JP4731048B2 - 弾性糸用油剤および弾性糸巻糸体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン弾性糸用の油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリウレタン弾性糸は油剤を付与されて巻取られるが、巻糸体の内層部は経時的に膠着気味となり、そのため、内層部での解舒不良を引き起こし易い。
膠着を防止する方法としてステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸の金属塩を用いる方法(特公昭37−4586号公報)が提案されている。
しかし、この方法はポリウレタン弾性糸の膠着防止に有効ではあっても、金属塩が凝集し紡糸時にロール等に沈積して糸切れを引き起こして紡糸収率を低下させたり、経編分野使用時の編成においてもガイド部に蓄積して糸切れを引起こしたり、糸と糸の摩擦係数が低下するために巻糸体の形状が不良となり、そのため、解舒時に形態が崩れて糸切れを引起こしたりするという欠点がある。
【0003】
また、アミノ変性シリコーンを用いる方法(特公昭63−8233号公報)も提案されているが、膠着防止効果が不十分である。
ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸マグネシウム塩の凝集を抑制するために、アミノ変性シリコーンを0.5〜3.0wt%併用する方法が提案されている(特開平10−259577号公報)。
この方法によると高級脂肪酸のマグネシウム塩の凝集は抑制されるが、弾性糸同志の摩擦係数が低下しすぎて、巻糸体の形状が不良となったり、巻糸体から解舒する際に巻糸体の形状が崩れて糸切れが発生するという問題がある。
また、この方法は、弾性糸表面にアミノ基が多数存在すると糸の黄変の原因となったり、これを身につけると皮膚障害を起こす。
これを改善するため、アミノ変性シリコーンの量を減少させると高級脂肪酸のマグネシウム塩の凝集による糸切れ等が多発する。
【0004】
1官能、4官能からなるアルキルシリコーンレジンを含有する油剤も提案されている(特開平9−78460号公報)。
この方法によると弾性糸の膠着防止は達成できるが、この油剤を付着した弾性糸は、編み針との摩擦が大きく、静電気が発生し、編成時の糸切れ増加の問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ステアリン酸マグネシウムの凝集を抑制すると同時に、弾性糸の糸同士、及び弾性糸と編み針との摩擦係数を適度に調整して、弾性糸の加工時における糸切れを抑制できる弾性糸用油剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題について種々検討した結果、鉱物油及びポリジメチルシロキサンを主成分とする弾性糸用油剤であって、(A)アミノ変性シリコーンと、(B) 1官能、3官能からなる共加水分解重合物であるアルキルシリコーンレジンと、(C) ステアリン酸マグネシウムを含有させることにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の弾性糸用油剤を構成する成分の含有率は、主成分である鉱物油及びポリジメチルシロキサンを除いて、油剤全量に対してアミノ変性シリコーン(A)が0.45wt%以下、1官能、3官能からなる共加水分解重合物であるアルキルシリコーンレジン(B) が1.0〜4.0wt%、ステアリン酸マグネシウム(C) が2.0wt%以下であることが好ましい。
本発明においては、該油剤中にアミノ変性シリコーン(A)、及び1官能、3官能からなるアルキルシリコーンレジン(B) を含有することにより、ステアリン酸マグネシウム(C) の凝集を抑制でき、かつ、膠着防止作用が強化されるため、油剤中のステアリン酸マグネシウム(C) の含有量を2%以下にしても、弾性糸の膠着防止を達成できることを見出した。
さらに、1官能、3官能からなるアルキルシリコーンレジン(B) を含有することで、弾性糸と編針との摩擦を小さく維持することができ、そのため、摩擦帯電による静電気発生量を少なくでき、編成時の糸切れを減少させることができる。
【0008】
本発明では、弾性糸の膠着防止と同時に、従来技術で問題となるステアリン酸マグネシウム(C) の凝集、巻糸体の崩れ、糸の黄変、皮膚障害、編針での糸切れの抑制を達成できた。
本発明の目的を達成する上で、油剤全量に対して、▲1▼油剤中のアミノ変性シリコーン(A)含有量を0.45wt%以下にすること、▲2▼1官能、3官能からなる共加水分解重合物であるアルキルシリコーンレジン(B) を1.0〜4.0wt%含有することが極めて重要である。
【0009】
アミノ変性シリコーン(A)中のアミノ基含有量が0.01wt%未満ではステアリン酸マグネシウム(C) の分散安定性に効果がなく、0.5wt%を超えると皮膚障害や黄変の問題が生じる。従って、アミノ基含有量は0.01〜0.5wt%、好ましくは0.02〜0.3wt%である。
また、油剤中のアミノ変性シリコーン(A)の含有量は、油剤全量に対して、好ましくは0.45wt%以下である。
含有量が、0.45wt%を超えると、糸と糸の摩擦係数が低下し、巻糸体の形状が悪化したり、皮膚障害や黄変の問題が生じる。
アミノ変性シリコーンの粘度は、ステアリン酸マグネシウムの分散性の点から、1,000〜30,000mm2/sである。
【0010】
本発明に使用する1官能、3官能アルキルシリコーンレジン(B) は、下記式(1)で示される2種のモノマーの共加水分解重合物である。
【化1】
(式中のR1は炭素数3から10の炭化水素基を示す。)
油剤中のアルキルシリコーンレジン(B) の含有量は、油剤全量に対して1.0〜4.0wt%が好ましい。
アルキルシリコーンレジン(B) の含有量が1.0wt%未満では、弾性糸の膠着防止性及び制電性に効果がなく、4.0wt%を超えると油剤の粘性が高くなり、給油時の糸切れの問題が生じる。
経済的な点より、1.0〜3.0wt%がより好ましい。
【0011】
1官能、3官能アルキルシリコーンレジン(B) において、1官能/3官能の比率としては、1/5以下が好ましく、より好ましくは1/10以下である。
1官能、3官能アルキルシリコーンレジンは、それ自身で膠着防止効果を有し、1官能、4官能アルキルシリコーンレジンに比較して、弾性糸と金属の摩擦係数が小さく、そのため、弾性糸と編み針との摩擦抵抗を少なくすることができ、編み針との接触に伴う静電気の発生を少なくすることができる。
そのため、編成時での編成張力のアップや、静電気の発生に伴う糸切れの問題を解決できる。
【0012】
本発明においては、弾性糸に対して、膠着防止効果を維持しながら、ステアリン酸マグネシウム(C) の凝集沈降が少ない条件が好適であり、油剤全量に対して、本発明のアミノ変性シリコーン(A)を0.45wt%以下と、1官能、3官能アルキルシリコーンレジン(B) を1.0〜4.0wt%を含有することにより、ステアリン酸マグネシウム(C) の含有量を2.0wt%以下と少量の添加で、充分な膠着防止効果と、凝集防止効果が発揮することができる。
ステアリン酸マグネシウム(C) の含有量が2wt%を超えると、ステアリン酸マグネシウムの分散安定性が不十分となる。
ステアリン酸マグネシウム(C) の平均粒子径は、粒子の分散性と弾性糸の膠着防止性から好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.8μmである。
油剤用に使用されるステアリン酸マグネシウム(C) 中の水分は、油剤の粘度安定性等の観点から好ましくは1〜5wt%、より好ましくは2〜4wt%程度に抑えることが良い。
例えば、高級脂肪酸のマグネシウム塩の場合、高級脂肪酸の炭素数が10〜30であれば使用できるが、ステアリン酸マグネシウム(C) の使用が望ましい。
【0013】
本発明において、アミノ変性シリコン(A)と、1官能、3官能アルキルシリコーンレジン(B) と、ステアリン酸マグネシウム(C) の、各々の役割として重要な点は、弾性糸の膠着防止用として、1官能、3官能アルキルシリコーンレジン(B) と、ステアリン酸マグネシウム(C) とを共存させることにより、ステアリン酸マグネシウム(C) の含有量を少量にしても、弾性糸に充分な膠着防止効果を得ることができ、且つこの少量のステアリン酸マグネシウムの分散に必要なアミノ変性シリコン(A)の添加を、少量にすることができるという点である。
さらに、1官能、3官能アルキルシリコーンレジン(B) を用いることにより、弾性糸と編針との摩擦抵抗を少なくすることができ、編針との接触に伴う静電気の発生を少なくすることができる点である。
【0014】
油剤中の鉱物油は、油剤コストを下げること及び綿交丸編み時の風綿トラブルを抑制するために含有されるが、50wt%を超えると巻糸体の解舒性が悪くなるため、油剤中の鉱物油含有量は5〜50wt%が好ましい。より好ましくは、8〜40wt%である。
鉱物油の粘度は、25℃において5〜40mm2/sの範囲が好ましく、より好ましくは10〜30mm2/sの範囲である。
油剤中のポリジメチルシロキサンの含有量は、43wt%〜94wt%が好ましく、より好ましくは、50wt%〜90wt%である。
本発明の油剤には、必要に応じて、ポリエーテル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等を微量添加することができる。
本発明の油剤は、通常ポリウレタン弾性糸に対して、1〜10wt%、好ましくは2〜8wt%付与され事が良い。
【0015】
本発明の油剤を適用する弾性糸としては特に制限されないが、例えばポリウレタン、ポリエーテルエステル弾性糸等が使用できるが、特にポリウレタン弾性糸の使用が望ましい。
ポリウレタン弾性糸は、代表的には有機ジイソシアナートと実質的に線状の高分子ジオールとで製造されたイソシアナート末端のプレポリマーに多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤および単官能性活性水素原子を有する末端封鎖剤を1段または多段階に反応せしめて得られる分子内にウレタン基を有する弾性高分子重合体を乾式紡糸、湿式紡糸又は溶融紡糸して得られるものである。
ポリウレタン弾性糸の別の製造法としては、後述の両端にヒドロキシル基をもち分子量400〜5,000、好ましくは800〜4000である実質的に線状の重合体と有機ジイソシアネ−トとからなるイソシアネート末端のプレポリマ−に多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤と単官能性活性水素原子を有する末端停止剤とを反応させながら紡糸して得られるものである。
【0016】
本発明のポリウレタン弾性糸の製造原料の一つである高分子ジオールとしては、両末端にヒドロキシル基を持つ数平均分子量400〜5,000、好ましくは800〜4000の実質的に線状の高分子体であることが良い。
例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、炭素数1〜8の直鎖状またはランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンエーテルジオール等のポリエーテルジオール;
アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸等の二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のグリコールの一種または二種以上とから得られたポリエステルジオール;
又はポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
【0017】
本発明のポリウレタン弾性糸原料の一つである有機ジイソシアナートとしては、例えば脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアナートの中で、反応条件下で溶解または液状を示すものすべてを適用できる。
例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアナート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアナート)、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、m−及びp−キシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアナート、m−及びp−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジメチル−1,3−キシリレンジイソシアナート、1−アルキルフェニレン−2,4及び2,6−ジイソシアナート、3−(α−イソシアナートエチル)フェニルイソシアナート、2,6−ジエチルフェニレン−1,4−ジイソシアナート、ジフェニル−ジメチルメタン−4,4−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、3,3,5−トリメチル−5−メチレンシクロヘキシルジイソシアネート等が例示され、好ましくは、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアナート)である。
【0018】
本発明のポリウレタンウレア弾性体原料の一つである多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、ヒドラジン、ポリヒドラジド、ポリオ−ル、エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン,m−キシリレンジアミン,p−キシリレンジアミン等のポリアミン、ヒドロキシルアミン、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、エチレングリコール、1,8オクタンジオール等のポリオール、水等を用いることができる。
本発明のポリウレタン弾性体原料の一つである単官能性活性水素原子を有する末端停止剤としては、例えば、ジエチルアミンのようなジアルキルアミン等が用いられる。これらの鎖伸長剤、末端停止剤は1種単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0019】
上記ポリウレタン重合体組成物には、所望により、公知のポリウレタン重合体組成物に使用される特定の化学構造を有する有機または無機の配合剤、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤;防黴剤;硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等のような無機微粒子;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノポリシロキサン等の粘着防止剤等を適宜配合することもできる。
【0020】
【実施例】
本発明を実施例で更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中の特性値の測定法を以下に示す。
(解舒性の評価方法)
▲1▼ 解舒速度比の測定法:
図1において、解舒速度比測定機の解舒側に油剤を付着させた弾性糸巻糸体(1)をセットし、巻取側に巻取用の紙管(2)をセットする。
巻取速度を一定速度にセットした後、ローラー(3)及び(4)を同時に起動させる。この状態では糸(5)に張力はほとんどかからないため、糸はチーズ上で膠着して離れず解舒点(6)は図1に示す状態にある。解舒速度を変えることによってチーズからの糸(5)の解舒点(6)が変わるので、この点がチーズとローラーとの接点(7)と一致するように解舒速度を設定する。
解舒速度比は下記式(2)により求める。
この値が小さいほど、解舒性が良いことを示す。チーズ上に巻き取り、室温で30日間保管後に解舒速度比を測定する。
解舒速度比(%)=(巻取速度―解舒速度)÷解舒速度×100・・・(2)
▲2▼ 編成張力の測定法:
図2において、チーズ(8)と縦取りした弾性糸(9)をコンペンセイター(10)を経てローラー(11)、編針(12)を介して、Uケージ(13)に付したローラー(14)を経て速度計(15)、巻取ローラー(16)に連結する。
速度計(15)での走行速度が100m/分になるように巻取ローラー(16)の回転速度を調整して、巻取ローラー(16)に巻取り、そのときの張力変動をUゲージ(13)で測定し、弾性糸(9)と編針(12)間の摩擦(g)を計測する。
【0021】
(沈降度)
油剤を100mlのすり栓付き試験管に入れ、1ヶ月静置した後、生じた上澄み部分の高さをA1、白濁部分の高さをA2としたとき、下記式(3)で定義した
Sが20未満の油剤を沈降度〇、20以上の油剤を沈降度×とした。
S=A1 ÷(A1+A2)×100 ・・・(3)
(糸黄変度Δb)
サンシャインウェザーメーター[WEL-SUN-HO型]スガ試験機(株)製にて72時間光照射後、分光色彩計CLR-710F(SHIMAZU CORPORALTION)にてΔb値の差を測定した。
Δb値が3未満の糸は黄変度〇、3以上の糸は黄変度×とした。
(アミノ%測定法)
(1)100ml容量のビーカーに試料2gを精秤、エチルアルコール60mlおよびトルエン20mlを加え、テフロン回転子を入れる。
(2)自動滴定装置を用いて、0.25Nのアルコール性HCLで滴定する。
(3)滴定量V(ml)を次式に代入して、アミノ%を求める。
アミノ%=(0.25×F×V×16×100)/2000
(Fは滴定液のファクター)
【0022】
【実施例1〜実施例4,比較例1〜比較例5】
<ポリウレタンポリウレア溶液の調製>
数平均分子量1,200のポリテトラメチレングリコール1,000g(質量部、以下同じ)およびメチレン−ビス(4−フェニルイソシアナ−ト)312gを、窒素ガス気流中95℃において90分間攪拌しつつ反応させて、イソシアネート基残基のプレポリマーを得た。次いで、これを室温まで冷却した後、乾燥ジメチルホルムアミド2,360gを加え、溶解してプレポリマー溶液とした。
一方、エチレンジアミン23.4gおよびジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルホルムアミド1,570gに溶解し、これに前記プレポリマー溶液を室温で添加して、粘度1,800×10-1Pas(30℃)のポリウレタンウレア溶液を得た。
こうして得られた粘稠な重合体溶液に、(対ポリマー固形分重量%、以下同じ)、4,4´−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)2%、2−(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール0.7%を添加したものを紡糸原液とした。
この紡糸原液を用いて、常法に従って乾式紡糸を行ない、巻取速度1,000m/分で、44dtex/4fの弾性糸を得た。
【0023】
この際、油剤には、表1に示す組成の油剤を用いて全固形分に対して5wt%付着させた。
【表1】
(注)
DMSi:ポリジメチルシロキサン
St−Mg:ステアリン酸マグネシウム
A−Si:アミノ変性シリコーン
Si−R:アルキルシリコーンレジン
MT:1官能、3官能からなる共加水分解重合物であるアルキルシリコーンレジン
MG:1官能、4官能からなる共加水分解重合物であるアルキルシリコーンレジン
【0024】
油剤中のステアリン酸マグネシウムの沈降度、皮膚刺激性と、得られた巻糸体の形状の解舒性、および編成時の編成張力、静電気発生量について表2に示す。
【表2】
【0025】
表2に示すように、1官能、4官能からなるアルキルシリコーンレジン(B) を含有する油剤では、弾性糸と編針との摩擦が大きく、編成張力が大きくなり静電気発生量が高くなる。
油剤中のアミノ変性シリコーン(A)の量を増加すると、ステアリン酸マグネシウム(C) の沈降を抑制できるが、皮膚刺激性が高くなったり、糸黄変が起こる。
アルキルシリコーンレジン(B) の量が少ないと巻糸体の解舒性が悪くなり、解舒不良による糸切れを起こす。
また、油剤中のステアリン酸マグネシウム(C) の含有量を増加させると、ステアリン酸マグネシウム(C) が凝集沈積し、紡糸時や加工時の糸切れを引き起こす。
その結果、アミノ変性シリコーン(A)を0.45wt%以下、1官能、3官能からなる共加水分解重合物であるアルキルシリコーンレジン(B) を1.0〜4.0wt%、ステアリン酸マグネシウム(C) を2.0wt%以下含有されることにより、解舒性、摩擦係数を制御でき、加工時のトラブルを抑制できることが分かる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の油剤を弾性糸に付着すると、巻糸体の解舒不良による加工時の糸切れが抑制できる。また、ステアリン酸マグネシウムが凝集することによる紡糸時、加工時の糸切れを抑制できる。更に、編成工程において針やガイド部との摩擦性不良による糸切れの発生を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】解舒速度比を測定する装置の説明図である。
【図2】編成張力を測定する装置の説明図である。
【符号の説明】
1、8: チーズ
2: 巻き取り側紙管
3、4、11、14: ローラー
5、9:弾性糸
6: 解舒点
7: チーズとローラーの接点
10: コンペンセーター
12: 編針
13: Uケージ
15: 速度計
16: 巻取ローラー
Claims (2)
- 鉱物油5〜50wt%及びポリジメチルシロキサン43〜94wt%を主成分とした弾性糸用油剤であって、(A)アミノ基含有量が0.01〜0.5wt%のアミノ変性シリコーン0.45wt%以下と、(B) 1官能、3官能からなる共加水分解重合物であるアルキルシリコーンレジン1.0〜4.0wt%と、(C) ステアリン酸マグネシウム2.0wt%以下を含有していることを特徴とする弾性糸用油剤。
- 請求項1に記載の油剤を1〜10wt%付着することを特徴とする弾性糸巻糸体。
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