁部62の外側に配置した状態で、コイル52Vの巻線を歯部54B及び当該歯部54Bに積層される突出部61Bに巻き回す。なお、歯部54A及び当該歯部54Aに積層される突出部61Aにコイル52Uを巻き回す場合、及び、歯部54C及び当該歯部54Cに積層される突出部61Cにコイル52Wを巻き回す場合も同様に、コイル52U及び52Wの巻き始め部52aをそれぞれコイル通過部62a及び62cを介して外壁部62の外側に配置しておく。
本実施形態の圧縮機1には、以下のような特徴がある。
また、歯部54A〜54C及び当該歯部54A〜54Cに積層された突出部61A〜61Cにコイル52を巻き終わった後で、コイル52の巻き始め部52aが外壁部62の内側に配置されたとしても、コイル通過部62a,62b,62cが形成された部分において、コイル52の巻き始め部52aがインシュレータ60の外壁部62と巻き回されたコイル52との間に挟まれた状態になることはない。したがって、圧縮機運転時の振動によってストレスが加わり、コイル52の巻き始め部52aが損傷したり断線したりするのを抑制することができるので、コイル52の巻線品質が向上する。
次に、図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る圧縮機に用いられるインシュレータについて説明する。なお、第1実施形態の圧縮機と同一の構成については、同一番号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の圧縮機には、以下のような特徴がある。
さらに、ロータリー圧縮機以外のスクロール圧縮機やレシプロ圧縮機等にも適用可能である。
50 固定子
51 コア
52(52U,52V,52W) コイル
52a 巻き始め部
52b 中性線(巻線)
54A〜54F 歯部
60,160 インシュレータ
61A〜61F 突出部
62,162 外壁部(壁部)
62a,62b,62c,162a,162b,162c コイル通過部
62d,162d 突起部
PU,PV,PW 電源線
L 中央線
Claims (5)
- 環状に配列された複数の歯部を有するコアと、
前記歯部とそれぞれ積層される複数の突出部及び前記複数の突出部の径方向外側に配置される環状の壁部を有するインシュレータと、
前記歯部及び当該歯部に積層された突出部に巻き回されるコイルとを備え、
前記壁部には、前記歯部の径方向外側に対応した位置に配置され、且つ、歯部及び当該歯部に積層された突出部にコイルを巻き回す際に、前記コイルの巻き始め部を通過させる第1のコイル通過部が形成され、
前記第1のコイル通過部は、平面視において前記歯部の中央を通過する中央線に対して片側に偏っており、
前記コイルの巻き始め部が、電源に接続される電源線であると共に、
前記コイルの中性線が、前記コアに対して前記電源線と同じ側で、前記壁部において前記第1のコイル通過部と異なる位置に形成された第2のコイル通過部を介して、前記壁部の内側から外側に引き出されることを特徴とする、固定子。 - 前記コイルの巻き始め部が、電源のU相、V相及びW相にそれぞれ接続される複数の電源線であって、
前記複数の電源線が、前記コイル通過部の径方向内側に設けられた前記歯部及び前記突出部の近傍において束ねられることを特徴とする、請求項1に記載の固定子。 - 前記壁部の外周面であって前記コイル通過部の前記コア側には、当該壁部の外周面に沿って引き回される前記コイルの巻線が前記コアと反対側に移動するのを規制する突起部が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の固定子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定子と、
前記コアの内側に配置された回転子とを備えることを特徴とする、モータ。 - 請求項4に記載のモータを備えることを特徴とする、圧縮機。
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