JP4735727B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成は、高速且つ高印字品質という利点を有するため、複写機及びレーザービームプリンター等の分野において広く利用されている。電子写真方式の画像形成装置に用いられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」と称することがある)としては、無機光導電材料を用いた感光体に比べ、安価で製造性及び廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を用いた電子写真感光体が主流を占めている。中でも、露光により電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送する電荷輸送層とを積層させた機能分離型の有機感光体は、電子写真特性の点で優れており、種々の提案が成され、実用化されている。
従来から、感光層の耐久性を向上させる方法が検討されており、例えば、表面層中にフッ素含有樹脂粒子を分散することにより、感光体の表面層の表面エネルギーを低減する方法や、感光体表面にステアリン酸亜鉛などを塗布することにより感光体表面エネルギーを低減する方法等が提案されている。
例えば、耐湿性、機械的強度の優れた高耐久性の電子写真感光体を提供することを目的として、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、表面層がフッ素系樹脂粉体とフッ素系グラフトポリマーを含有していることを特徴とする電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、表面滑り性及び耐摩耗性が著しく改善された電子写真感光体を提供することを目的として、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体の表面層がポリテトラフルオロエチレン樹脂、クシ型フッ素系グラフトポリマー、及びノニオン系パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、感光体表面の摩擦係数上昇を防止し、感光体の低表面摩擦係数持続性と低摩耗性を両立する電子写真感光体を提供することを目的として、導電性支持体上に直接または下引き層を介して感光層又は感光層と保護層を有する電子写真感光体において、最表面層には少なくともフッ素樹脂粒子とフッ素系界面活性剤を含有し、且つフッ素樹脂粒子の含有量が最表面層の全体積に対して、20vol%以上70vol%以下、フッ素系界面活性剤の固形分含有率が最表面層の該フッ素系界面活性剤の固形分とバインダー樹脂との混合物全重量に対して、5wt%以上70wt%以下であり、且つ、フッ素樹脂粒子の表面自由エネルギーが最表面層の該フッ素系界面活性剤とバインダー樹脂との混合物の表面自由エネルギーよりも大きいことを特徴とする電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開昭63−221355号公報 特開平06−332217号公報 特開2005−062830号公報
本発明は、残留電位の上昇を抑え、耐久性に優れる電子写真感光体、並びに、この電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
即ち、請求項1に係る発明は、導電性基体上に少なくとも感光層を有し、前記感光層の設けられた側の表面に位置する層が、4フッ化エチレン樹脂粒子と後述する構造式A及び構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体とを含有し、前記フッ化アルキル基含有共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリスチレン換算の分子量70万以上の面積は、全体の面積に対して5%以上20%以下である電子写真感光体である。
請求項2に係る発明は、前記GPCチャートにおける最大ピークが、ポリスチレン換算の分子量5万以上15万以下の範囲に存在する請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、前記フッ化アルキル基含有共重合体が、前記4フッ化エチレン樹脂粒子に対して0.5質量%以上5質量%以下含まれる請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。
請求項4に係る発明は、前記フッ化アルキル基含有共重合体中のフッ素含有量が、10質量%以上30質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着手段とを有する画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、残留電位の上昇を抑え、耐久性に優れる電子写真感光体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、画像欠陥の発生が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、画像欠陥の発生が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、画像欠陥の発生が抑制される。
請求項5に係る発明によれば、残留電位の上昇を抑え、耐久性に優れる電子写真感光体の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性が高められる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、長期間にわたり安定した画像を形成可能な画像形成装置が提供される。
以下、本発明の電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体上に少なくとも感光層を有し、前記感光層の設けられた側の表面に位置する層(以下、表面層と称することがある。)が、フッ素含有樹脂粒子と炭素数が1以上7以下のフッ化アルキル基を有するフッ素系グラフトポリマー(以下、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーと称することがある。)とを含有し、前記フッ素系グラフトポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリスチレン換算の分子量70万以上の面積が、全体の面積に対して5%以上20%以下とされたものである。
ここで、導電性とは、体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。
本実施形態においては、ゲルパミエーションクロマトグラフィー(GPC)として「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。尚、実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−2500」、「A−5000」、「F−1」、「F−2」、「F−4」、「F−10」、「F−20」、「F−40」、の8サンプルから作製した。
有機感光体は無機感光体に比べ、一般的に機械的強度が劣っており、クリーニングブレード、現像ブラシ、用紙などが接触することにより与えられる機械的外力による摺擦傷や摩耗が生じやすく、寿命が短い。また、エコロジーの観点から近年使用されてきている接触帯電方式を用いたシステムでは、コロトロンによる非接触帯電方式に比べて大幅に感光体の摩耗が増加し、寿命を短くしやすい。このように感光体の耐久性が不十分であると、感度の低減による画像濃度の低下、帯電電位の低下による画像へのカブリの発生などの原因となる。
感光体の耐久性を向上させる方法として、表面層中にフッ素系樹脂を分散する場合、一般的にフッ素含有樹脂粒子は分散性が低く、凝集性が高いため、表面層中に存在するフッ素含有樹脂粒子が不均一となりやすく、十分な耐久性向上効果を得ることが困難であるばかりでなく、不均一粒子により画質欠陥などの不具合点を発生させる場合がある。これに対して、分散助剤としてフッ素系グラフトポリマーを添加することによって、フッ素含有樹脂粒子の分散性を改善する方法が提案されている。
しかしながら、上記従来の方法が適用された感光体の場合であっても、連続使用中に残留電位が上昇することを原因とした濃度異常が発生し、良好な画質を得ることが困難な場合があった。
本発明者らは、上記課題を解決すべくフッ素系グラフトポリマーについて検討した。その結果、残留電位の上昇により濃度低下を生じる現象は、フッ素含有樹脂粒子を分散させるための分散助剤として用いるフッ素系グラフトポリマーが、フッ素含有樹脂粒子に吸着せず単分子の状態で感光層中に存在している場合、電荷のトラップとなることに起因するとの知見を得た。
より具体的には、フッ素系グラフトポリマーはフッ素含有樹脂粒子表面に吸着することで、フッ素含有樹脂粒子の分散性を向上させている。しかし、吸着しなかったフッ素系グラフトポリマーは表面層中にフリーの状態で存在する。このフリーの状態のフッ素系グラフトポリマーは単分子状態で存在する場合、電荷を蓄積するトラップサイトを発現させる原因物質となる。そのため、高温高湿下(例えば28℃/85%RH)での繰り返し使用の際に、残留電位の上昇により濃度低下が生じ易くなる。
本発明者等は、フッ素系グラフトポリマーの分子量とフッ素系樹脂粒子への吸着性に関して鋭意検討をした。その結果、フッ素系グラフトポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリスチレン換算の分子量70万以上の面積を、全体の面積に対して5%以上20%以下とすることにより、表面層中にフリーで存在するフッ素系グラフトポリマーを減少させることができ、電子写真感光体としたときに残留電位を上昇させにくくなることを見出した。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体を図面に基づき詳細に説明すると共に、併せてその製造方法についても説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は本実施形態に係る電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図である。図1に示した電子写真感光体101は電荷発生層105と電荷輸送層106とが別個に設けられた機能分離型の感光層103を備えるもので、導電性基体102上に下引き層104、電荷発生層105、電荷輸送層106がこの順序で積層された構造を有している。ここで、電荷輸送層106は感光体101における表面層(基体102から最も遠い側に配置される層)であり、詳細は後述するが、フッ素含有樹脂粒子と本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーとを含有して構成されている。
以下、感光体101の各要素について説明する。
導電性基体102としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。基体102の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
導電性基体102として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引き層104は、基体102表面における光反射の防止、基体102から感光層103への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。下引き層104の材料としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、基体上に塗布したものが挙げられる。また、金属酸化物粒子は2種以上混合して用いてもよい。さらに、金属酸化物粒子へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体抵抗を制御して用いてもよい。
下引き層104に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いてもよい。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
下引き層104中の金属酸化物粒子と結着樹脂との比率は特に制限されず、所望する電子写真感光体特性を得られる範囲でに設定される。
下引き層104の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液が使用される。かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独又は2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解するものであれば、いかなるものを使用してもよい。
また、下引き層形成用塗布液中に金属酸化物粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる下引き層形成用塗布液を基体102上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。下引き層104の膜厚は15μm以上が好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましい。下引き層104には、表面粗さ調整のために下引き層104中に樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いてもよい。
また、表面粗さ調整のために下引き層104の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いてもよい。
また、図示は省略するが、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引き層104上に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
中間層の形成に使用される溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂の溶解する溶剤であれば、いかなるものを使用してもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、リング塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いてもよい。
中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、中間層を形成する場合には、0.1μm以上3μm以下の膜厚範囲に設定される。また、この場合の中間層を下引き層104として使用してもよい。
電荷発生層105は、電荷発生材料を適当な結着樹脂中に分散して形成される。かかる電荷発生材料としては、例えば、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が使用される。特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を使用してもよい。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等を使用してもよい。また、これらの電荷発生材料は、単独または2種以上を混合して使用してもよい。
電荷発生層105における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等を用いてもよい。これ等の結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層105の形成の際には、上記成分を溶剤に加えた塗布液が使用される。かかる溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂が溶解するものであれば、いかなるものを使用してもよい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させるために、塗布液には分散処理が施される。分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機を利用してもよい。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる塗布液を下引き層104上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、リング塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。電荷発生層105の膜厚は、好ましくは0.01μm以上5μm以下、より好ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
電荷輸送層106は、本実施形態に係る電子写真感光体の表面層を構成する。即ち、電荷輸送層106は、フッ素含有樹脂粒子と本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーとを含有し、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリスチレン換算の分子量70万以上の面積が、全体の面積に対して5%以上20%以下とされる。
本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーのGPCチャートにおけるポリスチレン換算の分子量70万以上の面積が、全体の面積に対して5%未満であると、フッ素含有樹脂粒子の分散性が悪くなり、塗布膜欠陥が増加しやすくなり、画質欠陥が増加することがある。また、20%を超えると、フッ素含有樹脂粒子の分散安定性が悪くなることにより、塗布液の保管安定性が悪化し、塗布膜欠陥が増加しやすくなり、画質欠陥が増加することがある。
分子量70万以上の面積が、全体の面積に対して5%以上15%以下が好ましく、5%以上10%以下がさらに好ましい。
図2に、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーのGPCチャートの具体例を示す。
図2において、横軸は検出時間(分)を、縦軸は屈折計の信号強度(mV)を表す。また、図2中、実線は測定サンプルのチャートを、点線は検量線を、それぞれ表す。
本実施形態においては、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーのGPCチャートにおける最大ピークが、分子量5万以上15万以下の範囲に存在することが好ましい。最大ピークが上記分子量の範囲に存在すると、フッ素含有樹脂粒子の塗布液中での分散状態が安定し、この塗布液を塗布した際にフッ素含有樹脂粒子のムラが少なくなる。その結果として、画像欠陥の発生が抑制される。
フッ素含有樹脂粒子の平均一次粒径は、0.05μm以上1μm以下が好ましい。フッ素含有樹脂粒子の平均一次粒径が0.05μm未満であると、フッ素含有樹脂粒子を分散する際に凝集が進みやすくなることがある。また、フッ素含有樹脂粒子の平均一次粒径が1μmを超えると、画質欠陥が発生し易くなることがある。フッ素含有樹脂粒子の好ましい体積平均粒子径は、0.1μm以上0.5μm以下である。
ここで、フッ素含有樹脂粒子の平均一次粒径とは、下記方法により測定された値をいう。
走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、粒子100個の長軸長さの平均値を平均一次粒径とした。
また、電荷輸送層106の固形分全量に対するフッ素含有樹脂粒子の含有量は2質量%以上15質量%以下が好ましく、2質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。電荷輸送層106の固形分全量に対するフッ素含有樹脂粒子の含有量が2質量%未満の場合、フッ素含有樹脂粒子による電荷輸送層106の改質が不十分となることがある。また、当該含有量が15質量%を超えると、光透過性の低下及び膜強度の低下が起こりやすくなる。
本実施形態で用いられるフッ素含有樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
電荷輸送層106においては、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーがフッ素含有樹脂粒子に対して0.5質量%以上5質量%以下含まれることが好ましい。電荷輸送層106におけるフッ素系グラフトポリマーの含有量が、フッ素含有樹脂粒子に対して0.5質量%未満であると、フッ素含有樹脂粒子の分散が均一とならないことがある。また、5質量%を超えると、低帯電性、低感度等の電気特性悪化の問題を生ずることがある。フッ素系グラフトポリマーの含有量は、フッ素含有樹脂粒子に対して0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーは、分子鎖の片方の末端に重合性の官能基を有するマクロモノマーと、炭素数が1以上7以下のフッ化アルキル基を有する重合性フッ素系モノマーとを共重合して得る事が出来る。
マクロモノマーとしてはアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン系化合物などの重合体や共重合体などを用いてもよい。炭素数が1以上7以下のフッ化アルキル基を有する重合性フッ素系モノマーとしては、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、パーフルオロアルキルメタクリレート等を用いてもよい。
マクロモノマーと重合性フッ素系モノマーとの重合比は、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーがフッ素含有樹脂粒子に吸着する特性が得られる範囲内であれば、特に限定されるものではないが、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマー中のフッ素含有量としては10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。フッ素含有量が10質量%未満であると、フッ素系グラフトポリマーのフッ素含有樹脂粒子への吸着性が低下し、分散不良を発生しやすくなることがある。また、フッ素含有量が30質量%を超えると、フッ素系グラフトポリマーの溶剤溶解性が低下し、分散助剤として使用しにくくなることがある。フッ素含有量としては、10質量%以上40質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましい。
本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーとしては、下記構造式A及び下記構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体であることが好ましい。

構造式A及び構造式Bにおいて、l、m及びnは1以上の正数を、p、q、r及びsは0または1以上の正数を、tは0又は6以下の正数を、R、R、R及びRは水素原子またはアルキル基を、Xはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、―S―、―O―、―NH―、または単結合を、Yは、アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、―(C2z−1(OH))―、または単結合をそれぞれ表す。zは1以上の正数を表す。
電荷輸送層106は、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーを含む溶液にフッ素含有樹脂粒子を添加して、前記フッ素含有樹脂粒子に前記フッ素系グラフトポリマーを吸着処理(以下、吸着処理工程と称することがある。)した処理液を含む塗布液を、導電性基体の上に塗布することで形成されてもよい。該塗布液には、後述する、電荷輸送材料や結着樹脂等が添加される。
吸着処理工程では、まず、本実施形態に係るフッ素系グラフトポリマーを有機溶剤中に溶解させて処理液を準備した後、この処理液にフッ素含有樹脂粒子を添加し、攪拌あるいは分散処理することでフッ素含有樹脂粒子がフッ素系グラフトポリマーにより吸着処理される。
吸着処理工程で用いられる有機溶剤は電荷輸送層106の形成に用いられる材料を溶解する溶剤であれば、いかなるものが使用されてもよい。たとえば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。また、本工程は好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下で行われる。
次いで、後述する電荷輸送材料及び結着樹脂等を溶解させた有機溶剤中に、前記工程においてフッ素系グラフトポリマーを吸着させたフッ素含有樹脂粒子を懸濁させた処理液を加えて攪拌混合させる。混合させた液を分散処理することにより、フッ素含有樹脂粒子の分散した電荷輸送層形成用の塗布液を得る。
該分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機を利用してもよい。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
電荷輸送材料及び結着樹脂等を溶解させるのに使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。有機溶剤を2種以上混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として後述する結着樹脂が溶解するものであれば、いかなるものを使用してもよい。
電荷輸送層106は上記成分に加えて、電荷輸送層としての本来的機能を発現させるための電荷輸送材料、さらには結着樹脂を含んでもよい。かかる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物を含む基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電荷輸送層106における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。これ等の結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1乃至1:5が好ましい。
電荷輸送層106の表面の平滑性を向上させる目的で、電荷輸送層形成用の塗布液中にシリコーンオイル等のレベリング剤を添加しても良い。レベリング剤は表面の平滑性を向上させられる範囲であれば任意量を添加してもよいが、塗布液中に0.1ppmから1000ppmの範囲が好ましく用いられる。さらに好ましくは0.5ppmから500ppmの範囲で用いられる。0.1ppmより少なく用いた場合、十分な平滑面を得ることができず、また500ppmを超えて用いた場合、繰り返し使用の際に残留電位上昇を発生させるなど電気特性上好ましくないことがある。
このようにして得られる電荷輸送層形成用の塗布液を電荷発生層105上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、リング塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いてもよい。電荷輸送層106の膜厚は、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下の範囲に設定される。
また、画像形成装置内で発生するオゾンや窒素酸化物、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層103を構成する各層中には、さらに、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。
<画像形成装置及びプロセスカートリッジ>
次に、本実施形態に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の第一の例を示す全体構成図である。
この画像形成装置1000は、電子写真方式を採用したモノクロの片面出力プリンタである。
この画像形成装置1000は、図の矢印B方向に回転する電子写真感光体である像保持体61と、電源65aから電力の供給を受けて、像保持体61に接触しながら回転することで像保持体表面を帯電する帯電手段である帯電部材65とを備えている。ここで、像保持体61が、本実施形態に係る電子写真感光体の一例に相当する。
また、この画像形成装置1000には、像保持体61に向けてレーザ光を発し、像保持体61表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段である露光部7、黒色トナーを含む静電潜像現像剤を用いて像保持体61表面に形成された静電潜像にモノクロ(黒)のトナーを付着させることにより静電潜像を現像することでトナー画像を形成する画像形成手段である現像器64、トナー画像が形成された像保持体61に、搬送されてくる用紙を押圧することで像保持体61表面に形成されたトナー画像を被転写体である用紙上に転写する転写手段である転写ロール50、用紙上に転写されたトナー画像に対し熱および圧力を加えることで転写像の用紙への定着を行う定着手段である定着器10、像保持体61に接触し、トナー画像の転写後に像保持体61表面に付着したまま残留した残留トナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング装置62、トナー画像の転写後に像保持体61に残留した電荷を除去する除電ランプ7aも備えられている。
この画像形成装置1000では、上記の、帯電部材65および像保持体61は、いずれも図3に垂直な方向に延びたロール状であってこれらのロールの両端は、いずれも支持部材100aに、ロールが回転可能な様態で支持されている。また、この支持部材100aには、上記の、クリーニング装置62および現像器64も接続されており、このように帯電部材65、像保持体61、クリーニング装置62、および現像器64が支持部材100aに一体化されることで、プロセスカートリッジ100が構成されている。
画像形成装置1000にこのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1000に備えられることとなる。このプロセスカートリッジ100が、本実施形態のプロセスカートリッジの一例に相当する。
以下、この画像形成装置1000における画像形成の動作について説明する。
この画像形成装置1000には、黒トナーが蓄えられた不図示のトナーカートリッジが備えられており、このトナーカートリッジにより現像器64にトナーの補給が行われる。また、トナー画像が転写されるために用いられる用紙は、給紙手段1の中に蓄えられており、ユーザから画像形成が指示されると給紙手段1から搬送されて、転写ロール50においてトナー画像の転写が行われた後、図の左方向に向かって搬送されていく。図3においては、この時の用紙搬送路が、左向きの矢印で示す経路として示されており、用紙はこの用紙搬送路を通って定着器10において、用紙上に転写された転写像の定着が行われた後、左方向に排出される。
帯電部材65が像保持体61を帯電させる際には、帯電部材65に電圧が印加される。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される像保持体の帯電電位に応じて正または負の50V以上2000V以下が好ましく、100V以上1500V以下がより好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400V以上1800V以下、好ましくは800V以上1600V以下、さらに好ましくは1200V以上1600V以下とされる。交流電圧の周波数は50Hz以上20,000Hz以下、好ましくは100Hz以上5,000Hz以下である。
帯電部材65としては、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたものが好適に用いられる。帯電部材65は、像保持体61に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも像保持体61と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能するが、帯電部材65に駆動手段を取り付け、像保持体61とは異なる周速度で回転させて帯電させてもよい。
露光部7としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザ、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光する光学系装置等を用いてもよい。
現像器64としては、一成分系、二成分系等の正規又は反転現像剤を用いた従来より公知の現像装置等を用いてもよい。現像器64に使用されるトナーの形状については、特に制限はなく、不定形、球状あるいは他の特定形状のものであってもよい。
転写手段としては、転写ロール50等の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
クリーニング装置62は、転写工程後の像保持体61の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された像保持体61は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いてもよいが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
本実施形態に係る電子写真感光体の表面層はフッ素含有樹脂粒子を含むため表面エネルギーが低い。そのため、クリーニング装置62としてクリーニングブレードを用いても表面層の摩耗が起こりにくく、長期間にわたり安定した画像が形成される。
本実施形態に係る画像形成装置は除電ランプ7aが備えられているため、像保持体61が繰り返し使用される場合に、像保持体61の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高められる。なお、本実施形態に係る画像形成装置においては必要に応じて除電ランプ7aを備えていればよい。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の第二の例を示す全体構成図である。
この実施形態の画像形成装置1000’はカラープリンタである。
この画像形成装置1000’には、図の矢印Bk,Bc,Bm,By方向にそれぞれ回転する、電子写真感光体である像保持体61K,61C、61M,61Yが備えられている。ここで、像保持体61K,61C、61M,61Yが、本実施形態に係る電子写真感光体の一例に相当する。
また、各像保持体の周囲には、各像保持体に接触しながら回転することで像保持体表面を帯電する帯電手段である帯電部材65K,65C,65M,65Y、帯電した各像保持体上にレーザ光の照射によりブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色についての静電潜像を形成する静電潜像形成手段である露光部7K,7C,7M,7Y、各像保持体上の静電潜像を各色のトナーを含む静電潜像現像剤で現像して各色のトナー画像を形成する現像手段である現像器64K,64C,64M,64Yが備えられている。
この画像形成装置1000’では、上記の各構成要素のうち、ブラック用の、帯電部材65K、像保持体61K、クリーニング装置62K、および現像器64Kは、一体化されてプロセスカートリッジ100Kの構成要素となっており、同様に、シアン用の、帯電部材65C、像保持体61C、クリーニング装置62C、現像器64Cの組、マゼンタ用の、帯電部材65M、像保持体61M、、クリーニング装置62M、現像器64Mの組、および、イエロー用の、帯電部材65Y、像保持体61Y、、クリーニング装置62Y、現像器64Yの組が、それぞれ一体化されてプロセスカートリッジ100C,100M,100Yの構成要素となっている。画像形成装置1000’にこれら4つのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1000’に備えられることとなる。これらのプロセスカートリッジ100K,100C,100M,100Yそれぞれが、本実施形態のプロセスカートリッジの一例に相当する。
また、この画像形成装置1000’には、各像保持体上で形成された各色のトナー画像の転写(1次転写)を受けて1次転写像を運搬する中間転写体である中間転写ベルト5、中間転写ベルト5への各色のトナー画像の1次転写が行われる1次転写ロール50K,50C,50M,50Y、用紙への2次転写が行われる2次転写ロール対9、用紙上の2次転写されたトナー画像の定着を行う定着手段である定着器10’、4つの現像器にそれぞれの色成分のトナーをそれぞれ補給する、4つのトナーカートリッジ4K,4C,4M,4Y、用紙を蓄える給紙手段1’も備えられている。
ここで、中間転写ベルト5は、駆動ロール5aから駆動力を受けながら2次転写ロール9bと駆動ロール5aとに張架された状態で図の矢印A方向に循環移動する。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト5を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト5のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いてもよい。
次に、この画像形成装置1000’における画像形成の動作について説明する。
4つの像保持体61K,61C、61M,61Yは、帯電部材65K,65C,65M,65Yによりそれぞれ帯電され、さらに露光部7K,7C,7M,7Yから照射されるレーザ光を受けて各像保持体上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器64K,64C,64M,64Yによってそれぞれの色のトナーを含む静電潜像現像剤で現像されてトナー画像が形成される。このようにして形成された各色のトナー画像は、各色に対応した1次転写ロール50K,50C,50M,50Yにおいて、中間転写ベルト5上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に順次転写(1次転写)されて重ね合わされていき、多色の1次転写像が形成される。
そして、この多色の1次転写像は、中間転写ベルト5により2次転写ロール対9まで運搬されていく。一方、多色の1次転写像の形成と呼応して、用紙が給紙手段1’から取り出されて搬送ロール3によって搬送され、さらに位置合わせロール対8によって位置を整えられる。そして、2次転写ロール対9によって、上述の多色の1次転写像が、搬送されてきた用紙に転写(2次転写)され、さらに定着器10’によって用紙上の2次転写像に定着処理が施される。定着処理後、定着像を有する用紙は、送出ロール対13を通過して、排紙受け2に排出される。
以上が、この画像形成装置1000’における画像形成の動作についての説明である。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱自在とされていれば特に限定されるものではなく、例えば、電子写真感光体を帯電する帯電手段、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段、前記電子写真感光体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段及び転写後の前記電子写真感光体の残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一種を一体に有していてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引き層塗布用液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引き層を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
次に、A:フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(GPCチャートにおける分子量70万以上の面積は、全体の面積に対して10%、GPCチャートにおける最大ピークが、分子量6.9万に存在、フッ素含有量が20質量%である。また、分子構造は以下のとおりである。なお、下記分子式においてl、m及びnはそれぞれ1、1及び60である。)0.03質量部をトルエン2.33質量部に溶解させた液に4フッ化エチレン樹脂粒子1質量部(平均一次粒径:0.2μm)を加え、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、B:電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32重量部、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部、テトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部を混合溶解した。
このB液に前記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cm(49MPa)まで昇圧しての分散処理を4回繰り返した液に、シリコーンオイル(商品名:KP340 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。

この塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。
このようにして得られた感光体をドラムカートリッジに装着した富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機を用いて28℃/85%RH環境下にてプリントテストおよび電位測定を行った。得られた結果を表1に示す。
なお、電位測定は、下記方法により実施した。
前記富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機に電位センサーを取り付け、測定を行った。
実施例1において、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマーの4フッ化エチレン樹脂粒子に対する含有率は3質量%であった。
[実施例2]
実施例1と同様にして、アルミニウム基材上に下引き層と電荷発生層を形成した。次にA:フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(GPCチャートにおける分子量70万以上の面積は、全体の面積に対して5%、GPCチャートにおける最大ピークが、分子量6.5万に存在、フッ素含有量が18質量%である。また、分子構造は以下のとおりである。なお、下記分子式においてl、m、n及びsはそれぞれ1、1、60及び1である。)0.02質量部をテトラヒドロフラン1.63質量部とトルエン0.70質量部の混合溶媒に溶解させた液に4フッ化エチレン樹脂粒子1質量部(平均一次粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、B:電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32重量部、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部、テトラヒドロフラン26.25質量部及びトルエン9.92質量部を混合溶解した。
このB液に前記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cm(49MPa)まで昇圧しての分散処理を4回繰り返した液に、シリコーンオイル(商品名:KP340 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。

この塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。
このようにして得られた感光体をドラムカートリッジに装着した富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機を用いて28℃/85%RH環境下にてプリントテストおよび電位測定を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例2において、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマーの4フッ化エチレン樹脂粒子に対する含有率は2質量%であった。
[実施例3]
実施例1と同様にして、アルミニウム基材上に下引き層と電荷発生層を形成した。次にA:フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(GPCチャートにおける分子量70万以上の面積は、全体の面積に対して15%、GPCチャートにおける最大ピークが、分子量7.0万に存在、フッ素含有量が19質量%である。また、分子構造は以下のとおりである。なお、下記分子式においてl、m、n及びsはそれぞれ1、1、60及び1である。)0.03質量部をトルエン2.33質量部に溶解させた液に4フッ化エチレン樹脂粒子1質量部(平均一次粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、B:電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32重量部、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部、テトラヒドロフラン26.25質量部及びトルエン9.92質量部を混合溶解した。
このB液に前記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cm(49MPa)まで昇圧しての分散処理を4回繰り返した液に、シリコーンオイル(商品名:KP340 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。

この塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。
このようにして得られた感光体をドラムカートリッジに装着した富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機を用いて28℃/85%RH環境下にてプリントテストおよび電位測定を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例3において、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマーの4フッ化エチレン樹脂粒子に対する含有率は3質量%であった。
[比較例1]
実施例1においてフッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(GPCチャートにおける分子量70万以上の面積は、全体の面積に対して1%、GPCチャートにおける最大ピークが、分子量7.0万に存在、フッ素含有量が20質量%である。また、分子構造は以下のとおりである。なお、下記分子式においてl、m及びnはそれぞれ1、1及び60である。)を0.03質量部用いた以外は実施例1と同様の方法で電荷輸送層形成用塗布液を作成し電子写真感光体を得た。得られた感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。

比較例1において、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマーの4フッ化エチレン樹脂粒子に対する含有率は3質量%であった。
[比較例2]
実施例1においてフッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(GPCチャートにおける分子量70万以上の面積は、全体の面積に対して25%、GPCチャートにおける最大ピークが、分子量7.0万に存在、フッ素含有量が15質量%である。また、分子構造は以下のとおりである。なお、下記分子式においてl、m、n及びsはそれぞれ1、1、60及び1である。)を0.03質量部用いた以外は実施例1と同様の方法で電荷輸送層形成用塗布液を作成し電子写真感光体を得た。得られた感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。

比較例2において、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマーの4フッ化エチレン樹脂粒子に対する含有率は3質量%であった。
本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。 フッ素系グラフトポリマーのGPCチャートの具体例を示す図である。 本実施形態に係る画像形成装置の第一の例を示す全体構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の第二の例を示す全体構成図である。
1 給紙手段
2 排紙受け
3 搬送ロール
5 中間転写ベルト
7a 除電ランプ
7 露光部
8 レジロール対
9 次転写ロール対
10 定着器
13 送出ロール対
50 転写ロール
61 像保持体
62 クリーニング装置
64 現像器
65 帯電部材
65a 電源
100 プロセスカートリッジ
100a 支持部材
101 電子写真感光体
102 導電性支持体
103 感光層
104 下引き層
105 電荷発生層
106 電荷輸送層
1000、1000’ 画像形成装置

Claims (6)

  1. 導電性基体上に少なくとも感光層を有し、
    前記感光層の設けられた側の表面に位置する層が、4フッ化エチレン樹脂粒子と下記構造式A及び下記構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体とを含有し、
    前記フッ化アルキル基含有共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリスチレン換算の分子量70万以上の面積は、全体の面積に対して5%以上20%以下である電子写真感光体。



    構造式A及び構造式Bにおいて、l、m及びnは1以上の正数を、p、q、r及びsは0または1以上の正数を、tは0又は6以下の正数を、R 、R 、R 及びR は水素原子またはアルキル基を、Xはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、―S―、―O―、―NH―、または単結合を、Yは、アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、―(C 2z−1 (OH))―、または単結合をそれぞれ表す。zは1以上の正数を表す。
  2. 前記GPCチャートにおける最大ピークが、ポリスチレン換算の分子量5万以上15万以下の範囲に存在する請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記フッ化アルキル基含有共重合体が、前記4フッ化エチレン樹脂粒子に対して0.5質量%以上5.0質量%以下含まれる請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記フッ化アルキル基含有共重合体中のフッ素含有量が、10質量%以上30質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着手段とを有する画像形成装置。
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