JP5329842B2 - ポリウレタン弾性繊維 - Google Patents
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〔1〕ポリウレタン系弾性繊維において、下記のA成分、下記のB成分および下記のC成分を含有し、ポリウレタン系弾性繊維の質量に対するA成分の含有率が0.1〜6質量%、B成分の含有率が0.01〜4.0質量%、C成分の含有率が0.05〜4.0質量%であるポリウレタン系弾性繊維、
A成分:シリコーンオイル。
B成分:下記の一般式(1)で示される変性シリコーンオイル。
C成分:下記の一般式(2)で示される高級脂肪酸金属塩。
〔2〕上記A成分とB成分との含有質量比が、
(A成分)/(B成分)=100/0.5〜100/50
である前記〔1〕に記載のポリウレタン系弾性繊維、
〔3〕上記各成分の含有質量比が、
{(A成分)+(B成分)}/(C成分)=100/10〜100/100
である前記〔1〕または〔2〕に記載のポリウレタン系弾性繊維、
〔4〕A成分であるシリコーンオイルの25℃における粘度が1×10−5〜1×10−2m2/sである前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維、
〔5〕A成分が、25℃における粘度が1×10−5〜1×10−2m2/sであるポリジメチルシロキサンである前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維、
〔6〕B成分を示す式(1)において、X1およびX2がメチル基であり、X3が一般式(3)で示される有機基であり、aが50〜300、bが0〜10、cが1〜10の整数である前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維、
〔7〕上記の有機基であるX3を示す一般式(3)において、Yがアミノ基又は一般式(5)で示される有機基である前記〔6〕に記載のポリウレタン系弾性繊維、
〔8〕C成分を示す式(2)において、Mがアルカリ土類金属原子であり、nが2である前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維、
〔9〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維のフィラメントが複数本合着されてなるポリウレタン系弾性繊維合着糸、
〔10〕上記のA成分、B成分およびC成分を含有してなる改質剤を、紡糸原液に添加した後、該紡糸原液を用いて乾式紡糸により紡糸口金からフィラメントを紡出することを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維弾性の製造方法、
〔11〕改質剤C成分がコロイド状に分散された分散液である前記〔10〕に記載の製造方法、および
〔12〕前記〔10〕または〔11〕に記載の製造方法において、紡糸口金から複数本のフィラメントを紡出し、さらに、それらのフィラメントを合着処理した後に巻き取ることを特徴とする前記〔9〕に記載のポリウレタン系弾性繊維合着糸の前記〔10〕または〔11〕に記載の製造方法、
に関する。
本発明に係る弾性繊維製造用改質剤におけるA成分は、25℃における粘度が2×10−6〜1×100m2/sであるシリコーンオイルである。かかるシリコーンオイルは、C成分である高級脂肪酸金属塩の単なる分散媒体としてのみでなく、弾性繊維を紡糸して製造をするに際して、該高級脂肪酸金属塩の口金孔での詰まり等の問題を低減するために必須の成分である。
i)繰り返し単位がジメチルシロキサン単位から成るポリジメチルシロキサン類、
ii)繰り返し単位がジメチルシロキサン単位と炭素数2〜4のアルキル基を含むジアルキルシロキサン単位とから成るポリジアルキルシロキサン類、
iii)繰り返し単位がジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位とから成るポリシロキサン類
等が挙げられるが、なかでもポリジメチルシロキサンが好ましい。
本発明に係る弾性繊維製造用改質剤におけるB成分は、一般式(1)で示される変性シリコーンである。かかるB成分としては、例えば、
i)一般式(3)で示される有機基を有するシロキサン単位を、主鎖を構成するシロキサン単位として有する変性シリコーン、
ii)一般式(3)で示される有機基を有するシロキサン単位を、末端基として有する変性シリコーン、
iii)一般式(3)で示される有機基を有するシロキサン単位を、主鎖を構成するシロキサン単位および末端基として有する変性シリコーン
が挙げられる。
i)炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸、アクリル酸、メタクリル酸等)から水酸基を除いた残基、
ii)芳香族モノカルボン酸(例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸等)から水酸基を除いた残基が挙げられる。
i)一般式(3)中のYがアミノ基である有機基(3)としては、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル基等が挙げられるが、なかでも2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が好ましい。
本発明に係る弾性繊維製造用改質剤におけるC成分は、一般式(2)で示される高級脂肪酸金属塩である。一般式(2)中のR2は、炭素数12〜22の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基である。かかる脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、一般式(2)中のMで表わされる金属原子としては、
i)例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の1価のアルカリ金属原子、
ii)例えばベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、ニッケル、亜鉛等の2価の金属原子、
iii)例えばアルミニウム、鉄、セリウム等の3価の金属原子
が挙げられる。
A成分、B成分およびC成分のいずれも公知方法又は自体公知の方法によって容易に製造できる。
本発明に係る弾性繊維製造用改質剤は、以上説明したA成分、B成分およびC成分を含有して成る液状の改質剤である。本発明に係る弾性繊維製造用改質剤に含有される上記各成分の質量比は次の通りである。
(A成分)/(B成分)=100/0.5〜100/50
{(A成分)+(B成分)}/(C成分)=100/10〜100/100
{(A成分)+(B成分)}/(C成分)=100/20〜100/60
(A成分)/(B成分)=100/0.5〜100/50
の範囲とすることで、本発明に係る改質剤のチクソトロピーを適度に抑制でき、また、保存時の増粘が抑制されて保存安定性が良好に保たれる。
{(A成分)+(B成分)}/(C成分)=100/10〜100/100、
好ましくは、
{(A成分)+(B成分)}/(C成分)=100/20〜100/60
の範囲とすることで、改質剤中でC成分の高級脂肪酸金属塩が分離、沈降することが防がれて改質剤の安定性が良好に保たれ、その結果として紡糸時の該高級脂肪酸金属塩による口金孔の詰まりが防止される。
平均粒子径の測定法:
弾性繊維製造用改質剤を、25℃における粘度が1.0×10−5m2/sであるポリジメチルシロキサンにより、C成分の濃度が1000ppmとなるように希釈して、弾性繊維製造用改質剤希釈液を調製し、これを測定用試料として、25℃で遠心式粒度分布測定装置により面積基準の平均粒子径を測定した。このときの遠心式粒度分布測定装置としては、堀場製作所製CAPA−700等が使用できる。
本発明に係る弾性繊維製造用改質剤の製造方法は、特に限定されず、公知の方法に準じて本発明に係る弾性繊維製造用改質剤を製造することができる。例えば、A成分とB成分とC成分とを所定割合で混合して混合物とした後、該混合物を湿式粉砕工程に供して、コロイド状に分散された分散液として弾性繊維製造用改質剤を調製することができる。必要に応じて、上記したような他の成分を、任意のタイミングで添加することもできる。
このようにして製造される分散液の粘度は、E型粘度計、30℃、rotor E、20rpmの条件で計測して300〜30000mPa・sであるのが好ましい。
本発明に係る弾性繊維製造用改質剤は、弾性繊維を製造するための紡糸原液に添加して使用される。例えばポリエステル系弾性繊維、ポリアミド系弾性繊維、ポリオレフィン系弾性繊維、ポリウレタン系弾性繊維等の弾性繊維に好適に使用され、特にポリウレタン系弾性繊維に好適に使用される。すなわち、紡糸原液としてのポリウレタン原液に特に好ましく添加される。なお、弾性繊維の形態は特に限定されず、フィラメント系弾性繊維、スパン系弾性繊維のいずれにも使用できる。紡糸原液に対する本発明の弾性繊維製造用改質剤の添加量は、特に制限されないが、紡糸原液中のポリマー固形分への含有率が0.1〜20質量%の範囲が好ましく、0.16〜14質量%の範囲がさらに好ましい。
なお、本発明において「主構成成分」とは、ポリウレタンを形成する成分の内、50質量%以上を構成する成分をいう。
ポリウレタンを構成する構造単位のポリマージオールとしては、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、繊維とした際に高い伸度を付与する観点からポリエーテル系グリコールが使用されることが好ましい。
また、こうしたポリマージオールは単独で使用してもよいし、2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。
好ましい低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン(以下、EDAと略す)、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの中から1種または2種以上が使用されることも好ましい。特に好ましくはEDAである。EDAを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れたポリウレタン繊維を得ることができる。これらの鎖伸長剤に、架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を、効果を失わない程度に加えてもよい。
なお、かかるポリウレタンの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒等の触媒が1種もしくは2種以上混合して使用されることも好ましい。
また、有機金属触媒としては、オクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。
ポリウレタンの高温側の融点を150℃以上300℃以下の範囲内とするための代表的な方法としては、ポリマージオールとMDIの比率をコントロールすることが挙げられる。例えば、ポリマージオールの数平均分子量が1000以上の場合、(MDIのモル数)/(ポリマージオールのモル数)=1.5以上の割合で、重合を進めることにより、高温側の融点が150℃以上のポリウレタンを得ることができる。
このように上記構造単位(a)が分子鎖末端部分にリッチに存在するためには、上記構造単位(a)を形成させるモノマーと上記構造単位(b)を形成させるモノマーとを重合させる工程の終期において、上記構造単位(a)を形成させるモノマーを追加供給して反応させる重合方法をとればよい。この追加供給するモノマーの量や供給タイミング等により、末端中に存在する構造単位(a)割合を所望水準に制御することができる。
また、ポリマージオールと反応させるジイソシアネート化合物としては通常のものが用いられる。
かかるポリウレタン系繊維は、例えば、DMAc、DMF、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどやこれらを主成分とする溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより得られる。例えば、こうした溶剤中に、各上記原料を投入、溶解させ、適度な温度に加熱し反応させてポリウレタンとする、いわゆるワンショット法、また、ポリマージオールとジイソシアネートを、まず溶融反応させ、しかる後に、反応物を溶剤に溶解し、前述のジオールと反応させてポリウレタンとする方法などが、特に好適な方法として採用され得る。この場合、得られるポリウレタン溶液の濃度は、通常、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。
・実施例1{弾性繊維製造用改質剤(T−1)の調製}
A成分としての25℃における粘度が1.0×10−5m2/sであるポリジメチルシロキサン(A−1)100部と、B成分としての下記の表1に示した変性シリコーン(B−2)10部とを混合したシリコーン混合物に、C成分としてジステアリン酸マグネシウム塩(C−1)40部を加えて、20〜35℃の範囲内の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕してC成分がコロイド状に分散された弾性繊維製造用改質剤(T−2)を調製した。
弾性繊維製造用改質剤における成分および組成を、下記表1および下記表2に示すものとしたこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、実施例2〜18の弾性繊維製造用改質剤(T−1)、(T−3)〜(T−15)、比較例5〜11の弾性繊維製造用改質剤(t−5)〜(t−11)を調製した。
弾性繊維製造用改質剤を調製しない例を比較例1とした。
B成分としての下記の表1に示した変性シリコーン(B−3)100部に、C成分としてのジステアリン酸マグネシウム塩(C−1)18部を加えて、20〜35℃の範囲内の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕して、C成分がコロイド状に分散された弾性繊維製造用改質剤(t−2)を調製した。
A成分としての25℃における粘度が1×10−5m2/sであるポリジメチルシロキサン(A−1)100部に、C成分としてのジステアリン酸マグネシウム塩(C−1)35部を加えて20〜35℃の範囲内の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕して、C成分がコロイド状に分散された改質剤(t−3)を調製した。
A成分としての25℃における粘度が1×10−5m2/sであるポリジメチルシロキサン(A−1)100部と、B成分としての下記の表1に示した変性シリコーン(B−2)20部とを混合して、弾性繊維製造用改質剤(t−4)を調製した。
M−1: 3−アミノプロピル基
M−2: 3−(ドデシルカルボニル)−アミノプロピル基
M−3: N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基
M−4: N−(N−ドデシルカルボニル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基
M−5: N−(ベンゼンカルボニル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基
M−6: N−{N−(4−カルボキシブチルカルボニル)−アミノエチル}−3−アミノプロピル基
M−7: 3−カルボキシプロピル基
M−8: 3−(2−カルボキシエチルカルボニル)−アミノプロピル基
M−9: 3−(オレイルカルボニル)−アミノプロピル基
M−10: N−(2−カルボキシエチル)−3−アミノプロピル基
m−1: 10個のオキシエチレンと15個のオキシプロピレンとで構成された基
A−1: 25℃における粘度が1×10−5m2/sであるポリジメチルシロキサン
A−2: 25℃における粘度が1×10−3m2/sであるポリジメチルシロキサン
C−1: ジステアリン酸マグネシウム塩
C−2: ジステアリン酸カルシウム塩
C−3: パルミチン酸ステアリン酸亜鉛塩
C−4: ステアリン酸カリウム塩
*1: A成分100質量部に対するB成分の質量部数
*2: A成分とB成分から成る混合物100質量部に対するC成分の質量部数
試験区分1で調製した弾性繊維製造用改質剤について、分散安定性、平均粒子径および粘度上昇を下記のように評価した。
弾性繊維製造用改質剤100mlを密栓付きガラス製100mlメスシリンダーに入れ、25℃にて1週間および6ケ月間放置し、1週間後および6ケ月後の改質剤の外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:均一な分散状態で外観に変化がなかった
○:5ml未満の透明層が発生した
△:5ml以上の透明層が発生した
×:沈殿が発生した
密栓付きガラス製容器に25℃にて1週間および6ケ月間放置した改質剤について、25℃における粘度が1×10−5m2/sであるポリジメチルシロキサンを分散媒体として、C成分(高級脂肪酸金属塩)が1000ppmの濃度となるように該弾性繊維製造用改質剤を希釈して試料とした。この試料を25℃で超遠心式自動粒度分布測定装置(堀場製作所製CAPA−700)を用いて面積基準の平均粒子径を測定し、下記の基準で評価した。
×:0.01μm未満
△:0.01μm以上0.05μm未満
○:0.05μm以上0.1μm未満
◎:0.1μm以上0.3μm未満
○:0.3μm以上0.8μm未満
△:0.8μm以上1.0μm未満
×: 1.0μmを超える
E型粘度計(TOKIMEC社製、DVH−E型)を用いて、調製直後の弾性繊維製造用改質剤の30℃における粘度をローター回転数20rpmで測定し、初期粘度V1(Pa・s)とした。ついで該改質剤を密栓付きガラス製容器に40℃にて6ケ月間放置し、再度同粘度計を用いて30℃における粘度を同様に測定し、6ヶ月間放置後の粘度V2(Pa・s)とした。V2/V1を算出し粘度上昇を評価した。
◎:2.0未満
○:2.0以上3.0未満
△:3.0以上4.0未満
×:4.0以上
弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維を用いた。
まず、分子量2900のテトラメチレンエーテルグリコール、ビス−(p−イソシアネートフェニル)−メタンおよびエチレンジアミンからなるポリウレタンのN、N‘−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略する。)溶液(35質量%)を重合しポリマ溶液(A)とした。
試料糸について、破断伸度、破断強度、解舒張力を測定し、糸物性の評価を行った。
破断伸度および破断強度は、試料糸を、インストロン4502型引張試験機を用いて引張テストすることにより求められる。具体的には下記により求められる。
破断伸度=100×{(L3)−(L1)}/(L1)
破断強度=(G3)
破断伸度
◎:485%以上
○:475%以上485%未満
△:465%以上475%未満
×:465%未満
破断強度
◎:28cN以上
○:27cN以上28cN未満
△:26cN以上27cN未満
×:26cN未満
解舒張力を図1に示した装置によって測定した。円筒状紙管2に巻かれた試料糸の巻糸体1を図1のように固定し、そこから試料糸3を、45.7m/分の一定速度で巻糸体1の側面から解舒する。その解舒された試料糸3を、ガイド4、セラミック製スロット・ガイド5を通過させ、張力計ローラー6で90度に屈曲した軌跡を描かせ、ローラー12に45.7m/分にてドライブし、90度に屈曲した軌跡を描かせ、サッカーガン13に吸引させた。フリーの張力計ローラー6は電気的な歪みゲージ7に接続されており、その電気信号は導線8を通じ、積分器9で平均化処理され、導線10を通じ記録器11にそのデータが蓄積された。このテストを4分間行い、糸長183mでの平均解舒張力を計測した。
◎:0.15cN未満
○:0.15cN以上0.25cN未満
△:0.25cN以上0.50cN未満
×:0.50cN以上
試料糸について、紡糸性、合着性を測定し、製糸性を評価した。
上記した乾式紡糸ポリウレタン系弾性繊維の製造時の紡糸における糸切れ頻度を測定し、糸切れ1回あたりの巻き取り距離を測定することにより紡糸性を下記の基準で評価した。
◎:5000km以上
○:4500km以上5000km未満
△:4000km以上4500km未満
×:4000km未満
試料糸が巻かれた巻糸体を転がしながら解舒し、このとき、200%伸長した状態で試料糸を50m/分の送り速度で送り、交差ロールを介して糸割れ箇所を拡大して箇所数を計測する。糸割れ箇所は曲がった節として観察される。500gの巻糸体100個を検査して確認した糸割れ箇所数から発生頻度(箇所/100m)を集計し、下記の基準で評価した。糸割れ箇所数が少なければ合着性が高いといえる。
◎:1箇所/100m未満。
○:1箇所/100m以上5箇所/100m未満。
△:5箇所/100m以上50箇所/100m未満。
×:50箇所/100m以上。
試料糸について、スカム発生、染色性、高次加工性、高次加工品の品位を測定することにより加工性を評価した。
試料糸の巻糸体をミニチュア整経機に10本仕立て、25℃×65%RHの雰囲気下で糸速度300m/分で1500km巻き取った。このとき、ミニチュア整経機のクシガイドでのスカムの脱落および蓄積状態を肉眼観察し、次の基準で評価した。
◎:スカムの付着がほとんどなかった。
○:スカムがやや付着しているが、糸の安定走行に問題はなかった。
△:スカムの付着および蓄積が多いが、糸の安定走行に問題はなかった。
×:スカムの付着および蓄積が多く、糸の安定走行に大きな問題があった。
得られた22dtex/3フィラメントのポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、これに44デシテックス36フィラメントのウーリーナイロン糸(東レ(株)製)をシングルカバリングしてなるカバリング糸を用いて常法によりタイツを編成した。引き続きタイツの通常の加工条件に準じて、プレセット、精練後、MITSUI NYLON BLACK GL(三井BASF社製酸性染料)4%owfを用い、95℃で60分間染色後、タイツの通常の加工条件に準じて、スチームセットした。この加工したタイツの湿摩擦堅牢度をJIS L−0849に準じて測定した。
◎4級以上
○3級
△2級
×1級
得られた22dtex/3フィラメントのポリウレタン弾性繊維巻糸体について、経編用整経機の積極送り出し装置(クリールスタンド)の一部を模擬した高速解舒モデル装置(特開2008-019061)を使い、解舒テストを実施した。
この高速解舒モデル装置においてローラ107Bの表面の周速度を300m/min、ローラ107Cおよび107Dの周速度を690m/minとし、巻糸体の表層から解舒試験を実施した。
◎糸切れ発生頻度1%未満
○糸切れ発生頻度1%以上3%未満
△糸切れ発生頻度3%以上10%未満
×糸切れ発生頻度10%以上
得られた22dtex/3フィラメントのポリウレタン弾性繊維を用いて織物ストレッチ布帛を製作し、染色等の後加工を行い、その外観品位を評価した。まず、得られたポリウレタン弾性繊維を、カチオン可染ポリエステル糸(168dtex−48fil)でカバーリング加工した。その際のカバーリング機での条件を、ヨリ数=450t/m、ドラフト=3.0として得られたカバーリング糸をヨコ糸用とした。また、カバーリング機での条件を、ヨリ数700T/M、ドラフト=3.5として得られたカバーリング糸をタテ糸用とした。次に、得られたカバーリング糸をそれぞれヨコ糸、タテ糸として用い、タテ糸を5100本(荒巻き整経1100本)で糊付け整経した後、レピアー織機を用いて2/1綾組織で製織した。次に、製織で得られた生機を常法に従い精練加工、中間セット(185℃)、減量加工を行ない、さらに、染色加工、乾燥、仕上げ剤処理、及び仕上げセットを行った。ここで、染色加工は、カチオン染料、120℃の条件で行い、仕上げセットは、180℃、布速20m/min、セットゾーン24mの条件で行なった。
◎波打ちが全くない。
○波打ちがあるがほとんど気にならない。
△やや波打ちが気になる。
×波打ちが気になる。
2: 円筒状紙管
3: 解舒され走行している弾性繊維(試料糸)
4: ガイド
5: セラミック製スロット・ガイド
6: 張力計ローラー
7: 電気的な歪みゲージ
8: 導線
9: 積分器
10: 導線
11: 記録器
12: ローラー
13: サッカーガン
107B: 糸送りローラー
107C: 糸送りローラー
107D: 糸送りローラー
Claims (11)
- ポリウレタン系弾性繊維において、下記のA成分、下記のB成分および下記のC成分を含有し、ポリウレタン系弾性繊維の質量に対するA成分の含有率が0.1〜6質量%、B成分の含有率が0.01〜4.0質量%、C成分の含有率が0.05〜4.0質量%であって、各成分の質量比が、
(A成分)/(B成分)=100/0.5〜100/50
{(A成分)+(B成分)}/(C成分)=100/20〜100/60
の範囲であることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維。
A成分:シリコーンオイル。
B成分:下記の一般式(1)で示される変性シリコーンオイル。
C成分:下記の一般式(2)で示される高級脂肪酸金属塩。
- A成分であるシリコーンオイルの25℃における粘度が1×10−5〜1×10−2m2/sである請求項1に記載のポリウレタン系弾性繊維。
- A成分が、25℃における粘度が1×10−5〜1×10−2m2/sであるポリジメチルシロキサンである請求項1又は2に記載のポリウレタン系弾性繊維。
- B成分を示す式(1)において、X1およびX2がメチル基であり、X3が一般式(3)で示される有機基であり、aが50〜300、bが0〜10、cが1〜10の整数である請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維。
- 上記各成分の含有質量比が、{(A成分)+(B成分)}/(C成分)=100/20〜100/60であり、且つB成分を示す式(1)において、X1およびX2がメチル基であり、X3が一般式(3)で示される有機基であり、aが50〜300、bが0、cが1〜10の整数である請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維。
- 上記の有機基であるX3を示す一般式(3)において、Yがアミノ基又は一般式(5)で示される有機基である請求項4又は5に記載のポリウレタン系弾性繊維。
- C成分を示す式(2)において、Mがアルカリ土類金属原子であり、nが2である請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維のフィラメントが複数本合着されてなるポリウレタン系弾性繊維合着糸。
- 上記のA成分、B成分およびC成分を含有してなる改質剤を、紡糸原液に添加した後、該紡糸原液を用いて乾式紡糸により紡糸口金からフィラメントを紡出することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維弾性の製造方法。
- 改質剤C成分がコロイド状に分散された分散液である請求項9に記載の製造方法。
- 請求項9又は10に記載の製造方法において、紡糸口金から複数本のフィラメントを紡出し、さらに、それらのフィラメントを合着処理した後に巻き取ることを特徴とする製造方法。
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