JP4737457B2 - 酸性水中油型乳化食品 - Google Patents

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Description

本発明は、卵黄風味に優れた水中油型乳化食品に関する。
水中油型乳化食品の代表的な食品としては、マヨネーズ、半固体状乳化ドレッシング等のpHを4.6以下に調整した酸性水中油型乳化食品が知られている。市場で普及しているマヨネーズは、食用油脂と食酢等の酸材とを乳化したものであり、食用油脂の含有量は70〜85%程度である。乳化材の主要材料としては、液卵黄、全卵など少なくとも卵黄が使用され、優れた卵黄風味がマヨネーズの食味の重要なポイントを成している。また、マヨネーズは粘度が80Pa・s以上と高粘性である。
一方、近年の低カロリー指向に対応して、マヨネーズの性状に似た酸性水中油型乳化食品であって食用油脂の配合量を減らしたものも広く使用されている。このマヨネーズ様の酸性水中油型乳化食品は、本来のマヨネーズと似た食味とするため、本来のマヨネーズと同様、卵黄を乳化材として使用している。また、本来のマヨネーズと同様の高粘性にするため、増粘剤が使用されている。しかしながら、食用油脂の配合量を減らしたマヨネーズ様の酸性水中油型乳化食品は、本来のマヨネーズに比べて卵黄風味に欠けるという問題があった。
マヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品の卵黄風味を増強させる方法としては、(1)卵黄を含む食品に、ホスファチジルイノシトールを20%以上含むリン脂質、及びイソチオシアン酸エステル類を加えること(特許文献1)、(2)脱糖し、トレハロースを添加した液卵を噴霧乾燥して得られる粉末卵を使用すること(特許文献2)が知られている。
そこで、食用油脂の配合量を減らし、増粘剤で高粘性とした酸性水中油型乳化食品に、これら特許文献1,2の方法を応用することが考えられる。しかしながら、実際に応用したところ、卵黄風味の改善は未だ満足できるとは言い難い状況であった。
特開平6−296474号公報 特開2005−65501号公報
本発明は、食用油脂の配合量を減らした酸性水中油型乳化食品において、卵黄風味を増強させることを目的とする。
発明者は、食用油脂の配合量を減らしたマヨネーズ様の酸性水中油型乳化食品において卵黄風味が劣る原因を追求したところ、このような乳化食品は、粘性を高めるために配合した澱粉、ガム質等の増粘剤が、卵黄風味の放出を抑える方向へ作用していることを見出した。さらに、(1)食用油脂としてトランス酸の含有量が特定範囲にあるものを使用し、(2)卵黄の少なくとも一部にリゾ化卵黄を使用し、(3)酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液の透過率を特定範囲にするという3つの要件をいずれも満足させると、増粘剤を配合しているにもかかわらず、意外にも卵黄風味に優れた酸性水中油型乳化食品を得られることを見出した。
即ち、本発明は、食用油脂10〜60%、増粘剤及び卵黄を含有し、粘度(20℃)が80Pa・s以上である酸性水中油型乳化食品であって、食用油脂中のトランス酸含有量が0.2〜5%、卵黄の一部又は全部がリゾ化卵黄であり、該酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより得られる濾液の透過率(波長660nm、光路長10mmm)が98%以上、該酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が7〜18%であることを特徴とする酸性水中油型乳化食品を提供する。
本発明の酸性水中油型乳化食品は、食用油脂の含有量が、10〜60%と本来のマヨネーズよりも低いが、本来のマヨネーズと同様の高粘性を示し、かつ優れた卵黄風味を有する。
したがって、本発明によれば、本来のマヨネーズの美味しさと食感を保持しつつ、近年の低カロリー指向に適合した酸性水中油型乳化食品を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明において、特にことわりの無い限り「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
本発明の酸性水中油型乳化食品は、食用油脂が油滴として水相中に略均一に分散して水中油型の乳化状態となっているものであり、水相中に略均一に分散した油滴の中に更に水相が分散したものも本発明の酸性水中油型乳化食品に含まれる。
この酸性水中油型乳化食品における食用油脂の含有量は、本来のマヨネーズよりも低い10〜60%、好ましくは10〜50%であり、酸性水中油型乳化食品の低カロリー化を可能にしている。食用油脂の含有量をこの範囲よりも低くするとコクのある乳化食品が得られ難く、反対に高くすると、本来のマヨネーズよりも食用油脂の含有量を減らして低カロリー化を図るという当初の目的を達成できなくなる。
本発明においては、食用油脂として、トランス酸含有量が0.2〜5%、好ましくは0.3〜3%の食用油脂、言い換えれば、トランス酸含有量が0.2〜5%、好ましくは0.3〜3%となるように精製された食用油脂を使用する。このようにトランス酸含有量を規定することにより、食用油脂の精製度によって卵黄風味が阻害されることを防止することができる。
ここで、トランス酸とは、油脂に含有される不飽和脂肪酸の二重結合において、水素がトランス型になったものをいう。天然由来の食用油脂、特に、植物油は、構成脂肪酸として二重結合を1つ以上有する不飽和脂肪酸を含有するが、天然由来の不飽和脂肪酸の二重結合における水素は、ほとんどがシス型となっている。しかしながら、水蒸気蒸留により食用油脂の脱臭を行う精製工程や、硬化油を製造する水素添加工程を高温で行うと、シス型の不飽和脂肪酸の一部がトランス型の不飽和脂肪酸に変わる。本発明は、こうして生成されるトランス酸の含有量を規定したものである。
本発明の酸性水中油型乳化食品で使用する食用油脂の総量について、食用油脂中のトランス酸の含有量が0.2%よりも低いと精製が不十分で食用油脂に有臭成分が残存し、有臭成分が卵黄風味をマスキングするので、優れた卵黄風味の酸性水中油型乳化食品が得られ難い。一方、食用油脂中のトランス酸の含有量が5%より高いと、食用油脂が必要以上に精製され、卵黄風味の創出に関与する微量成分も除去されるためか、卵黄風味に優れた酸性水中油型乳化食品が得られ難くなる。なお、食用油脂中のトランス酸の含有量には、食用油脂の構成脂肪酸ばかりでなく遊離の脂肪酸も含まれる。
トランス酸の含有量が上述の範囲にある食用油脂は、その脱臭工程における水蒸気蒸留の条件を調整することにより得ることができる。
また、本発明において、食用油脂におけるトランス酸の含有量は、後述する実施例のようにガスクロマトグラフィーで測定される数値である。
食用油脂としては、上述のトランス酸含有量を満たす種々の油脂を使用することができ、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油等の植物油の精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等の化学的若しくは酵素的処理を施したもの等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、本発明の酸性水中油型乳化食品において、水相は、食酢、クエン酸等の有機酸あるいはレモン果汁等の柑橘果汁等の酸材を含有し、酸材によりpHを4.6以下に調整したものである。
本発明の酸性水中油型乳化食品は、乳化材として卵黄を含有する。卵黄としては、マヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品において、乳化材として一般的に用いているものを使用することができ、例えば、鶏卵を割卵し卵白と分離して得られた生卵黄、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、濾過処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母またはグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理又は亜臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種または2種以上の処理を施したものを使用することができる。また、卵黄としては、鶏卵を割卵して得られる全卵、もしくは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、又はこれらに上述の処理を施したものなどを用いてもよい。このように全卵、あるいは卵黄と卵白を混合したものを使用する場合、卵黄部分が本発明の卵黄に相当する。
本発明では、卵黄の一部又は全部を、卵黄にリゾ化処理を施したリゾ化卵黄とする。これにより、酸性水中油型乳化食品に、優れた卵黄風味を付与することが可能となる。これに対し、リゾ化卵黄を使用しない場合には、食用油脂として、トランス酸含有量が前述の0.1〜5%の範囲にあるものを使用しても、あるいは、後述するように、酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が7〜18%となる特定の乳化特性を付与しても、卵黄風味を十分に向上させることができない。
ここで、リゾ化処理とは、卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質(卵黄リン脂質、卵黄油及びコレステロールなどの卵黄脂質と卵黄蛋白との複合体)の構成リン脂質を、ホスフォリパーゼA又はホスフォリパーゼAを用いて、リン脂質の1位あるいは2位の脂肪酸残基を加水分解してリゾリン脂質とする処理をいう。リゾ化卵黄における脂肪酸残基の加水分解の程度としては、リゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの合計量に対するリゾホスファチジルコリンの割合(即ち、リゾ化率)がイアトロスキャン法(TLC−FID法)で分析した場合の値で10〜80%が好ましく、20〜70%がより好ましい。
本発明の酸性水中油型乳化食品において、卵黄の配合量は、食用油脂の配合量にもよるが、固形分換算で好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜8%であり、リゾ化卵黄の配合量としては、卵黄風味を向上させる点から固形分換算で好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜8%であり、卵黄の全てをリゾ化卵黄として配合することが好ましい。酸性水中油型乳化食品におけるリゾ化卵黄の配合量が上述の範囲より少なかったり、リゾ化卵黄におけるリゾ化率が前述の範囲より低かったりすると、トランス酸含有量が前述の0.2〜5%の範囲にあるものを使用しても、あるいは、後述するように、酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が7〜18%となる特定の乳化特性を付与しても、卵黄風味を十分に向上させることが困難となり、反対に、リゾ化卵黄の配合量を上述の範囲より多くしてもそれに見合う卵黄風味の増強を得られず経済的でない。また、リゾ化卵黄におけるリゾ化率が前述の範囲より高いと、リゾ化卵黄が苦味を呈し、卵黄風味をマスキングするので好ましくない。
本発明の酸性水中油型乳化食品は増粘剤を含有し、粘度(20℃)を80Pa・s以上、好ましくは90〜500Pa・s、より好ましくは100〜400Pa・sに調整したものである。これにより、本来のマヨネーズに比して食用油脂の含有量が低いにもかかわらず、本来のマヨネーズと同様の高粘性となる。ここで、粘度は、BH型粘度計を用い、回転数:2rpm、ローター:No.6、品温:20℃の測定条件で、2回転後の示度から換算した値である。
増粘剤としては、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉、これらの澱粉にα化、架橋等の処理を施した化工澱粉、及び湿熱処理を施した澱粉等の澱粉類、キサンタンガム、タマリンド等のガム質、並びにペクチン等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性水中油型乳化食品における増粘剤の含有量は、使用する増粘剤の種類にもよるが、上述の粘度を達成する点から0.2%以上とすることが好ましく、0.3〜7%がより好ましく、特に0.4〜6%が好ましい。
本発明の酸性水中油型乳化食品は、食用油脂、リゾ化卵黄、増粘剤の他、本発明の効果を損なわない範囲で酸性水中油型乳化食品に通常用いられている各種原料を適宜選択し配合させることができる。例えば、澱粉分解物、デキストリンアルコール、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール等の糖類、乳酸などの酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖などの各種調味料、液卵白、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸化澱粉等の乳化材、動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料、並びに各種蛋白質やこれらの分解物等が挙げられる。
また、本発明の酸性水中油型乳化食品はその透過率に関し、(a)酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより得られる濾液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が98%以上で、かつ(b)酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が7〜18%、好ましくは7〜15%である。このうち、(a)は、孔径0.2μmのフィルターを用いて、酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液から、食用油脂が乳化材で覆われた乳化粒子を除去して得られる300倍水希釈液の連続相(主に、水相部分)の透過率(波長660nm、光路長10mm)が98%以上であること、即ち、酸性水中油型乳化食品の連続相(主に水相部分)の300倍水希釈液が、波長660nmにおいて殆ど吸収を示さないことを意味している。一方、(b)は、酸性水中油型乳化食品の乳化物全体としての300倍水希釈液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が7〜18%という特定範囲にあることを意味している。なお、本発明の酸性水中油型乳化食品の食用油脂に、660nmに吸収を持つ着色剤を溶かしても、食用油脂は乳化材で覆われた乳化粒子として存在することから、酸性水中油型乳化食品の乳化物全体の300倍水希釈液の透過率には影響がない。したがって、本発明の酸性水中油型乳化食品は、(a)から、乳化食品の連続相(主に、水相部分)については660nmにおいて、300倍水希釈液が98%以上という高い透過率を示すにもかかわらず、(b)から、乳化食品の300倍水希釈液は、特定割合の透過率しか示さないことにより、本発明の水中油型乳化食品は、特定の乳化特性をもつことを意味している。
酸性水中油型乳化食品にこのような乳化特性を持たせることにより、その理由は明らかではないが、前述の食用油脂中のトランス酸含有量を特定範囲とすることやリゾ化卵黄を使用することとあいまって、確実に卵黄風味を増強させることができる。これに対し、酸性水中油型乳化食品全体の300倍水希釈液の透過率が上述の範囲を超えると卵黄風味が低減し、反対にこの透過率を上述の範囲よりも低くすることは、工業的規模で酸性水中油型乳化食品を製造する場合には困難となる。
実施例1
(1)酸性水中油型乳化食品の製造
表1の配合において、キサンタンガム及び清水を除く水相原料をミキサーで撹拌し均一な水相26部を調製した。次に、この水相を撹拌しながら精製植物油30部を徐々に注加して粗乳化物を製造した。得られた粗乳化物をヒスコトロン[(株)ニチオン製、ドライブユニット:NS−51、ジェネレータ:NS−20]を用いて25,000rpmで15分間処理して精乳化した。次いで、得られた精乳化物に、予め用意していたキサンタンガムを清水に溶解し十分に膨潤させたキサンタンガム溶液44部を加え、均一となるまで混合し、実施例1の酸性水中油型乳化食品を製造した。
使用した原料に関し、精製植物油中のトランス酸の含有量を以下の方法で測定したところ、1.5%であった。
リゾ化卵黄の配合量は、酸性水中油型乳化食品に対し、固形分換算で約5%である。
Figure 0004737457
[トランス酸含有量の測定方法]
1)ガスクロマトグラフィー用サンプル調製
基準油脂分析試験法(1996)の三フッ化ほう素法に従ってガスクロマトグラフィー用サンプルを調製した。
即ち、精製植物油200mgを100mL容ナスフラスコに採取した(n=2)。0.5M水酸化ナトリウム/メタノール溶液4mLを加え、還流冷却管を付け、沸騰水浴中で5分間加熱してケン化した。
次いで、15%三フッ化ほう素メタノール錯体/メタノール溶液4mLを加え2分間加熱した。さらにヘキサン20mLを加え、1分間加熱した後、冷却した。飽和塩化ナトリウム水溶液を100mL程度加え、良く振盪した後、ヘキサン層をスクリューキャップ付試験管に移した。硫酸ナトリウム(無水)を加えて脱水しガスクロマトグラフィー用サンプルとした。
2)ガスクロマトグラフ分析法
得られたガスクロマトグラフィー用サンプルを使用し、次のガスクロマトグラフ(GC)測定条件にて精製植物油中のトランス酸の含有量を分析した。
<GC測定条件>
・GC装置:Agilent6890N(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・カラム(固定相):SP-2560キャピラリーカラム 長さ100m、内径0.25mm、膜厚0.2μm (スペルコ社製、Supelco Inc. Bellefonte,PA)
・GC温度条件:180℃にて60分間(一定温度)
・キャリアガス(移動相):ヘリウム1.2mL/min(平均線速度21cm/sec)
・試料導入法:スプリット注入法(スプリット比100)
・試料導入部温度:250℃
・試料導入部入口圧:318kPa(45psi)
・試料注入量:1μL
・検出器:水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector)
・データ解析ソフト:Agilent ChemStation Rev.A.09.03(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・保持時間測定用標準物質:Linoleic acid methyl ester, cis/trans isomers #4-7791(リノール酸メチルエステル、シス/トランス異性体混合標準品)、Linolenic acid methyl ester isomer mix #4-7792(リノレン酸メチルエステル、シス/トランス異性体混合標準品) (スペルコ社製、Supelco Inc. Bellefonte, PA)
(2)評価
(1)で得た実施例1の酸性水中油型乳化食品について、(i)粘度、(ii)乳化食品の300倍水希釈液の濾液の透過率、及び(iii)乳化食品の300倍水希釈液の透過率をそれぞれ次のように測定し、また、(iv)卵黄風味を次のように評価した。
その結果、(i)粘度は180Pa・s、(ii) 乳化食品の300倍水希釈液の濾液の透過率は99%、(iii)乳化食品の300倍水希釈液の透過率は12%、(iv)卵黄風味は、評価値の平均が3.8であり、卵黄風味に大変優れていた。
(i)粘度の測定方法
BH型粘度計を用い、回転数:2rpm、ローター:No.6、品温:20℃の測定条件で、2回転後の示度から換算した。
(ii)乳化食品の300倍水希釈液の濾液の透過率の測定方法
酸性水中油型乳化食品を5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で5倍希釈した後、イオン交換水で当初の乳化食品の300倍に希釈し、その希釈液を、5mLのシリンジ(テルモ(株)製、テルモシリンジ)とシリンジフィルターユニット(東洋濾紙(株)製、ディスポーザルシリンジフィルターユニット、内蔵膜:セルロースアセテート、孔径0.2μm)とを組み合わせたシリンジフィルターで濾過し、その濾液を、試料液とした。
分光光度計として(株)島津製作所製「マルチパーパス分光光度計MPS−2400」を使用し、波長660nm、光路長10mmの透過率を測定した。なお、この分光光度計はエンドオン形光電子増倍管を検出器とし、試料ホルダ直後の石英散乱板とライトガイドにより試料の散乱光を効率よく捉えるようにしたものである。
(iii)乳化食品の300倍水希釈液の透過率の測定方法
酸性水中油型乳化食品を5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で5倍希釈した後、イオン交換水で当初の乳化食品の300倍に希釈し、試料液とした。そして、(ii)と同様にして波長660nm、光路長10mmの透過率を測定した。
(iv)卵黄風味の評価方法
マヨネーズ風味の評価に熟練した10名を評価者とし、植物油を70%以上含有する市販のマヨネーズA(キユーピー(株)製、商品名「キユーピーマヨネーズ」)に対する卵黄風味を次の基準で4〜1の評価値で評価し、その平均を求めた。
評価値4:マヨネーズAと同様に卵黄風味が大変優れている
評価値3:マヨネーズAに近い優れた卵黄風味を有する
評価値2:マヨネーズAに対して卵黄風味がやや弱い
評価値1:マヨネーズAに対して卵黄風味が弱い
実施例2
(1)酸性水中油型乳化食品の製造
表2の配合において、冷水膨潤性澱粉及び清水を除く水相原料をミキサーで撹拌し均一な水相27.5部を調製した。次にこの水相を撹拌しながら精製植物油30部を徐々に注加して粗乳化物を製造した。得られた粗乳化物を実施例1と同様にヒスコトロンを用いて精乳化した。次いで、得られた精乳化物に、予め用意していた冷水膨潤性澱粉を清水に溶解し十分に膨潤させた澱粉溶液42.5部を加え、均一となるまで混合し、実施例2の酸性水中油型乳化食品を製造した。
使用した原料に関し、精製植物油中のトランス酸の含有量を実施例1と同様に測定したところ、2.5%であった。
リゾ化卵黄の配合量は、酸性水中油型乳化食品に対し、固形分換算で約6%である。
Figure 0004737457
(2)評価
(1)で得た実施例2の酸性水中油型乳化食品について、(i)粘度、(ii)乳化食品の300倍水希釈液の濾液の透過率、及び(iii)乳化食品の300倍水希釈液の透過率を実施例1と同様に測定し、また、(iv)卵黄風味を実施例1と同様に評価した。
その結果、(i)粘度は220Pa・s、(ii) 乳化食品の300倍水希釈液の濾液の透過率は99%、(iii)乳化食品の300倍水希釈液の透過率は14%、(iv)卵黄風味は、評価値の平均が3.6であり、卵黄風味に大変優れていた。
参考例1
(1)酸性水中油型乳化食品の製造
表3の配合において、全水相原料をミキサーで撹拌し均一な水相25部を調製した。次にこの水相を撹拌しながら精製植物油75部を徐々に注加して粗乳化物を製造した。次いで、得られた粗乳化物を、実施例1と同様のコロイドミルを用いて3,560rpmで連続的に精乳化し、参考例1の酸性水中油型乳化食品を製造した。
使用した原料に関し、精製植物油は実施例1と同じもの(トランス酸含有量1.5%)を用い、殺菌卵黄の配合量は酸性水中油型乳化食品に対し固形分換算で約5%である。
Figure 0004737457
(2)評価
(1)で得た参考例1の酸性水中油型乳化食品について、(i)粘度、(ii) 乳化食品の300倍水希釈液の濾液の透過率、及び(iii)乳化食品の300倍水希釈液の透過率を実施例1と同様に測定し、また、(iv)卵黄風味を実施例1と同様に評価した。
その結果、(i)粘度は250Pa・s、(ii) 乳化食品の300倍水希釈液の濾液の透過率は99%、(iii)乳化食品の300倍水希釈液の透過率は8%、(iv)卵黄風味は、評価値の平均が4.0であり、卵黄風味に大変優れていた。これにより、植物油脂の含有量が、市販のマヨネーズと同程度の75%である本参考例1では、増粘剤を使用しなくても十分に高粘度となるため、リゾ化卵黄を使用しなくても卵黄風味が優れることがわかる。
試験例1
実施例1において、精製植物油を表4に示すトランス酸含有量を有する植物油又は精製植物油に変更した以外は、同様の配合割合および製造方法で酸性水中油型乳化食品を製造した。得られた酸性水中油型乳化食品の卵黄風味を実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
これらの結果から、食用油脂中のトランス酸含有量が0.2〜5%の範囲にある食用油脂を用いると、酸性水中油型乳化食品の卵黄風味が優れ、特に0.3〜3%の範囲にあると卵黄風味が大変優れていることがわかる。
Figure 0004737457
試験例2
実施例1において、リゾ化卵黄の全部又は一部をリゾ化卵黄の原料に用いた殺菌卵黄に代え、あるいはリゾ化卵黄を加え、表5に示すリゾ化卵黄の配合量(酸性水中油型乳化食品に対する固形分換算の配合量)とした以外は、同様の配合割合および製造方法で酸性水中油型乳化食品を製造した。得られた酸性水中油型乳化食品の卵黄風味を実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
表5の結果から、リゾ化卵黄の配合量が酸性水中油型乳化食品に対し固形分換算で1%以上であると酸性水中油型乳化食品は卵黄風味に優れ、特に、2%以上で大変優れていることがわかる。
Figure 0004737457
試験例3
実施例1において、リゾ化卵黄を表6に示すリゾ化率のものに変更した以外は、同様の配合割合及び製造方法で酸性水中油型乳化食品を製造した。得られた酸性水中油型乳化食品の卵黄風味を実施例1と同様に評価した。結果を表6に示す。
なお、表中、リゾ化率0%はリゾ化卵黄の原料として用いた殺菌卵黄で酸性水中油型乳化食品を製造したことを表す。
表6の結果から、リゾ化率10〜80%の範囲にあるリゾ化卵黄を用いた酸性水中油型乳化食品は卵黄風味に優れ、特に、リゾ化率が20〜70%の範囲にあるリゾ化卵黄を用いると卵黄風味が大変優れていることがわかる。
Figure 0004737457
試験例4
実施例1において、ヒスコトロンの処理時間を変更した以外は、同様の配合割合及び製造方法で酸性水中油型乳化食品を製造し、その乳化食品の300倍水希釈液の透過率が表7の値となる酸性水中油型乳化食品を得た。得られた酸性水中油型乳化食品の卵黄風味を実施例1と同様に評価した。結果を表7に示す。
Figure 0004737457
これらの結果から、乳化食品の300倍水希釈液の透過率が7〜18%の範囲にある酸性水中油型乳化食品は卵黄風味の評価値が3以上であり卵黄風味に優れ、特に透過率が7〜15%の範囲にあると卵黄風味の評価値が3.5以上であり卵黄風味が大変優れていることがわかる。
本発明は、食用油脂の配合量を減らした酸性水中油型乳化食品、特に、マヨネーズの性状に似た酸性水中油型乳化食品として、食品産業上広く利用することができる。

Claims (6)

  1. 食用油脂10〜60%、増粘剤及び卵黄を含有し、粘度(20℃)が80Pa・s以上である酸性水中油型乳化食品であって、食用油脂中のトランス酸含有量が0.2〜5%、卵黄の一部又は全部がリゾ化卵黄であり、該酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより得られる濾液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が98%以上、該酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が7〜18%であることを特徴とする酸性水中油型乳化食品。
  2. 増粘剤を0.2%以上含有する請求項1記載の酸性水中油型乳化食品。
  3. 食用油脂中のトランス酸含有量が0.3〜3%である請求項1又は2記載の酸性水中油型乳化食品。
  4. リゾ化卵黄を固形分換算で1〜10%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の酸性水中油型乳化食品。
  5. リゾ化卵黄のリゾ化率が10〜80%である請求項1〜4のいずれかに記載の酸性水中油型乳化食品。
  6. 酸性水中油型乳化食品の300倍水希釈液の透過率(波長660nm、光路長10mm)が7〜15%である請求項1〜5のいずれかに記載の酸性水中油型乳化食品。
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