JP6981308B2 - 水中油型乳化食品 - Google Patents

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Description

本発明は、水中油型乳化食品及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、コク味が向上した水中油型乳化食品及びその製造方法に関する。さらに本発明は、水中油型乳化食品のコク味向上方法に関する。
マヨネーズ等の水中油型乳化食品は、食味の観点からは、充分なコク味を感じられるものが消費者に好まれる傾向があり、コク味を向上させることによって、製品価値が向上することを期待できる。水中油型乳化食品のコク味を向上させるには、卵、食用油脂、アミノ酸等の呈味素材の増量が効果的であることが従来知られているが、呈味素材は配合割合が通常多いため、呈味素材を増量するには他の原料を減量する必要があり、また呈味素材を増量すると、水中油型食品の保存時の食味劣化が起こりやすいことに加え、コストが増大する点等でデメリットがある。
一方、イソ吉草酸やヘキサナールは、発酵や不飽和脂肪酸の酸化等によって発生する不快臭の原因物質の一種であることが知られている。これらは低濃度で用いられると、コク味を向上させ得ることが報告されているが(特許文献1〜3)、高濃度で添加した場合、不快臭が感じられるようになるため、製品価値の低下につながる。
特開2010−124696号公報 特開2003−79336号公報 国際公開第2011/030650号
本発明は、コク味が向上した水中油型乳化食品の提供を目的とする。特に本発明は、風味のバランスが良く、コク味が向上した水中油型乳化食品の提供を目的とする。
また本発明は、コク味が向上した水中油型乳化食品の製造方法の提供を目的とする。特に本発明は、風味のバランスが良く、コク味が向上した水中油型乳化食品の製造方法の提供を目的とする。
また本発明は、水中油型乳化食品のコク味向上方法の提供を目的とする。特に本発明は、水中油型乳化食品の風味のバランスが良くなり、コク味を向上させ得る方法の提供を目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するべく種々検討した結果、揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸及び炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドは、それぞれ単独で用いた場合には、高濃度で水中油型乳化食品に添加することにより不快臭が感じられるが、驚くべきことに、これらの化合物を特定の濃度で組み合わせて用いることによって、風味のバランスが良くなり、これらの化合物を単独で用いたときに感じられる不快臭を抑えてコク味を効果的に向上できることを見出した。
また本発明者は、揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸及び炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドに、ジアセチル、アリルイソチアシアネートを併用することによって、水中油型乳化食品の風味のバランスがより良くなり、製品価値が更に向上し得ることを見出した。
本発明者は、これらの知見に基づき、さらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1](A)揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸及び(B)炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドを、下記(1)又は(2)に記載の濃度で含有する、水中油型乳化食品。
(1)(A)の濃度が、0.3重量ppm以上2重量ppm未満であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上3重量ppm以下である。
(2)(A)の濃度が、2重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上7重量ppm以下である。
[2](C)ジアセチル及び(D)アリルイソチアシアネートからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、[1]記載の水中油型乳化食品。
[3](C)の濃度が、0.05重量ppm以上1重量ppm以下である、[2]記載の水中油型乳化食品。
[4](D)の濃度が、1重量ppm以上200重量ppm以下である、[2]又は[3]記載の水中油型乳化食品。
[5](A)揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸が、イソ吉草酸である、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の水中油型乳化食品。
[6](B)炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドが、ヘキサナールである、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の水中油型乳化食品。
[7]水中油型乳化食品が、酸性水中油型乳化食品である、[1]〜[6]のいずれか一つに記載の水中油型乳化食品。
[8](A)揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸及び(B)炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドを、下記(1)又は(2)に記載の濃度で含有するように添加することを含む、水中油型乳化食品の製造方法。
(1)(A)の濃度が、0.3重量ppm以上2重量ppm未満であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上3重量ppm以下である。
(2)(A)の濃度が、2重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上7重量ppm以下である。
[9](C)ジアセチル及び(D)アリルイソチアシアネートからなる群より選択される少なくとも一つを添加することを更に含む、[8]記載の製造方法。
[10](C)の添加が、(C)の濃度が0.05重量ppm以上1重量ppm以下となるよう行われる、[9]記載の製造方法。
[11](D)の添加が、(D)の濃度が1重量ppm以上200重量ppm以下となるように行われる、[9]又は[10]記載の製造方法。
[12](A)揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸が、イソ吉草酸である、[8]〜[11]のいずれか一つに記載の製造方法。
[13](B)炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドが、ヘキサナールである、[8]〜[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
[14]水中油型乳化食品が、酸性水中油型乳化食品である、[8]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]水中油型乳化食品に、(A)揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸及び(B)炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドを、下記(1)又は(2)に記載の濃度で含有するように添加することを含む、水中油型乳化食品のコク味向上方法。
(1)(A)の濃度が、0.3重量ppm以上2重量ppm未満であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上3重量ppm以下である。
(2)(A)の濃度が、2重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上7重量ppm以下である。
[16](C)ジアセチル及び(D)アリルイソチアシアネートからなる群より選択される少なくとも一つを添加することを更に含む、[15]記載のコク味向上方法。
[17](C)の添加が、(C)の濃度が0.05重量ppm以上1重量ppm以下となるよう行われる、[16]記載のコク味向上方法。
[18](D)の添加が、(D)の濃度が1重量ppm以上200重量ppm以下となるように行われる、[16]又は[17]記載のコク味向上方法。
[19](A)揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸が、イソ吉草酸である、[15]〜[18]のいずれか一つに記載のコク味向上方法。
[20](B)炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドが、ヘキサナールである、[15]〜[19]のいずれか一つに記載のコク味向上方法。
[21]水中油型乳化食品が、酸性水中油型乳化食品である、[15]〜[20]のいずれか一つに記載のコク味向上方法。
本発明によれば、コク味が向上した水中油型乳化食品を提供でき、特に風味のバランスが良く、コク味が向上した水中油型乳化食品を提供できる。
また本発明の水中油型乳化食品の製造方法によれば、コク味が向上した水中油型乳化食品を製造でき、特に風味のバランスが良く、コク味が向上した水中油型乳化食品を製造できる。
また本発明の水中油型乳化食品のコク味向上方法によれば、水中油型乳化食品のコク味を向上させることができ、特に水中油型乳化食品の風味のバランスが良くなり、コク味を向上させることができる。
(本発明の水中油型乳化食品)
本発明の水中油型乳化食品は、(A)揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸(本明細書中、単に「(A)」と称する場合がある)及び(B)炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒド(本明細書中、単に「(B)」と称する場合がある)を含有することを特徴の一つとする。
本発明において「水中油型乳化食品」とは、油相原料が油滴として水相中に分散している水中油型(O/W型)の乳化構造を有する食品をいい、具体的には、ドレッシング、半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング等が例示され、好ましくはマヨネーズ及び半固体状ドレッシングである。本発明の水中油型乳化食品には、水相中に分散した油滴の中に、更に水相が分散しているものも包含される。また本発明において「食品」とは、経口摂取し得るものを広く包含する概念であり、調味料、飲料等も含まれる。
本発明において(A)として用いられる、揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸等が挙げられるが、好ましくは炭素原子数4〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸であり、より好ましくは吉草酸、イソ吉草酸であり、特に好ましくはイソ吉草酸である。
本発明において「揮発性を有する」とは、常温、常圧下で揮発し得る性質を有することを意味し、具体的には、常圧下での沸点が250℃以下であることを意味する。
本発明において用いられる(A)は、可食性であればその製造方法は特に制限されず、自体公知の方法(例えば、化学合成法、酵素法、発酵法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
本発明において用いられる(A)は、精製品であってよいが、精製品でなくてもよい。すなわち本発明は、(A)そのものに代替して又は(A)そのものに加えて、(A)を高含有する素材を用いることもできる。
本発明において(B)として用いられる、炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドは、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、プロパナール、ヘキサナール、オクタナール、ノナナール等が挙げられるが、好ましくは炭素原子数4〜8の飽和脂肪族モノアルデヒドであり、より好ましくはヘキサナールである。
本発明において用いられる(B)は、可食性であればその製造方法は特に制限されず、自体公知の方法(例えば、化学合成法、酵素法、発酵法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
本発明において用いられる(B)は、精製品であってよいが、精製品でなくてもよい。すなわち本発明は、(B)そのものに代替して又は(B)そのものに加えて、(B)を高含有する素材を用いることもできる。
本発明の水中油型乳化食品は、(A)及び(B)を、下記(1)又は(2)に記載の濃度で含有することが好ましい。
(1)(A)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上(風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、より好ましくは0.35重量ppm以上、更に好ましくは0.4重量ppm以上、より一層好ましくは0.45重量ppm以上、特に好ましくは1重量ppm以上、最も好ましくは1.2重量ppm以上)2重量ppm未満であり、かつ(B)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上(風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、より好ましくは0.35重量ppm以上、更に好ましくは0.4重量ppm以上、特に好ましくは0.45重量ppm以上)3重量ppm以下(風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、より好ましくは2.5重量ppm以下)である。
(2)(A)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、2重量ppm以上7重量ppm以下(風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、より好ましくは6.5重量ppm以下、更に好ましくは6重量ppm以下、特に好ましくは5.5重量ppm以下)であり、かつ(B)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上(風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、より好ましくは0.35重量ppm以上、更に好ましくは0.4重量、特に好ましくは0.45重量ppm以上)7重量ppm以下(風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、より好ましくは6重量ppm以下、更に好ましくは5重量ppm以下、より一層好ましくは4.5重量ppm以下、特に好ましくは3重量ppm以下、最も好ましくは2.5重量ppm以下)である。
本発明の水中油型乳化食品における(A)の濃度は、例えば(A)がイソ吉草酸である場合、下記(a1)〜(a3)の手順で測定できる。
(a1)試料1〜2gに水60mL、9mol/L硫酸0.6mL、ジエチルエーテル100mL及び塩化ナトリウム24gを加え、15分間振とう抽出する。
(a2)遠心分離処理(1600×g、5分間)を行った後、ジエチルエーテル層を分取する。
(a3)分取したジエチルエーテル層を脱水ろ過し、減圧濃縮した後、ジエチルエーテルで10mLに定容して測定サンプルとし、ガスクロマトグラフ−質量分析計により下記の操作条件で測定を行う。
<ガスクロマトグラフ−質量分析計操作条件>
・機種:6890/5973N(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・カラム:IntertCap Pure WAX(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)(ジーエルサイエンス株式会社製)
・導入系:スプリット5:1
・温度:試料注入口220℃
・カラム昇温条件:60℃(1分保持)→10℃/分で昇温→200℃
・ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:電子イオン化法(EI)
・設定質量数:m/Z 87,60
本発明において、イソ吉草酸以外の(A)が用いられる場合、その濃度は、自体公知の方法(例、ガスクロマトグラフ−質量分析法等)又はこれに準ずる方法によって測定すればよい。本発明の水中油型乳化食品における(A)の濃度は、本発明の水中油型乳化食品の総重量、及びその製造に用いた(A)の重量(本発明の水中油型食品の製造に用いた原料中に含まれる(A)の重量も積算される)から算出してもよい。
本発明の水中油型乳化食品における(B)の濃度は、例えば(B)がヘキサナールである場合、下記(b1)及び(b2)の手順で測定できる。
(b1)試料2〜4gに水150mL及びヘキサン4mLを加え、精油定量用蒸留装置にて90分間蒸留を行う。
(b2)ヘキサン層を分取した後、ヘキサンで4mLに定容して測定サンプルとし、ガスクロマトグラフ−質量分析計により下記の操作条件で測定を行う。
<ガスクロマトグラフ−質量分析計操作条件>
・機種:7890B/5977A(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・カラム:DB−WAX(内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.5μm)(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・導入系:スプリット3:1
・注入量:1μL
・温度:試料注入口220℃
・カラム昇温条件:40℃(1分保持)→10℃/分で昇温→220℃
・ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:電子イオン化法(EI)
・設定質量数:m/Z 82,72
本発明において、ヘキサナール以外の(B)が用いられる場合、その濃度は、自体公知の方法(例、ガスクロマトグラフ−質量分析法等)又はこれに準ずる方法によって測定すればよい。本発明の水中油型乳化食品における(B)の濃度は、本発明の水中油型乳化食品の総重量、及びその製造に用いた(B)の重量(本発明の水中油型食品の製造に用いた原料中に含まれる(B)の重量も積算される)から算出してもよい。
本発明の水中油型乳化食品における(A)と(B)との濃度比(A:B)は、風味のバランスが特に良くなり、コク味が効果的に向上し得ることから、好ましくはA:B=1:0.14〜2.2であり、より好ましくはA:B=1:0.3〜0.7である。
本発明の水中油型乳化食品は、一態様として、風味のバランスが特に良くなり、コク味が効果的に向上し得ることから、好ましくは(A)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上7重量ppm以下であり、(B)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(A)と(B)との濃度比(A:B)が、A:B=1:0.14〜2.2であり;より好ましくは(A)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上7重量ppm以下であり、(B)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(A)と(B)との濃度比(A:B)が、A:B=1:0.3〜0.7であり;特に好ましくは(A)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、1重量ppm以上7重量ppm以下であり、(B)の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して、0.3重量ppm以上3重量ppm以下であり、かつ(A)と(B)との濃度比(A:B)が、A:B=1:0.3〜0.7である。
本発明の水中油型乳化食品は、(A)及び(B)に加えて、(C)ジアセチル(本明細書中、単に「(C)」と称する場合がある)及び(D)アリルイソチアシアネート(本明細書中、単に「(D)」と称する場合がある)からなる群より選択される少なくとも一つを更に含有してよい。本発明の水中油型乳化食品は、(A)及び(B)に加えて、(C)及び(D)からなる群より選択される少なくとも一つを更に含有することにより、水中油型乳化食品の風味のバランスがより良くなり、製品価値が更に向上し得る。
本発明において(C)として用いられるジアセチルは、可食性であればその製造方法は特に制限されず、自体公知の方法(例えば、化学合成法、酵素法、発酵法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
本発明において用いられる(C)は、精製品であってよいが、精製品でなくてもよい。すなわち本発明は、(C)そのものに代替して又は(C)そのものに加えて、(C)を高含有する素材を用いることもできる。
本発明において(D)として用いられるアリルイソチアシアネートは、可食性であればその製造方法は特に制限されず、自体公知の方法(例えば、化学合成法、酵素法、発酵法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
本発明において用いられる(D)は、精製品であってよいが、精製品でなくてもよい。すなわち本発明は、(D)そのものに代替して又は(D)そのものに加えて、(D)を高含有する素材を用いることもできる。
本発明の水中油型乳化食品が(C)を含有する場合、(C)の濃度は、風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、水中油型乳化食品の総重量に対して、好ましくは0.05重量ppm以上であり、より好ましくは0.1重量ppm以上であり、更に好ましくは0.15重量ppm以上であり、特に好ましくは0.18重量ppm以上である。また、この場合、(C)の濃度は、風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、水中油型乳化食品の総重量に対して、好ましくは1重量ppm以下であり、より好ましくは0.8重量ppm以下であり、更に好ましくは0.7重量ppm以下であり、特に好ましくは0.65重量ppm以下である。
本発明の水中油型乳化食品が(D)を含有する場合、(D)の濃度は、風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、水中油型乳化食品の総重量に対して、好ましくは1重量ppm以上であり、より好ましくは3重量ppm以上であり、更に好ましくは5重量ppm以上であり、特に好ましくは7重量ppm以上である。また、この場合、(D)の濃度は、風味のバランス及びコク味向上効果の観点から、水中油型乳化食品の総重量に対して、好ましくは200重量ppm以下であり、より好ましくは180重量ppm以下であり、更に好ましくは160重量ppm以下であり、特に好ましくは140重量ppm以下である。
本発明の水中油型乳化食品における(C)の濃度は、下記(c1)〜(c3)の手順で測定できる。
(c1)試料2〜4gを水で20mLに定容する。
(c2)ジエチルエーテル10mL及び塩化ナトリウム8gを加え、10分間振とうする。
(c3)遠心分離処理(1600×g、5分間)を行った後、ジエチルエーテル層を分取して測定サンプルとし、ガスクロマトグラフ−質量分析計により下記の操作条件で測定を行う。
<ガスクロマトグラフ−質量分析計操作条件>
・機種:7890B/5977B(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・カラム:DB−WAX(内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.5μm)(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・導入系:スプリット10:1
・温度:試料注入口220℃
・カラム昇温条件:50℃(1分保持)→10℃/分で昇温→200℃
・ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:電子イオン化法(EI)
・設定質量数:m/Z 86,43
本発明の水中油型乳化食品における(C)の濃度は、本発明の水中油型乳化食品の総重量、及びその製造に用いた(C)の重量(本発明の水中油型食品の製造に用いた原料中に含まれる(C)の重量も積算される)から算出してもよい。
本発明の水中油型乳化食品における(D)の濃度は、下記(d1)〜(d3)の手順で測定できる。
(d1)試料0.4gにリン酸緩衝液(pH5.5)3mLを加え、37℃で30分間加温する。
(d2)冷却後、内標準物質溶液(シクロペンタノール)5mL及びエタノール1mLを加え、10分間振とうする。
(d3)遠心分離処理(2000×g、5分間)を行った後、分取した上清をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)でろ過して測定サンプルとし、ガスクロマトグラフにより下記の操作条件で測定を行う。
<ガスクロマトグラフ操作条件>
・検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)
・カラム:DB−1(内径0.53mm、長さ30m、膜厚1.5μm)(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・温度:注入口180℃、試料注入口320℃
・カラム昇温条件:60℃(1分保持)→10℃/分で昇温→150℃→30℃/分で昇温→320℃
・キャリヤーガス:ヘリウム
・圧力:26.3kPa
本発明の水中油型乳化食品における(D)の濃度は、本発明の水中油型乳化食品の総重量、及びその製造に用いた(D)の重量(本発明の水中油型食品の製造に用いた原料中に含まれる(D)の重量も積算される)から算出してもよい。
本発明の水中油型乳化食品は、(A)及び(B)に加えて、本発明の目的を損なうものでない限り、(C)及び(D)以外に水中油型乳化食品に通常用いられる材料を任意で含有してもよい。そのような材料としては、例えば、水、卵(例、卵黄、卵白、全卵、液卵等)、食塩、酸味料、醤油、味噌、調味料、糖類、たん白加水分解物、香料、香辛料、香辛料抽出物等の水相原料;油脂、親油性のある香料、香味油等の油相原料等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸味料としては、例えば、食酢(酢酸)、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、リン酸、柑橘類の果汁等が挙げられる。食酢としては、例えば、醸造酢、合成酢、果実酢等が挙げられる。柑橘類の果汁としては、ユズ、ベニユ、ハナユ、無核ユズ、ユコウ、スダチ、カボス、ダイダイ、レモン、ライム、シークワーサー等の果汁が挙げられる。これらの酸味料は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
醤油としては、例えば、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油等が挙げられる。これらの醤油は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
味噌としては、例えば、赤味噌、白味噌、仙台味噌、八丁味噌、麦味噌、米味噌等が挙げられる。これらの味噌は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
調味料としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの調味料は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
糖類としては、例えば、グラニュー糖、果糖ぶどう糖液糖、上白糖、中白糖、三温糖、白ザラ糖、中ザラ糖、ぶどう糖果糖液糖、水飴等が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
香料としては、例えば、メントール、ペパーミントフレーバー、オレンジフレーバー、ゴマフレーバー、ジンジャーフレーバー、ガーリックフレーバー等が挙げられる。これらの香料は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
香辛料としては、例えば、香味野菜、胡椒(例えば、黒胡椒、白胡椒、青胡椒(グリーンペッパー)の粉砕物等)、山椒、クミン、クローブ、シナモン、ナツメグ、唐辛子、アニス、オールスパイス、オレガノ、コリアンダー、ターメリック、タイム、ディル、バジル、パセリ、バニラ、マスタード、ミント、ローズマリー、ローレル等が挙げられる。香味野菜としては、例えば、生姜、にんにく、たまねぎ、ねぎ、ニラ、セリ、茗荷、セロリ、しそ、みつば、わさび等が挙げられる。これらの香辛料は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
香辛料抽出物としては、例えば、カラシナ、胡椒、ごま、シナモン、タマネギ、ニンニク、バジル、パプリカ、ローズマリー、ワサビ等より抽出したものが挙げられる。これらの香辛料抽出物は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
油脂としては、例えば、サフラワー油、ぶどう油、大豆油、ひまわり油、とうもろこし油、綿実油、ごま油、なたね油、こめ油、落花生油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、やし油、キャノーラ油、サラダ油等の植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、鯨油等の動物油脂等が挙げられるが、好ましくは植物油脂である。また、上記油脂をエステル交換したエステル交換油、上記油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。これらの油脂は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
親油性のある香料としては、例えば、バラ油、ラベンダー油、ベルガモット油、シナモン油、レモン油、ハッカ油等が挙げられる。これらの親油性のある着香料は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
香味油としては、例えば、生姜、にんにく、たまねぎ、ねぎ、ニラ、セリ、茗荷、セロリ、しそ、みつば、わさび等の香味野菜を上記の食用油脂に漬け込んで(必要に応じて加熱してもよい)、香味を移しこんだものが挙げられる。これらの香味油は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の水中油型乳化食品における油相成分の含有量は、油脂特有のコク味を付与し得ることから、水中油型乳化食品の総重量に対して、好ましくは3重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、特に好ましくは7重量%以上である。また当該油相成分の含有量は、本発明の水中油型乳化食品の製造時、保存時における水中油型の乳化状態の保持性(物性維持)の観点から、水中油型乳化食品の総重量に対して、好ましくは85重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下であり、特に好ましくは75重量%以下である。
本発明の水中油型乳化食品は、微生物制御の観点から、酸性であることが好ましい。本発明の水中油型乳化食品が、酸性水中油型乳化食品である場合、そのpHは酸性領域であれば特に制限されないが、通常3〜6であり、好ましくは3〜5である。pHの調整方法は特に制限されないが、例えば、上記の酸味料を添加すること等によって調整できる。
本発明の水中油型乳化食品は、(A)〜(D)及び上記の任意の材料の他、例えば、乳化剤、増粘剤等を含有してよい。乳化剤としては、例えば、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、キラヤ抽出物、グリセリン脂肪酸エステル、酵素処理レシチン、酵素分解レシチン、植物性ステロール、植物レシチン、スフィンゴ脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆サポニン、胆汁末、プロピレングリコール脂肪酸エステル、分別レシチン、ユッカフォーム抽出物、卵黄レシチン、ポリソルベート20/60/65/80等が挙げられる。また増粘剤としては、例えば、澱粉、加工澱粉、糊料、ぺクチン、キサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、モナトウガム、アラビアガム、トラガントガム、カードラン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化食品の製造方法は、(A)及び(B)を添加することを含むものであれば特に制限されず、水中油型乳化食品の製造において慣用の手法を適宜組み合わせて製造することができる。例えば、水にその他の水相原料を溶解、分散させた後、撹拌しながら油相原料を徐々に添加し、全量の添加後も撹拌し続けることによって、水中油型に乳化し、これに(A)及び(B)を添加することにより、本発明の水中油型乳化食品を製造できる。本発明の水中油型乳化食品の製造は、水中油型乳化食品の製造において慣用の装置を用いて行ってよく、当該装置は特に制限されないが、例えば、コロイドミル、ホモミキサー、スティックミキサー、ディスパーミキサー、ホモジナイザー等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化食品の製造方法において、(A)及び(B)の添加は、本発明の水中油型乳化食品における(A)及び(B)の濃度が、上記の範囲となるように行うことが好ましい。
本発明の水中油型乳化食品の製造方法は、(A)及び(B)を添加することに加えて、(C)及び(D)からなる群より選択される少なくとも一つを添加することを更に含んでよい。本発明の水中油型乳化食品の製造方法が、(C)及び(D)からなる群より選択される少なくとも一つを添加することを含む場合、当該添加は、本発明の水中油型乳化食品における(C)及び(D)の濃度が、上記の範囲となるように行うことが好ましい。
本発明の水中油型乳化食品の製造方法において、(A)〜(D)を添加する時期は特に制限されず、いかなる時点で添加してもよく、例えば、水相原料を撹拌しながら油相原料を添加する際に、これとあわせて添加してよく、また、これらを水中油型に乳化させた後で(すなわち、乳化の完了後に)添加してもよい。油相原料を添加する前の水相原料に添加してもよい。
本発明によれば、コク味が向上した水中油型乳化食品を提供できる。本発明において「コク味」とは、5基本味(five basic taste)(すなわち、甘味(sweet taste)、塩味(salty taste)、酸味(sour taste)、苦味(bitter taste)及びうま味(umami))だけでは表せない感覚であり、当該5基本味に加え、5基本味の周辺の味(marginal tastes)、風味(marginal flavor)(例えば、厚み(thickness)、ひろがり(growth(mouthfulness))、持続性(continuity)、まとまり(harmony)等)によって表される感覚をいう。したがって本発明における「コク味の向上」には、5基本味の少なくとも一つが向上することや、それに伴って5基本味の周辺の味、風味(例えば、厚み、ひろがり、持続性、まとまり等)が向上することも含まれる。コク味の有無や程度は、専門パネルによる官能評価(例えば、後述の実施例に示される官能評価等)によって評価できる。
本発明によれば、風味のバランスが良い水中油型乳化食品を提供できる。本発明において「風味のバランスが良い」とは、複数(2以上)の異なる風味が調和し、全体として好ましく感じられることをいう。水中油型乳化食品の風味のバランスは、専門パネルによる官能評価(例えば、後述の実施例に示される官能評価等)によって評価できる。
(本発明のコク味向上方法)
本発明は、水中油型乳化食品に、(A)及び(B)を添加することを含む、水中油型乳化食品のコク味向上方法も提供する。
本発明のコク味向上方法は、特に断りのない限り、本発明の水中油型乳化食品の製造方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明のコク味向上方法によれば、水中油型乳化食品のコク味を向上させることができ、好ましくは、水中油型乳化食品の風味のバランスが良くなり、コク味を向上させることができる。
本発明のコク味向上方法によってコク味が向上され得る水中油型乳化食品の種類は、コク味が向上されることを所望されるものであれば特に制限されないが、例えば、ドレッシング、半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング等が挙げられ、好ましくはマヨネーズ、半固体状ドレッシングである。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、本明細書において「%」、「ppm」と記載されている場合は、特に断りのない限り「重量%」、「重量ppm」を意味する。
以下の試験例1〜4で使用したイソ吉草酸、ヘキサナール、ジアセチル及びアリルイソチオシアネートは、いずれもシグマアルドリッチ社製である。
[試験例1]
(基準サンプルIの製造)
下表1に示す配合割合で、食用植物油脂以外の原料を均一に混合した後、当該混合物をホモミキサー(特殊機工業株式会社製、T.K.HOMOMIXER MARK II)を用い、回転数4000〜10000rpmで混合物の流動性を保つよう撹拌しながら食用植物油脂を1分間かけて徐々に添加し、全量の添加後も混合物が流動する状態で1分間撹拌を続け、水中油型乳化食品(基準サンプルI)を1kg製造した。
Figure 0006981308
(評価サンプルの製造)
食用植物油脂にイソ吉草酸、ヘキサナールを添加したこと以外は、基準サンプルIと同様の手順で、水中油型乳化食品(評価サンプル)を製造した。食用植物油脂へのイソ吉草酸の添加は、下表2に示すように、水中油型乳化食品におけるイソ吉草酸の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して0.5重量ppm、1.5重量ppm、3.0重量ppm、5.0重量ppm、10重量ppm又は20重量ppmとなるように行った。また食用植物油脂へのヘキサナールの添加は、下表2に示すように、水中油型乳化食品におけるヘキサナールの濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して0.5重量ppm、1.0重量ppm、2.0重量ppm、4.0重量ppm又は10重量ppmとなるように行った。
尚、基準サンプルIと同様の手順で製造した水中油型乳化食品が、イソ吉草酸、ヘキサナールの添加前から含有する、揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸及び炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドの量は、イソ吉草酸、ヘキサナールの添加量と比較して無視できる程、極少量である。
(官能評価)
訓練されたパネル8名で、評価サンプルの「コク味の強さ」、「風味のバランス」及び「総合評価」について、官能評価を実施した。官能評価は、各パネルが評価サンプルを、イソ吉草酸及びヘキサナールを添加していない基準サンプルI(評点:0点)と比較し、「コク味の強さ」、「風味のバランス」及び「総合評価」について下記の基準に基づき、0.1点刻みで評点付けした後、8名のパネルの平均点を算出(小数点以下第2位を四捨五入)し、当該平均点が2.0〜1.1点の場合を「◎」とし、1.0〜0.3点の場合を「○」とし、0.2〜−0.2点の場合を「△」とし、−0.3〜−2.0点の場合を「×」とすることにより行った。
尚、8名のパネルは、「コク味の強さ」、「風味のバランス」及び「総合評価」の各評価基準について、評点が0.1点変動するには、コク味が強さ、風味のバランス、製品価値がどの程度変動すればよいのか等をパネラー間で共通となるよう予め訓練された。
<コク味の強さ>
2.0〜1.1点:基準サンプルに比べ、コク味がとても強い
1.0〜0.3点:基準サンプルに比べ、コク味が強い
0.2〜−0.2点:基準サンプルと同等
−0.3〜−2.0点:基準サンプルに比べ、コク味が弱い
<風味のバランス>
2.0〜1.1点:基準サンプルに比べ、風味のバランスがとても良い
1.0〜0.3点:基準サンプルに比べ、風味のバランスが良い
0.2〜−0.2点:基準サンプルと同等
−0.3〜−2.0点:基準サンプルに比べ、風味のバランスが悪い
<総合評価>
2.0〜1.1点:基準サンプルに比べ、とても優れた製品価値を有する
1.0〜0.3点:基準サンプルに比べ、優れた製品価値を有する
0.2〜−0.2点:基準サンプルと同等
−0.3〜−2.0点:基準サンプルに比べ、製品価値が劣る
結果を表2に示す。
Figure 0006981308
表2に示される結果から明らかなように、イソ吉草酸及びヘキサナールを、それぞれ特定の濃度で水中油型乳化食品に含有させることにより、風味のバランスが良くなってコク味が向上し、製品価値も向上した。
一方、イソ吉草酸及びヘキサナールを、それぞれ単独で使用した場合は、風味のバランスが悪く、製品価値は向上しなかったか、又は低下した。
[試験例2]
(評価サンプルの製造)
食用植物油脂にイソ吉草酸、ヘキサナール及びジアセチルを添加したこと以外は、基準サンプルIと同様の手順で、水中油型乳化食品(評価サンプル)を製造した。食用植物油脂へのイソ吉草酸の添加は、下表3に示すように、水中油型乳化食品におけるイソ吉草酸の濃度(最終濃度)が、水中油型乳化食品の総重量に対して0.5重量ppm又は3.0重量ppmとなるように行った。食用植物油脂へのヘキサナールの添加は、下表3に示すように、水中油型乳化食品におけるヘキサナールの濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して0.5重量ppm又は4.0重量ppmとなるように行った。また食用植物油脂へのジアセチルの添加は、下表3に示すように、水中油型乳化食品におけるジアセチルの濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して0.2重量ppm又は0.6重量ppmとなるように行った。
尚、基準サンプルIと同様の手順で製造した水中油型乳化食品が、イソ吉草酸、ヘキサナール及びジアセチルの添加前から含有する、揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸、炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒド及びジアセチルの量は、イソ吉草酸、ヘキサナール及びジアセチルの添加量と比較して無視できる程、極少量である。
(官能評価)
訓練されたパネル8名で、評価サンプルの「コク味の強さ」、「風味のバランス」及び「総合評価」について、官能評価を実施した。官能評価は、試験例1と同様に行った。
結果を表3に示す。
Figure 0006981308
表3に示されるように、イソ吉草酸及びヘキサナールに加えて、ジアセチルを特定の濃度で水中油型乳化食品に含有させることによって、風味のバランスがより良くなり、製品価値もより向上した。
[試験例3]
(評価サンプルの製造)
食用植物油脂にイソ吉草酸、ヘキサナール及びアリルイソチオシアネートを添加したこと以外は、基準サンプルIと同様の手順で、水中油型乳化食品(評価サンプル)を製造した。食用植物油脂へのイソ吉草酸の添加は、下表4に示すように、水中油型乳化食品におけるイソ吉草酸の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して0.5重量ppm又は3.0重量ppmとなるように行った。食用植物油脂へのヘキサナールの添加は、下表4に示すように、水中油型乳化食品におけるヘキサナールの濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して0.5重量ppm又は4.0重量ppmとなるように行った。また食用植物油脂へのアリルイソチオシアネートの添加は、下表4に示すように、水中油型乳化食品におけるジアセチルの濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して10重量ppm又は130重量ppmとなるように行った。
尚、基準サンプルIと同様の手順で製造した水中油型乳化食品が、イソ吉草酸、ヘキサナール及びアリルイソチオシアネートの添加前から含有する、揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸、炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒド及びアリルイソチオシアネートの量は、イソ吉草酸、ヘキサナール及びアリルイソチオシアネートの添加量と比較して無視できる程、極少量である。
(官能評価)
訓練されたパネル8名で、評価サンプルの「コク味の強さ」、「風味のバランス」及び「総合評価」について、官能評価を実施した。官能評価は、試験例1と同様に行った。
結果を表4に示す。
Figure 0006981308
表4に示されるように、イソ吉草酸及びヘキサナールに加えて、アリルイソチオシアネートを特定の濃度で水中油型乳化食品に含有させることによって、風味のバランスがより良くなり、製品価値もより向上した。
[試験例4]
(基準サンプルII、III及びIVの製造)
下表5に示す配合割合で、食用植物油脂以外の原料を均一に混合した後、当該混合物をホモミキサー(特殊機工業株式会社製、T.K.HOMOMIXER MARK II)を用い、回転数4000〜10000rpmで混合物の流動性を保つよう撹拌しながら食用植物油脂を1分間かけて徐々に添加し、全量の添加後も混合物が流動する状態で1分間撹拌を続け、基準サンプルII、III、IVとして水中油型乳化食品を、それぞれ1kg製造した。
Figure 0006981308
(評価サンプルの製造)
食用植物油脂にイソ吉草酸、ヘキサナールを添加したこと以外は、基準サンプルII、III、IVと同様の手順で、各水中油型乳化食品(評価サンプル)を製造した。食用植物油脂へのイソ吉草酸の添加は、水中油型乳化食品におけるイソ吉草酸の濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して1.5重量ppmとなるように行った。また食用植物油脂へのヘキサナールの添加は、水中油型乳化食品におけるヘキサナールの濃度が、水中油型乳化食品の総重量に対して1.0重量ppmとなるように行った。
尚、基準サンプルII、III、IVと同様の手順で製造した各水中油型乳化食品が、イソ吉草酸及びヘキサナールの添加前から含有する、揮発性を有する炭素原子数3〜7の飽和脂肪族モノカルボン酸及び炭素原子数3〜9の飽和脂肪族モノアルデヒドの量は、イソ吉草酸及びヘキサナールの添加量と比較して無視できる程、極少量である。
(官能評価)
訓練されたパネル8名で、評価サンプルの「コク味の強さ」、「風味のバランス」及び「総合評価」について、官能評価を実施した。官能評価は、各評価サンプルを、対応するイソ吉草酸及びヘキサナールを添加していない基準サンプルと比較し、試験例1と同様に行った。
結果を表6に示す。
Figure 0006981308
表6に示されるように、基準サンプルII、III、IVのいずれにおいても、イソ吉草酸及びヘキサナールをそれぞれ特定の濃度で水中油型乳化食品に含有させることによって、コク味及び風味のバランスが向上し、製品価値も向上した。
本発明によれば、コク味が向上した水中油型乳化食品を提供でき、特に風味のバランスが良く、コク味が向上した水中油型乳化食品を提供できる。
また本発明の水中油型乳化食品の製造方法によれば、コク味が向上した水中油型乳化食品を製造でき、特に風味のバランスが良く、コク味が向上した水中油型乳化食品を製造できる。
また本発明の水中油型乳化食品のコク味向上方法によれば、水中油型乳化食品のコク味を向上させることができ、特に水中油型乳化食品の風味のバランスが良くなり、コク味を向上させることができる。

Claims (7)

  1. (A)イソ吉草酸及び(B)ヘキサナールを、下記(1)又は(2)に記載の濃度で含有する、水中油型乳化食品。
    (1)(A)の濃度が、0.3重量ppm以上2重量ppm未満であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上3重量ppm以下である。
    (2)(A)の濃度が、2重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上7重量ppm以下である。
  2. (C)ジアセチル及び(D)アリルイソチアシアネートからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、請求項1記載の水中油型乳化食品。
  3. (C)の濃度が、0.05重量ppm以上1重量ppm以下である、請求項2記載の水中油型乳化食品。
  4. (D)の濃度が、1重量ppm以上200重量ppm以下である、請求項2又は3記載の水中油型乳化食品。
  5. 水中油型乳化食品が、酸性水中油型乳化食品である、請求項1〜のいずれか一項に記載の水中油型乳化食品。
  6. (A)イソ吉草酸及び(B)ヘキサナールを、下記(1)又は(2)に記載の濃度で含有するように添加することを含む、水中油型乳化食品の製造方法。
    (1)(A)の濃度が、0.3重量ppm以上2重量ppm未満であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上3重量ppm以下である。
    (2)(A)の濃度が、2重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上7重量ppm以下である。
  7. 水中油型乳化食品に、(A)イソ吉草酸及び(B)ヘキサナールを、下記(1)又は(2)に記載の濃度で含有するように添加することを含む、水中油型乳化食品のコク味向上方法。
    (1)(A)の濃度が、0.3重量ppm以上2重量ppm未満であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上3重量ppm以下である。
    (2)(A)の濃度が、2重量ppm以上7重量ppm以下であり、かつ(B)の濃度が、0.3重量ppm以上7重量ppm以下である。
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